JPH06328691A - 印字ヘッドおよびその製造方法 - Google Patents

印字ヘッドおよびその製造方法

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JPH06328691A
JPH06328691A JP12263693A JP12263693A JPH06328691A JP H06328691 A JPH06328691 A JP H06328691A JP 12263693 A JP12263693 A JP 12263693A JP 12263693 A JP12263693 A JP 12263693A JP H06328691 A JPH06328691 A JP H06328691A
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JP
Japan
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ink
base material
liquid chamber
print head
ink liquid
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JP12263693A
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English (en)
Inventor
Koji Kubota
浩司 久保田
Masaharu Kimura
正治 木村
Norihiro Ochi
教博 越智
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Sharp Corp
Original Assignee
Sharp Corp
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Publication date
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  • Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 より低電圧で駆動することができかつ小型で
高集積可能なインクジェットプリンタの印字ヘッドを提
供することである。 【構成】 本発明の印字ヘッドは、インクを滴出するた
めのノズル1に連通しかつSi基材で形成されるインク
液室9と、インク液室9内に設けられかつインクに振動
を伝達するための振動部材とを備えている。この振動部
材はSi基材の表面に形成されたSiO2 薄膜から成形
されてなる振動板5と、圧電薄膜4が一対の電極層6
a,6bに挟持されてなる振動子11とから構成され
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、インクジェットプリン
タの印字ヘッドの改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来の代表的なインクジェットプリンタ
の印字ヘッドには、ピエゾ素子の振動力を利用し、イン
クの充填されたインク室に圧力波を生じさせ、インク吐
出口よりインク滴を吐出させる方式のものと、インク室
にヒータを設置し、ヒータと接するインクを急激に加熱
して気泡を発生させ、その膨張圧でインク吐出口外に押
出す方式のものとがある。
【0003】図14は、ピエゾ素子の圧電現象を利用し
たインクジェットプリンタの印字ヘッドの典型的な一例
を示す図である。
【0004】図14に示すように、印字ヘッド30の内
部にはインク室20、圧力室21等が設けられており、
これらは結合通路22により連通している。インク室2
0にはインク供給口25を介して外部からインクが供給
される。圧力室21の背面には振動板26が設けられ、
振動板26上にはインクに高周波振動を与えるピエゾ素
子24が取付けられている。
【0005】ピエゾ素子24の歪み運動による圧力によ
り、インク室20内のインクが同期されて連続的にイン
ク滴となり、インク吐出口23から吐出される。
【0006】図15(a)および(b)は、ピエゾ素子
の圧電現象を利用したインクジェットプリンタの印字ヘ
ッドの他の例を示す図である。
【0007】図15(a)は、ピエゾ素子24および振
動板26が圧力室27を圧縮する方向に湾曲した状態を
示し、(b)はその逆に湾曲した状態を示している。
【0008】図14に示した従来例と異なる点は、ピエ
ゾ素子24がインク供給口25とインク吐出口23との
間の圧力障壁を形成している点である。
【0009】上述した従来のインクジェットプリンタの
印字ヘッド30,31は、インク室20、圧力室21,
27などが設けられたSi構造体に、別体のSUS材等
からなる振動板26とピエゾ素子24とをそれぞれ接着
し一体に形成されていた。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】ピエゾ素子は、電気−
機械変換素子であり、図16に示すように圧電体41を
一対の電極層42で挟込んだ基本構造からなる。一対の
電極層42に電気信号V′を印加すると、電気エネルギ
ーが機械エネルギーに変換されて圧電体41に歪みが生
じる。この歪みは、圧電体41の厚みをt´、圧電体4
1の長さをl´とすると、機械的変位量δ1 、δ2 とし
て、次式で与えられる。
【0011】
【数1】
【0012】
【数2】
【0013】(ここで、d1 は圧電縦効果定数、d2
圧電横効果定数、V´は印加電圧とする。)インクの滴
吐出には一定量以上の機械的変位量が必要とされる。し
かし、従来の印字ヘッドに用いられていたセラミックス
のバルク結晶からなる圧電体では、圧電材料自体の圧電
効果定数が小さかったため、一定量以上の機械的変位量
を確保しようとすると、上式(1),(2)からも示唆
されるように、圧電体の厚さt´を小さくするか、ある
いは圧電体の長さl´を大きくする必要があった。
【0014】ところが、セラミックスのバルク結晶から
なる圧電体41の厚みt´を小さくして圧電効果をより
高めることは、エッチング処理等の精密加工技術により
制約を受ける。
【0015】現在までのところ、セラミックスのバルク
結晶からなる圧電体では0.1mm程度の厚みを持つも
のまでを製造するのが限界であった。
【0016】そこで、これまでは圧電体の長さl´をあ
る程度の大きさにすることで、圧電効果を確保するやり
方がとられてきた。
【0017】しかし、圧電体の長さl´を大きくするこ
とは、ピエゾ素子の寸法をある大きさ以上にすることに
ほかならず、印字ヘッドの小型化を進める上で大きな障
害となっていた。
【0018】また、たとえば従来の標準的なサイズとし
て縦1mm×横1mm×厚さ0.2mmのセラミックス
からなる圧電体を用いた場合には、上式(2)より最大
機械的変位量δ2 を1μm得るためには、約667Vも
の大きな駆動電圧を必要としていた。
【0019】本発明は、上述した従来の印字ヘッドの有
する課題を解決するためになされたものであって、より
低電圧で駆動することができかつ小型で高集積可能なイ
ンクジェットプリンタの印字ヘッドを提供することを目
的とする。
【0020】
【課題を解決するための手段】本発明は、圧電効果を利
用してインクを滴出するインクジェットプリンタの印字
ヘッドであって、インクを滴出するためのノズルに連通
し、かつ所定の材料で形成されるインク液室と、インク
液室内に設けられ、インクに振動を伝達するための振動
部材とを備え、振動部材は、インク液室を形成する所定
材料の一部が成形されてなる薄片状の部分と、薄片状の
部分上に設けられかつ圧電材料からなる薄膜が一対の電
極層に挟持されてなる振動子とからなることを特徴とす
る。
【0021】本発明に係る印字ヘッドにおいて、インク
液室を形成する所定の材料はSiであることが好まし
い。所定の材料にSiを用いることで、薄片状の部分を
シリコン酸化膜(SiO2 )から成形することができ
る。
【0022】ここで、Siを好ましいとするのは、Si
は莫大な半導体技術を背景に持ち高純度な材料としてウ
ェハを適正な価格で容易に入手可能であり、その加工技
術は高度に確立されているためである。また、ウェハ表
面に熱酸化により極めて薄いシリコン酸化膜(Si
2 )を簡単に形成することができ、シリコン酸化膜
(SiO2 )は、信頼性、安定性にすぐれているからで
ある。
【0023】本発明に係る印字ヘッドにおいて、薄片状
の部分の厚みは20μm以下とすることができ、より好
ましくは2μm以上10μm以下の範囲にすることがで
きる。また、圧電材料からなる薄膜の厚みは20μm以
下とすることができ、より好ましくは2μm以上5μm
以下の範囲とすることができる。
【0024】本発明においてインク液室を形成する所定
の材料の一部が成形されてなる薄片状の部分は、たとえ
ば、インク液室を形成する所定の材料にSiを用いた場
合には、以下のようにして提供される。
【0025】たとえば、既知の技術を適用して、以下の
実施例においても示すように、Siウェハの表面に選択
的にSiO2 薄膜を形成させ、このSiO2 薄膜の所定
の領域を残しながら、異方性エッチングによりSiウェ
ハをエッチングし、インク液室を構成する凹部を形成す
れば、薄片状の部分を簡便に形成することができる。
〔「Dynamic Micromechanics
on Silicon;Techneques and
Device」by KURT E. PETERS
EN IEEE Tran. on Electorn
Devicesvol.ED−25,No.10 O
ct.1978.参照〕 また、本発明において圧電材料からなる薄膜は、スパッ
タリングまたはCVD法などによって所望の膜厚に形成
することができる。
【0026】圧電材料としては、ZnO、Pb(Zr,
Ti)O3 、またはPZT等を好ましく用いることがで
きる。
【0027】また、本発明は、インクを滴出するための
ノズルに連通し、かつ所定の材料で形成されるインク液
室と、インク液室内に設けられ、インクに振動を伝達す
るための振動部材とを備えるインクジェットプリンタの
印字ヘッドの製造方法を提供するものである。
【0028】本発明法は、インク液室を構成するための
第1の基材を準備する工程と、第1の基材の表面部分に
位置する薄片状の部分を残しながら、異方性エッチング
により、インク液室を構成するための1つまたは複数の
凹部を形成する工程と、インク液室を構成するための第
2の基材を準備する工程と、第2の基材にインク液室を
構成するための1つまたは複数の凹部を形成する工程
と、凹部がそれぞれ形成された第1の基材と第2の基材
とを接合して、凹部によりインク液室が構成される空間
内に振動可能な薄片状の部分が突出している構造体を形
成する工程とを備え、第1の基材と第2の基材とを接合
する前に、薄片状の部分上に圧電材料からなる薄膜が一
対の金属層で挟まれた積層構造を設けることにより振動
部材が形成されることを特徴とする。
【0029】本発明法において、第1の基材と第2の基
材とを接合する前に、薄片状の部分上に圧電材料からな
る薄膜が一対の金属層で挟まれた積層構造を設けること
により振動部材を形成するに際しては、製造プロセス
上、第1の基材の表面部分に位置する薄片状の部分を残
しながら、異方性エッチングによりインク液室を構成す
るための1つまたは複数の凹部を形成する工程前に、予
め薄片状の部分に相当する第1の基材の領域上に金属
層、圧電材料からなる薄膜、金属層を順次積層しておく
ことが好ましい。
【0030】本発明法において、第1の基材と第2の基
材とを接合するのに、金・シリコン合金、有機接着剤等
を好ましく用いることができる。
【0031】本発明法において、インク液室を構成する
ために第1の基材および第2の基材に設けられる凹部
は、基材表面において矩形状であることが好ましい。凹
部が矩形状であれば、基材上の所定の領域内に複数の凹
部を効率よく配置することができる。
【0032】したがって、第1の基材および第2の基材
を接合し、各々の基材に設けられた複数の凹部を一体化
すれば、隣接した複数のインク液室を一度に得ることが
でき、印字ヘッドの高集積化を図ることができる。
【0033】また、インク液室を構成するために第1の
基材および第2の基材に設けられる1つまたは複数の凹
部は、通常異方性エッチングにより形成されることで、
角すい台形状をとることが多い。
【0034】
【作用】インクジェットプリンタの印字ヘッドは、これ
まで以上により低電圧で駆動しかつ小型で、プリンタ装
置に高密度に搭載できることが求められてきた。
【0035】本発明に係る印字ヘッドでは、インクに振
動を伝達するため歪み運動を行う薄片状の部分が、イン
ク液室を形成する基材の一部からインク液室と一体的に
成形されることで、その厚みを20μm以下に薄くする
ことができる。これは、SUS材等からなり、別途製作
後インク液室構造体に接着されていた従来の印字ヘッド
の振動板の厚みに比べて1〜2桁程度小さな値に抑えら
れている。
【0036】このように薄片状の部分が極めて薄く形成
されていることで、薄片状の部分を歪み運動させるのに
要するエネルギーを減らすことができ、その分インクに
圧力として伝達するエネルギーの割合を大きくすること
ができる。
【0037】また、通常、振動子の電圧効果すなわち機
械的変位量は、圧電体に加えられる電界強度に比例して
大きくなることが知られている。
【0038】一対の電極層に印加する電圧をV、圧電体
の厚みをtとすると、電界強度Eは次の関係で示され
る。
【0039】E=V/t 上式より、圧電体の厚みtを小さくすれば、一対の電極
層に同じ大きさの電圧Vを印加しても、より大きな電界
強度Eが得られることがわかる。
【0040】本発明に係る印字ヘッドでは、振動子が薄
片状の部分上に設けられ、かつ圧電材料からなる薄膜が
一対の電極層に挟持されてなる。このため、セラミック
スのバルク結晶からなる従来の圧電体に比べてその厚み
を極めて薄く抑えることができる。したがって、電極層
に印加する電圧をかなり小さく、具体的には従来の1/
100〜1/50程度の大きさにしても、所定の電界強
度が確保され、インクの滴吐出に必要な振動子の機械的
変位量を得ることができる。
【0041】以上のことから、本発明に係る印字ヘッド
では、従来よりもはるかに小さい駆動電圧でインクの滴
吐出を確実に実現することができる。
【0042】また、本発明に係る印字ヘッドでは、振動
子が厚みの小さい圧電材料からなる薄膜から構成される
ことで、振動子自体の縦寸法を小さくしても、所定の機
械的変位量を確保することができる。その結果、振動部
材全体をより小型化することが可能となり、プリンタ装
置に高密度に搭載可能な小型でかつ軽量の印字ヘッドを
提供することができる。
【0043】本発明に係る印字ヘッドの製造方法では、
まずインク液室を構成するための第1の基材を準備し、
第1の基材の表面部分に位置する薄片状の部分を残しな
がら、異方性エッチングによりインク液室を構成するた
めの1つまたは複数の凹部を形成する。
【0044】これにより、極めて厚みの薄い振動板が同
一基材から1つまたは複数の凹部と一体的に形成され
る。
【0045】次に、インク液室を構成するための第2の
基材を準備し、第2の基材の一方の面に、インク液室を
構成するための1つまたは複数の凹部を形成する。
【0046】以上のようにして得られた第1の基材と第
2の基材とを接合すれば、第1の基材および第2の基材
に形成された凹部によりインク液室が形成されるととも
に、インク液室を構成する空間内に薄片状の部分、すな
わち振動板が突出している構造体を形成することができ
る。
【0047】本発明法では、第1の基材と第2の基材と
を接合する前に、予め薄片状の部分、すなわち振動板上
に、圧電材料からなる薄膜が一対の金属層で挟まれた積
層構造を設けることにより、非常に薄型でかつ小型の振
動部材を得ることができる。このように、本発明法で
は、別体のインク液室構造体、振動板、振動子を接着に
より一体の印字ヘッドに組立てる作業工程が省略される
ので、従来法に比べて、管理、組立工程における作業性
をさらに簡略化することができる。
【0048】また、本発明法では、より少ない部材から
印字ヘッドを組立てるため、製造工程において品質の揃
った印字ヘッドの量産が可能となり、製造コストの低減
を図ることができる。
【0049】
【実施例】以下、本発明に従う一実施例を図面を参照し
て説明する。ただし、本実施例は一例を示すものであっ
て、本発明を限定するものではない。
【0050】図1は、本発明の一実施例に従うインクジ
ェットプリンタの印字ヘッドを示す正面図である。さら
に、図2は図1に示すX−Y線に沿う断面図である。
【0051】図1および図2に示すように、印字ヘッド
15は、第1のヘッド部材10aと第2のヘッド部材1
0bとから構成される。
【0052】第1のヘッド部材10aは、Siからなる
基材8と、基材8に設けられ、インクを収納するための
角すい台形状の凹部と、凹部に連通しインクを滴吐出す
るためのノズル1と、基材8表面のシリコン酸化膜から
なり、凹部と一体的に形成される厚み約2μmの振動板
5と、振動板5上に設けられPZT(チタン酸ジルコン
酸鉛)からなる厚み約1〜5μmの圧電薄膜4が電極層
6a,6bで挟持された振動子11と、振動子11に電
気的に接続される配線ケーブル7とを備えている。
【0053】第2のヘッド部材10bは、Siからなる
基材8と、基材8に設けられ、インクを収納するための
角すい台形状の凹部と、凹部に連通し外部からインクを
供給するためのインク供給口2とを備えている。
【0054】第1のヘッド部材10aおよび第2のヘッ
ド部材10bは接合部3で位置決めされ、接合により基
材8にそれぞれ設けられた凹部からインク液室9が構成
されるとともに、インク液室9内の中央に振動板5およ
び振動子11からなる振動部材が配置される。
【0055】本実施例の印字ヘッド15では、図1に示
すように、複数のインク液室9が隣接して設けられてい
る。
【0056】次に、このような構造を有する印字ヘッド
15を用いて、インクを滴吐出させる際の動作について
簡単に説明する。
【0057】図1および図2に示すように、印字ヘッド
15に装着されたインクカートリッジ100からインク
供給口2を介して各々のインク液室9内にインクが充填
される。
【0058】配線ケーブル7を通じて電極層6a,6b
に電気信号が印加されると、圧電効果により振動子11
に機械的な歪みが生じ、図3に示すように、振動子11
および振動板5が歪み運動を行なう。この歪み運動によ
る圧力により、インク液室9内のインクが加圧され、イ
ンクがノズル1から吐出される。
【0059】このとき、振動子11および振動板5によ
って加えられた振動に同期して、インクは連続的にイン
ク滴となり、外部に飛翔したインク滴は記録紙に印写さ
れる。
【0060】次に、このようなインクジェットプリンタ
の印字ヘッド15を製造する工程について、図面を参照
しながら、以下に説明する。
【0061】ここでは、まず第1のヘッド部材10aを
製作する工程について説明する。なお、図4〜図8にお
いて、(a)には断面図を、(b)には上から見た部分
平面図を模式的に示すものとする。
【0062】図4(a),(b)を参照して、面方位<
100>のp型Si単結晶基板101の表面にp型導電
性を与える不純物元素、たとえばボロンを高濃度に拡散
し、p+ 型導電領域102を形成する。次にこのp+
導電領域102の表面にp型Siエピタキシャル層10
3を形成する。このようにして得られたSi基材104
上の、振動部材を形成したい予定領域を除く矩形状の凹
部に対応する領域にレジストパターン105を形成す
る。
【0063】図5(a),(b)を参照して、このよう
なレジストパターン105をマスクとして、Si基材1
04の表面全体を熱酸化することにより、厚み約2μm
のSiO2 薄膜110を形成する。
【0064】次に、図6(a),(b)を参照して、振
動部材を形成したい予定の領域を除く領域全体に新たに
レジストパターン106を形成する。さらに、このレジ
ストパターン106をマスクとして振動部材を形成した
い予定の領域のSiO2 薄膜上に蒸着法により厚み1μ
m程度のAl層107aを形成する。
【0065】さらに、図7(a),(b)を参照して、
このレジストパターン106をマスクとして振動部材を
形成したい予定の領域のAl層107a上に、スパッタ
リングによりPZT(チタン酸ジルコン酸鉛)からなる
圧電薄膜108を、さらに蒸着法により1μm程度のA
l層107bを順次積層する。
【0066】次に、図8(a),(b)を参照して、レ
ジストパターン106を基材104上から除去した後、
異方性エッチングにより、振動部材となる領域のSiO
2 薄膜110を残しながら、Si基材104の主面をエ
ッチングすることにより、角すい台形状の凹部115と
同時にSiO2 薄膜110からなる振動板と圧電薄膜1
08が2つのAl層107a,107b間に挟まれてな
る振動子(縦200μm×横100μm×厚み4μm)
とが一体的に形成される。
【0067】このとき、同時に、Si基材104の背面
の所定の位置に異方性エッチングにより凹部115に連
通するようにノズルを形成してもよい。
【0068】次に、第2のヘッド部材10bを製作する
工程について説明する。なお、図9〜図11において
(a)には断面図を、(b)には上から見た部分平面図
を模式的に示すものとする。
【0069】図9(a),(b)を参照して、面方位<
100>のSi単結晶基板101とp+ 型導電領域10
2とp型Siエピタキシャル層103とを積層してなる
Si基材104を用意する。このSi基材104上の矩
形状の凹部を形成したい予定領域にレジストパターン1
11を形成する。
【0070】図10(a),(b)を参照して、このよ
うなレジストパターン111をマスクとして、Si基材
104の表面全体を熱酸化することにより、厚み約2μ
mのSiO2 薄膜110を形成する。
【0071】次に、図11(a),(b)を参照して、
レジストパターン111を基材104上から除去した
後、異方性エッチングにより、基材104の主面をエッ
チングすることにより、角すい台形状の凹部116を形
成する。
【0072】このとき、同時にSi基材104の背面の
所定の位置に異方性エッチングにより凹部116に連通
するようにインク供給口を形成してもよい。
【0073】このようにして得られた第1のヘッド部材
10aおよび第2のヘッド部材10bを図12に示すよ
うにして位置合わせし、銀・シリコン合金で接着するこ
とにより一体化すれば、図13に示すような、インク液
室9内に振動板5および振動子11からなる薄板状の振
動部材が突出した構造の印字ヘッドを得ることができ
る。
【0074】上述のようにして製造される印字ヘッド1
5における振動子11および振動板5の機械的変位量
(歪み量)δは、振動子11に印加する電圧をVとし、
圧電横効果定数、振動子11のコンプライアンス、振動
板5のコンプライアンス、振動子11の厚み、振動板5
の厚み、振動子11の長さをそれぞれd3 、Sp、S
s、hp、hs、lとすると、次式のように与えられ
る。
【0075】
【数3】
【0076】(ここで、コンプライアンスとは、弾性体
に加えられた力とそれによって生じる変位の大きさとの
比(スチフネス)の逆数〔m/N〕を意味するものとす
る。)したがって、上述した振動部材の寸法、PZTの
標準的な圧電横効果定数(d 31≒300×10-12 m/
V)、振動子11および振動板5のコンプライアンスを
代入して、一定量の機械的変位量を確保するための駆動
電圧を求めれば、約5V程度となる。このように、本実
施例の印字ヘッド15では従来型の印字ヘッドに比べて
大幅な低電圧駆動化を実現することができる。
【0077】
【発明の効果】本発明に従うインクジェットプリンタの
印字ヘッドを搭載すれば、低電圧駆動可能で、軽量かつ
小型の高性能インクジェットプリンタ装置を実現するこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に従う印字ヘッドの正面図で
ある。
【図2】図1に示すX−Y線に沿う印字ヘッドの断面図
である。
【図3】本発明の一実施例に従う印字ヘッドに用いた振
動板および振動子の拡大斜視図である。
【図4】本発明の一実施例に従う印字ヘッドの第1の製
造工程を示す図である。
【図5】本発明の一実施例に従う印字ヘッドの第2の製
造工程を示す図である。
【図6】本発明の一実施例に従う印字ヘッドの第3の製
造工程を示す図である。
【図7】本発明の一実施例に従う印字ヘッドの第4の製
造工程を示す図である。
【図8】本発明の一実施例に従う印字ヘッドの第5の製
造工程を示す図である。
【図9】本発明の一実施例に従う印字ヘッドの第6の製
造工程を示す図である。
【図10】本発明の一実施例に従う印字ヘッドの第7の
製造工程を示す図である。
【図11】本発明の一実施例に従う印字ヘッドの第8の
製造工程を示す図である。
【図12】本発明の一実施例に従う印字ヘッドの第9の
製造工程を示す図である。
【図13】本発明の一実施例に従う印字ヘッドの第10
の製造工程を示す図である。
【図14】従来の印字ヘッドの一例を示す図である。
【図15】従来の印字ヘッドの他の例を示す図である。
【図16】ピエゾ素子の基本構造を示す図である。
【符号の説明】
1 ノズル 2 インク供給口 3 接着部 4 圧電薄膜 5 振動板 6a,6b 電極層 7 配線ケーブル 8 基材 9 インク液室 10a 第1のヘッド部材 10b 第2のヘッド部材 11 振動子 15 印字ヘッド 100 インクカートリッジ 101 p型Si単結晶基板 102 p+ 型導電領域 103 p型Siエピタキシャル層 104 Si基材 105 レジストパターン 106 レジストパターン 107a,b Al層 108 圧電薄膜 110 SiO2 薄膜 111 レジストパターン 115,116 凹部 なお、各図中同一符号は同一または相当部分を示す。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 圧電効果を利用してインクを滴出するイ
    ンクジェットプリンタの印字ヘッドであって、 前記インクを滴出するためのノズルに連通し、かつ所定
    の材料で形成されるインク液室と、 前記インク液室内に設けられ、インクに振動を伝達する
    ための振動部材とを備え、 前記振動部材は、前記インク液室を形成する前記所定の
    材料の一部が成形されてなる薄片状の部分と、前記薄片
    状の部分上に設けられかつ圧電材料からなる薄膜が一対
    の電極層に挟持されてなる振動子とからなることを特徴
    とする、印字ヘッド。
  2. 【請求項2】 前記所定の材料はSiである、請求項1
    に記載の印字ヘッド。
  3. 【請求項3】 前記薄片状の部分の厚みが20μm以下
    であり、かつ前記圧電材料からなる薄膜の厚みが20μ
    m以下である、請求項1に記載の印字ヘッド。
  4. 【請求項4】 インクを滴出するためのノズルに連通
    し、かつ所定の材料で形成されるインク液室と、前記イ
    ンク液室内に設けられ、インクに振動を伝達するための
    振動部材とを備えるインクジェットプリンタの印字ヘッ
    ドの製造方法であって、 前記インク液室を構成するための第1の基材を準備する
    工程と、 前記第1の基材の表面部分に位置する薄片状の部分を残
    しながら、異方性エッチングにより、前記第1の基材に
    前記インク液室を構成するための1つまたは複数の凹部
    を形成する工程と、 前記インク液室を構成するための第2の基材を準備する
    工程と、 前記第2の基材に、前記インク液室を構成するための1
    つまたは複数の凹部を形成する工程と、 凹部がそれぞれ形成された前記第1の基材と前記第2の
    基材とを接合して、前記凹部によりインク液室が構成さ
    れる空間内に振動可能な前記薄片状の部分が突出してい
    る構造体を形成する工程とを備え、 前記第1の基材と前記第2の基材とを接合する前に、前
    記薄片状の部分上に、圧電材料からなる薄膜が一対の金
    属層で挟まれた積層構造を設けることより、前記振動部
    材が形成されることを特徴とする、印字ヘッドの製造方
    法。
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