JP2004209707A - インクジェットヘッドの製造方法 - Google Patents

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Masatake Akaike
正剛 赤池
Hideaki Nojiri
英章 野尻
Takehiko Kawasaki
岳彦 川崎
Tomohito Nozu
智史 野津
Tamayoshi Kurashima
玲伊 倉島
Kozo Toyama
綱造 外山
Takatsugi Wada
隆亜 和田
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Abstract

【課題】同一の電気信号を駆動用圧電体に供給した時に、圧力室に作用する振動板として機能するガラス基板が一定の方向に変形するようにして、インク吐出性能を向上させる。
【解決手段】ガラス基板10を、シリコン基板1のインク流路形成面(接合面9)に接合し、研磨により薄片化および平滑化した後、ガラスの軟化点以下の温度で熱処理して軟化させる。ガラス基板10は、圧力室7の上方位置において、自重で圧力室7の内側に向かって凸状に変形する。それから、ガラス基板10の上面に、下電極13、圧電体14、上電極15を成膜する。圧電体14が駆動されたときの変形方向は、ガラス基板10の初期変形状態(凸状部分10a)によって規制されて、一定の方向になる。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェットヘッドの製造方法に関し、特に、ガラス基板を振動板として用いてインク吐出エネルギーを得るインクジェットヘッドの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
文字や画像や模様などの記録を行うためにインクを吐出するインクジェットヘッドにおいて、電気−機械変換素子(圧電体)を用いてインク吐出エネルギーを得る構成のものがある。そのインクジェットヘッドは、一般的に、インクの流通するインク流路中に圧力室が設けられており、圧力室の壁に設けられている圧電体の変形によってこの圧力室の容積を変化させて内部のインクに圧力を加え、インク流路の開口端部(ノズル)からインク滴を外部に吐出させるものである。
【0003】
近年では、高速、高画質、低消費電力、低価格のインクジェットプリンターが要求されており、このため、低消費電力で駆動可能であり、かつ高集積化が可能な、様々なインクジェットヘッドが提案されている。例えば特許文献1には、インクジェットヘッドの圧力室の壁として、2層以上の異種金属膜からなる振動板を設け、この振動板上に有機膜を形成することによって、ピンホールの遮蔽や、亀裂幅の埋設化、インクの濡れ性の均一化を図っている構成が開示されている。
特許文献2には、インクジェットヘッドの圧力室の周辺部に、セラミック、金属、または樹脂からなる台座を介して、金属(例えばニッケル、クロム、アルミニウムなど)およびそれらの酸化物や、シリコンまたはシリコン酸化物や、高分子有機物などから選ばれた材料からなる振動板の周辺部が接合されている構成が開示されている。また、特許文献3には、インクジェットヘッドの圧力室の壁として、金属製の振動板が設けられている構成が開示されている。
【0004】
【特許文献1】
特開平8−1950号公報
【特許文献2】
特開平11−348285号公報
【特許文献3】
特開平9−314835号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
前記したように従来のインクジェットヘッドでは、圧力室の壁として、金属材料、シリコン、あるいは高分子有機物材料からなる振動板が設けられており、特許文献1の構成では、金属製の振動板の上に、成膜過程で生成されるピンホールの影響を防ぐために、有機膜が被覆されている。また、特許文献2の構成では、振動板が、セラミック、金属、あるいは樹脂からなる台座を介して、圧力室上に配設されている。これらの構成では、振動板の運動特性を上げるために振動板のみに微小な変形を生じさせることは困難である。そのため、駆動源として圧電体を用いて振動板に座屈変形を伴う撓み変形を生じさせ、それによって圧力室の体積を変化させて内部のインクに圧力を加え、インク滴をノズルから外部に吐出させる構成が採用されている。
【0006】
この振動板の撓み変形方向は、振動板の初期状態の形状に依存し、振動板の座屈変形方向は、圧力室側に凸状になる場合もあれば、あるいは圧力室側に凹状になる場合もある。従って、カラー記録や高速記録などのために多ノズル化されたインクジェットヘッドのように、1つのインクジェットヘッドに複数の吐出機構(複数の圧力室)がある場合、各圧力室の壁として設けられている振動板の中に、他と異なる座屈変形方向を有するものが存在すると、各振動板に対応する圧電体に同一の電気信号を供給した時に、これらの振動板はそれぞれ異なる動きをとり、同一の運動を起こさないおそれがある。これはインク吐出性能の低下を招く。
【0007】
そこで本発明の目的は、前記した問題点に鑑み、圧力室に作用する振動板として機能するガラス基板において、同一の電気信号を駆動用圧電体に供給した時に座屈変形方向が同一になる撓み変形が複数の個所に同様に生じて、吐出性能が向上する、インクジェットヘッドの製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明のインクジェットヘッドの製造方法は、シリコン基板に、圧力室を含むインク流路となる溝を形成する工程と、シリコン基板の溝が形成された面を覆うようにガラス基板を接合する工程と、ガラス基板を薄片化する工程と、ガラス基板を熱処理して軟化させ、溝の圧力室になる部分に対向する部分を、圧力室の内側に向かって凸状または凹状に変形させる工程と、ガラス基板の、溝の圧力室になる部分に対向する部分に、下電極、圧電体、および上電極を順次積層する工程とを含むことを特徴とする。シリコン基板とガラス基板は、熱膨張係数の近い材質からなり、陽極接合されるのが好ましい。ガラス基板を薄片化する工程と、ガラス基板を熱処理して変形させる工程は、どちらが先に行われても構わない。
【0009】
この方法によると、ガラス基板を熱処理して軟化させた際に、ガラス基板自身の重力または周囲のガスの圧力差を利用して、ガラス基板の複数の個所に、または複数のガラス基板に、同様な塑性流動変形を生じさせることができる。すなわち、同様な形状の変形部分を一度に多数形成することができ、再現性がよい。これによって、圧電体に同一の電力供給を行うと、ガラス基板は一様な変形状態になるため、所望のインク吐出特性が得られる。
【0010】
そして、ガラス基板の変形量は、塑性流動速度に関係する温度および時間によって制御することができるため、ガラス基板を任意の形状に形成できる。しかも、ガラス基板は非晶質であるため、広い温度範囲での塑性流動変形が可能なので、一定方向に変形させるための作業性が良く、さらに、等方的に塑性流動変形するので、微小な領域(微小面積)でのガラス基板の変形が容易である。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0012】
[第1の実施形態]
本発明の第1の実施形態のインクジェットヘッドの製造方法について、図1〜7を参照して説明する。まず、図1,2に示す完成状態のインクジェットヘッドの構成について説明すると、シリコン基板1に、硼珪酸ガラスからなるガラス基板10が積層されており、シリコン基板1に設けられている溝によって両基板1,10の間にインク流路が形成されている。インク流路は、インク室3と、細く絞られたオリフィス6と、圧力室7と、外部に開口する小径のノズル8が連続して設けられた構成であり、図示しないインク供給手段からのインクが、シリコン基板1を貫通するインク流入口2を介して流入する。ガラス基板10は、薄片化されて振動板として機能し得るようになっている。本実施形態では、このガラス基板10のうち、圧力室7に対向する部分が、圧力室7の内側に向かって凸状(図2の下方に向かって凸状)に変形している。このガラス基板10の上面には、Ptからなる下電極13と、ZnOからなる圧電体14が積層形成され、さらに凸状部分10aの上方において圧電体14の上面には、Ptからなる上電極15が積層形成されている。
【0013】
次に、このインクジェットヘッドの製造方法について説明する。まず第1に、シリコン基板1に、インク流入口2を形成し、さらに、インク室3、オリフィス6、圧力室7、およびノズル8となる溝を、フォトリソグラフィ法およびエッチングによって形成する。そして、このシリコン基板1の接合面9に硼珪酸ガラスからなるガラス基板10を陽極接合する(図3参照)。陽極接合した後、ガラス基板10を、ダイヤモンドスラリーを用いたラッピング研磨で薄片化し、さらにポリッシング研磨を施して研磨面を平滑化する(図4参照)。この時点で、ガラス基板10は平坦な形状になる。続いて、ガラス基板10を、硼珪酸ガラスの軟化点以下の温度(600℃)で熱処理して軟化させる。ガラス基板10が軟化すると、下方から支持されていない、圧力室7の上方位置において、ガラス基板10自身の自重で塑性流動を生じて、圧力室7の内側に向かって凸状になるように変形する(図5参照)。熱処理を終了してガラス基板10を前記したような変形状態で固化させた後、ガラス基板10の上面に、TiおよびAlからなる図示しない中間層を介して、Ptからなる下電極13と、ZnOからなる圧電体14を成膜し、凸状部分10aの上方において圧電体14の上面に、Ptからなる上電極15を成膜する(図6,7参照)。その後、ノズル8の前端の部分で両基板1,10をディスコカットして、図1,2に示すようなインクジェットヘッドを完成させる。
【0014】
本実施形態のインクジェットヘッドは、このような構成であるため、下電極13および上電極15に電力を適宜供給すると、圧電体14が圧電変形して圧力室7の容積を変化させ、その内部のインクに圧力が加わる。この圧力によってインクがノズル8から外部に吐出する。すなわち、圧電体14がインク吐出エネルギーを発生する駆動源として機能し、ガラス基板の10の凸状部分10aが振動板として機能する。
【0015】
本実施形態によると、ガラス基板10の、圧力室7の上方にあたる部分(凸状部分10a)は、予め自重により凸状に変形させられて、初期状態において変形状態に保たれている。従って、圧電体14が駆動されて変形する際に、ガラス基板10の撓み変形方向(座屈変形方向)は、初期状態の変形方向によって規定され、異なる変形方向に変形することはない。前記したインク流路を多数設けて多ノズルの構成にするなどのために、各インク流路の圧力室7に対向する部分のガラス基板10を同時に変形させる場合に、熱処理によって同様な形状に、圧力室7の内側に向かって凸状に変形させることができる。それによって、各圧電体14に同一条件で電力供給を行う際に、各インク流路における吐出性能を均一化させることができる。
【0016】
なお、ガラス基板10を、硼珪酸ガラスではなく、例えばソーダライムガラスやアルミノ珪酸ガラスで構成しても良い。また、ガラス基板10と下電極13の間の中間層は、導電性を有する金属膜であればよく、例えば、In、Ag、Cu、Zn、Sn、Ge、Ni、Pd、Pbなどであってもよい。圧電体14を、ZnOではなく、例えば、水晶、ぺロブスカイト系結晶、タングステン系結晶、ウルツ鉱型結晶等から構成してもよく、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)、チタン酸鉛、チタン酸バリウム、チタン酸カルシウム、ニオブ酸リチウム、タンタル酸リチウム、ニオブ酸バリウムナトリウム、AlN、BeO、CdS、またはこれらの積層膜から構成するのが好ましい。また、本実施形態の圧電体14を構成するZnOの厚さは5μmであるが、厚さを2〜5μmにしてもよく、十分な圧電変形が得られるものであればよい。
【0017】
本実施形態では、ガラス基板10を塑性流動変形させるための熱処理(600℃)を大気中で行ったが、これに限られず、真空雰囲気中で行ってもよい。さらに、ガスを注入してそのガス圧によって、ガラス基板10を挟んで両側に圧力差を生じさせ、この圧力差でガラス基板10に塑性流動変形を生じさせてもよく、本発明の意図するところに何ら変わるものではない。
【0018】
[第2の実施形態]
次に、本発明の第2の実施形態のインクジェットヘッドの製造方法について、図8〜図12を参照して説明する。第1の実施形態と同様の部分については、同一の符号を付与し説明を省略する。
【0019】
本実施形態のインクジェットヘッドは、図8,9に示すように、インク流入口2と連通するインク流路が、インク室3と、第1のオリフィス4aと、第1の圧力室5aと、第2のオリフィス4bと、第2の圧力室5bと、ノズル8が連続して設けられた構成である。そして、ガラス基板11は、SD−2ガラス(登録商標:HOYA株式会社製品)からなり、圧電体12は、厚さ100μm程度のセラミックPZTからなる。
【0020】
本実施形態のインクジェットヘッドの製造方法について説明すると、まず、第1の実施形態と同様に、シリコン基板1の接合面9に、インク流入口2と前記したインク流路となる溝を形成し、その接合面9に前記したガラス基板11を陽極接合する。陽極接合した後、ガラス基板11を、SD−2ガラスの軟化点以下の温度(650℃)で熱処理して軟化させ、下方から支持されていない、第1の圧力室5aおよび第2の圧力室5bの上方位置において、ガラス基板11自身の自重で塑性流動を生じさせて、圧力室5a,5bの内側に向かって凸状になるように変形させる(図10参照)。熱処理を終了してガラス基板11を前記したような変形状態で固化させた後、ラッピング研磨で薄片化し、ポリッシング研磨で表面を平滑化する(図11参照)。そして、ガラス基板11の上面に、TiおよびAlからなる図示しない中間層を介して、Ptからなる下電極13を成膜し、その上にセラミックPZT(バルク焼結体)からなる圧電体12を導電性接着剤によって接着し、その圧電体12をラッピング研磨およびポリッシング研磨によって薄片化する。そして、凸状部分11a,11bの上方において圧電体12の上面に、Ptからなる上電極15を成膜する(図12参照)。その後、ノズル8の前端の部分で両基板1,11をディスコカットして、図8,9に示すようなインクジェットヘッドを完成させる。
【0021】
本実施形態のインクジェットヘッドでも、下電極13および上電極15に電力を適宜供給すると、圧電体12が圧電変形して圧力室5a,5bの容積を変化させて、内部のインクに圧力を加え、インクをノズル8から外部に吐出させる。ガラス基板11の凸状部分11a,11bが振動板として機能する。そして、第1の実施形態と同様に、圧電体12が駆動されて変形する際に、ガラス基板11の撓み変形方向(座屈変形方向)は、初期状態の変形方向によって規定され、異なる変形方向に変形することはない。1つまたは複数のインク流路内の複数の圧力室5a,5bに対向する部分のガラス基板11を同時に変形させる場合に、熱処理によって同様な形状に、圧力室5a,5bの内側に向かって凸状に変形させることができるため、各圧電体12に同一条件で電力供給を行う際に、各インク流路における吐出性能を均一化させることができる。本実施形態のように1つのインク流路中に複数の圧力室5a,5bが含まれている構成では、本発明の製造方法は非常に効果的である。
【0022】
また、本実施形態によると、ガラス基板11の凸状部分11a,11bの上面が、曲面状ではなく平坦であるため、下電極13,圧電体12,上電極15の成膜または接着が容易になり、それらの密着性が向上するとともに、電気配線など他部材との接続が容易になり信頼性が向上する。
【0023】
なお、本実施形態の圧電体12を構成するPZTの厚さは100μmであるが、厚さを200μm以下程度の範囲で任意に変更してもよく、いずれにしても十分な圧電変形が得られるものであればよい。
【0024】
[第3の実施形態]
次に、本発明の第3の実施形態のインクジェットヘッドの製造方法について、図13〜14を参照して説明する。第1,2の実施形態と同様の部分については、同一の符号を付与し説明を省略する。
【0025】
本実施形態のインクジェットヘッドでは、パイレックス(Pyrex)ガラス(登録商標:コーニング社製品)からなるガラス基板16のうち、圧力室17に対向する部分が、圧力室17の内側に向かって凹状(図13,14の下方に向かって凹状)に変形している。
【0026】
その製造方法について述べると、まず第1の実施形態と同様に、シリコン基板1の接合面9に、インク流入口2とインク流路となる溝を形成し、その接合面9にガラス基板16を陽極接合した後、ガラス基板16をラッピング研磨して薄片化し、ポリッシング研磨して表面を平滑化する。それから、シリコン基板1およびガラス基板16を上下逆転させ、ガラス基板16が鉛直下方に位置するように配置する。その状態で、パイレックスガラスの軟化点以下の温度で熱処理して軟化させ、シリコン基板1に固着されていない、圧力室17に対向する位置において、ガラス基板16自身の自重で塑性流動を生じさせて、圧力室17の内側に向かって凹状になるように変形させる(図13参照)。熱処理を終了してガラス基板16を前記したような変形状態で固化させた後、シリコン基板1およびガラス基板16の上下位置を元に戻し、ガラス基板16の上面に、TiおよびAlからなる図示しない中間層を介して、Ptからなる下電極13と、ZnOからなる圧電体14を順次成膜し、さらに、凹状部分16aの上方において圧電体14の上面に、Ptからなる上電極15を成膜する(図14参照)。その後、ノズル8の前端の部分で両基板1,16をディスコカットして、インクジェットヘッドを完成させる。
【0027】
本実施形態を第1の実施形態と比較すると、ガラス基板16の変形方向が、圧力室17に向かって凸状ではなく、圧力室17に向かって凹状であり、圧力室17の容積が大きくなっている点が異なっているが、それ以外の構成および製造方法は実質的に同じである。本実施形態におけるインク吐出動作や、作用および効果などは、第1および第2の実施形態と実質的に同様である。なお、このような構成のインクジェットヘッドでは、圧力室17内のインクに圧力を加えることができるように圧力室17の容積の変動ができればよいため、初期状態のガラス基板16の変形方向はどちらでも構わない。必要とされる吐出性能や、製造工程の都合などを考慮して任意に設定することができる。また、第2の実施形態のように、インク流路中に複数の圧力室が含まれる構成において、本実施形態のようにガラス基板16の変形方向を圧力室17に向かって凹状にしても、同様な効果を奏することができる。
【0028】
[第4の実施形態]
次に、本発明の第4の実施形態のインクジェットヘッドの製造方法について、図15〜図17を参照して説明する。第1〜3の実施形態と同様の部分については、同一の符号を付与し説明を省略する。
【0029】
本実施形態のインクジェットヘッドでは、前記したSD−2ガラスからなるガラス基板18のうち、圧力室19に対向する部分が、圧力室19の内側に向かって凹状(図15〜17の下方に向かって凹状)に変形している。
【0030】
その製造方法について述べると、まず第1の実施形態と同様に、シリコン基板1の接合面9に、インク流入口2とインク流路となる溝を形成し、その接合面9にガラス基板18を陽極接合する。陽極接合した後、シリコン基板1およびガラス基板18を上下逆転させ、ガラス基板18が鉛直下方に位置するように配置する。その状態で、SD−2ガラスの軟化点以下の温度で熱処理して軟化させ、シリコン基板1に固着されていない、圧力室19に対向する位置において、ガラス基板18自身の自重で塑性流動を生じさせて、圧力室19の内側に向かって凹状になるように変形させる(図15参照)。熱処理を終了してガラス基板18を前記したような変形状態で固化させた後、ガラス基板18をラッピング研磨して薄片化し、ポリッシング研磨して表面を平滑化する(図16参照)。それから、シリコン基板1およびガラス基板18の上下位置を元に戻し、ガラス基板18の上面に、TiおよびAlからなる図示しない中間層を介して、Ptからなる下電極13と、ZnOからなる圧電体14を順次形成し、凹状部分18aの上方において圧電体14の上面に、Ptからなる上電極15を成膜する(図17参照)。その後、ノズル8の前端の部分で両基板1,18をディスコカットして、インクジェットヘッドを完成させる。
【0031】
本実施形態を第3の実施形態と比較すると、ガラス基板18の熱処理工程を、ラッピング研磨およびポリッシング研磨の工程の前に行う点が異なっているが、それ以外の構成および製造方法は実質的に同じである。本実施形態におけるインク吐出動作や、作用および効果などは、第1〜第3の実施形態と実質的に同様である。また、第2の実施形態のように、インク流路中に複数の圧力室が含まれる構成において、本実施形態の製造方法を適用しても、同様な効果を奏することができる。
【0032】
そして、本実施形態でも、第2の実施形態と同様に、ガラス基板11の凹状部分18aの上面が、曲面状ではなく平坦であるため、下電極13,圧電体14,上電極15の成膜が容易になり、それらの密着性が向上するとともに、電気配線など他部材との接続が容易になり信頼性が向上する。また、凹状部分18aが非常に薄くなっているので、圧電体14に駆動される振動板として機能しやすくなっている。ひいては、動作効率の向上および消費電力の低減が図れる。
【0033】
なお、ガラス基板18はSD−2ガラスからなるものに限られず、例えば、酸化シリコン、酸化ボロン、および酸化アルミニウムのうちの少なくとも一種類以上の構造イオンと、不純物イオンとを含むガラス基板であればよい。すなわち、ソーダライムガラス、ボロンシリケートガラス、アルミノ珪酸ガラス、バリウム硼珪酸ガラス、亜鉛硼珪酸ガラス等から構成されてもよく、インク流入口2およびインク流路が形成されるシリコン基板に熱膨張係数の近いガラスから構成されるのが好ましい。
【0034】
図示しないが、以上説明した第1〜4の各実施形態のインクジェットヘッドを複数個用い、さらに、各インクジェットヘッドに付属する圧電体駆動回路と、インクジェットヘッドのノズル8に対して所望の間隔で被記録媒体を対向させるための支持部材と、入力される情報に応じてノズル8と被記録媒体との相対位置を変化させるための機構とを組み込んで記録装置を構成すると、高解像度および高速印字が可能で、従来と比較して低消費電力化および高密度化が可能になった。
【0035】
前記した各実施形態において、圧電体は、水晶、ぺロブスカイト系結晶、タングステンブロンズ系結晶、あるいはウルツ鉱型結晶からなり、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)、チタン酸バリウム、チタン酸カルシウム、ニオブ酸リチウム、タンタンル酸リチウム、ニオブ酸バリウムナトリウム、ZnO、AlN、BeO、およびCdSの膜、またはこれらの積層膜、あるいはこれらのバルク焼結体であることが好ましい。また、薄片化された後の、振動板として用いられる部分のガラス基板の厚さは、2〜200μmの範囲であることが好ましい。
【0036】
【発明の効果】
本発明によると、圧力室の壁の1つになるガラス基板が、初期状態において一定の方向に変形しているため、インク吐出動作時に圧電体が駆動されると、ガラス基板は特定の方向に変形するので、圧力室に所望の容積変化を生じさせることができ、所望のインク吐出特性が得られる。特に、複数のインク流路が存在する場合に、全インク流路中の圧力室にそれぞれ一定の容積変化を生じさせることができるため、均一なインク吐出が可能になる。しかも、本発明の方法によると、一様な変形状態を一度に多数の部分にもたらすことができ、作業性が非常によい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態のインクジェットヘッドを示す平面図である。
【図2】図1のインクジェットヘッドのインク流路に沿う断面図である。
【図3】本発明の第1の実施形態のインクジェットヘッドの製造方法において、シリコン基板にガラス基板を接合した状態の圧力室の部分を示す、インク流路に垂直な断面図である。
【図4】図3のガラス基板を薄片化および平滑化した状態の圧力室の部分を示す、インク流路に垂直な断面図である。
【図5】図4のガラス基板を軟化させて変形させた状態の圧力室の部分を示す、インク流路に垂直な断面図である。
【図6】図5のガラス基板上に下電極と圧電体と上電極を形成した状態の圧力室の部分を示す、インク流路に垂直な断面図である。
【図7】図5のガラス基板上に下電極と圧電体と上電極を形成した状態の、インク流路に沿う断面図である。
【図8】本発明の第2の実施形態のインクジェットヘッドを示す平面図である。
【図9】図8のインクジェットヘッドのインク流路に沿う断面図である。
【図10】本発明の第2の実施形態のインクジェットヘッドの製造方法において、ガラス基板を軟化させて変形させた状態の圧力室の部分を示す、インク流路に垂直な断面図である。
【図11】図10のガラス基板を薄片化および平滑化した状態の圧力室の部分を示す、インク流路に垂直な断面図である。
【図12】図11のガラス基板上に下電極と圧電体と上電極を形成した状態の圧力室の部分を示す、インク流路に垂直な断面図である。
【図13】本発明の第3の実施形態のインクジェットヘッドの製造方法において、ガラス基板を軟化させて変形させた状態の圧力室の部分を示す、インク流路に垂直な断面図である。
【図14】図13のガラス基板上に下電極と圧電体と上電極を形成した状態の圧力室の部分を示す、インク流路に垂直な断面図である。
【図15】本発明の第4の実施形態のインクジェットヘッドの製造方法において、ガラス基板を軟化させて変形させた状態の圧力室の部分を示す、インク流路に垂直な断面図である。
【図16】図15のガラス基板を薄片化および平滑化した状態の圧力室の部分を示す、インク流路に垂直な断面図である。
【図17】図16のガラス基板上に下電極と圧電体と上電極を形成した状態の圧力室の部分を示す、インク流路に垂直な断面図である。
【符号の説明】
1 シリコン基板
2 インク流入口
3 インク室
4a,4b,6 オリフィス
5a,5b,7,17,19 圧力室
8 ノズル
9 接合面
10,11,16,18 ガラス基板
10a,11a,11b 凸状部分
12,14 圧電体
13 下電極
15 上電極
16a,18a 凹状部分

Claims (1)

  1. シリコン基板に、圧力室を含むインク流路となる溝を形成する工程と、
    前記シリコン基板の前記溝が形成された面を覆うようにガラス基板を接合する工程と、
    前記ガラス基板を薄片化する工程と、
    前記ガラス基板を熱処理して軟化させ、前記溝の前記圧力室になる部分に対向する部分を、前記圧力室の内側に向かって凸状または凹状に変形させる工程と、前記ガラス基板の、前記溝の前記圧力室になる部分に対向する部分に、下電極、圧電体、および上電極を順次積層する工程とを含むインクジェットヘッドの製造方法。
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