JPH06323211A - 副室を備えたアルコール改質エンジン - Google Patents

副室を備えたアルコール改質エンジン

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JPH06323211A
JPH06323211A JP13418593A JP13418593A JPH06323211A JP H06323211 A JPH06323211 A JP H06323211A JP 13418593 A JP13418593 A JP 13418593A JP 13418593 A JP13418593 A JP 13418593A JP H06323211 A JPH06323211 A JP H06323211A
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JP
Japan
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chamber
sub
fuel
alcohol
engine
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JP13418593A
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English (en)
Inventor
Hideo Kawamura
英男 河村
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Isuzu Ceramics Research Institute Co Ltd
Original Assignee
Isuzu Ceramics Research Institute Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は、排気ガスの熱エネルギーを利用し
て副室に噴射されるアルコール燃料を改質し、燃費を向
上させるアルコール改質エンジンを提供する。 【構成】 本発明は、シリンダヘッド4に形成したキャ
ビティ22内に副室2を構成する副室壁体9を配置し、
燃料噴射ノズル8から副室2にアルコール燃料を噴射す
る。噴射燃料が衝突できる副室壁体9の内壁面に凹凸状
の熱交換用フィン13を設けているので、燃料噴射ノズ
ル8から噴射されたアルコール燃料は副室壁体9の壁面
から熱エネルギーを効率的に吸収して改質される。ヘッ
ドライナ10のヘッド下面部12に主室1と副室2とを
連通する連絡孔5と中央連絡孔31を形成し、連絡孔5
と中央連絡孔31の制御弁7を配置する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、メタノール等のアル
コール燃料を排気ガスの熱で改質するアルコール改質エ
ンジンに関する。
【0002】
【従来の技術】近年、エンジンから排気される排気ガス
による環境汚染が問題になり、最近、アルコールエンジ
ンが注目されるようになっている。アルコールエンジン
では、排気ガス中の炭酸ガス、炭化物の含有量は、ガソ
リン、軽油等の燃料に比較して非常に少ないものであ
る。ところが、アルコール燃料を使うアルコールエンジ
ンでは、着火性が悪くなるという問題点がある。即ち、
アルコールは、ガソリンに比較して気化するための潜熱
が高く、例えば、ガソリンが燃料の0.7%の気化潜熱
を要するのに対し、アルコールが燃料の5%の気化潜熱
を要するものであり、アルコール燃料は気化し難いとい
う性質を有している。しかも、燃料噴射ノズルから燃焼
室内の圧縮空気中に噴射されたアルコール燃料は、気化
のために圧縮空気及び燃焼室壁面の温度を低下させて着
火を悪化させている。
【0003】従来、アルコール改質エンジンとして、特
開平3−145558号公報、特開平3−145559
号公報等に開示されたものがある。例えば、特開平3−
145559号公報に開示されたアルコール改質エンジ
ンは、アルコール燃料と吸入空気の混合気を流す吸気通
路、燃焼室からの排気ガスを流す排気通路、吸入空気を
流す空気通路、前記各通路を横断して流体との間で熱交
換し且つ前記燃料を改質するハニカムリアクタ円板、該
円板の上流部位の前記吸気通路に配置され且つアルコー
ル燃料を噴射する燃料噴射ノズル、及び前記円板を回転
駆動するモータから成るものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、メタノール
等のアルコールを燃料とするアルコールエンジンにおい
て、メタノールの改質により燃費の改善を図ることは、
従来良く知られていることである。その理由は、メタノ
ールは、熱分解するものであり、メタノールに熱エネル
ギーを与えることによって、水素ガスと一酸化炭素に分
解する。即ち、メタノール1モルあたり20Kcalの
熱量を与えると、メタノールは水素と一酸化炭素に熱分
解〔CH3 OH+20Kcal→2H2 +CO〕する。
従って、メタノールが燃料として水素ガスと一酸化炭素
を有することになり、メタノール燃料が改質されること
になる。
【0005】また、遮熱エンジンについては、燃焼室を
遮熱構造に構成した場合に、該燃焼室から排気される排
気ガスの温度は、エンジンの高速高負荷時には1500
℃にも上昇しているものである。従って、遮熱エンジン
から排出される排気ガスを利用してアルコール燃料を熱
分解させて改質することは好ましいことである。しかし
ながら、エンジンの低速低負荷時には該燃焼室内壁面は
高温度の状態になっておらず、壁面から燃料が気化熱を
奪い、気化を促進することができず、燃料がアルコール
である場合には、気化するための潜熱が高いため、その
現象は大きく現れる。そこで、エンジン始動時等の排気
ガスの温度が低い時に、アルコール燃料を如何にして改
質するかの課題がある。
【0006】そこで、この発明の目的は、上記の課題を
解決することであり、排気ガスの熱エネルギーをアルコ
ール燃料に吸収させて該アルコールを水素ガスと一酸化
炭素を有する燃料に改質するため、シリンダヘッドに配
置される副室を壁面から熱を受熱し易いように、壁面に
熱交換用フィンを設けると共に、噴射燃料が衝突する壁
面をアルコール燃料の改質時に触媒として作用するN
i,Ptを含む合金で作製すると共に、エンジンの作動
状態に応じて制御弁の開閉タイミングと燃料噴射ノズル
の燃料噴射タイミングを制御し、副室壁体の壁面からの
熱エネルギーでアルコール燃料を効果的に加熱気化させ
て熱分解させて改質し、燃料の発熱量を増大させ、燃費
を向上させる副室を備えたアルコール改質エンジンを提
供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】この発明は、上記目的を
達成するため、次のように構成されている。即ち、この
発明は、シリンダヘッドに形成したキャビティ内に配置
された副室を構成する副室壁体、該副室にアルコール燃
料を噴射する燃料噴射ノズル、シリンダ側に形成した主
室、前記副室と前記主室とを連通する連絡孔、前記連絡
孔を開閉できる制御弁、及び前記燃料噴射ノズルから噴
射されたアルコール燃料を前記副室壁体の熱エネルギー
によって改質するため、噴射燃料が衝突できる前記副室
壁体の内壁面に設けた凹凸状の熱交換用フィン、を有す
ることを特徴とする副室を備えたアルコール改質エンジ
ンに関する。
【0008】また、この副室を備えたアルコール改質エ
ンジンにおいて、アルコール燃料が衝突する壁面の前記
副室壁体はアルコール燃料の改質時に触媒として作用す
るNi,Ptを含む合金材料で作製されているものであ
る。
【0009】また、この副室を備えたアルコール改質エ
ンジンにおいて、エンジン負荷に応答して前記燃料噴射
ノズルから前記副室へアルコール燃料の噴射時期を制御
すると共に、前記制御弁のバルブタイミングを制御する
コントローラを有するものである。
【0010】また、この副室を備えたアルコール改質エ
ンジンにおいて、前記コントローラは、エンジン低負荷
時には、圧縮行程中間で前記燃料噴射ノズルから前記副
室へアルコール燃料を噴射し、アルコール燃料の気化が
進行した圧縮行程上死点前0〜20°で前記制御弁を開
放して前記副室と前記主室とを連通し、またエンジン高
負荷時には、圧縮行程前半で前記燃料噴射ノズルから前
記副室へアルコール燃料を噴射し、アルコール燃料の改
質が進行した圧縮行程上死点前0〜20°で前記制御弁
を開放して前記副室と前記主室とを連通する制御を行う
ものである。
【0011】
【作用】この発明による副室を備えたアルコール改質エ
ンジンは、上記のように構成されており、次のように作
用する。即ち、この副室を備えたアルコール改質エンジ
ンは、シリンダヘッドに形成したキャビティ内に配置さ
れた副室を構成する副室壁体の内壁面に凹凸状の熱交換
用フィンを設けたので、燃料噴射ノズルから噴射された
アルコール燃料を前記副室壁体に衝突させることによっ
て、アルコール燃料を壁面の熱エネルギーによって加熱
気化させて一酸化炭素と水素及び気化燃料に改質し、燃
料の発熱量を増大させることができる。また、排気ガス
の熱エネルギーによって加熱された壁面でアルコール燃
料の改質に利用し、排気ガスエネルギーを回収し、燃費
を向上させることができる。
【0012】即ち、アルコール燃料は、発熱量が900
0kcal/kgであるが、例えば、排気ガスの温度5
00℃〜600℃の排気ガスから熱エネルギーを受けて
COとH2 とから成る混合ガスに熱分解し、触媒の存在
下ではメタノールは250〜450℃に加熱することに
よって熱分解し、該混合ガスの発熱量は、12000k
cal/kgに熱エネルギーがアップし、改質される。
また、改質された混合ガスは、燃焼スピードが速く且つ
燃焼温度が低いので、スモーク、NOX 等の発生を抑制
できる。
【0013】また、前記連絡孔を前記制御弁が開放する
ことで、前記主室から前記連絡孔を通って高圧縮の吸入
空気が前記副室に流入し、アルコール燃料が改質して生
成されたガス燃料及び気化燃料と吸入空気とが混合して
着火燃焼し、当量比の大きい燃料リッチな状態で高速燃
焼してNOX の発生が抑制される。しかも、前記連絡孔
と前記中央連絡孔は前記制御弁で閉鎖した状態で、燃料
噴射ノズルから副室にアルコール燃料が噴射されるの
で、前記副室には適正な燃料流量が供給され、その状態
でアルコール燃料が壁面の熱エネルギーを吸収して改質
されるので、アルコール燃料は良好に改質されることに
なる。
【0014】
【実施例】以下、図面を参照して、この発明による副室
を備えたアルコール改質エンジンの実施例を説明する。
図1はこの発明による副室を備えたアルコール改質エン
ジンの一実施例を示す概略説明図である。この副室を備
えたアルコール改質エンジンは、メタノール等のアルコ
ールを燃料とする副室式エンジンであり、アルコール燃
料を熱分解させて一酸化炭素COと水素H2 とから成る
混合ガス及び気化燃料に改質して発熱量を増加させ、熱
効率を向上させるものである。
【0015】このアルコール改質エンジンは、シリンダ
ブロック26、シリンダブロック26にガスケット23
を介して固定されたシリンダヘッド4、シリンダヘッド
4に形成されたキャビティ22、シリンダヘッド4のキ
ャビティ22内のシリンダ中央に配置された副室2を構
成する副室壁体9、キャビティ22内に遮熱空気層20
を形成して配置され且つ副室壁体9と一体構造のヘッド
ライナ10、シリンダブロック26の孔部24に嵌合し
且つシリンダ27を構成するシリンダライナ18、シリ
ンダライナ18に形成したシリンダ27内を往復運動す
るピストン3、及びヘッドライナ10によって形成され
る遮熱構造の主室1を有している。
【0016】ヘッドライナ10は、ヘッド下面部12と
ライナ上部11とをセラミックスで一体構造に構成され
ている。更に、ヘッドライナ10のヘッド下面部12と
副室壁体9の下部19とは、セラミックスで一体構造に
形成されている。主室1と副室2とを連通する連絡孔5
は、ヘッドライナ10のヘッド下面部12に副室2から
主室1へシリンダ周辺方向に向かって傾斜状態に複数個
形成されている。更に、ヘッド下面部12の中央には中
央連絡孔31が形成され、該中央連絡孔31の周辺には
バルブシート17が形成されている。中央連絡孔31に
は制御弁7が配置され、制御弁7のバルブフェース32
がバルブシート17に着座している。
【0017】このアルコール改質エンジンは、特に、シ
リンダヘッド4に形成したキャビティ22内のシリンダ
中央に配置された副室2を構成する副室壁体9、副室2
にアルコール燃料を噴射する多噴孔14を有する燃料噴
射ノズル8、主室1を構成するヘッド下面部12とライ
ナ上部11から成るヘッドライナ10、主室1と副室2
とを連通するヘッド下面部12に形成した連絡孔5と中
央連絡孔31、該連絡孔5と中央連絡孔31を開閉でき
る制御弁7、及び燃料噴射ノズル8から噴射されたアル
コール燃料を副室壁体9の熱エネルギーによって改質す
るため、噴射燃料が衝突できる副室壁体9の内壁面に設
けた凹凸状の熱交換用フィン13を有している。また、
アルコール燃料が衝突する壁面の副室壁体9は、アルコ
ール燃料の改質時に触媒として作用するNi,Ptを含
む合金材料で作製されているものである。Ni,Ptを
含む合金材料で副室壁体9を作製すると、壁面温度が低
い始動直後等では、壁面に付着されるアルコール燃料が
Ni,Ptの触媒反応によって改質が行われる。
【0018】更に、熱交換用フィン13は、耐熱性に富
み且つ高温高強度の窒化ケイ素等のセラミックスで作製
することが好ましい。熱交換用フィン13の形状は、凹
凸状のひだ、粗い多孔質面、或いは、図示のような周方
向に延びる溝36から形成されている。熱交換用フィン
13が周方向に延びる溝36に形成されると、副室2内
に発生している空気流が減速されることなく旋回でき、
空気と改質燃料との混合が促進される。熱交換用フィン
13が上記のように形成されると、燃料噴射ノズル8の
多噴孔14から噴射された燃料噴霧が衝突した時、副室
壁体9には燃焼行程時に排気ガスの熱エネルギーが蓄熱
されているので、燃料噴霧は副室壁体9から熱交換用フ
ィン13を通じて加熱気化が促進され、燃料改質が良好
に行われることになる。
【0019】更に、この副室を備えたアルコール改質エ
ンジンは、エンジンの負荷センサー16で検出されたエ
ンジン負荷Lに応答して燃料噴射ノズル8から副室2へ
アルコール燃料を噴射する噴射タイミングを制御すると
共に、制御弁7のバルブタイミングを制御するコントロ
ーラ6を有している。コントローラ6は、低負荷時に
は、圧縮行程中間で燃料噴射ノズル8から副室2へアル
コール燃料を噴射し、アルコール燃料の気化が進行した
圧縮行程上死点前0〜20°で、制御弁7を開放して副
室2と主室1とを連通させる。また、コントローラ6
は、高負荷時には、圧縮行程前半で燃料噴射ノズル8か
ら副室2へアルコール燃料を噴射し、アルコール燃料の
改質が進行した圧縮行程上死点前0〜20°で、制御弁
7を開放して主室1と副室2とを連通する制御を行うも
のである。
【0020】また、この副室を備えたアルコール改質エ
ンジンは、排気弁25が配置される複数の排気ポート3
5がヘッド下面部12に形成されている。図示していな
いが、吸気ポートはシリンダヘッド4或いはシリンダ下
部に形成されている。ヘッドライナ10及び副室壁体9
は、シリンダヘッド4のキャビティ22内に遮熱ガスケ
ット21、遮熱空気層20の遮熱層を形成して配置さ
れ、主室1及び副室2が遮熱構造に構成されている。ピ
ストン3は、セラミックスから成るピストンヘッド15
と、ピストンヘッド15に遮熱空気層34を介在してメ
タルフロー等で固定されたピストンスカート29から構
成されている。従って、主室1は、ヘッドライナ10と
ピストンヘッド15とで高度の遮熱度に構成されること
になる。
【0021】また、このアルコール改質エンジンについ
ては、排気ガスが有する熱エネルギーによって加熱され
た副室壁体9の壁面から熱を受熱し、アルコール燃料を
加熱気化及び熱分解させて改質させるものである。副室
2にアルコール燃料を噴射する燃料噴射ノズル8は、多
噴孔14を有し、該多噴孔14から副室2内に適正にア
ルコール燃料を噴射するように設置されている。燃料噴
射ノズル8の多噴孔14から副室2に噴射されたアルコ
ール燃料は、副室壁体9の壁面から熱エネルギーを吸収
して加熱され、気化すると共に熱分解して水素と一酸化
炭素になり〔CH3 OH+20Kcal→2H2 +C
O〕、アルコール燃料が改質され、燃費が改善されるこ
とになる。
【0022】このアルコール改質エンジンにおいて、図
2及び図3に示すように、副室壁体9に形成した連絡孔
は、主室1と副室2とを連通するヘッドライナ10のヘ
ッド下面部12に形成した連絡孔5と中央連絡孔31か
ら構成されている。連絡孔を構成する連絡孔5と中央連
絡孔31とを開閉する制御弁7は、副室壁体9と副室2
の中央を貫通してシリンダヘッド4に配置されている。
制御弁7は、中央連絡孔31に嵌合して閉鎖する突出部
33とバルブシート17に着座して連絡孔5を閉鎖する
円錐面のバルブフェース32を備えている。更に、連絡
孔5は、バルブシート17からシリンダ壁面に向って傾
斜して複数個形成され、また、中央連絡孔31は、シリ
ンダ中央に通路断面積が大きく形成されている。
【0023】また、制御弁7は、電磁弁駆動装置28に
よって電磁力によって駆動されるように構成でき、エン
ジン負荷、エンジン回転数等のエンジンの作動状態に応
答してコントローラ6の指令で開閉作動を制御すること
ができる。電磁弁駆動装置28によって最初は連絡孔5
が開放し、次いで、中央連絡孔31が開放する二段階で
バルブリフトされるように構成できる。制御弁7を開閉
作動する電磁弁駆動装置28は、例えば、小さい電磁力
で連絡孔5を開放し、大きい電磁力で中央連絡孔31を
開放するように構成できる。例えば、エンジン負荷を検
出する負荷センサー16からの検出信号を受けてコント
ローラ6の指令で電磁コイルに小さな電流が流れると、
小さな電磁力が付勢され、制御弁7は僅かにリフトされ
る。制御弁7が僅かに上昇すれば、円錐面のバルブフェ
ース32がバルブシート17から離れ、連絡孔5が開放
して微小開度になる。次いで、コントローラ6の指令で
電磁コイルに大きな電流が流れると、大きな電磁力が付
勢され、制御弁7は大きくリフトされる。制御弁7が大
きく上昇すれば、突出部33が中央連絡孔31から抜け
出して中央連絡孔31が開放する。
【0024】次に、このアルコール改質エンジンの作動
の一実施例を、図4の処理フロー図を参照して説明す
る。まず、コントローラ6はエンジンの始動時であるか
否かを判断し(ステップ40)、始動時である場合に
は、圧縮上死点前約20°では副室2内の温度は圧縮端
温度と同程度の温度になっている。そこで、コントロー
ラ6の指令で圧縮上死点前約20°で燃料噴射ノズル8
から副室2内にアルコール燃料を噴射する(ステップ4
1)。次いで、制御弁7を、その弁開度を設定した圧縮
上死点、或いはコントローラ6の指令で圧縮上死点で開
放し(ステップ42)、主室1から副室2へ熱風が吹き
込まれ、アルコール燃料は気化して着火燃焼し、始動性
が著しく良好になる(ステップ43)。このように、副
室壁体9の壁面温度が低い時には、アルコール燃料は壁
面に付着するが、Ni,Ptの触媒反応で改質が行われ
ることになる。
【0025】エンジンが始動して駆動されると、負荷セ
ンサー16によってエンジン負荷Lを検出する(ステッ
プ44)。負荷センサー16で検出された負荷Lが予め
設定した負荷L0 より大きいか否かを判断し(ステップ
45)、負荷がL≧L0 で大きい場合には、エンジン負
荷Lは高負荷であり、副室壁体9の壁面温度は高温にな
っているので、圧縮行程前半において、燃料噴射ノズル
8の多噴孔14から副室2内にエンジン負荷Lに応じた
所定量のアルコール燃料を噴射する(ステップ46)。
副室2に噴射されたアルコール燃料は、副室壁体9の壁
面からの熱を吸収し、加熱気化され、熱分解して改質燃
料になる(ステップ47)。制御弁7が圧縮行程上死点
前0〜20°でリフトし(ステップ48)、まず連絡孔
5が開放し、主室1から副室2へ圧縮空気が導入され
る。副室2へ導入された吸入空気は改質燃料と混合を促
進されて着火燃焼する(ステップ49)。改質燃料の燃
焼によって副室2内のガス圧が上昇する。エンジン負荷
Lは高負荷の場合には、Ni,Ptの触媒作用は不要で
あるが、壁面温度がアルコール燃料を改質するのに十分
な温度であり、副室2に噴射されるアルコール燃料が壁
面から熱を吸収するので、副室2内の温度を低下させる
効果も発揮することができる。
【0026】また、ステップ45において、負荷センサ
ー16で検出された負荷Lが予め設定した負荷L0 より
大きくない場合には、エンジン負荷Lは低負荷であり、
副室壁体9の壁面温度は低温であるので、圧縮行程中間
において、燃料噴射ノズル8の多噴孔14から副室2内
にエンジン負荷Lに応じた所定量のアルコール燃料を噴
射する(ステップ50)。副室2に噴射されたアルコー
ル燃料は、副室壁体9の壁面からの熱を吸収し、加熱気
化され、一部は熱分解して改質燃料となる(ステップ5
1)。制御弁7が圧縮行程上死点前0〜20°でリフト
し(ステップ52)、まず連絡孔5が開放し、主室1か
ら副室2へ圧縮空気が導入される。副室2へ導入された
吸入空気は気化燃料及び改質燃料と混合が促進されて着
火燃焼する(ステップ53)。気化燃料及び改質燃料の
燃焼によって副室2内のガス圧が上昇する。
【0027】次いで、膨張行程に移行して、副室2の火
炎、未燃混合気等のガスが連絡孔5を通じてシリンダ2
7の周辺側へと噴出すると共に、制御弁7が最大リフト
量になって中央連絡孔31が開放し、ピストン3の下降
に移り、副室2の火炎、未燃混合気等のガスは主室1へ
一気に噴出し、主室1に存在する新気と混合を促進して
燃焼スピードを短縮して短期に燃焼を完結し、仕事をす
る。次いで、排気弁25が排気ポート35を開放して排
気行程に移行し、燃焼ガス即ち排気ガスが主室1から排
気ポート35を通じて排気される。更に、吸気ポート或
いは掃気ポートが開放することで、吸入行程或いは掃気
行程へ移行し、シリンダ27内に吸入空気が導入され
る。再び、圧縮行程に移行して燃料噴射ノズル8の多噴
孔14からエンジン負荷、エンジン回転数等のエンジン
作動状態に応じた所定量のアルコール燃料が副室2内に
噴射されてサイクルが繰り返される。
【0028】
【発明の効果】この発明による副室を備えたアルコール
改質エンジンは、上記のように構成されており、次のよ
うな効果を有する。即ち、この副室を備えたアルコール
改質エンジンは、シリンダヘッドに形成したキャビティ
内に配置された副室を構成する副室壁体、該副室にアル
コール燃料を噴射する燃料噴射ノズル、主室を構成する
ヘッド下面部とライナ上部から成るヘッドライナ、前記
副室と前記主室とを連通する前記ヘッド下面部に形成し
た連絡孔、前記連絡孔を開閉できる制御弁、及び前記燃
料噴射ノズルから噴射されたアルコール燃料を前記副室
壁体の熱エネルギーによって改質するため、噴射燃料が
衝突できる前記副室壁体の内壁面に設けた凹凸状の熱交
換用フィンを有するので、壁面に衝突したアルコール燃
料は壁面から熱エネルギーを吸収して加熱気化されて熱
分解し、改質される。即ち、アルコール燃料を燃料ガス
の熱エネルギーで加熱されて高温に蓄熱された副室壁体
の壁面の熱エネルギーによって熱分解され、COとH2
とに熱分解して改質され、着火性を向上させると共に発
熱量を増加させることができ、排気ガスエネルギーを有
効に回収することになる。
【0029】また、連絡孔及び中央連絡孔を閉鎖して主
室と副室とを遮断した状態で、吸入空気を主室に導入す
るので、吸入空気を高圧縮する高圧縮比化が実現でき
る。そして、前記副室内には空気が存在しない状態でア
ルコール燃料を噴射し、燃料を副室に封入した状態で排
気ガスで改質するので、適正な燃料流量を供給でき、改
質燃料が自己着火することがない。更に、吸入空気が前
記主室内で高圧縮圧力になっても前記副室は前記制御弁
で閉鎖して前記主室とは遮断されており、前記副室内の
活性化した改質燃料が自己着火することなく、ノッキン
グが発生することもない。
【0030】また、前記制御弁が作動して前記連絡孔が
開放することで、前記主室から高圧縮されて高温化した
空気が前記副室に一気に流入し、改質燃料と吸入空気と
の混合が一気に促進して着火し、前記副室では当量比の
大きい燃料リッチな状態で高速燃焼するので、NOX
発生が抑制される。そして、前記副室内は燃焼により一
気に圧力が上昇し、燃焼が促進され、それと同時に、前
記連絡孔及び前記中央連絡孔を通じて前記副室から前記
主室へその火炎が一気に噴出し、該火炎は前記主室で新
気と混合し、予混合燃焼を促進して燃焼スピードを短縮
して理想的な二次燃焼を完結する。従って、このアルコ
ール改質エンジンは、NOX 、HC等の発生を大幅に低
減でき、高効率のエンジンを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明による副室を備えたアルコール改質エ
ンジンの一実施例を示す説明図である。
【図2】図1のアルコール改質エンジンに組み込まれて
いる制御弁と副室壁体との関係を示す説明図である。
【図3】図1のアルコール改質エンジンに組み込まれて
いる制御弁の一実施例を示す説明図である。
【図4】図1のアルコール改質エンジンの作動の一実施
例を説明する処理フロー図である。
【符号の説明】
1 主室 2 副室 3 ピストン 4 シリンダヘッド 5 連絡孔 6 コントローラ 7 制御弁 8 燃料噴射ノズル 9 副室壁体 10 ヘッドライナ 11 ライナ上部 12 ヘッド下面部 13 熱交換用フィン 14 多噴孔 16 負荷センサー 20 遮熱空気層 22 キャビティ 25 排気弁 27 シリンダ 28 電磁弁駆動装置 31 中央連絡孔

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 シリンダヘッドに形成したキャビティ内
    に配置された副室を構成する副室壁体、該副室にアルコ
    ール燃料を噴射する燃料噴射ノズル、シリンダ側に形成
    した主室、前記副室と前記主室とを連通する連絡孔、前
    記連絡孔を開閉できる制御弁、及び前記燃料噴射ノズル
    から噴射されたアルコール燃料を前記副室壁体の熱エネ
    ルギーによって改質するため、噴射燃料が衝突できる前
    記副室壁体の内壁面に設けた凹凸状の熱交換用フィン、
    を有することを特徴とする副室を備えたアルコール改質
    エンジン。
  2. 【請求項2】 アルコール燃料が衝突する壁面の前記副
    室壁体はアルコール燃料の改質時に触媒として作用する
    Ni,Ptを含む合金材料で作製されていることを特徴
    とする請求項1に記載の副室を備えたアルコール改質エ
    ンジン。
  3. 【請求項3】 エンジン負荷に応答して前記燃料噴射ノ
    ズルから前記副室へアルコール燃料の噴射時期を制御す
    ると共に、前記制御弁のバルブタイミングを制御するコ
    ントローラを有することを特徴とする請求項1に記載の
    副室を備えたアルコール改質エンジン。
  4. 【請求項4】 前記コントローラは、エンジン低負荷時
    には、圧縮行程中間で前記燃料噴射ノズルから前記副室
    へアルコール燃料を噴射し、アルコール燃料の気化が進
    行した圧縮行程上死点前0〜20°で前記制御弁を開放
    して前記副室と前記主室とを連通し、また、エンジン高
    負荷時には、圧縮行程前半で前記燃料噴射ノズルから前
    記副室へアルコール燃料を噴射し、アルコール燃料の改
    質が進行した圧縮行程上死点前0〜20°で前記制御弁
    を開放して前記副室と前記主室とを連通する制御を行う
    ことを特徴とする請求項1に記載の副室を備えたアルコ
    ール改質エンジン。
JP13418593A 1993-05-13 1993-05-13 副室を備えたアルコール改質エンジン Pending JPH06323211A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2010001907A1 (ja) * 2008-06-30 2010-01-07 株式会社日立製作所 改質器付エンジンシステム
CN102865172A (zh) * 2012-09-20 2013-01-09 金华三人科技有限公司 利用热管技术从排气中取热汽化柴油的燃料喷射系统

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