JP3431084B2 - ポリプロピレン系複合化樹脂組成物 - Google Patents

ポリプロピレン系複合化樹脂組成物

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JP3431084B2 JP14827393A JP14827393A JP3431084B2 JP 3431084 B2 JP3431084 B2 JP 3431084B2 JP 14827393 A JP14827393 A JP 14827393A JP 14827393 A JP14827393 A JP 14827393A JP 3431084 B2 JP3431084 B2 JP 3431084B2
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Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】この発明は、ポリプロピレン系樹
脂、無機充填剤とスチレン系熱可塑性エラストマーの水
素添加ブロック共重合体との複合化樹脂組成物に関し、
更に詳しくは、ポリプロピレン系樹脂を主成分とし、特
に射出成形加工性、剛性、耐衝撃性に優れたポリプロピ
レン系複合化樹脂組成物を提供するものである。 【0002】 【従来の技術】従来より、ポリプロピレン系樹脂に対
し、剛性、熱変形温度、寸法安定性等を改良する目的で
炭酸カルシウム、タルク、ガラス繊維、硫酸バリウム等
の無機充填剤と複合化する方法が知られている。このよ
うな無機充填剤との複合化樹脂組成物は、比較的安価
で、高剛性で機械的強度等の各種物性バランスのとれた
材料であり、一般工業部品から日用品まで多岐にわたっ
た分野で利用されている。 【0003】しかしながら、一部の用途によっては、耐
衝撃性、特に高速面衝撃性が低い等の機械的強度が充分
とはいえない場合があり、その利用に制限を受けるとい
う問題がある。とりわけ大型の工業部品用途では、剛性
とともに耐衝撃性が同時に要求されることが多いのであ
る。そこで、耐衝撃性を改良する目的でエチレン・α−
オレフィン共重合体ゴムやスチレン系熱可塑性エラスト
マー等のゴム状弾性体およびこれらを併用配合する組成
物が提案されている。 【0004】このような技術として、特開昭58−17
139号公報に新規なポリプロピレン樹脂組成物と題す
る発明が記載され、衝撃強度の優れたポリプロピレン樹
脂組成物が開示されている。しかしながらこの組成物で
も剛性と衝撃強度のバランスが不充分で、エラストマー
の配合量が少なくなると引張伸びが低下し、高速面衝撃
性が低いという問題点がある。 【0005】また、この発明に用いるポリプロピレン系
樹脂と無機充填剤とスチレン系熱可塑性エラストマーと
の組成物に関連する技術としては、例えば特開昭58−
206644号や特開昭61−34048号公報等に既
に提案されているスチレン−エチレン・ブチレン−スチ
レンブロック共重合体や軟化剤を多量に含有したエラス
トマー組成があるが剛性が低いという問題点がある。ま
た、特開昭58−210950号公報には、結晶性プロ
ピレン重合体樹脂にスチレン−エチレン−ブチレンブロ
ック共重合体を両成分の総和量に対して5〜60重量%
配合したプロピレン樹脂組成物が開示されているが、該
組成物は透明性の改善に効果を有するものの剛性と耐衝
撃性のバランスが悪く大型成形品に用いるには難点があ
る。 【0006】更に、特開昭63−156842号公報に
は、高結晶性プロピレン単独重合体にスチレン−エチレ
ン−ブチレンブロック共重合体を5〜30重量%配合し
たポリプロピレン組成物が開示されているが、特定の高
結晶性プロピレン単独重合体を用いるために耐衝撃性に
劣るという問題点がある。 【0007】その他、特開平4−170452号公報に
は、(A)ポリプロピレン系樹脂と(B)スチレン含量
が25重量%未満であるスチレン・ブタジエンブロック
共重合体の水素添加誘導体と(C)スチレン含量が25
重量%以上であって数平均分子量が40000以下であ
るスチレン・ブタジエンブロック共重合体の水素添加誘
導体と(D)無機充填剤とからなり、(B)成分と
(C)成分の合計配合量が(A)〜(C)成分の合計量
の10〜60重量%であるポリプロピレン系樹脂組成物
が記載されている。しかし、この組成物もポリプロピレ
ン系樹脂にスチレン・ブタジエンブロック共重合体の水
素添加誘導体を10重量%以上配合することから耐衝撃
性には優れるものの、剛性に劣るという欠点がある。 【0008】また、特開平4−323238号公報に
は、ポリプロピレン単独重合体とガラス転移温度が−2
0℃〜50℃の範囲にあるビニル芳香族化合物と共役ジ
エンとのブロック共重合体、例えば、スチレン・イソプ
レン・スチレンブロック共重合体およびエチレン・プロ
ピレン共重合ゴムとからなる優れた制振性能を有するプ
ロピレン重合体組成物が記載されているが、スチレン・
イソプレン・スチレンブロック共重合体は、スチレン・
ブタジエンブロック共重合体に比較して柔軟性に富み、
非常に柔らかく、制振性能に優れるものの、剛性と衝撃
強度のバランスが不充分であるという問題点がある。 【0009】 【発明が解決しようとする課題】すなわち、従来の組成
物では、いずれもポリプロピレン系樹脂の優れた剛性を
保持しながら、耐衝撃性、特に高速面衝撃性を改良する
物性バランスの優れた組成物は得難いのが現状である。
そこで、本発明者等はポリプロピレン系樹脂と無機充填
剤との複合化樹脂組成物において、剛性の低下が極めて
小さく、且つ耐衝撃性改良効果を大きくするためのゴム
状弾性体とその分散性について鋭意研究した。その結
果、耐衝撃性(特に面衝撃性)を向上するには、ゴム状
弾性体が衝撃吸収材として機能するのに、ポリプロピレ
ン系樹脂マトリックス中の分散状態が大きく影響するこ
と、そして、スチレン系熱可塑性エラストマーの水素添
加ブロック共重合体がプロピレン−エチレンブロック共
重合体に分散するポリエチレンを粒状で微細に均一分散
させる微細化効果があることを見い出し、この知見に基
づき、本発明を完成した。 【0010】 【課題を解決するための手段】すなわち、この発明は、
(A)エチレン含有量4〜10重量%、メルトフローレ
ート10〜100のプロピレン−エチレンブロック共重
合体60〜92重量%、(B)無機充填剤5〜30重量
%、(C)少なくとも1個のビニル芳香族化合物を主体
とする重合体ブロックAと共役ジエン化合物部分の不飽
和度が20%を越えない程度にまで水素添加された少な
くとも1個のオレフィン化合物を主体とする重合体ブロ
ックBからなり、ビニル芳香族化合物の含有量が10重
量%以上30重量%未満である水素添加ブロック共重合
体を3重量%以上10重量%未満からなり、無定形エチ
レン・プロピレン共重合体を含有しないポリプロピレン
系複合化樹脂組成物において、(A)プロピレン−エチ
レンブロック共重合体と(C)水素添加ブロック共重合
体のメルトフローレート比(A)/(C)が20〜0.
4で、プロピレン−エチレンブロック共重合体のプロピ
レン単独成分の連続相(マトリックス)中に、該プロピ
レン−エチレンブロック共重合体に分散するポリエチレ
ンを含む凝集分散相(ドメイン)が粒状で平均粒径を1
μm以下に微細分散していることを特徴とするポリプロ
ピレン系複合化樹脂組成物を提供する。 【0011】この発明のポリプロピレン系複合化樹脂組
成物に於て使用される(A)プロピレン−エチレンブロ
ック共重合体は、エチレン含有量4〜10重量%で、メ
ルトフローレート(以下、この発明ではMFRと記載)
が10〜100g/10minのポリプロピレン系樹脂で
ある。エチレン含有量が4重量%未満となると、高い耐
衝撃性を得るために水素添加ブロック共重合体の配合量
が多くなり剛性が大きく低下する。一方10重量%を越
えるとポリエチレン弾性体が微細な粒状に分散しないた
めに、この発明の効果が得られない。 【0012】また、上記した本発明のMFR範囲の樹脂
を用いることによって、射出成形の際の樹脂組成物の流
動距離が大きくなり、薄肉製品も容易に成形でき、射出
成形加工性が極めて良好になるという効果が得られる。
よって、上記のMFRが10未満では、射出成形加工性
が後述する本発明の評価で優の評価を示す極めて良好な
ものは得られなくなり、且つ、100を越える場合には
衝撃強度が低下してしまう。 【0013】この発明で使用される(B)無機充填剤の
具体例としては、粒状、繊維状または板状の充填剤で、
タルク、マイカ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、けい
そう土、塩基性硫酸マグネシウム等から選ばれる1種以
上を適宜使用することができる。好ましくは、平均粒径
0.5〜5μmの微粉タルクである。最も好ましいの
は、1〜2μmで、平均粒径0.5μm以下では、タル
クの分散性が悪くなり、また平均粒径5μmを越えると
剛性および耐衝撃性が低下する。その配合量は5〜30
重量%で、好ましくは10〜25重量%である。5重量
%未満では、剛性が不充分となり、30重量%を越える
と衝撃強度が低下する。 【0014】この発明で使用される(C)水素添加ブロ
ック共重合体は、ビニル芳香族化合物を主体とする重合
体ブロックAと、共役ジエン化合物が20%を越えない
程度にまで水素添加されたオレフィン化合物を主体とす
る重合体Bとからなる。 【0015】ビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブ
ロックAは、ビニル芳香族化合物と共役ジエン化合物と
の重量比が100/0〜51/49、好ましくは、10
0/0〜70/30の組成範囲からなる重合体ブロック
であり、ビニル芳香族化合物と共役ジエン化合物が共重
合した場合、このブロックにおける共役ジエン化合物の
分布は、ランダム、テーパー(分子鎖に沿ってモノマー
成分が増加または減少するもの)、一部ブロック状また
はこれらの任意の組合わせのいずれであってもよい。 【0016】ここで供するビニル芳香族化合物として
は、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレ
ンやp−ターシャリブチルスチレン等のアルキルスチレ
ン、パラメトキシスチレン、ビニルナフタレン等のうち
から1種または2種以上が選ばれ、中でもスチレン、p
−メチルスチレンが特に好ましい。また共役ジエン化合
物としては、ブタジエン、イソプレン、ピペリレン、メ
チルペンタジエン、フェニルブタジエン、3,4−ジメ
チル−1,3−ヘキサジエン、4,5−ジエチル−1,
3−オクタジエン等のうちから1種または2種以上が選
ばれ、中でもブタジエンおよび/またはイソプレンが特
に好ましい。 【0017】ビニル芳香族化合物の含有量は、10重量
%以上30重量%未満である必要があり、15〜25重
量%の範囲がより好ましい。ビニル芳香族化合物の含有
量が30重量%以上の場合は、粗大な分散状態となり、
衝撃強度が低下する。また10重量%未満の場合は、剛
性の低下が著しくなり好ましくない。 【0018】また、上記ブロック共重合体の分子構造
は、直鎖状、分岐状、放射状またはこれらの組合わせ等
いずれでもよい。そして、ビニル芳香族化合物を主体と
する重合体ブロックあるいは共役ジエンを主体とするブ
ロックのそれぞれは、同一の構造であってもよいし、モ
ノマー成分含有量、それらの分子鎖における分布、ブロ
ックの分子量、ミクロ構造等の各構造が異なるものであ
ってもよい。 【0019】ブロック共重合体の製造方法としては、例
えば特公昭36−19286号公報、特公昭43−14
979号公報、特公昭49−36957号公報等に記載
された方法が挙げられる。これらは、炭化水素溶剤中で
アニオン重合開始剤として有機リチウム化合物等を用
い、ビニル化剤としてジエチルエーテル、テトラヒドロ
フランの如きエーテル化合物、トリエチルアミン、N,
N,N′,N′−テトラメチルエチレンジアミンの如き
第3級アミン、必要に応じカップリング剤としてエポキ
シ化ダイズ油、四塩化ケイ素の如き多官能性化合物を用
い、ビニル芳香族化合物と共役ジエン化合物をブロック
共重合する方法であり、直鎖状、分岐状あるいは放射状
の構造を有するブロック共重合体として得られる。この
発明においては、いかなる重合法で得られたものであっ
ても、上記のものであれば使用可能である。 【0020】上記のブロック共重合体を、公知の方法、
例えば、特公昭42−8704号公報、特公昭63−4
841号公報、特公平1−37970号公報に記載の方
法で水添することにより水素添加ブロック共重合体は得
られる。この発明は、共役ジエン部分の80%以上を水
素添加させる必要がある。水素添加の割合が低いと、ポ
リプロピレン系樹脂との相溶性が不充分で耐衝撃性が低
いものとなり、また、混合、成形時の熱劣化を受けやす
く好ましくない。水素添加率は、核磁気共鳴装置(NM
R)を用いた機器分析により分析できる。 【0021】この発明で用いる水素添加ブロック共重合
体は、不飽和カルボン酸またはその誘導体との付加反応
により変性させ、官能基を含有したものでもかまわな
い。変性した水素添加ブロック共重合体は、塗装を必要
とする場合に有利である。そして、その配合量は3〜1
0重量%で、好ましくは5〜8重量%である。3重量%
未満では、微細に均一分散させることが困難となり、1
0重量%を越えた場合は、剛性が不充分となり好ましく
ない。 【0022】この発明の大きな特徴は、(A)プロピレ
ン−エチレン共重合体と(C)水素添加ブロック共重合
体のメルトフローレート(MFR)比(A)/(C)が
20〜0.4の範囲であることと、プロピレン−エチレ
ン共重合体のプロピレンの単独重合体成分のマトリック
ス中に分散するポリエチレンを含む凝集分散相が粒状で
平均粒径が1μm以下に微細分散していることである。
凝集分散相のゴム状弾性体をポリプロピレン系樹脂組成
物中に粒状で平均粒径が1μm以下に微細分散すること
により衝撃強度、特に低温時の高速面衝撃性の改良効果
が大きく、その分ゴム状弾性体の配合量を抑制すること
ができ、ポリプロピレン系複合化樹脂の高剛性が維持さ
れる。MFR比が20以上では、水素添加ブロック共重
合体が微細に分散しないことから、良好な衝撃強度が得
られなく、MFR比が0.4以下では層状の分散状態と
なり、剛性と衝撃強度のバランスが悪くなる。 【0023】なお、この発明で言う分散粒子の平均粒径
とは、樹脂の超薄切片法による透過型電子顕微鏡写真
(拡大率×10000)を撮影して求めた。電子顕微鏡
写真に写った分散粒子は完全な円形でないので、画像処
理装置(旭化成製;IP−1000)を用い、規定処理
の凝集分散相について、その円相当径を求め、その平均
値を平均粒子径とした。 【0024】この発明のポリプロピレン系複合化樹脂組
成物の製造方法は、溶融混練法で機械的混練機を用いペ
レット化する方法によって製造することができる。例え
ば、ヘンシェルミキサー、ブレンダー等でドライブレン
ドし、二軸押し出し機で、180〜250℃の溶融混練
温度で混練することが好ましい。また、この発明のポリ
プロピレン系樹脂組成物には、必要に応じて、酸化防止
剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、顔料、帯電防止
剤、銅害防止剤、造核剤、高級脂肪酸塩、難燃材等の各
種添加剤を配合することができる。このようにして得ら
れたこの発明のポリプロピレン系複合化樹脂組成物は、
射出成形法により種々の成形品の製造に用いられる。 【0025】 【実施例】本発明のポリプロピレン系複合化樹脂組成物
を、以下に実施例および比較例を挙げて具体的に説明す
るが、本発明はこれら実施例に限定されるものではな
い。なお、実施例、比較例で用いた試験方法は次の方法
によった。 【0026】メルトフローレート(MFR) ASTM D1238に準拠。温度230℃、荷重2.
16kgf 。 ゴム状弾性体の分散状態の測定 厚み3mmの射出成形平板の中央部分より一部を切り出
し、四酸化ルテニウムで染色を施した後、超ミクロトー
ムを使用して、超薄切片を切り出し、透過型電子顕微鏡
(日立(株)製透過型)を用いて、平均的な凝集分散相
のミクロ構造の電子顕微鏡像を観察し、拡大倍率1万倍
で、写真の視野の大きさ縦220mm×横180mmの写真
を作成した。次いで、画像処理機;旭化成製IP−10
00を用い、凝集分散相の最小形除去面積を0.1μm
2 として画像処理し、更に大きい凝集分散相を最大50
ケ選び出し、その円相当径の平均値を、凝集分散相の平
均粒径とした。 【0027】引張伸びの測定 ASTM D638に準拠。引張速度、10mm/min。 曲げ弾性率の測定 ASTM D790に準拠。 IZOD値の測定 ASTM D256に準拠。 【0028】高速面衝撃強度の測定 厚み3mmの射出成形平板を用い、東洋精機製落錘グラフ
ィックインパクトテスターB形により、衝撃破壊時の全
吸収エネルギーを測定した。試験温度;23℃および−
30℃、衝撃速度;5m/min、ストライカー径;1イン
チ。 【0029】射出成形加工性の評価 射出成形機に断面が巾10mmで厚み1.0mmのスパイラ
ルフロー試験用金型を取り付け、樹脂温度、金型温度、
射出圧力、射出速度、射出時間を同一として、樹脂の流
動性を比較し、流動距離が大きく薄肉製品も容易に成形
できる場合を優、流動距離が中程度の場合を良、流動距
離が大巾に低下し適度な流動距離を得るためには射出圧
を大巾に高くする必要がある場合を不良と評価した。 【0030】総合評価 無機充填剤配合量と曲げ弾性率との関係、IZOD衝撃
値及び高速面衝撃値のバランスを比較し、バランスの良
い場合を◎、悪い場合を×として評価した。 【0031】実施例1〜5、比較例1〜8 ポリプロピレン系樹脂、無機充填剤および水素添加ブロ
ック共重合体を、第2表に記載する配合割合に配合し、
ヘンシェルミキサーにて1分間混合して混合物を調整し
た後、該混合物を2軸混練機を用いて、溶融混練温度2
00℃で押し出し、ペレット状の樹脂組成物を得た。得
られたペレットを射出成型機にてテストピースを作り、
各種の評価を行い、その結果を第2表に示した。また図
1に実施例2の、そして図2に比較例4の夫々の複合化
樹脂組成物のゴム状弾性体の分散状態の電子顕微鏡写真
を示した。図1,2中に横長で白く鱗片状に観察される
のは、無機充填剤のタルクである。第2表に示す各原料
は、下記のものを用い、配合割合は、重量%を示す。 【0032】〈ポリプロピレン系樹脂〉 A−1:旭化成(製)ポリプロAKP M7600 エチレン含有量7%、MFR 15g/10分 A−2:旭化成(製)ポリプロAKP M7900 エチレン含有量7%、MFR 50g/10分 A−3:旭化成(製)ポリプロAKP M1600 エチレン含有量0%、MFR 15g/10分 〈無機充填剤〉 B−1:平均粒径2μmのタルク。 【0033】〈水素添加ブロック共重合体〉 (1)n−ブチルリチウムを重合触媒とし、シクロヘキ
サン液中で、テトラヒドロフランをビニル含有量調節剤
として、スチレンとブタジエンをアニオンブロック共重
合することにより、第1表に示したようなブロック共重
合体を合成した。尚、ポリマー構造は、モノマーの仕込
み、分子量は、触媒量、ビニル含量は、ビニル含量調節
剤を変化させることによりコントロールした。スチレン
含有量は、紫外分光光度計(UV)を、ビニル含量は、
核磁気共鳴装置(NMR)を、数平均分子量は、ゲルパ
ーミエーションクロマトグラフィーを用い測定した。 【0034】(2)次に各ブロック共重合体をジ−p−
トリスビス(1−シクロペンタジエニル)チタニウムと
n−ブチルリチウムを水添触媒として、水素圧5kg/cm
2 、温度50℃で2時間水素添加を行った。各サンプル
の水素添加率(水添率)を第1表に示した。ブタジエン
の二重結合の90%以上は水素添加され、スチレンブロ
ック部分のベンゼン環は、ほとんど水添されないで残っ
た。水添率は、核磁気共鳴装置を用い測定した。 【0035】 【表1】 【0036】比較例1 実施例2の組成で、無機充填剤の配合量が2%と少ない
場合には、曲げ弾性率が低くこの発明の高剛性で耐衝撃
性に優れる組成を満たさない。 【0037】比較例2 実施例2の組成で、無機充填剤の配合量が40%と多い
場合には、高速面衝撃の低温衝撃性に劣る。 【0038】比較例3 実施例2の組成で、MFR60の水素添加ブロック共重
合体を用いた場合、ポリプロピレン系樹脂とのMFR比
が0.25となり、凝集分散相が粒状から層状となっ
て、IZOD値および低温の高速面衝撃値に劣る。 【0039】比較例4 実施例2の組成で、水素添加ブロック共重合体が少ない
場合には、凝集分散相が大きく耐衝撃性に劣るものであ
る。 【0040】比較例5 実施例4の組成で、MFRの低い水素添加ブロック共重
合体を用いた場合、ポリプロピレン系樹脂とのMFR比
が50となり、凝集分散相が大きな粒状となり高速面衝
撃の低温衝撃性に劣るものである。 【0041】比較例6 実施例5の組成で、水素添加ブロック共重合体が多い場
合には、曲げ弾性率が低く、この発明の高剛性で耐衝撃
性に優れる組成を満たさない。 【0042】比較例7 実施例2の組成のポリプロピレン系樹脂をポリプロピレ
ン単独重合体に代えると、耐衝撃性に劣るものである。 【0043】比較例8 実施例1の組成で、スチレン量40%のスチレン系熱可
塑性エラストマーを用いると、凝集分散相の平均粒子径
が大きく、耐衝撃性が劣る。 【0044】 【表2】【0045】 【発明の効果】この発明は、特定のポリプロピレン系樹
脂と無機充填剤との複合化樹脂組成物に特定のスチレン
系熱可塑性エラストマーを配合することにより、複合化
樹脂組成物のポリプロピレン樹脂マトリックス中に、粒
状の凝集分散相を微細に分散させることができ、複合化
樹脂組成物の流動性が高く射出成形加工性を改善し、剛
性と耐衝撃性、特に高速面衝撃性のバランスを向上した
もので、大型の工業部品用途に好適に用いられる。
【図面の簡単な説明】 【図1】実施例2の複合化樹脂組成物のゴム状弾性体の
分散状態を表わす粒子構造の電子顕微鏡写真である。 【図2】比較例4の複合化樹脂組成物のゴム状弾性体の
分散状態を表わす粒子構造の電子顕微鏡写真である。
尚、写真の図1,2中に横長で白く鱗片状に観察される
のは用いた無機充填剤のタルクである。

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 (A)エチレン含有量4〜10重量%、
    メルトフローレート10〜100のプロピレン−エチレ
    ンブロック共重合体60〜92重量%、 (B)無機充填剤5〜30重量%、 (C)少なくとも1個のビニル芳香族化合物を主体とす
    る重合体ブロックAと共役ジエン化合物部分の不飽和度
    が20%を越えない程度にまで水素添加された少なくと
    も1個のオレフィン化合物を主体とする重合体ブロック
    Bからなり、ビニル芳香族化合物の含有量が10重量%
    以上30重量%未満である水素添加ブロック共重合体を
    3重量%以上10重量%未満からなり、無定形エチレン
    ・プロピレン共重合体を含有しないポリプロピレン系複
    合化樹脂組成物において、(A)のプロピレン−エチレ
    ンブロック共重合体と(C)の水素添加ブロック共重合
    体のメルトフローレート比(A)/(C)が20〜0.
    4で、プロピレン−エチレンブロック共重合体のプロピ
    レン単独成分の連続相(マトリックス)中に、該プロピ
    レン−エチレンブロック共重合体に分散するポリエチレ
    ンを含む凝集分散相(ドメイン)が粒状で平均粒径を1
    μm以下に微細分散していることを特徴とするポリプロ
    ピレン系複合化樹脂組成物。
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