JPH06340735A - 改質ポリエステルおよび改質ポリエステル繊維 - Google Patents

改質ポリエステルおよび改質ポリエステル繊維

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JPH06340735A
JPH06340735A JP12903193A JP12903193A JPH06340735A JP H06340735 A JPH06340735 A JP H06340735A JP 12903193 A JP12903193 A JP 12903193A JP 12903193 A JP12903193 A JP 12903193A JP H06340735 A JPH06340735 A JP H06340735A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明の目的は、通常の未改質ポリエステル
繊維と同等の強度及び極細繊維曳糸性を有し、かつカチ
オン染料で染色した際の鮮明発色性と耐アルカリ性とを
同時に満足する改質ポリエステルを提供することであ
る。 【構成】 ポリエステルに、下記一般式(I)及び(I
I)で表わされる、少なくとも一個のエステル形成性官
能基を有するスルホン酸化合物が、それぞれ特定量共重
合されていることを特徴とする改質ポリエステル。 【化1】 【化2】

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、改質ポリエステルおよ
び改質ポリエステル繊維に関し、更に詳細には優れた強
度、極細曳糸性、白度および耐光性を有すると共に、カ
チオン染料で染色した際の鮮明発色性と耐アルカリ性と
が同時に改善された改質ポリエステルおよび改質ポリエ
ステル繊維に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリエステルは多くの優れた特性を有し
ているため繊維やフイルムとして広く用いられている
が、染色性が低く、特に分散染料以外の染料には染色困
難であり、その改善が求められていた。
【0003】染色性を改良する方法としては、例えばポ
リエステル主鎖中に、5―Naスルホイソフタル酸の如
きスルホン酸金属塩基を有するイソフタル酸成分を共重
合することによってカチオン染料で染色可能とする方法
が古くから知られている(特公昭34―10497号公
報参照)。しかしながら、この方法では該成分の共重合
によってポリマーの溶融粘度が著しく増大し、重合度を
充分に上げることが困難になると同時に紡糸等の成形が
困難となるため、例えば繊維になす場合、低強度の繊維
しか得られず、また極細繊維への曵糸が困難である。更
に、この方法で得られるカチオン染料可染性ポリエステ
ル繊維はアルカリによる溶解速度が極めて大きく、ポリ
エステル繊維で一般に広く行なわれているアルカリ減量
処理加工を行うことが困難であるのみならず、得られた
アルカリ処理糸は著しく強度が低下して実用に耐えな
い。
【0004】この問題を解決しようとして該共重合成分
の共重合量を減らす試みがなされたが(例えば、特開昭
59―53774号公報、特公平3―14951号公
報)、これらの試みによっても耐アルカリ性の改善効果
は不充分であり、その上カチオン染料で染色した際の染
め上りが大幅に悪化し、鮮明発色性が損われてくすんだ
色相しか得られなくなる。
【0005】かかるカチオン染料可染性ポリエステルの
欠点を解消するため、本発明者は先にスルホン酸ホスホ
ニウム塩基を有するイソフタル酸成分を共重合した改質
ポリエステルの製造法および改質ポリエステル繊維を提
案した(特公平3―61766号公報参照)。この方法
によれば、ポリマーの増粘作用が抑制されるため、高重
合度でかつ低溶融粘度のポリエステルが容易に得られ、
高強度の成形物が製造できるようになるだけでなく、カ
チオン染料で染色した際の鮮明発色性が改良される。し
かしながら、この方法によっても鮮明発色性が改良され
る反面で耐アルカリ性が劣るようになり、鮮明発色性と
耐アルカリ性との二律背反的な関係を免れることはでき
ず、両者を同時に改善することはできない。
【0006】上記したスルホン酸ホスホニウム塩共重合
型カチオン染料可染性ポリエステルの長所に鑑みその欠
点を改良すべく、本発明者等は、スルホン酸ホスホニウ
ム塩基を有するイソフタル酸成分とスルホン酸金属塩基
を有するイソフタル酸成分とを併用する方法(特開平1
―172425号公報参照)や、スルホン酸ホスホニウ
ム塩基を有するイソフタル酸成分とイソフタル酸等の二
官能性カルボン酸成分とを併用する方法(特開平1―1
03623号公報参照)を提案したが、これらの方法に
よっても鮮明発色性と耐アルカリ性とは二律背反的な関
係にあり、両者を同時に改善することはできなかった。
【0007】以上述べたように、優れた強度と極細曳糸
性とを有すると共に、カチオン染料で染色した時の鮮明
発色性と耐アルカリ性とが同時に改善されたカチオン染
料可染性ポリエステルは従来皆無であった。
【0008】
【発明が解決するべき課題】そこで、本発明者は、通常
の未改質ポリエステル繊維と同等の強度と1デニール以
下の極細繊維曳糸性とを合わせ有すると共に、カチオン
染料で染色した際の鮮明発色性と耐アルカリ性とが同時
に改善されたカチオン染料可染性ポリエステル繊維を製
造することのできる改質ポリエステルを得ることを目的
として鋭意検討を行った。その結果、スルホン酸ホスホ
ニウム塩基を有するイソフタル酸成分とスルホン酸金属
塩基を有するテレフタル酸成分とを併用して共重合する
とともに、各々の成分の共重合割合を特定の範囲に収め
た改質ポリエステルによって上記の目的が達成でき、そ
の上図らずも白度や耐光性も改善されることを知った。
その作用機構については未だ明らかではないが、スルホ
ン酸ホスホニウム塩基を有するイソフタル酸成分を単独
共重合したポリエステルおよびスルホン酸金属塩を有す
るテレフタル酸成分を単独共重合したポリエステルでは
いずれもかかる効果が奏されないことから、両者の相乗
的相互作用によるものと推定される。なかでも、スルホ
ン酸金属塩基を有するイソフタル酸成分に対比してより
強い酸性を呈するスルホン酸金属塩基を有するテレフタ
ル酸成分の存在により、塩基性雰囲気で不安定なスルホ
ン酸ホスホニウム塩基の安定性が著しく向上することを
知見しており、このことが両者の相乗的相互作用に何ら
かの形で関与しているように思われる。本発明者はこれ
らの知見に基づいて更に重ねて検討した結果本発明を完
成した。
【0009】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、ス
ルホン酸塩基を有しない、少なくとも1種の二官能性カ
ルボン酸(A)と少なくとも1種のグリコールとからな
るポリエステルに、スルホン酸塩基を有する二官能性カ
ルボン酸(B)が共重合されている改質ポリエステルに
おいて、該(B)成分として、下記一般式(I)および
(II)で表わされるエステル形成性官能基を有するスル
ホン酸化合物が、該(A)成分の量を基準として、それ
ぞれ0.4〜10モル%および0.1〜5モル%共重合
されていることを特徴とする改質ポリエステル、および
該改質ポリエステルを溶融紡糸してなる改質ポリエステ
ル繊維である。
【0010】
【化3】
【0011】[式中、Aは芳香族基又は脂肪族基であ
る。X1 はエステル形成性官能基、X2はX1 と同一若
しくは異なってエステル形成性官能基又は水素原子であ
る。R1、R2 、R3 およびR4 はアルキル基およびア
リール基よりなる群から選ばれた同一又は異なる基であ
る。mは正の整数である。]
【0012】
【化4】
【0013】[式中、R5 およびR6 は同一又は異なっ
て、水素原子、―(CH2 )nH又は―(CH2 )nO
H(ここでnは1〜6の整数である)である。Mはアル
カリ金属である。]
【0014】本発明でいうポリエステルは、スルホン酸
塩基を有しない、少なくとも1種の二官能性カルボン酸
(A)と少なくとも1種のグリコールとからなるポリエ
ステルである。
【0015】ここでスルホン酸塩基を有しない、少なく
とも1種の二官能性カルボン酸(A)としては、例えば
テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタリンジカルボン
酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカ
ルボン酸、β―ヒドロキシエトキシ安息香酸、p―オキ
シ安息香酸、アジピン酸、セバシン酸、1,4―シクロ
ヘキサンジカルボン酸の如き芳香族、脂肪族、脂環族の
二官能性カルボン酸をあげることができ、テレフタル酸
を主たる酸成分とすることが好ましい。
【0016】少なくとも1種のグリコールとしては、例
えば、エチレングリコール、トリメチレングリコール、
テトラメチレングリコールから選ばれる少なくとも1種
のアルキレングリコール、シクロヘキサン―1,4―ジ
メタノール、ネオペンチルグリコール、ビスフェノール
A、ビスフェノールSの如き脂肪族、脂環族、芳香族ジ
オール化合物およびポリオキシアルキレングリコール等
をあげることができ、エチレングリコールを主たるジオ
ール成分とすることが好ましい。
【0017】更に、ポリエステルが実質的に線状である
範囲でトリメリット酸、ピロメリット酸の如きポリカル
ボン酸、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタ
エリスリトールの如きポリオールを使用することができ
る。
【0018】かかるポリエステルは任意の方法によって
合成される。例えばポリエチレンテレフタレートについ
て説明すれば、通常テレフタル酸とエチレングリコール
とを直接エステル化反応させるか、テレフタル酸ジメチ
ルの如きテレフタル酸の低級アルキルエステルとエチレ
ングリコールとをエステル交換反応させるか又はテレフ
タル酸とエチレンオキサイドとを反応させるかしてテレ
フタル酸のグリコールエステルおよび/又はその低重合
体を生成させる第一段階の反応と、第一段階の反応生成
物を減圧下加熱して所望の重合度になるまで重縮合反応
させる第二段階の反応によって製造される。
【0019】上記ポリエステルに共重合されるスルホン
酸塩基を有する二官能性カルボン酸(B)は、上記一般
式(I)および(II)で表わされるエステル形成性官能
基を有するスルホン酸化合物である。
【0020】上記一般式(I)において、Aは芳香族基
又は脂肪族基を示し、なかでも芳香族基が好ましい。X
1 はエステル形成性官能基を示し、具体例として
【0021】
【化5】
【0022】(但し、R′は低級アルキル基またはフェ
ニル基、aおよびdは1以上の整数、bは2以上の整数
である。)等をあげることができる。ここで、X2 はX
1 と同一若しくは異なってエステル形成性官能基又は水
素原子を示し、なかでもエステル形成性官能基であるこ
とが好ましい。
【0023】すなわち、上記式(I)で表わされるスル
ホン酸ホスホニウム塩化合物は、ポリエステルの主鎖中
あるいは末端のどちらに共重合されていてもよいが、主
鎖中に共重合されていることが好ましい。R1 、R2
3 およびR4 はアルキル基およびアリール基よりなる
群から選ばれた同一又は異なる基を示す。mは正の整数
である。
【0024】かかるスルホン酸ホスホニウム塩化合物
は、一般に対応するスルホン酸とホスフィン類との反
応、又は対応するスルホン酸金属塩とホスホニウムハラ
イド類との反応により容易に合成できる。
【0025】上記スルホン酸ホスホニウム塩化合物の好
ましい具体例としては、3,5―ジカルボキシベンゼン
スルホン酸テトラブチルホスホニウム塩、3,5―ジカ
ルボキシベンゼンスルホン酸エチルトリブチルホスホニ
ウム塩、3,5―ジカルボキシベンゼンスルホン酸ベン
ジルトリブチルホスホニウム塩、3,5―ジカルボキシ
ベンゼンスルホン酸フェニルトリブチルホスホニウム
塩、3,5―ジカルボキシベンゼンスルホン酸テトラフ
ェニルホスホニウム塩、3,5―ジカルボキシベンゼン
スルホン酸ブチルトリフェニルホスホニウム塩、3,5
―ジカルボキシベンゼンスルホン酸ベンジルトリフェニ
ルホスホニウム塩、3,5―ジカルボキシベンゼンスル
ホン酸テトラブチルホスホニウム塩、3,5―ジカルボ
キシベンゼンスルホン酸エチルトリブチルホスホニウム
塩、3,5―ジカルボキシベンゼンスルホン酸ベンジル
トリブチルホスホニウム塩、3,5―ジカルボキシベン
ゼンスルホン酸フェニルトリブチルホスホニウム塩、
3,5―ジカルボキシベンゼンスルホン酸テトラフェニ
ルホスホニウム塩、3,5―ジカルボキシベンゼンスル
ホン酸エチルトリフェニルホスホニウム塩、3,5―ジ
カルボキシベンゼンスルホン酸ブチルトリフェニルホス
ホニウム塩、3,5―ジカルボキシベンゼンスルホン酸
ベンジルトリフェニルホスホニウム塩、3―カルボキシ
ベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩、3―
カルボキシベンゼンスルホン酸テトラフェニルホスホニ
ウム塩、3―カルボメトキシベンゼンスルホン酸テトラ
ブチルホスホニウム塩、3―カルボメトキシベンゼンス
ルホン酸テトラフェニルホスホニウム塩、3,5―ジ
(β―ヒドロキシエトキシカルボニル)ベンゼンスルホ
ン酸テトラブチルホスホニウム塩、3,5―ジ(β―ヒ
ドロキシエトキシカルボニル)ベンゼンスルホン酸テト
ラフェニルホスホニウム塩、3―(β―ヒドロキシエト
キシカルボニル)ベンゼンスルホン酸テトラブチルホス
ホニウム塩、3―(β―ヒドロキシエトキシカルボニ
ル)ベンゼンスルホン酸テトラフェニルホスホニウム
塩、4―ヒドロキシエトキシベンゼンスルホン酸テトラ
ブチルホスホニウム塩、2,6―ジカルボキシナフタレ
ン―4―スルホン酸テトラブチルホスホニウム塩、α―
テトラブチルホスホニウムスルホコハク酸等をあげるこ
とができる。上記スルホン酸ホスホニウム塩は1種のみ
を単独で用いても、2種以上併用してもよい。
【0026】上記スルホン酸ホスホニウム塩化合物をポ
リエステルに共重合するには、前述したポリエステルの
合成が完了する以前の任意の段階で、好ましくは第2段
階の反応の初期以前の任意の段階で添加すればよい。ス
ルホン酸ホスホニウム塩化合物をポリエステルに共重合
させる割合は、上記(A)成分の量を基準として0.4
〜10モル%の範囲であり、0.5〜5モル%の範囲が
好ましい。共重合割合が0.4モル%より少ないと、得
られる改質ポリエステルをカチオン染料で染色した際の
鮮明発色性が不十分になり、10モル%より多くなると
鮮明発色性は最早著しい向上を示さず、かえって改質ポ
リエステルの強度等の物性や耐アルカリ性が低下し、本
発明の目的を達成し難くなる。
【0027】上記式(II)において、R5 およびR6
同一又は異なって、水素原子、―(CH2 )nH又は―
(CH2 )nOHである。nは1〜6の整数であり、好
ましくは1〜4の整数であり、なかでも1又は2である
のが特に好ましい。Mはアルカリ金属であり、なかでも
Na、Li、Kが好ましい。
【0028】上記一般式(II)で示されるスルホン酸金
属塩化合物の好ましい具体例としては、Naスルホテレ
フタル酸ジメチル、Naスルホテレフタル酸、Naスル
ホテレフタル酸ビス(β―ヒドロキシエチル)、Liス
ルホテレフタル酸ジメチル、Liスルホテレフタル酸、
Liスルホテレフタル酸ビス(β―ヒドロキシエチ
ル)、Kスルホテレフタル酸ジメチル、Kスルホテレフ
タル酸、Kスルホテレフタル酸ビス(β―ヒドロキシエ
チル)、Naスルホテレフタル酸ビス(δ―ヒドロキシ
ブチル)等をあげることができる。上記スルホン酸金属
塩化合物は1種のみを単独で用いても、2種以上併用し
てもよい。
【0029】上記スルホン酸金属塩化合物をポリエステ
ルに共重合するには、前述したポリエステルの合成が完
了する以前の任意の段階で、好ましくは第2段階の反応
の初期以前の任意の段階で添加すればよい。この場合、
前期のスルホン酸ホスホニウム塩化合物の添加時期との
関係は任意でよく、両者を別々に添加しても、予め混合
して同時に添加してもよい。
【0030】かかるスルホン酸金属塩化合物をポリエス
テルに共重合させる割合は、上記(A)成分の量を基準
として0.1〜5モル%の範囲であり、0.2〜3モル
%の範囲が好ましい。0.1モル%未満では得られる改
質ポリエステルの鮮明発色性と耐アルカリ性とを改良す
る効果が不充分であり、また白度および耐光性の改善効
果も不充分である。逆にこの共重合割合が5モル%を越
えると、鮮明発色性と耐アルカリ性とを改良する効果は
最早著しい向上を示さず、かえって共重合ポリエステル
の溶融粘度が顕著に増加するようになり、最終的に得ら
れる改質ポリエステルの強度等の物性や極細曳糸性が低
下するようになる。
【0031】本発明の共重合ポリエステルにあっては、
前記スルホン酸ホスホニウム塩化合物と上記スルホン酸
金属塩化合物との合計量は上記(A)成分の量を基準と
して0.5〜12モル%の範囲であるのが好ましい。
0.5モル%未満ではカチオン染料で染色した際の鮮明
染色性が不充分になり、逆に12モル%を越えると得ら
れる改質ポリエステルの強度等の物性が低下する傾向が
ある。 なお、本発明の組成物には、必要に応じて酸化
防止剤、紫外線吸収剤、難燃剤、蛍光増白剤、艶消剤、
着色剤、その他の添加剤等を配合してもよい。
【0032】本発明の改質ポリエステルから繊維を製造
する場合には、任意の製糸条件を何等の支障なく採用す
ることができる。例えば500〜2500m/分の速度
で溶融紡糸し、延伸・熱処理する方法、1500〜50
00m/分の速度で溶融紡糸し、延伸と仮撚加工とを同
時に又は続いて行う方法、5000m/分以上の高速で
溶融紡糸し、用途によっては延伸を省略する方法、など
の任意の製糸条件を採用することができる。この際、得
られる繊維の断面形状および繊度は任意でよい。
【0033】また、本発明の改質ポリエステルは、フイ
ルムやシートの製造にも使用することができ、この際任
意の成形条件を何等の支障なく採用することができる。
例えば製膜後一方向のみに張力を作用させて異方性膜を
製造する方法、同時に又は任意の順序で膜を二方向に延
伸する方法、および膜を2段以上に多段延伸する方法等
を任意の条件で採用することができる。
【0034】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のカチオン
染料可染性の改質ポリエステルによれば通常の未改質ポ
リエステルと同等の強度等の物性と1デニール以下の極
細繊維曵糸性とを合わせ有すると共に、カチオン染料で
染色した際の鮮明発色性と耐アルカリ性とが同時に改善
されるという従来例を見ない効果が奏される。従って、
本発明の改質ポリエステルは特に繊維になした場合に有
用である。本発明の改質ポリエステルから得られる繊維
はナイロンを凌駕する色彩の鮮明発色性と強度と柔らか
さとを合わせ有するため、スキーウエア、ウインドブレ
ーカー、水着などのスポーツ用途において特に有用に使
用することができる。更に、耐アルカリ性に優れている
ため、通常の未改質ポリエステル繊維よりなる織編物に
おいて広く行なわれているアルカリ減量加工を困難なく
施すこともでき、絹様のソフトで良好な風合を容易に得
ることができる。
【0035】また、本発明の改質ポリエステル繊維と通
常の未改質ポリエステル繊維とを交織や交編して織編物
になしてアルカリ減量加工した後、カチオン染料と分散
染料とで染色することによって、優れた風合表現と異色
染めや霜降り効果等の高級色彩表現とが同時に可能にな
り、特にファッション性を重視する婦人衣料分野やスポ
ーツ衣料分野で有用である。
【0036】更に、本発明の改質ポリエステルから得ら
れるフイルムやシートは、強度に優れると共に優れた制
電性、吸水性、印刷性、接着性、耐アルカリ性等を有す
るので極めて有用である。
【0037】
【実施例】本発明を具体的な実施例をあげて、更に詳細
に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるも
のではない。実施例中の部および%はそれぞれ重量部お
よび重量%を示す。ポリマーの固有粘度[η]は35℃
のオルソクロルフェノール溶液で測定した値から求め
た。また、染色布の視感染色性とアルカリ溶解速度定数
は以下の方法で測定した。
【0038】(1)染色布の視感染色性 染色布のL値、a値、b値をミノルタ色彩色差計
CR―200(ミノルタカメラ販売(株))を用いて測
定し、深色度(L)および彩度{(a*2
*21/2 }により深色性と鮮明発色性を求めた。深色
度が小さいほど深色性が大きく、また彩度が大きいほど
鮮明発色性が大きいことを示す。
【0039】(2)アルカリ溶解速度定数k 本発明でいうアルカリ溶解速度定数は、下記式により定
義される。
【0040】
【数1】
【0041】[但し、R:t秒後の不溶解重量分率
(%)、t:処理時間(秒)、k:アルカリ溶解速度定
数(cm/秒)、De:糸条を構成する単糸の処理前の
繊度(デニール)、ρ:単糸の密度]
【0042】本発明におけるアルカリ溶解速度定数は、
下記のようにして求めた。
【0043】ポリマーを常法により乾燥し、孔径0.3
mmの円形紡糸孔を24個穿設した紡糸口金を使用して
紡糸速度1100m/分にて285℃で紡糸し、次いで
最終的に得られる延伸糸の伸度が30%になるような延
伸倍率で、延伸速度1200m/分にて、84℃の加熱
ローラーと180℃のプレートヒーターを使って延伸熱
処理を行い、75デニール/24フィラメントの延伸糸
を得る。得られた延伸糸をメリヤス編地となし、常法に
より精練、プリセット(180℃×45秒)後1.0%
の水酸化ナトリウム水溶液で沸騰温度にて4時間処理
し、減量率(溶解重量分率)を求める。この溶解重量分
率の値を用いて、上記式よりアルカリ溶解速度定数kを
算出する。
【0044】
【実施例1〜5および比較例1〜2】テレフタル酸ジメ
チル100部、エチレングリコール60部、酢酸マンガ
ン4水塩0.03部(テレフタル酸ジメチルに対して
0.024モル%)、整色剤として酢酸コバルト4水塩
0.009部(テレフタル酸ジメチルに対して0.00
7モル%)、カチオン染料可染化剤として3,5―ジカ
ルボメトキシベンゼンスルホン酸テトラ―n―ブチルホ
スホニウム塩およびNaスルホテレフタル酸ジメチルの
それぞれ表1に記載した量(テレフタル酸ジメチルに対
するモル%で表示)、安定剤としてテレフタル酸ジメチ
ルに対して0.050モル%となる量のテトラエチルア
ンモニウムハイドロオキサイドおよびエーテル形成抑制
剤としてテレフタル酸ジメチルに対して0.050モル
%となる量の酢酸ナトリウム3水塩をエステル交換缶に
仕込み、窒素ガス雰囲気下4時間かけて140℃から2
20℃まで昇温して生成するメタノールを系外に留去し
ながらエステル交換反応させた。続いて得られた生成物
に正リン酸の56%水溶液0.036部(テレフタル酸
ジメチルに対して0.040モル%)を添加し、同時に
過剰のエチレングリコールの昇温追出しを開始した。1
0分後重縮合触媒として三酸化アンチモン0.04部
(テレフタル酸ジメチルに対して0.027モル%)を
添加した。内温が240℃に達した時点でエチレングリ
コールの追出しを終了し、反応生成物を重合缶に移し
た。次いで1時間かけて760mmHgから1mmHg
まで減圧し、同時に1時間30分かけて内温を240℃
から280℃まで昇温した。1mmHg以下の減圧下、
重合温度280℃で攪拌電力が所定の値に達するまで更
に重合した。反応終了後ポリマーを常法に従ってチップ
化した。得られたポリマーの固有粘度[η]は表1に記
載のとおりであった。
【0045】得られたポリマーを常法により乾燥し、孔
径0.3mmの円形紡糸孔を24個穿設した紡糸口金を
使用して紡糸速度1100m/分にて285℃で紡糸
し、次いで得られる延伸糸の伸度が30%になるような
延伸倍率で、延伸速度1200m/分にて、84℃の加
熱ローラーと180℃のプレートヒーターを使って延伸
・熱処理を行い、75デニール/24フィラメントの延
伸糸を得た。得られた延伸糸の強度およびアルカリ溶解
速度定数を表1に示す。
【0046】得られた延伸糸を常法に従ってメリヤス編
地に製編し、常法により精練、プリセットした後、Cath
ilon Blue CD―FRLH/Cathilon Blue CD―FB
LH=1/1(保土谷化学(株)製)2%owt、芒硝
3g/L、酢酸0.3g/Lを含む染浴中にて130℃
で60分間染色し、その後常法に従ってソーピングして
青色布を得た。表1に染色布の深色度および彩度を示し
た。
【0047】
【実施例6】実施例1でカチオン染料可染化剤として使
用した3,5―ジカルボメトキシベンゼンスルホン酸テ
トラ―n―ブチルホスホニウム塩に代えて3,5―ジ
(β―ヒドロキシエトキシカルボニル)ベンゼンスルホ
ン酸テトラ―n―ブチルホスホニウム塩を用いると共に
その添加時期をエステル交換反応終了後とする以外は実
施例1と同様に行った。結果を表1に示す。
【0048】
【実施例7】実施例1でカチオン染料可染化剤として使
用した3,5―ジカルボメトキシベンゼンスルホン酸テ
トラ―n―ブチルホスホニウム塩およびNaスルホテレ
フタル酸ジメチルに代えてそれぞれ3,5―ジカルボメ
トキシベンゼンスルホン酸テトラフェニルホスホニウム
塩およびKスルホテレフタル酸を使用する以外は実施例
1と同様に行った。結果は表1に示した通りであった。
【0049】
【比較例3】実施例1でカチオン染料可染化剤として使
用したNaスルホテレフタル酸ジメチルに代えてNaス
ルホイソフタル酸ジメチルを使用する以外は実施例1と
同様に行った。結果を表1に示した。
【0050】
【表1】
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成5年7月8日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0025
【補正方法】変更
【補正内容】
【0025】上記スルホン酸ホスホニウム塩化合物の好
ましい具体例としては、3,5―ジカルボキシベンゼン
スルホン酸テトラブチルホスホニウム塩、3,5―ジカ
ルボキシベンゼンスルホン酸エチルトリブチルホスホニ
ウム塩、3,5―ジカルボキシベンゼンスルホン酸ベン
ジルトリブチルホスホニウム塩、3,5―ジカルボキシ
ベンゼンスルホン酸フェニルトリブチルホスホニウム
塩、3,5―ジカルボキシベンゼンスルホン酸テトラフ
ェニルホスホニウム塩、3,5―ジカルボキシベンゼン
スルホン酸ブチルトリフェニルホスホニウム塩、3,5
―ジカルボキシベンゼンスルホン酸ベンジルトリフェニ
ルホスホニウム塩、3,5―ジカルボメトキシベンゼン
スルホン酸テトラブチルホスホニウム塩、3,5―ジカ
ルボメトキシベンゼンスルホン酸エチルトリブチルホス
ホニウム塩、3,5―ジカルボメトキシベンゼンスルホ
ン酸ベンジルトリブチルホスホニウム塩、3,5―ジカ
ルボメトキシベンゼンスルホン酸フェニルトリブチルホ
スホニウム塩、3,5―ジカルボメトキシベンゼンスル
ホン酸テトラフェニルホスホニウム塩、3,5―ジカル
メトキシベンゼンスルホン酸エチルトリフェニルホス
ホニウム塩、3,5―ジカルボメトキシベンゼンスルホ
ン酸ブチルトリフェニルホスホニウム塩、3,5―ジカ
ルボメトキシベンゼンスルホン酸ベンジルトリフェニル
ホスホニウム塩、3―カルボキシベンゼンスルホン酸テ
トラブチルホスホニウム塩、3―カルボキシベンゼンス
ルホン酸テトラフェニルホスホニウム塩、3―カルボメ
トキシベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム
塩、3―カルボメトキシベンゼンスルホン酸テトラフェ
ニルホスホニウム塩、3,5―ジ(β―ヒドロキシエト
キシカルボニル)ベンゼンスルホン酸テトラブチルホス
ホニウム塩、3,5―ジ(β―ヒドロキシエトキシカル
ボニル)ベンゼンスルホン酸テトラフェニルホスホニウ
ム塩、3―(β―ヒドロキシエトキシカルボニル)ベン
ゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩、3―(β
―ヒドロキシエトキシカルボニル)ベンゼンスルホン酸
テトラフェニルホスホニウム塩、4―ヒドロキシエトキ
シベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩、
2,6―ジカルボキシナフタレン―4―スルホン酸テト
ラブチルホスホニウム塩、α―テトラブチルホスホニウ
ムスルホコハク酸等をあげることができる。上記スルホ
ン酸ホスホニウム塩は1種のみを単独で用いても、2種
以上併用してもよい。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 スルホン酸塩基を有しない、少なくとも
    1種の二官能性カルボン酸(A)と少なくとも1種のグ
    リコールとからなるポリエステルに、スルホン酸塩基を
    有する二官能性カルボン酸(B)が共重合されている改
    質ポリエステルにおいて、該(B)成分として、下記一
    般式(I)および(II)で表わされるエステル形成性官
    能基を有するスルホン酸化合物が、該(A)成分の量を
    基準として、それぞれ0.4〜10モル%および0.1
    〜5モル%共重合されていることを特徴とする改質ポリ
    エステル。 【化1】 [式中、Aは芳香族基又は脂肪族基である。X1 はエス
    テル形成性官能基、X2はX1 と同一若しくは異なって
    エステル形成性官能基又は水素原子である。R1
    2 、R3 およびR4 はアルキル基およびアリール基よ
    りなる群から選ばれた同一又は異なる基である。mは正
    の整数である。] 【化2】 [式中、R5 およびR6 は同一又は異なって、水素原
    子、―(CH2 )nH又は―(CH2 )nOH(ここで
    nは1〜6の整数である)である。Mはアルカリ金属で
    ある。]
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の改質ポリエステルを溶
    融紡糸してなる改質ポリエステル繊維。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPWO2009088008A1 (ja) * 2008-01-08 2011-05-26 帝人ファイバー株式会社 常圧カチオン可染性ポリエステル及び繊維
JP2012087111A (ja) * 2010-10-18 2012-05-10 Monda Shashingata Seisakusho:Kk 2−スルホテレフタル酸ジメチルナトリウムの合成とテレフタル酸ジメチルとエチレングリコ−ルの重縮合系への添加

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JP2012087111A (ja) * 2010-10-18 2012-05-10 Monda Shashingata Seisakusho:Kk 2−スルホテレフタル酸ジメチルナトリウムの合成とテレフタル酸ジメチルとエチレングリコ−ルの重縮合系への添加

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