JPH06340034A - 樹脂の積層構造体及びその製造方法 - Google Patents
樹脂の積層構造体及びその製造方法Info
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- JPH06340034A JPH06340034A JP15445393A JP15445393A JPH06340034A JP H06340034 A JPH06340034 A JP H06340034A JP 15445393 A JP15445393 A JP 15445393A JP 15445393 A JP15445393 A JP 15445393A JP H06340034 A JPH06340034 A JP H06340034A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 接合しにくい異種の熱可塑性樹脂、例えば汎
用熱可塑性樹脂とフッ素樹脂とを強固に接合した積層構
造体及びその製造方法を提供する。 【構成】第一の熱可塑性樹脂からなる第一層2と第二の
熱可塑性樹脂からなる第二層3との間に、第一の熱可塑
性樹脂と第二の熱可塑性樹脂とを体積比で1:2〜2:
1に混合してなる中間組成層を介在させ、中間組成層の
第一の熱可塑性樹脂2aを第一層2に融着させ、中間組
成層の第二の熱可塑性樹脂3aを第二層2に融着させる
ことで、両樹脂を強固に絡み合わせ、剥離強度の大きい
構成とする。
用熱可塑性樹脂とフッ素樹脂とを強固に接合した積層構
造体及びその製造方法を提供する。 【構成】第一の熱可塑性樹脂からなる第一層2と第二の
熱可塑性樹脂からなる第二層3との間に、第一の熱可塑
性樹脂と第二の熱可塑性樹脂とを体積比で1:2〜2:
1に混合してなる中間組成層を介在させ、中間組成層の
第一の熱可塑性樹脂2aを第一層2に融着させ、中間組
成層の第二の熱可塑性樹脂3aを第二層2に融着させる
ことで、両樹脂を強固に絡み合わせ、剥離強度の大きい
構成とする。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、積層シート、積層成型
品、積層ライニング等のように、異種の熱可塑性樹脂を
積層した構成の積層構造体及びその製造方法に関し、特
に、フッ素樹脂のようにきわめて接合しにくい樹脂層を
備えた樹脂の積層構造体及びその製造方法に関する。
品、積層ライニング等のように、異種の熱可塑性樹脂を
積層した構成の積層構造体及びその製造方法に関し、特
に、フッ素樹脂のようにきわめて接合しにくい樹脂層を
備えた樹脂の積層構造体及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、樹脂のシート、容器等の成型
品、樹脂ライニング等が種々の用途に広く使用されてお
り、また、樹脂としてはポリエチレン、ポリプロピレ
ン、塩化ビニル等の汎用熱可塑性樹脂が多く使用されて
いる。
品、樹脂ライニング等が種々の用途に広く使用されてお
り、また、樹脂としてはポリエチレン、ポリプロピレ
ン、塩化ビニル等の汎用熱可塑性樹脂が多く使用されて
いる。
【0003】これらの樹脂製品のうち、樹脂シートの1
用途として、屋外構造物に対する覆装がある。例えば、
海洋構造物に使用される鋼管杭の防食には、通常、塗装
ないしは電気防食が多く行われてきたが、海面直上のい
わゆる飛沫帯にあっては、海水の飛沫と大気中の酸素が
共に作用し、更には漂流物の衝突もあることから、塗膜
の劣化、損傷が激しく、このため塗装部といえども鋼材
の腐食は進行し、また、没水状態にないため、電気防食
の適用ないしは併用もできない。また、部位の特質上、
再塗装を行うにも大きな制約が伴う。そこで近年は、上
記飛沫帯からその下の干満帯にかけて、丈夫な樹脂製外
皮材で覆装し、この内側にペトロラタム製剤などの防食
剤或いはモルタルを充填するという防食処理が採用され
始めている。ところが、FRPなどの一般的な樹脂材料
では、飛沫帯のような過酷な環境下では長期にわたる耐
久性に欠け、問題があった。
用途として、屋外構造物に対する覆装がある。例えば、
海洋構造物に使用される鋼管杭の防食には、通常、塗装
ないしは電気防食が多く行われてきたが、海面直上のい
わゆる飛沫帯にあっては、海水の飛沫と大気中の酸素が
共に作用し、更には漂流物の衝突もあることから、塗膜
の劣化、損傷が激しく、このため塗装部といえども鋼材
の腐食は進行し、また、没水状態にないため、電気防食
の適用ないしは併用もできない。また、部位の特質上、
再塗装を行うにも大きな制約が伴う。そこで近年は、上
記飛沫帯からその下の干満帯にかけて、丈夫な樹脂製外
皮材で覆装し、この内側にペトロラタム製剤などの防食
剤或いはモルタルを充填するという防食処理が採用され
始めている。ところが、FRPなどの一般的な樹脂材料
では、飛沫帯のような過酷な環境下では長期にわたる耐
久性に欠け、問題があった。
【0004】また、陸上における屋外構造物にも樹脂シ
ートを覆装したり、外面に樹脂をライニングした鋼管を
用いることが多い。この場合、通常の樹脂材料の最大の
劣化要因は太陽光に含まれる紫外線であることから、例
えば、ポリエチレンについて、長期の屋外耐用を求めら
れる用途にあっては、カーボンブラック添加による黒色
化を行い、紫外線の進入を抑えることが必須の処置とな
っている。ところが、近年、上記のような重構造物でさ
え、景観の点から任意の彩色が求められる動向にあり、
黒色化による長期耐用を図ることができないという問題
が生じてきた。
ートを覆装したり、外面に樹脂をライニングした鋼管を
用いることが多い。この場合、通常の樹脂材料の最大の
劣化要因は太陽光に含まれる紫外線であることから、例
えば、ポリエチレンについて、長期の屋外耐用を求めら
れる用途にあっては、カーボンブラック添加による黒色
化を行い、紫外線の進入を抑えることが必須の処置とな
っている。ところが、近年、上記のような重構造物でさ
え、景観の点から任意の彩色が求められる動向にあり、
黒色化による長期耐用を図ることができないという問題
が生じてきた。
【0005】更に、薬液を収容或いは輸送する容器や管
にも、樹脂の成型品からなる容器や管、或いは樹脂ライ
ニングを施した容器や管が多く使用されている。しかし
ながら、薬液によってはポリエチレン等の安価な汎用熱
可塑性樹脂では耐久性が十分でないものがあった。
にも、樹脂の成型品からなる容器や管、或いは樹脂ライ
ニングを施した容器や管が多く使用されている。しかし
ながら、薬液によってはポリエチレン等の安価な汎用熱
可塑性樹脂では耐久性が十分でないものがあった。
【0006】ところで、樹脂材料の中でも、フッ素樹脂
は耐光性や耐薬品性に優れており、これを屋外構造物の
覆装のために或いはライニングに用いることにより、前
述のようなカーボンブラック添加を行わない0.4mm
位の薄膜であっても30年以上の耐用が優に期待でき
る。また、フッ素樹脂を容器や管の内面にライニングす
れば、耐薬品性を向上させることができる。しかしなが
ら、フッ素樹脂の薄膜のみでは、機械的強度が不足し、
損傷して剥がれることが多い。このフッ素樹脂の使用膜
厚を厚くすれば、この問題は解決できるが、フッ素樹脂
は高価であるため、実用は考えにくい。
は耐光性や耐薬品性に優れており、これを屋外構造物の
覆装のために或いはライニングに用いることにより、前
述のようなカーボンブラック添加を行わない0.4mm
位の薄膜であっても30年以上の耐用が優に期待でき
る。また、フッ素樹脂を容器や管の内面にライニングす
れば、耐薬品性を向上させることができる。しかしなが
ら、フッ素樹脂の薄膜のみでは、機械的強度が不足し、
損傷して剥がれることが多い。このフッ素樹脂の使用膜
厚を厚くすれば、この問題は解決できるが、フッ素樹脂
は高価であるため、実用は考えにくい。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】そこで、フッ素樹脂を
他の安価な樹脂と積層して用いるという方向が考えられ
る。しかし、周知の通り、フッ素樹脂は通常の手段によ
って他の樹脂と接合するのが困難である。本発明者等
は、フッ素樹脂を他の樹脂と有利に積層一体化できれ
ば、前記諸課題の解決につながるとの観点から鋭意検討
し、本発明を達成するに至った。
他の安価な樹脂と積層して用いるという方向が考えられ
る。しかし、周知の通り、フッ素樹脂は通常の手段によ
って他の樹脂と接合するのが困難である。本発明者等
は、フッ素樹脂を他の樹脂と有利に積層一体化できれ
ば、前記諸課題の解決につながるとの観点から鋭意検討
し、本発明を達成するに至った。
【0008】従って、本発明は、フッ素樹脂のように接
合しにくい樹脂を、他の樹脂に良好に接合することによ
って、両樹脂の有利な特性を有効に利用可能な且つ安価
な樹脂の積層構造体を提供することを目的とする。
合しにくい樹脂を、他の樹脂に良好に接合することによ
って、両樹脂の有利な特性を有効に利用可能な且つ安価
な樹脂の積層構造体を提供することを目的とする。
【0009】また、本発明は、耐光性に優れたフッ素樹
脂の薄層を外面側に備え、且つ全体に適当な湾曲を与え
ておくことにより、屋外構造物に対する覆装用として使
用するのに好適な積層シートの形態の積層構造体を提供
することを目的とする。
脂の薄層を外面側に備え、且つ全体に適当な湾曲を与え
ておくことにより、屋外構造物に対する覆装用として使
用するのに好適な積層シートの形態の積層構造体を提供
することを目的とする。
【0010】更に、本発明は、耐薬品性に優れたフッ素
樹脂の薄層を内面側に備え、且つ全体に適当な湾曲を与
えておくことにより、容器や管内面に容易に取り付けて
使用するのに好適な積層シートの形態の積層構造体を提
供することを目的とする。
樹脂の薄層を内面側に備え、且つ全体に適当な湾曲を与
えておくことにより、容器や管内面に容易に取り付けて
使用するのに好適な積層シートの形態の積層構造体を提
供することを目的とする。
【0011】また、本発明は、容器或いは管等の形態の
樹脂成型品の内面にフッ素樹脂の薄層を接合することに
より、耐薬品性に優れた特性を有する積層構造体を提供
することを目的とする。
樹脂成型品の内面にフッ素樹脂の薄層を接合することに
より、耐薬品性に優れた特性を有する積層構造体を提供
することを目的とする。
【0012】更に、本発明は、金属容器や金属管等の対
象物に形成している樹脂ライニング層の表面に、耐光
性、耐薬品性に優れたフッ素樹脂の薄層を接合した形態
の積層構造体を提供することを目的とする。
象物に形成している樹脂ライニング層の表面に、耐光
性、耐薬品性に優れたフッ素樹脂の薄層を接合した形態
の積層構造体を提供することを目的とする。
【0013】更に、本発明はこれらの樹脂の積層構造体
の製造方法を提供することも目的とする。
の製造方法を提供することも目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明は、少なくとも、
第一の熱可塑性樹脂から成る第一層と、該第一の熱可塑
性樹脂とは異なる第二の熱可塑性樹脂から成る第二層と
を有し、前記第一層と第二層とが、前記第一の熱可塑性
樹脂と第二の熱可塑性樹脂との、体積比で1:2〜2:
1の混合物からなる中間組成層を介して積層一体化され
ていることを特徴とする樹脂の積層構造体を基本の要旨
とする。
第一の熱可塑性樹脂から成る第一層と、該第一の熱可塑
性樹脂とは異なる第二の熱可塑性樹脂から成る第二層と
を有し、前記第一層と第二層とが、前記第一の熱可塑性
樹脂と第二の熱可塑性樹脂との、体積比で1:2〜2:
1の混合物からなる中間組成層を介して積層一体化され
ていることを特徴とする樹脂の積層構造体を基本の要旨
とする。
【0015】図1は本発明の積層構造体1の断面を拡大
し且つ誇張して示したものであり、2は第一層、3は第
二層、4は中間組成層である。中間組成層4では第一の
熱可塑性樹脂2aと第二の熱可塑性樹脂3aが混在し絡
み合った状態となっている。この第一の熱可塑性樹脂2
aは第一層2を構成する樹脂と同一であるので、第一層
2の樹脂と一体化しており、また第二の熱可塑性樹脂3
aは第二層3を構成する樹脂と同一であるので、第二層
3の樹脂と一体化している。このため、結局、第一層2
を構成する樹脂と第二層3を構成する樹脂が、中間組成
層4で複雑に絡み合った状態となり、換言すれば、第一
層2と第二層3との境界が複雑に絡み合った状態とな
り、第一層2と第二層3との間の強固な接合力が得られ
る。ここで、中間組成層4における両樹脂の混合比を、
体積比にて1:2〜2:1の割合とすることにより、第
一層2と第二層3とを構成する樹脂の最も効果的な絡み
合いが実現され、接合強度が大きくなる。なお、このよ
うな構成は、いわゆる傾斜機能材と類似点を有するが、
一端から他端へ向けて成分比を徐々に変化させるのでは
なく、中間の組成を有する層を1段階設けるだけで内外
両層の一体化ができたことが本発明の新規なる点であ
る。
し且つ誇張して示したものであり、2は第一層、3は第
二層、4は中間組成層である。中間組成層4では第一の
熱可塑性樹脂2aと第二の熱可塑性樹脂3aが混在し絡
み合った状態となっている。この第一の熱可塑性樹脂2
aは第一層2を構成する樹脂と同一であるので、第一層
2の樹脂と一体化しており、また第二の熱可塑性樹脂3
aは第二層3を構成する樹脂と同一であるので、第二層
3の樹脂と一体化している。このため、結局、第一層2
を構成する樹脂と第二層3を構成する樹脂が、中間組成
層4で複雑に絡み合った状態となり、換言すれば、第一
層2と第二層3との境界が複雑に絡み合った状態とな
り、第一層2と第二層3との間の強固な接合力が得られ
る。ここで、中間組成層4における両樹脂の混合比を、
体積比にて1:2〜2:1の割合とすることにより、第
一層2と第二層3とを構成する樹脂の最も効果的な絡み
合いが実現され、接合強度が大きくなる。なお、このよ
うな構成は、いわゆる傾斜機能材と類似点を有するが、
一端から他端へ向けて成分比を徐々に変化させるのでは
なく、中間の組成を有する層を1段階設けるだけで内外
両層の一体化ができたことが本発明の新規なる点であ
る。
【0016】本発明による積層構造体の第一層及び第二
層を構成する材料は、積層構造体の用途に応じて適宜定
められるが、第一層には安価な汎用熱可塑性樹脂を、第
二層には耐光性、耐薬品性等に優れたフッ素樹脂を用い
ることが好ましい。この際、フッ素樹脂は一般に高価で
あり、且つ薄層でも十分に耐光性、耐薬品性等の特性を
発揮しうるので、厚さ0.3〜1mmの被覆層として使
用することが好ましい。
層を構成する材料は、積層構造体の用途に応じて適宜定
められるが、第一層には安価な汎用熱可塑性樹脂を、第
二層には耐光性、耐薬品性等に優れたフッ素樹脂を用い
ることが好ましい。この際、フッ素樹脂は一般に高価で
あり、且つ薄層でも十分に耐光性、耐薬品性等の特性を
発揮しうるので、厚さ0.3〜1mmの被覆層として使
用することが好ましい。
【0017】本発明による積層構造体は種々な形態を採
りうるものであり、主要なものとして、第一層と第二層
とを接合して構成した積層シート、第一層に所定の形状
を付与しその内面又は外面に第二層を被覆した積層成型
品、第一層を金属管或いは金属容器等の対象物に接合し
その表面に第二層を被覆した積層ライニング層等を挙げ
ることができる。
りうるものであり、主要なものとして、第一層と第二層
とを接合して構成した積層シート、第一層に所定の形状
を付与しその内面又は外面に第二層を被覆した積層成型
品、第一層を金属管或いは金属容器等の対象物に接合し
その表面に第二層を被覆した積層ライニング層等を挙げ
ることができる。
【0018】積層シートの形態の積層構造体の用途は任
意であるが、主たる用途は、海洋構造物を支える鋼管杭
などの屋外構造物に対する覆装用、管やタンク内に挿入
するインナーケースやルースライニングパイプ用等であ
り、その用途に応じて第一層及び第二層を構成する樹脂
材料が具体的に選定される。
意であるが、主たる用途は、海洋構造物を支える鋼管杭
などの屋外構造物に対する覆装用、管やタンク内に挿入
するインナーケースやルースライニングパイプ用等であ
り、その用途に応じて第一層及び第二層を構成する樹脂
材料が具体的に選定される。
【0019】覆装用シートとして用いるのに好適なシー
ト状の積層構造体即ち積層シートにおいては、対象物に
覆装した際に内面側となる第一層を、機械的な保護と環
境遮断の役割を果たすものとする。この第一層を構成す
る第一の熱可塑性樹脂としては、汎用されている安価な
ものを使用することが好ましく、具体的には、ポリエチ
レン、ホリプロピレン、塩化ビニル、ポリスチレン、ポ
リアミド等を挙げることができる。このうち、覆装用と
しての必要な強靱性、可撓性、耐寒性などの性能をも考
慮すればポリエチレンが最適である。
ト状の積層構造体即ち積層シートにおいては、対象物に
覆装した際に内面側となる第一層を、機械的な保護と環
境遮断の役割を果たすものとする。この第一層を構成す
る第一の熱可塑性樹脂としては、汎用されている安価な
ものを使用することが好ましく、具体的には、ポリエチ
レン、ホリプロピレン、塩化ビニル、ポリスチレン、ポ
リアミド等を挙げることができる。このうち、覆装用と
しての必要な強靱性、可撓性、耐寒性などの性能をも考
慮すればポリエチレンが最適である。
【0020】第二層は、この積層シートを対象物に覆装
した時に外面側となる層であり、耐光性に優れ、且つ彩
色可能なものとする。この第二層を構成する第二の熱可
塑性樹脂としては、耐光性に優れたフッ素樹脂を用いる
ことが好ましく、具体的には、PVF、PVDF、ET
FE、CTFE、PFAなど、溶融時の流動性の高いも
のが好適である。中でもPVDFが、上記した第一層を
構成する汎用熱可塑性樹脂と融点も近く、接合しやすい
ので最適である。
した時に外面側となる層であり、耐光性に優れ、且つ彩
色可能なものとする。この第二層を構成する第二の熱可
塑性樹脂としては、耐光性に優れたフッ素樹脂を用いる
ことが好ましく、具体的には、PVF、PVDF、ET
FE、CTFE、PFAなど、溶融時の流動性の高いも
のが好適である。中でもPVDFが、上記した第一層を
構成する汎用熱可塑性樹脂と融点も近く、接合しやすい
ので最適である。
【0021】覆装用に使用する積層シートは、直径数1
00mmの鋼管杭等の円筒状の対象物に覆装することを
主目的とするものであるから、覆装に適した特性、形状
を具備させておくことが好ましい。この観点から、積層
シートの合計厚さは、貫通疵を生じにくく、また、自ら
の形状維持のために2mm以上が望ましいところであ
る。一方で、装着作業時に必要な可撓性を残しておくた
めに、5mm以下が適当である。外面側となるフッ素樹
脂層は、この層内で内側の層である第一層に有害な紫外
線を減衰させ、もしくは、黒色とした内層を隠蔽する。
これらの用は0.3mmあれば一応果たされる。一方、
フッ素樹脂はきわめて高価であるので、シートのコスト
ダウンを図る上からは極力薄いことが望ましく、この点
から第二層の厚さは1.0mm以下が好ましい。
00mmの鋼管杭等の円筒状の対象物に覆装することを
主目的とするものであるから、覆装に適した特性、形状
を具備させておくことが好ましい。この観点から、積層
シートの合計厚さは、貫通疵を生じにくく、また、自ら
の形状維持のために2mm以上が望ましいところであ
る。一方で、装着作業時に必要な可撓性を残しておくた
めに、5mm以下が適当である。外面側となるフッ素樹
脂層は、この層内で内側の層である第一層に有害な紫外
線を減衰させ、もしくは、黒色とした内層を隠蔽する。
これらの用は0.3mmあれば一応果たされる。一方、
フッ素樹脂はきわめて高価であるので、シートのコスト
ダウンを図る上からは極力薄いことが望ましく、この点
から第二層の厚さは1.0mm以下が好ましい。
【0022】上記2〜5mmの合計厚さは、樹脂材料と
いえども大きな剛性をもたらすものであり、平坦なシー
ト状のままでは前記の鋼管杭等の円筒状の対象物への巻
回覆装には大きな力を要するところとなり、施工が困難
となる。そこで、積層シートをあらかじめ円弧状に湾曲
させたものとしておくのが好ましく、その際、その積層
シートの曲率半径としては、積層シートを対象物に装着
する時に積層シートの開口部を拡大させる負荷と、装着
した積層シートを対象物に巻き締める負荷との兼ね合い
から、円筒状の対象物の直径の0.5〜2倍位が適切で
ある。この際、外面側となる第二層を凸とすべきことは
当然である。
いえども大きな剛性をもたらすものであり、平坦なシー
ト状のままでは前記の鋼管杭等の円筒状の対象物への巻
回覆装には大きな力を要するところとなり、施工が困難
となる。そこで、積層シートをあらかじめ円弧状に湾曲
させたものとしておくのが好ましく、その際、その積層
シートの曲率半径としては、積層シートを対象物に装着
する時に積層シートの開口部を拡大させる負荷と、装着
した積層シートを対象物に巻き締める負荷との兼ね合い
から、円筒状の対象物の直径の0.5〜2倍位が適切で
ある。この際、外面側となる第二層を凸とすべきことは
当然である。
【0023】本発明の積層シートを、配管やタンク内に
挿入するインナーケースやルースライニングパイプ用等
として使用する場合には、上記した覆装用とは逆に、内
面側にフッ素樹脂からなる第二層を配しておく。その他
の構成は覆装用と同様である。このように内面側にフッ
素樹脂からなる第二層を配したことにより、接液部が耐
薬品性に優れたフッ素樹脂となり、長期に渡って防食を
図ることができる。
挿入するインナーケースやルースライニングパイプ用等
として使用する場合には、上記した覆装用とは逆に、内
面側にフッ素樹脂からなる第二層を配しておく。その他
の構成は覆装用と同様である。このように内面側にフッ
素樹脂からなる第二層を配したことにより、接液部が耐
薬品性に優れたフッ素樹脂となり、長期に渡って防食を
図ることができる。
【0024】積層成型品の形態の積層構造体の用途は、
主として工業薬品容器等である。その成型品形態の積層
構造体において、第一層は形状維持の役割を果たすもの
であり、その第一層を構成する第一の熱可塑性樹脂とし
ては、汎用されている安価なものを使用することが好ま
しく、具体的には、ポリエチレン、ホリプロピレン、塩
化ビニル、ポリスチレン、ポリアミド等を挙げることが
できる。その第一層の厚さは、成型品に必要な強度を与
えることができるよう適当に定めればよい。一方、第二
層は、通常、第一層の内面に配置され、第一層を薬液か
ら保護するために使用され、その材質としては耐薬品性
に優れた樹脂が使用される。また、この積層成型品を屋
外で使用する場合などには、第二層は第一層の外面側に
配置され、第一層を紫外線から保護するためや彩色のた
めに使用され、その材質としては耐光性や彩色特性に優
れたものが使用される。いずれの場合にも、第二層を構
成する第二の熱可塑性樹脂として、具体的には、フッ素
樹脂を用いることが好ましく、PVF、PVDF、ET
FE、CTFE、PFAなど、溶融時の流動性の高いも
のが好適である。中でもPVDFが、上記した第一層を
構成する汎用熱可塑性樹脂と融点も近く、接合しやすい
ので最適である。この場合においても、第二層の厚みは
シート状積層構造体の場合と同様に、0.3〜1mm程
度に選定される。
主として工業薬品容器等である。その成型品形態の積層
構造体において、第一層は形状維持の役割を果たすもの
であり、その第一層を構成する第一の熱可塑性樹脂とし
ては、汎用されている安価なものを使用することが好ま
しく、具体的には、ポリエチレン、ホリプロピレン、塩
化ビニル、ポリスチレン、ポリアミド等を挙げることが
できる。その第一層の厚さは、成型品に必要な強度を与
えることができるよう適当に定めればよい。一方、第二
層は、通常、第一層の内面に配置され、第一層を薬液か
ら保護するために使用され、その材質としては耐薬品性
に優れた樹脂が使用される。また、この積層成型品を屋
外で使用する場合などには、第二層は第一層の外面側に
配置され、第一層を紫外線から保護するためや彩色のた
めに使用され、その材質としては耐光性や彩色特性に優
れたものが使用される。いずれの場合にも、第二層を構
成する第二の熱可塑性樹脂として、具体的には、フッ素
樹脂を用いることが好ましく、PVF、PVDF、ET
FE、CTFE、PFAなど、溶融時の流動性の高いも
のが好適である。中でもPVDFが、上記した第一層を
構成する汎用熱可塑性樹脂と融点も近く、接合しやすい
ので最適である。この場合においても、第二層の厚みは
シート状積層構造体の場合と同様に、0.3〜1mm程
度に選定される。
【0025】ライニング形態の積層構造体の用途は、屋
外用彩色鋼管、薬液輸送鋼管、薬液用タンク等である。
このライニング形態の積層構造体において、第一層は鋼
管やタンク等の対象物の内面或いは外面に貼り付けら
れ、第一の保護層を形成するものである。この第一層を
構成する第一の熱可塑性樹脂としては、汎用されている
安価なものを使用でき、具体的には、ポリエチレン、ホ
リプロピレン、塩化ビニル、ポリスチレン、ポリアミド
等を挙げることができる。その第一層の厚さは、通常の
樹脂ライニングと同様に0.5〜2mm程度でよい。第
二層はその第一層の表面に配置されるものであり、屋外
用彩色鋼管のようにライニング層が対象物の外面に形成
される場合には、その第二層は第一層を遮蔽し紫外線か
ら保護するためのものであり、耐光性に優れ、且つ彩色
可能な材料が用いられる。また、薬液輸送鋼管、薬液用
タンク等のようにライニング層が対象物の内面に形成さ
れる場合には、その第二層は第一層を薬液から保護する
ためのものであり、耐薬品性に優れた材料が使用され
る。いずれの場合においても、第二層を構成する第二の
熱可塑性樹脂としては、耐光性に優れまた耐薬品性にも
優れたフッ素樹脂を用いることが好ましく、具体的に
は、PVF、PVDF、ETFE、CTFE、PFAな
ど、溶融時の流動性の高いものが好適である。中でもP
VDFが、上記した第一層を構成する汎用熱可塑性樹脂
と融点も近く、接合しやすいので最適である。この場合
においても、第二層の厚みはシート状積層構造体の場合
と同様に、0.3〜1mm程度に選定される。
外用彩色鋼管、薬液輸送鋼管、薬液用タンク等である。
このライニング形態の積層構造体において、第一層は鋼
管やタンク等の対象物の内面或いは外面に貼り付けら
れ、第一の保護層を形成するものである。この第一層を
構成する第一の熱可塑性樹脂としては、汎用されている
安価なものを使用でき、具体的には、ポリエチレン、ホ
リプロピレン、塩化ビニル、ポリスチレン、ポリアミド
等を挙げることができる。その第一層の厚さは、通常の
樹脂ライニングと同様に0.5〜2mm程度でよい。第
二層はその第一層の表面に配置されるものであり、屋外
用彩色鋼管のようにライニング層が対象物の外面に形成
される場合には、その第二層は第一層を遮蔽し紫外線か
ら保護するためのものであり、耐光性に優れ、且つ彩色
可能な材料が用いられる。また、薬液輸送鋼管、薬液用
タンク等のようにライニング層が対象物の内面に形成さ
れる場合には、その第二層は第一層を薬液から保護する
ためのものであり、耐薬品性に優れた材料が使用され
る。いずれの場合においても、第二層を構成する第二の
熱可塑性樹脂としては、耐光性に優れまた耐薬品性にも
優れたフッ素樹脂を用いることが好ましく、具体的に
は、PVF、PVDF、ETFE、CTFE、PFAな
ど、溶融時の流動性の高いものが好適である。中でもP
VDFが、上記した第一層を構成する汎用熱可塑性樹脂
と融点も近く、接合しやすいので最適である。この場合
においても、第二層の厚みはシート状積層構造体の場合
と同様に、0.3〜1mm程度に選定される。
【0026】次に、上記した積層構造体を製造する本発
明の方法を説明する。まず、請求項8に記載の発明は、
第一の熱可塑性樹脂から成る第一層と、第二の熱可塑性
樹脂からなる第二層を備えた積層構造体であって、積層
シートの形態又は積層成型品の形態のものを製造する方
法であり、金型の成型面を、前記第一及び第二の熱可塑
性樹脂の融点を越える所定温度に昇温させ、その金型の
成型面に、まず、第一及び第二の熱可塑性樹脂粉体の一
方を供給し、上記金型からの熱伝導によって溶融、付着
させ、次いで、付着した樹脂層上に、第一の熱可塑性樹
脂粉体と第二の熱可塑性樹脂粉体とを1:2〜2:1の
体積比で混合した粉体を供給して溶融、付着させ、その
後、その樹脂層上に、第一及び第二の熱可塑性樹脂粉体
の他方を供給して溶融、付着させ、その後金型を冷却し
て積層樹脂層を固化させ、該積層樹脂層を金型から外し
て、樹脂の積層構造体を得ることを特徴とする。
明の方法を説明する。まず、請求項8に記載の発明は、
第一の熱可塑性樹脂から成る第一層と、第二の熱可塑性
樹脂からなる第二層を備えた積層構造体であって、積層
シートの形態又は積層成型品の形態のものを製造する方
法であり、金型の成型面を、前記第一及び第二の熱可塑
性樹脂の融点を越える所定温度に昇温させ、その金型の
成型面に、まず、第一及び第二の熱可塑性樹脂粉体の一
方を供給し、上記金型からの熱伝導によって溶融、付着
させ、次いで、付着した樹脂層上に、第一の熱可塑性樹
脂粉体と第二の熱可塑性樹脂粉体とを1:2〜2:1の
体積比で混合した粉体を供給して溶融、付着させ、その
後、その樹脂層上に、第一及び第二の熱可塑性樹脂粉体
の他方を供給して溶融、付着させ、その後金型を冷却し
て積層樹脂層を固化させ、該積層樹脂層を金型から外し
て、樹脂の積層構造体を得ることを特徴とする。
【0027】金型上に形成された積層樹脂層を金型から
外すには、製品が積層シートの場合には、その積層樹脂
層に切れ目をいれて金型から外せばよい。しかし、製品
が積層成型品の場合には、通常切れ目を入れることがで
きないので、例えば、金型を分解可能な構造としてお
き、金型を分解することによって積層樹脂層を金型から
外せばよい。
外すには、製品が積層シートの場合には、その積層樹脂
層に切れ目をいれて金型から外せばよい。しかし、製品
が積層成型品の場合には、通常切れ目を入れることがで
きないので、例えば、金型を分解可能な構造としてお
き、金型を分解することによって積層樹脂層を金型から
外せばよい。
【0028】上記した成型を行う際、金型に最初に供給
する樹脂の接着性によっては、必要に応じ、金型の成型
面に予め離型剤を塗布するなどの離型処理を施しておい
てもよい。また、金型に樹脂粉体を供給し、金型からの
熱伝導によってその樹脂を溶融させてゆく際、金型の温
度低下が大きい場合には、必要に応じ金型を再加熱して
もよく、更には、合計膜厚が大の場合等には、必要に応
じ、樹脂層の表面側から赤外線、加熱気体などにより補
助加熱を行って表面の樹脂の溶融を完遂させ、表面の平
滑化を計ってもよい。
する樹脂の接着性によっては、必要に応じ、金型の成型
面に予め離型剤を塗布するなどの離型処理を施しておい
てもよい。また、金型に樹脂粉体を供給し、金型からの
熱伝導によってその樹脂を溶融させてゆく際、金型の温
度低下が大きい場合には、必要に応じ金型を再加熱して
もよく、更には、合計膜厚が大の場合等には、必要に応
じ、樹脂層の表面側から赤外線、加熱気体などにより補
助加熱を行って表面の樹脂の溶融を完遂させ、表面の平
滑化を計ってもよい。
【0029】上記方法の実施に用いる金型の形状は特に
制限されるものではないが、第一層を汎用熱可塑性樹脂
等とし、第二層をフッ素樹脂等とした覆装用の積層シー
トを製造する場合には、鋼管等の管体を金型とし、その
円筒状外周面を成型面として用いることが好ましい。こ
の金型を用い、その成型面である外周面上に、まず、積
層シートの内面側(積層シートを対象物に覆装した時の
内面側)となる第一層を形成する第一の熱可塑性樹脂粉
体(汎用熱可塑性樹脂粉体)を、次いで、第一及び第二
の熱可塑性樹脂粉体を混合したものを、その後、外面側
となる第二層を形成する第二の熱可塑性樹脂粉体(フッ
素樹脂粉体)を順次供給して溶融、付着させることによ
り、金型上に円筒状の積層樹脂層を形成でき、その積層
樹脂層を冷却、固化した後、樹脂層に切れ目を入れて切
開し、金型から外すことで、第二層(フッ素樹脂層)を
外面側として円弧状に湾曲した覆装用の積層シートを製
造することができる。
制限されるものではないが、第一層を汎用熱可塑性樹脂
等とし、第二層をフッ素樹脂等とした覆装用の積層シー
トを製造する場合には、鋼管等の管体を金型とし、その
円筒状外周面を成型面として用いることが好ましい。こ
の金型を用い、その成型面である外周面上に、まず、積
層シートの内面側(積層シートを対象物に覆装した時の
内面側)となる第一層を形成する第一の熱可塑性樹脂粉
体(汎用熱可塑性樹脂粉体)を、次いで、第一及び第二
の熱可塑性樹脂粉体を混合したものを、その後、外面側
となる第二層を形成する第二の熱可塑性樹脂粉体(フッ
素樹脂粉体)を順次供給して溶融、付着させることによ
り、金型上に円筒状の積層樹脂層を形成でき、その積層
樹脂層を冷却、固化した後、樹脂層に切れ目を入れて切
開し、金型から外すことで、第二層(フッ素樹脂層)を
外面側として円弧状に湾曲した覆装用の積層シートを製
造することができる。
【0030】また、金型として、円筒状内周面を成型面
とした管体の金型を用いることも可能である。この金型
を用いる場合には、その内周面に、まず、積層シートの
外面側(積層シートを対象物に覆装した時の外面側)と
なる第二層を形成する第二の熱可塑性樹脂粉体(フッ素
樹脂粉体)を、次いで、第一及び第二の熱可塑性樹脂粉
体を混合したものを、その後、内面側となる第一層を形
成する第一の熱可塑性樹脂粉体(汎用熱可塑性樹脂粉
体)を順次供給して溶融、付着させることにより、金型
内に円筒状の積層樹脂層を形成でき、その積層樹脂層を
冷却、固化した後、樹脂層に切れ目を入れて切開し、金
型から外すことで、第二層を外面側として円弧状に湾曲
した覆装用の積層シートを製造することができる。な
お、この場合には、覆装用の積層シートの外面が金型の
成型面に接触していたので、その成型面の表面粗さない
しは凹凸パターンの調整により、積層シートの外面粗さ
を所望の粗さに調整できる。
とした管体の金型を用いることも可能である。この金型
を用いる場合には、その内周面に、まず、積層シートの
外面側(積層シートを対象物に覆装した時の外面側)と
なる第二層を形成する第二の熱可塑性樹脂粉体(フッ素
樹脂粉体)を、次いで、第一及び第二の熱可塑性樹脂粉
体を混合したものを、その後、内面側となる第一層を形
成する第一の熱可塑性樹脂粉体(汎用熱可塑性樹脂粉
体)を順次供給して溶融、付着させることにより、金型
内に円筒状の積層樹脂層を形成でき、その積層樹脂層を
冷却、固化した後、樹脂層に切れ目を入れて切開し、金
型から外すことで、第二層を外面側として円弧状に湾曲
した覆装用の積層シートを製造することができる。な
お、この場合には、覆装用の積層シートの外面が金型の
成型面に接触していたので、その成型面の表面粗さない
しは凹凸パターンの調整により、積層シートの外面粗さ
を所望の粗さに調整できる。
【0031】配管やタンク内に挿入するインナーケース
やルースライニングパイプ用等として使用する積層シー
トは、上記した覆装用の積層シートとは逆に内面側にフ
ッ素樹脂等の第二層を、外面側に汎用熱可塑性樹脂等の
第一層を配している。この構成の積層シートも、上記し
た覆装用の積層シートと同様に管体の金型を用い、樹脂
粉体の供給順序を逆にすることにより製造することがで
きる。例えば、円筒状内周面を成型面とした管体の金型
の内周面に、まず、積層シートの外面側となる第一層を
形成する第一の熱可塑性樹脂粉体(汎用熱可塑性樹脂粉
体)を、次いで、第一及び第二の熱可塑性樹脂粉体を混
合したものを、その後、内面側となる第二層を形成する
第二の熱可塑性樹脂粉体(フッ素樹脂粉体)を順次供給
して溶融、付着させることにより、金型内に円筒状の積
層樹脂層を形成でき、その積層樹脂層を冷却、固化した
後、樹脂層に切れ目を入れて切開し、金型から外すこと
で、第二層を内面側として円弧状に湾曲した積層シート
を製造することができる。また、円筒状外周面を成型面
とした管体の金型の外周面に、まず、積層シートの内面
側となる第二層を形成する第二の熱可塑性樹脂粉体(フ
ッ素樹脂粉体)を、次いで、第一及び第二の熱可塑性樹
脂粉体を混合したものを、その後、内面側となる第一層
を形成する第一の熱可塑性樹脂粉体(汎用熱可塑性樹脂
粉体)を順次供給して溶融、付着させることにより、金
型内に円筒状の積層樹脂層を形成でき、その積層樹脂層
を冷却、固化した後、樹脂層に切れ目を入れて切開し、
金型から外すことで、第二層を内面側として円弧状に湾
曲した積層シートを製造することができる。
やルースライニングパイプ用等として使用する積層シー
トは、上記した覆装用の積層シートとは逆に内面側にフ
ッ素樹脂等の第二層を、外面側に汎用熱可塑性樹脂等の
第一層を配している。この構成の積層シートも、上記し
た覆装用の積層シートと同様に管体の金型を用い、樹脂
粉体の供給順序を逆にすることにより製造することがで
きる。例えば、円筒状内周面を成型面とした管体の金型
の内周面に、まず、積層シートの外面側となる第一層を
形成する第一の熱可塑性樹脂粉体(汎用熱可塑性樹脂粉
体)を、次いで、第一及び第二の熱可塑性樹脂粉体を混
合したものを、その後、内面側となる第二層を形成する
第二の熱可塑性樹脂粉体(フッ素樹脂粉体)を順次供給
して溶融、付着させることにより、金型内に円筒状の積
層樹脂層を形成でき、その積層樹脂層を冷却、固化した
後、樹脂層に切れ目を入れて切開し、金型から外すこと
で、第二層を内面側として円弧状に湾曲した積層シート
を製造することができる。また、円筒状外周面を成型面
とした管体の金型の外周面に、まず、積層シートの内面
側となる第二層を形成する第二の熱可塑性樹脂粉体(フ
ッ素樹脂粉体)を、次いで、第一及び第二の熱可塑性樹
脂粉体を混合したものを、その後、内面側となる第一層
を形成する第一の熱可塑性樹脂粉体(汎用熱可塑性樹脂
粉体)を順次供給して溶融、付着させることにより、金
型内に円筒状の積層樹脂層を形成でき、その積層樹脂層
を冷却、固化した後、樹脂層に切れ目を入れて切開し、
金型から外すことで、第二層を内面側として円弧状に湾
曲した積層シートを製造することができる。
【0032】次に、請求項13に記載の発明は、対象物
にライニングされた第一の熱可塑性樹脂から成る第一層
と、その上に接合された第二の熱可塑性樹脂からなる第
二層を備えた樹脂の積層構造体を製造する方法であり、
ライニングすべき対象物を前記第一及び第二の熱可塑性
樹脂の融点を越える所定温度に昇温させ、その対象物の
表面に、まず、第一の熱可塑性樹脂粉体を供給し、上記
対象物からの熱伝導によって溶融、付着させ、次いで、
付着した樹脂層上に、第一の熱可塑性樹脂粉体と第二の
熱可塑性樹脂粉体とを1:2〜2:1の体積比で混合し
た粉体を供給して溶融、付着させ、その後、その樹脂層
上に、第二の熱可塑性樹脂粉体を供給して溶融、付着さ
せ、その後対象物を冷却して積層樹脂層を固化させるこ
とを特徴とする。この方法は、上記した積層シート又は
積層成型品の製造方法において、金型に変えてライニン
グすべき対象物を用い、必要に応じて対象物へ接着させ
るための常法による前処理を施し、且つ積層樹脂層を対
象物から外す工程をなくしただけのものである。
にライニングされた第一の熱可塑性樹脂から成る第一層
と、その上に接合された第二の熱可塑性樹脂からなる第
二層を備えた樹脂の積層構造体を製造する方法であり、
ライニングすべき対象物を前記第一及び第二の熱可塑性
樹脂の融点を越える所定温度に昇温させ、その対象物の
表面に、まず、第一の熱可塑性樹脂粉体を供給し、上記
対象物からの熱伝導によって溶融、付着させ、次いで、
付着した樹脂層上に、第一の熱可塑性樹脂粉体と第二の
熱可塑性樹脂粉体とを1:2〜2:1の体積比で混合し
た粉体を供給して溶融、付着させ、その後、その樹脂層
上に、第二の熱可塑性樹脂粉体を供給して溶融、付着さ
せ、その後対象物を冷却して積層樹脂層を固化させるこ
とを特徴とする。この方法は、上記した積層シート又は
積層成型品の製造方法において、金型に変えてライニン
グすべき対象物を用い、必要に応じて対象物へ接着させ
るための常法による前処理を施し、且つ積層樹脂層を対
象物から外す工程をなくしただけのものである。
【0033】以上に説明した積層構造体の製造方法は、
積層スケジュールを除けば、従来の粉体樹脂成型法その
ものである。しかし、本発明方法においては、単一種類
の樹脂粉体を用いるものではなく、第一層の形成には第
一の熱可塑性樹脂粉体を、第二層の形成には第二の熱可
塑性樹脂粉体を用いており、更に、両粉体供給の中間
に、両粉体の体積比で1:2〜2:1の混合粉体を供給
するという新規な対策により、本発明の積層シートの新
規な構成が実現されたものである。ここで、中間組成層
形成のための混合粉体供給については、実用上なるべく
少量に留めるのが好ましいところであるが、現実の樹脂
の溶融特性から0.2mm程度は必要である。樹脂の種
類によって、0.2〜0.5mmの厚さの範囲で目的は
おおむね達成される。また、中間組成層の樹脂粉体の混
合比に関して、体積比で1:3以下又は3:1以上にお
いては、強固な接合が実現されなかった。本発明方法に
使用する樹脂粉体の大きさは、通常の粉体樹脂成型法、
粉体樹脂塗装等に用いられるものと同じでよく、通常、
代表粒径が50〜500μmのものが、好ましくは10
0〜300μmのものが使用される。
積層スケジュールを除けば、従来の粉体樹脂成型法その
ものである。しかし、本発明方法においては、単一種類
の樹脂粉体を用いるものではなく、第一層の形成には第
一の熱可塑性樹脂粉体を、第二層の形成には第二の熱可
塑性樹脂粉体を用いており、更に、両粉体供給の中間
に、両粉体の体積比で1:2〜2:1の混合粉体を供給
するという新規な対策により、本発明の積層シートの新
規な構成が実現されたものである。ここで、中間組成層
形成のための混合粉体供給については、実用上なるべく
少量に留めるのが好ましいところであるが、現実の樹脂
の溶融特性から0.2mm程度は必要である。樹脂の種
類によって、0.2〜0.5mmの厚さの範囲で目的は
おおむね達成される。また、中間組成層の樹脂粉体の混
合比に関して、体積比で1:3以下又は3:1以上にお
いては、強固な接合が実現されなかった。本発明方法に
使用する樹脂粉体の大きさは、通常の粉体樹脂成型法、
粉体樹脂塗装等に用いられるものと同じでよく、通常、
代表粒径が50〜500μmのものが、好ましくは10
0〜300μmのものが使用される。
【0034】以上に本発明の積層構造体を粉体樹脂成型
法のみを用いて製造する方法を説明したが、本発明の積
層構造体は、必ずしも上記した方法のみによって製造さ
れるものではなく一部工程を変更することも可能であ
る。例えば、第一層或いは第二層を粉体樹脂の加熱溶融
によって形成する代わりに、あらかじめ成型したシート
又はフイルムを用いることも可能である。例えば、加熱
した金型上に、第一の熱可塑性樹脂からなるフイルム又
はシートを配してそのフイルム又はシートを加熱溶融さ
せ、その上に第一と第二の熱可塑性樹脂粉体の混合物を
供給して加熱溶融させ、その後、その上に第二の熱可塑
性樹脂粉体或いはフイルム又はシートを供給して加熱溶
融する方法を採ることもできる。
法のみを用いて製造する方法を説明したが、本発明の積
層構造体は、必ずしも上記した方法のみによって製造さ
れるものではなく一部工程を変更することも可能であ
る。例えば、第一層或いは第二層を粉体樹脂の加熱溶融
によって形成する代わりに、あらかじめ成型したシート
又はフイルムを用いることも可能である。例えば、加熱
した金型上に、第一の熱可塑性樹脂からなるフイルム又
はシートを配してそのフイルム又はシートを加熱溶融さ
せ、その上に第一と第二の熱可塑性樹脂粉体の混合物を
供給して加熱溶融させ、その後、その上に第二の熱可塑
性樹脂粉体或いはフイルム又はシートを供給して加熱溶
融する方法を採ることもできる。
【0035】
【作用】本発明の積層構造体は、それぞれが異なる熱可
塑性樹脂からなる第一層と第二層によって構成され、こ
れが中間組成層によって一体化されている。この中間組
成層は、第一層と第二層とを構成する熱可塑性樹脂が絡
み合った状態となっており、その中間組成層内の第一層
と同一の樹脂は第一層に結合し、第二層と同一の樹脂は
第二層に結合するから、結局、第一層と第二層の両層が
強固に絡み合った結合が得られる。このため、フッ素樹
脂のように極めて接合しにくい材料であっても、他の樹
脂層に強固に接合させることができ、フッ素樹脂の優れ
た特性を発揮させることが可能となる。
塑性樹脂からなる第一層と第二層によって構成され、こ
れが中間組成層によって一体化されている。この中間組
成層は、第一層と第二層とを構成する熱可塑性樹脂が絡
み合った状態となっており、その中間組成層内の第一層
と同一の樹脂は第一層に結合し、第二層と同一の樹脂は
第二層に結合するから、結局、第一層と第二層の両層が
強固に絡み合った結合が得られる。このため、フッ素樹
脂のように極めて接合しにくい材料であっても、他の樹
脂層に強固に接合させることができ、フッ素樹脂の優れ
た特性を発揮させることが可能となる。
【0036】前記したように第一層、第二層を構成する
熱可塑性樹脂は、本発明の積層構造体の用途に応じて適
宜定められるものであるが、請求項2に示すように、第
一層を汎用熱可塑性樹脂とし、その表面に第二層として
厚さ0.3〜1mmのフッ素樹脂被覆層を形成しておく
と、第一層が主として機械的な保護と環境遮断の役割を
果たし、第二層が優れた耐光性、耐薬品性を発揮して第
一層を保護し、コストをあまり高くすることなく、優れ
た特性を発揮することが可能となる。
熱可塑性樹脂は、本発明の積層構造体の用途に応じて適
宜定められるものであるが、請求項2に示すように、第
一層を汎用熱可塑性樹脂とし、その表面に第二層として
厚さ0.3〜1mmのフッ素樹脂被覆層を形成しておく
と、第一層が主として機械的な保護と環境遮断の役割を
果たし、第二層が優れた耐光性、耐薬品性を発揮して第
一層を保護し、コストをあまり高くすることなく、優れ
た特性を発揮することが可能となる。
【0037】また、この積層構造体を、第二層(フッ素
樹脂被覆層)側が凸となるように湾曲した積層シートと
すると、鋼管杭等の対象物に被せる覆装用シートとして
用いることができ、その際、内面側となる第一層は機械
的な保護と環境遮断の役割を果たし、外面側の第二層は
太陽光に対する耐久性と彩色の用を果たすこととなり、
長期間の使用に耐えることができる。また、この積層構
造体を、第二層(フッ素樹脂被覆層)側が凹となるよう
に湾曲した積層シートとすると、管やタンク内に装着す
るインナーケースやルースライニングパイプとして用い
ることができ、その際、外面側(管やタンクの内面に向
い合う側)となる第一層は形状維持と環境遮断の役割を
果たし、内面側の第二層は薬液に接触して、第一層をそ
の薬液から保護することとなり、長期間の使用に耐える
ことができる。
樹脂被覆層)側が凸となるように湾曲した積層シートと
すると、鋼管杭等の対象物に被せる覆装用シートとして
用いることができ、その際、内面側となる第一層は機械
的な保護と環境遮断の役割を果たし、外面側の第二層は
太陽光に対する耐久性と彩色の用を果たすこととなり、
長期間の使用に耐えることができる。また、この積層構
造体を、第二層(フッ素樹脂被覆層)側が凹となるよう
に湾曲した積層シートとすると、管やタンク内に装着す
るインナーケースやルースライニングパイプとして用い
ることができ、その際、外面側(管やタンクの内面に向
い合う側)となる第一層は形状維持と環境遮断の役割を
果たし、内面側の第二層は薬液に接触して、第一層をそ
の薬液から保護することとなり、長期間の使用に耐える
ことができる。
【0038】鋼管杭外面やタンク、管等の内面を上記し
た積層シートで覆装する場合、止水覆装が大きな目的で
あるので、対象物に巻回ないしは挿入した積層シートの
合わせ目や円筒方向の端部には止水処理を施すことが望
ましい。また、覆装した積層シートの内側に適切な防食
剤や充填剤を適用し、更に、覆装した積層シートの落下
防止のための巻き締めや、この際対象物との間の摩擦力
を保護するためのクッション材が必要となる場合もあ
る。これらの諸要請の多くは従来のカバー技術をそのま
ま転用することで満足できるが、巻回端の止水処理に関
しては本発明の積層シート固有の下記利点がもたらされ
る。
た積層シートで覆装する場合、止水覆装が大きな目的で
あるので、対象物に巻回ないしは挿入した積層シートの
合わせ目や円筒方向の端部には止水処理を施すことが望
ましい。また、覆装した積層シートの内側に適切な防食
剤や充填剤を適用し、更に、覆装した積層シートの落下
防止のための巻き締めや、この際対象物との間の摩擦力
を保護するためのクッション材が必要となる場合もあ
る。これらの諸要請の多くは従来のカバー技術をそのま
ま転用することで満足できるが、巻回端の止水処理に関
しては本発明の積層シート固有の下記利点がもたらされ
る。
【0039】これは本発明の積層シートが全て熱可塑性
樹脂によって構成されていることによるものであって、
この故に巻回端の溶接が可能となるためである。溶接は
材料の接合技術の中で最も信頼性の高いものである上、
作業能率の点でも他の手段に勝る場合が多い。本発明の
積層シートに適用可能な溶接法としては地上部或いは飛
沫帯では押出し溶接法(例えばドイツ国ムンシュ社の専
用機による)を、又、干満帯や水中部に対しては電磁誘
導による内部加熱接合技術(例えば、戸田工業・第一高
周波工業方式)を有利なものとして挙げることができ
る。
樹脂によって構成されていることによるものであって、
この故に巻回端の溶接が可能となるためである。溶接は
材料の接合技術の中で最も信頼性の高いものである上、
作業能率の点でも他の手段に勝る場合が多い。本発明の
積層シートに適用可能な溶接法としては地上部或いは飛
沫帯では押出し溶接法(例えばドイツ国ムンシュ社の専
用機による)を、又、干満帯や水中部に対しては電磁誘
導による内部加熱接合技術(例えば、戸田工業・第一高
周波工業方式)を有利なものとして挙げることができ
る。
【0040】本発明の積層構造体を積層成型品とした場
合には、第一層が主として形状維持の役割を果たし、第
二層がその第一層を保護する役割を果たす。例えば、積
層成型品の形状を管、容器等の形状とし、その内面側に
フッ素樹脂からなる第二層を配置しておくと、第二層が
薬液に接触して第一層をその薬液から保護し、長期間の
使用に耐えることを可能とする。また、第二層を成型品
の外面側とした場合には、その成型品を屋外等で使用し
た際に、第二層が太陽光に対する耐久性と彩色の用を果
たすこととなり、やはり長期間の使用を可能とする。
合には、第一層が主として形状維持の役割を果たし、第
二層がその第一層を保護する役割を果たす。例えば、積
層成型品の形状を管、容器等の形状とし、その内面側に
フッ素樹脂からなる第二層を配置しておくと、第二層が
薬液に接触して第一層をその薬液から保護し、長期間の
使用に耐えることを可能とする。また、第二層を成型品
の外面側とした場合には、その成型品を屋外等で使用し
た際に、第二層が太陽光に対する耐久性と彩色の用を果
たすこととなり、やはり長期間の使用を可能とする。
【0041】本発明の積層構造体をライニング形態とし
た場合には、屋外用彩色鋼管、薬液輸送鋼管、薬液用タ
ンク等として使用できる。すなわち、このライニング層
を鋼管等の対象物の外面側に配置した場合には、屋外用
彩色鋼管等として使用され、その際、第一層の上に設け
られるフッ素樹脂からなる第二層が太陽光に対する耐久
性と彩色の用を果たし、長期間の使用を可能とする。ま
た、このライニング層を鋼管等の対象物の内面側に配置
した場合には、薬液輸送鋼管等として使用でき、表面の
第二層が薬液に接触して第一層をその薬液から保護し、
長期間の使用に耐えることを可能とする。
た場合には、屋外用彩色鋼管、薬液輸送鋼管、薬液用タ
ンク等として使用できる。すなわち、このライニング層
を鋼管等の対象物の外面側に配置した場合には、屋外用
彩色鋼管等として使用され、その際、第一層の上に設け
られるフッ素樹脂からなる第二層が太陽光に対する耐久
性と彩色の用を果たし、長期間の使用を可能とする。ま
た、このライニング層を鋼管等の対象物の内面側に配置
した場合には、薬液輸送鋼管等として使用でき、表面の
第二層が薬液に接触して第一層をその薬液から保護し、
長期間の使用に耐えることを可能とする。
【0042】上記積層構造体を製造するための本発明方
法は、加熱した金型ないしはライニング対象物に、第一
の熱可塑性樹脂粉体を供給して加熱溶融させ、次いでそ
の上に第一及び第二の熱可塑性樹脂粉体の混合物を供給
して加熱溶融させ、更にその上に第二の熱可塑性樹脂粉
体を供給して加熱溶融させるか、或いはその逆の順序で
樹脂粉体を供給して加熱溶融させるものであるので、中
間で供給された第一及び第二の熱可塑性樹脂粉体の混合
物が加熱溶融する際、第一及び第二の熱可塑性樹脂が互
いに入り組んだ状態で溶融し、その中の第一の熱可塑性
樹脂は、第一の熱可塑性樹脂粉体のみの供給によって形
成された第一層に強固に接着し、且つ第二の熱可塑性樹
脂は、第二の熱可塑性樹脂粉体のみの供給によって形成
された第二層に強固に接着し、結局、図1に示すよう
に、第一層2と第二層3とが複雑に絡み合った構成の中
間組成層4で強固に接合された積層構造体を製造するこ
とができる。
法は、加熱した金型ないしはライニング対象物に、第一
の熱可塑性樹脂粉体を供給して加熱溶融させ、次いでそ
の上に第一及び第二の熱可塑性樹脂粉体の混合物を供給
して加熱溶融させ、更にその上に第二の熱可塑性樹脂粉
体を供給して加熱溶融させるか、或いはその逆の順序で
樹脂粉体を供給して加熱溶融させるものであるので、中
間で供給された第一及び第二の熱可塑性樹脂粉体の混合
物が加熱溶融する際、第一及び第二の熱可塑性樹脂が互
いに入り組んだ状態で溶融し、その中の第一の熱可塑性
樹脂は、第一の熱可塑性樹脂粉体のみの供給によって形
成された第一層に強固に接着し、且つ第二の熱可塑性樹
脂は、第二の熱可塑性樹脂粉体のみの供給によって形成
された第二層に強固に接着し、結局、図1に示すよう
に、第一層2と第二層3とが複雑に絡み合った構成の中
間組成層4で強固に接合された積層構造体を製造するこ
とができる。
【0043】本発明により積層シートを製造する場合、
金型の長さの選択によって任意の長さのシートの製作に
簡易に対応しうるものであり、所要寸法が多岐に亘る積
層シートの用途に対して有利な対応を可能とするもので
ある。
金型の長さの選択によって任意の長さのシートの製作に
簡易に対応しうるものであり、所要寸法が多岐に亘る積
層シートの用途に対して有利な対応を可能とするもので
ある。
【0044】
〔実施例−1〕図2、図3に示す成型装置を用意した。
図中、11は管体からなる金型であり、円筒状外周面を
成型面としている。この金型11としては、外径900
mm、長さ4m、板厚12mmの鋼管を使用した。12
は、金型11を支持して回転させる回転ローラであり、
駆動モータ(図示せず)に連結されている。13は、金
型11の上方に配置され、金型11の外面全長に粉体樹
脂を一様に供給可能な粉体樹脂供給ホッパーである。こ
の粉体樹脂供給ホッパー13は、3個用意されており、
第一の粉体樹脂供給ホッパーにはPE粉体樹脂が、第二
の粉体樹脂供給ホッパーにはPE粉体樹脂とフッ素粉体
樹脂(PVDF)を体積比で1:1にドライ混合した混
合粉体樹脂が、第三の粉体樹脂供給ホッパーにはフッ素
粉体樹脂(PVDF)が収容されている。
図中、11は管体からなる金型であり、円筒状外周面を
成型面としている。この金型11としては、外径900
mm、長さ4m、板厚12mmの鋼管を使用した。12
は、金型11を支持して回転させる回転ローラであり、
駆動モータ(図示せず)に連結されている。13は、金
型11の上方に配置され、金型11の外面全長に粉体樹
脂を一様に供給可能な粉体樹脂供給ホッパーである。こ
の粉体樹脂供給ホッパー13は、3個用意されており、
第一の粉体樹脂供給ホッパーにはPE粉体樹脂が、第二
の粉体樹脂供給ホッパーにはPE粉体樹脂とフッ素粉体
樹脂(PVDF)を体積比で1:1にドライ混合した混
合粉体樹脂が、第三の粉体樹脂供給ホッパーにはフッ素
粉体樹脂(PVDF)が収容されている。
【0045】この成型装置を用い、以下の工程で積層シ
ートを作成した。 金型11を、表面が約270°Cとなるように加熱
した後、その金型11を回転ローラ12によって周速約
550mm/秒で回転させ、その外周面全長に、第一の
粉体樹脂供給ホッパー13からPE粉体樹脂14を約2
分間振りかける。 金型11の表面に供給されたPE粉体樹脂は直ち
に、金型11からの熱伝導により加熱溶融され、金型1
1表面に付着したPE層を形成する。このPE層が形成
された時点で、その上に第二の粉体樹脂供給ホッパーか
ら混合粉体樹脂を約30秒間振りかける。 PE層上に供給された混合粉体樹脂も直ちに、金型
からの熱伝導により加熱溶融され、PE層に付着した中
間組成層を形成する。この中間組成層が形成された時点
で、その上に第三の粉体樹脂供給ホッパーからフッ素
(PVDF)粉体樹脂を約60秒間振りかける。
ートを作成した。 金型11を、表面が約270°Cとなるように加熱
した後、その金型11を回転ローラ12によって周速約
550mm/秒で回転させ、その外周面全長に、第一の
粉体樹脂供給ホッパー13からPE粉体樹脂14を約2
分間振りかける。 金型11の表面に供給されたPE粉体樹脂は直ち
に、金型11からの熱伝導により加熱溶融され、金型1
1表面に付着したPE層を形成する。このPE層が形成
された時点で、その上に第二の粉体樹脂供給ホッパーか
ら混合粉体樹脂を約30秒間振りかける。 PE層上に供給された混合粉体樹脂も直ちに、金型
からの熱伝導により加熱溶融され、PE層に付着した中
間組成層を形成する。この中間組成層が形成された時点
で、その上に第三の粉体樹脂供給ホッパーからフッ素
(PVDF)粉体樹脂を約60秒間振りかける。
【0046】 中間組成層上に供給されたフッ素粉体
樹脂も直ちに、金型11からの熱伝導により加熱溶融さ
れ、フッ素樹脂層を形成する。この動作中において、金
型11の温度が約210°Cよりも低下した場合には、
フッ素粉体樹脂(融点170°C)の溶融促進のため、
金型11を内面側から、約240°C位に再加熱する。 その後、金型11の周速を300mm/秒程度に低
下させ、フッ素樹脂層の表面が十分溶融し平滑性が出る
まで金型11を回転状態に保持する(約4〜5分)。 十分な溶融平滑性の得られたことを確認後、金型1
1を内面側より水冷し、外面の樹脂積層体を常温まで冷
却する。 形成された樹脂積層体を管軸方向直線の1ヶ所をカ
ッターナイフ等で切断し、金型11より剥離させる。
樹脂も直ちに、金型11からの熱伝導により加熱溶融さ
れ、フッ素樹脂層を形成する。この動作中において、金
型11の温度が約210°Cよりも低下した場合には、
フッ素粉体樹脂(融点170°C)の溶融促進のため、
金型11を内面側から、約240°C位に再加熱する。 その後、金型11の周速を300mm/秒程度に低
下させ、フッ素樹脂層の表面が十分溶融し平滑性が出る
まで金型11を回転状態に保持する(約4〜5分)。 十分な溶融平滑性の得られたことを確認後、金型1
1を内面側より水冷し、外面の樹脂積層体を常温まで冷
却する。 形成された樹脂積層体を管軸方向直線の1ヶ所をカ
ッターナイフ等で切断し、金型11より剥離させる。
【0047】以上の工程により、図4に示すように、全
体が円筒形をなし、円周上の1ヶ所が軸線方向に切断さ
れた積層シート15が得られた。この積層シート15
は、図5に示すように、PE樹脂からなる第一層(内
層)15aと、中間組成層15bと、フッ素樹脂からな
る第二層(外層)15cとの積層構造であり、全体の合
計厚さが3mm、第一層15a、中間組成層15b、第
二層15cの各厚さはそれぞれ、2.2mm、0.3m
m、0.5mmであった。また、その中間組成層15c
を検鏡したところ、第一層側と第二層側とが入り組んで
融合した混合状態が確認された。
体が円筒形をなし、円周上の1ヶ所が軸線方向に切断さ
れた積層シート15が得られた。この積層シート15
は、図5に示すように、PE樹脂からなる第一層(内
層)15aと、中間組成層15bと、フッ素樹脂からな
る第二層(外層)15cとの積層構造であり、全体の合
計厚さが3mm、第一層15a、中間組成層15b、第
二層15cの各厚さはそれぞれ、2.2mm、0.3m
m、0.5mmであった。また、その中間組成層15c
を検鏡したところ、第一層側と第二層側とが入り組んで
融合した混合状態が確認された。
【0048】上記中間組成層を形成する混合粉体樹脂と
して、その体積比を、1:2、1:3、2:1、3:1
と変えて同様な試作を行って、積層シートを得た。得ら
れた積層シートについて、第一層と第二層間の剥離強度
を測定したところ、次の結果を得た。
して、その体積比を、1:2、1:3、2:1、3:1
と変えて同様な試作を行って、積層シートを得た。得ら
れた積層シートについて、第一層と第二層間の剥離強度
を測定したところ、次の結果を得た。
【0049】 混合粉体体積比 剥離強度 1:1 30N/cm以上 1:2 30N/cm以上 1:3 10N/cm未満 2:1 30N/cm以上 3:1 10N/cm未満 この結果より明らかなように、中間組成層を構成する混
合粉体樹脂の体積比が、1:2〜2:1の時に、強固な
接合強度が得られた。
合粉体樹脂の体積比が、1:2〜2:1の時に、強固な
接合強度が得られた。
【0050】〔実施例−2〕図6、図7に示す成型装置
を用意した。この成型装置は、円筒状の内周面を鏡面仕
上げして成型面とした金型21と、その金型21を支持
して回転させる回転ローラ22と、その金型21内に出
し入れ可能で、しかも前もって計算された量の粉体樹脂
を金型21内面に均等に供給可能な3個の粉体樹脂供給
ホッパー23(1個のみ図示)等を備えている。金型2
1としては、外径900mm、長さ4m、板厚12.7
mmの鋼管を使用した。
を用意した。この成型装置は、円筒状の内周面を鏡面仕
上げして成型面とした金型21と、その金型21を支持
して回転させる回転ローラ22と、その金型21内に出
し入れ可能で、しかも前もって計算された量の粉体樹脂
を金型21内面に均等に供給可能な3個の粉体樹脂供給
ホッパー23(1個のみ図示)等を備えている。金型2
1としては、外径900mm、長さ4m、板厚12.7
mmの鋼管を使用した。
【0051】この成型装置を用い、以下の工程で積層シ
ートを作成した。 金型21を、内面が約270°Cとなるように加熱
した後、その金型21を回転ローラ22によって周速約
550mm/秒で回転させ、その金型21内に第一の粉
体樹脂供給ホッパー23を挿入し、皮膜厚みが0.5m
mとなる量のフッ素粉体樹脂(PVDF)24を金型2
1の内周面に供給する。第一の粉体樹脂供給ホッパーは
樹脂供給後、金型21外に引き出しておく。 供給されたフッ素粉体樹脂のほぼ全量が金型21の
内面に溶融付着した(約40秒)後、第二の粉体樹脂供
給ホッパーを金型21内に挿入し、PE粉体樹脂とフッ
素粉体樹脂(PVDF)を体積比で1:1にドライ混合
した混合粉体樹脂を金型21のフッ素樹脂層上に供給す
る。この時の供給量は、約0.3mm厚みの中間組成層
を形成しうる量としている。
ートを作成した。 金型21を、内面が約270°Cとなるように加熱
した後、その金型21を回転ローラ22によって周速約
550mm/秒で回転させ、その金型21内に第一の粉
体樹脂供給ホッパー23を挿入し、皮膜厚みが0.5m
mとなる量のフッ素粉体樹脂(PVDF)24を金型2
1の内周面に供給する。第一の粉体樹脂供給ホッパーは
樹脂供給後、金型21外に引き出しておく。 供給されたフッ素粉体樹脂のほぼ全量が金型21の
内面に溶融付着した(約40秒)後、第二の粉体樹脂供
給ホッパーを金型21内に挿入し、PE粉体樹脂とフッ
素粉体樹脂(PVDF)を体積比で1:1にドライ混合
した混合粉体樹脂を金型21のフッ素樹脂層上に供給す
る。この時の供給量は、約0.3mm厚みの中間組成層
を形成しうる量としている。
【0052】 中間組成層となる混合粉体樹脂のほぼ
全量がフッ素樹脂層上に溶融付着した(約30秒)後、
第三の粉体樹脂供給ホッパーを金型21内に挿入し、約
2.2mm厚みとなる量のPE粉体樹脂を金型21内に
供給する。 これらの動作中、金型温度が約210°C以下に低
下した場合、或いはPE粉体樹脂の溶融状態が悪い場合
には、金型21を約240°C位まで外面より、プロパ
ン酸素ガスバーナーで再加熱し、形成皮膜溶融の促進を
計る。 金型21内面に形成される樹脂積層体に十分な溶
融、平滑性が得られた事を確認後、管外面より水冷し、
積層体を常温まで冷却する。 形成積層体を管軸方向直線に1ヶ所をカッターナイ
フ等で切断し、金型内面より剥離させる。
全量がフッ素樹脂層上に溶融付着した(約30秒)後、
第三の粉体樹脂供給ホッパーを金型21内に挿入し、約
2.2mm厚みとなる量のPE粉体樹脂を金型21内に
供給する。 これらの動作中、金型温度が約210°C以下に低
下した場合、或いはPE粉体樹脂の溶融状態が悪い場合
には、金型21を約240°C位まで外面より、プロパ
ン酸素ガスバーナーで再加熱し、形成皮膜溶融の促進を
計る。 金型21内面に形成される樹脂積層体に十分な溶
融、平滑性が得られた事を確認後、管外面より水冷し、
積層体を常温まで冷却する。 形成積層体を管軸方向直線に1ヶ所をカッターナイ
フ等で切断し、金型内面より剥離させる。
【0053】以上の工程により、PEとPVDFが中間
組成層によって強固に接合した積層シートを得ることが
できた。得られた積層シートは、図5に示す積層シート
15と同様の形状のものであり、外面側がフッ素樹脂層
(第二層)となっており、しかも、そのフッ素樹脂層の
表面は金型21の鏡面を転写した極めて平滑なものであ
った。この積層シートは、3mmの合計厚さを有し、第
一層(PE層)、中間組成層、第二層(フッ素樹脂層)
の厚さはそれぞれ、2.2mm、0.3mm、0.5m
mであった。
組成層によって強固に接合した積層シートを得ることが
できた。得られた積層シートは、図5に示す積層シート
15と同様の形状のものであり、外面側がフッ素樹脂層
(第二層)となっており、しかも、そのフッ素樹脂層の
表面は金型21の鏡面を転写した極めて平滑なものであ
った。この積層シートは、3mmの合計厚さを有し、第
一層(PE層)、中間組成層、第二層(フッ素樹脂層)
の厚さはそれぞれ、2.2mm、0.3mm、0.5m
mであった。
【0054】なお、以上に説明した2実施例はいずれ
も、外面側にフッ素樹脂層(第二層)を配した積層シー
トを成型する場合のものであるが、その成型工程におい
て第一、第二の樹脂粉体を供給順序を入れ替えることに
より、内面側にフッ素樹脂層(第二層)を配した湾曲シ
ートを得ることができる。また、積層成型品の形態の樹
脂積層体、或いは積層ライニング形態の樹脂積層体も、
上記実施例における金型を、製造すべき樹脂成型品に対
応したものに変えるか、或いはライニングすべき対象物
に変え、その後は上記実施例とほぼ同様な工程により製
造することができる。
も、外面側にフッ素樹脂層(第二層)を配した積層シー
トを成型する場合のものであるが、その成型工程におい
て第一、第二の樹脂粉体を供給順序を入れ替えることに
より、内面側にフッ素樹脂層(第二層)を配した湾曲シ
ートを得ることができる。また、積層成型品の形態の樹
脂積層体、或いは積層ライニング形態の樹脂積層体も、
上記実施例における金型を、製造すべき樹脂成型品に対
応したものに変えるか、或いはライニングすべき対象物
に変え、その後は上記実施例とほぼ同様な工程により製
造することができる。
【0055】以上に説明した本発明の積層成型体は、第
一層、中間組成層、第二層のみからなる構成を示した
が、本発明はこの構成に限らず、必要に応じ、第一層或
いは第二層の外面側に、更に他の層を積層してもよい。
一層、中間組成層、第二層のみからなる構成を示した
が、本発明はこの構成に限らず、必要に応じ、第一層或
いは第二層の外面側に、更に他の層を積層してもよい。
【0056】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
の積層構造体は、第一の熱可塑性樹脂から成る第一層
と、該第一の熱可塑性樹脂とは異なる第二の熱可塑性樹
脂から成る第二層とを、前記第一の熱可塑性樹脂と第二
の熱可塑性樹脂との、体積比で1:2〜2:1の混合物
からなる中間組成層を介して積層一体化したものである
ので、接合しにくい樹脂であっても強固に接合すること
ができ、一体構造の物品として、両樹脂の特性を有効に
発揮させることができるという効果を有している。
の積層構造体は、第一の熱可塑性樹脂から成る第一層
と、該第一の熱可塑性樹脂とは異なる第二の熱可塑性樹
脂から成る第二層とを、前記第一の熱可塑性樹脂と第二
の熱可塑性樹脂との、体積比で1:2〜2:1の混合物
からなる中間組成層を介して積層一体化したものである
ので、接合しにくい樹脂であっても強固に接合すること
ができ、一体構造の物品として、両樹脂の特性を有効に
発揮させることができるという効果を有している。
【0057】ここで、第一層を汎用熱可塑性樹脂とし、
第二層を厚さが0.3〜1mmのフッ素樹脂被覆層とす
ると、比較的低廉でありながら、長期間に渡ってフッ素
樹脂被覆層が汎用熱可塑性樹脂層を保護することがで
き、耐光性や彩色特性の優れた物品として、或いは薬液
に対して優れた耐食性を備えた物品として使用すること
ができる。このため、本発明の積層構造体は、積層シー
トの形態とすることにより、屋外構造物の覆装用シート
として、或いは管やタンク等のインナーケースやルース
ライニングパイプとして有効に使用することができ、ま
た、積層成型品の形態とすることにより、工業薬品容器
等として有効に使用することができ、更にライニングの
形態とすることにより、屋外用彩色鋼管、薬液輸送鋼
管、薬液用タンク等として有効に使用することができ
る。
第二層を厚さが0.3〜1mmのフッ素樹脂被覆層とす
ると、比較的低廉でありながら、長期間に渡ってフッ素
樹脂被覆層が汎用熱可塑性樹脂層を保護することがで
き、耐光性や彩色特性の優れた物品として、或いは薬液
に対して優れた耐食性を備えた物品として使用すること
ができる。このため、本発明の積層構造体は、積層シー
トの形態とすることにより、屋外構造物の覆装用シート
として、或いは管やタンク等のインナーケースやルース
ライニングパイプとして有効に使用することができ、ま
た、積層成型品の形態とすることにより、工業薬品容器
等として有効に使用することができ、更にライニングの
形態とすることにより、屋外用彩色鋼管、薬液輸送鋼
管、薬液用タンク等として有効に使用することができ
る。
【0058】本発明の積層構造体を構成する第一の熱可
塑性樹脂をポリエチレンとし、第二の熱可塑性樹脂をフ
ッ化ビニリデンとすると、両者の接合強度が大きく、覆
装用シートとして極めて好適である。
塑性樹脂をポリエチレンとし、第二の熱可塑性樹脂をフ
ッ化ビニリデンとすると、両者の接合強度が大きく、覆
装用シートとして極めて好適である。
【0059】更に、本発明方法では、金型の加熱した成
型面ないしはライニング対象物に対して、粉体樹脂を供
給して溶融付着させるという粉体樹脂成型法を使用しな
がら、その供給する粉体樹脂を、第一の熱可塑性樹脂粉
体、第一及び第二の熱可塑性樹脂粉体の混合物、第二の
熱可塑性樹脂粉体という順序或いはその逆の順序とする
ことにより、第一の熱可塑性樹脂から成る第一層と、第
二の熱可塑性樹脂から成る第二層とを、中間組成層によ
って強固に接合してなる積層構造体を製造することがで
きるという効果を有している。
型面ないしはライニング対象物に対して、粉体樹脂を供
給して溶融付着させるという粉体樹脂成型法を使用しな
がら、その供給する粉体樹脂を、第一の熱可塑性樹脂粉
体、第一及び第二の熱可塑性樹脂粉体の混合物、第二の
熱可塑性樹脂粉体という順序或いはその逆の順序とする
ことにより、第一の熱可塑性樹脂から成る第一層と、第
二の熱可塑性樹脂から成る第二層とを、中間組成層によ
って強固に接合してなる積層構造体を製造することがで
きるという効果を有している。
【0060】ここで、その粉体樹脂成型に用いる金型と
して、管体を用い、その円筒状外周面或いは円筒状内周
面を成型面として使用することにより、円弧状に湾曲さ
せた積層シートを製造することができる。
して、管体を用い、その円筒状外周面或いは円筒状内周
面を成型面として使用することにより、円弧状に湾曲さ
せた積層シートを製造することができる。
【図1】本発明の積層構造体の断面を拡大して、且つ誇
張して示す断面図
張して示す断面図
【図2】実施例−1において用いる成型装置の概略端面
図
図
【図3】その成型装置の概略側面図
【図4】その成型装置で得られた積層シートの概略斜視
図
図
【図5】その積層シートの概略断面図
【図6】実施例−2において用いる成型装置の概略端面
図
図
【図7】その成型装置の概略断面図
1 積層構造体 2 第一層 3 第二層 4 中間組成層 11、21 金型 12、22 回転ローラ 13、23 粉体樹脂供給ホッパー 15 積層シート
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B29L 9:00 4F (72)発明者 土田 勇 東京都中央区築地1丁目13番10号 第一高 周波工業株式会社本社内
Claims (13)
- 【請求項1】 少なくとも、第一の熱可塑性樹脂から成
る第一層と、該第一の熱可塑性樹脂とは異なる第二の熱
可塑性樹脂から成る第二層とを有し、前記第一層と第二
層とが、前記第一の熱可塑性樹脂と第二の熱可塑性樹脂
との、体積比で1:2〜2:1の混合物からなる中間組
成層を介して積層一体化されていることを特徴とする樹
脂の積層構造体。 - 【請求項2】 前記第一層が汎用熱可塑性樹脂から成る
層であり、前記第二層が、厚さ0.3〜1mmのフッ素
樹脂被覆層であることを特徴とする請求項1に記載の樹
脂の積層構造体。 - 【請求項3】 前記第一層と第二層とが、全体の厚さが
2〜5mmの積層シートを構成しており、更に、円筒状
の対象物の外面に対して、第二層を外面側として覆装す
るのに適するよう、前記第二層側を凸として円弧状に湾
曲していることを特徴とする請求項1又は2に記載の樹
脂の積層構造体。 - 【請求項4】 前記第一層と第二層とが、全体の厚さが
2〜5mmの積層シートを構成しており、更に、円筒状
の対象物の内面に対して、第二層を内面側として覆装す
るのに適するよう、前記第二層側を凹として円弧状に湾
曲していることを特徴とする請求項1又は2に記載の樹
脂の積層構造体。 - 【請求項5】 前記第一層と第二層とが、単体として取
り扱うのに必要な強度を備えた成型品を構成しているこ
とを特徴とする請求項1又は2に記載の樹脂の積層構造
体。 - 【請求項6】 前記第一層が、対象物に接合されたライ
ニング層であり、その表面に第二層が配置されているこ
とを特徴とする請求項1又は2に記載の樹脂の積層構造
体。 - 【請求項7】 第一の熱可塑性樹脂がポリエチレンであ
り、第二の熱可塑性樹脂がフッ化ビニリデンであること
を特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の樹
脂の積層構造体。 - 【請求項8】 第一の熱可塑性樹脂から成る第一層と、
第二の熱可塑性樹脂からなる第二層を備えた樹脂の積層
構造体を製造する方法であって、金型の成型面を、前記
第一及び第二の熱可塑性樹脂の融点を越える所定温度に
昇温させ、その金型の成型面に、まず、第一及び第二の
熱可塑性樹脂粉体の一方を供給し、上記金型からの熱伝
導によって溶融、付着させ、次いで、付着した樹脂層上
に、第一の熱可塑性樹脂粉体と第二の熱可塑性樹脂粉体
とを1:2〜2:1の体積比で混合した粉体を供給して
溶融、付着させ、その後、その樹脂層上に、第一及び第
二の熱可塑性樹脂粉体の他方を供給して溶融、付着さ
せ、その後金型を冷却して積層樹脂層を固化させ、該積
層樹脂層を金型から外して、樹脂の積層構造体を得るこ
とを特徴とする樹脂の積層構造体の製造方法。 - 【請求項9】 前記金型を管体で構成し、その円筒状外
周面を成型面とし、その成型面上に、第一の熱可塑性樹
脂粉体、第一及び第二の熱可塑性樹脂粉体の混合したも
の、第二の熱可塑性樹脂粉体をこの順で供給することに
より、第二層を外面側として湾曲した積層シートを得る
ことを特徴とする請求項8に記載の積層構造体の製造方
法。 - 【請求項10】 前記金型を管体で構成し、その円筒状
内周面を成型面とし、その成型面上に、第二の熱可塑性
樹脂粉体、第一及び第二の熱可塑性樹脂粉体の混合した
もの、第一の熱可塑性樹脂粉体をこの順で供給すること
により、第二層を外面側として湾曲した積層シートを得
ることを特徴とする請求項8に記載の積層構造体の製造
方法。 - 【請求項11】 前記金型を管体で構成し、その円筒状
内周面を成型面とし、その成型面上に、第一の熱可塑性
樹脂粉体、第一及び第二の熱可塑性樹脂粉体の混合した
もの、第二の熱可塑性樹脂粉体をこの順で供給すること
により、第二層を内面側として湾曲した積層シートを得
ることを特徴とする請求項8に記載の積層構造体の製造
方法。 - 【請求項12】 前記金型を管体で構成し、その円筒状
外周面を成型面とし、その成型面上に、第二の熱可塑性
樹脂粉体、第一及び第二の熱可塑性樹脂粉体の混合した
もの、第一の熱可塑性樹脂粉体をこの順で供給すること
により、第二層を内面側として湾曲した積層シートを得
ることを特徴とする請求項8に記載の積層構造体の製造
方法。 - 【請求項13】 対象物にライニングされた第一の熱可
塑性樹脂から成る第一層と、その上に接合された第二の
熱可塑性樹脂からなる第二層を備えた樹脂の積層構造体
を製造する方法であって、ライニングすべき対象物を前
記第一及び第二の熱可塑性樹脂の融点を越える所定温度
に昇温させ、その対象物の表面に、まず、第一の熱可塑
性樹脂粉体を供給し、上記対象物からの熱伝導によって
溶融、付着させ、次いで、付着した樹脂層上に、第一の
熱可塑性樹脂粉体と第二の熱可塑性樹脂粉体とを1:2
〜2:1の体積比で混合した粉体を供給して溶融、付着
させ、その後、その樹脂層上に、第二の熱可塑性樹脂粉
体を供給して溶融、付着させ、その後対象物を冷却して
積層樹脂層を固化させることを特徴とする樹脂の積層構
造体の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP15445393A JPH06340034A (ja) | 1993-06-01 | 1993-06-01 | 樹脂の積層構造体及びその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP15445393A JPH06340034A (ja) | 1993-06-01 | 1993-06-01 | 樹脂の積層構造体及びその製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH06340034A true JPH06340034A (ja) | 1994-12-13 |
Family
ID=15584559
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP15445393A Pending JPH06340034A (ja) | 1993-06-01 | 1993-06-01 | 樹脂の積層構造体及びその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH06340034A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2005014607A (ja) * | 2003-06-06 | 2005-01-20 | Mitsubishi Plastics Ind Ltd | 化粧フィルム |
JP2008238704A (ja) * | 2007-03-28 | 2008-10-09 | Suiko Kk | 回転成形法による多層成形品 |
JP2018111309A (ja) * | 2017-01-10 | 2018-07-19 | エボニック デグサ ゲーエムベーハーEvonik Degussa GmbH | 多層中間層体を有する熱可塑性複合管 |
JP2018111310A (ja) * | 2017-01-10 | 2018-07-19 | エボニック デグサ ゲーエムベーハーEvonik Degussa GmbH | 多層中間層体を有する熱可塑性複合管 |
-
1993
- 1993-06-01 JP JP15445393A patent/JPH06340034A/ja active Pending
Cited By (8)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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US11149879B2 (en) | 2017-01-10 | 2021-10-19 | Evonik Operations Gmbh | Thermoplastic composite pipe with multilayer intermediate lamina |
JP2022118001A (ja) * | 2017-01-10 | 2022-08-12 | エボニック オペレーションズ ゲーエムベーハー | 多層中間層体を有する熱可塑性複合管 |
JP2022122918A (ja) * | 2017-01-10 | 2022-08-23 | エボニック オペレーションズ ゲーエムベーハー | 多層中間層体を有する熱可塑性複合管 |
US11982396B2 (en) | 2017-01-10 | 2024-05-14 | Evonik Operations Gmbh | Thermoplastic composite pipe with multilayer intermediate lamina |
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