JPH06336545A - ポリプロピレン系複合樹脂組成物 - Google Patents

ポリプロピレン系複合樹脂組成物

Info

Publication number
JPH06336545A
JPH06336545A JP14827493A JP14827493A JPH06336545A JP H06336545 A JPH06336545 A JP H06336545A JP 14827493 A JP14827493 A JP 14827493A JP 14827493 A JP14827493 A JP 14827493A JP H06336545 A JPH06336545 A JP H06336545A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
block copolymer
propylene
weight
resin composition
ethylene
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP14827493A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3431085B2 (ja
Inventor
Tokuji Ogawa
徳治 小川
Masahiro Sasagawa
雅弘 笹川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Asahi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Asahi Chemical Industry Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Asahi Chemical Industry Co Ltd filed Critical Asahi Chemical Industry Co Ltd
Priority to JP14827493A priority Critical patent/JP3431085B2/ja
Publication of JPH06336545A publication Critical patent/JPH06336545A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3431085B2 publication Critical patent/JP3431085B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【構成】 (A)MFR2以上10未満で特定のプロピ
レン−エチレンブロック共重合体60〜92重量%と
(B)無機充填剤5〜30重量%と(C)特定の水素添
加ブロック共重合体3〜10重量%とからなり、特定の
メルトフローレート比(A)/(C)を有し、マトリッ
クス中にドメインが粒状で微細分散しているポリプロピ
レン系複合樹脂組成物。 【効果】 射出成形加工性を有し、剛性と耐衝撃性、特
に高速面衝撃性のバランスが良好である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、ポリプロピレン系樹
脂、無機充填剤とスチレン系熱可塑性エラストマーの水
素添加ブロック共重合体との複合樹脂組成物に関し、更
に詳しくは、ポリプロピレン系樹脂を主成分とし、特に
剛性、耐衝撃性に優れたポリプロピレン系複合樹脂組成
物を提供するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、ポリプロピレン系樹脂に対
し、剛性、熱変形温度、寸法安定性等を改良する目的で
炭酸カルシウム、タルク、ガラス繊維、硫酸バリウム等
の無機充填剤と複合化する方法が知られている。このよ
うな無機充填剤との複合樹脂組成物は、比較的安価で、
高剛性で機械的強度等の各種物性バランスのとれた材料
であり、一般工業部品から日用品まで多岐にわたった分
野で利用されている。
【0003】しかしながら、一部の用途によっては、耐
衝撃性、特に高速面衝撃性が低い等の機械的強度が充分
とはいえない場合があり、その利用に制限を受けるとい
う問題がある。とりわけ大型の工業部品用途では、剛性
とともに耐衝撃性が同時に要求されることが多いのであ
る。そこで、耐衝撃性を改良する目的でエチレン・α−
オレフィン共重合体ゴムやスチレン系熱可塑性エラスト
マー等のゴム状弾性体及びこれらを併用配合する組成物
が提案されている。
【0004】このような技術として、特開昭58−17
139号公報に新規なポリプロピレン樹脂組成物と題す
る発明が記載され、衝撃強度の優れたポリプロピレン樹
脂組成物が開示されている。しかしながらこの組成物で
も剛性と衝撃強度のバランスが不充分で、エラストマー
の配合量が少なくなると引張伸びが低下し、高速面衝撃
性が低いという問題点がある。
【0005】また、この発明に用いるポリプロピレン系
樹脂と無機充填剤とスチレン系熱可塑性エラストマーと
の組成物に関連する技術としては、例えば特開昭58−
206644号や特開昭61−34048号公報等に既
に提案されているスチレン−エチレン・ブチレン−スチ
レンブロック共重合体や軟化剤を多量に含有したエラス
トマー組成があるが剛性が低いという問題点がある。ま
た、特開昭58−210950号公報には、結晶性プロ
ピレン重合体樹脂にスチレン−エチレン−ブチレンブロ
ック共重合体を両成分の総和量に対して5〜60重量%
配合したプロピレン樹脂組成物が開示されているが、該
組成物は透明性の改善に効果を有するものの剛性と耐衝
撃性のバランスが悪く大型成形品に用いるには難点があ
る。
【0006】さらに、特開昭63−156842号公報
には、高結晶性プロピレン単独重合体にスチレン−エチ
レン−ブチレンブロック共重合体を5〜30重量%配合
したポリプロピレン組成物が開示されているが、特定の
高結晶性プロピレン単独重合体を用いるために耐衝撃性
に劣るという問題点がある。
【0007】その他、特開平4−170452号公報に
は、(A)ポリプロピレン系樹脂と(B)スチレン含量
が25重量%未満であるスチレン・ブタジエンブロック
共重合体の水素添加誘導体と(C)スチレン含量が25
重量%以上であって数平均分子量が40000以下であ
るスチレン・ブタジエンブロック共重合体の水素添加誘
導体と(D)無機充填剤からなり、(B)成分と(C)
成分の合計配合量が(A)〜(C)成分の合計量の10
〜60重量%であるポリプロピレン系樹脂組成物が記載
されている。
【0008】しかし、この組成物もポリプロピレン系樹
脂にスチレン・ブタジエンブロック共重合体の水素添加
誘導体を10重量%以上配合することから耐衝撃性には
優れるものの、剛性に劣るという欠点がある。
【0009】また、特開平4−323238号公報に
は、ポリプロピレン単独重合体とガラス転移温度が−2
0℃〜50℃の範囲にあるビニル芳香族化合物と共役ジ
エンとのブロック共重合体、例えば、スチレン・イソプ
レン・スチレンブロック共重合体およびエチレン・プロ
ピレン共重合ゴムとからなる優れた制振性能を有するプ
ロピレン重合体組成物が記載されているが、スチレン・
イソプレン・スチレンブロック共重合体は、スチレン・
ブタジエンブロック共重合体に比較して柔軟性に富み、
非常に柔らかく、制振性能に優れるものの、剛性と衝撃
強度のバランスが不充分であるという問題点がある。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】即ち、従来の組成物で
は、いずれもポリプロピレン系樹脂の優れた剛性を保持
しながら、耐衝撃性、特に高速面衝撃性を改良する物性
バランスの優れた組成物は得難いのが現状である。そこ
で、本発明者等はポリプロピレン系樹脂と無機充填剤と
の複合樹脂組成物において、剛性の低下が極めて小さ
く、且つ耐衝撃性改良効果を大きくするためのゴム状弾
性体とその分散性について鋭意研究した。その結果、耐
衝撃性(特に面衝撃性)を向上するには、ゴム状弾性体
が衝撃吸収材として機能するのに、ポリプロピレン系樹
脂マトリックス中の分散状態が大きく影響すること、そ
して、スチレン系熱可塑性エラストマーの水素添加ブロ
ック共重合体がプロピレン−エチレンブロック共重合体
に分散するポリエチレンを粒状で微細に均一分散させる
微細化効果があることを見い出し、この知見に基づき、
本発明を完成した。
【0011】
【課題を解決するための手段】すなわち、この発明は、
(A)エチレン含有量4〜10重量%、メルトフローレ
ート2以上10未満のプロピレン−エチレンブロック共
重合体60〜92重量%、(B)無機充填剤5〜30重
量%、(C)少なくとも1個のビニル芳香族化合物を主
体とする重合体ブロックAと共役ジエン化合物部分の不
飽和度が20%を越えない程度にまで水素添加された少
なくとも1個のオレフィン化合物を主体とする重合体ブ
ロックBからなり、ビニル芳香族化合物の含有量が10
重量%以上30重量%未満である水素添加ブロック共重
合体を3〜10重量%からなるポリプロピレン系複合樹
脂組成物において、(A)プロピレン−エチレンブロッ
ク共重合体と(C)水素添加ブロック共重合体のメルト
フローレート比(A)/(C)が20〜0.4で、プロ
ピレン−エチレンブロック共重合体のプロピレン単独成
分の連続相(マトリックス)中に、該プロピレン−エチ
レンブロック共重合体に分散するポリエチレンを含む凝
集分散相(ドメイン)が粒状で平均粒径を1μm以下に
微細分散していることを特徴とするポリプロピレン系複
合樹脂組成物を提供する。
【0012】この発明のポリプロピレン系複合樹脂組成
物において使用される(A)プロピレン−エチレンブロ
ック共重合体は、エチレン含有量4〜10重量%で、メ
ルトフローレート(以下、この発明ではMFRと記載)
が2以上10未満のポリプロピレン系樹脂である。エチ
レン含有量が4重量%未満となると、高い耐衝撃性を得
るために水素添加ブロック共重合体の配合量が多くなり
剛性が大きく低下する。一方10重量%を越えるとポリ
エチレン弾性体が微細な粒状に分散しないために、この
発明の効果が得られない。また、上記のMFRは一定の
射出加工性を得るために必要な条件であり、2未満で
は、射出成形の際の樹脂組成物の流動距離が大巾に低下
し、成形のためには射出圧を大巾に高めなければならな
いという欠点がある。
【0013】この発明で使用される(B)無機充填剤の
具体例としては、粒状、繊維状または板状の充填剤で、
タルク、マイカ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、けい
そう土、塩基性硫酸マグネシウム等から選ばれる1種以
上を適宜使用することができる。好ましくは、平均粒径
0.5〜5μmの微粉タルクである。最も好ましいの
は、1〜2μmで、平均粒径0.5μm以下では、タル
クの分散性が悪くなり、また平均粒径5μmを越えると
剛性および耐衝撃性が低下する。その配合量は5〜30
重量%で、好ましくは10〜25重量%である。5重量
%未満では剛性が不充分となり、30重量%を越えると
衝撃強度が低下する。この発明で使用される(C)水素
添加ブロック共重合体は、ビニル芳香族化合物を主体と
する重合体ブロックAと、共役ジエン化合物が20%を
越えない程度にまで水素添加されたオレフィン化合物を
主体とする重合体Bとからなる。
【0014】ビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブ
ロックAは、ビニル芳香族化合物と共役ジエン化合物と
の重量比が100/0〜51/49、好ましくは、10
0/0〜70/30の組成範囲からなる重合体ブロック
であり、ビニル芳香族化合物と共役ジエン化合物が共重
合した場合、このブロックにおける共役ジエン化合物の
分布は、ランダム、テーパー(分子鎖に沿ってモノマー
成分が増加または減少するもの)、一部ブロック状また
はこれらの任意の組合わせのいずれであってもよい。
【0015】ここで供するビニル芳香族化合物として
は、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレ
ンやp−ターシャリブチルスチレン等のアルキルスチレ
ン、パラメトキシスチレン、ビニルナフタレン等のうち
から1種または2種以上が選ばれ、中でもスチレン、p
−メチルスチレンが特に好ましい。また共役ジエン化合
物としては、ブタジエン、イソプレン、ピペリレン、メ
チルペンタジエン、フェニルブタジエン、3,4−ジメ
チル−1,3−ヘキサジエン、4,5−ジエチル−1,
3−オクタジエン等のうちから1種または2種以上が選
ばれ、中でもブタジエンおよび/またはイソプレンが特
に好ましい。
【0016】ビニル芳香族化合物の含有量は、10重量
%以上30重量%未満である必要があり、15〜25重
量%の範囲がより好ましい。ビニル芳香族化合物の含有
量が30重量%以上の場合は、粗大な分散状態となり、
衝撃強度が低下する。また10重量%未満の場合は、剛
性の低下が著しくなり好ましくない。
【0017】また、上記ブロック共重合体の分子構造
は、直鎖状、分岐状、放射状またはこれらの組合わせ等
いずれでもよい。そして、ビニル芳香族化合物を主体と
する重合体ブロックあるいは共役ジエンを主体とするブ
ロックのそれぞれは、同一の構造であってもよいし、モ
ノマー成分含有量、それらの分子鎖における分布、ブロ
ックの分子量、ミクロ構造等の各構造が異なるものであ
ってもよい。
【0018】ブロック共重合体の製造方法としては、例
えば特公昭36−19286号公報、特公昭43−14
979号公報、特公昭49−36957号公報等に記載
された方法が挙げられる。これらは、炭化水素溶剤中で
アニオン重合開始剤として有機リチウム化合物等を用
い、ビニル化剤としてジエチルエーテル、テトラヒドロ
フランの如きエーテル化合物、トリエチルアミン、N,
N,N′,N′−テトラメチルエチレンジアミンの如き
第3級アミン、必要に応じカップリング剤としてエポキ
シ化ダイズ油、四塩化ケイ素の如き多官能性化合物を用
い、ビニル芳香族化合物と共役ジエン化合物をブロック
共重合する方法であり、直鎖状、分岐状あるいは放射状
の構造を有するブロック共重合体として得られる。この
発明においては、いかなる重合法で得られたものであっ
ても、上記のものであれば使用可能である。
【0019】上記のブロック共重合体を、公知の方法、
例えば、特公昭42−8704号公報、特公昭63−4
841号公報、特公平1−37970号公報に記載の方
法で水添することにより水素添加ブロック共重合体は得
られる。この発明は、共役ジエン部分の80%以上を水
素添加させる必要がある。水素添加の割合が低いと、ポ
リプロピレン系樹脂との相溶性が不充分で耐衝撃性が低
いものとなり、また、混合、成形時の熱劣化を受けやす
く好ましくない。水素添加率は、核磁気共鳴装置(NM
R)を用いた機器分析により分析できる。
【0020】この発明で用いる水素添加ブロック共重合
体は、不飽和カルボン酸またはその誘導体との付加反応
により変性させ、官能基を含有したものでもかまわな
い。変性した水素添加ブロック共重合体は、塗装を必要
とする場合に有利である。そして、その配合量は、3〜
10重量%で、好ましくは、5〜8重量%である。3重
量%未満では、微細に均一分散させることが困難とな
り、10重量%を越えた場合は、剛性が不充分となり好
ましくない。
【0021】この発明の大きな特徴は、(A)プロピレ
ン−エチレン共重合体と(C)水素添加ブロック共重合
体のメルトフローレート(MFR)比(A)/(C)が
20〜0.4の範囲であることと、プロピレン−エチレ
ン共重合体のプロピレンの単独重合体成分のマトリック
ス中に分散するポリエチレンを含む凝集分散相が粒状で
平均粒径が1μm以下に微細分散していることである。
凝集分散相のゴム状弾性体をポリプロピレン系樹脂組成
物中に粒状で平均粒径が1μm以下に微細分散すること
により衝撃強度、特に低温時の高速面衝撃性の改良効果
が大きく、その分ゴム状弾性体の配合量を抑制すること
ができ、ポリプロピレン系複合樹脂の高剛性が維持され
る。
【0022】MFR比が20以上では、水素添加ブロッ
ク共重合体が微細に分散しないことから、良好な衝撃強
度が得られなく、MFR比が0.4以下では層状の分散
状態となり、剛性と衝撃強度のバランスが悪くなる。な
お、この発明で言う分散粒子の平均粒径とは、樹脂の超
薄切片法による透過型電子顕微鏡写真(拡大率×100
00)を撮影して求めた。電子顕微鏡写真に写った分散
粒子は完全な円形でないので、画像処理装置(旭化成
製;IP−1000)を用い、規定処理の凝集分散相に
ついて、その円相当径を求め、その平均値を平均粒子径
とした。
【0023】この発明のポリプロピレン系複合樹脂組成
物の製造方法は、溶融混練法で機械的混練機を用いペレ
ット化する方法によって製造することができる。例え
ば、ヘンシェルミキサー、ブレンダー等でドライブレン
ドし、二軸押出し機で、180〜250℃の溶融混練温
度で混練することが好ましい。また、この発明のポリプ
ロピレン系樹脂組成物には、必要に応じて、酸化防止
剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、顔料、帯電防止
剤、銅害防止剤、造核剤、高級脂肪酸塩、難燃材等の各
種添加剤を配合することができる。このようにして得ら
れたこの発明のポリプロピレン系複合樹脂組成物は、射
出成形法により種々の成形品の製造に用いられる。
【0024】
【実施例】本発明のポリプロピレン系複合樹脂組成物
を、以下に実施例及び比較例を挙げて具体的に説明する
が、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
なお実施例、比較例で用いた試験方法は次の方法によっ
た。
【0025】メルトフローレート(MFR) ASTM D1238に準拠。温度230℃、荷重2.
16kgf 。 ゴム状弾性体の分散状態の測定 厚み3mmの射出成形平板の中央部分より一部を切り出
し、四酸化ルテニウムで染色を施した後、超ミクロトー
ムを使用して、超薄切片を切り出し、透過型電子顕微鏡
(日立(株)製透過型)を用いて、平均的な凝集分散相
のミクロ構造の電子顕微鏡像を観察し、拡大倍率1万倍
で、写真の視野の大きさ縦220mm×横180mmの写真
を作成した。次いで、画像処理機;旭化成製IP−10
00を用い、凝集分散相の最小形除去面積を0.1μm
2 として画像処理し、更に大きい凝集分散相を最大50
ケ選び出し、その円相当径の平均値を、凝集分散相の平
均粒径とした。
【0026】引張伸びの測定 ASTM D638に準拠。引張速度、10mm/mi
n。 曲げ弾性率の測定 ASTM D790に準拠。 IZOD値の測定 ASTM D256に準拠。
【0027】高速面衝撃強度の測定 厚み3mmの射出成形平板を用い、東洋精機製落錘グラフ
ィックインパクトテスターB形により、衝撃破壊時の全
吸収エネルギーを測定した。試験温度;23℃および−
30℃、衝撃速度;5m/min、ストライカー径;1イン
チ。
【0028】射出成形加工性の評価 射出成形機に断面が巾10mmで厚み1.0mmのスパイラ
ルフロー試験用金型を取り付け、樹脂温度、金型温度、
射出圧力、射出速度、射出時間を同一として、樹脂の流
動性を比較し、流動距離が大きく薄肉製品も容易に成形
できる場合を優、流動距離が中程度の場合を良、流動距
離が大巾に低下し適度な流動距離を得るためには射出圧
を大巾に高くする必要がある場合を不良と評価した。
【0029】総合評価 無機充填剤配合量と曲げ弾性率との関係、IZOD衝撃
値及び高速面衝撃値のバランスを比較し、バランスの良
い場合を◎、悪い場合を×として評価した。
【0030】実施例1〜3、比較例1〜8 ポリプロピレン系樹脂、無機充填剤及び水素添加ブロッ
ク共重合体を、第2表に記載する配合割合に配合し、ヘ
ンシェルミキサーにて1分間混合して混合物を調整した
後、該混合物を2軸混練機を用いて、溶融混練温度20
0℃で押出し、ペレット状の樹脂組成物を得た。得られ
たペレットを射出成型機にてテストピースを作り、各種
の評価を行い、その結果を第2表に示した。また図1に
実施例3の、そして図2に比較例5の夫々の複合化樹脂
組成物のゴム状弾性体の分散状態の電子顕微鏡写真を示
した。図1,2中に横長で白く鱗片状に観察されるの
は、無機充填剤のタルクである。第2表に示す各原料
は、下記のものを用い、配合割合は、重量%を示す。
【0031】〈ポリプロピレン系樹脂〉 A−1:旭化成(製)ポリプロAKP M7300 エチレン含有量7%、MFR 4g/10分 A−2:旭化成(製)ポリプロAKP M7500 エチレン含有量7%、MFR 8g/10分 A−3:旭化成(製)ポリプロAKP M1500 エチレン含有量0%、MFR 8g/10分 A−4:旭化成(製)ポリプロAKP M7210 エチレン含有量7%、MFR 1.8g/10分 〈無機充填剤〉 B−1:平均粒径2μmのタルク。
【0032】〈水素添加ブロック共重合体〉 (1)n−ブチルリチウムを重合触媒とし、シクロヘキ
サン液中で、テトラヒドロフランをビニル含有量調節剤
として、スチレンとブタジエンをアニオンブロック共重
合することにより、第1表に示したようなブロック共重
合体を合成した。尚、ポリマー構造は、モノマーの仕込
み、分子量は、触媒量、ビニル含量は、ビニル含量調節
剤を変化させることによりコントロールした。スチレン
含有量は、紫外分光光度計(UV)を、ビニル含量は、
核磁気共鳴装置(NMR)を、数平均分子量は、ゲルパ
ーミエーションクロマトグラフィーを用い測定した。
【0033】(2)次に各ブロック共重合体をジ−p−
トリスビス(1−シクロペンタジエニル)チタニウムと
n−ブチルリチウムを水添触媒として、水素圧5kg/cm
2 、温度50℃で2時間水素添加を行った。各サンプル
の水素添加率(水添率)を第1表に示した。ブタジエン
の二重結合の90%以上は水素添加され、スチレンブロ
ック部分のベンゼン環は、ほとんど水添されないで残っ
た。水添率は、核磁気共鳴装置を用い測定した。
【0034】
【表1】
【0035】比較例1 実施例2の組成で、無機充填剤の配合量が2%と少ない
場合には、曲げ弾性率が低くこの発明の高剛性で耐衝撃
性に優れる組成を満たさない。
【0036】比較例2 実施例2の組成で、無機充填剤の配合量が40%と多い
場合には、高速面衝撃の低温衝撃性に劣る。
【0037】比較例3 実施例1の組成で、MFR12の水素添加ブロック共重
合体を用いた場合、ポリプロピレン系樹脂とのMFR比
が0.3となり、凝集分散相が粒状から層状となって、
IZOD値および低温の高速面衝撃値に劣る。
【0038】比較例4 実施例1の組成で、水素添加ブロック共重合体が少ない
場合には、凝集分散相が大きく耐衝撃性に劣るものであ
る。
【0039】比較例5 実施例2の組成で、MFRの低い水素添加ブロック共重
合体を用いた場合、ポリプロピレン系樹脂とのMFR比
が80となり、凝集分散相が大きな粒状となり高速面衝
撃の低温衝撃性に劣るものである。
【0040】比較例6 実施例3の組成で、水素添加ブロック共重合体が多い場
合には、曲げ弾性率が低く、この発明の高剛性で耐衝撃
性に優れる組成を満たさない。
【0041】比較例7 実施例3の組成のポリプロピレン系樹脂をポリプロピレ
ン単独重合体に代えると、耐衝撃性に劣るものである。
【0042】比較例8 実施例2の組成で、スチレン量40%のスチレン系熱可
塑性エラストマーを用いると、凝集分散相の平均粒子径
が大きく、耐衝撃性が劣る。
【0043】比較例9 実施例1の組成でポリプロピレン系樹脂をMFR=1.
8g/10分に代えたところ、射出成形加工性が劣るも
のであった。
【0044】
【表2】
【0045】
【発明の効果】この発明は、特定のポリプロピレン系樹
脂と無機充填剤との複合化樹脂組成物に特定の水素添加
ブロック共重合体を配合することにより、複合樹脂組成
物のポリプロピレン樹脂マトリックス中に、粒状の凝集
分散相を微細に分散させることができ、複合樹脂組成物
の流動性が高く射出成形加工性を改善し、剛性と耐衝撃
性、特に高速面衝撃性のバランスを向上したもので、大
型の工業部品用途に好適に用いられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例3の複合樹脂組成物のゴム状弾性体の分
散状態を表わす粒子構造の電子顕微鏡写真である。
【図2】比較例5の複合樹脂組成物のゴム状弾性体の分
散状態を表わす粒子構造の電子顕微鏡写真である。尚、
写真の図1,2中に横長で白く鱗片状に観察されるのは
用いた無機充填剤のタルクである。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)エチレン含有量4〜10重量%、
    メルトフローレート2以上10未満のプロピレン−エチ
    レンブロック共重合体60〜92重量%、 (B)無機充填剤5〜30重量%、 (C)少なくとも1個のビニル芳香族化合物を主体とす
    る重合体ブロックAと共役ジエン化合物部分の不飽和度
    が20%を越えない程度にまで水素添加された少なくと
    も1個のオレフィン化合物を主体とする重合体ブロック
    Bからなり、ビニル芳香族化合物の含有量が10重量%
    以上30重量%未満である水素添加ブロック共重合体3
    〜10重量%からなるポリプロピレン系複合化樹脂組成
    物において、(A)のプロピレン−エチレンブロック共
    重合体と(C)の水素添加ブロック共重合体のメルトフ
    ローレート比(A)/(C)が20〜0.4で、プロピ
    レン−エチレンブロック共重合体のプロピレン単独成分
    の連続相(マトリックス)中に、該プロピレン−エチレ
    ンブロック共重合体に分散するポリエチレンを含む凝集
    分散相(ドメイン)が粒状で平均粒径を1μm以下に微
    細分散していることを特徴とするポリプロピレン系複合
    樹脂組成物。
JP14827493A 1993-05-28 1993-05-28 ポリプロピレン系複合樹脂組成物 Expired - Lifetime JP3431085B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP14827493A JP3431085B2 (ja) 1993-05-28 1993-05-28 ポリプロピレン系複合樹脂組成物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP14827493A JP3431085B2 (ja) 1993-05-28 1993-05-28 ポリプロピレン系複合樹脂組成物

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH06336545A true JPH06336545A (ja) 1994-12-06
JP3431085B2 JP3431085B2 (ja) 2003-07-28

Family

ID=15449108

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP14827493A Expired - Lifetime JP3431085B2 (ja) 1993-05-28 1993-05-28 ポリプロピレン系複合樹脂組成物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3431085B2 (ja)

Also Published As

Publication number Publication date
JP3431085B2 (ja) 2003-07-28

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JPH0820684A (ja) 自動車内装用ポリプロピレン樹脂組成物
EP0472344A2 (en) Reinforced elastomer composition and polypropylene composition containing same
JP3134504B2 (ja) 水添ジエン系共重合体およびその組成物
JPH11228782A (ja) 自動車部品用結晶性プロピレンブロック共重合体組成物
JP3525531B2 (ja) ポリプロピレン樹脂複合組成物
JPS6220551A (ja) エラストマ−状組成物
JP3442505B2 (ja) スチレン−イソプレンテトラブロックコポリマーにより耐衝撃性の改善されたポリプロピレン成形用組成物
JP2003535179A (ja) オレフィン性ポリマー組成物
JP3431085B2 (ja) ポリプロピレン系複合樹脂組成物
JP3431084B2 (ja) ポリプロピレン系複合化樹脂組成物
WO2001046316A1 (fr) Composition de resine thermoplastique
JP2010138296A (ja) ポリフェニレンエーテル系架橋組成物
JP2513958B2 (ja) ポリオレフィン組成物
JP2988080B2 (ja) 熱可塑性重合体組成物
JP4698135B2 (ja) オレフィン系樹脂組成物
JP4547178B2 (ja) 熱可塑性エラストマー組成物の製造方法
JP3598429B2 (ja) 熱可塑性樹脂組成物
JPH05230322A (ja) 水添ブロック共重合体組成物
JP2000219781A (ja) ポリオレフィン系樹脂組成物
JP4641590B2 (ja) 樹脂組成物
JP3196547B2 (ja) ポリプロピレン複合組成物
JPS61106653A (ja) 水添ブロツク共重合体含有組成物
JP3468879B2 (ja) ポリプロピレン成形用組成物及びそれを用いた成形品
JP4373808B2 (ja) 熱可塑性エラストマー組成物
JPH05171002A (ja) 傷付き性の優れたエラストマー組成物

Legal Events

Date Code Title Description
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20030424

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080523

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090523

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090523

Year of fee payment: 6

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090523

Year of fee payment: 6

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090523

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100523

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110523

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110523

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120523

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120523

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130523

Year of fee payment: 10

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130523

Year of fee payment: 10

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140523

Year of fee payment: 11

EXPY Cancellation because of completion of term