JPH06357U - 縫製用ミシンの生地押え金具 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】２枚の生地を縫合してなる縫合せ部分の割縫い
作業を容易にすることのできる縫製用ミシンの生地押え
金具を提供する。 【構成】衣服を構成する縫合せ部分の各生地片間に生地
押え金具の先端側中心部に垂設した生地ガイドを挿入
し、同生地ガイドを中心として縫合せ部分の各生地片を
左右均等に押し拡げる。同時に、同生地ガイドの直下位
置に衣服の縫合せ部分を生地送り方向にガイドして、同
縫合せ部分の各生地片を生地押え金具で扁平状態に順次
折曲げながら、縫製用ミシンに垂設した２本の各ミシン
針で衣服の縫合せ部分に沿って各生地片を割縫いするの
で、衣服の縫合せ部分をアイロン等で扁平状態に加熱整
形するような手間及び作業が省け、同縫合せ部分に当り
や皺等が付くのを防止して、風合い良く仕上げることが
できる。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

この考案は、例えば、紳士服や婦人服等の衣服縫製時に於いて、衣服を構成す る縫合せ部分の各生地片を２本のミシン針で割縫いするときに用いられる縫製用 ミシンの生地押え金具に関する。

【０００２】

【従来の技術】

従来、上述例のような衣服の縫合せ部分を割縫いする方法としては、例えば、 図６に示すように、仮縫い後に於いて、衣服Ａを構成する縫合せ部分Ａａの各生 地片Ａｂ，Ａｂを作業者の手で左右に押し拡げながらアイロン等（図示省略）で 扁平状態に加熱整形する。この後、縫製用ミシン１３のヘッド部１３ａに垂設し た生地押え金具１４で衣服Ａを構成する縫合せ部分Ａａの各生地片Ａｂ，Ａｂを 上方から押圧すると共に、生地送り金具１５の前後動により衣服Ａの縫合せ部分 Ａａを生地送り方向に順次移動して、縫製用ミシン１３のヘッド部１３ａに垂設 した２本の各ミシン針１３ｂ，１３ｂで衣服Ａを構成する縫合せ部分Ａａの各生 地片Ａｂ，Ａｂを割縫いする方法がある。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

しかし、上述のように衣服Ａを構成する縫合せ部分Ａａの各生地片Ａｂ，Ａｂ をアイロン等で扁平状態に加熱整形すると、同縫合せ部分Ａａに沿って各生地片 Ａｂ，Ａｂの当りや皺等が付いてしまい、衣服Ａとしての意匠価値及び商品価値 が低下する。且つ、衣服Ａを構成する縫合せ部分Ａａの各生地片Ａｂ，Ａｂを作 業者の手で左右に押し拡げ、同縫合せ部分Ａａの各生地片Ａｂ，Ａｂをアイロン 等で扁平状態に加熱整形してから割縫いするため、割縫い時の準備作業に手間及 び時間が掛かるという問題点を有している。

【０００４】 この考案は上記問題に鑑み、生地押え金具の先端側中心部に垂設した生地ガイ ドで２枚の生地を縫合してなる縫合せ部分の各生地片を左右均等に押し拡げなが ら割縫いすることにより、生地の縫合せ部分に当たりや皺等が付くのを防止し、 割縫い時の時間及び行程を短縮して、縫製作業の能率アップを図ることができる 縫製用ミシンの生地押え金具の提供を目的とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】

この考案は、２枚の生地を縫合してなる縫合せ部分の各生地片を左右に折曲げ ると共に、該縫合せ部分の各生地片を左右に折曲げた状態のまま２本の各ミシン 針で割縫いする縫製用ミシンの生地押え金具であって、上記生地押え金具の先端 側中心部に、上記２枚の生地を縫合してなる縫合せ部分の各生地片間に挿入され 、且つ、該縫合せ部分の各生地片を左右に押し拡げる形状寸法の生地ガイドを垂 設した縫製用ミシンの生地押え金具であることを特徴とする。

【０００６】

【作用】

この考案は、２枚の生地を縫合してなる縫合せ部分の各生地片間に、生地押え 金具の先端側中心部に垂設した生地ガイドを挿入し、同生地ガイドを中心として 縫合せ部分の各生地片を生地自体の復元力に抗して左右均等に押し拡げる。同時 に、同生地ガイドの直下位置に生地の縫合せ部分を生地送り方向にガイドして、 同縫合せ部分の各生地片を生地押え金具で扁平状態に順次折曲げながら、縫製用 ミシンに垂設した２本の各ミシン針で生地の縫合せ部分に沿って各生地片を割縫 いする。

【０００７】

【考案の効果】

この考案によれば、生地押え金具の先端側中心部に垂設した生地ガイドで２枚 の生地を縫合してなる縫合せ部分の各生地片を左右均等に押し拡げながら割縫い するので、従来方法のように生地の縫合せ部分をアイロン等で扁平状態に加熱整 形するような手間及び作業が省け、生地割縫い時の作業時間及び作業行程を短縮 して、単位時間当りの処理枚数を増加させると共に、縫製作業の能率アップを図 ることができる。

【０００８】 しかも、生地の縫合せ部分をアイロン等で扁平状態に加熱整形せず、同縫合せ 部分の各生地片を生地押え金具で扁平状態に順次折曲げながら割縫いするため、 生地割縫い時に於いて、生地の縫合せ部分に当りや皺等が付くのを確実に防止す ることができる。且つ、生地自体の復元力により縫合せ部分の各生地片が曲線状 態を保つため、同割縫い部分に触れたときの感触が柔らかくなり、風合い良く仕 上げることができる。

【０００９】

【実施例】

この考案の一実施例を以下図面に基づいて詳述する。 図面は衣服を構成する縫合せ部分の各生地片を左右均等に押し拡げながら２本 のミシン針で割縫いするときに用いられる縫製用ミシンの生地押え金具を示し、 図１及び図２に於いて、この生地押え金具１は、同金具を構成する生地押え板２ の先端側反り部から中央側平面部に向けて２本の各針落し溝２ａ，２ａを平行し て形成し、同生地押え板２の後端側中央部と連結部材３の下端部とを連結ピン４ で上下揺動自在に枢着すると共に、同連結部材３の後端側垂直部に形成したガイ ド孔３ａにネジ５を差込み、同連結部材３の後端側垂直部と連結板６の下端部と をネジ５で締付け固定している。

【００１０】 且つ、生地押え板２の後端側両側部に、同生地押え板２の前方側周囲を囲繞す る大きさ及び形状に線条部材で形成したフィンガーガード枠７の左右両端部を差 込み固定すると共に、同生地押え板２の先端側中心部に、衣服Ａの縫合せ部分Ａ ａに沿って各生地片Ａｂ，Ａｂを左右均等に押し拡げるための生地ガイド８を上 下摺動自在に取付けている。

【００１１】 上述の生地ガイド８は、図３に示すように、生地押え金具１を構成する生地押 え板２の先端側中心部に形成したガイド取付け部９に、同ガイド取付け部９の上 面側中心部から下面側中心部に貫通して楕円形状のガイド差込み孔９ａを形成す ると共に、同ガイド取付け部９のガイド差込み孔９ａに対して生地ガイド８を上 下摺動自在に差込み、同生地ガイド８の外周側左右端面とガイド差込み孔９ａの 内周側左右端面とを平面的に当接して、上下摺動のみを許容する方向に差込んで いる。

【００１２】 且つ、ガイド取付け部９の先端側中央部に形成した切欠き部９ｂに調節ナット １０を水平回動自在に保持して、同ガイド取付け部９のガイド差込み孔９ａに生 地ガイド８を差込むとき、生地ガイド８の外周面上に刻設したネジ部８ａと、調 節ナット１０の内周面上に刻設したネジ部１０ａとを螺合する。すなわち、調節 ナット１０の回動操作により生地ガイド８を上下方向にネジ送りして、衣服Ａを 構成する生地の厚みや素材に応じて生地ガイド８の垂下高さを微調節する。

【００１３】 図示実施例は上記の如く構成するものとして、以下、生地押え金具１により仮 縫いされた衣服Ａの縫合せ部分Ａａを割縫いするときの方法を説明する。 先ず、図２及び図４に示すように、生地押え金具１を構成する生地押え板２の 後端側に連結した連結板６と、縫製用ミシン１１を構成するヘッド部１１ａの下 端側に垂設した取付け軸１１ｂとをネジ１２で締付け固定して、同ヘッド部１１ ａに垂設した取付け軸１１ｂの下端部に対して生地押え金具１を固定する。この 後、衣服Ａを構成する縫合せ部分Ａａの始端側縫合部を縫製用ミシン１１の生地 送り金具１１ｄ上に移動して、同縫合せ部分Ａａの各生地片Ａｂ，Ａｂを作業者 の手で若干左右に押し拡げると共に、生地押え金具１を垂直降下して、各生地片 Ａｂ，Ａｂの始端側縫合部を左右均等に押し拡げた状態のまま押圧保持する。

【００１４】 この後、縫製用ミシン１１を駆動して、生地送り金具１１ｄの前後動により衣 服Ａの縫合せ部分Ａａを生地送り方向に順次移動させ、図５に示すように、生地 自体の復元力で起立する縫合せ部分Ａａの各生地片Ａｂ，Ａｂ間に、生地押え金 具１の先端側中心部に垂設した生地ガイド８を挿入して、同生地ガイド８を中心 として縫合せ部分Ａａの各生地片Ａｂ，Ａｂを左右均等に押し拡げる。同時に、 同生地ガイド８の直下位置に衣服Ａの縫合せ部分Ａａを生地送り方向にガイドし て、同生地押え金具１の生地押え板２で縫合せ部分Ａａの各生地片Ａｂ，Ａｂを 扁平状態に順次折曲げながら、縫製用ミシン１１のヘッド部１１ａに垂設した２ 本の各ミシン針１１ｃ，１１ｃで衣服Ａの縫合せ部分Ａａに沿って各生地片Ａｂ ，Ａｂを割縫いする。

【００１５】 以下同様にして、予め準備された多数枚の各衣服Ａ…を縫製用ミシン１１に順 次供給し、同各衣服Ａ…を構成する各縫合せ部分Ａａ…の各生地片Ａｂ，Ａｂを 左右均等に押し拡げながら順次割縫いする。

【００１６】 このように生地押え金具１の先端側中心部に垂設した生地ガイド８で衣服Ａを 構成する縫合せ部分Ａａの各生地片Ａｂ，Ａｂを左右均等に押し拡げながら割縫 いするので、従来方法のように衣服Ａの縫合せ部分Ａａをアイロン等で扁平状態 に加熱整形するような手間及び作業が省け、生地割縫い時の作業時間及び作業行 程を短縮して、単位時間当りの処理枚数を増加させると共に、縫製作業の能率ア ップを図ることができる。

【００１７】 しかも、衣服Ａの縫合せ部分Ａａをアイロン等で扁平状態に加熱整形せず、同 縫合せ部分Ａａの各生地片Ａｂ，Ａｂを生地押え金具１で扁平状態に順次折曲げ ながら割縫いするため、生地割縫い時に於いて、衣服Ａの縫合せ部分Ａａに当り や皺等が付くのを確実に防止することができる。且つ、生地自体の復元力により 縫合せ部分Ａａの各生地片Ａｂ，Ａｂが曲線状態を保つため、同縫合せ部分Ａａ に触れたときの感触が柔らかくなり、風合い良く仕上げることができる。

【００１８】 この考案の構成と、上述の実施例との対応において、 この考案の生地は、実施例の衣服Ａに対応し、 以下同様に、 生地の縫合せ部分は、衣服Ａの縫合せ部分Ａａに対応し、 生地を構成する縫合せ部分の各生地片は、衣服Ａを構成する縫合せ部分Ａａの 各生地片Ａｂ，Ａｂとに対応するも、 この考案は、上述の実施例の構成のみに限定されるものではない。

【００１９】 上述の実施例では、生地押え金具１を構成する生地押え板２の先端側中心部に 生地ガイド８を上下摺動自在に取付けているが、例えば、生地押え板２の先端側 中心部に生地ガイド８を一体的に形成してもよい。

【提出日】平成４年８月３日

【手続補正１】

【補正対象書類名】明細書

【補正対象項目名】０００７

【補正方法】変更

【補正内容】

【０００７】

【考案の効果】

この考案によれば、生地押え金具の先端側中心部に垂設した生地ガイドを２枚 の生地を縫合してなる縫合せ部分の左右の各生地片間に位置させると、立ち姿に ある生地片の圧力によって生地ガイドは縫合位置の中心部分に自然にガイドされ ながら、換言すれば、生地の方で中心を維持しながら、左右均等に割縫いするこ とができ、割縫いが簡単、容易にできる。これにより、 従来方法のように生地の 縫合せ部分をアイロン等で扁平状態に加熱整形するような手間及び作業が省け、 生地割縫い時の作業時間及び作業行程を短縮して、単位時間当りの処理枚数を増 加させると共に、縫製作業の能率アップを図ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】生地押え金具の取付け状態を示す正面図。

【図２】生地押え金具の取付け状態を示す側面図。

【図３】生地ガイドの取付け部分を示す拡大縦断側面
図。

【図４】本考案の生地押え金具による割縫い状態を示す
縫製用ミシンの正面図。

【図５】生地押え金具による生地の割縫い状態を示す平
面図。

【図６】従来型の生地押え金具による割縫い状態を示す
縫製用ミシンの正面図。

【符号の説明】

Ａ…衣服 Ａａ…縫合せ部分 Ａｂ…生地片 １…生地押え金具 ２…生地押え板 ８…生地ガイド ９…ガイド取付け部 １０…調節ナット １１…縫製用ミシン １１ｃ…ミシン針

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】２枚の生地を縫合してなる縫合せ部分の各
   生地片を左右に折曲げると共に、該縫合せ部分の各生地
   片を左右に折曲げた状態のまま２本の各ミシン針で割縫
   いする縫製用ミシンの生地押え金具であって、 上記生地押え金具の先端側中心部に、上記２枚の生地を
   縫合してなる縫合せ部分の各生地片間に挿入され、且
   つ、該縫合せ部分の各生地片を左右に押し拡げる形状寸
   法の生地ガイドを垂設した縫製用ミシンの生地押え金
   具。