JPH0633966U - 毛羽抑制装置を備えた繊維機械 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 紡績糸の毛羽の状態を検知し、管理すること
が可能であり、紡績糸の品質を一定に保つことが可能で
ある、毛羽抑制装置を備えた繊維機械を得る。 【構成】 紡績糸の毛羽を減少させる毛羽抑制装置と毛
羽測定装置とを設けた。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は毛羽抑制装置を備えた繊維機械に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

従来、紡績糸においては、糸を形成している繊維の先端が紡績糸の表面より遊 離した多数の毛羽が形成されており紡績糸の品質に少なからぬ影響を与えていた 。

【０００３】 そこで、この毛羽を減少させるために、糸走行方向と同方向に回転するタッチ ローラと、１対のプーリ間に装架された積極回転するクロスベルトとで紡績糸を ニップすると共に、仮撚と擦り作用を与えて毛羽を紡績糸自体に巻き込むことに より抑制する毛羽抑制装置が開発されており、この毛羽抑制装置を紡績機等の繊 維機械の巻取装置の上流側に設けることにより毛羽の少ない紡績糸を製造するこ とが可能である。

【０００４】 しかし、このような毛羽抑制装置には、紡績糸をニップして仮撚と擦り作用を 与えることにより毛羽を減少させるものであるため、クロスベルトの摩耗等によ りニップ圧が低下したり、ベルト表面の摩擦係数が低下すれば毛羽抑制能力も低 下し、毛羽の多い不良糸がパッケージに巻き取られてしまう恐れがあった。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】

本考案は、従来の技術のこのような点に鑑みて、紡績糸の毛羽の状態を検知し 、管理することができ紡績糸の品質を一定に保つことが可能である、毛羽抑制装 置を備えた繊維機械を提供することを目的とするものである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

紡績糸の毛羽を減少させる毛羽抑制装置と毛羽測定装置とを備えた。

【０００７】

【作用】

毛羽測定装置は、常に紡績糸の毛羽の状態を測定している。そして、毛羽抑制 装置において、クロスベルトの摩耗及びニップ圧の減少等により毛羽抑制能力が 低下し、紡績糸の毛羽が増加すると、毛羽抑制装置の下流側に位置する毛羽測定 装置は毛羽の増加を検出すると共に、毛羽抑制装置を備えた繊維機械を停止させ 、或いはアラームを発するなどしてオペレーターに毛羽抑制装置の点検を促す。

【０００８】

【実施例】

本考案毛羽抑制装置を備えた紡績機について図面と共に説明する。尚、本発明 は紡績機に限定されるものではなくワインダ等、毛羽の発生する恐れのある繊維 機械に実施出来るものである。

【０００９】 図１に示す紡績機１は、バックローラ対３ａ，サードローラ対３ｂ，セカンド ローラ対３ｃ，フロントローラ対３ｄの各ドラフトローラ対よりなるドラフト装 置３、空気紡績装置４、デリベリローラ５、毛羽抑制装置６、巻取装置７等を一 連に設けてなる紡績ユニットを多数並設してなるものであり、ケンス２より供給 されるスライバＳをドラフト装置３でドラフトした後、空気紡績装置４で仮撚紡 績し紡糸Ｙとしてデリベリローラ５より送り出し、毛羽抑制装置６により毛羽を 減少させた後、巻取装置７においてフリクションローラ８を圧接してパッケージ Ｐとして巻き取るものである。

【００１０】 毛羽抑制装置６は図２に示すように、糸走行と同方向に回転するタッチローラ ６ｄ、該ローラ６ｄに斜に圧接するように１対のフーリ６ａ，６ｂ間に装架した 積極回転するクロスベルト６ｃとから構成され、クロスベルト６ｃの回転速度は 該回転速度の糸走行方向成分と、タッチローラ６ｄの回転速度とが等くなるよう に設定され、該クロスベルト６ｃとタッチローラ６ｄとで紡績糸Ｙをニップして 送り出すことにより、紡績糸Ｙに仮撚と擦り作用を与えて、紡績糸Ｙの表面に形 成されている毛羽ＹＣを紡績糸Ｙ自体に巻き込んで減少させるものである。

【００１１】 また、毛羽抑制装置６の下流側にはサクションダクト９に連なるスラックチュ ーブ１０が開口しており、該スラックチューブ１０の下流側にはヤーンクリアラ ー１１及び毛羽測定装置１２が設けられている。

【００１２】 毛羽測定装置１２は、図３に示す測定原理に基づいて紡績糸Ｙの毛羽の量及び 長さを測定するものである。即ち、走行する紡績糸Ｙをガイド１３，１４で案内 しながら、該紡績糸Ｙに、投光器１５より集光レンズ１６を介して発せられる光 線を照射し、紡績糸Ｙ上の毛羽ＹＣの像を拡大レンズ１７により受光器１８に作 像し、受光器１８に感知される光を光電変換して毛羽信号を発信させ、予め設定 した測定時間ごとの毛羽ＹＣの計数値を測定するものである。

【００１３】 そして、受光器１８を移動させて、例えば図３に示すごとく、受光器１８に至 る光軸Ｌが紡績糸Ｙに対して距離ｄだけ離れた状態に設定すれば、紡績糸Ｙの毛 羽長の垂直成分がｄ以上の毛羽ＹＣが計測されることになり、これにより毛羽長 及び毛羽数の許容値を適宜設定し、許容値以上の毛羽ＹＣが検出された場合には 上記毛羽信号により紡績機１の当該ユニットを停止させ、更にアラームを発する などしてオペレーターに告知し、毛羽抑制装置６のクロスベルト６ｃの摩耗状態 等を点検し、該クロスベルト６ｃの接圧の調節、或いは交換を行うようにすれば 、紡績糸Ｙの毛羽の状態を管理することが可能である。

【００１４】 また、紡績機１は、多数併設された紡績ユニットに亘って、各機台１９に設け た共通の軌道２０，２１により移動可能に糸継台車２２が備えられており、ヤー ンクリアラー１１によりスラブ、番手変動等を検出すると糸継台車２２が当該ユ ニットに位置して紡績糸Ｙにおいてスラブ、番手変動等が発生した部分を除去し た後、糸継ぎを行っているが、この糸継台車２２と上述の毛羽測定装置とを連動 させることにより紡績糸Ｙの毛羽数が許容値以上となった部分を除去することが 可能であり、これにより不良糸がパッケージＰに巻き取られるのを防止すること ができる。

【００１５】 上述の第１の実施例においては、毛羽測定装置１２を毛羽抑制装置６の下流側 に新たに設ける場合を示したが、ヤーンクリアラー１１を毛羽検出装置として使 用することも可能であり、この場合、例えば以下の手順により毛羽の増加を検出 する。

【００１６】 予めヤーンクリアラー１１から得られる信号のうち、毛羽成分によるものを分 析し、メモリーに記憶させておく。そして、紡績中にヤーンクリアラー１１から 得られる信号を解析して上記メモリーに記憶された毛羽成分による信号に該当す る信号を抽出し、抽出した該信号が所定時間内に限界値を越えた場合に、紡績糸 の毛羽が増加したものと判断する。具体例を以下に示す。

【００１７】 ヤーンクリアラー１１においては、毛羽測定装置１２と同様に光学的に検出さ れた信号を光電変換し増幅して得られる電圧波形により紡績糸Ｙのスラブ、番手 変動を検出しており、測定時間ｔと電圧Ｖとの関係を図４に示す。

【００１８】 図４のクラフに示すごとく、糸走行に伴ない形成される波形電圧Ｖの平均値Ｖ ｍが、基準値Ｖｓ以上となる部分Ｔｓが一定時間を越えるとスラブとして検出し ているが、上記波形電圧Ｖのそれぞれのピークは紡績糸Ｙの表面状態を表すもの であり、このピークレベルが、上限値Ｖｃ以上となるものを検出し、適宜設定し た測定時間Ｔｃにおける上記信号の数が許容値以上となる場合を毛羽信号として 検出すれば良い。

【００１９】 尚、上述の第１，第２の実施例においては、毛羽測定装置としていずれも光学 的手段で毛羽を検出する装置を示したが、この他に静電容量の変化を電気的に検 出する装置等を使用することも可能である。また、毛羽抑制装置は上記例に限定 されず、空気的手段を用いるもの、或いは擦過体により毛羽を減少させる装置等 でも良い。

【００２０】

【考案の効果】

本考案は、上述のとおり、紡績糸の毛羽を減少させる毛羽抑制装置と毛羽測定 装置とを設けたので、紡績糸の毛羽を減少させ、且つ、毛羽の状態を検知し、管 理することが可能であり、実質的に毛羽のない紡績糸を得ることができると共に 紡績糸の品質を一定に保つことが可能である。

【図面の簡単な説明】

【図１】実施例の毛羽抑制装置を備えた紡績機を示す断
面図である。

【図２】実施例の毛羽抑制装置を示す概略図正面図であ
る。

【図３】第１の実施例の毛羽測定装置を示す概略斜視図
である。

【図４】第２の実施例のヤーンクリアラーにより検出さ
れる測定時間と電圧との関係を表すグラフである。

【符号の説明】

１ 紡績機 ６ 毛羽抑制装置 ６ｃ クロスベルト ６ｄ タッチローラ １１ ヤーンクリアラー １２ 毛羽測定装置 ２２ 糸継台車 Ｙ 紡績糸 ＹＣ 毛羽

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 紡績糸の毛羽を減少させる毛羽抑制装置
   と毛羽測定装置とを備えたことを特徴とする繊維機械。