JPH0635050Y2

JPH0635050Y2 - 免震構造

Info

Publication number: JPH0635050Y2
Application number: JP1988055316U
Authority: JP
Inventors: 邦雄宮崎; 豊上野
Original assignee: Kongo Co Ltd
Current assignee: Kongo Co Ltd
Priority date: 1988-04-25
Filing date: 1988-04-25
Publication date: 1994-09-14
Anticipated expiration: 2003-04-25
Also published as: JPH01159049U

Description

【考案の詳細な説明】（産業上の利用分野）本考案は、地震エネルギーを吸収して設置物の被害を免
れることができる免震構造に関する。

（従来の技術）床上に設置された棚などの設置物が地震によって転倒す
ると、人身に被害を及ぼしたり、設置物内に収容されて
いる物品を破損したりする。そこで、免震金具を用いて
設置物を壁に固定したり、建物自体あるいは設置物自体
を頑丈な構造にしたりして耐震性をもたせることが行な
われている。

（考案が解決しようとする課題）建物や設置物に耐震性をもたせても、激しい地震の場合
には、何れかの部分に応力が集中して変形したり破損し
たりし、地震が発生するたびに耐震の信頼性が低下して
いくという問題がある。

また、設置物が移動棚であって、同移動棚のロックが解
除されて一定方向に自由に走行できる状態になっている
場合、移動棚の走行方向の揺れに対しては移動棚の走行
車輪が回転して地震エネルギーを吸収し、移動棚自体は
ほとんど走行することなくほぼその場にとどまり、収容
物に被害がでることもほとんどない。しかし、移動棚の
走行方向に直交する方向の揺れの成分があると、この方
向の地震エネルギーを走行車輪が吸収することはでき
ず、移動棚が転倒する危険性がある。

本考案は、従来技術の問題点を解消するためになされた
もので、地震によって設置物がダメージを受けることを
なくすことができる免震構造を提供することを目的とす
る。

本考案はまた、設置物が移動棚の場合、地震によって移
動棚の走行方向に直交する方向に揺れても、移動棚が転
倒したり移動棚がダメージを受けたりすることを防止す
ることができる免震構造を提供することを目的とする。

（課題を解決するための手段）本考案は、地面又は建物の床の上に配置された可動床
と、この可動床に設置された設置物とを有し、地面又は
建物の床と可動床との間に、地面又は建物の床と平行す
る面内において可動床を一方向へ移動可能に支持する第
１の介在部材を設け、可動床と設置物との間には、上記
面内において設置物を一方向に対し直交する方向へ移動
可能に支持する第２の介在部材を設けたことを特徴とす
る。

上記設置物を移動棚とし、第２の介在部材を移動棚の走
行車輪としてもよい。

（作用）地震によって地面又は建物の床が揺れると、第１の介在
部材が可動床を一方向へ相対移動させて地震エネルギー
を吸収し、可動床の移動方向に対し直交する方向の揺れ
に対しては、第２の介在部材によって設置物が可動床の
移動方向に対し直交する方向に相対的に移動させて地震
エネルギーを吸収する。

設置物が移動棚の場合、移動棚の走行方向の揺れに対し
ては移動棚の走行車輪がその場で回転して地震エネルギ
ーを吸収する。

（実施例）以下、図面を参照しながら本考案の実施例を説明する。

第１図乃至第３図において、地面15の上には設置物を接
着すべき可動床25が第１の介在部材５を介して載せられ
ている。第１の介在部材５は、地面15上に固定されたプ
レート６と、このプレート６から立ち上がった軸受片７
と、この軸受片７によって回転自在に支持された軸８
と、この軸８と一体のローラ10とによって構成されてい
る。これらの各部材からなる第１の介在部材５は、地面
15上に所定の間隔で所定の複数列に、かつ、ローラ10の
回転方向が全て一致するように配置されている。

可動床25はつぎのように構成されている。各第１介在部
材５の各ローラ10の上には、サドル16の天井部に固定さ
れた受け板11が載っている。サドル16の上には、主梁17
が被せられ、かつ、双方の折曲下縁部がボルトで締め付
けられることにより相互に固定されている。主梁17の折
曲下縁部には、所定の間隔で直交方向の主梁18の端部が
載せられ、ボルトで固定されている。主梁18は、互いに
背中合わせにされ、かつ、ボルトで結合された２個の梁
材からなる。主梁18の上には、レール受け19が主梁18と
同じ方向に固定されており、このレール受け19内には、
レール２が固定されている。主梁17の方向をＹ方向、主
梁18の方向をＸ方向とする。これら主梁17,18は、これ
ら主梁が形成する四角形の対角を結んで設置されたブレ
ース23により補強されている。また、主梁17,18の上に
は鋼板製の床板20が敷き詰められ、床板20の上には、さ
らにカーペットその他の床仕上げ材19が敷き詰められて
いる。受け板11にはローラ10を受け入れるべき溝がロー
ラ10の回転方向の形成されている。従って、可動床25は
ローラ10をその場で回転させながら上記溝方向であるＹ
方向に自由に移動することができる。上記溝の長手方向
の中央部には、可動床25を位置決めするための凹部14が
形成されている。この凹部14にローラ10が嵌まり、可動
床25が妄りに動かないように位置決めされる。

レール２上には、設置物としての移動棚１の底部に回転
自在に軸支された第２の介在部材となる走行車輪27が載
せられている。走行車輪27はレール２上を転動可能であ
り、これにより移動棚１は可動床25の移動方向に対し直
交するＸ方向に移動することができる。移動棚１は複数
個を一組として集合離散可能に可動床25上に配置され
る。

地面15は、建物の床であってもよい。

いま、地震によって地面15又は建物の床が揺れたとす
る。Ｘ方向の揺れの成分に対しては第２の介在部材であ
る移動棚１の走行車輪27がその場で回転して地震エネル
ギーを吸収し、地震エネルギーを移動棚１本体に伝達す
ることなく、移動棚１はほぼその場にとどまり、転倒し
たり破損したりすることはない。一方、Ｙ方向の揺れに
対しては可動床25が第１の介在部材５のローラ10を回転
させながらＹ方向に相対移動し、地震エネルギーを吸収
し、地震エネルギーを可動床25本体及び移動棚１に伝達
することはない。従って、Ｙ方向の揺れによって移動棚
１が転倒したり破損したりすることもない。

可動床25は、通常はその受け板11の凹部14に第１の介在
部材５のローラ10が落ち込むことにより位置決めされ、
地震エネルギーがある程度以上になったとき凹部14を中
心にして前後に揺れる。従って、どの程度以上の地震エ
ネルギーとなったとき可動床25を前後動させるかは凹部
14の深さをどの程度にするかによって決まる。なお、凹
部14を形成する代わりに、受け板11の両端部から中心部
に向かうにしたがって溝の深さが深くなるように山形の
傾斜をつけてもよい。こうすれば、地震エネルギーの吸
収効果が一層高くなる。また、上記溝に凹部をつけたり
傾斜をつけたりすることなく、可動床25の移動方向の両
端に引っ張りばね又は圧縮ばねを配置し、両方のバネの
釣り合によって可動床25を位置決めしてもよい。

この実施例によれば、地震によって地面15又は建物の床
が揺れても、移動棚１の走行車輪27がレール２上を転動
し、また、可動床25が第１の介在部材５のローラ10上を
相対移動して地震エネルギーを吸収し、移動棚１が転倒
したり収納物品が落下することがなく、また、移動棚１
や可動棚25の何れかの部分に応力が集中することもない
から、変形や破損などのダメージを与えることもなく、
地震が発生するたびに信頼性が低下するという問題も解
消される。

次に、本考案の別の実施例について説明する。

第４図は、地面15又は建物の一部を掘り下げて形成した
窪み28内に可動床を形成したものである。

窪み28内に複数本のレール32を平行に敷設し、可動床30
の底部に回転可能に軸支した第１の介在部材としての車
輪31をレール32に載せたものである。可動床30上には、
レール32の方向に直交する方向のレールが敷設されてお
り、このレールに沿って移動可能に移動棚１の走行車輪
27が載せられており、この移動棚１の走行車輪27により
第２の介在部材が構成されている。この実施例は、基本
的には第１図乃至第３図に示す実施例と同じであり、移
動棚１の走行方向の揺れに対しては移動棚１の走行車輪
27がその場で回転することにより地震エネルギーを吸収
し、移動棚１の走行方向に直交する方向の揺れに対して
は可動床30の車輪31がその場で回転することにより地震
エネルギーを吸収する。なお、この実施例の場合も、レ
ール32に凹部を形成し、あるいはＶ字状をなすように傾
斜をつけることにより可動床30を位置決めするとができ
る。また、可動床30の移動方向の両端にばねを配置する
ことによっても位置決めすることができる。

（考案の発明）本考案によれば、地震によって地面又は建物の床が揺れ
ても、第１の介在部材が可動床を一方向へ相対移動させ
て地震エネルギーを吸収し、可動床の移動方向に対し直
交する方向の揺れに対しては、第２の介在部材が設置物
を可動床の移動方向に対して直交する方向へ相対的に移
動させて地震エネルギーを吸収し、可動床上の設置物に
地震エネルギーを伝達するのを防止して設置物の転倒や
破損等を防止できる。

また、設置物が移動棚であり、この移動棚の車輪が第２
の介在部材となっている場合、地震によって地面又は建
物の床が揺れると、移動棚の走行車輪がレール上を転動
し、かつ、第１の介在部材が可動床の相対移動を許容し
て地震エネルギーを吸収し、移動棚が転倒したり収納物
品が落下したりすることが防止されるし、移動棚や可動
床の何れかの部分に応力が集中することもないから、変
形や破損などのダメージを与えることもなく、地震が発
生するたびに信頼性が低下するという問題も解消され
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例を示す免震構造の平面図、第
２図は同上実施例の要部の一部断面側面図、第３図は同
じく一部断面正面図、第４図は本考案の別の実施例を概
略的に示す免震構造の側面図である。１……設置物としての移動棚、5,31……第１の介在部
材、15……地面、25,30……可動床、27……第２の介在
部材としての車輪。

Claims

【実用新案登録請求の範囲】

【請求項１】地面又は建物の床の上に配置された可動床
と、この可動床に設置された設置物とを有し、地面又は
建物の床と上記可動床との間に、地面又は建物の床と平
行する面内において上記可動床を一方向へ移動可能に支
持する第１の介在部材を設け、上記可動床と上記設置物
との間には、上記面内において上記設置物を上記一方向
に対し直交する方向へ移動可能に支持する第２の介在部
材を設けたことを特徴とする免震構造。
【請求項２】設置物は移動棚であり、第２の介在部材は
移動棚の走行車輪である請求項１記載の免震構造。