JPH06329068A - カート兼用自転車 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 車体を折畳んで２輪カートとして使用し得る
カート兼用自転車を提供する。 【構成】 左右一対の前輪４を操向可能に支持する前部
車体２ｆと、ペダル駆動される後輪８を支持する後部車
体２ｒとを前後方向折畳み可能に連結し、その折畳み状
態では、左右の前輪４が接地したまゝで、後輪８が地面
から離れ、２輪カートとなる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、車体の折畳時、２輪カ
ートとして使用し得るようにした、カート兼用自転車に
関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、自転車の車体を折畳み可能に構成
することは知られているが、その折畳みの目的は、自転
車を自動車のトランク等のような狭小な場所へ容易に格
納させるためである。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】自転車を利用して買物
に出掛けた場合、一般に自転車は商店近くの駐輪場に停
めておくものであるから、商店で買った商品は手荷物と
して駐輪場まで運ばなければならないが、このような作
業は婦女子や老人にとって体力的な負担が大きく、駐輪
場が商店から遠く離れている場合や、手荷物が重い場合
には、その負担が更に増すことになる。

【０００４】本発明は、かゝる事情に鑑みてなされたも
ので、自転車の車体を折畳めば、商店内でも荷物を載せ
ながら転がせる２輪カートとして使用し得るようにし
た、カート兼用自転車を提供することを目的とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明は、操向ハンドル、この操向ハンドルに連動
する左右一対の前輪、ペダル、及びこのペダルにより駆
動される後輪を支持する車体を、前、後輪がホイールベ
ースを最大にして共に接地した自転車態様と、後輪が地
面から離れて接地状態の両前輪間に挿入されたカート態
様とに切換え得るよう、展開・折畳み可能に構成したこ
とを第１の特徴とする。

【０００６】また本発明は、上記特徴に加えて、カート
態様時、操向ハンドルの回動を阻止するハンドルロック
手段を車体及び操向ハンドル間に設けたことを第２の特
徴とする。

【０００７】

【実施例】以下、図面により本発明の一実施例について
説明する。

【０００８】先ず図１ないし図３において、カート兼用
自転車１の車体２は、操向ハンドル３及び左右一対の前
輪４，４を支持する前部車体２ｆと、サドル５、左右両
端にペダル６を備えたクランク軸７、左右一対の後輪
８，８を支持する後部車体２ｒとから構成され、両後輪
８，８は実質上、単輪として機能するよう、互いに可及
的近接して配置される。

【０００９】前、後部車体２ｆ，２ｒは、展開・折畳み
可能に連結され、その展開時には自転車態様となり、折
畳み時にはカート態様となる。

【００１０】前部車体２ｆは、ハンドルポスト９と、こ
のハンドルポスト９の上部に溶接されると共に、下端部
を互いに左右方向へ広げた左右一対の脚パイプ１０，１
０と、これら脚パイプ１０，１０をハンドルポスト９の
下部に連結するクロスパイプ１１とから構成される。左
右の脚パイプ１０，１０の各下端には、左右の前輪４，
４をそれぞれ軸支するフォーク状の前輪支持部材１２，
１２が操向可能に軸支される。またハンドルポスト９に
は、上下方向に扁平な環状の操向ハンドル３を上端に固
設した操向軸１３が回転可能に嵌合、支承され、この操
向軸１３の下端に固設されたピットマンアーム１４と、
左右の車輪支持部材１２，１２に固設されたナックルア
ーム１５，１５とがタイロッド１６，１６を介して連結
される。その際、各連結部にはボールジョイントが設け
られる。

【００１１】而して、操向ハンドル３を左右に回動すれ
ば、操向軸１３を介してピットマンアーム１４を左右に
揺動させ、続いてタイロッド１６，１６を介して左右の
ナックルアーム１５，１５を左右に揺動させて前輪４，
４を左右に転向させることができる。

【００１２】左右の脚パイプ１０，１０には、それらの
前方へ突出するキャリヤブラケット１７，１７が溶接さ
れ、これらにキャリヤ１８がピボットピン１９により連
結され、このキャリヤ１８は前部車体２ｆの前方へ張出
した使用位置（図１の鎖線位置）と前部車体２ｆの前面
に重なる不使用位置（図１の実線位置）との間を回動す
ることができる。前記キャリヤブラケット１７は、キャ
リヤ１８の下面を使用位置で支承するように断面Ｕ字状
に形成されている。

【００１３】後部車体２ｒは、互いに展開・折畳み可能
にピボット結合されるメインフレーム２０、リヤステー
２１及びボトムフレーム２２とから構成される。

【００１４】メインフレーム２０は、左右一対のメイン
パイプ２３，２３の上端を互いに接近させるように屈曲
させ、それらの間にサドルポスト２４を溶接して構成さ
れる。そしてメインパイプ２３，２３は、前記クロスパ
イプ１１に固設された左右一対の後向きブラケット２
５，２５に下端部をピボットピン２６により前後方向回
動可能に連結され、且つその後方回動角を制限するよう
に、左右一対の屈折リンク２７，２７を介して中間部を
前記脚パイプ１０，１０に連結される。

【００１５】サドルポスト２４には、サドル５を支持す
るサドルステム２８が上下調節可能に嵌合して固定され
る。またサドルステム２８は、その後端をサドル５の後
方下向きに延出させており、そこにグリップ２９が嵌装
される。

【００１６】サドルポスト２４には後方へ突出するブラ
ケット３０が固設されており、これにリヤステー２１を
構成する左右一対のステーパイプ３１，３１の上端がピ
ボットピン３２により前後方向回動可能に連結される。
これらステーパイプ３１，３１の間隔は、左右のメイン
パイプ２３，２３の間隔よりも狭く設定される。

【００１７】ボトムフレーム２２は左右一対のボトムパ
イプ３３，３３と伝動ケース３４とから構成される。両
ボトムパイプ３３，３３の前端部は、両メインパイプ２
３，２３の前端部と共に前記ブラケット２５，２５にピ
ボットピン２６により上下方向回動可能に連結される。
その際、両ボトムパイプ３３，３３は両メインパイプ３
３，３３間に配置される。

【００１８】伝動ケース３４は、前部下面と後部上面か
らそれぞれ突出するブラケット３５，３６を有し、前部
のブラケット３５には両ボトムパイプ３３，３３の後端
部がピボットピン３７により回動可能に連結され、後部
のブラケット３６には両ステーパイプ３１，３１の後端
部がピボットピン３８により回動可能に連結される。

【００１９】図４に明示するように、伝動ケース３４
は、前部のブラケット３５の前方位置で左右に張出した
支持腕３９，３９を有し、これらの下面に形成された係
合凹部４０，４０に両ボトムパイプ３３，３３の上半周
面がクッションゴム４１，４１を介して支承されるよう
になっている。

【００２０】さらに伝動ケース３４は、図１に示すよう
に後端を下方へ屈曲させた屈曲部３４ａを有し、この屈
曲部３４ａに回転自在に支承された後車軸４２の両端に
後輪８，８が固着される。

【００２１】伝動ケース３４の前部にクランク軸７が回
転自在に支承され、このクランク軸７と後車軸４２間を
連結する増速装置４３が伝動ケース３４間に収納され
る。増速装置４３は、クランク軸７にフリーホイール
（図示せず）を介して取付けられる大径のドライブスプ
ロケット４４と、伝動ケース３４の後寄り中間部に軸支
される小径のドリブンスプロケット４５と、これらスプ
ロケット４４，４５に掛渡されるチェン４６と、ドリブ
ンスプロケット４５及び後車軸４２間に構成される増速
歯車列４７とからなっている。

【００２２】而して、図１に示すように、前部車体２ｆ
に対して、屈折リンク２７が直線状に伸びきるまで後部
車体２ｒを後方へ回動させながら、メインフレーム２
０、リヤステー２１及びボトムフレーム２２が三角形を
形成するように展開させれば、車体２は、前、後輪４，
８が最大ホイールベースを保って共に接地した自転車態
様となる。したがって、これを自転車として使用するこ
とができる。このとき、ボトムパイプ３３は、伝動ケー
ス３４の支持腕３９の係合凹部４０にクッションゴム４
１を介して支承されるので、ボトムフレーム２２に加わ
る上方からの曲げ荷重をクッションゴム４１で緩和する
と共に、ボトムパイプ３３及び伝動ケース３４の連結剛
性を高めることができる。

【００２３】次にボトムパイプ３３及び伝動ケース３４
をそれぞれのピボットピン２６，３８を軸として上方へ
回動しながら屈折リンク２７を折ってメインフレーム２
０及びリヤステー２１を前方へ、即ち前部車体２ｆに向
って回動させると、図５に示すように車体２は前後方向
に折畳まれ、カート態様となる。そして折畳まれた車体
２はバンド４８により固縛される。

【００２４】このようなカート態様時には、ボトムパイ
プ３３及び伝動ケース３４の長さやその両者を連結する
ピボットピン３７の位置の選定により、後輪８，８は、
地面から離れつゝ、接地状態の左右の前輪４，４間への
挿入位置を占めるようになっている。同時に操向ハンド
ル３の環状部内にはサドル５の前部が納まるようになっ
ている。

【００２５】また同カート態様時、操向ハンドル３の回
動を阻止するためのハンドルロック手段４９が車体２と
操向ハンドル３との間に設けられる。このハンドルロッ
ク手段４９は、操向ハンドル３のボス３ａの後面に突設
されて後方へ開放したロック溝５０を画成する左右一対
の突起５１，５１と、上記ロック溝５０に係合可能にサ
ドルポスト２４外周に固着された前記ブラケット３０と
から構成される。

【００２６】次にこの実施例の作用について説明する。

【００２７】車体２を図１に示す自転車態様に展開すれ
ば、カート兼用自転車１は自転車として使用し得るの
で、これを利用して例えば買物に出掛けることができ
る。

【００２８】また車体２を図５に示すカート態様に折畳
めば、後輪８，８は地面から離れて、接地状態の両前輪
４，４間への挿入位置に保たれるので、カート兼用自転
車１は２輪カートとなる。そこで使用者はグリップ２９
を握って、このカートを引き回すことができる。その
際、特に地面から離れた後輪８は、カートの移動に伴い
地面側から駆動されることもないから、ペダル６も回転
せず、したがってペダル６に邪魔されずにカートを前後
方向自由に動かすことができる。

【００２９】また、これと同時に、操向ハンドル３はハ
ンドルロック手段４９により固定されるので、前輪４，
４のぐらつきを防止して、２輪カートの移動方向を安定
させることができる。

【００３０】そこで、例えば買物先の店内では、カート
兼用自転車を２輪カートに切換え、キャリヤ１８を前方
へ張出しておけば、購入した商品をキャリヤ１８に載せ
ながら店内を軽快に移動することができる。そして、店
外へ出てからは、キャリヤ１８に荷物を載せたまゝ、再
び車体２を自動車態様に展開させれば、その荷物を自転
車で自宅へ運ぶことができる。

【００３１】上記実施例においては、本発明の要旨を逸
脱することなく種々の設計変更が可能である。例えば、
後輪８を単輪とすることができる。また操向ハンドル３
には、カート態様時に用いるグリップに兼用し得る形状
を与えることもできる。またキャリヤ１８は、籠型に形
成してもよく、更に不使用時、車体２から外しておける
よう、着脱式に構成することも可能である。

【００３２】

【発明の効果】以上のように本発明の第１の特徴によれ
ば、操向ハンドル、この操向ハンドルに連動する左右一
対の前輪、ペダル、及びこのペダルにより駆動される後
輪を支持する車体を、前、後輪がホイールベースを最大
にして共に接地した自転車態様と、後輪が地面から離れ
て接地状態の両前輪間に挿入されたカート態様とに切換
え得るよう、展開・折畳み可能に構成した１台の車両を
自転車と２輪カートとに兼用させることができ、特に２
輪カートとして使用する際には、ペダルに連動する後輪
を地面から離してその回転を防止するようにしたので、
ペダルに邪魔されることなく２輪カートを前後方向自由
に動かすことができる。そして、これを買物に利用すれ
ば、荷物を手で持ち運ぶ負担から解放され、のみなら
ず、買物先で駐輪させておく必要がないから、駐輪場の
確保に苦慮することもなくなる。

【００３３】また本発明の第２の特徴によれば、カート
態様時、操向ハンドルの回動を阻止するハンドルロック
手段を車体及び操向ハンドル間に設けたので、２輪カー
トとして使用する際、左右の車輪のぐらつきを防止して
カートの操作を的確に行うことができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例であるカート兼用自転車の、
自転車態様での側面図

【図２】図１の２−２線断面図

【図３】図１の３矢視図

【図４】図１の４−４線断面図

【図５】上記カート兼用自転車の、カート態様での一部
破断側面図

【図６】図５の６−６線断面図

【符号の説明】

１ カート兼用自転車 ２ 車体 ２ｆ 前部車体 ２ｒ 後部車体 ３ 操向ハンドル ４ 前輪 ５ サドル ６ ペダル ８ 後輪 １８ キャリヤ ２０ メインフレーム ２１ リヤステー ２２ ボトムフレーム ３４ 伝動ケース ４９ ハンドルロック手段

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 操向ハンドル（３）、この操向ハンドル
   （３）に連動する左右一対の前輪（４）、ペダル
   （６）、及びこのペダル（６）により駆動される後輪
   （８）を支持する車体（２）を、前、後輪（４，８）が
   ホイールベースを最大にして共に接地した自転車態様
   と、後輪（８）が地面から離れて接地状態の両前輪
   （４）間に挿入されたカート態様とに切換え得るよう、
   展開・折畳み可能に構成したことを特徴とする、カート
   兼用自転車。
2. 【請求項２】 請求項１記載のものにおいて、カート態
   様時、操向ハンドル（３）の回動を阻止するハンドルロ
   ック手段（４９）を車体（２）及び操向ハンドル（３）
   間に設けたことを特徴とする、カート兼用自転車。