JPH0635225B2 - 情報記録媒体 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、基体の一つの面に文字又は図形などの画像情
報とデータ処理用のディジタル信号の双方を重ねて記録
可能な情報記録媒体に関する。

従来の技術 プラスチックまたは紙などの非磁性基体の表面に磁気記
録層を設けた磁気カードは、磁気定期券、磁気回数券又
はクレジットカードなどの用途に広く使われている。

これらの磁気カードは、磁気記録層以外の基体表面の余
白部分又は裏面に、文字、符号、図形などの印刷が施さ
れている。ところが磁気記録層の部分を拡げると、文
字、符号、図形などの印刷する面積が減少する。又その
逆の場合は、磁気記録可能な部分が減少するという問題
がある。

この様な問題を解決するため、従来は、添付図面第３図
の部分拡大図に示すように、基体１に形成した磁気記録
層２の上に白色層５を設け、その上に文字、符号、図形
などをオフセット、グラビア又は凸版など通常の印刷方
式で印刷し（又は白色層５を設けずに磁気記録層に直接
印刷することもあった）、さらにその上に保護ニス層６
を設けた磁気カードが提案され使用されている。第３図
において、参照番号７は、印刷によって付与された印刷
インキを示している。

発明が解決しようとする問題点 しかしながら、以上の様な方法で磁気カードを製造する
ことは、製版、印刷等でコストがかかるばかりでなく、
カード一枚毎に印刷内容の異なる要求に対して十分に対
応できない。

本発明の目的は、前述したような従来の問題点を解消し
うる情報記録媒体を提供することである。

問題点を解決するための手段および作用 本発明による情報記録媒体は、非磁性基体の表面に低抵
抗の磁気記録層を設け、その上に誘電層を設けて静電記
録層としたことを特徴とするものであり、静電記録法に
より、誘電層の上に文字、符号、図形などの画像情報を
記録し、さらに磁気記録層にデータ処理に必要な情報を
磁気的に記録することができる。すなわち、本発明の情
報記録媒体によれば、その基体の１つの面に画像情報と
データ処理情報とを重ねて記録できる。

実施例 次に、添付図面の第１図及び第２図に基づいて本発明の
実施例について本発明をより詳細に説明する。

第１図は、本発明の一実施例を示す情報記録媒体の断面
図である。

公称１８８μｍ厚の白色ポリエチレンフタレート（ＰＥ
Ｔ）フィルムの基体１の片面に針状γ−Fe₂O₃磁性体
（チタン工業製ＭＲ−γ）６０部、およびカーボンブラ
ック（コロンビア・ケミカル社製コンダクテックスＳ
Ｃ）１０部を塩酢ビ共重合樹脂（積水化学製エスレック
Ａ）３０部のバインダー及び有機溶剤とからなるラッカ
ーに均一に分散した磁性塗料を乾燥後の厚さで約１０μ
ｍに均一に塗布し、磁場配向後乾燥し、磁性塗膜層２Ａ
を形成する。

次に、この磁性塗膜層２Ａの上に、真空蒸着法により、
Ｃｏ金属を斜め蒸着し、強磁性金属薄膜層２Ｂを形成し
て、磁性塗膜層２Ａと強磁性金属薄膜層２Ｂとで磁気記
録層２′とする。

さらに、強磁性金属薄膜層２Ｂの上に、塩化ビニル樹脂
（ＰＶＣ）７０部、SiO₂３０部および有機溶剤とからな
る誘電層塗料を乾燥時の厚さで約２μｍ厚に均一に塗布
乾燥して誘電層３を形成したのち、所望の大きさに打抜
いて、カード状の情報記録媒体を作成する。

この情報記録媒体に、綿密度６本／mm、針径0.1mmのマ
ルチスタイラス（多針）型の静電記録用ヘッドを用い
て、−５００〜−８００ｖの電位、１ドットの印加時間
２０μsecで画像情報を静電記録し、第２図に略示する
ように、静電トナー４で現像したのち、赤外線フラッシ
ュランプで熱定着し画像を形成する。つぎに、磁気ヘッ
ド（ギャップ長３０μｍ、トラック巾２mm、コア材質セ
ンダスト）でディジタル信号を４２０ＦＣＩの記録密度
で飽和記録した。その結果、記録した画像情報は、１ビ
ット単位の細文字も忠実に記録され、磁気記録層に記録
されたディジタル情報も出力変動が５％以内と実用上十
分な特性を得た。

上記磁気記録層２′は、静電記録時においては、通常の
静電記録媒体の導電層の役割をはたし、ディジタル信号
記録再生時には、通常の磁気記録層の役割をはたすとい
う特長を有している。また、本実施例では、磁気記録層
２′を磁性塗膜２Ａと強磁性金属薄膜２Ｂの２層とした
のは、その方が静電記録及び磁気記録双方の高分解化に
有効であるからである。しかし、本発明は、これに限定
されず、磁気記録層を低抵抗の一層の磁性層で構成して
もよい。

本発明において、磁気記録層を構成する磁性材料として
は、γ−Fe₂O₃、Fe₃O₄、Co被着型γ−Fe₂O₃、BaO・6Fe₂O₃
などの強磁性酸化金属粉、Fe、Fe-Coなどの強磁性金属
粉、Co-Ni系強磁性メッキ膜、Co-Crなどの垂直磁化膜な
どが単独層又は重層して使われうる。

磁気記録層は、静電記録時には低抵抗層としての効果を
なすために、磁気記録層は固有抵抗値として１０^９Ω・
cm以下であるのが好ましい。

本発明において、誘電層を構成する材料としては、アク
リル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、塩化ビニ
ル、酢酸ビニル、塩化ビニリデン、ポリエステル類など
の高分子樹脂ならびに二酸化チタン、コロイダルシリ
カ、タルク、クレーなどの無機顔料が使われうる。

上記実施例では、誘電層３の構成材料として、ＰＶＣ樹
脂とSiO₂顔料の例について説明したが、ＰＶＣ樹脂に替
ってポリエステル樹脂を用い、静電トナー４として、昇
華性染料を含むトナーを用いて記録することにより、熱
定着時に昇華性染料が誘電層３内に浸透して固定すると
いう特長を持たせることが可能である。また、カラート
ナーにより多色印刷も可能となる。

以上の本実施例では、記録層（磁気記録層２′及び誘電
層３）を基体１の片面に形成した例について述べたが、
基体１の両面に記録層を形成できることは勿論である。
また、本実施例は、カード状の媒体について適用した場
合であったが、本発明は、これに限らず、シート状、テ
ープ状、ディスク状およびドラム状の情報記録媒体に、
同様に適用して効果のあるものである。

発明の効果 本発明は、プラスチック又は紙などの非磁性基体の表面
に、低抵抗の磁気記録層を設け、さらにその上に誘電層
を設けた構成であるため、データ等の磁気記録情報と文
字、符号、図形などの画像情報を重ねて記録でき、記録
できる情報量を増大できると同時に、一枚ごと異なる記
録内容に対して、十分対応可能となり、コストダウンを
はかることができる。

また、本発明の情報記録媒体においては、画像を形成す
る際、市販の印刷機による従来の印刷法を採用してない
ため、偽造改ざん等の不正に対してもより効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例としての情報記録媒体の断面
図、第２図は第１図の情報記録媒体に対して静電記録に
より静電トナーを付与した状態を示す断面図、第３図は
従来の磁気カードの一例を示す部分拡大断面図である。 １……基体、２′……磁気記録層、 ２Ａ……磁性塗膜、２Ｂ……強磁性金属薄膜、 ３……誘電層、４……静電トナー。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.⁵ 識別記号 庁内整理番号 ＦＩ 技術表示箇所 Ｇ０６Ｋ 19/08 Ｇ１１Ｂ 5/62 7303−5Ｄ 5/80 7303−5Ｄ 13/00 9075−5Ｄ Ｈ０１Ｆ 10/08

Claims (5)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】非磁性基体の表面に低抵抗の磁気記録層を
   設け、その上に誘電層を設けて静電記録層としたことを
   特徴とする情報記録媒体。
2. 【請求項２】前記磁気記録層の固有抵抗は、１０^９Ω・
   cm以下である特許請求の範囲第(1)項記載の情報記録媒
   体。
3. 【請求項３】前記磁気記録層は、磁性粉と高分子樹脂バ
   インダーを主成分とする磁性塗膜層および強磁性金属薄
   膜の２層構造である特許請求の範囲第(1)項又は第(2)項
   記載の情報記録媒体。
4. 【請求項４】前記誘電層は、白色の絶縁無機顔料および
   絶縁性の高分子樹脂バインダーを主成分とする塗膜層で
   ある特許請求の範囲第(1)項又は第(2)項又は第(3)項記
   載の情報記録媒体。
5. 【請求項５】前記絶縁無機顔料は、SiO₂顔料であり、前
   記高分子樹脂バインダーは、ポリエステル樹脂である特
   許請求の範囲第(4)項記載の情報記録媒体。