JPH07310459A - 免震装置 - Google Patents
免震装置Info
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- JPH07310459A JPH07310459A JP10296894A JP10296894A JPH07310459A JP H07310459 A JPH07310459 A JP H07310459A JP 10296894 A JP10296894 A JP 10296894A JP 10296894 A JP10296894 A JP 10296894A JP H07310459 A JPH07310459 A JP H07310459A
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- JP
- Japan
- Prior art keywords
- rotating body
- upper structure
- seismic isolation
- isolation device
- support base
- Prior art date
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- Pending
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- Buildings Adapted To Withstand Abnormal External Influences (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【目的】 積層ゴムではなくローラにより上部構造物の
固有周期を自由に設定できるとともに、風による上部構
造物の揺れを抑制できる免震装置を提供する。 【構成】 免震装置10は、支持基盤14上に設けられ
た凹部17と、該凹部17上に載置されるとともに上部
構造物15を支持する回転体18とからなる。そして、
回転体18の下面と凹部17の中心部17aの内面と
は、同じ半径の円筒面により構成されている。また、凹
部17の中心部17a以外の内面は、上記半径より大き
な半径の円筒面により構成されている。そして、上記凹
部17の中心部17a以外の内面の半径を変更すること
により、上部構造物15の固有周期を変更できるように
なっている。また、上記凹部17の中心部17aと回転
体18とが面接触することにより、接触部分に大きな荷
重がかかるのを防止している。また、上記面接触によ
り、上部構造物15が風により揺れるのを防止してい
る。
固有周期を自由に設定できるとともに、風による上部構
造物の揺れを抑制できる免震装置を提供する。 【構成】 免震装置10は、支持基盤14上に設けられ
た凹部17と、該凹部17上に載置されるとともに上部
構造物15を支持する回転体18とからなる。そして、
回転体18の下面と凹部17の中心部17aの内面と
は、同じ半径の円筒面により構成されている。また、凹
部17の中心部17a以外の内面は、上記半径より大き
な半径の円筒面により構成されている。そして、上記凹
部17の中心部17a以外の内面の半径を変更すること
により、上部構造物15の固有周期を変更できるように
なっている。また、上記凹部17の中心部17aと回転
体18とが面接触することにより、接触部分に大きな荷
重がかかるのを防止している。また、上記面接触によ
り、上部構造物15が風により揺れるのを防止してい
る。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、構造物に対しての地震
等による衝撃を吸収する免震装置に係わり、特に設定さ
れた以上の外力が構造物にかかった場合だけ、その衝撃
力を吸収する免震装置に関する。
等による衝撃を吸収する免震装置に係わり、特に設定さ
れた以上の外力が構造物にかかった場合だけ、その衝撃
力を吸収する免震装置に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、免震装置は、例えば、地震等の
衝撃を構造物に直接伝達しないようにする機構と、振動
エネルギを吸収する減衰機構とからなっている。地震に
よる衝撃を構造物に直接伝達しない方法としては、構造
物と地盤とを切り放すことが考えらる。
衝撃を構造物に直接伝達しないようにする機構と、振動
エネルギを吸収する減衰機構とからなっている。地震に
よる衝撃を構造物に直接伝達しない方法としては、構造
物と地盤とを切り放すことが考えらる。
【0003】構造物と地盤とを切り放す方法としては、
例えば、支持基盤上に上部構造物を固定せずに配置する
とともに、上記支持基盤と上部構造物との間の摩擦係数
を低くする方法がある。すなわち、支持基盤上面と上部
構造物下面とに滑りやすい材質のものを用いたり、支持
基盤上に複数のローラを配置し、これらローラ上に上部
構造物を配置したりすることにより、支持基盤が地震に
より振動しても、該振動が上部構造物に直接伝達され
ず、上部構造物に対する地震の衝撃力を弱める方法であ
る。
例えば、支持基盤上に上部構造物を固定せずに配置する
とともに、上記支持基盤と上部構造物との間の摩擦係数
を低くする方法がある。すなわち、支持基盤上面と上部
構造物下面とに滑りやすい材質のものを用いたり、支持
基盤上に複数のローラを配置し、これらローラ上に上部
構造物を配置したりすることにより、支持基盤が地震に
より振動しても、該振動が上部構造物に直接伝達され
ず、上部構造物に対する地震の衝撃力を弱める方法であ
る。
【0004】しかし、上述のような構造では、地震によ
り上部構造物の位置が大きく変位することになり、特に
ローラを用いた場合には、僅かな外力でも上部構造物が
移動してしまうとともにローラと支持基盤や上部構造物
との接触部分に大きな荷重がかかるという問題点があっ
た。従って、現状では、上記衝撃を構造物に伝達しない
機構として、主に積層ゴムが用いられている。
り上部構造物の位置が大きく変位することになり、特に
ローラを用いた場合には、僅かな外力でも上部構造物が
移動してしまうとともにローラと支持基盤や上部構造物
との接触部分に大きな荷重がかかるという問題点があっ
た。従って、現状では、上記衝撃を構造物に伝達しない
機構として、主に積層ゴムが用いられている。
【0005】上記積層ゴムは、例えば、鉄板とゴムシー
トとを交互に接合したものである。そして、積層ゴム
は、鉛直剛性が大きく、水平剛性が小さくなるようにさ
れ、外力に対する構造物の加速度応答を減少させ、構造
物の固有周期を長周期化させるようになっている。ま
た、上記積層ゴムには、復元力があり、振動により位置
がずれた構造物を元に戻すことができるとともに、積層
ゴム自体に減衰機能を持たせることも可能である。な
お、周知のように構造物の固有周期を長くすることによ
り、地震時に建物が受ける衝撃力を減少させる(加速度
応答を減少させる)ことができる。
トとを交互に接合したものである。そして、積層ゴム
は、鉛直剛性が大きく、水平剛性が小さくなるようにさ
れ、外力に対する構造物の加速度応答を減少させ、構造
物の固有周期を長周期化させるようになっている。ま
た、上記積層ゴムには、復元力があり、振動により位置
がずれた構造物を元に戻すことができるとともに、積層
ゴム自体に減衰機能を持たせることも可能である。な
お、周知のように構造物の固有周期を長くすることによ
り、地震時に建物が受ける衝撃力を減少させる(加速度
応答を減少させる)ことができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上述のよう
な構造物の免震装置は、構造物の基礎が、上記支持基盤
と、上部構造物の下部との二つに分割された形状、すな
わち、基礎が上下二つある形状となり、免震装置を備え
た構造物のコストを押し上げている。また、上記積層ゴ
ムは、他の建築用資材に比較して高価であり、免震装置
を備えた構造物のコストを高める要因の一つとなってい
る。
な構造物の免震装置は、構造物の基礎が、上記支持基盤
と、上部構造物の下部との二つに分割された形状、すな
わち、基礎が上下二つある形状となり、免震装置を備え
た構造物のコストを押し上げている。また、上記積層ゴ
ムは、他の建築用資材に比較して高価であり、免震装置
を備えた構造物のコストを高める要因の一つとなってい
る。
【0007】また、上記積層ゴムは、上述のように天然
ゴムを用いているが、ゴムは比較的劣化しやすく、特に
耐候性に問題があり、劣化を防止する方法が必要とな
る。さらに、ゴムにおいては、その防火についても考慮
する必要がある。そして、上記積層ゴムの上記耐候性を
含む性能の向上を図る場合には、ゴムの素材自体の研究
開発が必要となり、建築会社等では、積層ゴムの性能の
向上やコストダウンを自社で独自に図ることが困難であ
った。
ゴムを用いているが、ゴムは比較的劣化しやすく、特に
耐候性に問題があり、劣化を防止する方法が必要とな
る。さらに、ゴムにおいては、その防火についても考慮
する必要がある。そして、上記積層ゴムの上記耐候性を
含む性能の向上を図る場合には、ゴムの素材自体の研究
開発が必要となり、建築会社等では、積層ゴムの性能の
向上やコストダウンを自社で独自に図ることが困難であ
った。
【0008】また、積層ゴムは、上述のように水平方向
の剛性が低くなっているので、強風の際にビルが揺れて
しまうという問題があった。また、上記支持基盤と上部
構造物との間にローラ等の回転体を配置する方法は、床
免震装置に用いられている。そして、床免震装置は、構
造物全体を免震するのではなく、構造物に対して床を免
震するものであり、床上に配置された精密機械等の装置
を振動から保護するものである。
の剛性が低くなっているので、強風の際にビルが揺れて
しまうという問題があった。また、上記支持基盤と上部
構造物との間にローラ等の回転体を配置する方法は、床
免震装置に用いられている。そして、床免震装置は、構
造物全体を免震するのではなく、構造物に対して床を免
震するものであり、床上に配置された精密機械等の装置
を振動から保護するものである。
【0009】図3は、上述のような床免震装置の一例を
示すものである。図3に示すように、上記床免震装置に
おいては、支持板1上に床板2が配置されるとともに、
床板2の下方に支持部材3を介して支持板1に対して転
動自在に球体4が取り付けられ、また、支持板1の上面
の上記球体4が載置される部分に、中心部に向かって低
くなる凹部が形成されている。
示すものである。図3に示すように、上記床免震装置に
おいては、支持板1上に床板2が配置されるとともに、
床板2の下方に支持部材3を介して支持板1に対して転
動自在に球体4が取り付けられ、また、支持板1の上面
の上記球体4が載置される部分に、中心部に向かって低
くなる凹部が形成されている。
【0010】そして、上記支持板1が振動した際には、
上記球体4が支持板1上を転動することにより、その衝
撃力を吸収するとともに、支持板1の上面が凹部となっ
ていることで、振動時に支持板1に対して変位した床板
2の位置をもとに戻すことができるようになっている。
上記球体4が支持板1上を転動することにより、その衝
撃力を吸収するとともに、支持板1の上面が凹部となっ
ていることで、振動時に支持板1に対して変位した床板
2の位置をもとに戻すことができるようになっている。
【0011】すなわち、上記球体4と支持板1の凹部と
により上記積層ゴムと同様な機能を得ることも可能であ
る。しかし、上記球体4と支持板1との接触部分は、ほ
とんど点であり、床板2上の荷重が、上記球体4と支持
板1との狭い接触部分に集中することになるので、上記
球体4と支持板1とには大きな強度が必要となる。
により上記積層ゴムと同様な機能を得ることも可能であ
る。しかし、上記球体4と支持板1との接触部分は、ほ
とんど点であり、床板2上の荷重が、上記球体4と支持
板1との狭い接触部分に集中することになるので、上記
球体4と支持板1とには大きな強度が必要となる。
【0012】このような構造を床免震ではなく構造物の
免震に応用した場合には、上記球体4と支持板1との接
触部分にさらに大きな荷重が集中することになり、実用
化することが困難であった。
免震に応用した場合には、上記球体4と支持板1との接
触部分にさらに大きな荷重が集中することになり、実用
化することが困難であった。
【0013】また、上記球体4をローラに代えても、ロ
ーラと支持板1との接触部分は、線状となり、やはり狭
い接触部分に荷重が集中することになり実用化は困難で
あった。さらに、上記球体4を床免震に用いた場合には
風等の影響は、ほとんど無視できるが、構造物の免震に
用いた場合には、強風により構造物が揺れたり移動した
りする可能性があった。
ーラと支持板1との接触部分は、線状となり、やはり狭
い接触部分に荷重が集中することになり実用化は困難で
あった。さらに、上記球体4を床免震に用いた場合には
風等の影響は、ほとんど無視できるが、構造物の免震に
用いた場合には、強風により構造物が揺れたり移動した
りする可能性があった。
【0014】本発明は、上記事情に鑑みてなされたもの
であり、支持基盤と上部構造物との間に回転体を配置す
る構成としても、僅かな外力で上部構造物が移動した
り、回転体と支持基盤との接触部分に大きな荷重が集中
したりするのを防止できる免震装置を提供することを目
的とするものである。
であり、支持基盤と上部構造物との間に回転体を配置す
る構成としても、僅かな外力で上部構造物が移動した
り、回転体と支持基盤との接触部分に大きな荷重が集中
したりするのを防止できる免震装置を提供することを目
的とするものである。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明の上記請求項1記
載の免震装置は、支持基盤と該支持基盤上に配置される
上部構造物との間に配置され、上部構造物への振動によ
る衝撃を緩和する免震装置であって、上記上部構造物の
下端部に回動もしくは揺動自在に取り付けられ、かつ、
上記上部構造物を上記支持基盤上に支持する回転体と、
上記支持基盤の上面の上記回転体が接触する部分に設け
られ、かつ、中心部に向かって低くなる斜面から形成さ
れた凹部とを具備してなり、上記凹部は、上記中心部の
斜面が上記回転体の下面の中心部の形状と略一致する曲
面により形成されるとともに、上記凹部の上記中心部の
周囲の周辺部が上記回転体の下面の曲面より緩やかな曲
率に形成されていることを上記課題の解決手段とした。
載の免震装置は、支持基盤と該支持基盤上に配置される
上部構造物との間に配置され、上部構造物への振動によ
る衝撃を緩和する免震装置であって、上記上部構造物の
下端部に回動もしくは揺動自在に取り付けられ、かつ、
上記上部構造物を上記支持基盤上に支持する回転体と、
上記支持基盤の上面の上記回転体が接触する部分に設け
られ、かつ、中心部に向かって低くなる斜面から形成さ
れた凹部とを具備してなり、上記凹部は、上記中心部の
斜面が上記回転体の下面の中心部の形状と略一致する曲
面により形成されるとともに、上記凹部の上記中心部の
周囲の周辺部が上記回転体の下面の曲面より緩やかな曲
率に形成されていることを上記課題の解決手段とした。
【0016】また、上記構成に加えて本発明の請求項2
記載の免震装置は、上記回転体が、下方に偏心した位置
で上記上部構造物の下端部に回動もしくは揺動可能に取
り付けられていることを上記課題の解決手段とした。
記載の免震装置は、上記回転体が、下方に偏心した位置
で上記上部構造物の下端部に回動もしくは揺動可能に取
り付けられていることを上記課題の解決手段とした。
【0017】そして、上記構成に加えて本発明の請求項
3記載の免震装置は、上記凹部の斜面の傾斜が上記上部
構造物の設定すべき固有周期により決められていること
を上記課題の解決手段とした。
3記載の免震装置は、上記凹部の斜面の傾斜が上記上部
構造物の設定すべき固有周期により決められていること
を上記課題の解決手段とした。
【0018】また、上記構成に加えて本発明の請求項4
記載の免震装置は、上記上部構造物に設定された以上の
力がかかった際に、上記回転体の回転が開始するよう
に、上記凹部の上記中心部の周縁の傾斜が決定されてい
ることを上記課題の解決手段とした。
記載の免震装置は、上記上部構造物に設定された以上の
力がかかった際に、上記回転体の回転が開始するよう
に、上記凹部の上記中心部の周縁の傾斜が決定されてい
ることを上記課題の解決手段とした。
【0019】さらに、上記構成に加えて本発明の請求項
5記載の免震装置は、上記回転体が、側面視して円弧を
下方に向けた扇状に形成されていることを上記課題の解
決手段とした。
5記載の免震装置は、上記回転体が、側面視して円弧を
下方に向けた扇状に形成されていることを上記課題の解
決手段とした。
【0020】
【作用】上記請求項1記載の免震装置によれば、平常
時、すなわち地震などによる振動がない場合には、上記
回転体が上記凹部の中心部に接触した状態で安定とな
る。そして、上記回転体の下面の曲面と、上記凹部の中
心部の曲面が略同一の形状となっていることにより、上
記回転体の下面の中心部と上記凹部の中心部が面で接触
した状態となっている。
時、すなわち地震などによる振動がない場合には、上記
回転体が上記凹部の中心部に接触した状態で安定とな
る。そして、上記回転体の下面の曲面と、上記凹部の中
心部の曲面が略同一の形状となっていることにより、上
記回転体の下面の中心部と上記凹部の中心部が面で接触
した状態となっている。
【0021】すなわち、平常時において、回転体が平面
上に載置された場合のように、略点に近い回転体と平面
との接触部分に荷重が集中してしまうようなことがな
く、回転体の下面の中心部と凹部の中心部の接触面全体
に荷重を分散させることができる。
上に載置された場合のように、略点に近い回転体と平面
との接触部分に荷重が集中してしまうようなことがな
く、回転体の下面の中心部と凹部の中心部の接触面全体
に荷重を分散させることができる。
【0022】従って、回転体及び該回転体を支持する凹
部は、実現が困難な極めて高い強度を必要とせず、上記
回転体による構造物の免震を実現可能とすることができ
る。そして、地震時においては、上記回転体が回動もし
くは転動することにより、上部構造物に地震の衝撃力が
伝達されるのを防止することができる。また、地震の振
動によって移動した回転体は、凹部の斜面に沿って中央
部に戻ることになり、地震により移動した上部構造物を
元の位置に復元することができる。なお、上記周辺部の
斜面は、例えばRを無限大として直線状としても良い。
部は、実現が困難な極めて高い強度を必要とせず、上記
回転体による構造物の免震を実現可能とすることができ
る。そして、地震時においては、上記回転体が回動もし
くは転動することにより、上部構造物に地震の衝撃力が
伝達されるのを防止することができる。また、地震の振
動によって移動した回転体は、凹部の斜面に沿って中央
部に戻ることになり、地震により移動した上部構造物を
元の位置に復元することができる。なお、上記周辺部の
斜面は、例えばRを無限大として直線状としても良い。
【0023】そして、上記請求項2記載の構成によれ
ば、上記回転体は、下方に偏心した位置で、回動自在も
しくは揺動自在に上部構造物に取り付けられている。す
なわち、回転軸が回転体の外周から該回転体の半径より
短い位置に設けられているので、上記回転軸が一番下に
位置するときに安定した状態となるとともに、上記回転
軸が一番下の位置より上にある場合には、回転軸が一番
下に位置するまで回転体を回転させる力が働くことにな
る。すなわち、上部構造物が移動した場合には、上記凹
部の斜面による復元力と、回転体の偏心による復元力が
働くことになる。
ば、上記回転体は、下方に偏心した位置で、回動自在も
しくは揺動自在に上部構造物に取り付けられている。す
なわち、回転軸が回転体の外周から該回転体の半径より
短い位置に設けられているので、上記回転軸が一番下に
位置するときに安定した状態となるとともに、上記回転
軸が一番下の位置より上にある場合には、回転軸が一番
下に位置するまで回転体を回転させる力が働くことにな
る。すなわち、上部構造物が移動した場合には、上記凹
部の斜面による復元力と、回転体の偏心による復元力が
働くことになる。
【0024】また、上記請求項3記載の構成によれば、
地震時に凹部内を回転移動する回転体は、凹部内の最も
低い中心部を中心として左右に往復運動を行うことにな
り、一定の周期を有することになるが、該周期は、上記
斜面の傾斜により変更することができる。そして、上記
回転体に支持された上部構造物の固有周期は、上記回転
体の周期と略等しいものとなることから、上記斜面の傾
斜により上部構造物の固有周期を調整することができ
る。
地震時に凹部内を回転移動する回転体は、凹部内の最も
低い中心部を中心として左右に往復運動を行うことにな
り、一定の周期を有することになるが、該周期は、上記
斜面の傾斜により変更することができる。そして、上記
回転体に支持された上部構造物の固有周期は、上記回転
体の周期と略等しいものとなることから、上記斜面の傾
斜により上部構造物の固有周期を調整することができ
る。
【0025】また、上記構造物の固有周期を長くするこ
とにより、地震に対する加速度応答を減らすことが可能
となる。そして、加速度応答がどの程度減少するかによ
り上部構造物の耐震設計としての強度の度合いを決める
ことができる。また、固有周期を長くした場合には、応
答変位量が多くなり、支持基盤に対する上部構造物の移
動量が大きくなる。
とにより、地震に対する加速度応答を減らすことが可能
となる。そして、加速度応答がどの程度減少するかによ
り上部構造物の耐震設計としての強度の度合いを決める
ことができる。また、固有周期を長くした場合には、応
答変位量が多くなり、支持基盤に対する上部構造物の移
動量が大きくなる。
【0026】以上のことから、上記斜面の傾斜を変更し
て固有周期を調整することにより、地震時の上部構造物
にかかる衝撃力や、該衝撃力に対応するのに必要な上部
構造物の強度や、地震時の上部構造物の移動量を変更す
ることができる。
て固有周期を調整することにより、地震時の上部構造物
にかかる衝撃力や、該衝撃力に対応するのに必要な上部
構造物の強度や、地震時の上部構造物の移動量を変更す
ることができる。
【0027】また、上記請求項4記載の構成によれば、
上記免震装置において、平常時は上述のように回転体の
下面の中心部が凹部の中心部に面接触した状態となって
いるので、この状態から回転体を回転させるには、回転
体と凹部との接触面の周縁において、周縁の傾斜を回転
体が上るだけの外力が必要となる。
上記免震装置において、平常時は上述のように回転体の
下面の中心部が凹部の中心部に面接触した状態となって
いるので、この状態から回転体を回転させるには、回転
体と凹部との接触面の周縁において、周縁の傾斜を回転
体が上るだけの外力が必要となる。
【0028】例えば、上部構造物に強風による外力がか
かった場合に、この強風による外力が、上記周縁の傾斜
に沿って上記回転体を上らせるほど強くなければ、回転
体が回転しないことになり、強風により回転体が回転し
て上部構造物が揺れたり移動したりしてしまうのを防止
できるとともに、上記周縁部の斜面の傾斜を変更するこ
とにより、上部構造物にどの程度の外力がかかったら、
免震装置が働くかを調整することができ、免震装置の引
き金としての役割を有する。
かった場合に、この強風による外力が、上記周縁の傾斜
に沿って上記回転体を上らせるほど強くなければ、回転
体が回転しないことになり、強風により回転体が回転し
て上部構造物が揺れたり移動したりしてしまうのを防止
できるとともに、上記周縁部の斜面の傾斜を変更するこ
とにより、上部構造物にどの程度の外力がかかったら、
免震装置が働くかを調整することができ、免震装置の引
き金としての役割を有する。
【0029】さらに、上記請求項5記載の構成によれ
ば、回転体が側面視して扇形とされているので、回転体
の容積を回転体を球体や円筒体とした場合よりも大幅に
減少させることができ、回転体にかかるコストを減少さ
せることができる。
ば、回転体が側面視して扇形とされているので、回転体
の容積を回転体を球体や円筒体とした場合よりも大幅に
減少させることができ、回転体にかかるコストを減少さ
せることができる。
【0030】また、回転体を扇形とすることにより、円
柱体や球体に比較して、回転体の高さを略半減すること
ができ、上部構造物と支持基盤との間に、回転体を配置
するために必要なスペースを減少させることができる。
また、回転体を側面視して扇形とすることにより、元の
円柱体の中心部分を回転軸とした場合に、重心が回転軸
より下となり、回転体が回転した際に元に戻る復元力を
与えることになる。
柱体や球体に比較して、回転体の高さを略半減すること
ができ、上部構造物と支持基盤との間に、回転体を配置
するために必要なスペースを減少させることができる。
また、回転体を側面視して扇形とすることにより、元の
円柱体の中心部分を回転軸とした場合に、重心が回転軸
より下となり、回転体が回転した際に元に戻る復元力を
与えることになる。
【0031】
【実施例】以下に、本発明の免震装置の一実施例を図面
を参照して説明する。図1はこの実施例の免震装置10
を備えた構造物(建築物)11の概略構成を示す図面で
あり、図2は、この実施例の免震装置10を示す図面で
ある。
を参照して説明する。図1はこの実施例の免震装置10
を備えた構造物(建築物)11の概略構成を示す図面で
あり、図2は、この実施例の免震装置10を示す図面で
ある。
【0032】なお、図1に示すようにこの実施例の建築
物11は、平板形の建物であり、平面視して短辺方向a
(図1において矢印で図示)と長辺方向b(図1におい
て矢印で図示)とを有する形状となっている。また、こ
の建築物11は、建物内が短辺方向aに沿った耐震壁1
2…で仕切られて各居室スペース13…とされるととも
に、各居室スペース13…に大きな窓が設けられるよう
に建築物11の長辺方向bに沿った外壁面(図示略)に
大きな開口部が設けられた集合住宅やホテル向けのもの
となっている。
物11は、平板形の建物であり、平面視して短辺方向a
(図1において矢印で図示)と長辺方向b(図1におい
て矢印で図示)とを有する形状となっている。また、こ
の建築物11は、建物内が短辺方向aに沿った耐震壁1
2…で仕切られて各居室スペース13…とされるととも
に、各居室スペース13…に大きな窓が設けられるよう
に建築物11の長辺方向bに沿った外壁面(図示略)に
大きな開口部が設けられた集合住宅やホテル向けのもの
となっている。
【0033】従って、この実施例の建築物11において
は、短辺方向aに沿って各居室スペース13…を区切る
ように耐震壁13…を多数配置できるが、長辺方向に沿
って形成された外壁面(図示略)においては、大きな開
口部を確保するために、これら外壁面(図示略)がなる
べく細い柱や梁のみのラーメンで構成される必要があ
る。
は、短辺方向aに沿って各居室スペース13…を区切る
ように耐震壁13…を多数配置できるが、長辺方向に沿
って形成された外壁面(図示略)においては、大きな開
口部を確保するために、これら外壁面(図示略)がなる
べく細い柱や梁のみのラーメンで構成される必要があ
る。
【0034】従って、上記建築物11においては、短辺
方向aに対する地震の振動に対しては、多数配置された
短辺方向aに沿った耐震壁13点により充分な強度を確
保できるようになっているのに対して、長辺方向bに沿
った地震の振動に対しては充分な耐震性能を保つことが
困難であり、上記開口部や室内スペース13…を犠牲に
して補強する必要があるが、この実施例においては、長
辺方向bに沿った地震の振動に対して有効に作用する免
震装置10を配置し、上記建築物11の耐震性能を確保
するようにしている。
方向aに対する地震の振動に対しては、多数配置された
短辺方向aに沿った耐震壁13点により充分な強度を確
保できるようになっているのに対して、長辺方向bに沿
った地震の振動に対しては充分な耐震性能を保つことが
困難であり、上記開口部や室内スペース13…を犠牲に
して補強する必要があるが、この実施例においては、長
辺方向bに沿った地震の振動に対して有効に作用する免
震装置10を配置し、上記建築物11の耐震性能を確保
するようにしている。
【0035】従って、本発明を応用したこの実施例の免
震装置10は、方向性を有するものとなっている。図1
及び図2に示すように、この実施例の免震装置10は、
支持基盤14と該支持基盤14上に配置される上部構造
物15との間に配置されるようになっている。
震装置10は、方向性を有するものとなっている。図1
及び図2に示すように、この実施例の免震装置10は、
支持基盤14と該支持基盤14上に配置される上部構造
物15との間に配置されるようになっている。
【0036】そして、上記免震装置10は、支持基盤1
4上面に上記上部構造物15の短辺方向aに沿って形成
された複数の凹部(図2に一つだけ図示)17…と、上
記構造物15の下部の基礎梁16に回動自在に取り付け
られた複数の断面扇状の回転体18…とを基本構成とす
るものである。
4上面に上記上部構造物15の短辺方向aに沿って形成
された複数の凹部(図2に一つだけ図示)17…と、上
記構造物15の下部の基礎梁16に回動自在に取り付け
られた複数の断面扇状の回転体18…とを基本構成とす
るものである。
【0037】そして、上記回転体18…は、図1に示す
ように円柱体を軸方向に沿った二つの切断面で扇状に切
断した形状となっている。そして、回転体18…の外周
面18aは円弧状に形成されている。
ように円柱体を軸方向に沿った二つの切断面で扇状に切
断した形状となっている。そして、回転体18…の外周
面18aは円弧状に形成されている。
【0038】そして、上記回転体18…は、その外周面
18a(以下、下面と称す)を下方に向けた状態で、上
記凹部17…の中心に載置された状態となっている。ま
た、回転体18…は、図2に示すように、上述のように
支持基盤14上に載置された状態で、その頂点部分18
bが、水平に切断された形状とされ、回転体18…の頂
点部分18bに水平な上面が形成されている。
18a(以下、下面と称す)を下方に向けた状態で、上
記凹部17…の中心に載置された状態となっている。ま
た、回転体18…は、図2に示すように、上述のように
支持基盤14上に載置された状態で、その頂点部分18
bが、水平に切断された形状とされ、回転体18…の頂
点部分18bに水平な上面が形成されている。
【0039】そして、回転体18…の上面の中心部に
は、軸方向に沿って断面円弧状の溝18cが形成されて
いる。そして、上記溝18cには、上部構造物15の基
礎梁16下面に設けられた後述するU形シュー19…
(図2に一つだけ図示)が載置されるようになってい
る。
は、軸方向に沿って断面円弧状の溝18cが形成されて
いる。そして、上記溝18cには、上部構造物15の基
礎梁16下面に設けられた後述するU形シュー19…
(図2に一つだけ図示)が載置されるようになってい
る。
【0040】すなわち、上記回転体18…においては、
その上面の溝18cの内面に上記U形シュー19の下面
が接触された状態で、上記溝18cの内面が軸受けとし
て作用するようになっている。そして、上記U形シュー
19…の下面を回転軸として、上記回転体18…が左右
に回動できるようになっている。
その上面の溝18cの内面に上記U形シュー19の下面
が接触された状態で、上記溝18cの内面が軸受けとし
て作用するようになっている。そして、上記U形シュー
19…の下面を回転軸として、上記回転体18…が左右
に回動できるようになっている。
【0041】また、各回転体18…は、上部構造物15
の各耐震壁13…の真下に、それぞれ、該耐震壁13の
方向(上部構造物15の短辺方向a)に沿って配置され
ている。すなわち、各回転体18…は、上部構造物15
の長辺方向に沿って間隔をあけて複数配置されている。
の各耐震壁13…の真下に、それぞれ、該耐震壁13の
方向(上部構造物15の短辺方向a)に沿って配置され
ている。すなわち、各回転体18…は、上部構造物15
の長辺方向に沿って間隔をあけて複数配置されている。
【0042】また、上述のように上部構造物15の短辺
方向aに沿って配置された各回転体18…は、上部構造
物15の長辺方向bに沿った切断面により複数に分割さ
れた形状となっている。すなわち、上部構造物15の各
耐震壁13…に沿って複数の回転体18…がそれぞれ一
列に並べられた状態となっている。
方向aに沿って配置された各回転体18…は、上部構造
物15の長辺方向bに沿った切断面により複数に分割さ
れた形状となっている。すなわち、上部構造物15の各
耐震壁13…に沿って複数の回転体18…がそれぞれ一
列に並べられた状態となっている。
【0043】なお、この実施例では、上部構造物15の
耐震壁13…に沿ってそれぞれ3つずつの回転体18…
が4列に配置されている。、そして、上記回転体18…
は、上記U形シュー19…を介して上部構造物15を支
持するようになっている。
耐震壁13…に沿ってそれぞれ3つずつの回転体18…
が4列に配置されている。、そして、上記回転体18…
は、上記U形シュー19…を介して上部構造物15を支
持するようになっている。
【0044】なお、回転体18…の回転可能な角度は、
上部扇形の回転体18…の形状等により制限されるが、
各回転体18…は、地震時に予想される振動の最大変位
より大きな距離を回転できるようになっており、地震時
に回転体18…が倒れてしまわないようになっている。
上部扇形の回転体18…の形状等により制限されるが、
各回転体18…は、地震時に予想される振動の最大変位
より大きな距離を回転できるようになっており、地震時
に回転体18…が倒れてしまわないようになっている。
【0045】また、上部構造物15の短辺方向aに沿っ
て一列に三つずつ配置された回転体18…の前後端部に
対応するそれぞれの位置には、上部構造物15が上記短
辺方向aに沿って滑って移動するのを規制する図示しな
いストッパーが配置されている。
て一列に三つずつ配置された回転体18…の前後端部に
対応するそれぞれの位置には、上部構造物15が上記短
辺方向aに沿って滑って移動するのを規制する図示しな
いストッパーが配置されている。
【0046】上記ストッパーは、基本的には、上部構造
部15の基礎梁16下面から回転体18…の前後の端面
に沿って下方に突出し、回転体18…に対して上部構造
物15が短辺方向aに移動するのを防止する上ストッパ
ー(図示略)と、支持基盤14から回転体18…の前後
の端面に沿って上方に突出し、支持基盤14に対して回
転体18…が短辺方向aに移動するのを防止する下スト
ッパーとがある。
部15の基礎梁16下面から回転体18…の前後の端面
に沿って下方に突出し、回転体18…に対して上部構造
物15が短辺方向aに移動するのを防止する上ストッパ
ー(図示略)と、支持基盤14から回転体18…の前後
の端面に沿って上方に突出し、支持基盤14に対して回
転体18…が短辺方向aに移動するのを防止する下スト
ッパーとがある。
【0047】また、上述のように一列に複数の回転体1
8…を配置して、回転体18…の前後の端面の数を増や
すことにより、配置可能なストッパーの数を増やすこと
ができ、ストッパーを増やすことで、ストッパー一つ当
たりに必要な強度を削減させるようにしている。
8…を配置して、回転体18…の前後の端面の数を増や
すことにより、配置可能なストッパーの数を増やすこと
ができ、ストッパーを増やすことで、ストッパー一つ当
たりに必要な強度を削減させるようにしている。
【0048】上記U形シュー19…は、断面がU字状に
形成されるとともに、その下面が円弧状となっている。
また、U形シュー19…の左右両端部は、それぞれ上部
構造物15の基礎梁16に接合されている。
形成されるとともに、その下面が円弧状となっている。
また、U形シュー19…の左右両端部は、それぞれ上部
構造物15の基礎梁16に接合されている。
【0049】また、U形シュー19…は、上部構造物1
5の各耐震壁13…の真下にそれぞれ上部構造物15の
短辺方向aに沿って配置されるようになっている。すな
わち、各U形シュー19は、4列に配置された回転体1
8…のそれぞれの回転軸となるように配置されている。
5の各耐震壁13…の真下にそれぞれ上部構造物15の
短辺方向aに沿って配置されるようになっている。すな
わち、各U形シュー19は、4列に配置された回転体1
8…のそれぞれの回転軸となるように配置されている。
【0050】また、各U形シュー19…の下面を構成す
る円弧の中心c(図2に○で図示)と、回転体18…の
下面18aを構成する円弧の中心d(図に○で図示)と
は、上下にずれた状態となっており、U形シュー19…
の中心cが、回転体18…の下面18aを構成する円弧
の中心dより下に配置されるようになっている。
る円弧の中心c(図2に○で図示)と、回転体18…の
下面18aを構成する円弧の中心d(図に○で図示)と
は、上下にずれた状態となっており、U形シュー19…
の中心cが、回転体18…の下面18aを構成する円弧
の中心dより下に配置されるようになっている。
【0051】すなわち、回転体18…の回転軸の位置
(上記中心cの位置)は、回転体18…の中心(円柱体
を上述のように切断した形状の回転体18…において、
もとの円柱体の中心となる位置、)dより下方に偏心し
た位置に配置されている。
(上記中心cの位置)は、回転体18…の中心(円柱体
を上述のように切断した形状の回転体18…において、
もとの円柱体の中心となる位置、)dより下方に偏心し
た位置に配置されている。
【0052】従って、回転体18…は、その下面18a
の円弧部分を下方にして配置した場合に、扇形に形成さ
れていることにより、重心が回転体の上記中心dより下
方にあるとともに、回転軸が回転体18…の上記中心よ
り下方にあることから、回転体が支持基盤に対して左右
に上述の回転可能な範囲で転がった場合に、復元力が働
き図2に示す元の位置に戻るようになっている。
の円弧部分を下方にして配置した場合に、扇形に形成さ
れていることにより、重心が回転体の上記中心dより下
方にあるとともに、回転軸が回転体18…の上記中心よ
り下方にあることから、回転体が支持基盤に対して左右
に上述の回転可能な範囲で転がった場合に、復元力が働
き図2に示す元の位置に戻るようになっている。
【0053】上記凹部17…の内面は、中心部17aを
除いて基本的に、上記回転体18…の下面を構成する円
弧の半径よりも長い半径の円弧により構成されている。
そして、上記凹部17…の中心部17aの内面は、その
周辺部17bの内面と曲率が変更されており、上記凹部
17…の中心部の内面は、上記回転体18…の下面18
aを構成する円弧の半径と同じ半径の円弧により構成さ
れている。
除いて基本的に、上記回転体18…の下面を構成する円
弧の半径よりも長い半径の円弧により構成されている。
そして、上記凹部17…の中心部17aの内面は、その
周辺部17bの内面と曲率が変更されており、上記凹部
17…の中心部の内面は、上記回転体18…の下面18
aを構成する円弧の半径と同じ半径の円弧により構成さ
れている。
【0054】従って、凹部17…の内面の中心部17a
の形状と、回転体18…の下面の中心部の形状とが略一
致したものとされ、凹部17…の内面の中心部17aと
回転体18…の下面の中心部とは、面接触した状態とな
っている。
の形状と、回転体18…の下面の中心部の形状とが略一
致したものとされ、凹部17…の内面の中心部17aと
回転体18…の下面の中心部とは、面接触した状態とな
っている。
【0055】従って、回転体18…と支持基盤14と
は、上記凹部17…において、線状ではなく面状に接触
した状態となっており、平常時において、回転体18…
及び回転体18…上の上部構造物15の荷重が、回転体
18…と支持基盤14との面接触部分にかかるようにな
っており、略点や線で接触している場合に比較して、単
位面積当たりの荷重が充分に小さなものとなっている。
は、上記凹部17…において、線状ではなく面状に接触
した状態となっており、平常時において、回転体18…
及び回転体18…上の上部構造物15の荷重が、回転体
18…と支持基盤14との面接触部分にかかるようにな
っており、略点や線で接触している場合に比較して、単
位面積当たりの荷重が充分に小さなものとなっている。
【0056】そして、支持基盤14においては、上述の
ように回転体18…が面接触した部分に上部構造物15
の荷重が分散してかかるので、支持基盤14の回転体1
8…が接触する部分の剛性を極めて高いものとする必要
がなく、ローラによる免震装置10を充分に実現可能な
ものとすることができるようになっている。
ように回転体18…が面接触した部分に上部構造物15
の荷重が分散してかかるので、支持基盤14の回転体1
8…が接触する部分の剛性を極めて高いものとする必要
がなく、ローラによる免震装置10を充分に実現可能な
ものとすることができるようになっている。
【0057】また、基本的に、上記回転体18…は、円
弧状の凹部17…において左右に回転した場合に、円弧
状の凹部17…内を左右に往復する球体と同様に、凹部
17…の円弧の半径を長さとする振り子と同様の固有周
期を有することになる。また、上記回転体18…上の上
部構造物15は、上記回転体18…の左右への移動によ
り容易に左右に移動できる状態となっており、上部構造
物15の固有周期は、上記回転体18…の凹部17…内
における周期と略等しいものとなっている。
弧状の凹部17…において左右に回転した場合に、円弧
状の凹部17…内を左右に往復する球体と同様に、凹部
17…の円弧の半径を長さとする振り子と同様の固有周
期を有することになる。また、上記回転体18…上の上
部構造物15は、上記回転体18…の左右への移動によ
り容易に左右に移動できる状態となっており、上部構造
物15の固有周期は、上記回転体18…の凹部17…内
における周期と略等しいものとなっている。
【0058】すなわち、上記凹部17…の内面の円弧の
半径を調整することにより、上部構造物15の固有周期
を任意に設定できるようになっている。また、上部構造
物15の固有周期を調整することにより、上記従来例で
述べたように、地震時に上部構造物15にかかる衝撃力
を調整することができ、また、上部構造物15を上記衝
撃力に見合った耐震性能を有するものとする際に、必要
な上部構造物15の強度も決められることになる。
半径を調整することにより、上部構造物15の固有周期
を任意に設定できるようになっている。また、上部構造
物15の固有周期を調整することにより、上記従来例で
述べたように、地震時に上部構造物15にかかる衝撃力
を調整することができ、また、上部構造物15を上記衝
撃力に見合った耐震性能を有するものとする際に、必要
な上部構造物15の強度も決められることになる。
【0059】すなわち、上述のように、この実施例の上
部構造物15は、地震時の長辺方向bに沿った衝撃に対
する耐震性能を向上することが困難な設計となっている
が、上述のように凹部17…の内面を構成する円弧の半
径を調整することで、長辺方向bに沿った上部構造物1
5の耐震性能を越える衝撃力が上部構造物15にかから
ないように設計できるようになっている。
部構造物15は、地震時の長辺方向bに沿った衝撃に対
する耐震性能を向上することが困難な設計となっている
が、上述のように凹部17…の内面を構成する円弧の半
径を調整することで、長辺方向bに沿った上部構造物1
5の耐震性能を越える衝撃力が上部構造物15にかから
ないように設計できるようになっている。
【0060】また、凹部17…内面の円弧の半径が決定
された場合に、上記回転体18…を転がす力を決定する
要因としての凹部17…の斜面の傾斜角が決定されてし
まうことになるとともに、凹部17…の斜面が円弧状な
ので、回転体18…の回転が始まる部分の斜面が極めて
緩やかな斜面となってしまうが、この実施例において
は、上述のように凹部17…の中心部17aが回転体1
8…の下面と略同じ曲面となっている。
された場合に、上記回転体18…を転がす力を決定する
要因としての凹部17…の斜面の傾斜角が決定されてし
まうことになるとともに、凹部17…の斜面が円弧状な
ので、回転体18…の回転が始まる部分の斜面が極めて
緩やかな斜面となってしまうが、この実施例において
は、上述のように凹部17…の中心部17aが回転体1
8…の下面と略同じ曲面となっている。
【0061】従って、凹部17…の中心部17aに配置
された回転体18…が回転を開始する際には、回転体1
8…の下面と同じ半径の円弧により構成される中心部1
7aの周縁(回転開始点)17cの傾斜を回転体18点
が上ることが可能な外力が必要となり、回転体18…の
回転開始に必要な力を大きなものとすることができ、上
部構造物15に対して上記長辺方向bに沿った風が吹い
た場合に、風の力により上部構造物15が移動したり揺
れたりしてしまうのを防止することができるようになっ
ている。
された回転体18…が回転を開始する際には、回転体1
8…の下面と同じ半径の円弧により構成される中心部1
7aの周縁(回転開始点)17cの傾斜を回転体18点
が上ることが可能な外力が必要となり、回転体18…の
回転開始に必要な力を大きなものとすることができ、上
部構造物15に対して上記長辺方向bに沿った風が吹い
た場合に、風の力により上部構造物15が移動したり揺
れたりしてしまうのを防止することができるようになっ
ている。
【0062】さらに、回転体18…の下面を構成する円
弧と同じ円弧から構成された凹部17…の中心部17a
の広さを回転体18…の大きさに対して広くした場合に
は、上記中心部17の周縁(回転開始点)17cの傾斜
を急なものとし、回転体18…を転がりにくいものとす
ることができ、凹部17…の上記中心部17aの広さを
回転体18…の大きさに対して狭くした場合には、上記
中心部17aの周縁(回転開始点)17cの傾斜を緩や
かなものとして回転体18…を転がりやすくすることが
できるようになっている。
弧と同じ円弧から構成された凹部17…の中心部17a
の広さを回転体18…の大きさに対して広くした場合に
は、上記中心部17の周縁(回転開始点)17cの傾斜
を急なものとし、回転体18…を転がりにくいものとす
ることができ、凹部17…の上記中心部17aの広さを
回転体18…の大きさに対して狭くした場合には、上記
中心部17aの周縁(回転開始点)17cの傾斜を緩や
かなものとして回転体18…を転がりやすくすることが
できるようになっている。
【0063】従って、建築物11の設計時において、上
部構造物15の固有周期を決めるために凹部17…の周
辺部17bの曲率が決定されてしまった状態において
も、凹部17…の中心部17aの広さを変更することに
より、凹部17…の中心部17aの周縁(回転開始点)
17cの傾斜角を変更することができ、凹部17の中心
部17aの周縁(回転開始点)17cの傾斜角を変更す
ることにより、回転体18…の回転開始に必要な外力を
調整することができるようになっている。
部構造物15の固有周期を決めるために凹部17…の周
辺部17bの曲率が決定されてしまった状態において
も、凹部17…の中心部17aの広さを変更することに
より、凹部17…の中心部17aの周縁(回転開始点)
17cの傾斜角を変更することができ、凹部17の中心
部17aの周縁(回転開始点)17cの傾斜角を変更す
ることにより、回転体18…の回転開始に必要な外力を
調整することができるようになっている。
【0064】次に、以上のような免震装置10の設計及
び作用について説明する。まず、上記免震装置10の設
計に際しては、構築すべき上部構造物15に対して好ま
しい固有周期を決定する。なお、固有周期の決定に際し
ては、上述のように固有周期を長くすることにより地震
等の振動に対する加速度応答を減少させるとともに応答
変位を増大させることになるので、上部構造物15の耐
震性能や、地震時における上部構造物15の移動の許容
範囲等を考慮して決定する。
び作用について説明する。まず、上記免震装置10の設
計に際しては、構築すべき上部構造物15に対して好ま
しい固有周期を決定する。なお、固有周期の決定に際し
ては、上述のように固有周期を長くすることにより地震
等の振動に対する加速度応答を減少させるとともに応答
変位を増大させることになるので、上部構造物15の耐
震性能や、地震時における上部構造物15の移動の許容
範囲等を考慮して決定する。
【0065】次に、上記回転体18…の左右への移動の
周期は、上述のように、上記凹部17…の内面を構成す
る円弧の半径の長さにより決定され、かつ、上部構造物
15の固有周期は、回転体18…の周期に略等しいの
で、上述のように決定された固有周期に対応して凹部1
7の中心部17a以外の内面の円弧の半径を決定する。
周期は、上述のように、上記凹部17…の内面を構成す
る円弧の半径の長さにより決定され、かつ、上部構造物
15の固有周期は、回転体18…の周期に略等しいの
で、上述のように決定された固有周期に対応して凹部1
7の中心部17a以外の内面の円弧の半径を決定する。
【0066】次に、上部構造物15が強風により揺れな
いように、免震装置10の回転体18…が回転を開始す
るのに必要な力を決める。すなわち、上述のように上記
回転体18…の半径と、凹部17…の上記中心部17a
の広さとの関係により、凹部17…の中心部17aの周
縁17cの傾斜角が決定され、該傾斜角により回転体1
8…が回転するのに必要な力を調整することができる。
いように、免震装置10の回転体18…が回転を開始す
るのに必要な力を決める。すなわち、上述のように上記
回転体18…の半径と、凹部17…の上記中心部17a
の広さとの関係により、凹部17…の中心部17aの周
縁17cの傾斜角が決定され、該傾斜角により回転体1
8…が回転するのに必要な力を調整することができる。
【0067】なお、回転体18…が回転するのに必要な
力は、上部構造物15の重量等により変わるとともに、
風により上部構造物15にかかる力は、上部構造物15
の外壁の面積等により変更されるので、実際の設計に際
しては、これらの要素を考慮して、回転体18…の半径
と凹部17…の上記中心部17aの広さが決定される。
力は、上部構造物15の重量等により変わるとともに、
風により上部構造物15にかかる力は、上部構造物15
の外壁の面積等により変更されるので、実際の設計に際
しては、これらの要素を考慮して、回転体18…の半径
と凹部17…の上記中心部17aの広さが決定される。
【0068】また、上記凹部17…の中心部17aの広
さにより、上記回転体18…と支持基盤14との接触部
分にかかる単位面積当たりの荷重が決定されるので、上
記中心部17aの広さは、上部構造物による荷重を考慮
する必要がある。
さにより、上記回転体18…と支持基盤14との接触部
分にかかる単位面積当たりの荷重が決定されるので、上
記中心部17aの広さは、上部構造物による荷重を考慮
する必要がある。
【0069】次に、免震装置10の作用について説明す
る。平常時においては、免震装置10の回転体18…下
面18aの中心部と支持基盤14の凹部17…内面の中
心部17aとが、同じ半径の円弧により構成されている
ことで、回転体18…と支持基盤14とが凹部17…の
中心部17aにおいて面接触した状態となる。
る。平常時においては、免震装置10の回転体18…下
面18aの中心部と支持基盤14の凹部17…内面の中
心部17aとが、同じ半径の円弧により構成されている
ことで、回転体18…と支持基盤14とが凹部17…の
中心部17aにおいて面接触した状態となる。
【0070】従って、上記免震装置10においては、平
面上に回転体18…を載置した場合のように回転体18
…と平面とが点もしくは線で接触し、支持基盤14と回
転体18…との僅かな接触部分に上部構造物15の荷重
が集中することがなく、支持基盤14及び回転体18…
に極めて高い剛性が要求されるようなことがない。
面上に回転体18…を載置した場合のように回転体18
…と平面とが点もしくは線で接触し、支持基盤14と回
転体18…との僅かな接触部分に上部構造物15の荷重
が集中することがなく、支持基盤14及び回転体18…
に極めて高い剛性が要求されるようなことがない。
【0071】すなわち、回転体18…と支持基盤14と
が面接触することにより、上部構造物15の荷重が接触
面で分散され、点や線で接触した場合に比較して回転体
18…と支持基盤14との接触部分にかかる単位面積当
たりの荷重を大幅に減少することができ、回転体18…
や支持基盤14に極めて剛性の高い部材を必要とせず、
容易に回転体18…を用いた免震装置10を設計、構築
することができる。
が面接触することにより、上部構造物15の荷重が接触
面で分散され、点や線で接触した場合に比較して回転体
18…と支持基盤14との接触部分にかかる単位面積当
たりの荷重を大幅に減少することができ、回転体18…
や支持基盤14に極めて剛性の高い部材を必要とせず、
容易に回転体18…を用いた免震装置10を設計、構築
することができる。
【0072】また、上述のように凹部17…の中心部1
7aの内面を構成する円弧の半径は、回転体18…の下
面18aを構成する円弧の半径と略等しいものとされて
いるので、回転体18…が回転する際には、上記中心部
17aの周縁(回転開始点)17cの傾斜を上るだけの
外力が必要となっている。従って、風等により免震装置
10が作動して、上部構造物15が揺れてしまうのを防
止することができる。
7aの内面を構成する円弧の半径は、回転体18…の下
面18aを構成する円弧の半径と略等しいものとされて
いるので、回転体18…が回転する際には、上記中心部
17aの周縁(回転開始点)17cの傾斜を上るだけの
外力が必要となっている。従って、風等により免震装置
10が作動して、上部構造物15が揺れてしまうのを防
止することができる。
【0073】そして、地震により支持基盤14が振動し
た際には、支持基盤14が変位するのに対して回転体1
8…に支持された上部構造物15は、その慣性により現
状に留まろうとすることから、回転体18…がU形シュ
ー19…を軸として回転するように力が働くことにな
る。そして、地震の振動の衝撃力が予め設定された衝撃
力より大きければ、回転体18が凹部17…の中心部1
7aの周縁(回転開始点)17cの傾斜を乗り越えて回
転することになる。
た際には、支持基盤14が変位するのに対して回転体1
8…に支持された上部構造物15は、その慣性により現
状に留まろうとすることから、回転体18…がU形シュ
ー19…を軸として回転するように力が働くことにな
る。そして、地震の振動の衝撃力が予め設定された衝撃
力より大きければ、回転体18が凹部17…の中心部1
7aの周縁(回転開始点)17cの傾斜を乗り越えて回
転することになる。
【0074】そして、回転体18…の回転によって、上
部構造物15に地震の衝撃力が伝達されるのを防止する
ことができる。言い換えれば、回転体18…が回転する
ことにより上部構造物15の固有周期は、回転体18…
が回転する凹部17…の内面を構成する円弧の半径に等
しい長さの振り子に近い周期となり、固有周期が長周期
化され、地震の振動に対する加速度応答を減少させるこ
とができ、上部構造物15に対する地震の影響を減少さ
せることができる。
部構造物15に地震の衝撃力が伝達されるのを防止する
ことができる。言い換えれば、回転体18…が回転する
ことにより上部構造物15の固有周期は、回転体18…
が回転する凹部17…の内面を構成する円弧の半径に等
しい長さの振り子に近い周期となり、固有周期が長周期
化され、地震の振動に対する加速度応答を減少させるこ
とができ、上部構造物15に対する地震の影響を減少さ
せることができる。
【0075】また、支持基盤14に対して上部構造物1
5が変位した際には、回転体18…が凹部17…内面の
円弧の中心に戻ろうとするとともに、回転体18の形状
を扇形としたことで重心が低くなっていることと、回転
体18…の回転軸が下方に偏心した位置にあることとに
よる復元力が働き、地震が終了した際には、支持基盤1
4と上部構造物15との位置関係が地震の前と同じ状態
となる。
5が変位した際には、回転体18…が凹部17…内面の
円弧の中心に戻ろうとするとともに、回転体18の形状
を扇形としたことで重心が低くなっていることと、回転
体18…の回転軸が下方に偏心した位置にあることとに
よる復元力が働き、地震が終了した際には、支持基盤1
4と上部構造物15との位置関係が地震の前と同じ状態
となる。
【0076】ここで、上述のようなこの実施例の免震装
置の一設計例を説明する。まず、上部構造物15を地上
15階、耐震壁(戸境壁)12…同士の間隔(スパン)
を7mとし、上部構造物15の長辺方向の長さを8スパ
ンから10スパン(56m〜70m)とし、短辺方向の
長さを12mとする。また、また各階の単位面積当たり
の平均荷重を1.2t/m2と仮定する。
置の一設計例を説明する。まず、上部構造物15を地上
15階、耐震壁(戸境壁)12…同士の間隔(スパン)
を7mとし、上部構造物15の長辺方向の長さを8スパ
ンから10スパン(56m〜70m)とし、短辺方向の
長さを12mとする。また、また各階の単位面積当たり
の平均荷重を1.2t/m2と仮定する。
【0077】また、上記回転体18…は、上述のように
各耐震壁12…の下にそれぞれ一列に2つ〜4つ配置さ
れるものとする。なお、一列に複数配置された回転体1
8…は、上部構造物の短辺方向の長さの1/3の部分に
配置され、残りの部分は回転体同士の間等としてスペー
スをあけた状態とする。そして、この設計例において
は、上部構造物15の固有周期を6秒前後に設定するも
のとする。
各耐震壁12…の下にそれぞれ一列に2つ〜4つ配置さ
れるものとする。なお、一列に複数配置された回転体1
8…は、上部構造物の短辺方向の長さの1/3の部分に
配置され、残りの部分は回転体同士の間等としてスペー
スをあけた状態とする。そして、この設計例において
は、上部構造物15の固有周期を6秒前後に設定するも
のとする。
【0078】なお、固有周期を6秒前後に設定したの
は、構築すべき構造物の設計用ベースシアー係数(建物
基礎部における層剪断力係数、設計上の耐震性能を示
す)を0.1程度にするものとした際に、超高層ビルの
設計において、一次固有周期が6秒前後の場合に、一般
的に設計用ベースシアー係数が0.05程度にされてい
ることから、余裕を見て6秒前後としたものでる。
は、構築すべき構造物の設計用ベースシアー係数(建物
基礎部における層剪断力係数、設計上の耐震性能を示
す)を0.1程度にするものとした際に、超高層ビルの
設計において、一次固有周期が6秒前後の場合に、一般
的に設計用ベースシアー係数が0.05程度にされてい
ることから、余裕を見て6秒前後としたものでる。
【0079】ここで、凹部17…の中心部17aを除く
円弧の半径R2を850cmとした場合の回転体18…
の周期は、以下の式(1)に示す振り子の固有周期の式
から求めることができる。
円弧の半径R2を850cmとした場合の回転体18…
の周期は、以下の式(1)に示す振り子の固有周期の式
から求めることができる。
【0080】
【数1】 そして、回転体18…の凹部17…における周期は5.
85秒となる。ここで、回転体18…の凹部17…にお
ける周期、すなわち免震装置10の周期は、免震装置1
0の水平剛性と上部構造物15の水平剛性との違いが大
きいことから、免震装置10の周期5.85を上部構造
物15の固有周期とみなすことができる。
85秒となる。ここで、回転体18…の凹部17…にお
ける周期、すなわち免震装置10の周期は、免震装置1
0の水平剛性と上部構造物15の水平剛性との違いが大
きいことから、免震装置10の周期5.85を上部構造
物15の固有周期とみなすことができる。
【0081】以上のことから、凹部17…の中心部17
aを除く内面を構成する円弧の半径を850cmとす
る。なお、建築物11の固有周期を6秒前後とすること
により、上述のように設計用ベースシアー係数を0.0
5とすることが可能であり、免震装置10を備えていな
い一般的な建築物の設計用ベースシアー係数が0.2程
度であることから上述のように上部構造物の長辺に沿っ
た壁面のように細い梁と柱とのラーメンで構成される必
要がある場合でも、充分に地震に耐えうることができ
る。
aを除く内面を構成する円弧の半径を850cmとす
る。なお、建築物11の固有周期を6秒前後とすること
により、上述のように設計用ベースシアー係数を0.0
5とすることが可能であり、免震装置10を備えていな
い一般的な建築物の設計用ベースシアー係数が0.2程
度であることから上述のように上部構造物の長辺に沿っ
た壁面のように細い梁と柱とのラーメンで構成される必
要がある場合でも、充分に地震に耐えうることができ
る。
【0082】また、この設計例においては、平常時にお
いて上部構造物の荷重を免震装置10により充分支持で
きるように、回転体18…の下面を構成する円弧の半径
を80センチとするとともに、凹部17…の中心部17
aの広さ(凹部17の中心から凹部17の周縁(回転開
始点)17cまでの距離lcの2倍)を16cmとし
た。
いて上部構造物の荷重を免震装置10により充分支持で
きるように、回転体18…の下面を構成する円弧の半径
を80センチとするとともに、凹部17…の中心部17
aの広さ(凹部17の中心から凹部17の周縁(回転開
始点)17cまでの距離lcの2倍)を16cmとし
た。
【0083】この際の回転体18…の回転開始点となる
中心部17aの周縁17cの勾配は1/10となる。な
お、勾配を1/10とした場合に、回転体18…が回転
開始点において回転を開始するのに、上部構造体15の
重量を上記勾配を上らせるだけの外力が働くまで、免震
装置が働かないことになり、風により上部構造物15が
移動するのを防止するとともに、免震装置10が働かな
い範囲においては、上部構造物15が地震の応力を受け
ることになるが、設計用ベースシアー係数を0.05で
はなく、余裕を見て0.1とすることにより、免震装置
10が働かない範囲において、上部構造物が地震の衝撃
に充分耐えることができ、また、上部構造物を支持する
回転体18…が上記勾配を上る以上の外力が加わった場
合には、免震装置10により上部構造物に対する衝撃力
が減少され、上部構造物10に地震による損傷が発生す
るのを防止することができる。
中心部17aの周縁17cの勾配は1/10となる。な
お、勾配を1/10とした場合に、回転体18…が回転
開始点において回転を開始するのに、上部構造体15の
重量を上記勾配を上らせるだけの外力が働くまで、免震
装置が働かないことになり、風により上部構造物15が
移動するのを防止するとともに、免震装置10が働かな
い範囲においては、上部構造物15が地震の応力を受け
ることになるが、設計用ベースシアー係数を0.05で
はなく、余裕を見て0.1とすることにより、免震装置
10が働かない範囲において、上部構造物が地震の衝撃
に充分耐えることができ、また、上部構造物を支持する
回転体18…が上記勾配を上る以上の外力が加わった場
合には、免震装置10により上部構造物に対する衝撃力
が減少され、上部構造物10に地震による損傷が発生す
るのを防止することができる。
【0084】また、平常時に回転体18…及び支持基盤
14の接触部分にかかる荷重については、以下のように
して求めることができる。まず、以下の式2により、回
転体18の単位長さあたりにかかる上部構造物15の荷
重を求める。
14の接触部分にかかる荷重については、以下のように
して求めることができる。まず、以下の式2により、回
転体18の単位長さあたりにかかる上部構造物15の荷
重を求める。
【数2】 なお、上記式においては、各耐力壁12…下の回転体1
8…が建築物11の一スパン分を支持するものとし単位
面積当たりの荷重にスパンの長さ7mをかけている。ま
た、上部構造物15の階数を15としたが、式2におい
ては基礎梁16及び屋根の部分の荷重を考慮して階数を
16としている。また、回転体18…は上部構造物15
の短辺方向aの長さのうちの1/3だけに配置されてい
るので、最後に値を3倍にしている。
8…が建築物11の一スパン分を支持するものとし単位
面積当たりの荷重にスパンの長さ7mをかけている。ま
た、上部構造物15の階数を15としたが、式2におい
ては基礎梁16及び屋根の部分の荷重を考慮して階数を
16としている。また、回転体18…は上部構造物15
の短辺方向aの長さのうちの1/3だけに配置されてい
るので、最後に値を3倍にしている。
【0085】従って、回転体18…には短辺方向aに沿
った長さ1m当たり、403.2tの荷重がかかること
になる。そして、回転体18…と支持基盤14の凹部1
7点の接触面にかかる圧縮応力度σ1を以下の式3によ
り求めることができる。
った長さ1m当たり、403.2tの荷重がかかること
になる。そして、回転体18…と支持基盤14の凹部1
7点の接触面にかかる圧縮応力度σ1を以下の式3によ
り求めることができる。
【0086】
【数3】 なお、上記式3は、上述の短辺方向aの単位長さあたり
の荷重をm単位からcm単位に変換した後(÷100)
に、接触面の幅(2lc)16cmで割ったものであ
り、上記式3に示すように一平方cm当たりの荷重が
0.252tとなり、過度に接触面に荷重が集中するこ
とがなく、免震装置10を容易に設計することができ
る。
の荷重をm単位からcm単位に変換した後(÷100)
に、接触面の幅(2lc)16cmで割ったものであ
り、上記式3に示すように一平方cm当たりの荷重が
0.252tとなり、過度に接触面に荷重が集中するこ
とがなく、免震装置10を容易に設計することができ
る。
【0087】すなわち、平常時に、持続的に回転体と1
8…支持基盤14の接触部分に大きな荷重がかかること
がなく荷重に対して充分な耐力を有する免震装置10を
構築することができる。また、回転体18…が回転した
場合には、回転体18…と支持基盤14との接触部分が
線状になってしまうが、以下の点接触集中応力度σを求
める式4(水原旭、笹川和夫、他編、構造計算便覧よ
り)により、点接触集中応力度σを求めた場合には次の
ようになる。
8…支持基盤14の接触部分に大きな荷重がかかること
がなく荷重に対して充分な耐力を有する免震装置10を
構築することができる。また、回転体18…が回転した
場合には、回転体18…と支持基盤14との接触部分が
線状になってしまうが、以下の点接触集中応力度σを求
める式4(水原旭、笹川和夫、他編、構造計算便覧よ
り)により、点接触集中応力度σを求めた場合には次の
ようになる。
【数4】
【0088】すなわち、点接触集中応力度σは4.92
t/cm2となり、このσの値は、構造用鋼材のローラ
支承の許容支圧応力(1.5×1.9F)を充分に下回
る数値である。ここでFは部材に対して許容可能な応力
を示す。また、支圧時においては、上記Fの値より大き
な応力に対しても許容することができ、上記1.9が支
圧時の割り増し係数となっている。また、同じく一時的
な応力に対しては、上記Fの値より大きな応力に対して
も許容することができ、上記1.5が一時的な応力の場
合の割り増し係数である。
t/cm2となり、このσの値は、構造用鋼材のローラ
支承の許容支圧応力(1.5×1.9F)を充分に下回
る数値である。ここでFは部材に対して許容可能な応力
を示す。また、支圧時においては、上記Fの値より大き
な応力に対しても許容することができ、上記1.9が支
圧時の割り増し係数となっている。また、同じく一時的
な応力に対しては、上記Fの値より大きな応力に対して
も許容することができ、上記1.5が一時的な応力の場
合の割り増し係数である。
【0089】従って、一時的な支圧応力に対しては、部
材の許容される応力の1.5×1.9倍の応力をかけて
も良いことになり、構造用鋼材のローラ支承において、
Fの値を1.5×1.9倍すれば、上記4.92t/c
m2の応力度σは、充分に許容範囲である。従って、こ
の実施例の免震装置10は充分実現可能なものである。
材の許容される応力の1.5×1.9倍の応力をかけて
も良いことになり、構造用鋼材のローラ支承において、
Fの値を1.5×1.9倍すれば、上記4.92t/c
m2の応力度σは、充分に許容範囲である。従って、こ
の実施例の免震装置10は充分実現可能なものである。
【0090】また、地震荷重に対する上部構造物15の
設計においては、上記回転体18…が回転を開始する時
点での地震速度(地震荷重の大きさを示す指標の一つ)
を25kine(cm/sec)とし、該地震速度に対
して、ベースシアー係数を上述のように0.1とし、地
震速度が50kineに対してベースシアー係数を0.
15とする。なお、地震速度が25kineの場合に、
構造物は弾性により対応できる強度を有する必要があ
り、地震速度が50kineの場合に、構造物は崩壊し
ない強度を有する必要があるとされている。
設計においては、上記回転体18…が回転を開始する時
点での地震速度(地震荷重の大きさを示す指標の一つ)
を25kine(cm/sec)とし、該地震速度に対
して、ベースシアー係数を上述のように0.1とし、地
震速度が50kineに対してベースシアー係数を0.
15とする。なお、地震速度が25kineの場合に、
構造物は弾性により対応できる強度を有する必要があ
り、地震速度が50kineの場合に、構造物は崩壊し
ない強度を有する必要があるとされている。
【0091】以上のようにこの実施例の免震装置10に
よれば、ローラを用いた免震装置を実現することが可能
であり、かつ、上記回転体18…は予め設定された以上
の外力が働くまで、回転しないようになっているので、
風等により上部構造物15が揺れてしまうのを防止する
ことができる。
よれば、ローラを用いた免震装置を実現することが可能
であり、かつ、上記回転体18…は予め設定された以上
の外力が働くまで、回転しないようになっているので、
風等により上部構造物15が揺れてしまうのを防止する
ことができる。
【0092】また、上述のよう建物の固有周期を長くす
ることにより、地震による上部構造物15への衝撃力を
減少することができる。また、この実施例の免震装置1
0によれば、設計時に上記固有周期を自由に設定するこ
とができるので、上記免震装置10を備えた建築物11
において、どの程度の耐震性能が必要とされるかによ
り、固有周期を変更することができる。
ることにより、地震による上部構造物15への衝撃力を
減少することができる。また、この実施例の免震装置1
0によれば、設計時に上記固有周期を自由に設定するこ
とができるので、上記免震装置10を備えた建築物11
において、どの程度の耐震性能が必要とされるかによ
り、固有周期を変更することができる。
【0093】また、上述のように風等の比較的弱い外力
が上部構造物15に入力された際に、回転体18…の回
転を防止して上部構造物15の揺れを抑制するために、
どの程度の外力により回転体18…を回転させるかを設
計時に容易に設定することができる。
が上部構造物15に入力された際に、回転体18…の回
転を防止して上部構造物15の揺れを抑制するために、
どの程度の外力により回転体18…を回転させるかを設
計時に容易に設定することができる。
【0094】また、地震が終了した後には、回転体18
…が扇形に形成されるとともに回転軸が下方に偏心して
いることによる回転体18…自体の復元力と、凹部17
…の斜面による復元力で建築物11を元の位置に戻すこ
とができる。
…が扇形に形成されるとともに回転軸が下方に偏心して
いることによる回転体18…自体の復元力と、凹部17
…の斜面による復元力で建築物11を元の位置に戻すこ
とができる。
【0095】なお、上記実施例中の設計例に用いられた
各種の寸法や重量等の数値は、あくまで一例であり、本
発明の免震装置において上述の各種数値は、本発明の免
震装置を備えた構造物の設計要求に対応して決められる
ものであり、本発明が上記数値に限定されるものではな
い。特に、上部構造物の固有周期や凹部の回転体の開始
点における勾配等を自由に設定することが本発明の重要
な部分であり、固有周期や上記開始点の勾配が上述の値
に限定されることはない。
各種の寸法や重量等の数値は、あくまで一例であり、本
発明の免震装置において上述の各種数値は、本発明の免
震装置を備えた構造物の設計要求に対応して決められる
ものであり、本発明が上記数値に限定されるものではな
い。特に、上部構造物の固有周期や凹部の回転体の開始
点における勾配等を自由に設定することが本発明の重要
な部分であり、固有周期や上記開始点の勾配が上述の値
に限定されることはない。
【0096】また、上記実施例において、本発明の免震
装置が適用される建物が平板状のものとされているが、
本発明の免震装置が設置できる建物が平板状の建築物に
限定されるものではない。なお、上記実施例において回
転体を円柱体を扇状に形成したものとしたことにより、
免震に方向性があることになり、上記平板状の建物に好
適に用いることができる。
装置が適用される建物が平板状のものとされているが、
本発明の免震装置が設置できる建物が平板状の建築物に
限定されるものではない。なお、上記実施例において回
転体を円柱体を扇状に形成したものとしたことにより、
免震に方向性があることになり、上記平板状の建物に好
適に用いることができる。
【0097】また、上記実施例においては、上述のよう
に構築物の長辺方向に対しての免震を行う構成とした
が、例えば、支持基盤を上下二段とするとともに、回転
体を上下二段に配置し、かつ、上下の回転体の長さ方向
を互いに直角とすることにより、長辺方向b及び短辺方
向aの両方に対して、地震の衝撃力を吸収するものとし
ても良い。
に構築物の長辺方向に対しての免震を行う構成とした
が、例えば、支持基盤を上下二段とするとともに、回転
体を上下二段に配置し、かつ、上下の回転体の長さ方向
を互いに直角とすることにより、長辺方向b及び短辺方
向aの両方に対して、地震の衝撃力を吸収するものとし
ても良い。
【0098】また、上記実施例の回転体18…の下面を
円筒面としたが、回転体の下面を球面とするとともに、
凹部の内面を、上記実施例の凹部の断面を凹部の中心部
で180度回転させた球面状とすることにより、免震装
置を全方向に対応するものとしても良い。
円筒面としたが、回転体の下面を球面とするとともに、
凹部の内面を、上記実施例の凹部の断面を凹部の中心部
で180度回転させた球面状とすることにより、免震装
置を全方向に対応するものとしても良い。
【0099】すなわち、回転体18…を、例えば球体を
四角錐状に切り取ったものとし、基礎梁に固定される上
記U形シューをドーム形とし、基礎梁16に対して回転
体18を揺動自在とするとともに、支持基盤14に対し
て回転体18を転動自在とすることにより、地震の振動
の方向に係わらず、免震機能を有するものとしていも良
い。
四角錐状に切り取ったものとし、基礎梁に固定される上
記U形シューをドーム形とし、基礎梁16に対して回転
体18を揺動自在とするとともに、支持基盤14に対し
て回転体18を転動自在とすることにより、地震の振動
の方向に係わらず、免震機能を有するものとしていも良
い。
【0100】また、上記実施例の凹部17の中心部17
aを除く周辺部17bの内面を円弧により構成されるも
のとしたが、凹部17の周辺部17bの内面を凹部17
の中心部17aの周縁の接線を延長した直線状の斜面と
しても良い。また、上記上部構造物15と支持基盤14
との間に減衰機構、例えば、ダンパ等を配置し、支持基
盤14に対する上部構造物15の変位を減衰するように
しても良い。
aを除く周辺部17bの内面を円弧により構成されるも
のとしたが、凹部17の周辺部17bの内面を凹部17
の中心部17aの周縁の接線を延長した直線状の斜面と
しても良い。また、上記上部構造物15と支持基盤14
との間に減衰機構、例えば、ダンパ等を配置し、支持基
盤14に対する上部構造物15の変位を減衰するように
しても良い。
【0101】
【発明の効果】以上、詳細に説明したように、本発明の
請求項1記載の免震装置によれば、平常時において、回
転体の下面の中心部と凹部の中心部の接触面全体に荷重
を分散させることができる。従って、回転体及び上記凹
部を形成する支持基盤は、実現が困難な極めて高い剛性
を必要とせず、上記回転体による構造物の免震を実現可
能とすることができる。
請求項1記載の免震装置によれば、平常時において、回
転体の下面の中心部と凹部の中心部の接触面全体に荷重
を分散させることができる。従って、回転体及び上記凹
部を形成する支持基盤は、実現が困難な極めて高い剛性
を必要とせず、上記回転体による構造物の免震を実現可
能とすることができる。
【0102】そして、地震時においては、上記回転体が
回動もしくは転動することにより、上部構造物に地震の
衝撃力が伝達されるのを防止することができる。また、
地震の振動によって移動した回転体は、凹部の斜面に沿
って中央部に移動し、地震により移動した上部構造物を
元の位置に復元することができる。以上のことからロー
ラによる免震装置を容易に設計することができる。
回動もしくは転動することにより、上部構造物に地震の
衝撃力が伝達されるのを防止することができる。また、
地震の振動によって移動した回転体は、凹部の斜面に沿
って中央部に移動し、地震により移動した上部構造物を
元の位置に復元することができる。以上のことからロー
ラによる免震装置を容易に設計することができる。
【0103】また、上記請求項2記載の免震装置によれ
ば、上記回転体は、下方に偏心した位置で、回動自在も
しくは揺動自在に上部構造物に取り付けられているの
で、上記回転軸が一番下に位置するときに安定した状態
となるとともに、上記回転軸が一番下の位置より上にあ
る場合には、回転軸が一番下に位置するまで回転体を回
転させる力が働くことになる。すなわち、上部構造物が
移動した場合には、上記凹部の斜面による復元力と、回
転体の偏心による復元力が働くことになる。従って、回
転体を平常時に安定した状態に保つことができる。
ば、上記回転体は、下方に偏心した位置で、回動自在も
しくは揺動自在に上部構造物に取り付けられているの
で、上記回転軸が一番下に位置するときに安定した状態
となるとともに、上記回転軸が一番下の位置より上にあ
る場合には、回転軸が一番下に位置するまで回転体を回
転させる力が働くことになる。すなわち、上部構造物が
移動した場合には、上記凹部の斜面による復元力と、回
転体の偏心による復元力が働くことになる。従って、回
転体を平常時に安定した状態に保つことができる。
【0104】また、上記請求項3記載の免震装置によれ
ば、設計時に凹部の斜面の勾配を調整することにより回
転体の周期を調整できるとともに回転体上の上部構造物
の固有周期を調整することができ、構築すべき構造物に
好適な固有周期を容易に実現することができる。
ば、設計時に凹部の斜面の勾配を調整することにより回
転体の周期を調整できるとともに回転体上の上部構造物
の固有周期を調整することができ、構築すべき構造物に
好適な固有周期を容易に実現することができる。
【0105】また、上記請求項4記載の免震装置によれ
ば、平常時は、上述のように回転体の下面の中心部が凹
部の中心部に面接触した状態となっているので、この状
態から回転体を回転させるには、回転体と凹部との接触
面の周縁部(回転開始点)における勾配を回転体が上る
だけの外力が必要となるが、設計時に上記勾配を容易に
決めることができるので、上部構造物に作用する風の力
を考慮して、風により上部構造物がゆれないようにする
勾配を選択することができる。従って、構築すべき各構
造物毎に、風による振動を防止するとともに地震時の衝
撃を抑制する最適な免震装置を得ることができる。
ば、平常時は、上述のように回転体の下面の中心部が凹
部の中心部に面接触した状態となっているので、この状
態から回転体を回転させるには、回転体と凹部との接触
面の周縁部(回転開始点)における勾配を回転体が上る
だけの外力が必要となるが、設計時に上記勾配を容易に
決めることができるので、上部構造物に作用する風の力
を考慮して、風により上部構造物がゆれないようにする
勾配を選択することができる。従って、構築すべき各構
造物毎に、風による振動を防止するとともに地震時の衝
撃を抑制する最適な免震装置を得ることができる。
【0106】さらに、上記請求項5記載の構成によれ
ば、回転体が側面視して扇形とされているので、回転体
の容積を回転体を球体や円筒体とした場合よりも大幅に
減少させることができ、回転体にかかるコストを減少さ
せることができる。また、回転体を扇形とすることによ
り、円柱体や球体に比較して、回転体の高さを略半減す
ることができ、上部構造物と支持基盤との間に、回転体
を配置するために必要なスペースを減少させることがで
きる。また、回転体を扇形とすることにより、回転体の
重心を回転軸より下方にすることができ、回転体が回転
した後の復元力を得ることができる。
ば、回転体が側面視して扇形とされているので、回転体
の容積を回転体を球体や円筒体とした場合よりも大幅に
減少させることができ、回転体にかかるコストを減少さ
せることができる。また、回転体を扇形とすることによ
り、円柱体や球体に比較して、回転体の高さを略半減す
ることができ、上部構造物と支持基盤との間に、回転体
を配置するために必要なスペースを減少させることがで
きる。また、回転体を扇形とすることにより、回転体の
重心を回転軸より下方にすることができ、回転体が回転
した後の復元力を得ることができる。
【図1】本発明の一実施例の免震装置を備えた構造部の
概略を示す斜視図である。
概略を示す斜視図である。
【図2】上記実施例の免震装置を示す側断面図である。
【図3】従来の回転体を用いた床免震装置を示す側断面
図である。
図である。
10 免震装置 11 建築物 14 支持基盤 15 上部構造物 17 凹部 17a 凹部の中心部 17b 凹部の周辺部 17c 凹部の中心部の周縁(回転開始点) 18 回転体
Claims (5)
- 【請求項1】 支持基盤と該支持基盤上に配置される上
部構造物との間に配置され、上部構造物への振動による
衝撃を緩和する免震装置であって、 上記上部構造物の下端部に回動もしくは揺動自在に取り
付けられ、かつ、上記上部構造物を上記支持基盤上に支
持する回転体と、上記支持基盤の上面の上記回転体が接
触する部分に設けられ、かつ、中心部に向かって低くな
る斜面から形成された凹部とを具備してなり、 上記凹部は、上記中心部の斜面が上記回転体の下面の中
心部の形状と略一致する曲面により形成されるととも
に、上記凹部の上記中心部の周囲の周辺部が上記回転体
の下面の曲面より緩やかな曲率に形成されていることを
特徴とする免震装置。 - 【請求項2】 上記回転体は、下方に偏心した位置で上
記上部構造物の下端部に回動もしくは揺動可能に取り付
けられていることを特徴とする請求項1記載の免震装
置。 - 【請求項3】 上記凹部の斜面の傾斜が上記上部構造物
の設定すべき固有周期により決められていることを特徴
とする請求項1または2記載の免震装置。 - 【請求項4】 上記上部構造物に設定された以上の力が
かかった際に、上記回転体の回転が開始するように、上
記凹部の上記中心部の周縁の傾斜が決定されていること
を特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の免震
装置。 - 【請求項5】 上記回転体が、側面視して円弧を下方に
向けた扇状に形成されていることを特徴とする請求項1
ないし4のいずれかに記載の免震装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10296894A JPH07310459A (ja) | 1994-05-17 | 1994-05-17 | 免震装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10296894A JPH07310459A (ja) | 1994-05-17 | 1994-05-17 | 免震装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH07310459A true JPH07310459A (ja) | 1995-11-28 |
Family
ID=14341576
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP10296894A Pending JPH07310459A (ja) | 1994-05-17 | 1994-05-17 | 免震装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH07310459A (ja) |
Cited By (8)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2001207681A (ja) * | 2000-01-24 | 2001-08-03 | Takenaka Komuten Co Ltd | プレキャストコンクリート部材による免震構造物 |
JP2004084812A (ja) * | 2002-08-27 | 2004-03-18 | Kajima Corp | 転がり振子、該転がり振子を用いた免震装置および制震装置 |
JP2006328655A (ja) * | 2005-05-23 | 2006-12-07 | Fukushima Pulse Kk | 免震装置 |
JP2010121413A (ja) * | 2008-11-21 | 2010-06-03 | Shimizu Corp | 建物の浮き上がりを利用した耐震構造 |
JP2015014319A (ja) * | 2013-07-04 | 2015-01-22 | オイレス工業株式会社 | 免震支持装置 |
JP2015017638A (ja) * | 2013-07-09 | 2015-01-29 | オイレス工業株式会社 | 免震支持装置 |
WO2016103291A1 (ja) * | 2014-12-22 | 2016-06-30 | オイレス工業株式会社 | 免震支持装置 |
JP2017190572A (ja) * | 2016-04-11 | 2017-10-19 | 株式会社 林物産発明研究所 | ブロックとブロックで形成された住宅用振動吸収柱 |
-
1994
- 1994-05-17 JP JP10296894A patent/JPH07310459A/ja active Pending
Cited By (11)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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CN107110280A (zh) * | 2014-12-22 | 2017-08-29 | 奥依列斯工业株式会社 | 免震支撑装置 |
JPWO2016103291A1 (ja) * | 2014-12-22 | 2017-11-02 | オイレス工業株式会社 | 免震支持装置 |
EP3239557A4 (en) * | 2014-12-22 | 2018-08-01 | Oiles Corporation | Seismic isolation support device |
JP2017190572A (ja) * | 2016-04-11 | 2017-10-19 | 株式会社 林物産発明研究所 | ブロックとブロックで形成された住宅用振動吸収柱 |
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