JP2004209713A - インクジェットヘッドの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】振動板と基板との接合をより強固にするとともに、振動板と電気機械変換素子の密着性を上げる。
【解決手段】振動板7と基板1をHeガス雰囲気中で、基板1を陽極、振動板7を陰極として直流を印加することで接合される。接合が不完全な部分にはHeガスの気泡が形成されるが室温まで冷却する間にHeガスは大気中へ放散され気泡は収縮する。機械研磨による振動板7の薄片化の終了後、基板1をスパッタ装置32にて電極8aであるTi、Ptを順番にそれぞれ20nm、150nmの厚さでスパッタ蒸着する。スパッタ蒸着終了後、搬送系31を用いてCVD装置35に基板1を搬送し、分解された有機金属ガスの金属成分のみを基板1に吹き付け、電気機械変換材料薄膜9を成膜する。電気機械変換材料薄膜9の成膜後、さらに、スパッタ装置32にて電極8bを形成する。
【選択図】 図2
【解決手段】振動板7と基板1をHeガス雰囲気中で、基板1を陽極、振動板7を陰極として直流を印加することで接合される。接合が不完全な部分にはHeガスの気泡が形成されるが室温まで冷却する間にHeガスは大気中へ放散され気泡は収縮する。機械研磨による振動板7の薄片化の終了後、基板1をスパッタ装置32にて電極8aであるTi、Ptを順番にそれぞれ20nm、150nmの厚さでスパッタ蒸着する。スパッタ蒸着終了後、搬送系31を用いてCVD装置35に基板1を搬送し、分解された有機金属ガスの金属成分のみを基板1に吹き付け、電気機械変換材料薄膜9を成膜する。電気機械変換材料薄膜9の成膜後、さらに、スパッタ装置32にて電極8bを形成する。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はインクジェットヘッドの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のオンデマンド形ヘッドの一例の構造断面図を図8に示す(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図に示すように、基板101にはノズル105、圧力室104、インク供給路107、インク溜まり106に相当する溝が形成されている。さらに振動板102を基板101に接合することによりそれぞれの機能を有する流路となる。また、振動板102の圧力室104に該当する部分には電気機械変換素子103が接合されている。
【0004】
このようなインクジェットヘッドの動作原理を簡単に説明すると、電気機械変換素子103に電圧を印加すると電気機械変換素子103は横方向に変形しようとするが、振動板102に電気機械変換素子の両端(紙面に垂直側)が拘束されているために振動板102が撓み変形を起こし圧力室104に圧力を発生する。印加していた電圧を解除するにより圧力室は変形してインク溜まり106よりインク供給路107を通じてインクが圧力室104に流入する。さらにもう一度圧力室104に駆動電圧波形を印加するとこの圧力によりインクはノズル105に押し出されインク滴108となって飛翔する。この一連の動作を適宜行うことにより高速でインク滴を飛翔させ紙等の記録媒体に記録がなされる。
【0005】
このようなインクジェットヘッドにおいては、直径20umから40umの小さなインク滴を飛ばす必要がある。そのためにノズル105は70um2から300um2の断面積を有するような三角形や四角形などの多角形あるいは円形形状が必要とされる。さらに、ノズル105に連通する圧力室104やインク供給路107、インク溜まり106も精密な加工が要求される。通常、基板101の材質としては、ガラスまたはシリコンが用いられ、フォトエッチングにより流路を精密に形成する。また、振動板102を基板101に接合する場合も、微細流路を形成するためにはみだしてしまうおそれのある接着剤などは使用することができず、拡散接合や陽極接合といった直接接合法が用いられる。また、陽極接合時の振動板とインク室の密着性を向上させる方法も開示されている(例えば、特許文献2、特許文献3参照)。
【0006】
ここで、これら一連の流路形成方法について図9を用いて詳細に説明する。
【0007】
図9(a)〜(f)は、図8に示す記録ヘッドのA−A’断面図を示しており、基板に流路を形成する一連の工程を示したものである。
【0008】
まず、図9(a)に示すように、シリコン基板101の両面にエッチングマスクとなるシリコン窒化膜111を熱窒化法を用いて被着させる。
【0009】
次に、図9(b)に示すようにフォトエッチングによって流路となるべき部分のシリコン窒化膜を除去し、除去部112を形成する。
【0010】
次に、図9(c)に示すように、図9(b)の工程で残したシリコン窒化膜111をマスクとして、シリコン基板101をKOHを用いてエッチングし流路104を形成する。
【0011】
次に、図9(d)に示すように、前述のごとく形成された流路104は、シリコンが露出しているため、アルカリ性のインクによって腐蝕されたり、シリコンそのものは、はっ水性であるためインクの流動が悪くなったり気泡をかみやすくなったりするので、表面に保護膜を付ける必要があり基板101を熱酸化すると、シリコンの露出している流路面のみにシリコン酸化膜114が形成され前述の保護膜となる。
【0012】
図9(e)の工程では、最終的にガラスの振動板102を陽極接合するときに、障害となるシリコン窒化膜111を熱燐酸で除去する。この時シリコン酸化膜114は、熱燐酸では除去できないので、このまま流路104内壁に残る。
【0013】
最後に図9(f)に示すように、シリコン基板101と振動板102を陽極接合法により接合して一体化する。陽極接合の具体的な方法としては、基板101と振動板102を重ねた状態で400℃に加熱し、このままの状態でシリコン基板101を陽極に、振動板102を陰極として300Vの電圧を加えると数分の間に接合が完了する。この方法は、精密かつ微細な溝を有するインクジェットヘッドのごときものには、接合面が強固なことと接着剤を使用しないこと、精密な接合が簡単にできることで極めて有効な方法であるが、接合できる材質同志の組み合わせがあり、一般的には、無機の絶縁物に対してもう一方の部材は金属あるいは半導体が用いられる。
【0014】
【特許文献1】
特開昭54−146633号公報
【特許文献2】
特開平5−16353号公報
【特許文献3】
特開平5−24201号公報
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述したように、ガラスの振動板をインク室であるSi基板に陽極接合する際に大気中で行うと振動板と基板界面に残留した大気が抜けず気泡が形成され、後プロセスで破損してしまう場合があった。
【0016】
またガラスの振動板をインクジェットヘッドの振動板に用いるためには薄片化する必要があるが、機械研磨などにより薄片化した場合、上述した気泡部分で割れを生じたり、研磨傷や研磨時の歪などが振動板に残り、駆動電圧を印加して振動板を変位させたときに残留応力により破損する場合があった。
【0017】
さらに、電気機械変換素子を振動板に接合させるために接着剤などを用いた場合、素子と振動板との間に接着剤を均一に塗布しなければならないだけでなく、均一に荷重を印加しないと界面に不接着部分が形成され、振動板を均一に撓ませることができないなどの問題を生じる場合があった。
【0018】
一方、接合に陽極接合を用いた場合には振動板の表面を大気に曝してしまうために表面の清浄化が必要となり、素子作製プロセスが複雑となる。また、薄膜電気機械変換素子の場合には基板上に薄膜が形成されるが、この基板の熱膨張係数が振動板と大きく異なると陽極接合後に基板温度を室温に下げた際、熱膨張係数差で振動板が反ってインク室を破壊してしまう問題もあった。
【0019】
そこで、本発明は、振動板と基板との陽極接合時の接合をより強固にするとともに、振動板と電気機械変換素子の密着性を上げ、さらに素子化プロセスが容易になることでヘッドを精密に高密度化することが可能なインクジェットヘッドの製造方法を提供することを目的とする。
【0020】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため本発明のインクジェットヘッドの製造方法は、インクの流路となる流路溝を有する基板、該基板に接合されることで、前記流路溝を、少なくとも、インクを吐出させる圧力を印加する圧力室と、インクを前記圧力室へと供給するインク供給路とに形成する振動板、および前記圧力室上に前記振動板を変位させるための電気機械変換素子を有するインクジェットヘッドの製造方法において、前記振動板と前記基板とが不活性ガス雰囲気中で陽極接合される接合工程と、前記接合工程後に、前記振動板を機械研磨により研磨する研磨工程と、前記研磨工程後に、研磨された前記振動板を備えた前記基板を真空雰囲気内で加熱し、前記振動板に第1の電極を成膜する第1の電極成膜工程と、第1の電極成膜工程後に連続して、前記第1の電極上に電気機械変換材料を成膜する電気機械変換材料成膜工程と、電気機械変換材料成膜工程後に連続して、成膜された前記電気機械変換材料上に第2の電極を成膜する第2の電極成膜工程とを含むことを特徴とする。
【0021】
上記のとおり、本発明のインクジェットヘッドの製造方法は、接合工程にて、振動板と基板とを不活性ガス雰囲気中で陽極接合する。これにより、振動板と基板界面に生じる不接合部分には不活性ガスが残留し気泡となる。しかし気泡中の不活性ガスは、時間経過とともに振動板の粒界を介して大気中に放散され気泡は解消することになる。
【0022】
さらに、研磨工程にて、振動板を機械研磨により研磨し、続く1の電極成膜工程では、この研磨された振動板を備えた基板を真空雰囲気内で加熱し、振動板に第1の電極を成膜する。基板と接合した振動板を機械研磨でインクジェットヘッドに使用できる振動板の厚さまで研磨するが、その際に生じる研磨傷や研磨歪を解消するためにガラス振動板の軟化点以下の温度に加熱し研磨傷の回復と研磨歪による残留応力を解消させる。この時の加熱手段として、例えば、スパッタ装置を用いると加熱により振動板の研磨傷や研磨歪を回復させるともに振動板表面が清浄化される。
【0023】
第1の電極成膜工程後に連続する電気機械変換材料成膜工程にて、第1の電極上に電気機械変換材料を成膜し、さらに、電気機械変換材料成膜工程後に連続する第2の電極成膜工程にて、成膜された電気機械変換材料上に第2の電極を成膜する。これら各工程を連続して行うことで、電極と材料界面に界面準位が形成されずに良質な結晶が成膜することが可能となる。さらに電気機械変換材料上に電極を連続成膜することで密着性を上げた電極を形成することが可能となる。
【0024】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
(第1の実施形態)
図1および図2を参照して本実施形態のインクジェットヘッドの製造方法について説明する。図1は流路の圧力室部分(図2におけるB−B’線)での断面図であり、図2は流路の側面断面図である。
【0025】
図1(a)において基板1は両面ミラーSi(100)面を用いる。まず、KOHによるプロセスから基板を保護するために熱酸化工程により両面に保護用の熱酸化膜2を0.5um成膜する。次に、耐蝕皮膜としての窒化膜3をLPCVD(減圧化学的気相成長法)を用いて0.2um両面に成膜する。
【0026】
次に、図2(a)に示すようにフォトリソグラフィ工程によりインク供給口となる裏面の窒化膜にパターニングを行い、ドライエッチングで窒化膜3を除去する。さらに開口部の熱酸化膜2をBHF(バッファふっ酸)により除去し、KOHで開口部のSiをエッチングし、インク供給口11を形成する。
【0027】
次に、基板1の表面側に、ノズル、圧力室、インク溜め等となる流路12を形成するが、図2(a)に示すように裏面に開口しているインク供給口11の内面のSiが露出しているので、このSiを保護するために、図2(b)に示すように再度熱酸化工程により0.1um程度の熱酸化膜4をインク供給口11の内面に予め成膜しておく。
【0028】
次に、図1(b)に示すように流路12を形成するためにフォトリソグラフィ工程を行い流路部分以外をマスクし、ドライエッチングにより窒化膜3を除去し、BHFで熱酸化膜2を除去する。
【0029】
さらに図1(c)で示すようにKOHにより流路部分のエッチングを行う。時間経過とともにSi(111)面が露出しエッチングが終了し、図1(c)および図2(c)で示されるように複雑な流路12が形成される。この際、インク供給口11は内面に形成した熱酸化膜4によって保護されているので、エッチングは進行しない。このようにして形成した流路12とインク供給口11とは酸化膜メンブレン5で分離されている状態となる。これら流路12とインク供給口11とを貫通させるためにBHFで酸化膜メンブレン5を除去すると図2(d)の状態となる。さらに図1(d)に示すように流路12、インク供給口11内を親水性とするためと、インクに対する耐性とを強化するために再度、熱酸化膜工程を経て流路12内とインク供給口11内面とに酸化膜6を被せる。
【0030】
次に流路12およびインク供給口11をレジストで保護(不図示)し、Si基板両面の窒化膜3と熱酸化膜2をそれぞれドライエッチングとBHFにより除去した。その後、流路12とインク供給口11内のレジストを除去する。この状態を図1(e)および図2(e)に示す。振動板を接合する前工程としては流路作製プロセスを通した基板を硫酸過酸化水素水で表面洗浄を行い残留レジストなどを剥離する。
【0031】
次に振動板と基板の接合工程について説明する。図1(f)および図2(f)において振動板7(30um厚、コーニング社製 パイレックスガラス(登録商標))を基板1の流路12側に位置合わせを行い、上下から振動板7と基板1をはさみこむ。この状態で接合部分をHeガス雰囲気とし、ガス雰囲気中で基板1をホットプレート(不図示)により400℃に加熱した後、基板1を陽極、そして振動板7を陰極として直流250Vを10〜15分間印加する。これにより振動板7と基板1は接合される。この状態で接合が不完全な部分にはHeガスの気泡が形成されるが室温まで冷却する間にHeガスは大気中へ放散され気泡は収縮する。
【0032】
なお、本発明のインクジェットヘッドの製造方法により製造されるインクジェットヘッドの基板は、上述したようにSi製で、かつ振動板がSiと同等の熱膨張係数を有するガラス基体であることが好ましい。また、ガラス基体は、ソーダライムガラス、ホウケイ酸ガラス、アルミノケイ酸ガラスからなる群より選ばれたものからなるものであってもよい。
【0033】
次に振動板7の薄片化を行う。薄片化工程では、基板1に作製した流路12、インク供給口11および振動板7が破損しないようにレジストをインク供給口11より充填し、振動板7側が表面となるように基板1を機械研磨機の研磨基体に低温ロウ材で均一になるように貼付けて機械研磨を行う。振動板7の厚さは図3に示すように薄ければ薄い程、変位量は増大するが、後プロセスのことを考慮すると極端な薄さにすることは不可能であり本実施形態では5um±1umを目標とした。研磨には1umダイヤモンドスラリを用いて30umから10umくらいまでラッピング研磨し、仕上げ工程としてポリッシング研磨により目標値に追い込んだ。このようにして薄片化された振動板7を備えた基板1を湯煎して研磨基体からロウ材を溶かして剥離する。さらに流路12およびインク供給口11内のレジストを有機溶剤を用いて除去した状態を図1(g)および図2(g)に示す。
【0034】
以上のように、本発明のインクジェットヘッドの製造方法においては、不活性ガス雰囲気中の雰囲気ガスがHeガスであってもよいし、振動板の厚さを10um以下とする工程を含むものであってもよい。
【0035】
以上の工程を経ることでインクジェットヘッドの流路は全て形成された。
【0036】
続いて、この基板1に、図4に示す真空成膜装置を用いて、図1(h)および図2(h)に示すように圧力室にあたる振動板7の上に電気機械変換材料薄膜9および電極8a、8bを形成する工程を説明する。
【0037】
本実施形態で用いた真空成膜装置は、電極を形成するスパッタ装置32と、電気機械変換材料を形成する有機金属CVD装置35と、これらを繋ぎ、基板を搬送する、真空トンネルである搬送系31とを有する。
【0038】
まずロードロック室30に基板1を入れてオイルフリー状態での真空排気を行い搬送系31にてロードロック室右側のマグネトロン多元スパッタ装置32に導入する。
【0039】
まず、基板1をスパッタ装置32の基板加熱機構33にセットし、約500℃に加熱する。真空排気されていることで振動板7と基板1との界面に生じた残留Heガスによる気泡は強制的に外部に放散され気泡内部は真空となり振動板7とSi基板1とは接触する。また、加熱されることで振動板7と基板1が接合され強固に接合されることとなる。加えて、この加熱工程で振動板7表面もポリッシングで取りきれなかった研磨傷などが修復され、研磨時の残留応力も除去されることになる。
【0040】
基板を昇温してから3時間程経過すると基板温度が安定するのでスパッタターゲット34を用いて電極8aであるTi、Ptを順番にそれぞれ20nm、150nmの厚さでスパッタ蒸着する。このように、本発明のインクジェットヘッドの製造方法においては、電極成膜工程での電極を、基板の温度が振動板の軟化点以下となる温度で成膜する工程を含むものであってもよい。
【0041】
スパッタ蒸着終了後、基板温度を下げて100℃以下になった状態でロードロック室30の搬送系31を用いてCVD装置35に基板1を搬送する。搬送後、CVD装置35の基板加熱機構36にセットし基板温度を再度500℃に昇温する。基板温度が安定した後、構成元素である有機金属ガス38をそれぞれのガスセル37に導入しガスセル37内で有機金属ガスを分解し、金属成分のみを基板1に吹き付ける。この時に金属成分のみを効率良く吹き付けるためにガスセル37と基板加熱機構36にセットされた基板との間に電界を印加する。また基板上で酸化物を形成するために酸素ガス(不図示)も吹き付ける。このような工程で電極8a上に界面準位を形成することなく電極8aと密着の良い電気機械変換材料薄膜9を成膜することができる。すなわち、本発明のインクジェットヘッドの製造方法においては、電気機械変換材料を、振動板の軟化点以下の基板温度で結晶化させる工程を含むものであってもよい。また、電気機械変換材料は、水晶、ペロブスカイト系結晶、タングステンブロンズ系結晶、ウルツ鉱型結晶であり好ましくはチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)チタン酸鉛、チタン酸バリウム、チタン酸カルシウム、ニオブ酸リチウム、タンタル酸リチウム、ニオブ酸バリウムからなる群より選ばれたものの積層膜、あるいはバルク焼結体であってもよい。
【0042】
さらに成膜した後、基板温度を下げ、電気機械変換材料薄膜9上に電極8bを形成するためにCVD装置35よりロードロック室30の搬送系31を用いてスパッタ装置32に搬送する。スパッタ蒸着は室温でTi、Auの順番にそれぞれ20nm、100nmの厚さでスパッタ蒸着を行う。このように、本発明のインクジェットヘッドの製造方法においては、電極成膜工程での電極を、基板の温度が振動板の軟化点以下となる温度で成膜する工程を含むものであってもよい。
【0043】
上述した工程によって基板1上に電極8a、8b、電気機械変換材料薄膜9を連続成膜した後、フォトリソグラフィ工程を経ることにより振動板7上に電気機械変換素子9aを形成し、ノズル作製、インク供給口を形成する(不図示)ことでインクジェットヘッドができ上がる。
【0044】
以上説明した本実施形態の製造方法によって製造されたインクジェットヘッドは、振動板7がバルク材料であるために薄片化してもピンホールが無く様々なインクに耐性があり、振動板7の上部に形成される電気機械変換素子9aに悪影響を与えることがない。また、接合時の気泡も成膜工程で除去され振動板7自体の研磨傷や研磨歪も加熱処理により緩和されるので、振動板7自体も撓み振動に強くなり振動板7の耐久性も向上した。さらに振動板7上に電極8a、8b、電気機械変換材料薄膜9を連続成膜するので、従来行っていた接着等によるプロセスが簡略化でき、同時に振動板7と電気機械変換素子9aの密着が均一になり振動板7への電気機械変換素子9aによる力が効率よく伝えることができるので良好な吐出特性が得られるインクジェットヘッドを作製することができる。
(第2の実施形態)
図5および図6を参照して本実施形態のインクジェットヘッドの製造方法について説明する。なお、以下の説明では、第1の実施形態と同じ構成要素に関しては、第1の実施形態と同じ符号を用いて説明するものとする。
【0045】
図5および図6は、本実施形態の製造方法により製造されるインクジェットヘッドの断面図であり、図5(a)から(d)までは、インクジェットヘッドの流路のノズル部分の断面図であり、図6(a)から(d)に示す、製造工程におけるインクジェットヘッドの側断面図のC−C’断面を示すものである。また、図5(e)から(h)までは流路の圧力室部分の断面図であり、図6(e)から(h)
に示す、製造工程におけるインクジェットヘッドの側断面図のD−D’断面を示すものである。
【0046】
本実施形態においては流路の形成に、第1の実施形態で示したKOHを用いる異方性エッチングではなく、プラズマドライエッチング(ICP)を用いた。図5(a)および図6(a)に示すようにシリコン基板1の表面にエッチングマスクとして用いるための熱酸化膜2を形成する。
【0047】
次に、図5(b)および図6(b)に示すようにノズル口およびインク供給口を形成するためにフォトリソグラフィ工程によりマスクし、熱酸化膜2をBHFでエッチングする。
【0048】
次に、図5(c)および図6(c)に示すように、この基板1を上述したICPを用いてCF4あるいはSF6でプラズマエッチングを行い、ノズル口21a、インク供給口21bを形成する。
【0049】
次に、圧力室23を形成するためにドライエッチングを行うが、このドライエッチングからノズル口21aおよびインク供給口21bを保護するために、図5(d)および図6(d)に示すように内面に熱酸化膜22を形成しておく。さらにフォトリソグラフィ工程により図5(e)および図6(e)に示すように圧力室部分23aを開口し、ノズル口21aおよびインク供給口21bにレジストを充填(不図示)した後、BHFで圧力室部分23aの熱酸化膜2を除去する。
【0050】
次に、ICPで2度目のプラズマエッチングを行うことで圧力室23が形成され、これにより、図5(f)および図6(f)に示すようにノズル口21a、圧力室23、インク供給口21bが形成される。続いて、上述した工程を経て形成された基板の全ての熱酸化膜をBHFにより除去し、硫酸過酸化水素水で洗浄する。
【0051】
次に、図5(g)および図6(g)に示すように、振動板24を第1の実施形態と同様にHeガス雰囲気中で陽極接合により形成し、さらに研磨を行う。このようにして形成した振動板24上に第1の実施形態と同様に、図3に示した真空成膜装置の、スパッタ装置32によるスパッタ蒸着でPt/Ti電極8aを、CVD装置35により電気機械変換材料薄膜9を成膜し、その後さらにスパッタ装置32によるスパッタ蒸着によりAu/Ti電極8bを連続形成する。このようにして形成した基板を図5(h)および図6(h)に示す。
【0052】
成膜した電極8bおよび電気機械変換材料薄膜9を、フォトリソグラフィ、エッチング工程を経ることで、電気機械変換素子9aに形成する。
【0053】
次に、この基板裏面にノズル26およびインク供給口27を有する30um厚のパイレックスガラス製のノズルプレート25を陽極接合し、インク供給口27には共通インク室28を接着する。このようにして形成したインクジェットヘッドを図5(i)および図6(i)に示す。
【0054】
以上説明した本実施形態の製造方法によって製造されたインクジェットヘッドは、インク室作製にドライエッチングを用いているのでプロセス工程が簡略化され、大面積化、高密度化が可能となった。また流路を形成している基板表面がKOHなどのウェットエッチングにさらされないため、熱酸化膜や熱窒化膜に形成されたピンホールを介しての表面エッチングの無くすことができるようになった。このために振動板24をインク室に陽極接合する時に界面に気泡が形成される確率が小さくなり、研磨工程で振動板24を破損する問題が無くなった。ノズルプレート25も陽極接合で形成しているので電気機械変換素子9aによる圧力上昇にも強く、良好な吐出特性を得ることができた。
【0055】
なお、第1および第2の実施形態では500℃で結晶化する電気機械変換材料を例にしたので電極8aがPt/Tiであったが、これに拘るものではなく、より低温で結晶化する材料、例えばZnOなどは250℃で十分なので電極材料としてはAu/Tiが使用することができる。また、各実施形態で示した数値、あるいは材質等も一例であり、本発明はこれらの数値および材質に限定されるものではない。
(第3の実施形態)
第1の実施形態あるいは第2の実施形態のインクジェットヘッドを複数装備したインクジェット記録装置の一例の外観斜視図を図7に示す。
【0056】
本体シャーシ212にはガイドシャフト209が取付けられ、キャリッジ208は、矢印B方向に摺動自在にガイドシャフト209に支持されている。このキャリッジ208は、駆動プーリ213とアイドラプーリ214との間に張設されたタイミングベルト210にキャリッジ208の一部が固定されており、キャリッジモータ211の回転に応じガイドシャフト209に沿って矢印B方向に往復移動可能である。なお、本実施形態において、カートリッジ201はインクを吐出することで記録用紙204に記録を行うものであり、電気機械変換素子駆動回路を備え、吐出口が図示下向きに形成されたインクジェットヘッド231およびインクタンク215が一体化されている。
【0057】
カートリッジ201はキャリッジ202に着脱自在に搭載され、このカートリッジ201を駆動するための電流や信号を送受信するフレキシブルケーブル222を介して不図示の記録制御部と電気的に接続される。
【0058】
また、インクジェット記録装置は、インクジェットヘッド231のインク吐出特性を回復するための回復手段を有するキャップユニット203を有する。キャップユニット203は、インクジェットヘッド231に対応したキャップ部材206と、ゴム等の部材からなるワイパーブレード207とを具備する。このような構成からなるインクジェット記録装置は、インクジェットヘッド231を被記録媒体の搬送方向Aと直行する方向(主走査方向)Bにシリアルスキャンさせて、インクジェットヘッド231のノズル数に対応した幅の記録を行い、一方で非記録時に被記録媒体を記録幅に等しい送り量で間欠的に搬送するものである。
【0059】
本実施形態の記録装置は高解像度・高速印字が可能で従来と比較して消費電力、高密度化、大面積化、耐久性の向上などが可能となった。
【0060】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、振動板と基板とを不活性ガス雰囲気中で陽極接合の際に、不接合部分に生じた不活性ガスの気泡は時間経過とともに振動板の粒界を介して大気中に放散され気泡は解消するため、機械研磨による薄片化において気泡部分で割れを生じることがない。また、この研磨された振動板を備えた基板を真空雰囲気内で加熱し、振動板に第1の電極を成膜することで、研磨傷の回復と研磨歪による残留応力を解消させることができる。さらに、連続して第1の電極上に電気機械変換材料、および第2の電極を成膜することで振動板と電極層の密着性を向上させることができる。このように、本発明によれば、素子化プロセスが容易になるため、精密、かつ高密度化されたインクジェットヘッドを製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るインクジェットヘッドの、流路製作工程および電気機械変換素子の成膜工程における断面図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係るインクジェットヘッドの、流路製作工程および電気機械変換素子の成膜工程における側断面図である。
【図3】振動板の膜厚と変位量の関係を示すグラフである。
【図4】本発明に用いた真空成膜装置の概略構成図である。
【図5】本発明の第2の実施形態に係るインクジェットヘッドの、流路製作工程および電気機械変換素子の成膜工程における断面図である。
【図6】本発明の第2の実施形態に係るインクジェットヘッドの、流路製作工程および電気機械変換素子の成膜工程における側断面図である。
【図7】本発明のインクジェット記録ヘッド適用が可能なインクジェット記録装置の一例の斜視図である。
【図8】従来のオンデマンド型インクジェットヘッドの一例の概略を示す構成断面図である。
【図9】従来のインクジェットヘッドの各流路製作工程におけるインクジェットヘッドの断面図である。
【符号の説明】
1 基板
2、4、22 熱酸化膜
3 窒化膜
5 酸化膜メンブレン
6 酸化膜
7 振動板
8a 電極
8b 電極
9 電気機械変換材料薄膜
9a 電気機械変換素子
11 インク供給口
12 流路
21a ノズル口
21b インク供給口
23 圧力室
23a 圧力室部分
24 振動板
25 ノズルプレート
26 ノズル
27 インク供給口
28 共通インク室
30 ロードロック室
31 搬送系
32 スパッタ装置
33 基板加熱機構
34 スパッタターゲット
35 CVD装置
36 基板加熱機構
37 ガスセル
38 有機金属ガス
201 カートリッジ
202 キャリッジ
203 キャップユニット
204 記録用紙
206 キャップ部材
207 ワイパーブレード
208 キャリッジ
209 ガイドシャフト
210 タイミングベルト
211 キャリッジモータ
212 本体シャーシ
213 駆動プーリ
214 アイドラプーリ
215 インクタンク
222 フレキシブルケーブル
231 インクジェット記録ヘッド
【発明の属する技術分野】
本発明はインクジェットヘッドの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のオンデマンド形ヘッドの一例の構造断面図を図8に示す(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図に示すように、基板101にはノズル105、圧力室104、インク供給路107、インク溜まり106に相当する溝が形成されている。さらに振動板102を基板101に接合することによりそれぞれの機能を有する流路となる。また、振動板102の圧力室104に該当する部分には電気機械変換素子103が接合されている。
【0004】
このようなインクジェットヘッドの動作原理を簡単に説明すると、電気機械変換素子103に電圧を印加すると電気機械変換素子103は横方向に変形しようとするが、振動板102に電気機械変換素子の両端(紙面に垂直側)が拘束されているために振動板102が撓み変形を起こし圧力室104に圧力を発生する。印加していた電圧を解除するにより圧力室は変形してインク溜まり106よりインク供給路107を通じてインクが圧力室104に流入する。さらにもう一度圧力室104に駆動電圧波形を印加するとこの圧力によりインクはノズル105に押し出されインク滴108となって飛翔する。この一連の動作を適宜行うことにより高速でインク滴を飛翔させ紙等の記録媒体に記録がなされる。
【0005】
このようなインクジェットヘッドにおいては、直径20umから40umの小さなインク滴を飛ばす必要がある。そのためにノズル105は70um2から300um2の断面積を有するような三角形や四角形などの多角形あるいは円形形状が必要とされる。さらに、ノズル105に連通する圧力室104やインク供給路107、インク溜まり106も精密な加工が要求される。通常、基板101の材質としては、ガラスまたはシリコンが用いられ、フォトエッチングにより流路を精密に形成する。また、振動板102を基板101に接合する場合も、微細流路を形成するためにはみだしてしまうおそれのある接着剤などは使用することができず、拡散接合や陽極接合といった直接接合法が用いられる。また、陽極接合時の振動板とインク室の密着性を向上させる方法も開示されている(例えば、特許文献2、特許文献3参照)。
【0006】
ここで、これら一連の流路形成方法について図9を用いて詳細に説明する。
【0007】
図9(a)〜(f)は、図8に示す記録ヘッドのA−A’断面図を示しており、基板に流路を形成する一連の工程を示したものである。
【0008】
まず、図9(a)に示すように、シリコン基板101の両面にエッチングマスクとなるシリコン窒化膜111を熱窒化法を用いて被着させる。
【0009】
次に、図9(b)に示すようにフォトエッチングによって流路となるべき部分のシリコン窒化膜を除去し、除去部112を形成する。
【0010】
次に、図9(c)に示すように、図9(b)の工程で残したシリコン窒化膜111をマスクとして、シリコン基板101をKOHを用いてエッチングし流路104を形成する。
【0011】
次に、図9(d)に示すように、前述のごとく形成された流路104は、シリコンが露出しているため、アルカリ性のインクによって腐蝕されたり、シリコンそのものは、はっ水性であるためインクの流動が悪くなったり気泡をかみやすくなったりするので、表面に保護膜を付ける必要があり基板101を熱酸化すると、シリコンの露出している流路面のみにシリコン酸化膜114が形成され前述の保護膜となる。
【0012】
図9(e)の工程では、最終的にガラスの振動板102を陽極接合するときに、障害となるシリコン窒化膜111を熱燐酸で除去する。この時シリコン酸化膜114は、熱燐酸では除去できないので、このまま流路104内壁に残る。
【0013】
最後に図9(f)に示すように、シリコン基板101と振動板102を陽極接合法により接合して一体化する。陽極接合の具体的な方法としては、基板101と振動板102を重ねた状態で400℃に加熱し、このままの状態でシリコン基板101を陽極に、振動板102を陰極として300Vの電圧を加えると数分の間に接合が完了する。この方法は、精密かつ微細な溝を有するインクジェットヘッドのごときものには、接合面が強固なことと接着剤を使用しないこと、精密な接合が簡単にできることで極めて有効な方法であるが、接合できる材質同志の組み合わせがあり、一般的には、無機の絶縁物に対してもう一方の部材は金属あるいは半導体が用いられる。
【0014】
【特許文献1】
特開昭54−146633号公報
【特許文献2】
特開平5−16353号公報
【特許文献3】
特開平5−24201号公報
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述したように、ガラスの振動板をインク室であるSi基板に陽極接合する際に大気中で行うと振動板と基板界面に残留した大気が抜けず気泡が形成され、後プロセスで破損してしまう場合があった。
【0016】
またガラスの振動板をインクジェットヘッドの振動板に用いるためには薄片化する必要があるが、機械研磨などにより薄片化した場合、上述した気泡部分で割れを生じたり、研磨傷や研磨時の歪などが振動板に残り、駆動電圧を印加して振動板を変位させたときに残留応力により破損する場合があった。
【0017】
さらに、電気機械変換素子を振動板に接合させるために接着剤などを用いた場合、素子と振動板との間に接着剤を均一に塗布しなければならないだけでなく、均一に荷重を印加しないと界面に不接着部分が形成され、振動板を均一に撓ませることができないなどの問題を生じる場合があった。
【0018】
一方、接合に陽極接合を用いた場合には振動板の表面を大気に曝してしまうために表面の清浄化が必要となり、素子作製プロセスが複雑となる。また、薄膜電気機械変換素子の場合には基板上に薄膜が形成されるが、この基板の熱膨張係数が振動板と大きく異なると陽極接合後に基板温度を室温に下げた際、熱膨張係数差で振動板が反ってインク室を破壊してしまう問題もあった。
【0019】
そこで、本発明は、振動板と基板との陽極接合時の接合をより強固にするとともに、振動板と電気機械変換素子の密着性を上げ、さらに素子化プロセスが容易になることでヘッドを精密に高密度化することが可能なインクジェットヘッドの製造方法を提供することを目的とする。
【0020】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため本発明のインクジェットヘッドの製造方法は、インクの流路となる流路溝を有する基板、該基板に接合されることで、前記流路溝を、少なくとも、インクを吐出させる圧力を印加する圧力室と、インクを前記圧力室へと供給するインク供給路とに形成する振動板、および前記圧力室上に前記振動板を変位させるための電気機械変換素子を有するインクジェットヘッドの製造方法において、前記振動板と前記基板とが不活性ガス雰囲気中で陽極接合される接合工程と、前記接合工程後に、前記振動板を機械研磨により研磨する研磨工程と、前記研磨工程後に、研磨された前記振動板を備えた前記基板を真空雰囲気内で加熱し、前記振動板に第1の電極を成膜する第1の電極成膜工程と、第1の電極成膜工程後に連続して、前記第1の電極上に電気機械変換材料を成膜する電気機械変換材料成膜工程と、電気機械変換材料成膜工程後に連続して、成膜された前記電気機械変換材料上に第2の電極を成膜する第2の電極成膜工程とを含むことを特徴とする。
【0021】
上記のとおり、本発明のインクジェットヘッドの製造方法は、接合工程にて、振動板と基板とを不活性ガス雰囲気中で陽極接合する。これにより、振動板と基板界面に生じる不接合部分には不活性ガスが残留し気泡となる。しかし気泡中の不活性ガスは、時間経過とともに振動板の粒界を介して大気中に放散され気泡は解消することになる。
【0022】
さらに、研磨工程にて、振動板を機械研磨により研磨し、続く1の電極成膜工程では、この研磨された振動板を備えた基板を真空雰囲気内で加熱し、振動板に第1の電極を成膜する。基板と接合した振動板を機械研磨でインクジェットヘッドに使用できる振動板の厚さまで研磨するが、その際に生じる研磨傷や研磨歪を解消するためにガラス振動板の軟化点以下の温度に加熱し研磨傷の回復と研磨歪による残留応力を解消させる。この時の加熱手段として、例えば、スパッタ装置を用いると加熱により振動板の研磨傷や研磨歪を回復させるともに振動板表面が清浄化される。
【0023】
第1の電極成膜工程後に連続する電気機械変換材料成膜工程にて、第1の電極上に電気機械変換材料を成膜し、さらに、電気機械変換材料成膜工程後に連続する第2の電極成膜工程にて、成膜された電気機械変換材料上に第2の電極を成膜する。これら各工程を連続して行うことで、電極と材料界面に界面準位が形成されずに良質な結晶が成膜することが可能となる。さらに電気機械変換材料上に電極を連続成膜することで密着性を上げた電極を形成することが可能となる。
【0024】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
(第1の実施形態)
図1および図2を参照して本実施形態のインクジェットヘッドの製造方法について説明する。図1は流路の圧力室部分(図2におけるB−B’線)での断面図であり、図2は流路の側面断面図である。
【0025】
図1(a)において基板1は両面ミラーSi(100)面を用いる。まず、KOHによるプロセスから基板を保護するために熱酸化工程により両面に保護用の熱酸化膜2を0.5um成膜する。次に、耐蝕皮膜としての窒化膜3をLPCVD(減圧化学的気相成長法)を用いて0.2um両面に成膜する。
【0026】
次に、図2(a)に示すようにフォトリソグラフィ工程によりインク供給口となる裏面の窒化膜にパターニングを行い、ドライエッチングで窒化膜3を除去する。さらに開口部の熱酸化膜2をBHF(バッファふっ酸)により除去し、KOHで開口部のSiをエッチングし、インク供給口11を形成する。
【0027】
次に、基板1の表面側に、ノズル、圧力室、インク溜め等となる流路12を形成するが、図2(a)に示すように裏面に開口しているインク供給口11の内面のSiが露出しているので、このSiを保護するために、図2(b)に示すように再度熱酸化工程により0.1um程度の熱酸化膜4をインク供給口11の内面に予め成膜しておく。
【0028】
次に、図1(b)に示すように流路12を形成するためにフォトリソグラフィ工程を行い流路部分以外をマスクし、ドライエッチングにより窒化膜3を除去し、BHFで熱酸化膜2を除去する。
【0029】
さらに図1(c)で示すようにKOHにより流路部分のエッチングを行う。時間経過とともにSi(111)面が露出しエッチングが終了し、図1(c)および図2(c)で示されるように複雑な流路12が形成される。この際、インク供給口11は内面に形成した熱酸化膜4によって保護されているので、エッチングは進行しない。このようにして形成した流路12とインク供給口11とは酸化膜メンブレン5で分離されている状態となる。これら流路12とインク供給口11とを貫通させるためにBHFで酸化膜メンブレン5を除去すると図2(d)の状態となる。さらに図1(d)に示すように流路12、インク供給口11内を親水性とするためと、インクに対する耐性とを強化するために再度、熱酸化膜工程を経て流路12内とインク供給口11内面とに酸化膜6を被せる。
【0030】
次に流路12およびインク供給口11をレジストで保護(不図示)し、Si基板両面の窒化膜3と熱酸化膜2をそれぞれドライエッチングとBHFにより除去した。その後、流路12とインク供給口11内のレジストを除去する。この状態を図1(e)および図2(e)に示す。振動板を接合する前工程としては流路作製プロセスを通した基板を硫酸過酸化水素水で表面洗浄を行い残留レジストなどを剥離する。
【0031】
次に振動板と基板の接合工程について説明する。図1(f)および図2(f)において振動板7(30um厚、コーニング社製 パイレックスガラス(登録商標))を基板1の流路12側に位置合わせを行い、上下から振動板7と基板1をはさみこむ。この状態で接合部分をHeガス雰囲気とし、ガス雰囲気中で基板1をホットプレート(不図示)により400℃に加熱した後、基板1を陽極、そして振動板7を陰極として直流250Vを10〜15分間印加する。これにより振動板7と基板1は接合される。この状態で接合が不完全な部分にはHeガスの気泡が形成されるが室温まで冷却する間にHeガスは大気中へ放散され気泡は収縮する。
【0032】
なお、本発明のインクジェットヘッドの製造方法により製造されるインクジェットヘッドの基板は、上述したようにSi製で、かつ振動板がSiと同等の熱膨張係数を有するガラス基体であることが好ましい。また、ガラス基体は、ソーダライムガラス、ホウケイ酸ガラス、アルミノケイ酸ガラスからなる群より選ばれたものからなるものであってもよい。
【0033】
次に振動板7の薄片化を行う。薄片化工程では、基板1に作製した流路12、インク供給口11および振動板7が破損しないようにレジストをインク供給口11より充填し、振動板7側が表面となるように基板1を機械研磨機の研磨基体に低温ロウ材で均一になるように貼付けて機械研磨を行う。振動板7の厚さは図3に示すように薄ければ薄い程、変位量は増大するが、後プロセスのことを考慮すると極端な薄さにすることは不可能であり本実施形態では5um±1umを目標とした。研磨には1umダイヤモンドスラリを用いて30umから10umくらいまでラッピング研磨し、仕上げ工程としてポリッシング研磨により目標値に追い込んだ。このようにして薄片化された振動板7を備えた基板1を湯煎して研磨基体からロウ材を溶かして剥離する。さらに流路12およびインク供給口11内のレジストを有機溶剤を用いて除去した状態を図1(g)および図2(g)に示す。
【0034】
以上のように、本発明のインクジェットヘッドの製造方法においては、不活性ガス雰囲気中の雰囲気ガスがHeガスであってもよいし、振動板の厚さを10um以下とする工程を含むものであってもよい。
【0035】
以上の工程を経ることでインクジェットヘッドの流路は全て形成された。
【0036】
続いて、この基板1に、図4に示す真空成膜装置を用いて、図1(h)および図2(h)に示すように圧力室にあたる振動板7の上に電気機械変換材料薄膜9および電極8a、8bを形成する工程を説明する。
【0037】
本実施形態で用いた真空成膜装置は、電極を形成するスパッタ装置32と、電気機械変換材料を形成する有機金属CVD装置35と、これらを繋ぎ、基板を搬送する、真空トンネルである搬送系31とを有する。
【0038】
まずロードロック室30に基板1を入れてオイルフリー状態での真空排気を行い搬送系31にてロードロック室右側のマグネトロン多元スパッタ装置32に導入する。
【0039】
まず、基板1をスパッタ装置32の基板加熱機構33にセットし、約500℃に加熱する。真空排気されていることで振動板7と基板1との界面に生じた残留Heガスによる気泡は強制的に外部に放散され気泡内部は真空となり振動板7とSi基板1とは接触する。また、加熱されることで振動板7と基板1が接合され強固に接合されることとなる。加えて、この加熱工程で振動板7表面もポリッシングで取りきれなかった研磨傷などが修復され、研磨時の残留応力も除去されることになる。
【0040】
基板を昇温してから3時間程経過すると基板温度が安定するのでスパッタターゲット34を用いて電極8aであるTi、Ptを順番にそれぞれ20nm、150nmの厚さでスパッタ蒸着する。このように、本発明のインクジェットヘッドの製造方法においては、電極成膜工程での電極を、基板の温度が振動板の軟化点以下となる温度で成膜する工程を含むものであってもよい。
【0041】
スパッタ蒸着終了後、基板温度を下げて100℃以下になった状態でロードロック室30の搬送系31を用いてCVD装置35に基板1を搬送する。搬送後、CVD装置35の基板加熱機構36にセットし基板温度を再度500℃に昇温する。基板温度が安定した後、構成元素である有機金属ガス38をそれぞれのガスセル37に導入しガスセル37内で有機金属ガスを分解し、金属成分のみを基板1に吹き付ける。この時に金属成分のみを効率良く吹き付けるためにガスセル37と基板加熱機構36にセットされた基板との間に電界を印加する。また基板上で酸化物を形成するために酸素ガス(不図示)も吹き付ける。このような工程で電極8a上に界面準位を形成することなく電極8aと密着の良い電気機械変換材料薄膜9を成膜することができる。すなわち、本発明のインクジェットヘッドの製造方法においては、電気機械変換材料を、振動板の軟化点以下の基板温度で結晶化させる工程を含むものであってもよい。また、電気機械変換材料は、水晶、ペロブスカイト系結晶、タングステンブロンズ系結晶、ウルツ鉱型結晶であり好ましくはチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)チタン酸鉛、チタン酸バリウム、チタン酸カルシウム、ニオブ酸リチウム、タンタル酸リチウム、ニオブ酸バリウムからなる群より選ばれたものの積層膜、あるいはバルク焼結体であってもよい。
【0042】
さらに成膜した後、基板温度を下げ、電気機械変換材料薄膜9上に電極8bを形成するためにCVD装置35よりロードロック室30の搬送系31を用いてスパッタ装置32に搬送する。スパッタ蒸着は室温でTi、Auの順番にそれぞれ20nm、100nmの厚さでスパッタ蒸着を行う。このように、本発明のインクジェットヘッドの製造方法においては、電極成膜工程での電極を、基板の温度が振動板の軟化点以下となる温度で成膜する工程を含むものであってもよい。
【0043】
上述した工程によって基板1上に電極8a、8b、電気機械変換材料薄膜9を連続成膜した後、フォトリソグラフィ工程を経ることにより振動板7上に電気機械変換素子9aを形成し、ノズル作製、インク供給口を形成する(不図示)ことでインクジェットヘッドができ上がる。
【0044】
以上説明した本実施形態の製造方法によって製造されたインクジェットヘッドは、振動板7がバルク材料であるために薄片化してもピンホールが無く様々なインクに耐性があり、振動板7の上部に形成される電気機械変換素子9aに悪影響を与えることがない。また、接合時の気泡も成膜工程で除去され振動板7自体の研磨傷や研磨歪も加熱処理により緩和されるので、振動板7自体も撓み振動に強くなり振動板7の耐久性も向上した。さらに振動板7上に電極8a、8b、電気機械変換材料薄膜9を連続成膜するので、従来行っていた接着等によるプロセスが簡略化でき、同時に振動板7と電気機械変換素子9aの密着が均一になり振動板7への電気機械変換素子9aによる力が効率よく伝えることができるので良好な吐出特性が得られるインクジェットヘッドを作製することができる。
(第2の実施形態)
図5および図6を参照して本実施形態のインクジェットヘッドの製造方法について説明する。なお、以下の説明では、第1の実施形態と同じ構成要素に関しては、第1の実施形態と同じ符号を用いて説明するものとする。
【0045】
図5および図6は、本実施形態の製造方法により製造されるインクジェットヘッドの断面図であり、図5(a)から(d)までは、インクジェットヘッドの流路のノズル部分の断面図であり、図6(a)から(d)に示す、製造工程におけるインクジェットヘッドの側断面図のC−C’断面を示すものである。また、図5(e)から(h)までは流路の圧力室部分の断面図であり、図6(e)から(h)
に示す、製造工程におけるインクジェットヘッドの側断面図のD−D’断面を示すものである。
【0046】
本実施形態においては流路の形成に、第1の実施形態で示したKOHを用いる異方性エッチングではなく、プラズマドライエッチング(ICP)を用いた。図5(a)および図6(a)に示すようにシリコン基板1の表面にエッチングマスクとして用いるための熱酸化膜2を形成する。
【0047】
次に、図5(b)および図6(b)に示すようにノズル口およびインク供給口を形成するためにフォトリソグラフィ工程によりマスクし、熱酸化膜2をBHFでエッチングする。
【0048】
次に、図5(c)および図6(c)に示すように、この基板1を上述したICPを用いてCF4あるいはSF6でプラズマエッチングを行い、ノズル口21a、インク供給口21bを形成する。
【0049】
次に、圧力室23を形成するためにドライエッチングを行うが、このドライエッチングからノズル口21aおよびインク供給口21bを保護するために、図5(d)および図6(d)に示すように内面に熱酸化膜22を形成しておく。さらにフォトリソグラフィ工程により図5(e)および図6(e)に示すように圧力室部分23aを開口し、ノズル口21aおよびインク供給口21bにレジストを充填(不図示)した後、BHFで圧力室部分23aの熱酸化膜2を除去する。
【0050】
次に、ICPで2度目のプラズマエッチングを行うことで圧力室23が形成され、これにより、図5(f)および図6(f)に示すようにノズル口21a、圧力室23、インク供給口21bが形成される。続いて、上述した工程を経て形成された基板の全ての熱酸化膜をBHFにより除去し、硫酸過酸化水素水で洗浄する。
【0051】
次に、図5(g)および図6(g)に示すように、振動板24を第1の実施形態と同様にHeガス雰囲気中で陽極接合により形成し、さらに研磨を行う。このようにして形成した振動板24上に第1の実施形態と同様に、図3に示した真空成膜装置の、スパッタ装置32によるスパッタ蒸着でPt/Ti電極8aを、CVD装置35により電気機械変換材料薄膜9を成膜し、その後さらにスパッタ装置32によるスパッタ蒸着によりAu/Ti電極8bを連続形成する。このようにして形成した基板を図5(h)および図6(h)に示す。
【0052】
成膜した電極8bおよび電気機械変換材料薄膜9を、フォトリソグラフィ、エッチング工程を経ることで、電気機械変換素子9aに形成する。
【0053】
次に、この基板裏面にノズル26およびインク供給口27を有する30um厚のパイレックスガラス製のノズルプレート25を陽極接合し、インク供給口27には共通インク室28を接着する。このようにして形成したインクジェットヘッドを図5(i)および図6(i)に示す。
【0054】
以上説明した本実施形態の製造方法によって製造されたインクジェットヘッドは、インク室作製にドライエッチングを用いているのでプロセス工程が簡略化され、大面積化、高密度化が可能となった。また流路を形成している基板表面がKOHなどのウェットエッチングにさらされないため、熱酸化膜や熱窒化膜に形成されたピンホールを介しての表面エッチングの無くすことができるようになった。このために振動板24をインク室に陽極接合する時に界面に気泡が形成される確率が小さくなり、研磨工程で振動板24を破損する問題が無くなった。ノズルプレート25も陽極接合で形成しているので電気機械変換素子9aによる圧力上昇にも強く、良好な吐出特性を得ることができた。
【0055】
なお、第1および第2の実施形態では500℃で結晶化する電気機械変換材料を例にしたので電極8aがPt/Tiであったが、これに拘るものではなく、より低温で結晶化する材料、例えばZnOなどは250℃で十分なので電極材料としてはAu/Tiが使用することができる。また、各実施形態で示した数値、あるいは材質等も一例であり、本発明はこれらの数値および材質に限定されるものではない。
(第3の実施形態)
第1の実施形態あるいは第2の実施形態のインクジェットヘッドを複数装備したインクジェット記録装置の一例の外観斜視図を図7に示す。
【0056】
本体シャーシ212にはガイドシャフト209が取付けられ、キャリッジ208は、矢印B方向に摺動自在にガイドシャフト209に支持されている。このキャリッジ208は、駆動プーリ213とアイドラプーリ214との間に張設されたタイミングベルト210にキャリッジ208の一部が固定されており、キャリッジモータ211の回転に応じガイドシャフト209に沿って矢印B方向に往復移動可能である。なお、本実施形態において、カートリッジ201はインクを吐出することで記録用紙204に記録を行うものであり、電気機械変換素子駆動回路を備え、吐出口が図示下向きに形成されたインクジェットヘッド231およびインクタンク215が一体化されている。
【0057】
カートリッジ201はキャリッジ202に着脱自在に搭載され、このカートリッジ201を駆動するための電流や信号を送受信するフレキシブルケーブル222を介して不図示の記録制御部と電気的に接続される。
【0058】
また、インクジェット記録装置は、インクジェットヘッド231のインク吐出特性を回復するための回復手段を有するキャップユニット203を有する。キャップユニット203は、インクジェットヘッド231に対応したキャップ部材206と、ゴム等の部材からなるワイパーブレード207とを具備する。このような構成からなるインクジェット記録装置は、インクジェットヘッド231を被記録媒体の搬送方向Aと直行する方向(主走査方向)Bにシリアルスキャンさせて、インクジェットヘッド231のノズル数に対応した幅の記録を行い、一方で非記録時に被記録媒体を記録幅に等しい送り量で間欠的に搬送するものである。
【0059】
本実施形態の記録装置は高解像度・高速印字が可能で従来と比較して消費電力、高密度化、大面積化、耐久性の向上などが可能となった。
【0060】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、振動板と基板とを不活性ガス雰囲気中で陽極接合の際に、不接合部分に生じた不活性ガスの気泡は時間経過とともに振動板の粒界を介して大気中に放散され気泡は解消するため、機械研磨による薄片化において気泡部分で割れを生じることがない。また、この研磨された振動板を備えた基板を真空雰囲気内で加熱し、振動板に第1の電極を成膜することで、研磨傷の回復と研磨歪による残留応力を解消させることができる。さらに、連続して第1の電極上に電気機械変換材料、および第2の電極を成膜することで振動板と電極層の密着性を向上させることができる。このように、本発明によれば、素子化プロセスが容易になるため、精密、かつ高密度化されたインクジェットヘッドを製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るインクジェットヘッドの、流路製作工程および電気機械変換素子の成膜工程における断面図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係るインクジェットヘッドの、流路製作工程および電気機械変換素子の成膜工程における側断面図である。
【図3】振動板の膜厚と変位量の関係を示すグラフである。
【図4】本発明に用いた真空成膜装置の概略構成図である。
【図5】本発明の第2の実施形態に係るインクジェットヘッドの、流路製作工程および電気機械変換素子の成膜工程における断面図である。
【図6】本発明の第2の実施形態に係るインクジェットヘッドの、流路製作工程および電気機械変換素子の成膜工程における側断面図である。
【図7】本発明のインクジェット記録ヘッド適用が可能なインクジェット記録装置の一例の斜視図である。
【図8】従来のオンデマンド型インクジェットヘッドの一例の概略を示す構成断面図である。
【図9】従来のインクジェットヘッドの各流路製作工程におけるインクジェットヘッドの断面図である。
【符号の説明】
1 基板
2、4、22 熱酸化膜
3 窒化膜
5 酸化膜メンブレン
6 酸化膜
7 振動板
8a 電極
8b 電極
9 電気機械変換材料薄膜
9a 電気機械変換素子
11 インク供給口
12 流路
21a ノズル口
21b インク供給口
23 圧力室
23a 圧力室部分
24 振動板
25 ノズルプレート
26 ノズル
27 インク供給口
28 共通インク室
30 ロードロック室
31 搬送系
32 スパッタ装置
33 基板加熱機構
34 スパッタターゲット
35 CVD装置
36 基板加熱機構
37 ガスセル
38 有機金属ガス
201 カートリッジ
202 キャリッジ
203 キャップユニット
204 記録用紙
206 キャップ部材
207 ワイパーブレード
208 キャリッジ
209 ガイドシャフト
210 タイミングベルト
211 キャリッジモータ
212 本体シャーシ
213 駆動プーリ
214 アイドラプーリ
215 インクタンク
222 フレキシブルケーブル
231 インクジェット記録ヘッド
Claims (1)
- インクの流路となる流路溝を有する基板、該基板に接合されることで、前記流路溝を、少なくとも、インクを吐出させる圧力を印加する圧力室と、インクを前記圧力室へと供給するインク供給路とに形成する振動板、および前記圧力室上に前記振動板を変位させるための電気機械変換素子を有するインクジェットヘッドの製造方法において、
前記振動板と前記基板とが不活性ガス雰囲気中で陽極接合される接合工程と、
前記接合工程後に、前記振動板を機械研磨により研磨する研磨工程と、
前記研磨工程後に、研磨された前記振動板を備えた前記基板を真空雰囲気内で加熱し、前記振動板に第1の電極を成膜する第1の電極成膜工程と、
第1の電極成膜工程後に連続して、前記第1の電極上に電気機械変換材料を成膜する電気機械変換材料成膜工程と、
電気機械変換材料成膜工程後に連続して、成膜された前記電気機械変換材料上に第2の電極を成膜する第2の電極成膜工程とを含むことを特徴とするインクジェットヘッドの製造方法。
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JP2009061666A (ja) * | 2007-09-06 | 2009-03-26 | Canon Inc | インクジェット記録ヘッド用基板の製造方法 |
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-
2002
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