JP2525443B2 - 改質ポリエステル繊維の染色法 - Google Patents

改質ポリエステル繊維の染色法

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JP2525443B2 JP63015848A JP1584888A JP2525443B2 JP 2525443 B2 JP2525443 B2 JP 2525443B2 JP 63015848 A JP63015848 A JP 63015848A JP 1584888 A JP1584888 A JP 1584888A JP 2525443 B2 JP2525443 B2 JP 2525443B2
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Description

【発明の詳細な説明】 <産業上の利用分野> 本発明は改質ポリエステル繊維の染色法、更に詳しく
はエステル形成性スルホン酸4級ホスホニウム塩化合物
を共重合した改質ポリエステル繊維を高温で繊維劣化少
なく染色する方法に関する。
<従来の技術> ポリエステルは多くの優れた特性を有するがゆえに繊
維として広く用いられているが、染色性が低く、特に分
散染料以外の染料には染色困難である。この染色性を改
良するために種々の提案がなされている。その一つとし
て従来からスルホン酸金属塩基を含有するイソフタル酸
成分、例えば5−ナトリウムスルホイソフタル酸成分を
ポリエステルに共重合することによりカチオン染料で染
色可能にする方法が知られている(特公昭34−10497号
公報参照)。かかるスルホン酸金属塩化合物を共重合し
た改質ポリエステル繊維は、染色時の高温によって容易
に加水分解して重合度が下がり、そのため繊維強度が低
下するという致命的な欠点があった。しかし、かかる欠
点は、染色温度を120℃に下げる(通常の分散染料によ
る未改質ポリエステル繊維の染色温度は130〜140℃)と
共に、染浴中に硫酸ナトリウムを添加することによって
実際上回避することができた(Du Pont:Technical Info
rmation Bulletin D−257(March1972),D−267(Decem
ber1972)参照)。このような硫酸ナトリウムによる5
−ナトリウムスルホイソフタル酸共重合ポリエステル繊
維の加水分解抑止効果は、硫酸ナトリウムのイオンバリ
ヤー効果によると考えられている。
かくして、上記のカチオン染色可染型改質ポリエステ
ル繊維は一応実用に供し得るレベルに到達した。しかし
ながら、この方法では、スルホン酸金属塩基を有するイ
ソフタル酸成分を染色性を満足なレベルに上げるに必要
な量共重合すると、該スルホン酸金属塩基を有するイソ
フタル酸成分の増粘作用のため、重合反応物の溶融粘度
が著しく増大し、重合度を充分にあげることが困難にな
ると同時に、紡糸をも困難にならしめていた。従って、
かかる量のスルホン酸金属塩基を有するイソフタル酸成
分を共重合した改質ポリエステルの溶融粘度を、重合が
容易で且つ紡糸ができる範囲にまで低下させておくため
に、改質ポリエステルの重合度を低くしておく必要があ
る。その結果得られる糸強度が染色前の段階で既に低い
ものであり、これが得られたカチオン染料可染型ポリエ
ステル繊維の用途を著しく制限している。
一方、カチオン染料可染化剤としてスルホン酸4級ホ
スホニウム塩基を有するイソフタル酸成分を用いる方法
が知られている(特公昭47−22334号公報,米国特許第
3,732,183号明細書参照)。この方法によれば重合反応
中での増粘作用が小さいので、改質ポリエステルの重合
度を高くしても、溶融粘度が通常紡糸できる範囲におさ
えられる。このため高強度のカチオン染料可染型ポリエ
ステル繊維が容易に得られるようになり、また染色時の
高温によっても容易に加水分解して重合度が下がるよう
なことはない。従って、かかるスルホン酸4級ホスホニ
ウム塩を有するイソフタル酸を用いる方法によって得ら
れるカチオン染料可染型ポリエステル繊維は、カチオン
染料が有する鮮明発色性と非転染という長所に加えて糸
の高強力を活用して、例えばスポーツウエア分野等への
用途拡大の可能性がある。
<発明が解決しようとする問題点> しかしながら、かかるスルホン酸4級ホスホニウム塩
を有するイソフタル酸を用いてなるカチオン染料可染型
ポリエステル繊維といえども、染色工程の効率化をはか
ろうとして、分散染料による未改質ポリエステル繊維の
通常の染色温度である130〜140℃の範囲の染色条件を採
用しようとすると、少なからず加水分解による重合度低
下が起こるようになり、繊維強度の低下が顕在化してス
ポーツウエア分野等の高強力を要求される分野での使用
が制限されるという問題が生じる。
本発明者は上記問題を解決しようとして、前述のスル
ホン酸金属塩基を有するイソフタル酸成分を共重合した
改質ポリエステル繊維において、繊維劣化防止のために
通常採用されている染色時に硫酸ナトリウムを存在せし
める方法を、上記スルホン酸4級ホスホニウム塩化合物
を共重合したポリエステル繊維の130℃のカチオン染色
に試みた。その結果、硫酸ナトリウムを無水塩として3
〜6g/(42〜85ミリ当量/)の範囲の量使用すれ
ば、繊維の加水分解は相当程度防止できるものの、かか
る多量の硫酸ナトリウムを使用するため、その塩析作用
によってカチオン染料が容易に凝集してフロックを形成
し、そのため斑染が多発し、均一染色が不可能であるこ
とを知った。更に、通常の市販の硫酸ナトリウムを使用
した場合、その中に含有される微量の不純物によるため
か、カチオン染料が分解して、所望の色彩が得られない
ことがあり、工業的に行うためにはその工程管理が極め
て困難であることを知った。
本発明者は、上記問題点を克服して、130℃の染色に
おいても繊維劣化が充分に少なく且つ高品位の均一カチ
オン染色を工業的に安定して行い得る、スルホン酸4級
ホスホニウム塩化合物を共重合したカチオン染料可染型
ポリエステル繊維の染色法を確立せんとして鋭意検討を
行った。その結果、該ポリエステル繊維の染色時に4級
アンモニウム塩及び/又は4級ホスホニウム塩を使用す
れば、1〜10ミリ当量/の範囲の少量使用するだけ
で、130℃染色における繊維の劣化が充分に防止される
ことを知った。更に、4級アンモニウム塩及び/又は4
級ホスホニウム塩の場合にはたとえ50〜100ミリ当量/
の範囲の多量使用してもカチオン染料の凝集やフロッ
ク形成が起こらず、均一な高品位染色を安定して行うこ
とができ、上記目的が達成できることを知った。
4級アンモニウム化合物を使用するポリエステル繊維
の処理方法としては、特定の4級アンモニウム塩とアリ
カリ金属又はアリカリ土類金属の水酸化物を0.001〜0.4
%(重量)含む水溶液中で90℃より高く140℃より低い
温度で処理することによるポリエステル繊維のピリング
防止方法が知られている(特公昭47−29476号公報参
照)が、この場合は、ポリエステルの重合度低下を促進
して繊維を低強度化するために4級アンモニウム塩が使
用されているのであって上記の如くスルホン酸4級ホス
ホニウム塩化合物を共重合したポリエステル繊維に限っ
て、4級アンモニウム化合物の水溶液で処理すると重合
度低下がかえって阻止されることは驚くべきことであ
る。
なお、かかる繊維劣化の防止効果は、染色中の重合度
低下が大きい130℃以上の染色において特に有効ではあ
るが、染色中の重合度低下が少ないとはいえ120℃以下
の染色においても相応な効果を奏することはできる。
本発明者はこれらの知見に基づいて、更に重ねて検討
した結果本発明を完成した。
<発明の構成> 即ち、本発明はエステル形成性スルホン酸4級ホスホ
ニウム塩化合物を共重合した改質ポリエステル繊維を染
色するに際し、染浴中に4級アンモニウム化合物及び/
又は4級ホスホニウム化合物を0.5〜50ミリ当量/と
なる範囲の量存在せしめることを特徴とする改質ポリエ
ステル繊維の染色方法である。
本発明でいうポリエステルは、テレフタル酸を主たる
酸成分とし、少なくとも1種のグリコール、好ましくは
エチレングリコール,トリメチレングリコール,テトラ
メチレングリコールから選ばれた少なくとも1種のアル
キレングリコールを主たるグリコール成分とするポリエ
ステルを主たる対象とする。
また、テレフタル酸成分の一部を他の二官能性カルボ
ン酸成分で置換えたポリエステルであってもよく、及び
/又はグリコール成分の一部を主成分以外の上記グリコ
ール若しくは他のジオール成分で置換えたポリエステル
であってもよい。
ここで使用されるテレフタル酸以外の二官能性カルボ
ン酸としては、例えばイソフタル酸,ナフタリンジカル
ボン酸,ジフェニルジカルボン酸,ジフェノキシエタン
ジカルボン酸,β−ヒドロキシエトキシ安息香酸,p−オ
キシ安息香酸,アジピン酸,セバシン酸,1,4−シクロヘ
キサンジカルボン酸の如き芳香族,脂肪族,脂環族の二
官能性カルボン酸をあげることができる。更に本発明の
効果が実質的に奏せられる範囲で5−ナトリウムスルホ
イソフタル酸等のスルホン酸金属塩基を有するイソフタ
ル酸を共重合成分として用いてもよいが、この場合、そ
の使用量をテレフタル酸成分に対して1.8モル%未満の
量に抑えることが望ましい。
また、上記グリコール以外のジオール化合物としては
例えばシクロヘキサン−1,4−ジメタノール,ネオペン
チルグリコール,ビスフェノールA,ビスフェノールSの
如き脂肪族,脂環族,芳香族のジオール化合物及びポリ
オキシアルキレングリコール等をあげることができる。
更に、ポリエステルが実質的に線状である範囲でトリ
メリット酸,ピロメリット酸の如きポリカルボン酸、グ
リセリン,トリメチロールプロパン,ペンタエリスリト
ールの如きポリオールを使用することができる。
かかるポリエステルは任意の方法によって合成したも
のでよい。例えばポリエチレンテレフタレートについて
説明すれば、通常、テレフタル酸とエチレングリコール
とを直接エステル化反応させるか、テレフタル酸ジメチ
ルの如きテレフタル酸の低級アルキルエステルとエチレ
ングリコールとをエステル交換反応させるか又はテレフ
タル酸とエチレンオキサイドとを反応させるかしてテレ
フタル酸のグリコールエステル及び/又はその低重合体
を生成させる第1段階の反応と、第1段階の反応生成物
を減圧下加熱して所望の重合度になるまで重縮合反応さ
せる第2段階の反応によって製造される。
本発明の方法におけるポリエステル繊維は、上記基体
ポリエステルにエステル形成性スルホン酸4級ホスホニ
ウム塩化合物が共重合されている。かかるエステル形成
性スルホン酸4級ホスホニウム塩化合物としては上記基
体ポリエステルと共重合可能な化合物であれば特に限定
する必要はなく、すべてのエステル形成性スルホン酸4
級ホスホニウム塩化合物が使用できるが、なかでも下記
一般式(I) で表わされるスルホン酸4級ホスホニウム塩を好ましい
ものとしてあげることができる。上記一般式中、Z1は芳
香族基又は脂肪族基を示し、なかでも芳香族基が好まし
い。A1はエステル形成性官能基を示し、具体例として CH2 aOH, −OCH2 O(CH2 dOH, (但し、R′は低級アルキル基又はフェニル基、a及び
dは1以上の整数、bは2以上の整数である)等をあげ
ることができる。A2はA1と同一若しくは異なるエステル
形成性官能基又は水素原子を示し、なかでもエステル形
成性官能基であることが好ましい。R1,R2,R3及びR4はア
ルキル基及びアリール基よりなる群から選ばれた同一又
は異なる基を示し、mは正の整数である。
かかるスルホン酸4級ホスホニウム塩は、一般に対応
するスルホン酸とホスフィン類との反応又は対応するス
ルホン酸金属塩とホスホニウムハライド類との反応によ
り容易に合成できる。
上記スルホン酸4級ホスホニウム塩の好ましい具体例
としては、3,5−ジカルボキシベンゼンスルホン酸テト
ラブチルホスホニウム塩,3,5−ジカルボキシベンゼンス
ルホン酸エチルトリブチルホスホニウム塩,3,5−ジカル
ボキシベンゼンスルホン酸ベンジルトリブチルホスホニ
ウム塩,3,5−ジカルボキシベンゼンスルホン酸フェニル
トリブチルホスホニウム塩,3,5−ジカルボキシベンゼン
スルホン酸テトラフェニルホスホニウム塩,3,5−ジカル
ボキシベンゼンスルホン酸エチルトリフェニルホスホニ
ウム塩,3,5−ジカルボキジンゼンスルホン酸ブチルトリ
フェニルホスホニウム塩,3,5−ジカルボキシベンゼンス
ルホン酸ベンジルトリフェニルホスホスニウム塩,3,5−
ジカルボメトキシベンゼンスルホン酸テトラブチルホス
ホニウム塩,3,5−ジカルボメトキシベンゼンスルホン酸
エチルトリブチルホスホニウム塩,3,5−ジカルボメトキ
シベンゼンスルホン酸ベンジルトリブチルホスホニウム
塩,3,5−ジカルボメトキシベンゼンスルホン酸フェニル
トリブチルホスホニウム塩,3,5−ジカルボメトキシベン
ゼンスルホン酸テトラフェニルホスホニウム塩,3,5−ジ
カルボメトキシベンゼンスルホン酸エチルトリフェニル
ホスホニウム塩,3,5−ジカルボメトキシベンゼンスルホ
ン酸ブチルリフェニルホスホニウム塩,3,5−ジカルボメ
トキシベンゼンスルホン酸ベンジルトリフェニルホスホ
ニウム塩,3,−カルボキシベンゼンスルホン酸テトラブ
チルホスホニウム塩,3−カルボキシベンゼンスルホン酸
テトラフェニルホスホニウム塩,3−カルボメトキシベン
ゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩,3−カルボ
メトキシベンゼンスルホン酸テトラフェニルホスホニウ
ム塩,3,5−ジ(β−ヒドロキシエトキシカルボニル)ベ
ンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩,3,5−ジ
(β−ヒドロキシエトキシカルボニル)ベンゼンスルホ
ン酸テトラフェニルホスホニウム塩,3−(β−ヒドロキ
シエトキシカルボニル)ベンゼンスルホン酸テトラブチ
ルホスホスニウム塩,3−(β−ヒドロキシエトキシカル
ボニル)ベンゼンスルホン酸テトラフェニルホスホニウ
ム塩,4−ヒドロキシエトキシベンゼンスルホン酸テトラ
ブチルホスホニウム塩,2,6−ジカルボキシナフタレン−
4−スルホン酸テトラブチルホスホスニウム塩,α−テ
トラブチルホスホニウムスルホコハク酸等をあげること
ができる。上記スルホン酸4級ホスホニウム塩は1種の
みを単独で用いても2種以上併用してもよい。
上記スルホン酸4級ホスホニウム塩をポリエステルに
共重合するには、前述したポリエステルの合成が完了す
る以前の任意の段階で、好ましくは第1段の反応が終了
する以前の任意の段階で添加すればよい。スルホン酸4
級ホスホニウム塩をポリエステルに共重合させる割合
は、ポリエステルを構成する二官能性カルボン酸成分
(スルホン酸塩を除く)に対して0.5〜10モル%の範囲
が好ましい。共重合割合が0.5モル%より少いと、得ら
れる共重合ポリエステルのカチオン染料に対する染色性
が不充分になる傾向があり、10モル%より多くなるとカ
チオン染色性は最早著しい向上を示さず、かえってポリ
エステルの物性が低下し、本発明の目的を達成し難くな
る。
本発明の方法においては、前述したようにスルホン酸
4級ホスホニウム塩が耐熱性に劣る傾向があるために、
任意の耐熱性向上剤を使用することができ、それはむし
ろ好ましいことである。かかる耐熱性向上剤としては、
先に本発明者が提案したクマリン化合物,第4級ホスホ
ニウム化合物,第4級アンモニウム化合物等をあげるこ
とができる(特願昭61−171496号,特願昭62−64390
号,特願昭62−113639号明細書参照)。
上記エステル形成性スルホン酸4級ホスホニウム塩化
合物を共重合したポリエステルは溶融紡糸することによ
って繊維となされるが、その際格別な方法を採用する必
要はなく、ポリエステル溶融紡糸方法を任意に用いるこ
とができる。紡出する繊維は中空部を有しない中実繊維
であっても、また中空部を有する中空繊維であってもよ
く、その横断面における外形や中空部の形状は円形であ
っても異形であってもよい。更に、紡糸するに際して、
上記のエステル形成性スルホン酸4級ホスホニウム塩化
合物を共重合した改質ポリエステルと共重合しない未改
質ポリエステルとを使用し、いずれか一方を鞘成分とし
他方を芯成分とする芯鞘型複合繊維にしても、改質ポリ
エステルと未改質ポリエステルとを用いて2層又はそれ
以上の多層のサイド・バイ・サイド型複合繊維にしても
よい。
かくして得られる改質ポリエステル繊維は、必要に応
じて延伸熱処理や仮撚加工等を施した後、更に布帛にし
た後、更にアルカリ減量加工処理を施した後カチオン染
料及び/又は分散染料を用いて染色される。(本発明の
方法における改質ポリエステル繊維はカチオン染料可染
であるとともに分散染料可染でもある。) 本発明の方法においては、染色時に染浴中に4級アン
モニウム化合物及び/又は4級ホスホニウム化合物の特
定量を存在せしめることが必要である。ここで使用する
4級アンモニウム化合物及び4級ホスホニウム化合物と
しては特に制限する必要はなく、すべての4級アンモニ
ウム化合物及び4級ホスホニウム化合物が使用できる
が、なかでも下記一般式(II)で示される化合物を好ま
しいものとしてあげることができる。
式中、Vは窒素原子又はリン原子であり、R1,R2,R3
びR4はアルキル基,シクロアルキル基,アリール基,ア
ラルキル基又はこれらの置換誘導体であり、これらは同
一でも異なっていてもよく、またR3とR4とは環を形成し
ていてもよい。Xはアニオン残基であり、なかでもハラ
イド,ハイドロオキサイド,ハイドロサルフェート,ア
ルキルサルフェート,アルキルエーテルサルフェート,
アルキルスルホネート,アルキルベンゼンスルホネー
ト,酢酸塩,脂肪酸塩のアニオン残基が好ましい。
かかる4級アンモニウム化合物及び4級ホスホニウム
化合物の好ましい具体例としてはテトラメチルアンモニ
ウム(又はホスホニウム)クロライド,テトラメチルア
ンモニウム(又はホスホニウム)ブロマイド,テトラメ
チルアンモニウム(又はホスホニウム)アイオダイド,
テトラメチルアンモニウム(又はホスホニウム)ハイド
ロオキサイド,テトラエチルアンモニウム(又はホスホ
ニウム)クロライド,テトラn−プロピルアンモニウム
(又はホスホニウム)クロライド,テトライソプロピル
アンモニウム(又はホスホニウム)クロライド,テトラ
n−ブチルアンモニウム(又はホスホニウム)クロライ
ド,テトラn−ブチルアンモニウム(又はホスホニウ
ム)ブロマイド,テトラn−ブチルアンモニウム(又は
ホスホニウム)アイオダイド,テトラn−ブチルアンモ
ニウム(又はホスホニウム)ハイドロオキサイド,n−ブ
チルトリフェニルアンモニウム(又はホスホニウム)ク
ロライド,エチルトリオクチルアンモニウム(又ホスホ
ニウム)クロライド,ヘキサデシルトリn−ブチルアン
モニウム(又はホスホニウム)クロライド,エチトリヘ
キシルアンモニウム(又はホスホニウム)クロライド,
シクロヘキシルトリn−ブチルアンモニウム(又はホス
ホニウム)クロライド,ベンジルトリn−ブチルアンモ
ニウム(又はホスホニウム)クロライド,テトラフェニ
ルアンモニウム(又はホスホニウム)クロライド,テト
ラフェニルアンモニウム(又はホスホニウム)ハイドロ
オキサイド,オクチルトリメチルアンモニウム(又はホ
スホニウム)クロライド,オクチルジメチルベンジルア
ンモニウム(又はホスホニウ)クロライド,ラウリルジ
メチルベンジルアンモニウム(又はホスホニウム)クロ
ライド,ラウリルジメチルベンジルアンモニウム(又は
ホスホニウム)ハイドロオキサイド,ステアリルトリメ
チルアンモニウム(又はホスホニウム)クロライド,ラ
ウリルトリメチルアンモニウム(又はホスホニウム)エ
トサルフェート,テトラエチルアンモニウム(又はホス
ホニウム)エトサルフェート,トリn−ブチルモノエチ
ルアンモニウム(又はホスホニウム)エトサルフェー
ト,ラウリルベンゼントリメチルアンモニウム(又はホ
スホニウム)メトサルフェート,ラウリルジメチルo−
クロルベンジルアンモニウム(又はホスホニウム)クロ
ライド,ステアリルエチルジヒドロキシエチルアンモニ
ウム(又はホスホニウム)エトサルフェート,テトラエ
チルアンモニウム(又はホスホニウム)アセテート,テ
トラエチルアンモニウム(又はホスホニウム)ドデシル
ベンゼンスルホネート,トリn−ブチルモノエチルアン
モニウム(又はホスホニウム)トシレート,テトラエチ
ルアンモニウム(又はホスホニウム)ステアレート,テ
トラエチルアンモニウム(又はホスホニウム)オレエー
ト等をあげることができる。
かかる4級アンモニウム化合物及び/又は4級ホスホ
ニウム化合物の使用量は、あまりに少なすぎても、また
逆にあまりに多過ぎても本発明の効果が奏されず、高温
染色において繊維の重合度低下の進行を防止できず、結
果的に問題になる繊維強度の低下を招来するので不適当
である。従ってかかる化合物の使用量としては0.5〜50
ミリ当量/の範囲が適当であり、なかでも3〜20ミリ
当量/の範囲が好ましい。(なお、本発明において特
定するエステル形成性スルホン酸4級ホスホニウム塩化
合物を共重合した改質ポリエステル繊維を、上記4級ア
ンモニウム化合物及び/又は4級ホスホニウム化合物の
前記範囲外の使用量下で高温湿熱処理した場合には、前
述の如く繊維の重合度低下が進行するが、そのスピード
は通常のスルホン酸金属塩基を有するテレフタル酸を共
重合したポリエステル繊維の場合に比較して充分にマイ
ルドであると共に、通常の未改質ポリエステル繊維の場
合にように過剰に遅すぎもしないので、処理浴のpH,処
理温度,処理時間等を適当に選ぶことによって、所望の
重合度低下即ち、繊維強度低下を再現性良く惹起するこ
とができ、抗ピル性ポリエステル繊維の製造法として極
めて優れている。) 本発明の方法におけるポリエステル繊維の染色温度
は、使用するカチオン染料の熱水安定性等により通常10
0℃〜140℃の範囲で適宜に選べば良く、特に130℃以上
の温度で染色する場合に本発明の効果が顕著に発現す
る。
<発明の効果> 本発明の方法によればエステル形成性スルホン酸4級
ホスホニウム塩化合物を共重合した改質ポリエステル繊
維を、未改質ポリエステル繊維の分散染料染色において
通常に採用されている130〜140℃の高温染色条件下で
も、未改質ポリエステル繊維と同等の少ない重合度低下
即ち、繊維強度低下しか起こさずに染色することができ
る。
エステル形成性スルホン酸4級ホスホニウム塩化合物
を共重合したポリエステルでは、従来のエステル形成性
スルホン酸金属塩化合物を共重合したポリエステルに固
有の増粘効果(溶融粘度の著しい増加)が起こらないた
め、高重合度ポリマーの溶融紡糸を通常の紡糸方法によ
って容易に行うことができ、高強力のカチオン染料可染
型ポリエステル繊維が容易に得られるので、この繊維に
本発明の染色方法を適用することによって、高強力にし
てカチオン染料固有の鮮明発色性と染色堅牢性に優れた
カチオン染料布帛が容易に得られる。かかる布帛におい
ては、カチオン染料がイオン結合によってポリエステル
繊維中に染着されるため、該繊維基布にポリウレタン樹
脂等の重合体皮膜をコーティング方式やラミネート方式
で積層して複合布帛状物となした際に、分散染料で染色
した染色した未改質ポリエステル繊維を基布とした場合
に認められるポリエステル繊維基布層から重合体皮膜層
への染料の移行問題、即ち、色移行の問題が起らないの
で、上記した特長と相まって特にスキーウエア,ブレー
カー,パーカー等のスポーツ衣料の分野で極めて有用で
ある。
更に、本発明の改質ポリエステル繊維と未改質ポリエ
ステル繊維とを交織や交編した織編物や本発明の改質ポ
リエステル繊維とし未改質ポリエステル繊維とからなる
混織糸や混紡糸を有編成した織編物は、通常の分散染料
による未改質ポリエステル繊維織編物の染色温度条件
(130〜140℃)をそのまま用いて、分散染料とカチオン
染料との共存在下に、該織編物の実質的な強度低下なし
に同時異色染色することができ異色染め効果や霜降り効
果等の高級な染色効果を表現できる高強力織編物が得ら
れるので実用的な価値は極めて高い。
なお、本発明の方法で使用する改質ポリエステル繊維
には必要に応じて任意の添加剤、例えば触媒,着色防止
剤,耐熱剤,難燃剤,酸化防止剤,艶消剤,着色剤,無
機微粒子等が含まれていてもよい。
<実施例> 以下に実施例をあげて更に説明する。実施例中の部及
び%はそれぞれ重量部及び重量%を示す。ポリエステル
繊維の極限粘度[η]は35℃のオルソクロロフェノール
溶液で測定した値から求めた。
実施例1〜10及び比較例1〜3 テレフタル酸ジメチル100部,エチレングリコール60
部,酢酸マンガン4水塩0.025部(テレフタル酸ジメチ
ルに対して0.020モル%)及び整色剤として酢酸コバル
ト4水塩0.023部(テレフタル酸ジメチルに対して0.018
モル%)をエステル交換缶に仕込み、窒素ガス雰囲気下
3時間かけて140℃から220℃まで昇温して生成するメタ
ノールを系外に留去しながらエステル交換反応させた。
続いて得られた生成物に3,5−ジカルボキシベンゼンス
ルホン酸テトラ−n−ブチルホスホニウム塩3.9部(テ
レフタル酸ジメチルに対して1.5モル%)を20%加熱エ
チレングリコール溶液になして添加した。その後220℃
で20分間攪拌した後、安定剤として正リン酸の56%水溶
液を0.027部(テレフタル酸ジメチルに対して0.030モル
%)を添加し、同時に過剰エチレングリコールの昇温追
出しを開始した。10分後重縮合触媒として三酸化アンチ
モン0.045部(テレフタル酸ジメチルに対して0.030モル
%)を添加した。内温が240℃に到達した時点でエチレ
ングリコールの追出しを終了し、反応生成物を重合缶に
移した。次いで昇温しながら内温が260℃に到達するま
で常圧反応させた後、1時間かけて760mmHgから1mmHgま
で減圧し、同時に1時間30分かけて内温を280℃まで昇
温した。1mmHg以下の減圧下、重合温度280℃で更に2時
間重合した時点で窒素ガスで真空を破って重合反応を終
了し、窒素ガス加圧下に280℃でポリマーの吐出を行っ
た。得られたポリマーの極限粘度[η]は0.666,軟化点
は257.2℃,ジエチレングリコール含有量は1.23%であ
った。
得られたポリマーを常法によってチップ化した後、常
法により乾燥し、孔径0.3mmの円形紡糸孔を24個穿設し
た紡糸口金そ使用して285℃で溶融紡糸した。次いで得
られた未延伸糸を最終的に得られる延伸糸の伸度が30%
になる延伸倍率にて84℃の加熱ローラーと180℃のプレ
ートヒーターを使って延伸熱処理を行ない、75デニール
/24フィラントの延伸糸を得た。得られた延伸糸の
[η]は0.594であった。
これらの延伸糸を常法によりメリヤス編地となし、次
いで下記条件にて染色を行った。
Cathilon Blue CD−FRLH 1.0%owf Cathilon Blue CD−FBLH 1.0%owf (保土谷化学(株)製 カチオン染料) 酢酸 0.4g/ 第1表記載の4級オニウム塩 第1表記載の量 浴比 1:50 温度×時間 130℃×60分 染色後常法に従ってソーピングした。染色前と染色後
の繊維の[η]測定結果を第1表に示した。
実施例11及び比較例4 実施例3及び比較例1においてカチオン染料として用
いたCathilon Blue CD−FRLH/Cathilon Blue CD−FBLH
に代えてAizen Cathilon Black BLH(保土谷化学(株)
製 カチオン染料)を8%owf使用する以外は実施例3
及び比較例1と同様に行った。結果は第1表に示した。
実施例12及び比較例5 実施例3及び比較例1においてカチオン染料可染化剤
として用いた3,5−ジカルボキシベンゼンスルホン酸テ
トラ−n−ブチルホスホニウム塩に代えて3,5−ジカル
ボキシベンゼンスルホン塩テトラフェニルホスホニウム
塩4.55部(テレフタル酸ジメチルに対して1.5モル%)
を使用する以外は実施例3及び比較例1と同様に行っ
た。第1表に結果を示した。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】エステル形成性スルホン酸4級ホスホニウ
    ム塩化合物を共重合した改質ポリエステル繊維を染色す
    るに際し、染浴中に4級アンモニウム化合物及び/又は
    4級ホスホニウム化合物を0.5〜50ミリ当量/となる
    範囲の量存在せしめることを特徴とする改質ポリエステ
    ル繊維の染色法。
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