JPH063243Y2 - 電気作動式クラッチ圧力制御弁 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、変速機のクラッチ圧力を制御する電気作動式
の制御弁に関する。

〔従来の技術〕

複数のクラッチを選択的にＯＮ，ＯＦＦすることで変速
する変速機においては、各クラッチに圧油を供給するた
めの制御弁を備えている。

例えば、ソレノイドによりスプールを摺動して圧油をク
ラッチに供給したり、クラッチの圧油をドレーンに排出
する電子作動式の制御弁が知られている。

他方、クラッチに圧油を供給する際にはクラッチの圧力
が急激に上昇すると動力が急激に伝達されて変速ショッ
クが生じるので、クラッチの圧力が漸増するようにして
変速ショックが生じないようにする必要がある。

そこで、本出願人は先に、クラッチの圧力が漸増するよ
うにクラッチに圧力を供給したり、クラッチの圧力をド
レーンに排出したりすることができる電子作動式の制御
弁を、各クラッチにそれぞれ設けた変速機のクラッチ圧
力制御装置を出願した。

この変速機のクラッチ圧力制御装置によれば各制御弁自
体がクラッチ圧力漸増機能を有すると共に、電気信号で
切換え操作できるから、機械式の制御弁のように操作レ
バーと制御弁をリンクで連結したりしなくとも良いか
ら、その構造を簡単にできると共に、設計の自由度が大
となる。

〔考案が解決しようとする問題点〕

かかる電子作動式の制御弁であると、ソレノイドやコン
トローラが故障すると制御弁を切換えできないので、こ
のような電子作動式の制御弁を各クラッチに対応してそ
れぞれ設けた変速機のクラッチ圧力制御装置であるとソ
レノイドやコントローラが故障すると変速機を動力伝達
状態に変速できないことがあり、車両を修理場所等の任
意の位置まで走行できなくなってしまう。

そこで、本考案はソレノイドやコントーラが故障しても
手動操作で切換えできるようにした電気作動式のクラッ
チ圧力制御弁を提供することを目的とする。

〔問題点を解決するための手段及び作用〕

比例ソレノイドの推力と出口ポート側の圧力とでスプー
ルを、入口ポート側と出口ポート側を連通する位置と入
口ポート側と出口ポート側を連通し、かつ出口ポート側
をドレーン側に連通する位置とに摺動すると共に、前記
スプールの両端側に第１、第２油室を形成し、この第
１、第２油室を第１、第２手動バルブで入口ポート側に
断通するようにして、第１、第２手動バルブを手動操作
することでスプールを前述の各位置に摺動できるように
したものである。

〔実施例〕

第２図に示すように、変速機Ａは前進クラッチ１、後進
クラッチ２、１速クラッチ３、２速クラッチ４、３速ク
ラッチ５、４速クラッチ６を備え、各クラッチに圧油を
供給制御してＯＮ，ＯＦＦすることで変速されるように
なり、各クラッチにはポンプＰの圧油が漸増機能を有す
る電気作動式の制御弁７を介してそれぞれ供給制御さ
れ、各制御弁７にはコントローラ８より電気信号が出力
されて切換えるようにしてある。

前記制御弁７は第１図に示すように構成してある。

すなわち、弁本体１０には第１弁孔１１と第２弁孔１２
とが形成してあると共に、入口ポート１３、出口ポート
１４が形成され、入口ポート１３は第１弁孔１１を経て
第１油孔１６で第２弁孔１２に連通し、出口ポート１４
は第１弁孔１１に開口していると共に、第１弁孔１１と
第２弁孔１２とは第２油孔１７で連通している。

前記第１弁孔１１には入口ポート１３と第２油孔１７を
断通する流量検出用の第１スプール１８と、フイリング
検知用の第２スプール１９とが嵌挿され、第２弁孔１２
には圧力制御用の第３スプール２０が嵌挿されていると
共に、この第３スプール２０は比例ソレノイド２１で切
換え作動される。

前記第２スプール１９はスプリング２２で右方に押され
て第１スプール１８を図示の入口ポート１３と第２油孔
１７を遮断する位置に保持し、そのスプリング受け２３
は絶縁シート２４を介してカバー２５に当接していると
共に、カバー２５はリード線２６を介して抵抗Ｒ_１と抵
抗Ｒ_２の間のａ点に接続され、第２スプール19が左方に
摺動すとカバー２５に当接して前記ａ点に接続するよう
にしてある。

なお、カバー２５は絶縁スリーブ２７とボルト２８で弁
本体１０に絶縁状態で接続してある。

前記第３スプール２０は第１油孔１６と第２油孔１７を
断通する第１括れ部２０ａと、第２油孔１７をロードピ
ストン２９の受圧室３０に連通する油孔３１を有してい
ると共に、第２油孔１７とドレーン路３２を断通する第
２括れ部２０ｂを有し、スプリング３３で図示の位置に
保持されていると共に、比例ソレノイド２１の推力でス
プリング３３に抗して左方に摺動するようにしてある。

さらに弁本体１０には第１油孔１６を第３スプール２０
の両端に形成した第１、第２油室34，３５に連通する第
１、第２油路３６，３７と、第１、第２油室３４，３５
を前記ドレーン路32に連通する第３、第４油路３８，３
９が形成されていると共に、前記第１、第２油路３６，
37の途中には第１、第２手動バルブ４０，４１が設けら
れ、この第１、第２手動バルブ４０，41を締付けると第
１、第２油路３６，３７が遮断され、かつ弛めると連通
するようにしてあると共に、第１、第２手動バルブ４
０，４１は常時締付けられて第１、第２油路３６，３７
が遮断されている。

次に作動を説明する。

第１図の状態より比例ソレノイド２１に微小電流を供給
すると第３スプール２０はその推力でスプリング３３に
抗して左方に摺動し、第１括れ部２０ａで第１油孔１６
と第２油孔１７を僅かに連通するので、入口ポート１３
よりの圧油は第１スプール１８のポート４２、軸孔４
３、オリフィス４４、第２スプール１９の軸孔４５、ポ
ート４６より出口ポート１４に僅かに流てクラッチに供
給される。

この時、オリフィス４４の前後に圧力差が生じるので、
第１スプール１８と第２スプール19はその圧力差により
スプリング２２に抗して左方に移動し、括れ部１８ａで
入口ポート１３とポート４２が連通して直接出口ポート
１４に流出すると共に、第２スプール１９がカバー２５
に当接するのでａ点が接地して電位がゼロとなり、これ
と同時にクラッチ内に圧油が充満してフイリング完了と
なる。

前記ａ点の電位がゼロになったことをコントローラ８に
フィードバックし、比例ソレノイド２１への供給電流を
漸増する。

これにより、推力が増大して第３スプール20を左方に押
す力が大きくなり、出口ポート１４の圧力がロードピス
トン２９の受圧室３０に供給されて第３スプール２０を
右方に押す力よりも大きくなるので、出口ポート１４の
圧力が漸増する。

つまり、受圧室３０内の圧力による第３ピストン２０を
右方に押す力が比例ソレノイド２１の推力よりも大きく
なると、第３スプール２０は右方に移動して第１油孔１
６と第２油孔１７を閉じるが、比例ソレノイド２１の推
力が漸増するので、出口ポート１４の圧力、つまりクラ
ッチ圧力が漸増する。

以上の電気作動式の制御弁であると比例ソレノイド２
１、コントローラ８の故障など何らかの故障で第３スプ
ール２０が、第１図に示す第１油孔１６と第２油孔１７
を遮断する位置又は第１油孔１６と第２油孔１７を連通
する位置で固定されて移動できなくなることがあり、ク
ラッチに圧油を供給したり、クラッチの圧油を排出した
りできなくなってしまう。

例えば、第３スプール２０が第１油孔１６と第２油孔１
７を連通する位置で固定された場合にはクラッチの圧油
を排出してクラッチをOFFにできないので、この場合に
は第１手動バルブ４０を弛めて第１油路３６を連通させ
る。

これにより、入口ポート１３の圧油が第３スプール２０
の第１油室３４に供給されて第３スプール２０を右方に
移動し、第２油孔１７とドレーン路３２とが連通するの
で、出口ポート１４をドレーンに連通してクラッチの圧
油をドレーンに排出できる。

また、第３スプール２０が第１油孔１６と第２油孔１７
を遮断する位置で固定された場合にはクラッチに圧油を
供給できないので、この場合には第２手動バルブ４１を
弛めて第２油路37を連通させる。

これにより、入口ポート１３の圧油が第２油室３５に供
給されて第３スプール２０を左方に移動して第１油孔１
６と第２油孔１７を連通する。

なお、第３、第４油路３８，３９には絞り３８ａ，３９
ａが設けてあるので、第１、第２油室３４，３５に圧力
を生じることができる。

以上の実施例では第１、第２スプール１８，１９を設け
たが、第３スプール２０により第１油孔１６と第２油孔
１７を断通制御すると共に、第１油孔１６を入口ポート
１３に直接連通し、第２油孔１７を出口ポート１４に直
接連通しても良い。

〔考案の効果〕

比例ソレノイド２１への電気信号で入口ポート側の圧油
を出口ポート側に漸増して供給できると共に、第１又は
第２手動バルブ４０，４１を手動操作することでスプー
ルを摺動して入口ポート側を出口ポート側に連通した
り、出口ポート側と入口ポート側を遮断して出口ポート
をドレーン側に連通したりできる。

したがって、電気作動式の制御弁でありながら手動操作
でスプールを摺動できるから、何らかの故障でスプール
が移動できない場合には手動操作でスプールを摺動して
出口ポート側の圧油を排出したり、入口ポート側の圧油
を出口ポート側に供給できる。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の実施例を示し、第１図は制御弁の断面
図、第２図は回路図である。 １０は弁本体、３４は第１油室、３５は第２油室、４０
は第１手動バルブ、４１は第２手動バルブ。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭58−193907（ＪＰ，Ａ) 特開 昭60−196407（ＪＰ，Ａ) 実開 昭59−52282（ＪＰ，Ｕ) 実開 昭60−40870（ＪＰ，Ｕ)

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】弁本体１０に入口ポート側と出口ポート側
   を断通するスプールを嵌挿し、このスプールを比例ソレ
   ノイド２１で入口ポート側を出口ポート側に連通する第
   １の位置に向けて摺動すると共に、出口ポート側の圧力
   で出口ポート側と入口ポート側を遮断しかつ出口ポート
   側をドレーン側に連通する第２の位置に向けて摺動し、
   前記弁本体１０とスプールとの間に、スプールを前記第
   ２の位置に向けて移動する第１油室３４とスプールを前
   記第１の位置に向けて摺動する第２油室３５を形成する
   と共に、該第１油室３４と前記入口ポート側を第１手動
   バルブ４０を介して断通制御可能に連通し、第２油室３
   ５と入口ポート側を第２手動バルブ４１を介して断通制
   御可能に連通したことを特徴とする電気作動式クラッチ
   圧力制御弁。