JPH0632114Y2

JPH0632114Y2 - 消臭芳香シート

Info

Publication number: JPH0632114Y2
Application number: JP1989022028U
Authority: JP
Inventors: 正紀村澤
Original assignee: Kohjin Holdings Co Ltd
Current assignee: Kohjin Holdings Co Ltd
Priority date: 1989-03-01
Filing date: 1989-03-01
Publication date: 1994-08-24
Anticipated expiration: 2004-03-01
Also published as: JPH02114050U

Description

【考案の詳細な説明】（産業上の利用分野）本考案は消臭性能と芳香効果を有するいわゆる消臭芳香
シートに関するものである。更に詳しくは、優れた消臭
性能を有し、且つ芳香効果の持続性に優れた消臭芳香シ
ートに関するものである。また、本考案は片面に接着剤
層を設けた消臭芳香ラベルに関するものである。

（従来技術）従来より、消臭性物質或は芳香剤を紙、不織布等に含浸
又は塗布した消臭性シート、或は芳香シートが市販され
ている。

近年、消臭性能と芳香効果とを合わせもつ消臭芳香材料
が特開昭６３−７７４５２号公報、特開昭６３−２５７
５７２号公報、特開昭６３−３１７１５７号公報等で提
案されている。

特開昭６３−７７４５２号公報は、オキシカルボン酸化
合物と第１鉄塩からなる消臭性物質と、芳香剤を併用し
た消臭芳香材料であり、消臭性物質と芳香成分とを不織
布、多孔材等に付着させたり、消臭性物質をポリエチレ
ン等に練り込み、更に芳香剤を塗布した消臭芳香材料が
開示されている。また、特開昭６３−２５７５７２号公
報は、セルロース系繊維又はそのシート状物に消臭性物
質である硫酸第一鉄等の鉄塩と香料とを塗布してなる消
臭芳香材料である。

また、特開昭６３−３１７１５７号公報は、無機繊維又
はそのシート状物にフラボノイド系化合物等の消臭性物
質と芳香剤を含浸又は塗布してなる消臭芳香材料であ
る。

（考案が解決しようとする課題）しかしながら、紙または不織布等に含浸、または塗布し
た芳香成分は、消臭芳香シートに美感意匠性を具備すべ
く更に印刷されて商品化する場合、印刷時に熱が加えら
れて薬剤が揮散したり、更には消臭芳香シート自体が直
接外気に曝露されているため芳香効果の持続性に問題が
あった。

また、上記の加工された紙、不織布等の片面、或は両面
にラミネート層またはコーティング層を設け芳香成分の
揮散を遅らせる方法もあるが、消臭性成分が外気と接触
できにくくなり、消臭性能が損なわれ、実用的な消臭芳
香シートとなり得ないという問題があった。

（課題を解決する為の手段）本考案者等は、上記の問題を解決すべく鋭意検討した結
果、本考案に到達したものである。即ち、本考案は、
Ａ）酢酸ビニル含量７〜３５重量％、ＭＩ；２〜３０ｇ
のエチレン−酢酸ビニル共重合系樹脂１００重量部に芳
香成分を１〜５０重量部含有するマスターバッチと、
Ｂ）ＭＩ；２〜９０ｇ、融点８０〜１３０℃の熱接着性
ポリオレフィン系樹脂とを、Ａ／Ｂ（重量比）＝５／９
５〜７０／３０の範囲で配合した芳香成分混合物を２０
０℃以下の温度で、消臭性物質を担持させたセルロース
系繊維を主成分とするシート（以下、消臭性シートと称
す。）上に押出しラミネートしてなる事を特徴とする消
臭芳香シートを要旨とするものである。

本考案に用いられるエチレン−酢酸ビニル共重合系樹脂
（以下、EVA系樹脂と略称する。）は酢酸ビニル含量
（以下、VAC含量という）７〜３５重量％、ＭＩ（メル
トインデックス）；２〜３０ｇの範囲のものが使用でき
る。

芳香成分を樹脂中に含有させるには、VAC含量が多い
程、芳香成分含量を多くする事が出来、一方VAC含量が
高くなるにつれＴダイから押し出しラミネートする際の
成膜性が悪くなるため、前記VAC含量範囲が好ましい。

また、本考案に用いられる芳香成分としては、通常の揮
発性を有する香料、いわゆる芳香剤であれば使用でき、
特に限定されるものではないが、揮発温度は実用上、概
ね１０℃〜５０℃のものが望ましい。

これらの芳香成分の前記のEVA系樹脂への含有方法とし
ては例えば両者を混合撹拌する方法、加熱、振動、加圧
等の物理的手段を用いて前記のEVA系樹脂中へ混合する
方法等が挙げられている。また、芳香成分が固形物の場
合は粉末化して前記のEVA樹脂中に直接練り込んでも良
いし、又は一旦セロソルブ、食物油等に溶解させてから
練り込んでも良い。

芳香成分の前記のEVA系樹脂中の含有量は芳香成分の効
力、成膜性、接着性等により決まるため、一概には言え
ないが、概ね前記のEVA系樹脂１００重量部に対して１
〜５０重量部である。

次に、本考案において接着性を付与するために用いる熱
接着性ポリオレフィン系樹脂としては、ＭＩ；２〜９０
ｇ、融点８０〜１３０℃のものが用いられる。融点８０
℃未満、あるいは、２００℃の押出し温度でＭＩ；２ｇ
未満のものは粘性がなく押出し量のコントロールが困難
であり、融点１３０℃超、あるいはＭＩ；９０ｇを越え
るものは２００℃以下の押出し温度では溶融が十分でな
いため、成膜状態及び基材との接着性が悪くなり好まし
くない。

これらの熱接着性ポリオレフィン系樹脂としては、EVA
系、PE系、PP系のものがあり、又これらをベースとした
共重合体、特殊変性体等があり、具体例としては、ディ
クサームＥ（大日本インキ化学工業（株）製）、メルセ
ンＭ（東洋曹達工業（株）製）、三井ロンプライ（三井
東圧化学（株）製）、三井CMPSV（三井ポリケミカル
（株）製）等が例示されるが、これらに限られるもので
はない。

以上のＡ）芳香成分含有EVA系樹脂とＢ）熱接着性ポリ
オレフィン系樹脂との配合比（重量比）はＡ／Ｂ＝５／
９５〜７０／３０、より好ましくは２０／８０〜６０／
４０であり、該範囲外のものはシート状基材との接着性
あるいは成型性等が劣るため好ましくない。

次に、本考案に用いる消臭性シートは、通気性を有する
ものであり、例えばパルプ、麻、綿、酸化セルロース、
ＣＭＣ、レーヨン等のセルロース系繊維を主成分とする
繊維に、水酸化第二銅、水酸化亜鉛、金属フタロシアニ
ン誘導体等の臭気成分との化学反応により臭気成分を化
学的に除去する化学的消臭性物質、又は、α−アミラー
ゼ、リパーゼ等のように酵素反応により臭気成分を分解
する生物学的滴消臭性物質を含浸したり、塗布したり或
は練り込んだりして担持させた消臭性繊維を主成分とす
る繊維をシート化したものが例示される。

また、本考案における非消臭性シートとしてはシート状
であれば特に限定されるものではなく、例えば紙、不織
布、合成紙、プラスチックフィルム、金属箔薄木板、ガ
ラスクロス、ガラス不織布、無機質紙（セラミックペー
パー、水酸化アルミ含有紙、炭酸カルシウム高含有紙、
珪酸カルシウム高含有紙等）、クレープ紙、テープ原紙
等が例示される。

ラミネートに際しては、芳香成分の分解あるいは揮散の
点より押出し温度が２００℃以下、望ましくは１７０℃
以下である事が好ましい。また、押出した樹脂の成膜性
の点でＴダイチルロール方式の押出しラミネートがより
好ましい。消臭性シートと片面ラミネートしたものは他
のシート状基材と更に低温にてヒートシールしても良
い。また、押し出しラミネート時に、少なくとも片面が
消臭性シートであれば、１種又は２種のシート状基材の
間に押出して両面に同種又は異種のシート状基材をサン
ドイッチラミネートしてもよい。

また、消臭性シート面に特定の図形、例えば円形、楕円
形、三角形、四角形、多角形、星型、月形、風景形、人
の姿、動物などの図形を印刷したり、エンボス加工など
により立体的に抑揚を施しておくと装飾を兼ねるためよ
り好ましい。

更に、非消臭性シート面或は芳香成分含有樹脂層面に感
圧接着剤、再剥離性接着剤等の接着剤層を設けて消臭ラ
ベルとしても良い。更に該接着剤層と剥離可能な剥離層
を設けても良い。

前記の感圧接着剤としては例えば天然ゴム、合成ゴム、
ポリアクリル酸エステル、ポリビニルエーテルなどが挙
げられる。

再剥離性接着剤としては弱粘着で凝集力の高い合成ゴ
ム、ポリアクリル酸エステル、ポリビニルエーテル等が
挙げられる。

剥離層としては接着剤との剥離性を持たせるためにフッ
素系、シリコン系フイルム等或はフッ素又はシリコン系
成分で表面処理したフイルム、紙などのシート状物が用
いられる。

更に又、図形状に打ち抜かれた状態で剥離紙上に仮固定
されたものは切り取る手間がかからないためより好まし
い。

（考案の効果）本考案の消臭芳香シートは芳香成分を特定の樹脂配合に
て特定の方法で樹脂層中に含有させ、更に、通気性を有
する消臭性シートと押し出しラミネートして消臭芳香シ
ートとしているため、消臭性能を損なうことなく、芳香
効果の持続性に優れたものである。

また、更に接着剤層を設けたものは簡単に任意の場所に
貼り付けて使用することができる簡便な消臭芳香ラベル
である。

中でもシートを特定の形に打ち抜いて消臭芳香ラベルと
したものは、より使いやすいものである。

更にまた、印刷を施したり、エンボス加工したものは室
内等の装飾にも利用できる。

（実施例）以下、実施例をあげて本考案を具体的に説明する。

実施例１ VA含量２８％、ＭＩ；１５ｇのEVA系樹脂（商品名；エ
バフレックスEV-250、三井ポリケミカル（株）製）２０
kgに芳香成分としてレモン香料（高砂香料製）を５kg加
え撹拌後、４０℃恒温室に１夜放置して香料を含浸せし
たマスターバッチとした。

このマスターバッチ２５kgにＭＩ；８６ｇ、融点８１℃
の熱接着性ポリオレフィン系樹脂（商品名；メルセンＭ
−5320、東ソ−（株）製）２５kgを配合し、パルプに消
臭成分として水酸化第二銅を添加して湿式抄紙法により
抄紙し、水酸化第二銅を銅換算で２．３ｇ／m²担持させ
た米坪１５０ｇ／m²の消臭性シート２枚の中間に樹脂温
１８０℃で３０ｇ／m²押出し、サンドイッチラミネート
して消臭芳香シートを得た。消臭芳香シート中、芳香成
分は３ｇ／m²であった。

次いで、この消臭芳香シートの片面にオフセット印刷に
てカレンダー柄写真版入り３色印刷し消臭且つ芳香を有
するＡ４版大カレンダーを作製した。

このカレンダーを家庭用水洗トイレ壁面に掛けて放置し
たところトイレ室内の鼻へ来る刺激臭が無くなり、レモ
ンの香りがした。この効果は３ケ月後も変わらなかっ
た。

比較例１パルプに消臭成分として水酸化第二銅を添加して湿式抄
紙法により抄紙し、水酸化第二銅を銅換算で２．３ｇ／
m²担持させた米坪１５０ｇ／m²の消臭性シートに、芳香
成分としてレモン香料（高砂香料製）を３ｇ／m²スプレ
ー塗布し、消臭芳香シートを得た。

次いで、この消臭芳香シートの片面に実施例１と同様に
してオフセット印刷にてカレンダー柄写真版入り３色印
刷し消臭性且つ芳香を有するＡ４版大カレンダーを作製
した。

このカレンダーを実施例１と同様に家庭用水洗トイレ壁
面に掛けて放置したところトイレ室内の鼻へ来る刺激臭
が無くなり、レモンの香りがした。しかし、３ケ月後に
は刺激臭はしないものの、レモンの香りはしなかった。

実施例２片面を米坪６５ｇ／m²のコート紙（商品名；ヘンリー
Ｆ、大昭和製紙（株）製）とした以外は実施例１と同様
にして消臭芳香シートを得た。

次に、該消臭芳香シートのコート紙面とシリコン系剥離
紙（８５ｇ／m²）とを、ポリアクリル酸エステルを主成
分としたソルベント系再剥離性接着剤３０ｇ／m²（固形
分）を用いてドライラミネート法により積層し消臭芳香
ラベルを得た。

更にこの消臭芳香ラベルの表面に４色オフセット印刷に
より風景画を印刷し、この消臭芳香シート層部のみをＢ
６版の大きさに打ち抜きカットした消臭芳香ラベルを作
製した。

この消臭芳香ラベルの剥離紙を剥離して消臭芳香シート
を自動車のフロントガラスの内側に貼り、一晩放置して
おいたところ車内のタバコ臭は消え、レモンの香りがし
た。

【図面の簡単な説明】

第１図は実施例１の消臭芳香シートの断面図である。第
２図は実施例２の消臭芳香ラベルの断面図である。尚、図中の符号は下記の通りである。１……消臭性シート２……芳香成分を含有する樹脂層３……上質紙４……再剥離性接着剤５……剥離紙

Claims

【実用新案登録請求の範囲】

【請求項１】Ａ）酢酸ビニル含量７〜３５重量％、Ｍ
Ｉ；２〜３０ｇのエチレン−酢酸ビニル共重合系樹脂１
００重量部に芳香成分を１〜５０重量部含有するマスタ
ーバッチと、Ｂ）ＭＩ；２〜９０ｇ、融点８０〜１３０
℃の熱接着性ポリオレフィン系樹脂とを、Ａ／Ｂ（重量
比）＝５／９５〜７０／３０の範囲で配合した芳香成分
混合物を２００℃以下の温度で、水酸化第二銅、水酸化
亜鉛又は金属フタロシアニン誘導体からなる消臭性物質
を担持させたセルロース系繊維を主成分とするシート
（以下、消臭性シートと称す。）上に押出しラミネート
してなることを特徴とする消臭芳香シート。
【請求項２】消臭性シートを樹脂層の両側にサンドイッ
チラミネートしてなることを特徴とする請求項１記載の
消臭芳香シート。
【請求項３】消臭性シートと非消臭性シートとを樹脂層
の両側にサンドイッチラミネートした請求項１記載の消
臭芳香シートに、更に、非消臭性シート面に接着剤層を
設けたことを特徴とする消臭芳香ラベル。
【請求項４】請求項３の消臭芳香ラベルに、更に接着剤
層と剥離可能な剥離層を設けたことを特徴とする消臭芳
香ラベル。
【請求項５】消臭芳香シート層のみを閉じた図形状に打
ち抜き、剥離層上に仮固定されてなることを特徴とする
請求項４記載の消臭芳香ラベル。