JP3643819B2 - 折り畳み自転車 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、折り畳み自転車に関し、特に折り畳んでショッピングカート、ベビーカートなどのカートとして利用可能な多機能・多目的型の折り畳み自転車に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、収納に便利で、車中での可搬性に優れた様々なタイプの折り畳み自転車がある。たとえば、特開2001−334979公報には、フレームを略三角形状とし、かつ上下方向の折り畳み構造とすることで、コンパクトで、走行時のフレーム強度を高くした折り畳み自転車に関する発明が開示されている。
【0003】
このように折り畳み自転車は、収納が便利であることのみならず、遠い地域まで自動車や電車などの交通手段を使って移動し、その移動先で小回りの効く移動手段として利用できるなど、一般の自転車では到底困難であった様々な形態での利用が可能となる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、折り畳み自転車には、次のような不便があった。
出先での置き場所に気を使う。すなわち、可搬性の良さ故に盗難に合う危険度が一般の自転車よりも高い。また、店内などを持ち歩くわけにもゆかず、日々の買い物のための移動手段には不向きな面がある。
【0005】
また、折り畳み自転車は、一般に大きな荷を載せて運ぶ場合を考慮して設計されていない。しかし、日常的に使用する自転車ならば、ある程度の大きさ荷物や幼児などを載せられることが望ましい。このような要望に応じた折り畳み自転車はこれまで無かった。
【0006】
この発明は、このような課題を解決すべく、通常の自転車としての乗車走行はもちろん、そのまま折り畳んで自立型カートとして利用することのできる多機能・多目的型の折り畳み自転車を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
このような目的を達成するために、本発明の折り畳み自転車は、前後合わせて少なくとも3つの前輪および後輪を有する走行手段と、前記前輪および前記後輪をそれぞれ支承するとともに、前記前輪および前記後輪による自立状態を維持しつつ前記前輪と前記後輪との間の距離を伸縮可能な折り畳み構造を有する車体部と、前記車体部の伸縮各々の状態をロックするロック手段と、前記車体部に装着された荷台とを具備し、前記車体部を伸長状態でロックしたとき乗車走行可能な形態となり、前記車体部を圧縮状態でロックしたとき前記荷台を活用した自立型カートとして手押し走行可能な形態を形成するように構成されたものである。
【0008】
この発明は、このような構成を有することによって、通常の自転車としての乗車走行はもちろん、そのまま折り畳んで自立型カートとして利用することができ、たとえばショッピングの際には、店まで通常の自転車として利用し、店内ではカートとして利用できるなど、オールラウンドな利用が可能になる。
【0009】
ここで、走行手段は複数の前輪と1つの後輪とを有するものであってよい。このように構成したことで、折り畳んでカートとして利用する際に、走行時および停止時ともに安定した自立状態が確保される。特に荷台を車体部の前の部分に装着した場合の安定性が増すとともに、後輪が両足の間に位置することになるので、自然に歩行を行うことができる。
【0010】
また、荷台は車体部に着脱自在なものであってもよい。これにより様々な目的・機能のカートを実現できるとともに、荷台を単体で使用することができるようになる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
図1は、本発明の実施の一形態である折り畳み自転車を示す斜視図、図2はこの折り畳み自転車の側面図、図3はこの折り畳み自転車の正面図である。
【0012】
これらの図に示すように、この折り畳み自転車100には、ヘッドパイプ1、トップフレーム2、トップステー3、ダウンフレーム4、左右2本のチェーンステー5,5、左右2本のシートステー6,6、シートパイプ7などで構成された折り畳み自在な車体部と、サドル8とこのサドル8を上端に固定しかつシートパイプ7に支持されたサドルパイプ9などで構成される座部と、左右2つの前輪10a、10bと1つの後輪11とで構成される走行手段と、ハンドル12、ハンドルポスト13などで構成される走行方向を操作する操舵手段と、左右のクランク15およびペダル16の駆動力をチェーンホイール17、チェーン18、フリーホイールなどを介して後輪11に伝達する駆動手段なとで構成される。
【0013】
ヘッドパイプ1の上部には、ハンドルポスト13がハンドル操舵の際に同軸で回動し得るように連結されている。ヘッドパイプ1の下部には前フォーク19がハンドルポスト13と一体に回動自在に連結されている。この前フォーク19は下部が二股に分かれており、この二股に分かれた先の部位はさらに二股状に分かれ、左右各々の前輪10a、10bを支軸、フロントハブなどを介して回転自在に保持する左右前フォーク19a,19bを構成している。また、左右のチェーンステー5,5の後端部には、後輪11が支軸、リアハブ、フリーホイールなどを介して回転自在に保持されている。
【0014】
図4に、本実施形態の折り畳み自転車100の折り畳み自在な車体部におけるヘッドパイプ1とトップフレーム2との連結構造の詳細を示す。
【0015】
同図に示すように、ヘッドパイプ1には第1リブ20がたとえば溶接などによって突出して設けられている。トップフレーム2の前端部には第1リブ20を左右両側より挟み込む切り欠き部21が設けられている。そして第1リブ20とトップフレーム2の切り欠き部21とは枢支軸22によって互いに回転自在に連結されている。これによりヘッドパイプ1に対してトップフレーム2が枢支軸22を支点に回動し得るようになっている。
【0016】
図4は、本実施形態の折り畳み自転車100の乗車走行時のヘッドパイプ1とトップフレーム2との連結の様子を示しており、この時、トップフレーム2の前端部に溶接などにより延設された固定用のロック部23が第1リブ20と嵌合し、ロック部23に設けられたロック穴24と、第1リブ20に設けられた点線で図示するネジ溝付きのロック穴25とが直線的に連続するように重なり合う。この連続した2つのロック穴24,25に付属のロックネジ26を挿入しネジ止めすることによって、第1リブ20にトップフレーム2の前端部が固定され、乗車走行時のヘッドパイプ1とトップフレーム2との所定の連結形態が維持されるようになっている。
【0017】
図5は、本実施形態の折り畳み自転車100の折り畳み自在な車体部におけるトップフレーム2、トップステー3およびダウンフレーム4の連結構造の詳細図であり、乗車走行時の連結の様子を示している。
【0018】
同図に示すように、トップフレーム2の後端部には連結用の第2リブ27が溶接などによって延設されている。ダウンフレーム4の前端部には第2リブ27を左右両側より挟み込む切り欠き部28が設けられている。第2リブ27とダウンフレーム4の切り欠き部28とは枢支軸29によって互いに回転自在に連結されている。これによりトップフレーム2に対してダウンフレーム4が枢支軸29を支点に回動し得るようになっている。
【0019】
さらに、トップステー3の前端部には、トップフレーム2の後端部およびダウンフレーム4を共に左右両側より挟み込む切り欠き部30が設けられている。トップフレーム2の後端部とトップステー3の切り欠き部30とは枢支軸31によって互いに回転自在に連結されている。これによりトップフレーム2の後端部に対してトップステー3が枢支軸31を支点に回動し得るようになっている。
【0020】
この実施形態の折り畳み自転車100は、少なくとも上記2つの回動自在な連結構造により、図6および図7に示すように、車体部全体の走行方向の長さ(前輪10a,10bと後輪11との距離)を縮めるように折り畳んだり、逆に、折り畳んだ状態から元の乗車走行が可能な伸長状態に戻すことができる。
【0021】
すなわち、図6は折り畳み途中の状態を示しており、図4に示したロックネジ26をロック穴24,25から外すことでトップフレーム2の回動がフリーになる。そこで前後から車体を圧縮するように力を加えれば、トップフレーム2がその後部を頭にして枢支軸22を支点に起き上がる方向に回動するとともに、図5に示したトップフレーム2とトップステー3とダウンフレーム4との回動自在な連結構造により、ダウンフレーム4が枢支軸29を支点にトップフレーム2の回転方向と逆方向に回動する。この結果、図7に示すように、ヘッドパイプ1、トップフレーム2およびダウンフレーム4が互いにほぼ平行に揃って重なり合い、コンパクトな折り畳み状態になる。また、サドルパイプ9とシートパイプ7とは、たとえばヒンジ機構32などによって連結されており、折り畳み状態においてサドルパイプ9をヒンジ機構32により前方に傾けることで全長をより短くすることができる。
【0022】
なお、このサドルパイプ9をヒンジ機構32により前方に傾けるのではなく、シートパイプ7内に挿入、収容するようにしてもよい。
【0023】
図8に、本実施形態の折り畳み自転車100の折り畳み時のヘッドパイプ1とトップフレーム2との連結の様子を示す。
【0024】
このとき、トップフレーム2の前端部に延設されたロック部23が、ダウンフレーム4を左右両側から挟み込んだ状態となる。ロック部23に設けられたロック穴24とダウンフレーム4に設けられたネジ溝付きのロック穴33とが直線的に連続するように重なり合う。この連続した2つのロック穴24,33に付属のロックネジ26を挿入しネジ止めすることによって、ロック部23にダウンフレーム4が固定され、前記のコンパクトな折り畳み形態が固定されるようになっている。
【0025】
さて、本実施形態の折り畳み自転車100は、通常の自転車として乗車走行が可能な伸長形態から、そのまま前輪10a、10bと後輪11とを接近させて全長を圧縮した形態に折り畳むことができ、またその逆も可能である。折り畳み状態では、乗車はできないにしても、左右二つの前輪10a、10bと後輪11との3点で自立し、そのまま手押しで安定して走行させることができるとともに、ハンドル12、ハンドルポスト13などで構成される操舵装置は折り畳み形態でもそのまま有効に機能する。
【0026】
したがって、本実施形態の折り畳み自転車100は、折り畳んだ圧縮形態でショッピングカート、ベビーカートなどのカートとして利用できる。
【0027】
図9および図10に、この実施形態の折り畳み自転車100を折り畳んでベビーカートとして利用する場合の例を示す。
【0028】
荷台である小児用補助席35はヘッドパイプ1などの車体部に取り付け金具36により着脱自在に装着されている。この場合、前方に左右二つの前輪10a、10bがあるので、走行時、停止時ともに安定した自立状態が確保される。
【0029】
利用者37は、後ろからハンドル12を掴んで運転を行うことになるが、この際、後輪11が両足の間に位置することになるので、自然に歩行を行うことができる。また、ハンドルポスト13が前方に傾けることができるので、ハンドルポスト13が運転の邪魔になることがない。
【0030】
小児用補助席35は着脱自在型でも固定型でもよく、着脱自在型とすれば、別の荷台を設けることも可能である。
たとえば図11に示すように、小児用補助席35に代えて車体部にショッピング用のカゴ38を取り付けることで、折り畳んでショッピングカートとして利用することができる。その他、様々な目的の荷台を取り付けることが可能である。
【0031】
また、図12に示すように、小児用補助席35は、この実施形態の折り畳み自転車100から取り外して単体で使用することもできる。
【0032】
以上のように、この実施形態の折り畳み自転車100によれば、通常の乗車走行はもちろん、そのまま折り畳んでカートとして利用することができる。したがって、たとえばショッピングの際には、店まで通常の自転車として利用し、店内ではカートとして利用できるなど、オールラウンドな利用が可能になる。
また、この実施形態の折り畳み自転車100では、一つのロックネジ26の差し替えだけで、乗車走行時の伸長形態と折り畳み(圧縮)形態のロックを行うことができる、ロックの切り替え作業を容易に行うことができる。
【0033】
なお、本発明は、上述の実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
たとえば、前輪は左右に2つとしたが、3つ以上でもよい。後輪についても2以上であっても構わない。
また、前輪を1つとし、後輪を左右2にして、後部に荷台を取り付けることによって、上記の折り畳み自転車100に対して前後を逆にした構成にしても構わない。
【0034】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の折り畳み自転車によれば、通常の自転車としての乗車走行はもちろん、そのまま折り畳んで様々な目的の自立型カートとして利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態である折り畳み自転車を示す斜視図である。
【図2】この折り畳み自転車の側面図である。
【図3】この折り畳み自転車の正面図である。
【図4】この折り畳み自転車のヘッドパイプとトップフレームとの連結構造の詳細図である。
【図5】この折り畳み自転車のトップフレーム、トップステーおよびダウンフレームの連結構造の詳細図である。
【図6】この折り畳み自転車の折り畳み途中の状態を示す側面図である。
【図7】この折り畳み自転車の折り畳み状態を示す側面図である。
【図8】この折り畳み自転車の折り畳み時のヘッドパイプとトップフレームの連結の様子を示す図である。
【図9】折り畳んでベビーカートとして利用できる折り畳み自転車の例を示す側面図である。
【図10】図9の折り畳み自転車を折り畳んでベビーカートとして利用した形態を示す側面図である。
【図11】折り畳んでショッピングカートとして利用できる折り畳み自転車の例を示す側面図である。
【図12】小児用補助席の単体使用の例を示す図である。
【符号の説明】
1…ヘッドパイプ
2…トップフレーム
3…トップステー
4…ダウンフレーム
5…チェーンステー
6…シートステー
7…シートパイプ
8…サドル
9…サドルパイプ
10a,10b…前輪
11…後輪
12…ハンドル
13…ハンドルポスト
17…チェーンホイール
19…前フォーク
21,28…切り欠き部
22,29,31…枢支軸
23…ロック部
24,25,33…ロック穴
26…ロックネジ
35…小児用補助席
38…カゴ
100…自転車

Claims (3)

  1. 前後合わせて少なくとも3つの前輪および後輪を有する走行手段と、
    前記前輪および前記後輪をそれぞれ支承するとともに、前記前輪および前記後輪による自立状態を維持しつつ前記前輪と前記後輪との間の距離を伸縮可能な折り畳み構造を有する車体部と、
    前記車体部の伸縮各々の状態をロックするロック手段と、
    前記車体部に装着された荷台とを具備し、
    前記車体部を伸長状態でロックしたとき乗車走行可能な形態となり、前記車体部を圧縮状態でロックしたとき前記荷台を活用した自立型カートとして手押し走行可能な形態を形成するように構成されたことを特徴とする折り畳み自転車。
  2. 前記走行手段が左右の前輪と1つの後輪とを有することを特徴とする請求項1に記載の折り畳み自転車。
  3. 前記荷台が前記車体部に着脱自在であることを特徴とする請求項1または2に記載の折り畳み自転車。
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