JPH0633591Y2 - 磁気テ−プカセット - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は磁気テープカセツトに関し、特にオーデイオ等
に用いられるフイリツプスタイプの磁気テープカセツト
の改良に関するものである。

（従来技術） オーデイオ等に用いられる磁気テープカセツトは、磁気
テープが一対のハブに巻装されたハブツウハブのもので
ある。この種の磁気テープカセツトは従来その不使用
（保存時）において、ハブの不測の回動を防止するのに
カセツト収納用ケース内に突設された一対のプレート状
の係止手段により行われている。しかしながら、カセツ
ト不使用時において、必ずしもカセツト収納用ケースに
磁気テープカセツトを収納しない場合もあり、又、磁気
テープカセツトも記録再生装置に装填する際に、不用意
に手がハブに触れたりすることもある。

このような場合、ハブが回動自在であるので、該ハブに
巻装されている磁気テープが緩んだり、酷いときにはカ
セツト前面の開口部から磁気テープがはみ出して、テー
プ損傷やテープジヤミングの原因となつていた。

近年、記録再生装置の小型化によつて磁気テープが戸外
に持ち出される頻度が高くなつて来ており、振動、衝撃
等によりハブが回動することによる上述の如きトラブル
が一増多くなつて来ている。

（考案の目的） 本考案は上記の如き問題点に鑑みてなされたものであ
り、磁気テープカセツトが記録再生装置に装填されてな
い場合において、ハブが不測の回動をしないように改良
された磁気テープカセツトを提供することを目的とする
ものである。

（考案の構成） 本考案のかかる目的は、磁気テープを巻装した一対のハ
ブを具備して成る磁気テープカセットにおいて、前記ハ
ブの夫々がハブ回転用シャフトと係合する突出壁により
上下二分されたハブ内周側面の少なくとも一方に、ハブ
回転中心方向に張り出してカセットケースの内方に突出
された環状突壁に当接して該ハブを付勢する弾性部を備
えると共に、該弾性部に対向する位置の前記ハブ内周側
面に凹凸壁面部が形成されており、また、前記凹凸壁面
部の形成されたハブ内周側面に対向するカセットケース
の前記環状突壁の外周面全域に前記凹凸壁面部と係合可
能な凹凸を備えて成ることを特徴とする磁気テープカセ
ットにより達成される。

以下、本考案を図面に例示する実施態様に基づいて詳細
に説明する。

第１図は本実施態様のハブを示す斜視図、第２図はその
平面図、第３図はカセツトハーフケースの環状突壁の部
分を示す斜視図である。

第１図および第２図に示すハブ１は、ハブ内周側面２を
上下に二分する突出壁３が従来と同様に形成されてお
り、又、磁気テープＴが巻装されるハブ外周側面４に
は、該磁気テープＴの終端部をフランプ部材（図示しな
い）により取り付けるへこみ部５が従来と同様に形成さ
れている。

前記ハブ内周側面２の上下のうち一方（第１図の上側）
には、該ハブ内周側面２がその円周に沿つて切り裂かれ
たような形状の弾性部６が形成されている。前記弾性部
６はその自由端７が前記ハブ内周側面２よりもハブ回転
中心方向に張り出している。

なお、前記ハブ１はポリアセタール等のある程度の弾性
を有するプラスチツク樹脂から構成されているので、前
記弾性部６はハブ回転軸線Ａに対して直角方向のバネ作
用を有している。

前記弾性部６に対向する前記ハブ内周側面２は、ハブ回
転軸線Ａに沿つた複数の極めて細い歯状の凹凸壁面部８
が形成されている。

一方、第３図に示す上カセツトハーフ10には、ハブ回転
用シヤフト30（第５図参照）が挿入される挿入孔11の円
周に沿つた環状突壁12（第３図は片方のみ）が一対形成
されており該環状突壁12の外周面13は前記凹凸壁面部８
と噛み合い可能な凹凸がその全周に亘つて形成されてい
る。

又、下カセツトケース14（第４図および第５図参照）の
環状突壁15は従来と同様に形成されている。

第４図および第５図は、前記ハブ１と前記上カセツトハ
ーフ10を用いて組み立てられた磁気テープカセツト20の
要部垂直断面図を示す。

前記磁気テープカセツト20が記録再生装置に装填されて
いない場合（第４図参照）、前記ハブ１は前記弾性部６
が前記環状突壁12の外周面に当接することによる水平方
向の反発力により、矢印Ｂ方向に偏倚されているので、
前記環状突壁12の外周面13と前記凹凸壁面部８とが当接
する。その結果、前記外周面13と前記凹凸壁面８とが噛
み合って前記ハブ１は回動しないように係止されてい
る。

前記磁気テープカセツト20が記録再生装置に装填された
場合（第５図参照）、ハブ回転用シヤフト30が前記挿入
孔11に挿入される。すると、矢印Ｂ方向に偏倚していた
前記ハブ１は、前記挿入孔11の中央とハブ回転軸線Ａが
一致する位置に移動して、該挿入孔11に対してセンタリ
ングされる。従つて、前記環状突壁12の外周面13と前記
凹凸壁面部８との係合が解除されるので、前記ハブ１は
回動可能な状態になる。

前記ハブ回転用シヤフト30が挿入されて前記ハブ１が回
動する際に、前記弾性部６は前記外周面13に当接しては
いるものの、その当接力はあまり強くなされていないの
で、ハブ回動に支障を来たすことはない。又、前記弾性
部６の自由端７は、前記ハブ１が第２図に示す矢印Ｃ方
向に回動した際に、前記外周面13の凹凸に引つ掛かるこ
とのないように湾曲した面に形成されている。

このように本実施態様の如く構成することにより、前記
磁気テープカセツト20が記録再生装置に装填されていな
いとき、前記凹凸壁面部８と前記外周面13とが係合し、
前記ハブ１の不測の回動は防止される。

前記実施態様においては、前記突出壁３により上下に二
分される前記ハブ内周側面２の一方（上側）にだけに、
前記弾性部６及び前記凹凸壁面部８を形成し、また前記
上カセツトハーフ10の環状突壁12のみに凹凸を形成した
が、本考案はこれに限るものではなく、上下両方に同様
の係合手段を設けることもできる。又、一方の前記ハブ
内周側面２（上側）に前記弾性部８を形成すると共に、
他方（下側）の前記ハブ内周側面２に前記凹凸壁面部８
を形成するように構成してもよい。

上述の態様においては、前記弾性部６を前記ハブと切り
裂いたように一体成形したものであるが、本考案は必ず
しもこのような形態に限るものではない。例えば、第６
図に示すように、ハブ回転中心方向に僅かに湾曲するよ
うなブリツジ状に一体成形したものでもよく、又、前記
弾性部６を例えば金属バネ等のものとし、第７図に示す
如く前記ハブ内周側面２の一部に装架して差し込むよう
に変更することも出来る。

また、本考案の前記凹凸壁面部８は、第８図に示すよう
に片方に傾斜した爪歯状の凹凸壁面部8aに形成してもよ
い。この場合の前記凹凸壁面部8aの傾斜の向きは、一対
の前記ハブ１の夫々が磁気テープＴの緩む方向には前記
外周面13と係合して回転し難く、磁気テープＴの巻き締
る方向（矢印Ｄ方向）には回転し易いように形成されて
いる。

（考案の効果） 以上述べたように、本考案は磁気テープを巻装した各ハ
ブがハブ内周面に、ハブ回転中心方向に向かつて張り出
した弾性部を備えているとにより、磁気テープカセット
が記録再生装置に装填されていないときに、この弾性部
がカセットケースの環状突壁の外周面に当接してハブを
水平方向に偏倚させることができ、ハブ内周側面で前記
弾性部に対向する所に形成された凹凸壁面部が、環状突
壁の外周面の凹凸に強制的に噛み合い係合するので、カ
セット保管時や搬送時などにおいて、カセットに振動等
が加えられてもこの係合が簡単に外れるようなことが回
避され、ハブの不測の回動を確実に防止することがで
き、磁気テープの巻装状態が良好に保たれるだけでな
く、カセット前面の開口部からの磁気テープ繰出も防止
でき、テープ損傷やテープジャミング等のトラブルを防
止することができる。

又、本考案の磁気テープカセツトは、従来のカセツト収
納用ケースに設けられていたハブ回動を防ぐためのプレ
ート状の係止手段を必要としなくなるので、カセツトケ
ースを簡略化できる効果をも奏するものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施態様の要部斜視図、第２図は第
１図に示すハブの平面図、第３図は本考案の一実施態様
におけるカセツトハーフの要部斜視図、第４図及び第５
図は本考案の磁気テープカセツトの一実施態様を示す要
部垂直断面図、第６図及び第７図は本考案における弾性
部の変更例を夫々示すハブの平面図、第８図は本考案に
おける凹凸壁面部の変更例を示す要部概略平面図であ
る。 １…ハブ、２…ハブ内周側面、３…突出壁、４…ハブ外
周側面、５…へこみ部、６…弾性部、７…自由端、8,8a
…凹凸壁面部、10…上カセトハーフ、11…挿入孔、12,1
5…環状突壁、13…外周面、14…下カセツトハーフ、20
…磁気テープカセツト、30…ハブ回転用シヤフト。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】磁気テープを巻装した一対のハブを具備し
   て成る磁気テープカセットにおいて、前記ハブの夫々が
   ハブ回転用シャフトと係合する突出壁により上下二分さ
   れたハブ内周側面の少なくとも一方に、ハブ回転中心方
   向に張り出してカセットケースの内方に突出された環状
   突壁に当接して該ハブを付勢する弾性部を備えると共
   に、該弾性部に対向する位置の前記ハブ内周側面に凹凸
   壁面部が形成されており、また、前記凹凸壁面部の形成
   されたハブ内周側面に対向するカセットケースの前記環
   状突壁の外周面全域に前記凹凸壁面部と係合可能な凹凸
   を備えて成ることを特徴とする磁気テープカセット。