JPH06329630A - マレイミド系化合物の製造方法 - Google Patents

マレイミド系化合物の製造方法

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JPH06329630A
JPH06329630A JP12243493A JP12243493A JPH06329630A JP H06329630 A JPH06329630 A JP H06329630A JP 12243493 A JP12243493 A JP 12243493A JP 12243493 A JP12243493 A JP 12243493A JP H06329630 A JPH06329630 A JP H06329630A
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product
solvent
reaction
compound
aprotic polar
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Application number
JP12243493A
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English (en)
Inventor
Yasuhiro Hirano
泰弘 平野
Kazuo Takebe
和男 武部
Mitsuhiro Shibata
充弘 柴田
Shuichi Kanekawa
修一 金川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Chemical Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】ポリアミノ化合物と無水マレイン酸とを反応さ
せて得られるポリアミド酸化合物を非プロトン性極性溶
媒中で閉環させてマレイミド系化合物を製造する方法に
おいて、汎用性がありかつ簡便な工程で、残存溶媒の少
ない製品を効率良く製造できる方法の提供。 【構成】 (nは2 〜15、Ri 、Rj はハロゲン原子、C1 〜6 の
炭化水素基、a とb は0 〜4 、Xはエーテル、直結の何
れかを示し、ZはC1 〜60の有機基を示す。)で表され
るポリアミノ化合物と無水マレイン酸とを反応させて得
られたポリアミド酸化合物を、非プロトン性極性溶媒
中、酸性触媒存在下に加熱し、イミド化反応を行ない、
その後処理工程で、反応生成物中の非プロトン性極性溶
媒を減圧下に70%以上留去し、得られた生成物に炭素
数が4以下であるアルコール系溶媒を加え、40℃以上
に加熱して、残存している非プロトン性極性溶媒を該ア
ルコール系溶媒層中に抽出し、生成物と該アルコール系
溶媒層を分離する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電気、電子分野での積
層板、封止材料、絶縁材料、また繊維強化複合材料、摺
動材料、成形材料等のポリマーの中間体や原料となるマ
レイミド系化合物の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、汎用のビスマレイミド系化合物
(熱硬化性樹脂)として下記式(2)で表される 4, 4'
- ジフェニルメタンビスマレイミドが知られている(米
国特許第2444536 号、同特許第2467835 号等)。
【化2】 この化合物は耐熱性に優れることから用途開発が進めら
れている。また、4, 4'-ジフェニルメタンビスマレイミ
ドの欠点である硬化成形物の脆さ、吸湿性の高さを改良
した、主鎖骨格をジフェニルメタン以外の骨格に置き換
えた様々なマレイミド系化合物も数多く提案されている
(例えば特開昭63-162706 、特開昭60-156669 等)。
【0003】マレイミド系化合物を製造する一般的な方
法として、芳香族アミン溶液と無水マレイン酸等の酸無
水物溶液とを反応させた後、脱水剤を作用させる化学閉
環法が公知である(Org.Synth.,41,93(1961)等)。しか
しながら、この方法では製品に僅かながらも酢酸が残り
やすく、高温での硬化時の酢酸臭が問題となる。また、
反応条件により酢酸由来の不純物が生成しやすく製品純
度の低下が懸念される。このため上記の提案されたマレ
イミド系化合物は耐熱性に優れた性能を持つ反面、その
製造面において上記の公知の製造法を応用する時に化合
物の溶解性、反応性に応じて反応条件を細かく設定する
必要がある。また、酢酸由来の不純物や酢酸臭低減のた
めの操作が必要なことから酢酸による問題が起こらない
汎用的な製法の開発が求められてきたのが技術的な流れ
である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記問題に対して多く
の提案がなされている。代表的な例としては芳香族アミ
ン溶液と無水マレイン酸等の酸無水物溶液とを反応させ
た後、得られたアミド酸溶液を加熱脱水させることによ
り閉環させる方法がある(例えば、特公昭55-46394号、
特開昭60-11465号等)。これらの方法によれば、無水酢
酸を用いないので酢酸による問題は起きない。一般にこ
の反応では溶媒に溶解度の高い非プロトン性極性溶媒を
用いる。しかしながら、熱をかけると製品が高分子量化
しやすいため、反応後に高沸点の非プロトン性極性溶媒
を完全に留去させることは難しい。後処理の操作におい
て溶媒留去後、結晶化した反応混合物には多量の非プロ
トン性極性溶媒がかみ込まれていて水洗操作では完全に
除去することは困難である。
【0005】また、非プロトン性極性溶媒は溶解力が大
きいために溶媒留去後も系中に残る少量の溶媒のため反
応混合物が結晶化せず、非晶(ガラス)状態となる場合
がある。この様な時には貧溶媒を加えて結晶化させる操
作が一般的であるが、この時反応混合物が密に固化する
場合があり、スパチェラ等の棒で反応容器から取り出し
てやる必要がある。実験室レベルでは問題無いが、工業
化に際しては生産性の大幅な低下につながることにな
る。また、貧溶媒を加えても結晶化しない時には流動性
を損なわない程度に非プロトン性極性溶媒を濃縮してか
ら貧溶媒に排出する方法が一般的である。しかしながら
貧溶媒が少量であると目的物がガム状となり固化するこ
とから製品重量に対し10〜20倍程度の貧溶媒を通常用い
る。この時、多量の貧溶媒の処理や、別途大型の処理用
反応釜を必要とする等、工業的に実施するには問題があ
る。特に融点が低く結晶性の悪いマレイミド系化合物や
ノボラックベースのものでは上記問題が顕著となる。
【0006】非プロトン性溶媒は、マレイミド系化合物
と親和性が高いために製品に溶媒が残存しやすい。製品
中の残存溶媒は硬化時の成形性や硬化物の長期耐湿信頼
性、電気特性に影響を及ぼすことが懸念されることから
残存溶媒の少ない製法が求められている。
【0007】本発明の目的は上記の様な状況を鑑み、ポ
リアミノ化合物と無水マレイン酸とを反応させて得られ
るポリアミド酸化合物を非プロトン性極性溶媒中で閉環
させてマレイミド系化合物を製造する方法において、汎
用性がありかつ簡便な工程で、残存溶媒の少ない製品を
効率良く製造できる方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記目的を
解決するため鋭意検討を重ねた結果、本発明に到達し
た。すなわち、本発明は次のとおりである。 (1)下記一般式(1)
【化3】 (式中、nは2 以上15以下の数字を示し、Ri 、Rj
それぞれハロゲン原子、炭素数1 〜6 の炭化水素基、ま
たは炭素数1 〜6 の含ハロゲン炭化水素基を表す。a と
b は0 以上4 以下の数字を表し、a +b ≦4 を満たす。
Xはエーテル、直結の何れかを示し、Zは炭素数1 以上
60以下の有機基を示す。)で表されるポリアミノ化合物
と無水マレイン酸とを反応させて得られたポリアミド酸
化合物を、非プロトン性極性溶媒中、酸性触媒存在下に
加熱し、脱水閉環反応によるイミド化反応を行ない、次
いで後処理工程を経てマレイミド系化合物を得る製造方
法において、その後処理工程で、イミド化反応を終了し
た反応生成物中の非プロトン性極性溶媒を減圧下に70
%以上留去し、得られる生成物に炭素数が4以下である
アルコール系溶媒を加え、40℃以上に加熱して、残存
している非プロトン性極性溶媒を該アルコール系溶媒層
中に抽出し、生成物と該アルコール系溶媒層を分離する
ことを特徴とするマレイミド系化合物の製造方法。 (2)上記(1)の製造方法において、その後処理工程
で生成物と該アルコール系溶媒層を分離して得られる生
成物を、炭素数が3以上であるエーテル系溶媒に溶解ま
たは懸濁分散させ、得られる混合液に炭素数3以下のア
ルコール系溶媒を接触させて生成物の固体が分散した混
合液を得、次いで生成物を分離することを特徴とするマ
レイミド系化合物の製造方法。
【0009】一般式(1)において、Ri およびRj
ハロゲン原子としてはフッ素、塩素、臭素、ヨウ素等の
ハロゲン原子;炭素数1〜6の炭化水素基としてはメチ
ル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、
シクロペンチル、シクロヘキシル、フェニル等の各基が
あげられる。また、Xはエーテル、直結の何れかであ
り、Zは炭素数1以上60以下の有機基を示す。
【0010】一般式(1)で表されるポリアミノ化合物
を具体的に例示すると、アニリンノボラック、ビス〔4
−(4 −アミノフェノキシ)フェニル〕メンタン、ビス
〔2−(4 −アミノフェノキシ)フェニル〕メンタン、
1−〔2 −(4 −アミノフェノキシ)フェニル〕−8 −
〔4 −(4 −アミノフェノキシ)フェニル〕メンタン、
ビス〔4 −(3 −アミノフェノキシ)フェニル〕メンタ
ン、ビス〔2 −(3 −アミノフェノキシ)フェニル〕メ
ンタン、 1−〔2 −(3 −アミノフェノキシ)フェニ
ル〕−8 −〔4 −(3 −アミノフェノキシ)フェニル〕
メンタン、ビス〔4 −(4 −アミノフェノキシ)−3, 5
−ジメチルフェニル〕メンタン、ビス〔4−(4 −アミ
ノフェノキシ)−3 −ブチル−6 −メチルフェニル〕メ
ンタン、ビス〔4 −(4 −アミノ−5 −メチルフェノキ
シ)−3 −メチルフェニル〕メンタン、ビス〔4 −(4
−アミノ−5 −メチルフェノキシ)−3, 5−ジメチルフ
ェニル〕メンタン、ビス〔4 −(4 −アミノ−5 −メチ
ルフェノキシ)−3 −ブチル−6 −メチルフェニル〕メ
ンタン、ビス〔2 −(4 −アミノフェノキシ)−3 −メ
チルフェニル〕メンタン、 1−〔2 −(4 −アミノフェ
ノキシ)−3 −メチルフェニル〕−8 −〔4 −(4 −ア
ミノフェノキシ)−3 −メチルフェニル〕メンタン、
【0011】ビス〔4 −(4 −アミノフェノキシ)フェ
ニル〕ジシクロペンタン、ビス〔2−(4 −アミノフェ
ノキシ)フェニル〕ジシクロペンタン、〔2 −(4 −ア
ミノフェノキシ)フェニル〕−〔4 −(4 −アミノフェ
ノキシ)フェニル〕ジシクロペンタン、ビス〔4 −(3
−アミノフェノキシ)フェニル〕ジシクロペンタン、ビ
ス〔2 −(3 −アミノフェノキシ)フェニル〕ジシクロ
ペンタン、〔2 −(3−アミノフェノキシ)フェニル〕
−〔4 −(3 −アミノフェノキシ)フェニル〕ジシクロ
ペンタン、ビス〔4 −(4 −アミノフェノキシ)−3 −
メチルフェニル)ジシクロペンタン、ビス〔4 −(4 −
アミノフェノキシ)−3, 5−ジメチルフェニル〕ジシク
ロペンタン、ビス〔4 −(4 −アミノフェノキシ)−3
−ブチル−6 −メチルフェニル〕ジシクロペンタン、ビ
ス〔4 −(4 −アミノ−5 −メチルフェノキシ)−3 −
メチルフェニル〕ジシクロペンタン、ビス〔4 −(4 −
アミノ−5 −メチルフェノキシ)−3, 5−ジメチルフェ
ニル〕ジシクロペンタン、ビス〔4 −(4 −アミノ−5
−メチルフェノキシ)−3 −ブチル−6 −メチルフェニ
ル〕ジシクロペンタン、ビス〔2 −(4 −アミノフェノ
キシ)−3 −メチルフェニル〕ジシクロペンタン、〔2
−(4 −アミノフェノキシ)−3 −メチルフェニル〕−
〔4 −(4 −アミノフェノキシ)−3 −メチルフェニ
ル〕ジシクロペンタン等が例示される。
【0012】本発明のマレイミド系化合物の製造方法
は、第一段階でポリアミノ化合物と無水マレイン酸とを
反応させて、ポリアミド酸化合物を調製し、次いで第二
段階で閉環反応を行い対応するマレイミド系化合物を得
るものである。一例としてポリアミノ化合物にアニリン
ノボラックを選び、第一段階と第二段階の工程を反応式
で例示すると以下の通りとなる。 〔第一段階の反応〕
【化4】 〔第二段階の反応〕
【化5】
【0013】第一段階のポリアミド酸化合物の調製方法
は、無水マレイン酸とポリアミノ化合物を有機性溶媒中
で接触させる方法をとる。この時、無水マレイン酸はポ
リアミノ化合物のアミノ基1当量に対し1〜1.5倍当
量を用いることが好ましい。1倍当量より少ないとアミ
ド酸とならないアミノ基が残存し、1.5倍より多く使
用しても特に多く用いたことによる利点は無く、逆に製
品中に未反応無水マレイン酸類が混入するので好ましく
ない。添加方法は無水マレイン酸の有機性溶液にポリア
ミノ化合物の溶液を連続して仕込んでも分割して仕込ん
でもどちらでも良い。添加に要する時間は副反応が顕著
にならない範囲であれば特に制限は無いが、通常 0.5〜
6 時間程度である。反応温度は−20〜100 ℃の範囲で行
われ、好ましくは室温〜60℃の範囲である。温度が低す
ぎると反応の進行が遅く、高すぎるとポリマー等の副生
成物により目的物の純度が下がる。
【0014】通常一般的に用いられる溶媒は、ポリアミ
ド酸化合物を単離する場合には、アセトン、メチルエチ
ルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、アセ
トニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル類、テトラヒ
ドロフラン、ジオキサン、ジエチルエーテル等のエーテ
ル類が一般的である。これらの中でもアセトンが好まし
い。
【0015】ポリアミド酸化合物を単離しない場合に
は、後続のイミド化反応に使う溶媒を用いる。具体的に
例示すると、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキ
シド、ジメチルアセトアミド、1 −メチル−2 −ピロリ
ドン、スルホラン、1,3 −ジメチル−2 −イミダゾリジ
ノン等の非プロトン性極性溶媒類、ヘキサン、ヘプタ
ン、デカン、シクロヘキサン等の脂肪族または脂環炭化
水素類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、1, 2
−ジクロロエタン、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化
水素等の一種もしくは二種以上の混合溶媒を用いる。
【0016】使用される溶媒の量は、無水マレイン酸と
ポリアミノ化合物との合計重量に対し、1〜10重量倍
であり、反応一回当たりの得量を考慮すると、1〜5重
量倍が好ましい。反応はポリアミノ化合物添加終了後、
0.5〜4時間程度で終了する。
【0017】第二段階では、ポリアミド酸化合物の閉環
反応によるイミド化反応を行い、マレイミド系化合物を
製造する。
【0018】この反応に使用する非プロトン性極性溶媒
としては、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシ
ド、ジメチルアセトアミド、1 −メチル−2 −ピロリド
ン、スルホラン、1,3 −ジメチル−2 −イミダゾリジノ
ン等の含酸素、含窒素溶媒およびこれらの混合物が用い
られる。イミド化反応時に脱水閉環が起こるため水が生
成する。系外にこの水を出すために、水と共沸するヘキ
サン、ヘプタン、デカン、シクロヘキサン等の脂肪族ま
たは脂環炭化水素類、トルエン、キシレン等の芳香族炭
化水素類、1, 2−ジクロロエタン、クロロベンゼン等の
ハロゲン化炭化水素類等の一種もしくは二種以上の混合
溶媒を加えて共沸脱水を行なう手法を併用するのが一般
的な方法である。
【0019】これらの溶媒の使用量は、原料に対し1か
ら20重量倍、好ましくは2から10重量倍の溶媒を用
いる。ポリアミド酸化合物の閉環に用いる酸性触媒とし
ては、硫酸、塩酸、リン酸、ポリリン酸等の鉱酸類、p
−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸等の有機スル
ホン酸類、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸等のハロ
ゲン化カルボン酸類、カチオン型イオン交換樹脂類、リ
ンタングステン酸、リンモリブデン酸等のヘテロポリ酸
類、シリカアルミナ等の固体酸が例示でき、なかでも硫
酸、p −トルエンスルホン酸、スルホン酸型イオン交換
樹脂が好ましい。これらの酸は活性炭、シリカゲル、シ
リカアルミナ、無機塩類に担持して使用しても良く、原
料ポリアミノ化合物との塩の形で使用しても良い。
【0020】これらの酸性触媒の使用量は種類により左
右されるが、原料のポリアミノ化合物と無水マレイン酸
の合計重量に対し、均一系(濾過により触媒を分離でき
ない系)ならば0.1から10重量%であり、不均一系
(濾過により触媒を分離できる系)ならば5から100
重量%が使用される。使用量が上記範囲より小さいと所
望の触媒効果が得られず、上記範囲より多く使用しても
一定以上の成果が得られず、逆に触媒の分離除去操作が
煩雑となる。不均一系の触媒はそのまま、もしくは触媒
の特性に応じて公知の再生処理を施した後に再使用する
ことができる。
【0021】反応温度は目的とするマレイミド系化合物
の性質によっても異なるが、還流下に通常80から16
0℃、好ましくは100から150℃である。反応時間
は0.5から20時間、特に2から15時間である。反
応は常圧、減圧、加圧のいずれでも良く、溶媒の種類、
必要とされる温度等により適宜決定される。
【0022】反応中は閉環により生じた水をDean−Star
k 共沸脱水管等の装置を用いて系外へ分離除去しながら
行う。イミド化反応後、後処理工程において、減圧下に
反応生成物から共沸用溶媒、続いて非プロトン性極性溶
媒を留去する。反応は溶媒を留去しながら進めても良
い。この時溶媒は70%以上留去することが良く、80
%以上留去することが好ましい。溶媒の留去率が大きい
程、生成物中の残存非プロトン性極性溶媒を後述のアル
コール系溶媒で抽出した液からその非プロトン性極性溶
媒を蒸留分離する場合にその操作の負荷が軽減して経済
的である。また、70%より留去率が小さいと後述のア
ルコール系溶媒による抽出時に製品が抽出溶媒に溶け易
くなり製品の回収率が減少するので好ましくない。
【0023】得られた生成物にメタノール、エタノー
ル、1 −プロパノール、2 −プロパノール、1 −ブタノ
ール、2 −ブタノール等の炭素数4以下であるアルコー
ル系溶媒を加え、40から150℃までの温度で加熱、
撹拌して残存している非プロトン性極性溶媒を該アルコ
ール系溶媒層中に抽出する。40℃未満では抽出効果が
薄く、抽出操作を40℃以上の場合に比べて多数回繰り
返して行う必要があり経済的に不利である。また、15
0℃より高い温度で行なうと熱硬化性である製品が変質
する恐れがあり好ましくない。この操作は減圧、常圧、
加圧下のいずれで行っても良い。使用するアルコール系
溶媒の量は生成物に対し、0.1から10重量倍、好ま
しくは0.5から3重量倍を用いる。
【0024】次にアルコール系溶媒層と生成物からなる
系から両者を分離する。その方法としては、例えば、そ
の系を70℃以下、好ましくは40℃以下に冷却してか
ら、上澄み液を抜き取る。抜き取り前に生成物が十分沈
澱する様、静置することが好ましい。また、連続的に抽
出操作を行う場合には40℃以上の温度で抽出液を系外
に分離しながら、その量に見合うだけのアルコール系溶
媒を追加していけば良い。この操作を1回行うか、また
は繰り返すことで製品中に含まれる非プロトン性極性溶
媒の量を製品に対し0.5重量%以下に低減することが
できる。
【0025】イミド化反応後の上記の後処理操作によっ
て、生成物が固化した場合や、アルコール系溶媒による
処理操作後、生成物が分散性の良い結晶状態を取らず反
応釜から容易に取り出せない場合は、その生成物に対
し、その重量の0.1から4重量倍、好ましくは0.5
から2重量倍の炭素数が3以上であるエーテル系溶媒を
加え、溶解もしくは懸濁、分散させ、得られた混合液に
生成物の重量に対し1から4重量倍の炭素数3以下のア
ルコール系溶媒を接触させて生成物の固体が分散した混
合液を得、次いで生成物を分離する操作で粉体状の製品
を得ることが可能であり、かつ製品中に含まれる非プロ
トン性極性溶媒の量を製品に対し0.5重量%以下に低
減することができる。
【0026】ここで使用されるエーテル系溶媒として
は、ジエチルエーテル、メチル−t −ブチルエーテル等
の鎖状エーテル類、テトラヒドロフラン、1, 4−ジオキ
サン等の環状エーテル類、メチルセロソルブ、エチルセ
ロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチル
エーテル等のグリコール系エーテル類があげられるが、
製品が均一に分散することからメチルセロソルブ、プロ
ピレングリコールモノメチルエーテル等が好ましい。
【0027】上記操作で、生成物の固体が分散した混合
液から生成物を分離する方法は一般に濾過で行なわれ
る。濾過後、生成物を2 −プロパノール、メタノール等
で洗浄し、減圧下に加温して乾燥させる。取扱い中、発
火等の危険性がある場合にはアルコール分を水で置換し
てから乾燥させても良い。本発明の効果は、融点が 150
℃以下のマレイミド系化合物を製造する場合に顕著に発
揮される。
【0028】
【実施例】以下に本発明の実施例を示すが、本発明はこ
れらに限定されるものではない。
【0029】実施例1 (ポリマレイミドの合成)5リットル四ツ口フラスコに
無水マレイン酸359.5 g とトルエン1795 gを仕込み、窒
素気流下撹拌して溶解させた。アニリンノボラック(ア
ニリンとホルマリンの縮合物である。4, 4' −ジアミノ
ジフェニルメタンを75%、オリゴマー成分を25%含
む。)314.6 g を N−メチル−2 −ピロリドン(以下、
NMPと略。) 314.6 gとトルエン 945 gに溶かした液
を室温から35℃、2 時間で滴下した。35℃で2 時間反応
を続けアミド化反応を完結させた。続いてp −トルエン
スルホン酸一水和物 29.0 g を加え、常圧下、110 から
120 ℃で脱水閉環反応(イミド化反応)を行った。生成
した水を、Dean−Stark 共沸脱水装置を用いて系外に分
離しながら反応を進めた。反応は12時間で終了した。
【0030】次に減圧下に反応生成物からトルエン、続
いてNMPを合計91%回収した。この時得られた粗生成
物は樹脂状であった。これにエタノール 674 gを加え、
加熱還流条件下に撹拌した。室温まで冷却後、樹脂状の
生成物からエタノール層をデカンテーションで分離し
た。この操作を二回繰り返した。続いて生成物にプロピ
レングリコールモノメチルエーテル 674 gを加えて60℃
に加熱し、懸濁分散させた液を冷却してから2 −プロパ
ノール 1685 g に排出し、得られた結晶を遠心分離濾過
器にかけて濾取した。これをメタノールで洗浄して減圧
下に乾燥し、淡黄色結晶を収量 498 g(収率91.2%)で
得た。この製品中の残存NMPの含量はガスクロマトグ
ラフィー(島津製作所製GC−7A使用、以下GCと
略。)により定量した結果、乾燥製品換算でNMPの含
量は0.1 重量%以下となった。ゲルパーミエーションク
ロマトグラフィー(以下GPCと略。)から、目的物は
n=0の4, 4' −ジフェニルメタンビスマレイミドを70
%、n≧1のビスマレイミドのオリゴマー成分を30%を
含み、赤外吸収スペクトルで1700〜1720cm-1にイミド基
による吸収を示した。このものの融点は80〜95℃であっ
た。なお、オリゴマー成分は、熱硬化性樹脂として有効
に働くので、通常は分離する必要がない(後述の実施例
の場合も同じ)。
【0031】実施例2 (N, N' −ビス(4-アミノフェノキシフェニル)メンタ
ンビスマレイミドの合成)5リットル四ツ口フラスコに
無水マレイン酸 237.3 gとクロロベンゼン 2373g を仕
込み、窒素気流下撹拌して溶解させた。ビス(4 −ニト
ロフェノキシフェニル)メンタンのDMAc溶液(濃度
を34.3重量%に調整。)1625.1 gを滴下ロートを用いて
フラスコに25±5 ℃で2 時間かけて滴下した。35℃で2
時間反応を続けアミド酸化反応を完結させた。続いてp
−トルエンスルホン酸一水和物 10.46 gを加え、常圧
下、130 から140 ℃で脱水閉環反応(イミド化反応)を
行った。生成した水を、Dean−Stark 共沸脱水装置を用
いて系外に分離しながら反応を進めた。反応は5 時間で
終了した。
【0032】次に減圧下に反応生成物からクロロベンゼ
ン、続いてDMAcを合計91%回収した。この時得られ
た粗生成物は樹脂状であった。これにエタノール 674 g
を加え、60℃で30分撹拌した。室温まで冷却後、樹脂状
の生成物からエタノール層をデカンテーションで分離し
た。続いて生成物にプロピレングリコールモノメチルエ
ーテル 674 gを加えて60℃に加熱し、溶解させた液を冷
却してから2 −プロパノール 1685 g に排出し、得られ
た結晶を濾取した。これを2 −プロパノール、続いてメ
タノールで洗浄して減圧下に乾燥し、淡黄色結晶を収量
648 g(収率88.4%)で得た。GPCから、N, N' −ビ
ス(4-アミノフェノキシフェニル)メンタンビスマレイ
ミドが82%、ビスマレイミドのオリゴマー成分が18%含
まれていた。この製品中の残存DMAcの含量はGCに
より定量した結果、乾燥製品換算で0.1 重量%以下とな
った。 ・質量スペクトル M+ =666 ・融点 96 〜98℃ ・ 1H-NMR スペクトル δ:0.6 〜2.1ppm(m 、脂肪
族)、2.8 ppm (m 、メチン)、6.8 ppm (s 、イミド
基)、6.9 〜7.4ppm(m 、芳香族) ・赤外吸収スペクトル:1238cm-1(エーテル結合)、17
12cm-1(イミド結合)
【0033】
【比較例】
比較例1 (ポリマレイミドの合成)実施例1と同様にしてアミド
化反応およびイミド化反応を行なった。次に減圧下にそ
の反応生成物からトルエン、続いてNMPを合計80%回
収した。この時得られた粗生成物は室温で流動性のある
樹脂状であった。これを水5000 g中に排出し、激しく撹
拌して結晶化させた。得られた結晶を遠心分離濾過器に
かけて濾取した。製品中の残存NMPの含量を0.5 重量
%以下に低減させるためには結晶を水5000 gで7回撹拌
洗浄する必要があった。
【0034】比較例2 (ポリマレイミドの合成)実施例1と同様にしてアミド
化反応およびイミド化反応を行った。次に減圧下にその
反応生成物からトルエン、続いてNMPを合計90%回収
した。この時得られた粗生成物は樹脂状であった。粗生
成物にアセトン 674 gを加えて分散させた。これを水30
00 gに排出し、激しく撹拌して結晶化させた。得られた
結晶を遠心分離濾過器にかけて濾取した。製品のNMP
の含量を0.5 重量%以下に低減させるためには結晶を水
3000 gで3回撹拌洗浄する必要があった。
【0035】比較例3 (ポリマレイミドの合成)実施例1と同様にしてアミド
化反応およびイミド化反応を行った。次に減圧下にその
反応生成物からトルエン、続いてNMPを合計90%回収
した。この時得られた粗生成物は樹脂状であった。粗生
成物にアセトン 674 gを加えて分散させた。これをメタ
ノール5000 gに排出したところ、目的物がガム状になっ
て撹拌機に絡み付き、撹拌不能となった。
【0036】比較例4 (N, N' −ビス(4-アミノフェノキシフェニル)メンタ
ンビスマレイミドの合成)実施例2と同様にしてアミド
化反応およびイミド化反応を行った。次に減圧下にその
反応生成物からクロロベンゼン、続いてDMAcを合計
70%回収した。この時得られた粗生成物は樹脂状であっ
た。これをメタノール3000 gに排出し撹拌した。メタノ
ールの量が2000 gより少ない時は目的物が撹拌機に絡み
付き、撹拌不能となった。目的物は撹拌時には分散する
が、撹拌を止めると釜底にガム状に沈澱した。上澄み液
をデカンテーションして除き、メタノール500 g を加え
て撹拌すると目的物が結晶化した。この結晶を遠心分離
濾過器にかけて濾取した。さらにメタノール 500 gで洗
浄して減圧下に乾燥したが、得られた淡黄色結晶にはD
MAcが1.2 重量%(GC法による。)含まれていた。
【0037】
【発明の効果】本発明の製造方法においては、次のよう
な利点がある。 (A)イミド化反応を終了した反応生成物中の非プロト
ン性極性溶媒を留去して得られる粗生成物の性状に関わ
らずその中に残存する高沸点の非プロトン性極性溶媒を
効率良く除去することができる。 (B)使用した触媒、溶媒、洗浄液を分離再使用できる
ため経済的に有利である。 (C)後処理工程に用いる溶媒の総量は比較的少量です
むため、反応に用いた釜容量内に抑えることができる。
このため従来必要とされた後処理工程用の大型の釜を必
要とせず、使用済溶媒の回収も短時間で済む。 (D)後処理工程で洗浄液等に水を使わないため工業排
水が発生せず、環境に対する負荷が少ない。 この様に本発明の製造方法は、マレイミド系化合物を効
率的に製造できるものであり、応用範囲も広く工業的に
優れるものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 金川 修一 茨城県つくば市北原6 住友化学工業株式 会社内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記一般式(1) 【化1】 (式中、nは2 以上15以下の数字を示し、Ri 、Rj
    それぞれハロゲン原子、炭素数1 〜6 の炭化水素基、ま
    たは炭素数1 〜6 の含ハロゲン炭化水素基を表す。a と
    b は0 以上4 以下の数字を表し、a +b ≦4 を満たす。
    Xはエーテル、直結の何れかを示し、Zは炭素数1 以上
    60以下の有機基を示す。)で表されるポリアミノ化合物
    と無水マレイン酸とを反応させて得られたポリアミド酸
    化合物を、非プロトン性極性溶媒中、酸性触媒存在下に
    加熱し、脱水閉環反応によるイミド化反応を行ない、次
    いで後処理工程を経てマレイミド系化合物を得る製造方
    法において、その後処理工程で、イミド化反応を終了し
    た反応生成物中の非プロトン性極性溶媒を減圧下に70
    %以上留去し、得られる生成物に炭素数が4以下である
    アルコール系溶媒を加え、40℃以上に加熱して、残存
    している非プロトン性極性溶媒を該アルコール系溶媒層
    中に抽出し、生成物と該アルコール系溶媒層を分離する
    ことを特徴とするマレイミド系化合物の製造方法。
  2. 【請求項2】請求項1記載の製造方法において、その後
    処理工程で生成物と該アルコール系溶媒層を分離して得
    られる生成物を、炭素数が3以上であるエーテル系溶媒
    に溶解または懸濁分散させ、得られる混合液に炭素数3
    以下のアルコール系溶媒を接触させて生成物の固体が分
    散した混合液を得、次いで生成物を分離することを特徴
    とするマレイミド系化合物の製造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011219539A (ja) * 2010-04-05 2011-11-04 Mitsui Chemicals Inc ビスイミド化合物、ビスアミド酸化合物およびそれらの製造方法
KR20110129464A (ko) * 2009-03-17 2011-12-01 헌츠만 어드밴스드 머티리얼스 아메리카스 엘엘씨 내인산성 폴리말레이미드 예비중합체 조성물

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KR20110129464A (ko) * 2009-03-17 2011-12-01 헌츠만 어드밴스드 머티리얼스 아메리카스 엘엘씨 내인산성 폴리말레이미드 예비중합체 조성물
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