JP3709045B2 - 重防食被覆鋼管および重防食被覆鋼管杭の製造方法およびその製造装置 - Google Patents

重防食被覆鋼管および重防食被覆鋼管杭の製造方法およびその製造装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は重防食被覆鋼管および重防食被覆鋼管杭、並びにその製造方法およびその製造装置に関し、更に詳しくは、防食層であるポリエチレン層と繊維強化プラスチック層もしくはモルタル層との剪断接着力に優れた重防食被覆鋼管および重防食被覆鋼管杭並びにその製造方法およびその製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
ガス、石油、上下水道、電線ケーブルなどの各種埋設配管や鋼管杭などの土木用建材では、鋼管外面をポリエチレンで被覆したポリエチレン被覆鋼管が多用されている。ポリエチレンは化学的に安定であるため、ポリエチレン被覆鋼材は長期にわたり優れた防食性を有する。だが、埋設・打設時の小石などとの接触、被覆鋼材同士のぶつかり合いや摩耗などによりポリエチレン被覆に貫通疵が生じ、防食性が損なわれることがある。また、ポリエチレン被覆鋼管が、道路などを横断して敷設される際に、道路下の土中に鋼管を推進させて敷設する直押推進工法にて使用される場合は、ポリエチレン被覆のみであると、ポリエチレン被覆鋼管が地中を推進する間に土中の岩石などにより被覆が引っかかれて貫通疵や被覆の剥離を生じ、防食性が損なわれることがある。そのため、ポリエチレン被覆鋼管およびポリエチレン被覆鋼管杭の耐衝撃性や耐疵性、耐摩耗性などを向上させた被覆鋼管および被覆鋼管杭が開発されている。例えば、ポリエチレン被覆の表面に繊維強化プラスチックを保護層として被覆した重防食被覆鋼材が特公平7−6595や特公平6−78606などに開示されている。
【0003】
また、海底、河川などに敷設されるパイプラインにおいても、ポリエチレン被覆鋼管が多用されているが、使用の際は、海底、河川の底での水の流れに対する鋼管の安定性を高めるために重量を増加させる目的でポリエチレン被覆鋼管の外面にコンクリートなどのモルタルコーティングを施すことが多い。
【0004】
以上のような、ポリエチレン被覆の外面に繊維強化プラスチック被覆やモルタルコーティングなどを行う場合、外面塗膜の剥離を防止するために、ポリエチレン層と繊維強化プラスチック被覆やモルタルコーティングなどとの接着力、特に剪断接着力が要求される。だが、ポリエチレンは化学的に安定であり、繊維強化プラスチックやモルタルと化学的接着力を得るのは困難である。そのため、剪断接着力を得るには、ポリエチレン層表面に凹凸加工を施しポリエチレン層と外面被覆との機械的な接合を行わせる必要がある。例えば、特開昭58−89974ではポリエチレン被覆直後に表面にポリエチレンペレットを散布して融着させることにより、ポリエチレン層表面に凹凸を形成させて、ポリエチレン層とモルタルとの接着力を向上させている。また、特公平7−6595ではポリエチレン被覆直後に、ポリエチレン層にエンボス状の凹凸のある金属製のロールを押し当てて、ロール表面の凹凸をポリエチレン層表面に転写させることによりポリエチレン層表面に凹凸を形成させている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これらの方法でポリエチレン層表面に凹凸加工を施す場合、操業スピードを下げなければ、十分な凹凸を形成させることが出来ず、ポリエチレン層と外面被覆層との大きな剪断接着力は得られない。
【0006】
例えば、ポリエチレンペレットを散布し、融着させる方法では、ポリエチレン層からペレットへの伝熱によりペレット表面を一部溶融させ、付着させているため、鋼管の搬送スピードが大きいと融着するペレットの数が減り、また融着も不十分になるので外面被覆との剪断接着力はあまり向上しない。十分な剪断接着力を得るためには鋼管の搬送スピードを低下させる必要がある。また、エンボス加工を施す場合も、鋼管の搬送スピードが大きいと、凹凸のついた金属ロールとポリエチレン層との接触時間が短くなり、十分なエンボスを形成させることが出来なくなるため、前者と同様、鋼管の搬送スピードを低下させる必要がある。
【0007】
すなわち、従来の方法では、ポリエチレン層と外面被覆層との剪断接着力の向上と生産効率の向上といった2つの課題を両立させることは困難であった。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上述の問題点を解決すべく、鋭意検討した。その結果、図2に示すように、下地処理を施した鋼管(1)もしくは鋼管杭(1)用の鋼管の外面にプライマー層(2)、ポリエチレン接着剤層(3)、高さ0.1〜5mm、幅3〜100mmのらせん状隆起(5)を有するポリエチレン層(4)が順次積層された重防食被覆鋼管または重防食被覆鋼管杭用鋼管の表面に繊維強化プラスチック層(6)もしくはモルタル層(6)を積層することで、強固な剪断密着力が得られること、および更に、らせん状隆起(5)があるポリエチレン層(4)を形成させる際は、図5に示すように、鋼管被覆用Tダイ(11)のダイリップ部に左右を分割する金属、無機もしくは有機製の仕切り線(12)もしくは仕切り板(12)を設け、溶融したポリエチレンを分割してシート状に押し出し、回転しながら管軸方向に移送される鋼管(10)に被覆を行えば、鋼管の搬送速度に依存することなく、十分な剪断接着力を得るための凹凸加工を形成できることを見いだし、本発明に至った。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明に使用する鋼管(1)および鋼管杭(1)とは、炭素鋼あるいはステンレス鋼等の合金鋼でできた鋼管および鋼管杭である。また、鋼管および鋼管杭の内面、外面または両面に、チタンや、アルミニウム、ニッケル、銅、ステンレス鋼などの金属あるいはそれらの合金鋼を積層したクラッド鋼管やクラッド鋼管杭なども使用できる。また、鋼管および鋼管杭の内面、外面または両面にめっき処理を施しためっき鋼管やメッキ鋼管杭なども使用できる。これらの鋼管および鋼管杭の表面は、脱脂・酸洗処理もしくはグリッドブラストなどによる除錆処理を施しておく。
【0010】
除錆処理を施した鋼管(1)および鋼管杭(1)の表面には、より優れた防食性を得るために、クロメート処理剤による表面処理を施しておくことが望ましい。クロメ−ト被膜は、除錆処理を施した金属の表面に、クロメ−ト処理剤をロ−ルや刷毛等で塗布し加熱・焼き付けして形成させる。クロメ−ト被膜は、加熱・焼き付け後の全クロム付着量換算で1000mg/m2 以下の厚みであると良好な結果が得られる。1000mg/m2 を超えるとプライマ−層と金属との密着力が低下する。
【0011】
表面処理を施した鋼管の表面には、より大きな接着力とより優れた防食性を得るためにプライマー層(2)を形成させておく。プライマー層としては、反応硬化型エポキシからなる、エポキシプライマ−層が最適である。エポキシプライマー層は、エポキシ、硬化剤と顔料などの混合物からなる液体もしくは粉体の反応硬化型エポキシをしごき塗布やスプレ−塗装などの方法で塗布し、高周波誘導加熱装置などで鋼管を120〜250℃に加熱して、硬化して形成する。エポキシプライマ−層は5〜200μm以下の厚みであると良好な結果が得られる。5μm未満では鋼材との密着力が不十分であり、200μmを超えると耐低温衝撃性が低下する。
【0012】
ポリエチレン接着剤層(3)としては、プライマー層(2)との接着性およびポリエチレン層(4)との融着性が優れるものであれば何でもよいが、ポリエチレンに無水マレイン酸をグラフト重合した無水マレイン酸変性ポリエチレンを用いるとプライマー層との接着性が優れ好適である。ポリエチレン接着剤層(3)は0.02〜1.0mmの厚みであると良好な結果が得られる。0.02mm以下ではプライマー層との接着強度が不十分である。また、1.0mmを越えると経済性の観点から好ましくない。ポリエチレン接着剤層の形成方法としては、溶融した変性ポリエチレンをTダイから押し出して被覆するTダイ法が好適である。この場合、2層Tダイを用いてポリエチレン接着剤が下層、ポリエチレンが上層になるように2層一体で押し出して、ポリエチレン接着剤層(3)とポリエチレン層(4)を同時に形成させることも出来る。
【0013】
本発明に用いるポリエチレン層(4)は、低密度や中密度、高密度の一般市販のポリエチレンが使用出来る。また、用途に応じて着色顔料、酸化防止剤、紫外線吸収剤、滑剤、難燃材、帯電防止剤などを混合して用いることが出来る。ポリエチレン層(4)は0.3mm以上の厚みであると十分な防食性が得られる。
【0014】
ポリエチレン層(4)の表層には、さらに積層される繊維強化プラスチックやモルタルとの剪断密着力を向上させるために、表面に高さ0.1〜5mm、幅3〜100mmのらせん状隆起(5)を形成させる。ポリエチレン層(4)およびらせん状隆起(5)は、図5に示すように鋼管被覆用Tダイ(11)のダイリップ部に左右を分割する金属、無機もしくは有機製の仕切り線(12)もしくは仕切り板(12)を設けて、溶融したポリエチレンを分割してシート状に押し出し、スキューターニング式搬送装置(13)上で回転しながら管軸方向に移送させるプライマー層、ポリエチレン接着剤層が積層された予熱された鋼管(10)に被覆してゴムロール(14)により圧着し、冷却して同時に形成させる。ダイリップ部を分割する金属、無機もしくは有機製の仕切り線(12)もしくは仕切り板(12)の材質および形状は、溶融状態で押し出されてくるポリエチレンシートを連続して安定に分断するための耐熱性、耐久性および滑らかな表面形状をもつものであれば何でもよい。なお、ポリエチレン層(4)の厚みは0.5mm以上あれば十分な防食性が得られる。また、被覆時のポリエチレンの成形不良や酸化劣化を防止するためには、押し出す溶融ポリエチレンの温度は160℃〜260℃の範囲内にすることが望ましい。らせん状隆起(5)の高さはTダイから押し出されてくる溶融したポリエチレンシートの厚みと鋼管の回転速度によって規定されるが、隆起の高さが0.1mm未満であると外面被覆との剪断密着力の向上効果が不十分である。また、隆起の高さを高くしていくと剪断接着力を向上させる効果は大きくなるが、防食層の厚みはそれ以上必要となりコストアップになるため、高さは5mm以下が望ましい。らせん状隆起の幅は、ダイリップ部に設けた仕切り線もしくは仕切り板の位置並びに鋼管の回転速度によって規定されるが、幅3mm以下であると剪断密着力の十分な向上効果が得られない。また、隆起の幅を広くしていくと防食層を形成させるための幅が狭くなるため、経済的観点から幅は100mm以下が望ましい。らせん状隆起のピッチ幅は鋼管の外径とスキューターニングロール式搬送装置(13)によって規定されるが、鋼管の直径以下であれば十分である。
【0015】
らせん状隆起(5)を有するポリエチレン層(4)の表層には、搬送時や施工時、施工後の被覆の損傷を防ぐ目的として保護層としてガラス繊維強化ポリエステル層(6)もしくはガラス繊維強化ウレタンエラストマー層(6)を積層する、また、海底や河川の底に沈める場合は重量を増加させるためにモルタル層(6)を積層する。
【0016】
保護層であるガラス繊維強化ポリエステル層(6)およびガラス繊維強化ウレタンエラストマー層(6)は、ハンドレイアップ、スプレーアップ法などによりらせん状隆起を有するポリエチレン層の表面に形成させる。例えば、ガラスチョップストランドマットやガラスロービングクロスなどをらせん状隆起を有するポリエチレン被覆鋼管に巻き付け、その上から刷毛およびローラーを用いてポリエステル樹脂やウレタンエラストマーを含浸させた後に硬化させる。また、スプレーアップ法の場合は、適当な長さに切断したガラスロービングとポリエステルもしくはウレタンエラストマーをらせん状隆起を有するポリエチレンの表面に同時に吹き付けて硬化させる。保護層の厚みは要求される耐衝撃性や耐摩耗性により任意に設定できる。
【0017】
モルタル層(6)を積層する場合は、ポルトランドセメント、砂、水、混和材料などからなるモルタルを、遠心ライニング法などでらせん状隆起を有するポリエチレン層の表面に被覆し、養生硬化させる。モルタル層の厚みは、要求される重量増加に応じて任意に設定できる。
【0018】
本発明の重防食被覆鋼管および重防食被覆鋼管杭を周囲の景観と調和させるために、被覆を着色する必要がある場合には、繊維強化プラスチック層(6)もしくはモルタル層(6)にあらかじめ有機や無機の着色顔料を配合して色付けして積層すればよい。さらに外観の平滑性や光沢を向上させるためには、図3に示すように、任意の色に着色された保護層(6)の表面に、該保護層と同色の着色層(7)を積層する。着色層(7)に用いる塗料は、性能およびコストの観点から市販のアクリル樹脂またはフッ素樹脂が適当である。この場合、着色層(7)の膜厚は10〜200μm程度あれば十分である。また、保護層(6)に長期の耐候性が必要な場合は、図4に示すように保護層(6)の外面に、白色のアクリル樹脂層(8)と任意の色に着色されたフッ素樹脂層からなる着色層(9)を積層すると、紫外線や水分による保護層(6)の劣化を抑制できるので、耐久性を向上させることが出来る。この場合、白色のアクリル樹脂層(8)とフッ素樹脂からなる着色層(9)の膜厚は10〜200μm程度あれば優れた耐候性が得られる。
【0019】
以下、実施例として、ポリエチレン被覆鋼管に保護層としてガラス繊維強化ポリエステルを被覆した場合をあげ、本発明を詳細に説明する。
【0020】
【実施例】
(a)ポリエチレン被覆鋼管の製作
鋼管(SGP250A×5500mm長さ×6.6m厚み)の外面をブラスト処理により除錆し、クロメート処理剤(水溶液中の全クロムに対する3価クロムの重量比が0.4、シリカの重量比が2.0、リン酸の重量比が1.0)を刷毛で塗布し乾燥した。クロメート被膜の全クロム付着量は550mg/m2 であった。クロメート処理した鋼管をスキューターニング式搬送装置に載せ、回転させながら管軸方向に0.5m/minの速度で搬送した。この鋼管の外面に、エポキシプライマー(油化シェルエポキシ社製エピコート828:100重量部、油化シェルエポキシ社製エポメートB−002:50重量部、微粒子シリカ:3重量部の混合物)をスプレー塗装した。鋼管を高周波誘導加熱で表面温度が200℃になるように加熱しエポキシプライマーを硬化させた。エポキシプライマー層の厚みは0.05mmであった。その表面に変性ポリエチレン(エチレンの単独重合体を無水マレイン酸で変性した変性ポリエチレンで、変性ポリエチレン1gに対する無水マレイン酸の付加量が1×10-5モル)をTダイで押出被覆した。変性ポリエチレン層の厚みは0.15mmであった。続いて、低密度ポリエチレン(密度0.92、カーボンブラックを2.5重量%配合)を220℃で押し出し、ダイリップ幅200mmのTダイで被覆した。この際、図5に示すようにダイリップの端部から右側(パイプの進行方向側)20mmの位置にピアノ線を固定して、溶融したポリエチレンシートを分割して押し出した。そして、幅が広い方のシートによって鋼管表面が二重に覆われ、幅が狭い方のシートはその外周をらせん状に被覆されるようにピッチを調整した。被覆直後にシリコーンゴム製のロールを押し当てて、圧着し、冷却を行いらせん状隆起を有するポリエチレン被覆鋼管を得た。ポリエチレン層の厚みは2.5mmであった。また、らせん状隆起の高さは1.0mm、幅は15mm、らせんピッチは50mmであった。
【0021】
比較のために、鋼管の搬送速度を0.1〜2.0m/minに変化させて同じ形状のらせん状隆起を持つ被覆鋼管を製作した。
【0022】
また、鋼管の搬送速度は変えずに、Tダイのダイリップ部に固定するピアノ線の位置を変え、ポリエチレン上のらせん状隆起の高さおよび幅を変化させた被覆鋼管も作成した。
【0023】
(b)ガラス繊維強化ポリエステル層の被覆
(a)で製作したポリエチレン被覆鋼管に、ガラスチョップストランドマットを巻き付け、その上からポリエステル樹脂を刷毛およびローラーを用いて含浸させた。さらにガラスロービングクロスを巻き付け、再びその上からポリエステル樹脂を刷毛およびローラーを用いて含浸させ表面を平坦にした後にポリエステル樹脂を硬化させた。この操作を繰り返し、厚み30mmのガラス繊維強化ポリエステル層をポリエチレン層の外面に形成させて、目的の重防食被覆鋼管を得た。
(c)剪断接着力の測定
(b)で得られた重防食被覆鋼管のポリエチレン層と繊維強化ポリエステル層との剪断接着力を評価するために、図6に示すように、繊維強化ポリエステル層部分(16)を受け台(18)で支え、内側の鋼管およびポリエチレン層(15)に当て金(17)をあて、当て金(17)に徐々に荷重を加えていき、ポリエチレン層からガラス繊維強化ポリエステル層が剥離するときの荷重を測定した。そして、ポリエチレン層の面積で割って、単位面積当たりの剪断接着力を求めた。
【0024】
[比較例1]
実施例と同サイズの鋼管の外面をブラスト処理により除錆し、実施例と同じ要領でクロメート処理を施した。スキューターニング式搬送装置に載せ、回転させながら管軸方向に0.5m/minの速度で搬送し、エポキシプライマー塗装および鋼管加熱、変性ポリエチレン被覆を行った。続いて、実施例と同じポリエチレンをダイリップ幅200mmのピアノ線を取り付けていない通常のTダイで被覆した。被覆直後にシリコーンゴム製のロールを押し当てて、圧着した。さらに、被覆に用いたポリエチレンと同じポリエチレンペレットを被覆100cm2 あたり100個の割合で散布し、シリコーンゴム製のロールで圧着後、冷却することにより、ポリエチレンペレット融着させたポリエチレン被覆鋼管を得た。ペレットの付着密度は被覆100cm2 あたり約60個であった。
【0025】
鋼管の搬送速度を0.1〜2.0m/minに変化させて上述と同じ操作を行い、ペレットの付着程度が異なるポリエチレン被覆鋼管を得た。
【0026】
このポリエチレン被覆鋼管に、実施例(b)と同じ要領でガラス繊維強化ポリエステルを施し、実施例(c)と同じ要領で剪断接着力を測定した。
【0027】
[比較例2]
実施例と同サイズの鋼管の外面をブラスト処理により除錆し、実施例と同じ要領でクロメート処理を施した。スキューターニング式搬送装置に載せ、回転させながら管軸方向に0.5m/minの速度で搬送し、エポキシプライマー塗装および鋼管加熱、変性ポリエチレン被覆を行った。続いて、実施例と同じポリエチレンをダイリップ幅200mmのピアノ線を取り付けていない通常のTダイで被覆した。被覆直後にシリコーンゴム製のロールを押し当てて、圧着した。さらに、一辺5mmの正方形で高さ5mmの突起を多数有する鋼製のロールをポリエチレン層表面に押し当てて、ロール表面の凹凸をポリエチレン層表面に転写させて、冷却することにより表面に多数の凹部が形成させたポリエチレン被覆鋼管を得た。ポリエチレン層表面の凹部の密度は100cm2 あたり100個であり、凹部の深さは約0.2mmであった。
【0028】
鋼管の搬送速度を0.1〜2.0m/minに変化させて上述と同じ操作を行い、凹部の形成程度が異なるポリエチレン被覆鋼管を得た。
【0029】
このポリエチレン被覆鋼管に、実施例(b)と同じ要領でガラス繊維強化ポリエステルを施し、実施例(c)と同じ要領で剪断接着力を測定した。
【0030】
得られた剪断接着力の結果を表1、2にまとめて示す。表1は鋼管の搬送速度が一定の時の剪断接着力のポリエチレン層表面の凹凸の形状依存性を示している。また、表2は剪断接着力の鋼管の搬送速度依存性を示している。
【0031】
表1から、除錆処理を施した鋼管の表面に、プライマー層を設け、その上にポリエチレン接着剤層、ポリエチレン層および繊維強化プラスチック層もしくはモルタル層を順次積層した重防食被覆鋼管および重防食被覆鋼管杭において、ポリエチレン層の表面に、高さ0.1〜5mm、幅3〜100mmのらせん状隆起を形成させることによって、剪断接着力の優れた重防食被覆鋼管および重防食被覆鋼管杭を得ることが出来る。
【0032】
また表2から、鋼管被覆用Tダイ(11)のダイリップ部に左右を分割する金属、無機もしくは有機製の仕切り線(12)もしくは仕切り板(12)を設け、溶融したポリエチレンを分割してシート状に押し出し、回転しながら管軸方向に移送される鋼管(10)に被覆を行えば、鋼管の搬送速度に依存することなくポリエチレン層表面に凹凸を形成させることが出来、剪断接着力の優れた重防食被覆鋼管および重防食被覆鋼管杭を得ることが出来る。
【0033】
【表1】
Figure 0003709045
【0034】
【表2】
Figure 0003709045
【0035】
【発明の効果】
本発明の重防食被覆鋼管および重防食被覆鋼管杭の製造方法およびその製造装置は、従来の重防食被覆鋼管および重防食被覆鋼管杭よりもポリエチレン層と保護層もしくはモルタル層との剪断接着力が高く、優れた塗膜剥離防止効果を有している。また、剪断接着力を向上させるために必要なポリエチレン層表面の凹凸形成方法が容易であり、凹凸形成のために操業スピードを低下させる必要もなく、さらに着色層を積層することで景観とも調和させることが出来るので、塗膜剥離防止能の優れた保護層付きポリエチレン被覆鋼管、保護層付きポリエチレン被覆鋼管杭およびモルタルコーティング付きポリエチレン被覆鋼管、並びにその製造方法およびその製造装置として有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】請求項1記載の重防食被覆鋼管および重防食被覆鋼管杭の一部断面を示す図。
【図2】請求項2記載の重防食被覆鋼管および重防食被覆鋼管杭の一部断面を示す図。
【図3】請求項3記載の重防食被覆鋼管および重防食被覆鋼管杭の一部断面を示す図。
【図4】請求項4記載の重防食被覆鋼管および重防食被覆鋼管杭の一部断面を示す図。
【図5】請求項5、6記載の重防食被覆鋼管および重防食被覆鋼管杭の製造方法および製造装置を示す模式図。
【図6】剪断接着力を測定する方法を示す模式図
【符号の説明】
1 除錆処理を施した鋼管
2 プライマー層
3 ポリエチレン接着剤層
4 ポリエチレン層
5 ポリエチレンのらせん状隆起
6 繊維強化プラスチック層もしくはモルタル層
7 着色層
8 白色アクリル層
9 着色フッ素樹脂層
10 プライマー層、ポリエチレン接着剤層が積層された予熱された鋼管
11 鋼管被覆用Tダイ
12 ダイリップ部を左右に分割する仕切り線もしくは仕切り板
13 スキューターニングロール式搬送装置
14 ゴム製ロール
15 ポリエチレン被覆鋼管
16 繊維強化プラスチック層もしくはモルタル層
17 当て金
18 受け台

Claims (6)

  1. 除錆処理を施した鋼管の表面に、プライマー層を設け、その上にポリエチレン接着剤層およびポリエチレン層を積層し、当該ポリエチレン層表面にガラス繊維強化ポリエステル、ガラス繊維強化ウレタンエラストマーもしくはモルタルを積層した重防食被覆鋼管の製造方法であって
    前記ポリエチレン層は、Tダイのダイリップ部に左右を分割する金属、無機もしくは有機製の仕切り線もしくは仕切り板を設け、溶融したポリエチレンをシート状に押し出し、回転しながら管軸方向に移送される鋼管の外面に被覆することによって防食層および高さ0.1〜5mm、幅3〜100mmのらせん状の隆起部分を同時に形成させことを特徴とする重防食被覆鋼管の製造方法。
  2. 請求項記載の重防食被覆鋼管の表層に着色層を積層したことを特徴とする重防食被覆鋼管の製造方法
  3. 請求項記載の重防食被覆鋼管の着色層が、白色のアクリルウレタン樹脂層と、着色されたフッ素樹脂層の積層からなることを特徴とする重防食被覆鋼管の製造方法
  4. 請求項1ないし3のいずれか一つに記載の製造方法において、前記重防食被覆鋼管に代えて重防食被覆鋼管杭用鋼管としたことを特徴とする重防食被覆鋼管杭の製造方法。
  5. 請求項1ないし3のいずれか一つに記載の重防食被覆鋼管の製造方法に使用される装置であって、
    ダイリップ部に左右を分割する金属、無機もしくは有機製の仕切り線もしくは仕切り板を設けた鋼管被覆用Tダイと、鋼管を回転しながら管軸方向に移送させるスキューターニング式搬送装置からなることを特徴とする重防食被覆鋼管の製造装置。
  6. 請求項5に記載の製造装置において、前記重防食被覆鋼管に代えて重防食被覆鋼管杭用鋼管としたことを特徴とする重防食被覆鋼管杭の製造装置。
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