JPH06345612A - 抗菌剤 - Google Patents

抗菌剤

Info

Publication number
JPH06345612A
JPH06345612A JP5163320A JP16332093A JPH06345612A JP H06345612 A JPH06345612 A JP H06345612A JP 5163320 A JP5163320 A JP 5163320A JP 16332093 A JP16332093 A JP 16332093A JP H06345612 A JPH06345612 A JP H06345612A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
extract
antibacterial agent
antibacterial
squid
organic solvent
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP5163320A
Other languages
English (en)
Inventor
Shinobu Gocho
忍 牛腸
Yoshihiro Kawabata
兆宏 川端
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
T Hasegawa Co Ltd
Original Assignee
T Hasegawa Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by T Hasegawa Co Ltd filed Critical T Hasegawa Co Ltd
Priority to JP5163320A priority Critical patent/JPH06345612A/ja
Publication of JPH06345612A publication Critical patent/JPH06345612A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Agricultural Chemicals And Associated Chemicals (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 入手が容易で大部分が廃棄されているイカ類
肝臓から得られる抗菌スペクトルの幅が広く、強力な抗
菌作用を有する抗菌剤を提供する。 【構成】 イカ肝臓磨碎物1重量部を水混和性有機溶媒
約1〜約10重量部で抽出して得た抽出液を固体吸着剤
処理後遠心分離して上層部を採取し、これを濃縮して得
られる抽出物からなる抗菌剤。該抗菌剤に有機酸、有機
酸塩類、グリシン、ポリリジン、プロタミン、リゾチー
ムなどを組み合わせた抗菌剤組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はイカの肝臓からメタノー
ル、エタノール、アセトン又はこれらの混合物などの水
混和性有機溶媒(以下、単に水混和性有機溶媒と称する
ことがある)による抽出によって得られる抽出物を有効
成分とする、飲食品、医薬品及び化粧品などに安全に且
つ効果的に利用することのできる抗菌剤、及びそれを用
いる飲食品の保存方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年のデリバリーシステムの改善、効率
化によって飲食品の流通地域はますます広域化してい
る。それに伴って保存性が向上された飲食品、すなわち
シェルフライフの長い飲食品が要望されており、そのた
めの合成保存料として、例えば安息香酸類、ソルビン酸
類、プロピオン酸類などが食品添加物の保存料として許
可されている。しかしながら、これらの合成保存料は使
用基準が定められており、加えて添加物表示が飲食品の
イメージダウンにつながることから、飲食品業界では、
合成保存料を天然物起源の抗菌性を有する物質に切り替
える努力がなされている。
【0003】天然物起源の抗菌性を有する物質として多
数の動植物材料の水又はエタノールなどの有機溶剤によ
る抽出物が提案されている。かかる天然物由来の保存料
としては、例えばエゴノキ抽出物、カワラヨモギ抽出
物、しらこたん白、ヒノキチオール(抽出物)、ペクチ
ン分解物、ホオノキ抽出物、ε−ポリリジン、レンギョ
ウ抽出物などが知られている(天然物便覧<第10版>
食品と科学社:平成1年10月5日発行)。
【0004】これら以外の植物起源の抗菌剤としては、
例えば、甘草抽出物(特開昭51−63953号、特開
平2−113845号、2−113846号、2−11
3866号各公報)、茶に代表されるツバキ科植物抽出
物または茶ポリフェノール(特開平2−276562
号,特開昭63−309165号、特公昭61−347
90号各公報)、生コーヒー豆抽出物(特公昭54−1
1372号公報)、柑橘類・グレープフルーツ種子抽出
物(特開平2−247106号、2−190170号各
公報)、ぶどう抽出物(特開平2−84141号、2−
286609号各公報)、竹エキス(特開昭63−29
0825号、56−32981号各公報)、笹の葉抽出
物(特公昭56−5510号、特開昭55−88687
号、特開平2−291248号各公報)、その他クロー
ブ、ホップ、タイム、カッコウ、セージ、ローズマリー
などのスパイス類抽出物(特開昭51−133438
号、特開昭57−22681号、57−22682号、
55−102508号,特開平2−163069号など
の各公報)などの利用も多数提案されている。
【0005】また、動物起源の抗菌剤としては、前記の
しらこたん白(プロタミン)またはこれに有機酸、アル
コールなどを配合した抗菌性製剤(特開昭62−201
564号、特公平2−6505号、特公平2−7624
号各公報等)、プロポリス抽出物(特開平2−1099
63号、特開昭63−145208号各公報)などが提
案されている。
【0006】一方、イカの肝臓には腐敗防止効果がある
こと、そしてこの肝臓の腐敗抑制物質は透析による低分
子区分にあることが報告されている[北水誌月報、3
8、156(1981);同39、102(198
2)]。また、イカ肝臓をpH6.90のブイヨンを用
いて抽出したイカ肝臓抽出液はStaphylococ
cus aureus に対して増殖抑制作用があり、
その抗菌性は食塩と共同作用のあること及びこの活性物
質は水溶性、熱安定性(98℃/30分間の加熱でも安
定)で且つ低分子物質であることも報告されている。更
に、イカ肝臓をアセトンで脱脂して得られるイカ肝臓ア
セトンパウダー(LAP)及び遊離脂肪酸画分にも黄色
ブドウ球菌に対する強い抗菌性があることが認められて
いる[日本食品衛生学会第36回学術講演要旨集49
(1978);同39回講演要旨集17、(198
0);同41回講演要旨集、22(1981);同49
回講演要旨集,36(1985)]。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
如き従来公知の天然由来の抗菌性物質のうち、植物起源
の抽出物は、それぞれの原料植物に特有の精油香気が随
伴し、また苦味、渋味、えぐ味などの異味異臭を完全に
除去することが極めて困難であるため用途及び添加量に
少なからぬ制約がある。
【0008】また、魚類しらこタン白質は採取工程が煩
雑であるうえ、得られるプロタミン自体単品では抗菌活
性スペクトルが狭く、極一部の微生物に対するほかは一
般的に微生物に対する抗菌作用は弱く、これを食品の保
存料として実効性を確保するためには必然的に添加量を
多くしなければならず、その結果、食品の味や香りに悪
い影響を及ぼすうえ、極めて高価なものとなる等の欠点
があり、プロタミン単独では食品の保存料としての実用
的価値は小さい。
【0009】イカ肝臓の水性抽出物及びイカ肝臓のアセ
トンによる脱脂処理物に抗菌性があることは前記したご
とく公知であるが、本発明者らの研究によれば、これら
の抽出物又は処理物の抗菌作用はそれ程大きなものでは
なく、また異味異臭が強いために、抗菌剤としての実用
的な価値は高いとは言い難い。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、抗菌性物
質の存在が示唆されているイカ肝臓抽出物について、よ
り強力な抗菌活性物質を求めて鋭意検討した結果、従来
の知見からはとうてい想到されないばかりか、全く示唆
もされたことのないイカ肝臓の水混和性有機溶媒抽出画
分が、水に難溶性であるにもかかわらず、意外にも該画
分に最も強い抗菌活性物質が存在することを見いだし本
発明を完成するに至った。また、該画分を飲食品、殊に
食塩を含有する飲食品に配合することによって、該飲食
品を効果的に保存することができることもわかった。更
に、イカ肝臓の水混和性有機溶媒抽出物に有機酸、有機
酸塩類、グリシン、ポリリジン、プロタミン及びリゾチ
ームよりなる群から選択される少なくとも1種を協力剤
として配合することにより、一層優れた抗菌活性を有す
る抗菌剤が得られることも明らかになった。かくして、
本発明によれば、 (1)イカ肝臓の水混和性有機溶媒による抽出物を有効
成分として含有することを特徴とする抗菌剤、 (2)有機酸、有機酸塩類、グリシン、ポリリジン、プ
ロタミン及びリゾチームよりなる群から選択される少な
くとも1種の成分(以下、協力剤ということがある)を
さらに含有する上記(1)の抗菌剤。
【0011】(3)飲食品に上記(1)又は(2)の抗
菌剤を配合することを特徴とする飲食品の保存方法、が
提供される。
【0012】本発明によって提供される抗菌剤は、異味
異臭が少なく、低いレベルの添加量で実用上十分な抗菌
活性を有し、更に協力剤を配合した抗菌剤組成物は幅広
い抗菌スペクトルを有し、上記のごとき従来提案の課題
を一挙に解決することができる。以下、本発明について
さらに詳細に説明する。
【0013】本発明において、原料として利用すること
のできるイカ類の肝臓としては、例えば、アカイカ、ス
ルメイカ、マイカ、アオリイカ、ヤリイカ、ケンサキイ
カ、コウイカ、ヒナイカ、ミミイカ、ホタルイカ、ドス
イカ、ダイオウイカ、ソデイカ等の各種のイカ類の肝臓
を挙げることができるが、殊に、水揚げ量が多く且つ肝
臓重量の大きなスルメイカ、アカイカ及びマイカを好ま
しく挙げることができる。これらイカ類の肝臓は、生鮮
品、冷凍品及び塩蔵品のいずれも使用することができ
る。
【0014】また、これらのイカ肝臓から抗菌性成分を
抽出するのに使用することのできる水混和性有機溶媒と
しては、例えば、メタノール、エタノール、アセトン及
びこれらの任意の混合物を挙げることができるが、残留
溶媒の毒性などの点を考慮すると、飲食品用抗菌剤を製
造する際の抽出溶媒としてはエタノールがもっとも優れ
ている。
【0015】次に、イカ類の肝臓から上記の如き水混和
性有機溶媒を用いて抗菌活性を有する画分を抽出、分画
する手段について説明する。
【0016】まず、生鮮イカまたは冷凍イカの肝臓を分
別し、必要により水洗、水切りした後これを磨砕処理
し、得られる磨砕物1重量部に対して通常約2〜約10
重量部、好ましくは約2〜約4重量部の前記の如き親水
性有機溶媒を加えて約0〜約50℃、好ましくは約30
〜約40℃の温度において約10分〜約5時間、好まし
くは約0.5〜約1時間撹拌抽出する。かかる抽出処理
は抽出溶媒の全量を用いて一度の操作によって行うこと
もできるし、抽出溶媒を2乃至3分割して数回に分けて
繰り返し抽出することもできる。
【0017】次いで濾過または遠心分離などの分離手段
により不溶性固形分を除去して水混和性有機溶媒相を分
離採取する。得られる有機溶媒相は静置するか又は遠心
分離することにより有機溶媒に溶解しない油状部と有機
溶媒相の二層に分離する。該油状物はほとんど抗菌活性
を有しないことを確認した。下層の油状物を除去して上
層の有機溶媒相を採取する。
【0018】かくして得られる有機溶媒相を、例えば、
固体吸着剤と接触処理することにより脱臭脱色する。か
かる固体吸着剤としては、例えば、活性炭、シリカゲ
ル、ODS(オクタデシルシラン)などの化学結合型シ
リカ、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体またはメタ
クリル酸共重合体などの多孔性重合樹脂などを挙げるこ
とができる。これらの固体吸着剤の使用量には特別の制
約はないが、通常、有機溶媒相に対して約1〜約5重量
%程度の範囲内がしばしば採用される。
【0019】固体吸着剤との接触処理は、一般的には、
有機溶媒相に吸着剤を加えて、例えば常温乃至約40℃
程度の温度で、約30分〜約2時間程度静置または撹拌
することにより行うことができる。接触処理終了後は常
法により固体吸着剤を分離除去する。かかる方法に代え
て、固体吸着剤を充填したカラムに有機溶媒相を通液し
て脱臭脱色することもできる。
【0020】このようにして得られる脱臭脱色済みの有
機溶媒相は、次いで減圧条件下に溶媒及び水分を除去す
ることにより液状の抽出物を得ることができる。この液
状抽出物はそのまま抗菌剤として使用することができる
が、さらに遠心分離処理することにより二層に分離する
こともできる。本発明の抗菌剤として特に有用な目的物
は、上記の遠心分離処理により形成される上層部を構成
するやや粘稠な油状物質画分である。
【0021】この上層部を形成するやや粘稠な油状物質
画分である本発明の抗菌剤は、そのままで使用すること
もできるが、該抗菌剤に、さらに他の希釈剤または担体
を加えることもできる。そうすることによって安定性が
増し取り扱いも容易になるという利点がある。
【0022】かかる希釈剤としては、例えば、エタノー
ル、アセトン、グリセリン、プロピレングリコール等の
アルコール類;酢酸、乳酸等の有機酸類及びこれらの任
意の混合物を挙げることができる。これらの希釈剤の添
加量は特に制約はないが、一般的には該油状物質画分1
重量部に対して約10〜約100重量部、好ましくは約
20〜約50重量部の範囲が採用される。希釈方法とし
ては、油状物質画分に前記のごとき希釈剤を加えて混合
溶解することによって均一な溶液を得ることができ、さ
らに要すれば濾過処理を行うこともできる。
【0023】また、上記のごとき希釈剤を添加した溶液
を、更に化工澱粉、デキストリン、サイクロデキストリ
ン、アラビアガム等の水溶液と混合し、噴霧乾燥、真空
乾燥などの既知の方法によって乾燥粉末化することによ
り、流動性のある粉末または顆粒状の形態とすることも
できる。
【0024】本発明者らの研究によれば、上記のごとく
して得られる抗菌剤は、Bacillus属の細菌には
強い抗菌作用を示すが、これに比較してEscheri
chia coli(大腸菌)、カビ及び酵母に対して
はやや抗菌力が劣ることが分かった。しかしながら、本
発明の抗菌剤を食塩含有飲食品に添加すると極めて強い
抗菌力を発揮し、更に協力剤を配合することによって非
常に幅の広い抗菌スペクトルを示す抗菌剤組成物を調製
することができることもわかった。
【0025】かかる協力剤としては、例えば酢酸、クエ
ン酸、リンゴ酸、酒石酸、乳酸等の有機酸及びこれら有
機酸のナトリウム塩、カリウム塩等の有機酸塩類、グリ
シン、ポリリジン、プロタミン及びリゾチームよりなる
群から選択される少なくとも1種を挙げることができ
る。これらの協力剤の配合量は、抗菌剤を添加しようと
する飲食品の風味に悪影響を与えない範囲内で任意に選
択することができるが、一般的には、イカ肝臓から得ら
れる本発明の抗菌剤1重量部に対して約0.05〜約2
0重量部、好ましくは約0.1〜約10重量部程度の範
囲内の添加量がしばしば採用される。
【0026】本発明の上記のごとき抗菌剤は、天然のイ
カ肝臓からの抽出によって得られる極めて安全性が高く
且つ抗菌スペクトルの幅の広い抗菌剤として、あらゆる
飲食品、保健・衛生用品に利用することができる。例え
ば、畜肉、魚肉を原料とするハム、ソーセージ、ハンバ
ーグ、蒲鉾、魚類干物などの水畜産加工品類;豆腐、生
めん類、漬物類、総菜類、米飯、お握りなどの食品類;
バター、マーガリン、チーズ、ホイップクリームなどの
乳製品類;ラーメンスープ、中華風スープ、和風スー
プ、ソース類、たれ類、味噌、醤油、ドレッシングなど
の調味料類;果実飲料、乳酸菌飲料、栄養ドリンク、ス
ポーツドリンクなどの飲料類;アイスクリーム、ラクト
アイス、氷菓などの冷菓類;チルドデザート類;和菓
子、洋菓子、チューインガム、キャンディーなどの菓子
類などの飲食品類に好適に配合することができる。
【0027】更に、クリーム、乳液、パックなどの基礎
化粧料、頭髪化粧料、歯磨、マウスウオッシュ、薬用石
鹸などの香粧品類へも好適に配合することができる。
【0028】本発明の抗菌剤のこれら飲食品、香粧品に
対する添加量は、これら対象物の食塩その他の塩類濃
度、pHなどによって適宜選択することができるが、一
般的には、対象物の重量に基づいて約0.0001〜約
0.1%、好ましくは約0.001〜約0.01%の範囲
内で十分な効果を発揮することができる。
【0029】以下、実施例により本発明を更に具体的に
説明する。
【0030】
【実施例】
実施例1 赤イカ肝臓224gにアセトン500mlを添加し、室
温で10分間かき混ぜた後遠心分離によりアセトン層を
採取し、残渣に新しいアセトン250mlを加えて同様
に抽出してアセトン層を採取した。得られた残渣は乾燥
粉砕して粉末サンプル(K4)42.8gを得た。アセ
トン層は合わせて分液ロート中で静置し、2層に分離し
たところで上層のアセトン可溶部と下層のアセトン不溶
部を分離した。下層のアセトン不溶部を減圧脱水して油
状物(K1)60.3gを得た。アセトン可溶部630
gに活性炭18.9gを加え、40℃にて1時間撹拌後
濾紙濾過した。得られた活性炭処理アセトン可溶部を減
圧下にアセトン回収を行ったところエマルション状態の
濃縮物が得られた。このエマルションを更に遠心分離
し、本発明の抗菌剤有効成分画分として上層の固い水難
溶性油状物(K3)30.6gと下層の水易溶性液状物
(K2)27.1gを得た。
【0031】実施例2 スルメイカ肝臓100gに95%エタノール250ml
を加え、室温で1時間撹拌後、ダイヤフロックをプレコ
ートして濾過を行い不溶部を除去してエタノール抽出液
を採取した。得られた抽出液を分液ロートに移して静置
し、2層に分離後上層のエタノール相と下層の油相をそ
れぞれ採取した。油相を減圧脱水して含水エタノール不
溶油状物18.45g(EK1)を得た。上層の含水エ
タノール相210gに活性炭6.3gを加え、40℃に
て1時間撹拌後、濾紙濾過した。得られた活性炭処理含
水エタノール相を減圧でエタノール回収し、得られたエ
マルションを遠心分離し水易溶性液状物5.22g(E
K2)及び本発明の目的有効成分画分であるエタノール
可溶油状物9.56g(EK3)を得た。
【0032】実施例3 実施例1で得られたイカ肝臓抽出分画物K1、K2、K
3及びK4について抗菌活性を検討した。Bacill
us subtilis IAM1213(B),St
aphylococcus aureus IAM10
11(S),Pichia membranaefac
ience IFO 0129(P)の3株を用いて、
それぞれの画分を1重量%添加した標準寒天培地(pH
7.0)にこれらの菌株を接種し、常法により培養して
1日目、2日目及び3日目のこれらの菌株の生育状態を
観察した。その結果を表1に示す。
【0033】
【表1】 表 1 添加サンプル 1日目 2日目 3日目 B.S.P. B.S.P. B.S.P. K1 1% + + ± + + + + + + K2 1% + + ± + + + + + + K3 1% − − − − − − − − − K4 1% ± − − + − + + − + 無 添 加 + + ± + + + + + + 記号の説明 −:生育見られず、±:僅かに生育、+:
生育 表3の結果より明らかな如くK1,K2には抗菌作用は
なかった。K3はB.subtilis,S.aure
us,P.membranaefacienceの3株
ともに3日間完全に生育を阻害した。K4は従来知られ
ているようにS.aureusを完全に生育阻害した
が、B.subtilis.及びP.membrana
efacienceには若干の生育阻害したしただけで
あった。
【0034】実施例4 実施例1で得られたK3について食塩との相乗作用につ
いて検討した。食塩濃度0%、2%、4%及び6%の4
段階についてB.subtilis IAM1213
(B),S.aureus IAM 1011(S),
E.coliIAM 1268(E)の3株についてテ
ストした。培地はペプトン0.3%、Yeast ex
t.0.3%、グルコース0.3%、K2HPO40.1%
の成分を含有するpH無修正(7.2)寒天培地で行っ
た。その結果を表2に示す。
【0035】
【表2】 表 2 NaCl濃度 K3濃度 1 日 目 2 日 目 3 日 目 B. S. E. B. S. E. B. S. E. 0% 0 % + + + ++ ++ ++ ++ ++ ++ 0.02% ± ± + + ++ ++ + ++ ++ 0.1 % − − + − + ++ − ++ ++ 2% 0 % + + ± ++ ++ ++ ++ ++ ++ 0.02% − − ± − + ++ − ++ ++ 0.1% − − ± − − ++ − + ++ 4% 0 % + ± − ++ ++ + ++ ++ + 0.004% ± − − + ++ + ++ ++ + 0.02% − − − − ± − − − ± 0.1 % − − − − − − − − ± 6% 0 % + ± − + + − + + − 0.004% − − − ± ± − − ± − 0.02% − − − − − − − ± − 0.1% − − − − − − − − − 記号の説明 −:生育見られず、±:僅かに生育 +:生育 ++:よく生育 表2の結果から明らかな如く、本発明の抗菌剤に相当す
るK3はB.subtilis (B)及びS.aur
eus (S)に対する抗菌作用はもちろんのこと、食
塩が4%存在する系においてはわずか0.02%の添加
でE.coli(E)に対しても2日程度その生育を阻
害した。
【0036】実施例5 実施例4と同様に、実施例1で得られたK3を用いて食
塩の共存する系におけるカビ及び酵母に対する生育阻害
作用を検討した。その結果を表3に示す。
【0037】
【表3】 表 3 NaCl濃度 K3濃度 1 日 目 2 日 目 3 日 目 A. Pc. Pm. A. Pc. Pm. A. Pc. Pm. 0% 0 % + + + ++ ++ ++ 0.02% + + + ++ ++ ++ 0.1 % ± + + ++ ++ ++ 2% 0 % + + + ++ ++ ++ 0.02% ± ± + ++ ++ ++ 0.1% ± ± ± ++ ++ ++ 4% 0 % + ± − ++ ++ ++ ++ ++ ++ 0.04% + ± − ++ + ++ ++ ++ ++ 0.02% ± − − + + + ++ ++ ++ 0.1 % − − − + + − ++ ++ − 6% 0 % ± ± − + + ± ++ ++ ++ 0.004% ± ± − + + ± ++ ++ + 0.02% − − − ± ± − ++ ++ ± 0.1% − − − ± ± − + ++ − 記号の意味は表2と同じ、 A : Aspergillus niger IF
O 4043 Pc.: Penicillium citrinum
IAM 7316 Pm.: Pichia membranaefaci
ens IFO0129 表3の結果から明らかな如く、本発明の抗菌剤に相当す
るK3は食塩が存在しない系においては殆ど抗菌作用は
見られないが、食塩が4%程度以上存在する系において
は0.02%という低濃度で試供したカビ及び酵母の初
期の生育を阻害した。
【0038】実施例6 実施例4と同様にして、実施例2で得られた本発明抗菌
剤EK3を用いて種々の細菌に対する抗菌作用を検討し
た。その結果を表4に示す。
【0039】
【表4】
【0040】表4の結果から明らかな如く、本発明の抗
菌剤EK3はBcillus属の細菌に対して特に強い
抗菌力を認めた。また、食塩4%存在下においてはBc
illus属の細菌に対して更に著しい抗菌力を示すと
共に、その他の細菌に対しても強い抗菌力を示した。
【0041】実施例7 実施例2で得られたEK3とグリシン及び酢酸ナトリウ
ムを組み合わせた抗菌剤組成物について、実施例3と同
様に抗菌作用を検討した。
【0042】試験菌株:1.B.subtilis I
AM1213、2、B.cereusIAM1029、
3、B.stearothermophilusIAM
11062、4、S.aureus IAM1011、
5、E.coli IAM1218; 培地及び培養方法:市販標準寒天培地(pH7)、それ
ぞれの協力剤を添加後100℃で10分間殺菌後菌株を
接種し、30℃で培養を行った。協力剤の添加量は培地
に対する重量%で表す。
【0043】その結果を表5に示す。
【0044】
【表5】 表 5 18時間 27時間 テストNo. EK3 ク゛リシン 酢酸Na 1. 2. 3. 4. 5. 1. 2. 3. 4. 5. 1. - - - + + + + + ++ ++ ++ ++ ++ 2. 0.02 - - - ± ± ± + - + + ++ + + 3. - 0.4 - + + + + + ++ ++ ++ ++ ++ 4. .-. - 0.2 + + + + ± ++ ++ ++ ++ ++ 5. 0.02 0.4 - - - - ± + - - - + ++ 6. 0.02 - 0.2 - - - ± ± - - - + + 7. 0.02 0.4 0.2 - - - - - - - - + + 8. - 0.4 0.2 + + + + - ++ ++ ++ ++ + 記号の意味は前記したと同じ(以下、同じ) 表5の結果から明らかな如く、本発明の抗菌剤であるE
K3はグリシン又は酢酸ナトリウムと相乗作用を有し、
これらの添加により一層強力な抗菌力を示した。
【0045】実施例8 実施例2で得られたEK3と乳酸を組み合わせた抗菌剤
について抗菌活性を検討した。実施例4と同じ液体培地
を用い、供試菌としてS.aureus IAM 10
11、EK3 0.005%、乳酸 0.4%、pH5.
8 の条件で30℃で培養し、成育状態を観察した。そ
の結果を表6に示す。
【0046】
【表6】 表 6 EK3 乳酸0% 乳酸0.4% 18hr 26hr 42hr 3day 18hr 26hr 42hr 3day 0.005% − − + ++ − − − ± 0% − ± + − − − ++ 表6の結果から明らかな如く、本発明のEK3は乳酸と
の組み合わせによって強い抗菌活性を示した。
【0047】実施例9 浅漬の素の保存試験 市販の浅漬の素を無菌的にpH5.5に調整し、実施例
2で得られたEK3を0.002%及び0.02%添加し
た試料を用意し、無添加品と一緒に30℃に保存した。
その結果、無添加品は4日目で濁りを生じ異臭が発生し
てきたが。EK3添加品はいずれも1週間後においても
変化がなかった。 実施例10 麺つゆの保存試験 市販の素麺つゆを無菌的にpH6.0に調整し、実施例
1で得られたK3を0.002%添加し、無添加品を対
照として30℃に保存した。無添加品は4日目から濁り
を生じたが、EK3添加品は8日後においても変化がな
かった。
【0048】実施例11〜19 表7に示す配合割合で飲食品用抗菌剤組成物を調製し
た。数値は重量%を表す。
【0049】
【表7】
【0050】
【発明の効果】イカ類肝臓に微生物の生育を阻害する物
質が存在することは従来から知られていた。しかしなが
ら、従来、イカ類肝臓から異味異臭を除去した且つ非常
に強力な抗菌作用を有する画分を分画精製して飲食品の
保存料として利用することは提案されていない。かかる
入手が容易で大部分が廃棄されているイカ類肝臓から新
規な抗菌剤を製造可能とする工業的意義は極めて大き
い。しかも天然物起源であるからして安全性に関しても
全く心配の要らない抗菌剤として特に飲食品の加工、製
造分野において有用である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 A01N 37:44) (A01N 63/02 37:26) (A01N 63/02 63:00)

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 イカ肝臓の水混和性有機溶媒による抽出
    物を有効成分として含有することを特徴とする抗菌剤。
  2. 【請求項2】 有機酸、有機酸塩類、グリシン、ポリリ
    ジン、プロタミン及びリゾチームよりなる群から選択さ
    れる少なくとも1種の成分をさらに含有する請求項1記
    載の抗菌剤。
  3. 【請求項3】 イカ肝臓の水混和性有機溶媒による抽出
    物が、イカ肝臓を水混和性有機溶媒で抽出処理して得ら
    れる抽出液を固体吸着剤で接触処理して脱色脱臭し、つ
    いで濃縮することにより得られる抽出物である請求項1
    又は請求項2記載の抗菌剤。
  4. 【請求項4】 飲食品に請求項1〜3のいずれかに記載
    の抗菌剤を配合することを特徴とする飲食品の保存方
    法。
JP5163320A 1993-06-08 1993-06-08 抗菌剤 Pending JPH06345612A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP5163320A JPH06345612A (ja) 1993-06-08 1993-06-08 抗菌剤

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP5163320A JPH06345612A (ja) 1993-06-08 1993-06-08 抗菌剤

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH06345612A true JPH06345612A (ja) 1994-12-20

Family

ID=15771605

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP5163320A Pending JPH06345612A (ja) 1993-06-08 1993-06-08 抗菌剤

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH06345612A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002114616A (ja) * 2000-10-12 2002-04-16 Ryoso:Kk 除菌剤とそれを用いた消毒方法
WO2011096602A1 (ko) * 2010-02-05 2011-08-11 한림대학교 산학협력단 호중구의 미생물 사멸활성을 강화하는 글라이신
JP2012165759A (ja) * 1998-10-28 2012-09-06 Sanei Gen Ffi Inc スクラロースを含有する組成物及びその応用

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012165759A (ja) * 1998-10-28 2012-09-06 Sanei Gen Ffi Inc スクラロースを含有する組成物及びその応用
JP2002114616A (ja) * 2000-10-12 2002-04-16 Ryoso:Kk 除菌剤とそれを用いた消毒方法
WO2011096602A1 (ko) * 2010-02-05 2011-08-11 한림대학교 산학협력단 호중구의 미생물 사멸활성을 강화하는 글라이신

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US8067036B2 (en) Gnetum extract
JP5624764B2 (ja) 香味又は香気の劣化抑制剤
JP5616596B2 (ja) 抗菌剤及び抗菌方法
JP2001342489A (ja) 香味劣化抑制剤および香味劣化抑制方法
TW202116351A (zh) RuBisCO之製造方法
EP1867699B1 (en) Deterioration preventing agent
JPH0698738A (ja) 食品用保存剤
US6063382A (en) Bacteriostatic and antibacterial agent containing mango kernel component
US8524296B2 (en) Method for fermenting natural materials with salt and fermented extracts prepared therefrom
KR101087199B1 (ko) 향미열화 억제제 및 시트랄의 열화악취 생성 억제제
JP4257022B2 (ja) 食品の香味劣化抑制剤並びに抑制方法
JP2004018756A (ja) 香料の劣化防止剤及び飲食品
JP4587710B2 (ja) 抗菌剤組成物
JP2003009832A (ja) 天然系日持ち向上剤、日持ちが向上した飲食品、及び飲食品の日持ち向上方法
JP4295301B2 (ja) 肉臭改善剤、これを用いた肉臭改善方法及び食肉製品
JPH06345612A (ja) 抗菌剤
CN114727635B (zh) 包含2-乙酰基-1-吡咯啉的植物提取物
JP4427233B2 (ja) 抗菌剤組成物
JP4503235B2 (ja) 香味劣化抑制剤
JP5835756B1 (ja) 醗酵熟成ビート、及びその加工物の醗酵熟成ビートペースト、醗酵熟成ビート粉末
JP4185317B2 (ja) シトラール又はシトラール含有製品の劣化臭生成抑制剤
JP4231244B2 (ja) 香味劣化抑制剤
JP5554908B2 (ja) 抗菌剤及び抗菌方法
JP3245307B2 (ja) 抗菌剤
JP2002020784A (ja) 香料の劣化防止剤