JP3107295U - 虫除け用扇ぎ具 - Google Patents
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Abstract
【課題】 使用者に対して嫌悪感を与えることなく、虫除け効果を長期間に亘って持続することが可能な虫除け用扇ぎ具を提供すること。
【解決手段】 うちわや扇子等の扇ぎ具10において、その扇ぎ面12の少なくとも一部に、忌避剤を含有する印刷層18を形成せしめると共に、かかる忌避剤として、多孔質体粒子の多孔構造内にフィトンチッド成分を入り込ませ、更に該フィトンチッド成分を漸次透過させ得る樹脂材料にて、該フィトンチッド成分を外部から離隔して、該多孔構造内に保持させることにより、該フィトンチッド成分が該樹脂材料の離隔層を通じて粒子外部に漸次放出され得るようにした徐放性粒子を用いた。
【選択図】 図 1
【解決手段】 うちわや扇子等の扇ぎ具10において、その扇ぎ面12の少なくとも一部に、忌避剤を含有する印刷層18を形成せしめると共に、かかる忌避剤として、多孔質体粒子の多孔構造内にフィトンチッド成分を入り込ませ、更に該フィトンチッド成分を漸次透過させ得る樹脂材料にて、該フィトンチッド成分を外部から離隔して、該多孔構造内に保持させることにより、該フィトンチッド成分が該樹脂材料の離隔層を通じて粒子外部に漸次放出され得るようにした徐放性粒子を用いた。
【選択図】 図 1
Description
本考案は、虫除け用扇ぎ具に係り、特に、虫除け効果を長期に亘って発揮することが出来る虫除け用扇ぎ具に関するものである。
従来より、夏が到来すると、暑さをしのいで納涼感を得るために、うちわや扇子等の扇ぎ具が、広く使用されている。そして、近年においては、従来のうちわや扇子に、各種の機能を付して、その付加価値を高める工夫が為されている。具体的には、香料を添加した香り付きのうちわや扇子が、実開平5−93235号公報等において明らかにされ、また、市販もされるに至っており、そこでは、扇ぐことによって発生する風にて納涼感を得るだけではなく、風にのった香りによっても、リフレッシュ効果が得られるようになっている。
また一方、夏になると、花火や盆踊り等が各地で開催され、野外に出かけることが多くなると共に、野外では、各種害虫の活動も活発となる。このため、上記した香り付きのうちわ等の他にも、虫除け機能を発揮することが出来るうちわや扇子も、有用であると考えられる。しかしながら、従来より汎用されている忌避剤は、人間にとって、芳しくない臭いであったり、或いは、人体への悪影響が心配されるものが多く、例えそのような忌避剤をうちわや扇子に適用して、防虫効果を得たとしても、使用者自身に向かって扇ぐことが嫌忌される虞があった。
このため、本考案者は、人体に対する悪影響が無く、且つ虫除け機能を充分に発揮し得る新規なうちわや扇子を開発するために、種々検討を重ねた。その結果、忌避剤として、フィトンチッドを採用すれば、人体に悪影響を与えることなく、うちわや扇子に虫除け機能を付与することが出来ることを、見出したのである。なお、ここにおいて、フィトンチッドは、森林の樹木等が発散する有機化学物質であって、森林浴をした際に感じる森林の香りや爽快感、リフレッシュ感は、このフィトンチッドによってもたらされていると言われている。また、かかるフィトンチッドには、虫除け効果やリフレッシュ効果以外にも、消臭効果や脱臭効果等があると言われている。
従って、上述せる如き優れた効果を有するフィトンチッドを、うちわや扇子等に適用すれば、扇ぐことによって、使用者に対して虫を近づけないようにすることが可能となるだけでなく、使用者に爽快感やリフレッシュ感を付与したり、使用者の周囲を効果的に消臭することが出来るといった利益も併せて享受できるようになる。
しかしながら、天然の樹木等から抽出されるフィトンチッドは、揮発性が高い有機化学物質であるところから、そのまま、うちわや扇子の本体部分(扇ぎ面)に適用しても、或いは樹脂材料等に混ぜて適用しても、その効果を長期に亘って持続することが困難であったのである。具体的には、製造後、製品を流通乃至は保管している間に、フィトンチッドが空気中に飛散し、需要者の手に届く頃には、その大部分のフィトンチッドが消失して、充分な効果を得ることが出来ないといった問題があったのであり、特に、うちわや扇子が多用される夏場においては、フィトンチッドが揮発し易く、そのような傾向が顕著であることが、明らかとなったのである。
ここにおいて、本考案は、かかる事情を背景にして為されたものであって、その解決課題とするところは、使用者に対して嫌悪感を与えることなく、虫除け効果を長期間に亘って持続することが可能な虫除け用扇ぎ具を提供することにある。
そして、本考案は、上述の如き課題を解決するために為されたものであって、その要旨とするところは、扇ぎ部を備えた扇ぎ具において、該扇ぎ部の表面の少なくとも一部に、忌避剤を含有する印刷層を形成せしめる一方、かかる忌避剤として、多孔質体粒子の多孔構造内にフィトンチッド成分を入り込ませ、更に該フィトンチッド成分を漸次透過させ得る樹脂材料にて、該フィトンチッド成分を外部から離隔して、該多孔構造内に保持させることにより、該フィトンチッド成分が該樹脂材料の離隔層を通じて粒子外部に漸次放出され得るようにした徐放性粒子を用いたことを特徴とする虫除け用扇ぎ具にあり、これを、本考案の第一の態様とするものである。
なお、本考案に従う虫除け用扇ぎ具における好ましい第二の態様においては、前記徐放性粒子が、前記多孔質体粒子の多孔構造内に入り込ませた前記フィトンチッド成分を、該多孔構造の表層部に含浸させて形成される前記樹脂材料からなる離隔層にて、該多孔構造内に閉じ込めてなる形態を有している。
また、本考案に従う虫除け用扇ぎ具の第三の態様においては、前記印刷層の上に、脱着可能な気体難透過性若しくは気体不透過性樹脂フィルムが貼付され、該扇ぎ具の使用時において取り外され得るように構成される。
さらに、本考案に従う虫除け用扇ぎ具の第四の態様においては、前記忌避剤が配合されてなるインキを、前記扇ぎ部の表面に直接に印刷せしめることにより、前記印刷層が形成されることとなる。
加えて、本考案に従う虫除け用扇ぎ具の第五の態様では、前記忌避剤が配合されてなるインキを、裏面に接着剤層が形成されたシートの表面に印刷して、かかるシートを前記扇ぎ部の表面の少なくとも一部に貼着することにより、前記印刷層が形成される構成が採用される。
なお、上述せる如き虫除け用扇ぎ具の具体例としては、例えば、うちわや扇子を挙げることが出来る。
従って、このような本考案に従う虫除け用扇ぎ具によれば、忌避剤として、フィトンチッド成分を徐々に放出することが可能な、フィトンチッド成分を内包する多孔質体粒子が用いられて、扇ぎ部表面たる扇ぎ面の印刷層に存在せしめられているところから、かかる扇ぎ面から、フィトンチッド成分が急速に揮発して放出されるようなことが極めて効果的に防止され、フィトンチッド成分による虫除け効果が長期間に亘って持続せしめられることとなるのである。
そして、そのような扇ぎ面から放出されるフィトンチッド成分は、天然の樹木等から抽出される天然成分であり、人体に対して悪影響を及ぼさないばかりか、扇ぎ具で扇ぐことによって、爽快感を感じさせる風が発生せしめられ、リフレッシュ効果や防臭効果を得ることも出来る特徴を有している。
しかも、本考案においては、かかる忌避剤が、扇ぎ部の外表面に位置するように設けられている印刷層に含有せしめられるところから、扇ぎ操作によって、徐々に放出されるフィトンチッドが、効果的に使用者に到達し得るようになっていると共に、特別な工程を追加することなく、通常の印刷工程で、忌避剤を扇ぎ面に適用することが出来るようになっているのである。
なお、本考案に係る虫除け用扇ぎ具の望ましい態様に従って、気体難透過性若しくは気体不透過性樹脂フィルムを印刷層上に添付して、印刷層表面を使用時までカバーするようにすれば、扇ぎ具の未使用時における印刷層からのフィトンチッドの揮発が顕著に抑制され得るところから、例えば、倉庫等において長期間保管するような場合にも、そのような長期に亘る保存に充分に耐え得るようになる。
さらに、本考案に係る虫除け用扇ぎ具の望ましい他の態様に従って、扇ぎ部の表面に対して、例えば、裁断成形前の扇ぎ部を与えるシート等に対して、忌避剤を含有するインキを、直接に印刷することによって、より少ない工程数で、虫除け用扇ぎ具を製造することが可能となる。これにより、上述せる如き優れた効果を発揮する虫除け用扇ぎ具の大量生産が有利に実現され得ることとなるのである。
加えて、本考案に係る虫除け用扇ぎ具の望ましい更に他の態様に従って、忌避剤を含有するインキが印刷されたシート(例えば、シール)を貼着することにより、扇ぎ面に印刷層が存在せしめられるようにすれば、既製の扇ぎ具を、そのまま、有効に利用して、目的とする虫除け用扇ぎ具を実現することが出来るといった利点が得られる。また、目的とする印刷層を設けたシートを貼るだけの簡便な操作で、扇ぎ部の表面に対して、優れた効果を奏する印刷層を形成することが出来るところから、例えば、長期の使用等によって、フィトンチッド成分が揮発し、その効能が弱まった場合には、新たなシートを貼り直したり、重ね貼りすることによって、再び、優れた虫除け効果を享受することも可能となる。
以下、本考案を更に具体的に明らかにするために、本考案の実施の形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明することとする。
先ず、図1には、本考案に従う虫除け用扇ぎ具の代表的な一例が、示されている。そこにおいて、10は、うちわであって、従来から公知のうちわと同様に、適度な形状安定性を有する材料からなり、略円形の外形形状を呈する、可撓性のある薄板状の扇ぎ部(本体部)12と、適度な剛性を有する材料からなり、扇ぎ部12の外周部から径方向外方に突出する、全体として長手の厚肉矩形板状の把持部14とを有して構成されており、把持部14を手に持ち、扇ぐことによって、風が発生せしめられる構造とされている。なお、本実施形態では、扇ぎ部12が厚紙からなる円形形状の面板13にて構成されており、その外周縁部の一部が、厚紙からなる把持部14の略扇状基部15部分で、両面から貼り合わされることによって、把持部14が扇ぎ部12に対して固定的に取り付けられて、それらが一体化されている。
また、本実施形態においては、上述せる如き扇ぎ部12(面板13)の表面の一部に対して、所定のインキを用いた印刷が施されて、所定の絵柄16(ここでは、星形)が付与されているのである。そして、その断面図を示す図2からも明らかなように、絵柄16を構成する印刷層18には、本考案に従う特定の特殊な忌避剤20が含有せしめられているのであり、そこに、大きな特徴を有している。なお、図2や後述する図4,5においては、理解を容易と為すために、面板13上に形成された印刷層18等の厚みが誇張されて示されていることが、理解されるべきである。
ところで、本実施形態において採用されている忌避剤20は、多孔質体粒子の多孔構造内に、忌避成分であるフィトンチッド成分を入り込ませ、更にフィトンチッド成分を漸次透過させ得る樹脂材料にて、フィトンチッド成分を外部から離隔して、フィトンチッド成分が外部に漸次放出され得るようにした徐放性粒子であり、例えば、多孔質粒子の多孔構造内にフィトンチッド成分を内包し、その多孔構造の表層部に、フィトンチッド成分を漸次透過させて外部に放出し得る樹脂材料からなる離隔層が形成されて、かかるフィトンチッド成分が閉じ込められた形態のものが、採用されることとなる。
より具体的には、図3に、忌避剤20のイメージ図が示されているのであるが、忌避剤20は、多孔質体粒子(ここでは、多孔質シリカ粒)を基材とし、その内部に、揮発性の高いフィトンチッド成分を含んでいる。また、多孔質体粒子の表層部には、フィトンチッド成分を徐々に透過させ得る樹脂材料からなる徐放性の樹脂層(離隔層)が形成されており、多孔質体粒子に内包されたフィトンチッド成分が、離隔層を通じて、外方に徐々に放出され得るようになっている。
ここにおいて、忌避成分であるフィトンチッドは、森林の香りを付与するものであって、例えば、ヒバ等の樹木や、枝葉、木皮等から、公知の手法で抽出された天然の木精油や木酢油等を挙げることが出来、その主な成分は、揮発性のテルペン類である。なお、そのような樹木等から抽出されたフィトンチッドは商業的に入手することが可能であり、その種類が特に制限されるものではないものの、本実施形態においては、ヒバ等から抽出されたものが、好適に用いられる。
一方、基材である多孔質体粒子としては、多孔構造を有し、その孔内にフィトンチッド成分を含有することが出来るものであれば良く、例えば、二酸化ケイ素、ケイ酸カルシウム、アパタイト、アルミナ、リン酸ジルコニウム等からなる無機多孔質体粒子や、ポリエチレン、ポリウレタン、セルロース、ポリビニルホルマール、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂、天然繊維物質等からなる有機多孔質体粒子を挙げることが出来る。本考案においては、これらの中でも、二酸化ケイ素からなる多孔質シリカが、好適に採用されることとなる。また、多孔質体粒子の粒径としては、忌避剤20が印刷層18から脱落することなく、印刷層18内に有利に保持され得るように、一般に、15μm〜40μm程度の大きさが採用される。
また、多孔質体粒子の表層部の離隔層を与える樹脂材料としては、例えば、テトラエトキシシラン、テトラメトキシシラン、プロピルシリケート、ブチルシリケート、メトキシポリシロキサン、エトキシポリシロキサン、C1〜C4のアルキル基を有するアルコキシシラン、C1〜C4のアルキル基を有するポリアルコキシシラン等の有機ケイ素化合物や、硝酸セルロース、ポリアミド樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリエステル、スチレン系オレフィン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、エチレン酢酸ビニルコポリマー樹脂、メラミン樹脂、シェラック、ポリフェノール化合物の金属錯体、ポリカルボン酸のアルカリ土類金属塩、セルロース系誘導体、高分子凝集剤、ロウ、天然高分子化合物等を挙げることが出来る。
そして、このようなカプセルの如き構造を有する忌避剤20にあっては、フィトンチッド成分が多孔質体粒子に内包されているところから、外圧に強く、印刷操作において、外圧が付与されても粒子自体が破壊されるようなことが防止され、以て、フィトンチッド成分が安定的に保持され得るといった利点が享受されると共に、多孔質体粒子の表層部に形成された離隔層の存在によって、フィトンチッド成分が外部に漸次透過せしめられ得ることとなり、以て、多孔質体粒子の内部のフィトンチッド成分が一度に揮発するようなことが効果的に防止され得るのである。
なお、上述せる如き構造の忌避剤20は、特開2003−286196号公報に示される如き手法に従って製造することが可能であり、例えば、減圧下において、フィトンチッド成分を多孔質シリカ微粒子に接触せしめて、フィトンチッドを多孔質シリカ微粒子に含浸させた後、更に、メトキシポリシロキサンやシェラック等の透過性樹脂溶液を含浸させ、溶媒を除去することによって、製造することが出来る(特開2003−286196号公報の実施例18,19参照)。
そして、上記した忌避剤20を用いて、印刷層18を形成するには、印刷操作に先立って、所定量の忌避剤20をインキ乃至は塗料に配合し、常法に従って印刷を行うようにすればよい。この際、かかる忌避剤20は、一般に、インキ乃至は塗料中の樹脂の100重量部に対して、30〜70重量部の割合で配合されることとなる。なお、本実施形態において採用される忌避剤20は、白色の微細な粉末であるが、その配合によって、目的とするインキ乃至は塗料の色を阻害するようなことはなく、各種の色のインキ乃至は塗料に混合せしめることが可能である。
また、本実施形態で採用される忌避剤20が配合されるインキ乃至は塗料としては、忌避剤20の表層部に形成された離隔層を溶かしてしまうようなものや、フィトンチッド成分を透過し得ないもの等、忌避剤20に対して悪影響を及ぼすものでなければ、特に限定されるものではなく、従来から公知のものが有利に採用され得るものであり、印刷層20が形成される面の材質に適合するインキ乃至は塗料が、適宜に選択されることとなる。
なお、かかるインキ乃至は塗料は、よく知られているように、塗料用樹脂と溶剤乃至はビヒクルを主成分として含む液状物質であって、そこでは、塗料用樹脂として、例えば、ポリエステル樹脂、塩ビ・酢ビ共重合樹脂、メタクリレート樹脂等の他、ウレタンディスパージョンタイプやアクリルエマルジョンタイプの水性バインダーが用いられる一方、溶剤乃至はビヒクルとしては、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、グリコール、グリコール誘導体、ケトン等が用いられることとなる。また、このインキ乃至は塗料には、従来からの公知の各種配合剤、例えば無機顔料、有機顔料、染料等の着色剤や、消泡剤、レベリング剤、顔料分散剤、ブロッキング防止剤、ワックス沈降防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤等が、必要に応じて、適宜に含有せしめられている。
そして、上述せる如くして忌避剤20が配合されたインキ乃至は塗料は、スクリーン印刷法を初め、オフセット印刷法、グラビア印刷法、凸版(フレキソ)印刷法等の公知の印刷手法に従って、扇ぎ面12(面板13)上に印刷され、これによって、印刷層18が形成されるのである。また、そこで形成される印刷層18は、その厚さが、採用するインキ乃至は塗料の種類や印刷手法に応じて変動するものの、一般に、15〜100μm程度の厚さとされる。更に、印刷層18の面積は、扇ぎ面12の一部であっても、全面であってもよく、特に制限されるものではないものの、例えば、7000〜40000mm2 程度の扇ぎ面12のうちわ10の場合には、400mm2 〜1600mm2 程度の面積を確保し得るように印刷すると、フィトンチッド成分による虫除け効果を有効に発揮せしめることが可能となる。
このようにして、特定の徐放性粒子からなる忌避剤20を含む印刷層18が形成されたうちわ10にあっては、印刷層18からフィトンチッド成分が徐々に放出され得るようになっているのである。そして、使用者がうちわ10を扇ぐことによって、使用者の周りにフィトンチッド成分が拡散して、虫が近寄ってこなくなると共に、森林の清々しい香りが広がって、使用者に森林浴の爽快感が与えられ、更には防臭も行われ得るようになっているのである。
従って、本実施形態のうちわ10にあっては、使用者にリフレッシュ効果を与えつつ、虫除け効果を長期間に亘って発現し得る特徴を発揮する。
なお、図4に示されるように、忌避剤20を含有する印刷層18上には、気体を殆んど透過し得ない樹脂材料(気体難透過性樹脂材料)又は気体を透過しない樹脂材料(気体不透過性樹脂材料)からなる、着脱可能な樹脂フィルム22を、印刷層18全体を覆うように貼付する構成が、より一層好適に採用される。このようにして樹脂フィルム22を印刷層18に貼付すれば、夏場等、気温の高い環境下においても、フィトンチッド成分の揮発が、極めて効果的に抑制され得るようになるのである。
そして、貼付された樹脂フィルム22を、使用時に取り外して、うちわ10を使用するようにすれば、未使用時におけるフィトンチッド成分の揮発が、極めて効果的に抑制され、より一層長期間に亘って虫除け効果を持続することが可能となる。
ここで、上記樹脂フィルム22としては、従来からアプリケーションフィルムや保護フィルム等として使用されているものであって、気体(特にフィトンチッド成分の気化物)を、透過し難い乃至は透過させない性質を有するものが、有利に用いられるのであり、例えば、気体難透過性樹脂材料乃至は気体不透過性樹脂材料としては、ポリエチレン、ポリスチレン等のポリオレフィン、ポリエステル等からなる樹脂フィルムが好適に用いられる。また、樹脂フィルム22の厚みとしては、一般に、15〜50μm程度のものが用いられることとなる。更に、樹脂フィルム22には、印刷層18への貼付が容易に実現され得るように、更には貼付した樹脂フィルム22の剥離が抑制され得るように、印刷剤層18に接する側の面に、微粘着性を有する粘着剤層が形成されていることが、望ましい。なお、粘着剤層を与える粘着剤としては、アクリル系、シリコーン系、ウレタン系等の、微粘着性及び再剥離性を有する公知のものが適宜に用いられる。
以上、本考案の代表的な実施形態について詳述してきたが、それは、あくまでも例示に過ぎないものであって、本考案は、そのような実施形態に係る具体的な記述によって、何等限定的に解釈されるものではないことが、理解されるべきである。
例えば、上記の実施形態では、扇ぎ面12を構成する面板13に対して、忌避剤20が配合されたインキが、直接、印刷されることにより、印刷層18が形成されるようになっていたが、このような手法は、面板13を、うちわ10の形状(円形形状)に切断乃至は打ち抜く前に、大きなシート状の面板に対して直接印刷し、その後、加工を行う場合に有利に採用される手法であって、うちわ10を大量生産する場合等に好適に採用され得る。一方、既製のうちわ10に対して、印刷層18を形成する場合には、図5に示されるように、忌避剤20が配合されたインキを、裏面に公知の接着剤からなる接着剤層24が形成されたシート26の表面に印刷して印刷層18を形成し、その印刷層18が形成されたシート26(具体的には、シール)を、扇ぎ部12(面板13)の表面の少なくとも一部に貼着する手法が、好適に採用され得る。
また、上記の具体例では、厚紙からなるうちわ10が採用されていたが、うちわ10の材質は、厚紙に何等限定されるものではなく、紙以外にも、布、合成樹脂、木、竹、金属等、従来から公知の材質のものを用いることが出来る。
さらに、うちわ10の形態にあっても、上例のものに何等限定されるものではなく、例えば、図6に示されるように、プラスチックスや木、竹等からなる柄付き骨格部28に、その両側から紙や布等からなるシート30を貼り合せ、扇ぎ面32を構成したうちわ34や、図7に示されるように、厚紙やプラスチックス等からなる円形形状の面板36にて扇ぎ面を構成し、その外周部に、指を挿通せしめることが出来る大きさの指掛け穴38を設けてなるうちわ40など、公知の各種の形態を採用することが可能である。更には、うちわ以外にも、図8に示される如き扇子42等、公知の扇ぎ具を採用することが可能である。そして、そのような扇ぎ具の扇ぎ面に、忌避剤20を含有する印刷層18を形成することにより、前述せる如き本考案よる効果が有利に発現されることとなるのである。
また、本考案に従う扇ぎ具の大きさにあっても、特に限定されるものではなく、カードサイズ(例えば、40mm×80mm程度)のものから、1000cm2 程度の大きさのものまで、適宜に選択することが出来る。
さらに、印刷層18を形成する方法としても、通常の印刷手法の他に、塗装、筆書きなどを採用することが可能である。
加えて、上例では、扇ぎ面12に、星形の印刷層18が、3つ形成されていたが、印刷層18の形状や、位置、個数等は何等限定されるものではなく、扇ぎ面12の全面に対して印刷層を形成することも、勿論可能である。しかしながら、経済性を勘案すると、絵柄の一部に、忌避剤20を含む印刷層18を形成することが、より望ましいと言うことが出来る。
その他、一々列挙はしないが、本考案は、当業者の知識に基づいて、種々なる変更、修正、改良等を加えた態様において実施され得るものであって、また、そのような実施態様が、本考案の趣旨を逸脱しない限り、何れも、本考案の範囲内に含まれるものであることは、言うまでもないところである。
10,34,40 うちわ 12,32 扇ぎ面
13,36 面板 14 把持部
15 扇状基部 16 絵柄
18 印刷層 20 忌避剤
22 樹脂フィルム 24 接着剤層
26 シート 28 骨格部
30 シート 38 指掛け穴
42 扇子
13,36 面板 14 把持部
15 扇状基部 16 絵柄
18 印刷層 20 忌避剤
22 樹脂フィルム 24 接着剤層
26 シート 28 骨格部
30 シート 38 指掛け穴
42 扇子
Claims (6)
- 扇ぎ部を備えた扇ぎ具において、該扇ぎ部の表面の少なくとも一部に、忌避剤を含有する印刷層を形成せしめる一方、かかる忌避剤として、多孔質体粒子の多孔構造内にフィトンチッド成分を入り込ませ、更に該フィトンチッド成分を漸次透過させ得る樹脂材料にて、該フィトンチッド成分を外部から離隔して、該多孔構造内に保持させることにより、該フィトンチッド成分が該樹脂材料の離隔層を通じて粒子外部に漸次放出され得るようにした徐放性粒子を用いたことを特徴とする虫除け用扇ぎ具。
- 前記徐放性粒子が、前記多孔質体粒子の多孔構造内に入り込ませた前記フィトンチッド成分を、該多孔構造の表層部に含浸させて形成される前記樹脂材料からなる離隔層にて、該多孔構造内に閉じ込めてなる形態を有している請求項1に記載の虫除け用扇ぎ具。
- 前記印刷層の上に、脱着可能な気体難透過性若しくは気体不透過性樹脂フィルムが貼付され、該扇ぎ具の使用時において取り外され得るようになっている請求項1又は請求項2に記載の虫除け用扇ぎ具。
- 前記忌避剤が配合されてなるインキを、前記扇ぎ部の表面に直接に印刷せしめることにより、前記印刷層を形成したことを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れかに記載の虫除け用扇ぎ具。
- 前記忌避剤が配合されてなるインキを、裏面に接着剤層が形成されたシートの表面に印刷して、かかるシートを前記扇ぎ部の表面の少なくとも一部に貼着することにより、前記印刷層を形成したことを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れかに記載の虫除け用扇ぎ具。
- うちわ又は扇子の形態において実現される請求項1乃至請求項5の何れかに記載の虫除け用扇ぎ具。
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