JPH0419654Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、例えばビデオテープレコーダのテー
プのカセツト等に使用して好適なテープリールに
関する。

〔考案の概要〕

本考案は、ビデオテープレコーダのテープカセ
ツト等に使用して好適なテープリールに於いて、
ハブのテープ巻回壁部とハブのリール駆動軸挿入
部とを別体に設けると共に、上フランジの上記下
フランジ対向面にテープ巻回壁部の内方への倒れ
を防止する略環状突起を形成したことより、テー
プリールの変形をなくして、このリールに巻いた
テープの部分的な伸びをなくし、テープに信号の
記録・再生を円滑に行なえるようにしたものであ
る。

〔従来の技術〕

従来、ビデオテープレコーダ用のテープカセツ
トに装着されるテープリールとして、第３図に示
す如きものが使用されている。このテープリール
は、上フランジ１′と下フランジ２との間にハブ
が挾まつているもので、ハブは下フランジ２側に
一体に設けてある。即ち、合成樹脂、例えばアセ
タール系樹脂よりなる下フランジ２の片面の中央
には、ハブを構成する略環状のテープ巻回用壁部
２ａとリール駆動軸挿入部２ｂとを一体に設ける
と共に、このテープ巻回用壁部２ａとリール駆動
軸挿入部２ｂとの間に強化リブ２ｃを複数放射方
向に一体に設けて、中央部のリール駆動軸挿入部
２ｂの外周にテープ巻回用壁部２ａを配置してい
る。壁部２ａの周面には磁気テープが巻かれ、こ
の巻かれる磁気テープの一端をリール側に係止す
るための切欠き２ｄを有し、磁気テープの一端を
挟んだ状態でテープ係止部材（図示せず）を切欠
き２ｄに嵌合させて係止する。リール駆動軸挿入
部２ｂは、下フランジ２側（第３図中に下側）か
らビデオテープレコーダのリール駆動軸（図示せ
ず）を挿入してリールを回転させるもので、リー
ル駆動軸挿入部２ｂのリール駆動軸の挿入側とは
反対側の上面には、中央に上フランジ１′との嵌
合用の突起２ｅと、この突起２ｅを臨む位置に上
フランジ１′とのかしめ止め用の複数の突起２ｆ
とを設けてある。そして、上フランジ１′は例え
ば透明なアクリロ・ニトリロ−スチレン共重合体
の樹脂よりなり、上フランジ１′側には中央部に
突起２ｅ及び２ｆと嵌合する透孔１b′及び１c′が
設けてあり、中央の突起２ｅを上フランジ１′の
中央の透孔１b′に嵌めると共に、夫々の突起２ｆ
を夫々の取付１c′に嵌めた後超音波等によりかし
め止めを行なつて、リールとして完成させる。な
お、壁部２ａのテープ係止用の切欠き２ｄを臨む
位置の上フランジ１′には開口部１a′が設けてあ
り、テープ係止作業を行ない易いようにしてあ
る。

以上のようにして構成されるテープリールは、
テープ巻回用壁部２ａがリール駆動軸挿入部２ｂ
とは別に外周に設けてある所謂太ハブにしてある
ことにより、リールに巻けるテープの長さは短か
くなるが、テープの早送り、巻戻しが、リール駆
動軸挿入部２ｂの周面を直接テープ巻回壁部とし
たものに比べ同一のリール回転数でも早く行なえ
る等の利益がある。

〔考案が解決しようとする問題点〕

ところが、上述の如く構成したテープリールに
磁気テープを巻取つた場合、磁気テープの巻圧等
によりテープ巻回用壁部２ａが変形することがあ
る。即ち、第４図に示す如く、テープ巻回用壁部
２ａが磁気テープ３により押されて内方へ倒れよ
うとし、上述の強化リブ２ｃのある所ではこの強
化リブ２ｃにより倒れが防止されるが、強化リブ
２ｃのない壁部２ａは上フランジ１′寄りから内
方へ倒れてしまうと共に、この倒れにつられて下
フランジ２も上方への反りが生じてしまう。この
ようにテープ巻回用壁部２ａが倒れると、巻かれ
たテープ３は、第５図に示す如く、上フランジ
１′寄りが壁部２ａの倒れに応じて部分的に伸び
た状態になつてしまう。この部分的な伸びが磁気
テープに生ずると、良好なビデオテ信号等の記
録・再生が出来なくなる虞れがあつた。

なお、テープ巻回用壁部２ａの肉厚を増した
り、強化リブ２ｃの数を増やす等して壁部２ａの
倒れを防止することも出来るが、この場合テープ
リール成形時に壁部２ａに成形歪みが発生する可
能性が高く、壁部２ａにひけにより凹凸が出来る
虞れがあり、この場合にはこの壁部２ａの凹凸に
沿つて磁気テープに部分的な伸びが発生してしま
う。また、壁部２ａの肉厚を増す等するのは、リ
ールの制作コストを上昇させてしまう。

本考案は上述した点に鑑み、テープ巻回壁部が
変形せず、巻き取つたテープが片伸びすることの
ないテープリールを提供することを目的とする。

〔問題点を解決するための手段〕

本考案のテープリールは、第１図及び第２図に
示す如く、下フランジ２に一体に所定箇所にテー
プ係止部材が嵌入される切欠部２ｄを有するハブ
のテープ巻回壁部２ａとハブのリール駆動軸挿入
部２ｂとを別体に設けると共に、 上フランジ１
の下フランジ対抗面に切欠部２ｄを除いてテープ
巻回壁部２ａの内方への倒れを防止する略環状突
起１ｄを形成すると共に、切欠部２ｄに対応する
部分には、この切欠部２ｄの内壁の内方倒れを防
止する折曲部１ｅを設けたものである。

〔作用〕

本考案のテープリールは、上フランジ１の略環
状突起１ｄによりテープ巻回壁部２ａの内方への
倒れが防止され、テープ巻回壁部２ａがテープの
巻圧等により変形せず、巻き取つたテープに片伸
びが発生しないものである。

〔実施例〕

以下、本考案のテープリールの一実施例を第１
図及び第２図を参照して説明しよう。この第１図
及び第２図に於いて、第３図乃至第５図に対応す
る部分には同一符号を付し、その詳細説明は省略
する。

本例のテープリールは、上フランジ１が例えば
透明なアクリロ・ニトリロ−スチレン共重合体の
樹脂よりなり、この上フランジ１に従来例と同様
に開口部１ａ、透孔１ｂ及び１ｃが設けてあると
共に、環状突起１ｄが下フランジ２との対向面に
設けてある。下フランジ２は、例えばアセタール
系樹脂よりなり、その構成は例えば第３図例と同
様である。そして、上フランジ１の環状突起１ｄ
は、上フランジ１と下フランジ２とを接合した際
に、テープ巻回用壁部２ａの内方、即ち中心寄り
の面と当接する。なお環状突起１ｄは、テープ巻
回用壁部２ａの切欠き２ｄに対応した部分には曲
折部１ｅがあり切欠き２ｄを避けている。

以上のように構成してあることにより、第２図
に示す如く、上フランジ１と下フランジ２とを接
合する際には、上フランジ１の環状突起１ｄを下
フランジ２側に向けて、中央と透孔１ｂに突起２
ｅを嵌めると共に、夫々の透孔１ｃに突起２ｆを
嵌めて超音波等によりかしめ止めを行ない接合す
る。この状態で、環状突起１ｄはテープ巻回用壁
部２ａの内周と切欠き２ｄ以外の全周に亘つて当
接する。このため、このテープリールに磁気テー
プ３を巻いた場合、磁気テープ３の巻圧によりテ
ープ巻回用壁部２ａに内方への力が加わつても、
環状突起１ｄにより壁部２ａの倒れが防止され、
変形することはなく、磁気テープ３に第５図例の
如き片伸びは生じることはなく、磁気テープ３の
記憶、再生に影響を及ぼすことはない。

また、以上のように上フランジ１の環状突起１
ｄによりテープ巻回用壁部２ａの倒れを防止でき
ることにより、壁部２ａとリール駆動軸挿入部２
ｂとの間の強化リブ２ｃの数及び強度を低減、或
いは強化リブ２ｃを全くなくすことができる。或
いはテープ巻回用壁部２ａの肉厚を低減させるこ
とができる。これらのことは、それだけ壁部２ａ
にひけ等の成形歪みの発生が少なくなり、壁部２
ａの凹凸がなくなり、この面からも磁気テープ３
の片伸びの発生が防止される。また、切欠き２ｄ
の内方倒れを環状突起１ｄに連接される折曲部１
ｅによつて防いでいるので、テープ係止部材によ
つてテープをクランプする際に、環状突起１ｄの
エツジが保護される。

なお上述実施例の他に、上フランジ１の材料と
しては透明なGPグレードポリスチレン樹脂等が
使用出来、下フランジ２の材料としてはアクリ
ロ・ニトリルブタジエンスチレン樹脂、ハイイン
パクトのポリスチレン樹脂、ポリオキシメチレン
樹脂等が使用出来る。また、本考案は上述実施例
に限らず本考案の要旨を逸脱することなく、その
他種種の構成が取り得ることは勿論である。

〔考案の効果〕

本考案のテープリールによると、略環状突起１
ｄでテープ巻回壁部２ａの内方への倒れを防止す
ることで、テープ巻回壁部２ａひいては下フラン
ジ２が変形することはなくなり、さらにはこのこ
とから強化リブ２ｃの数及び強度、或いはテープ
巻回壁部２ａの肉厚を低減させることにより巻回
壁部２ａの成形歪みが防止出来、このリールに巻
いたテープ３の部分部な伸びがなくなり、信号の
記録・再生が円滑に行なえるものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案のテープリールの上フランジを
示した斜視図、第２図は本考案のテープリールの
断面図、第３図は従来のテープリールを示した分
解斜視図、第４図は第３図例の断面図、第５図は
テープの状態を示した説明図である。 １は上フランジ、１ｄは環状突起、２は下フラ
ンジ、２ａはテープ巻回用壁部、２ｂはリール駆
動軸挿入部、２ｃは強化リブである。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 下フランジ２に一体に所定箇所にテープ係止部
   材が嵌入される切欠部２ｄを有するハブのテープ
   巻回壁部２ａとハブのリール駆動軸挿入部２ｂと
   を別体に設けると共に、 上フランジ１の上記下フランジ対抗面に上記切
   欠部２ｄを除いて上記テープ巻回壁部２ａの内方
   への倒れを防止する略環状突起１ｄを形成すると
   共に、上記切欠部２ｄに対応する部分には、該切
   欠部２ｄの内壁の内方倒れを阻止する折曲部１ｅ
   を設けたことを特徴とるテープリール。