JP2002114616A - 除菌剤とそれを用いた消毒方法 - Google Patents

除菌剤とそれを用いた消毒方法

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JP2002114616A
JP2002114616A JP2000311365A JP2000311365A JP2002114616A JP 2002114616 A JP2002114616 A JP 2002114616A JP 2000311365 A JP2000311365 A JP 2000311365A JP 2000311365 A JP2000311365 A JP 2000311365A JP 2002114616 A JP2002114616 A JP 2002114616A
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disinfection
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Masato Yoshida
政人 吉田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 除菌効果が長く続き、生体表面への保護効果
もある除菌ができるようにする。 【解決手段】 シルクタンパク質を0.01〜3重量
%、アルコールを50〜75重量%、酸、グリシンまた
はピリリジンを1〜10重量%含む除菌剤を提供し、こ
れを生体の表面に塗布することによって除菌し消毒する
ことで、上記の目的を達成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、食品工場や外食産
業、病院などで、主として手指を消毒するのに用いる除
菌剤とそれを用いた消毒方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】食品工場や外食産業、病院等では、手指
に付着した雑菌を殺菌ないしは除菌することで消毒する
必要がある。それに用いる除菌剤や消毒方法は多種類に
及ぶが、近時ではアルコール製剤が主流である。他に病
院等で普及しているものとしては、クレゾール液があ
る。
【0003】食品工場や外食産業では、食品を直接手で
扱うことが多いため、アルコール製剤をアトマイザー等
で直接手に噴霧する等して塗布した後、熱風で瞬時に乾
燥させることが行われている。これはタオル等に付着し
た雑菌が消毒した手指に付着するのを防ぐためである。
アルコール製剤としては、75%(容量比)のエタノー
ルにグリセリンや乳酸ナトリウムなどの保湿剤を添加し
たものがある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、クレゾール液
は独特の臭気がある上に、特別な管理を必要とするの
で、食品工場等には不向きである。
【0005】また、アルコール製剤を手指に塗布して消
毒する方法は、塗布されたアルコール成分が手指の皮脂
を奪い、さらに熱風乾燥がその状態を酷にするので、手
荒れをしてしまう。その上、アルコール類は乾燥により
発散してしまいやすいし、消毒後に手指が水分に触れる
と除菌剤が流れ落ちてしまい、除菌効果が短時間で低下
する。
【0006】本発明の目的は、除菌効果が長く続き、生
体表面への保護効果もある除菌剤とそれを用いた消毒方
法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記のような目的を達成
するために、本発明の除菌剤は、シルクタンパク質、ア
ルコール、水、に加え、酸、グリシン、ポリリジンの少
なくとも1つを含むことを特徴としている。
【0008】また、本発明の消毒方法は、前記除菌剤を
生体の表面に塗布することによって生体の表面を除菌し
消毒することを特徴としている。
【0009】このような除菌剤とそれを用いた消毒方法
の構成では、アルコール成分と、酸、グリシン、ポリリ
ジンの少なくとも1つとが持つ除菌作用によって、生体
表面、例えば手指に付着している雑菌を殺菌ないしは除
菌し、手指を消毒して清浄にすることができる。またシ
ルクタンパク質が塗布域に除菌剤の膜を撥水性のある流
れ落ちにくいものとして作る成膜性と皮膚の水分を保つ
保水性を発揮し、アルコール類の発散を抑えられるし、
アルコール類を含む酸、グリシン、ポリリジンの流れ去
りを防いで除菌効果を長時間保てる上、保湿効果のある
皮膜が皮膚を保護することができるので、例えば手指な
どを消毒する場合にあってはアルコール類と除菌後の乾
燥によって皮脂が奪われて手荒れになるのを防止するこ
とができる。
【0010】前記シルクタンパク質としてセリシンを用
いると好適であり、その高い保湿性と成膜性とによって
前記のような除菌効果と保護効果をより強く発揮するこ
とができる。
【0011】アルコールとしてエタノールを用いると、
食品衛生面での要求を満たすので好適であり、食品に混
入する可能性のある場所でも安心して使用することがで
きるし、イソプロピルアルコールを用いると、食品を取
り扱う場所以外で安価に幅広く使用することができる。
【0012】前記酸としてアジピン酸を用いると手荒れ
がなく臭気も少なく好適である。
【0013】なお、シルクタンパク質は純粋質のもので
0.01〜3重量%、アルコールは50〜75重量%、
酸、グリシンまたはポリリジンは1〜10重量%、純水
は20〜50重量%含むようにすると、除菌効果、保護
効果、撥水効果、臭気などの面で好適である。
【0014】本発明のそれ以上の目的および特徴は、以
下の詳細な説明および図面によって明らかになる。本発
明の各特徴は可能な限りにおいて、それ単独で、あるい
は種々な組合せで複合して用いることができる。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態に係る
除菌剤とそれを用いた消毒方法について具体的に説明す
る。
【0016】本実施の形態に係る除菌剤は、シルクタン
パク質、アルコール、水、に加え、酸、グリシン、ポリ
リジンの少なくとも1つを含んでいる。このような除菌
剤では、アルコール成分と、酸、グリシン、ポリリジン
の少なくとも1つとが持つ除菌作用によって、生体表
面、例えば手指に付着している雑菌を殺菌ないしは除菌
し、手指を消毒して清浄にすることができる。またシル
クタンパク質が塗布域に除菌剤の膜を撥水性のある流れ
落ちにくいものとして作る成膜性と皮膚の水分を保つ保
水性を発揮し、アルコール類の発散を抑えられるし、ア
ルコール類を含む酸、グリシン、ポリリジンの流れ去り
を防いで除菌効果を長時間保てる上、保湿効果のある皮
膜が皮膚を保護することができるので、例えば手指など
を消毒する場合にあってはアルコール類と除菌後の乾燥
によって皮脂が奪われて手荒れになるのを防止すること
ができる。
【0017】除菌剤に保湿剤、成膜剤として添加するシ
ルクタンパク質としては、蚕が吐糸した繭糸、生糸、絹
織物、絹糸を原料とする。これらシルクタンパク質は主
にフィブロインとセリシンのタンパク質から構成されて
いる。前記繭糸などの原料を精錬工程にてセリシンを除
去したものがフィブロインである。セリシンは前記精錬
工程で廃液をアルカリ水溶液や界面活性剤水溶液により
溶出・精製して得られる。
【0018】セリシンは、化粧品の原料として重要なア
ミノ酸の一種であるセリンを約30重量%という高率で
含むため吸着性と成膜性に優れ、従来から広く知られて
いる同じタンパク質のコラーゲンと比較した場合、一時
的な保湿効果は劣るものの、継続的な保湿効果を発揮す
ることができる。セリシンは人間の組成に酷似している
ため、皮膚に馴染みやすい保湿成分でもある。その上、
セリシンは抗酸化作用を有しているので、皮膚の奥に浸
透して活性酸素の働きを抑え細胞を活性化しながら皮膚
細胞を保護する働きがある。
【0019】このため、除菌剤の保湿剤としてセリシン
を採用すれば、その保湿性と成膜性とによって、揮発性
の低い酸、グリシン、ポリリジンはもとより、揮発性の
高いアルコール類の発散を特に抑え、手指に付着してい
る雑菌を殺菌ないしは除菌する除菌効果を長時間保つこ
とができる上、保湿効果のある皮膜が皮膚を保護するこ
とができる。従って、手指に直接に除菌剤を塗布して手
指の皮膚を除菌し消毒しても、アルコールと除菌後の乾
燥によって皮脂が奪われて手荒れになるのを防止するこ
とができる。前記のような除菌効果と保護効果をより強
く発揮することができる。
【0020】前記セリシンを溶解するアルコールとして
は、エタノールまたはイソプロピルアルコールを用い
る。エタノール製剤は高価であるが食品添加物として食
品衛生上に問題がないので、食品に混入する可能性のあ
る場所、例えば食品工場や外食産業の調理場等での使用
を前提として用いるのが好適である。食品を取り扱う場
所以外、例えば病院等を前提としてはイソプロピルアル
コールを選択するのが好適であり、安価で除菌性の高い
ものとして幅広く使用することができる。
【0021】前記水として純水を用いると、雑菌がなく
他の成分の働きをよくすることができ好適である。
【0022】前記酸としてアジピン酸を用いると手荒れ
がなく臭気も少なく好適である。
【0023】なお、シルクタンパク質は純粋質のもので
0.01〜3重量%、アルコールは50〜75重量%、
酸、グリシンまたはポリリジンは1〜10重量%、純水
は20〜50重量%含むようにすると、除菌効果、保護
効果、コスト、臭気などの面で好適である。
【0024】アルコール度数は一般に70〜75%が最
も除菌効果が高いとされている。しかし、シルクタンパ
ク質の溶解度や発火性危険物指定による取り扱いなどを
考慮すると、アルコール度数の低いアルコール製剤につ
いても対象とするのが好適である。アルコール度数70
〜75%で除菌をほぼ完全に行うことができ、60〜7
0%では手指に多量に塗布しても手荒れの心配なく除菌
を行うことができ、50〜60%程度でも、汚れ落とし
を目的とした手指の洗浄効果は期待できる。
【0025】幾つかの実施例を代表的に示すと、以下の
表1〜表3に示す通りであり、いずれの場合も除菌効
果、保護効果を洗い作業において長時間発揮した。
【0026】
【表1】
【0027】
【表2】
【0028】
【表3】 以上のような除菌剤をこれをアトマイザーなどによって
噴霧する等して手指に塗布するとその塗布域の表面を除
菌し消毒することができ、食品工場や外食産業、病院な
どでの手指の除菌、消毒に好適である。本発明の除菌剤
は手指の消毒だけでなく、他の部分の消毒を目的として
医療面等で用いても有効であるし、生体一般の消毒に適
用することもできる。
【0029】
【発明の効果】本発明によれば、上記の説明で明らかな
ように、シルクタンパク質による塗布域に除菌剤の膜を
撥水性のある流れ落ちにくいものとして作る成膜性と、
生体の水分を保つ保湿性とにより、揮発性の低い酸、グ
リシンまたはポリリジンはもとより揮発性の高いアルコ
ールの発散を特に抑えて、それらによる除菌効果を長時
間保つことができるとともに、保湿効果のある皮膜で生
体表面を保護することができるので、例えば、手指等の
皮膚に除菌剤を塗布することによって皮膚を除菌し消毒
した場合には、皮膚への保護効果と除菌効果を併せて長
時間発揮させることができる。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 シルクタンパク質、アルコール、酸、水
    を含むことを特徴とする除菌剤。
  2. 【請求項2】 シルクタンパク質、アルコール、グリシ
    ン、水を含むことを特徴とする除菌剤。
  3. 【請求項3】 シルクタンパク質、アルコール、ポリリ
    ジン、水を含むことを特徴とする除菌剤。
  4. 【請求項4】 シルクタンパク質はセリシンである請求
    項1〜3のいずれか1項に記載の除菌剤。
  5. 【請求項5】 アルコールはエタノールまたはイソプロ
    ピルアルコールである請求項1〜4のいずれか1項に記
    載の除菌剤。
  6. 【請求項6】 酸はアジピン酸である請求項1に記載の
    除菌剤。
  7. 【請求項7】 シルクタンパク質は0.01〜3重量
    %、アルコールは50〜75重量%、酸、グリシンまた
    はポリリジンは1〜10重量%、純水は20〜50重量
    %含む請求項1〜6のいずれか1項に記載の除菌剤。
  8. 【請求項8】 請求項1〜7のいずれか1項に記載の除
    菌剤を生体の表面に塗布することによって生体の表面を
    除菌し消毒することを特徴とする消毒方法。
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