JP2005281530A - 熱可塑性エラストマー組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 架橋オレフィン系ゴム100部、ポリオレフィン10〜300部及びゴム用軟化剤250部以下の割合で含有する熱可塑性重合体組成物(X)と、芳香族ビニル化合物重合体ブロック(A)と(水添)共役ジエン化合物重合体ブロック(B)を有し且つ重合体ブロック(A)に架橋結合形成性の構造単位及び/又は官能基を有する付加重合系ブロック共重合体100部、ポリオレフィン10〜300部、ゴム用軟化剤300部以下及び架橋剤0.01〜20部の混合物を動的架橋してなる熱可塑性重合体組成物(Y)を、X:Y=90:10〜10:90の質量比で含有する熱可塑性エラストマー組成物。
【選択図】 なし
Description
本発明者らが、前記特許文献4および5の熱可塑性エラストマー組成物について更に検討したところ、特許文献4および5の熱可塑性エラストマー組成物は成形加工性、柔軟性、軟化剤のブリードアウトがない点、高温で歪みを加えた後の歪み回復性などにおいて極めて優れているが、押出成形などによって成形品を製造したときに成形品表面の平滑性が充分ではなく、かかる点で改良の余地があることが判明した。
そして、本発明の目的は、前記した特性を有する熱可塑性エラストマー組成物よりなる柔軟性、軟化剤の耐ブリードアウト性、高温で歪みを加えた後の歪み回復性および表面平に優れる成形品を提供することである。
(1)(i) 架橋オレフィン系ゴム(I)を含有する熱可塑性重合体組成物(X)、並びに、
芳香族ビニル化合物に由来する構造単位からなる重合体ブロック(A)および水素添加されていてもよい共役ジエン化合物に由来する構造単位からなる重合体ブロック(B)を有し、且つ少なくとも重合体ブロック(A)で架橋されている付加重合系ブロック共重合体(II)を含有する熱可塑性重合体組成物(Y)を、
(X):(Y)=90:10〜10:90の質量比で配合した熱可塑性エラストマー組成物であって;
(ii) 熱可塑性重合体組成物(X)が、架橋オレフィン系ゴム(I)100質量部に対して、ポリオレフィン(III−1)を10〜300質量部およびゴム用軟化剤(IV−1)を250質量部以下の割合で含有する弾性を有する熱可塑性重合体組成物であり;
(iii) 熱可塑性重合体組成物(Y)が、芳香族ビニル化合物に由来する構造単位からなる重合体ブロック(A)を少なくとも1個および水素添加されていてもよい共役ジエン化合物に由来する構造単位からなる重合体ブロック(B)を少なくとも1個有し且つ重合体ブロック(A)に架橋結合形成性の構造単位および官能基の少なくとも1種を有する付加重合系ブロック共重合体(II0)100質量部に対して、ポリオレフィン(III−2)を10〜300質量部、ゴム用軟化剤(IV−2)を300質量部以下および架橋剤(V−2)を0.01〜20質量部の割合で含有する混合物を動的架橋してなる、付加重合系ブロック共重合体(II)を含有する弾性を有する熱可塑性重合体組成物である;
ことを特徴とする熱可塑性エラストマー組成物である。
(2) 付加重合系ブロック共重合体(II0)が重合体ブロック(A)に架橋結合形成性の構造単位として炭素数1〜8のアルキル基の少なくとも1個がベンゼン環に結合したアルキルスチレンに由来する構造単位を有し、熱可塑性重合体組成物(Y)に含まれる付加重合系ブロック共重合体(II)が、重合体ブロック(A)に有する前記アルキルスチレンに由来する構造単位部分で少なくとも架橋されている前記(1)の熱可塑性エラストマー組成物;
(3) 付加重合系ブロック共重合体(II0)の重合体ブロック(A)に有するアルキルスチレンに由来する構造単位が、p−メチルスチレンに由来する構造単位であって、熱可塑性重合体組成物(Y)に含まれる付加重合系ブロック共重合体(II)がp−メチルスチレンに由来する構造単位部分で少なくとも架橋されている前記(2)の熱可塑性エラストマー組成物;および、
(4) 熱可塑性重合体組成物(X)が、オレフィン系ゴム(I0)100質量部に対して、ポリオレフィン(III−1)を10〜300質量部、ゴム用軟化剤(IV−1)を250質量部以下および架橋剤(V−1)を0.01〜20質量部の割合で含有する混合物を動的架橋してなる弾性を有する熱可塑性重合体組成物である前記(1)〜(3)のいずれかの熱可塑性エラストマー組成物;
である。
さらに、本発明は、
(5) 前記(1)〜(4)のいずれかの熱可塑性エラストマー組成物からなる成形品である。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、架橋オレフィン系ゴム(I)を含有する熱可塑性重合体組成物(X)と、付加重合系ブロック共重合体(II)を含有する熱可塑性重合体組成物(Y)とを配合した熱可塑性エラストマー組成物である。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物では、架橋オレフィン系ゴム(I)を熱可塑性重合体組成物(X)の形態で配合し、且つ付加重合系ブロック共重合体(II)を熱可塑性重合体組成物(Y)の形態で配合した点に特徴を有する。かかる配合形態を採用したことによって、成形加工性、柔軟性、ゴム用軟化剤の耐ブリードアウト性、高温で歪みを加えた後の歪み回復性に優れるだけでなく、荒れのない平滑な表面を有し外観に優れる成形品を円滑に得ることができる。本発明における前記配合形態を採用せずに、例えば、架橋オレフィン系ゴム、ポリオレフィンおよびゴム用軟化剤を含有する熱可塑性重合体組成物に、付加重合系ブロック共重合体(II)またはその前駆体である付加重合系ブロック共重合体(II0)を、オレフィン系ゴムの架橋前または架橋後に直接配合した熱可塑性エラストマー組成物では、成形したときに成形品の表面に荒れが生じ易い。
そのうちでも、架橋オレフィン系ゴム(I)は、エチレン/α−オレフィン/非共役ポリエンの架橋物であることが、高温での歪み回復性の点から好ましい。
また、エチレン/α−オレフィン/非共役ポリエンのヨウ素価(架橋前のヨウ素価)は3〜40、特に5〜25の範囲にあることが、熱可塑性エラストマー組成物の機械的強度およびゴム弾性が良好になることから好ましい。ヨウ素価の前記範囲よりも低いエチレン/α−オレフィン/非共役ポリエンの架橋物を用いると熱可塑性エラストマー組成物から得られる成形品の機械的強度が劣ったものになり易く、一方ヨウ素価が前記範囲よりも高いエチレン/α−オレフィン/非共役ポリエンの架橋物を用いると熱可塑性エラストマー組成物のゴム弾性が損なわれ易い。なお、本明細書でいう「ヨウ素価」とは、JIS K1525 4.7に記載の方法により測定したヨウ素価をいう。
なお、本明細書でいう「ムーニー粘度(ML1+4,100℃)」とは、JIS K6300に記載の方法で測定した粘度をいう。
熱可塑性重合体組成物(X)において、架橋オレフィン系ゴム(I)100質量部に対して、ポリオレフィン(III−1)の含有量が10質量部未満であると、得られる熱可塑性エラストマー組成物の熱可塑性が不十分となり、成形加工性などが劣るようになる。一方、300質量部を超えると、得られる熱可塑性エラストマー組成物の柔軟性が不足する。熱可塑性エラストマー組成物および成形品の成形加工性、柔軟性がより良好になる点から、熱可塑性重合体組成物(X)は、架橋オレフィン系ゴム(I)100質量部に対して、ポリオレフィン(III−1)を12〜200質量部、特に14〜100質量部の割合で含有することがより好ましい。
しかしながら、架橋前のオレフィン系ゴム(I0)100質量部に対して、ポリオレフィン(III−1)を10〜300質量部、ゴム用軟化剤(IV−1)を250質量部以下および架橋剤(V−1)を0.01〜20質量部の割合で混合し、その混合物を溶融条件下に動的架橋する方法が、オレフィン系ゴムを架橋すると同時に各成分を均一に混合できる点から好ましく採用される。
ここで、本明細書における「溶融条件下に動的架橋する」とは、溶融状態にした前記混合物に混練によって剪断応力をかけながら架橋することを意味する。
有機過酸化物架橋剤としては、例えば、ジクミルペルオキシド、ジt−ブチルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3、1,3−ビス(t−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、α,α’−ビス(t−ブチルペルオキシ)ジイソプロピルベンゼン、3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルペルオキシ)バレレート、ベンゾイルペルオキシド、p−クロロベンゾイルペルオキシド、2,4−ジクロロベンゾイルペルオキシド、t−ブチルペルオキシベンゾエート、t−ブチルペルオキシイソプロピルカーボネート、ジアセチルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、t−ブチルクミルペルオキシドなどを挙げることができ、これらのうちの1種または2種以上を用いることができる。そのうちでも、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン、ジクミルペルオキシドが反応性の点から好ましく用いられる。
溶融混練温度は、オレフィン系ゴム(I0)およびポリオレフィン(III−1)が溶融し、架橋剤(V−1)が反応する範囲内で適宜選択されるが、通常160℃〜270℃であるのが好ましく、180℃〜240℃であるのがより好ましい。溶融混練時間は約30秒〜5分間であるのが好ましい。
オレフィン系ゴム(I0)の製法は特に制限されず、例えば、気相重合法、溶液重合法、スラリー重合法などの適宜の方法により製造することができる。これらの重合操作は、バッチ式でも連続式でも実施することができる。溶液重合法あるいはスラリー重合法においては、反応媒体として、通常、不活性炭化水素が使用される。このような不活性炭化水素溶媒としては、例えばn−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、n−デカン、n−ドデカンなどの脂肪族炭化水素類;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンなどの脂環族炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類などが挙げられる。これらの炭化水素溶媒は、単独でまたは2種以上を混合して用いることもできる。また、原料モノマーを炭化水素溶媒として利用することもできる。
熱可塑性重合体組成物(Y)では、前記動的架橋によって、付加重合系ブロック共重合体(II0)が、芳香族ビニル化合物単位からなる重合体ブロック(A)を少なくとも1個および(水添)共役ジエン化合物単位からなる重合体ブロック(B)を少なくとも1個有し且つ少なくとも重合体ブロック(A)で架橋された付加重合系ブロック共重合体(II)になっている。
付加重合系ブロック共重合体(II)では、芳香族ビニル化合物単位からなる重合体ブロック(A)はハードセグメントを構成し、(水添)共役ジエン化合物単位からなる重合体ブロック(B)はソフトセグメントを構成している。熱可塑性重合体組成物(Y)に含まれる付加重合系ブロック共重合体(II)は、ハードセグメントをなす重合体ブロック(A)で少なくとも架橋されているために、そのような付加重合系ブロック共重合体(II)を含有する熱可塑性重合体組成物(Y)を熱可塑性重合体組成物(X)と共に含有する本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、成形加工性、柔軟性、高温で歪みを加えた後の歪み回復性に優れると共に、成形したときに荒れのない平滑な表面を有し外観に優れる成形品の製造を可能にする。
付加重合系ブロック共重合体(II0)は、重合体ブロック(A)にC1〜8アルキルスチレン単位のみを有していてもよいし、官能基のみを有していてもよいし、またはC1〜8アルキルスチレン単位と官能基の両方を有していてもよい。そのうちでも、付加重合系ブロック共重合体(II0)は、得られる熱可塑性エラストマー組成物の力学物性の点から、重合体ブロック(A)にC1〜8アルキルスチレン単位を有するか、またはC1〜8アルキルスチレン単位と官能基の両方を有しているのが好ましい。
また、付加重合系ブロック共重合体(II)が、重合体ブロック(A)を2個以上有するトリブロックまたはテトラブロック以上のマルチブロック共重合体又はそれらの水素添加物である場合は、2個以上の重合体ブロック(A)のうちの1個にのみC1〜8アルキルスチレン単位および/または官能基を存在させてその部分で架橋した構造にしてもよいし、或いは2個以上または全部の重合体ブロック(A)にC1〜8アルキルスチレン単位および/または官能基をそれぞれ存在させて、複数の重合体ブロック(A)部分で架橋した構造にしてもよい。
特に、付加重合系ブロック共重合体(II)は、少なくともブロックA1部分で架橋されたA1−B−A1で表されるトリブロック共重合体の水素添加物であることが、架橋結合の導入による物性改善の効果が高く、得られる熱可塑性エラストマー組成物およびそれからなる成形品の高温での歪み回復性やゴム的特性がより優れたものとなることからより好ましい。
そのうちでも、C1〜8アルキルスチレン単位としては、p−メチルスチレン単位が、架橋剤(V−2)との反応性に優れていて、重合体ブロック(A)に架橋構造を確実に導入できることから好ましい。
アルキルスチレン単位のベンゼン環に結合したアルキル基の炭素数が9以上になると、架橋剤(V)との反応性に劣り、架橋構造が形成されにくくなる。
そのうちでも、重合体ブロック(A)に有する官能基は、水酸基であることが、架橋結合が形成し易い点から好ましい。
付加重合系ブロック共重合体(II0)における官能基数は、HPLC、NMR、GPC、滴定等を用いて算出できる。
重合体ブロック(A)にC1〜8アルキルスチレン単位を有する付加重合系ブロック共重合体(II0)は、前記した公知の重合方法を行うに当たって、重合体ブロック(A)を製造するための重合工程で、芳香族ビニル化合物の少なくとも一部としてベンゼン環に結合した炭素数1〜8のアルキル基を有するアルキルスチレンを用いることによって製造することができる。
また、重合体ブロック(A)に官能基を有する付加重合系ブロック共重合体(II0)では、重合の停止反応、開始反応、官能化単量体の共重合、高分子反応などを利用して重合体ブロック(A)に官能基を導入することができる。
熱可塑性重合体組成物(Y)において、付加重合系ブロック共重合体(II)100質量部に対して、ポリオレフィン(III−2)の含有量が10質量部未満であると、熱可塑性重合体組成物(Y)、ひいては熱可塑性エラストマー組成物の熱可塑性が不十分となり、成形加工性などが劣るようになり、一方300質量部を超えると、得られる熱可塑性エラストマー組成物の柔軟性が不足する。熱可塑性重合体組成物(Y)の生産性が良好になり、しかも本発明の熱可塑性エラストマー組成物および成形品の成形加工性、柔軟性がより良好になる点から、熱可塑性重合体組成物(Y)は、付加重合系ブロック共重合体(II)100質量部に対して、ポリオレフィン(III−2)を12〜200質量部、特に14〜100質量部の割合で含有することがより好ましい。
また、上記した有機過酸化物と共に、必要に応じて、ベンゾチアジルジスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィドなどのジスルフィド系化合物などからなる架橋促進剤、トアリルイソシアヌレート、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレートなどの多官能性単量体などの架橋助剤を用いてもよい。
付加重合系ブロック共重合体(II0)の重合体ブロック(A)が有する官能基が、水酸基、−SH、−NH2、−NHR、−CONH2,−CONHR,−CONH−、−SO3H、−SO2H,−SOHなどの活性水素原子を有する官能基である場合は、モノマーイソシアネート、イソシアネート付加物(脂肪族系、環状基を有する脂肪族系、芳香族系およびビフェニル系イソシアナート付加物など)、ブロックイソシアネートなどのイソシアネート化合物を架橋剤(IV−2)として使用することができ、イソシアネート基を2個以上、特に3個以上有するポリイソシアネート化合物、例えばヘキサメチレンジイソシアネートを原料とするイソシアヌレート結合を有するポリイソシアネートなどが好ましく用いられる。その際に、付加重合系ブロック共重合体(II0)の重合体ブロック(A)が有する官能基とイソシアネート化合物(架橋剤)との反応性を高めるために錫系触媒、チタン系触媒などを用いることができる。
重合体ブロック(A)に有する官能基が、カルボキシル基である場合には、例えば、ポリエポキシ化合物、ポリアミンなどを架橋剤(IV−2)として用いることができる。また、重合体ブロック(A)に有する官能基がエポキシ基である場合は、例えば、ポリカルボン酸、ポリアミンなどを架橋剤(IV−2)として用いることができる。
何ら限定されるものではないが、押出機を使用して熱可塑性重合体組成物(Y)を製造する際の加工工程の具体例として、付加重合系ブロック共重合体(II0)、ポリオレフィン(III−2)、架橋剤(V−2)および場合によりゴム用軟化剤(IV−2)などを混合し、押出機のホッパーに投入する。その際にポリオレフィン(III−2)、ゴム用軟化剤(IV−2)および架橋剤(V−2)を、オレフィン系ゴム(I0)および付加重合系ブロック共重合体(II0)に当初から添加するか、または押出機の途中からそれらの一部または全部を添加して溶融混練して押出す。その際に、2台以上の押出機を使用して段階的に順次溶融混練してもよい。
溶融混練温度は、付加重合系ブロック共重合体(II0)およびポリオレフィン(III−2)が溶融し、架橋剤(V−2)が反応する範囲内で適宜選択されるが、通常160℃〜270℃であるのが好ましく、180℃〜240℃であるのがより好ましい。溶融混練時間は約30秒〜5分間であるのが好ましい。
なお、他の重合体の含有量は、熱可塑性エラストマー組成物の柔軟性、力学物性が損なわれない範囲が好ましく、他の重合体を添加する前の熱可塑性エラストマー組成物100質量部に対して200質量部以下であるのが好ましい。
溶融混合時の温度としては、通常160℃〜270℃の温度が採用される。
以下の例で得られた熱可塑性エラストマー組成物からなるプレスシートを所定の厚さ(12mm)に重ねて、JIS−K6253に準じてA硬度を測定した。
以下の例で得られた熱可塑性エラストマー組成物からなるプレスシートを用いて、JIS−K6262に準じて、温度120℃、圧縮変形量25%の条件下に22時間または1000時間放置した後の圧縮永久歪みを測定した。
以下の例で得られた熱可塑性エラストマー組成物からなるプレスシートについて、表面におけるゴム用軟化剤のブリードアウトの有無を目視により観察すると共に、プレスシートの表面に手で触れて膠着感の有無を調べ、それらを総合してゴム用軟化剤のプレスシートの表面へのブリードアウトが生じていない場合を良好(○)、生じている場合を不良(×)として評価した。
以下の例で得られた熱可塑性エラストマー組成物または熱可塑性重合体組成物を、単軸押出成形機(東洋精機株式会社製「ラボプラストミル」)を使用して、200℃(押出成形機におけるダイ温度)でASTM−D2230に準ずるガーベイ押出試験ダイより押し出して、クサビ型の横断面形状を有する押出成形品を製造し、その横断面の表層付近を光学顕微鏡(倍率200倍)を用いて写真撮影し、表面での隣り合う凹部と凸部の高低差を測定してその平均値を採り、下記の評価基準にしたがって評価した。
○:表面での凹凸の高低差が20μm未満であり表面平滑性に優れる。
△:表面での凹凸の高低差が20μm以上40μm未満であり、表面平滑性にやや劣る。
×:表面での凹凸の高低差が40μm以上であり、表面平滑性に劣る。
以下の例で得られた試料1gをシクロヘキサンで10時間ソックスレー抽出処理を行い、抽出処理後、抽出残渣を分離して真空乾燥し、抽出残渣の質量を測定して、抽出処理前の試料の質量に対する質量%を求めてゲル分率とした。
なお、調製例1、調製例2、調製例6および試験例4の試験番号2で得られた架橋後の熱可塑性重合体組成物または熱可塑性エラストマー組成物よりなる試料でのゲル分率は、抽出処理後の残渣(組成物)の質量から抽出処理前の試料に含まれるポリオレフィン(III)の質量を差し引いて該残渣に含まれる付加重合系ブロック共重合体(II0−a)の架橋物、付加重合系ブロック共重合体(II0−b)の架橋物、または付加重合系ブロック共重合体(3)の架橋物の質量を算出し、架橋処理前の熱可塑性重合体組成物または熱可塑性エラストマー組成物に含まれていた付加重合系ブロック共重合体(II0−a)、付加重合系ブロック共重合体(II0−b)、または付加重合系ブロック共重合体(3)の質量に対する該残渣中の付加重合系ブロック共重合体(II0−a)の架橋物、付加重合系ブロック共重合体(II0−b)の架橋物、または付加重合系ブロック共重合体(3)の架橋物の割合(質量%)を求めてゲル分率とした。
○ポリオレフィン[略号:ポリオレフィン(III)]:
ポリプロピレン(ランダム共重合体)[(株)三井住友ポリオレフィン製「グランドポリプロB221」、メルトフローレート=1g/10分(温度230℃、2.16kg荷重)]
○ゴム用軟化剤[略号:ゴム用軟化剤(IV)]:
パラフィン系プロセスオイル[出光興産(株)製「PW−380」]
○オレフィン系ゴム[略号:オレフィン系ゴム(I0)]:
オレフィン系エラストマー(エチレン/α−オレフィン/非共役ポリエン共重合体ゴム)[JSR(株)製「JSR EP37F」]
○架橋剤[略号:架橋剤(Va−1)]:
N,N’−m−フェニレンビスマレイミド[大内新興化学工業(株)製「バルノックPM」]
○架橋剤[略号:架橋剤(Va−2)]:
2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン[日本油脂(株)製「パーヘキサ25B−40」]
○架橋剤[略号:架橋剤(Vb−3)]:
ヘキサメチレンジイソシアネートを原料としてなるイソシアヌレート結合を有するポリイソシアネート[日本ポリウレタン工業(株)製「コロネートHX」、イソシアネート基数=3個/1分子]
○架橋剤[略号:架橋剤(V−4)]:
反応型アルキルフェノールホルムアルデヒド樹脂[田岡化学(株)製「タッキロール」201―1]
(1) 撹拌装置付き耐圧容器中にシクロヘキサンを30kg、p−メチルスチレンモノマーを700gおよびsec−ブチルリチウムの1.3Molシクロヘキサン溶液を20ml加え、50℃で120分間重合した後、テトラヒドロフランを63g、ブタジエンモノマーを2600g加えて120分間重合した。更にp−メチルスチレンモノマーを700g加えて120分間重合した後、メタノールを添加して重合を停止させ、ポリ(p−メチルスチレン)−ポリブタジエン−ポリ(p−メチルスチレン)型トリブロック共重合体を製造した。
(2) 上記(1)で得られたトリブロック共重合体のシクロヘキサン溶液を調製し、十分に窒素置換を行った耐圧容器に仕込んだ後、Ni/Al系のZiegler系水素添加触媒を用いて水素雰囲気下において80℃で5時間水素添加反応を行い、ポリ(p−メチルスチレン)−水素添加ポリブタジエン−ポリ(p−メチルスチレン)型トリブロック共重合体[Mn=260,000;各重合体ブロックの割合=17.5/65/17.5(質量比);ポリブタジエンブロックの水素添加率=99モル%][付加重合系ブロック共重合体(II−a)]を製造した。
(1) 撹拌装置付き耐圧容器中にシクロヘキサンを30kg、テトラヒドロフランを64g、ブタジエンモノマーを3300gおよび2官能開始剤としてジリチオポリブタジエン58gを加え、50℃で120分間重合した後、スチレンモノマー1440gを添加し、50℃で60分間重合した。次に、エチレンオキサイドを12g加えて付加させた後、メタノールを添加して重合を停止させて、両末端に水酸基を有するポリスチレン−ポリブタジエン−ポリスチレン型トリブロック共重合体を製造した。
(2) 上記(1)で得られたトリブロック共重合体のシクロヘキサン溶液を調製し、十分に窒素置換を行った耐圧容器に仕込んだ後、Ni/Al系のZiegler系水素添加触媒を用いて水素雰囲気下において80℃で5時間水素添加反応を行い、両末端に水酸基を有するポリスチレン−水素添加ポリブタジエン−ポリスチレン型トリブロック共重合体[Mn=200,000;水酸基含有量=1.7個/1分子;各重合体ブロックの割合=15/70/15(質量比);ポリブタジエンブロックの水素添加率=99モル%][付加重合系ブロック共重合体(II−b)]を製造した。
(1) 撹拌装置付き耐圧容器中にシクロヘキサンを30kg、スチレンモノマーを700gおよびsec−ブチルリチウムの1.3Molシクロヘキサン溶液を20ml加え、50℃で60分間重合した後、テトラヒドロフランを63g、ブタジエンモノマーを2600g加え120分間重合した。更にスチレンモノマーを700g加え60分間重合した後、メタノールを添加して重合を停止させて、ポリスチレン−ポリブタジエン−ポリスチレン型トリブロック共重合体を製造した。
(2) 上記(1)で得られたトリブロック共重合体のシクロヘキサン溶液を調製し、十分に窒素置換を行った耐圧容器に仕込んだ後、Ni/Al系のZiegler系水素添加触媒を用いて水素雰囲気下において80℃で5時間水素添加反応を行い、ポリスチレン−水素添加ポリブタジエン−ポリスチレン型トリブロック共重合体[Mn=260,000;各重合体ブロックの割合=17.5/65/17.5(質量比);ポリブタジエンブロックの水素添加率=99モル%][付加重合系ブロック共重合体(3)]を製造した。
撹拌装置付き耐圧容器中にシクロヘキサンを2700g、p−メチルスチレンモノマーを300gおよびsec−ブチルリチウムの1.3Molシクロヘキサン溶液を2.9ml加え、50℃で120分間重合した後、メタノールを添加して重合を停止させて、ポリ(p−メチルスチレン)(Mn=60,000)を製造した。
撹拌装置付き耐圧容器中にシクロヘキサンを2700g、スチレンモノマーを300gおよびsec−ブチルリチウムの1.3Molシクロヘキサン溶液を2.9ml加え、50℃で120分間重合した後、メタノールを添加して重合を停止させて、ポリスチレン(Mn=60,000)を製造した。
(1) 撹拌装置付き耐圧容器中にシクロヘキサンを2700g、テトラヒドロフランを6.05g、ブタジエンモノマーを300gおよびsec−ブチルリチウムの1.3Molシクロヘキサン溶液を4.35ml加え、50℃で120分間重合した後、メタノールを添加して重合を停止させてポリブタジエンを製造した。
(2) 上記(1)で得られたポリブタジエンのシクロヘキサン溶液を調製し、十分に窒素置換を行った耐圧容器に仕込んだ後、Ni/Al系のZiegler系水素添加触媒を用いて水素雰囲気下において80℃で5時間水素添加反応を行い、水素添加ポリブタジエン[Mn=10,000]を製造した。
オレフィン系ゴム(I0)100質量部、ポリオレフィン(III)30質量部、ゴム用軟化剤(IV)100質量部、架橋剤(V−4)6質量部および塩化錫(SnCl2)10質量部を予備混合した後、二軸押出機[テクノベル(株)製]に供給して温度200℃、回転数200rpmで溶融混練して、架橋オレフィン系ゴムをベースとする熱可塑性重合体組成物(X−1)を調製した。
オレフィン系ゴム(I0)100質量部、ポリオレフィン(III)15質量部、ゴム用軟化剤(IV)200質量部、架橋剤(V−4)6質量部および塩化錫(SnCl2)10質量部を予備混合した後、調製例1と同様にして溶融混練して、架橋オレフィン系ゴムをベースとする熱可塑性重合体組成物(X−2)を調製した。
付加重合系ブロック共重合体(II0−a)100質量部、ポリオレフィン(III)30質量部、ゴム用軟化剤(IV)100質量部、架橋剤(Va−1)2質量部およびジベンゾチアジルジスルフィド(架橋促進剤)1.6質量部を予備混合した後、二軸押出機[テクノベル(株)製]に供給して温度200℃、回転数200rpmで溶融混練して、付加重合系ブロック共重合体(II0−a)の架橋物をベースとする熱可塑性重合体組成物(Y−1)を調製した。
付加重合系ブロック共重合体(II0−a)100質量部、ポリオレフィン(III)30質量部、ゴム用軟化剤(IV)100質量部、架橋剤(Va−2)6質量部およびトリアリルイソシアヌレート(架橋助剤)12質量部を予備混合した後、二軸押出機[テクノベル(株)製]に供給して温度200℃、回転数200rpmで溶融混練して、付加重合系ブロック共重合体(II0−a)の架橋物をベースとする熱可塑性重合体組成物(Y−2)を調製した。
付加重合系ブロック共重合体(II0−a)100質量部、ポリオレフィン(III)15質量部、ゴム用軟化剤(IV)200質量部、架橋剤(Va−2)6質量部およびトリアリルイソシアヌレート(架橋助剤)12質量部を予備混合した後、二軸押出機[テクノベル(株)製]に供給して温度200℃、回転数200rpmで溶融混練して、付加重合系ブロック共重合体(II0−a)の架橋物をベースとする熱可塑性重合体組成物(Y−3)を調製した。
付加重合系ブロック共重合体(II0−b)100質量部、ポリオレフィン(III)30質量部、ゴム用軟化剤(IV)100質量部および架橋剤(Vb−3)0.7質量部を予備混合した後、二軸押出機[テクノベル(株)製]に供給して温度180℃、回転数200rpmで溶融混練して、付加重合系ブロック共重合体(II0−b)の架橋物をベースとする熱可塑性重合体組成物(Y−4)を調製した。
上記の調製例1で調製した熱可塑性重合体組成物(X−1)と、調製例3〜6で調製した熱可塑性重合体組成物(Y−1)〜(Y−4)のいずれかを下記の表2に示す割合で予備混合した後、二軸押出機[テクノベル(株)製]に供給して温度160〜200℃、回転数200rpmで溶融混練して、熱可塑性エラストマー組成物をそれぞれ製造した。
(2) 上記(1)で得られた熱可塑性エラストマー組成物を用いて、プレス成形機[(株)神藤金属工業所製の単動型圧縮成形機「NSF−37」]を使用して、金型温度210℃の条件下で成形して150mm×150mm×1mmの成形品(プレスシート)を製造し、得られた成形品の各物性を上記した方法で測定したところ、下記の表2に示すとおりであった。
上記の調製例1〜6で調製した熱可塑性重合体組成物(X−1)、(X−2)、(Y−1)、(Y−2)、(Y−3)および(Y−4)のいずれかを用いて、プレス成形機[(株)神藤金属工業所製の単動型圧縮成形機「NSF−37」]を使用して、金型温度210℃の条件下で成形して150mm×150mm×1mmの成形品(プレスシート)を製造し、得られた成形品の各物性を上記した方法で測定したところ、下記の表3に示すとおりであった。
また、付加重合系ブロック共重合体(II0−a)または付加重合系ブロック共重合体(II0−b)、ポリオレフィン(III)、ゴム用軟化剤(IV)および架橋剤からなる混合物を動的架橋して得られた調製例3〜6の熱可塑性重合体組成物(Y−1)〜(Y−4)では、これらの熱可塑性重合体組成物からなる成形品を製造したときに、成形品は高温で圧縮した後の歪回復性に優れていて、120℃の高温で1000時間圧縮した後でも良好な歪み回復性を有し、さらにゴム用軟化剤(IV)のブリードアウトがないが、成形品表面の平滑性が劣っているかまたは不十分である。
(1) 製造例3で製造した付加重合系ブロック共重合体(3)100質量部、ポリオレフィン(III)30質量部、ゴム用軟化剤(IV)100質量部および架橋剤(Va−2)6質量部を予備混合した後、二軸押出機[テクノベル(株)製]に供給して温度200℃、回転数200rpmで溶融混練して、付加重合系ブロック共重合体(3)の架橋物をベースとする熱可塑性エラストマー組成物を製造した。
(2) 上記(1)で得られた熱可塑性エラストマー組成物を用いて、プレス成形機[(株)神藤金属工業所製の単動型圧縮成形機「NSF−37」]を使用して、金型温度210℃の条件下で成形して150mm×150mm×1mmの成形品(プレスシート)を製造し、得られた成形品の各物性を上記した方法で測定したところ、下記の表4に示すとおりであった。
(1) オレフィン系ゴム(I0)70質量部、製造例1で製造した付加重合系ブロック共重合体(II0−a)30質量部、ポリオレフィン(III)30質量部、ゴム用軟化剤(IV)100質量部、架橋剤(Va−2)6質量部およびトリアリルイソシアヌレート12質量部を予備混合した後、二軸押出機[テクノベル(株)製]に供給して温度200℃、回転数200rpmで溶融混練して、オレフィン系ゴム(I0)の架橋物および付加重合系ブロック共重合体(II0−a)の架橋物を含む熱可塑性エラストマー組成物を製造した。
(2) 上記(1)で得られた熱可塑性エラストマー組成物を用いて、プレス成形機[(株)神藤金属工業所製の単動型圧縮成形機「NSF−37」]を使用して、金型温度210℃の条件下で成形して150mm×150mm×1mmの成形品(プレスシート)を製造し、得られた成形品の各物性を上記した方法で測定したところ、下記の表4に示すとおりであった。
(1) オレフィン系ゴム(I0)30質量部、製造例1で製造した付加重合系ブロック共重合体(II0−a)70質量部、ポリオレフィン(III)30質量部、ゴム用軟化剤(IV)100質量部、架橋剤(Va−2)6質量部およびトリアリルイソシアヌレート12質量部を予備混合した後、二軸押出機[テクノベル(株)製]に供給して温度200℃、回転数200rpmで溶融混練して、オレフィン系ゴム(I0)の架橋物および付加重合系ブロック共重合体(II0−a)の架橋物を含む熱可塑性エラストマー組成物を製造した。
(2) 上記(1)で得られた熱可塑性エラストマー組成物を用いて、プレス成形機[(株)神藤金属工業所製の単動型圧縮成形機「NSF−37」]を使用して、金型温度210℃の条件下で成形して150mm×150mm×1mmの成形品(プレスシート)を製造し、得られた成形品の各物性を上記した方法で測定したところ、下記の表4に示すとおりであった。
また、付加重合系ブロック共重合体(II0−a)または付加重合系ブロック共重合体(II0−b)に、ポリオレフィン(III)、ゴム用軟化剤(IV)および架橋剤を混合した混合物を動的架橋して得られた参考例1または参考例2の熱可塑性エラストマー組成物では、それから得られた成形品は、高温で圧縮した後の歪回復性に優れていて、120℃の高温で1000時間圧縮した後でも良好な歪み回復性を有し、しかもゴム用軟化剤(IV)のブリードアウトがないが、成形品表面の平滑性が劣っているかまたは不十分である。
(1)試験番号1:
調製例4で得られた溶融混練後の熱可塑性重合体組成物(Y−2)のゲル分率を上記した方法で測定したところ、下記の表5に示すとおりであった。
(2)試験番号2〜4:
製造例4で製造したポリ(p−メチルスチレン)、製造例5で製造したポリスチレンまたは製造例6で製造した水素添加ポリブタジエンに、架橋剤(Va−2)(有機過酸化物)および架橋助剤(トリアリルイソシアヌレート)を下記の表5に示す割合で予備混合した後、ラボプラストミル[東洋精機(株)製]に供給して温度200℃で溶融混練して試料を製造した。この試料について、上記した方法でゲル分率を測定したところ、下記の表5に示すとおりであった。
(1)試験番号1:
調製例3で得られた溶融混練後の熱可塑性重合体組成物(Y−1)のゲル分率を上記した方法で測定したところ、下記の表6に示すとおりであった。
(2)試験番号2および3:
製造例5で製造したポリスチレンまたは製造例6で製造した水素添加ポリブタジエンに、架橋剤(Va−1)(N,N’−m−フェニレンビスマレイミド)および架橋促進剤(ジベンゾチアジルジスルフィド)を下記の表6に示す割合で予備混合した後、ラボプラストミル[東洋精機(株)製]に供給して温度200℃で溶融混練して試料を製造した。この試料について、上記した方法でゲル分率を測定したところ、下記の表6に示すとおりであった。
かかる結果から、本発明の熱可塑性エラストマー組成物を構成している熱可塑性重合体組成物(Y)[熱可塑性重合体組成物(Y−1)]では、付加重合系ブロック共重合体(II0)として重合体ブロック(A)にC1〜8アルキルスチレン単位を有する付加重合系ブロック共重合体(II0)を用いたことにより、重合体ブロック(A)部分で少なくとも架橋されていることが裏付けられる。
(1)試験番号1:
調製例6で得られた溶融混練後の熱可塑性重合体組成物(Y−4)のゲル分率を上記した方法で測定したところ、下記の表7に示すとおりであった。
(2)試験番号2:
製造例3で製造した付加重合系ブロック共重合体(3)に、ポリオレフィン(III)、ゴム用軟化剤(IV)および架橋剤(Vb−3)(ポリイソシアネート)および架橋促進剤(ジベンゾチアジルジスルフィド)を表7に示す割合で予備混合した後、ラボプラストミル[東洋精機(株)製]に供給して温度200℃で溶融混練して試料を製造した。この試料について、上記した方法でゲル分率を測定したところ、下記の表7に示すとおりであった。
かかる結果から、本発明の熱可塑性エラストマー組成物を構成している熱可塑性重合体組成物(Y)[熱可塑性重合体組成物(Y−4)]では、付加重合系ブロック共重合体(II0)として重合体ブロック(A)に官能基(水酸基)を有する付加重合系ブロック共重合体(II0)を用いたことにより、重合体ブロック(A)部分で少なくとも架橋されていることが裏付けられる。
Claims (5)
- (i) 架橋オレフィン系ゴム(I)を含有する熱可塑性重合体組成物(X)、並びに、
芳香族ビニル化合物に由来する構造単位からなる重合体ブロック(A)および水素添加されていてもよい共役ジエン化合物に由来する構造単位からなる重合体ブロック(B)を有し、且つ少なくとも重合体ブロック(A)で架橋されている付加重合系ブロック共重合体(II)を含有する熱可塑性重合体組成物(Y)を、
(X):(Y)=90:10〜10:90の質量比で配合した熱可塑性エラストマー組成物であって;
(ii) 熱可塑性重合体組成物(X)が、架橋オレフィン系ゴム(I)100質量部に対して、ポリオレフィン(III−1)を10〜300質量部およびゴム用軟化剤(IV−1)を250質量部以下の割合で含有する弾性を有する熱可塑性重合体組成物であり;
(iii) 熱可塑性重合体組成物(Y)が、芳香族ビニル化合物に由来する構造単位からなる重合体ブロック(A)を少なくとも1個および水素添加されていてもよい共役ジエン化合物に由来する構造単位からなる重合体ブロック(B)を少なくとも1個有し且つ重合体ブロック(A)に架橋結合形成性の構造単位および官能基の少なくとも1種を有する付加重合系ブロック共重合体(II0)100質量部に対して、ポリオレフィン(III−2)を10〜300質量部、ゴム用軟化剤(IV−2)を300質量部以下および架橋剤(V−2)を0.01〜20質量部の割合で含有する混合物を動的架橋してなる、付加重合系ブロック共重合体(II)を含有する弾性を有する熱可塑性重合体組成物である;
ことを特徴とする熱可塑性エラストマー組成物。 - 付加重合系ブロック共重合体(II0)が重合体ブロック(A)に架橋結合形成性の構造単位として炭素数1〜8のアルキル基の少なくとも1個がベンゼン環に結合したアルキルスチレンに由来する構造単位を有し、熱可塑性重合体組成物(Y)に含まれる付加重合系ブロック共重合体(II)が、重合体ブロック(A)に有する前記アルキルスチレンに由来する構造単位部分で少なくとも架橋されている請求項1に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
- 付加重合系ブロック共重合体(II0)の重合体ブロック(A)に有するアルキルスチレンに由来する構造単位が、p−メチルスチレンに由来する構造単位であって、熱可塑性重合体組成物(Y)に含まれる付加重合系ブロック共重合体(II)がp−メチルスチレンに由来する構造単位部分で少なくとも架橋されている請求項2に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
- 熱可塑性重合体組成物(X)が、オレフィン系ゴム(I0)100質量部に対して、ポリオレフィン(III−1)を10〜300質量部、ゴム用軟化剤(IV−1)を250質量部以下および架橋剤(V−1)を0.01〜20質量部の割合で含有する混合物を動的架橋してなる弾性を有する熱可塑性重合体組成物である請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載の熱可塑性エラストマー組成物からなる成形品。
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