JPH06321053A - 車両のシ−トベルト装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】パッシブシートベルトのアンカポイントの剛性
を取り易くし且つシートベルトの自動装着を自然な形で
行うようにする。 【構成】後席３に設けられたシートベルト装置５は、座
部７の車幅方向中央部に固設したアンカー８と、背もた
れ部９の車幅方向中央部に固設されたリトラクター１０
とに取り付けられたベルト６を有し、ベルト６には可動
アンカー１２が挿通されている。可動アンカー１２はガ
イドレール１３により案内され、ガイドレール１３は、
リトラクター１０の上方域から前方に延びた後屈曲して
センタピラー１７の上端まで延び、そしてセンタピラー
１７に沿って下方に延びた後、座部７の後端部近傍まで
延びる形状を有する。可動アンカー１２は、モータ２０
により移動されて、リトラクター１０の上方域に位置さ
れた待機位置と座部７の後端部近傍に位置されたセット
位置をとり得る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、車両のシートベルト装
置に関し、より詳しくは自動的にシートベルトの装着を
行うパッシブシートベルトに関するものである。

【０００２】

【従来技術】シートベルトは、車両における衝突時の乗
員保護対策として一般的であり、前席及び後席の各席へ
の設置が義務付けられている。また、一般車両用シート
ベルトとしては、上半身をたすき掛けする胸ベルト部と
腰ベルト部とを１本のベルトで構成した、いわゆる３点
式ベルトが一般的であり、乗員が着座したときにマニュ
アルで装着するのが通例である。

【０００３】ところで、実開昭６２ー４３８３３号公報
に見られるように、シートベルトの装着を自動化したパ
ッシブシートベルトが開発され、一部の車両に搭載され
始めている。上記公報に開示のものを例に従来のパッシ
ブシートベルトについて説明すると、このパッシブシー
トベルトでは、アンカーポイントがドアのサッシュ部に
設けられ、ドアを開けたときにこのドアとシートとの間
に張り渡した状態にあるシートベルトを身体（上半身）
で押しながら着座し、その後ドアを閉めることにより３
点式ベルトの自動装着が行われるようになっている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】パッシブシートベルト
においても、アンカーポイントは極力剛性の取り易い箇
所に設けるのが好ましい。また、シートベルトの装着は
乗員に自然な感じを与えるようにすることが望ましい。

【０００５】そこで、本発明の目的は、このようなパッ
シブシートベルトに対する要請に応じ得る車両のシート
ベルト装置を提供することにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】かかる技術的課題を達成
すべく、本発明にあっては次のような構成としてある。
すなわち、座席の車体内方側における座部の後端部近傍
及び背もたれ部の上端部近傍に固設されたアンカーとリ
トラクターとに渡って延びるベルトの中間部に設けられ
た可動アンカーと、車体のルーフ及び側壁に連続して設
けられ、該側壁において前記座部の後端部近傍から車体
前方に向けて延びた後に上方に延びて前記ルーフに至る
形状を備えて、前記可動アンカーを案内するガイドレー
ルと、前記可動アンカーを移動させる駆動手段とを有
し、前記可動アンカーは、前記座部の後端部近傍に位置
するセット位置と、前記座部の上方に位置する待機位置
とを選択的にとり得るようにされている、ような構成と
してある。

【０００７】

【作用】上記の構成によれば、可動アンカーのセット位
置を座部の後端部近傍に設定してあるため、車体強度部
材例えばモノコックボデイの場合にはサイドシェルに関
連させてアンカーポイントを設けることが容易である。
また、可動アンカーが待機位置とセット位置との間を移
動することによりシートベルトの自動装着及び自動解放
が行われることになるが、このシートベルトの装着及び
解放が着座状態にある乗員に対して自然な形で包込むよ
うにして行われるため、乗員に違和感を与えることはな
い。

【０００８】なお、車両走行時では、常に、可動アンカ
ーをセット位置に位置させるようにしておけば、仮に乗
員が不在なときには、シートベルトが座席に張り付いた
状態におかれることになり、換言すればシートベルトが
車室内に張り渡された状態のままで存在することはな
く、シートベルトの存在により車室内空間の解放感を損
なうことはない。

【０００９】

【実施例】以下に、本発明の実施例を添付した図面に基
づいて説明する。図１において、１は自動車で、自動車
１は前席（図示せず）のみにドア２を設けた２ドアタイ
プの車両とされ、前席助手席は１８０度回転して後席３
と対面する回転対座式とされている。

【００１０】後席３に設けられたシートベルト装置５
は、ベルト６の装着を自動的に行うパッシブシートベル
トとされている。シートベルト装置５は、後席３の座部
７における車幅方向中央部に固設されたアンカー８と、
背もたれ部９における車幅方向中央部近傍に固設された
リトラクター１０とを有し、ベルト６は、一端がアンカ
ー８に取付けられ、他端がリトラクター１０に取付けら
れている。ベルト６には可動アンカー１２が挿通され、
可動アンカー１２は車体側に設けられたガイドレール１
３に案内されて移動可能とされている。

【００１１】ガイドレール１３は、ルーフ１５（図２参
照）と、側壁を構成するサイドパネル１６とに渡って連
続的に設けられている。ガイドレール１３の全体的な形
状を具体的に説明すると、ガイドレール１３は、その一
端１３ａがルーフ１５におけるリトラクター１０の上方
域に設けられ、この一端１３ａから車体前方側にまっす
ぐに延びた後、車幅方向外方側に向けて屈曲してセンタ
ピラー１７の上端まで延び、そしてこのセンタピラー１
７に沿って長手方向中央部まで下方に延びた後、車体後
方側に向けて斜め下方に延びる形状を有し、ガイドレー
ル１３の他端１３ｂは座部７の後端部近傍に設けられて
いる。

【００１２】可動アンカー１２は、図２に示すようにガ
イドレール１３の一端１３ａの近傍に固設された第１モ
ータ２０と、他端１３ｂの近傍に固設された第２モータ
２１とに連係されて、一端１３ａと他端１３ｂとの間を
移動するようになっている。ここに、第２モータ２１
は、図３に示すように、サイドシェル２３に対してブラ
ケット２４を介して取付られている。尚、図３に示す符
号２５はフロアパネルである。

【００１３】モータ２０、２１の制御ユニット（図示せ
ず）は、図外の車速センサからの信号を受けて、例えば
車速が５Km/h以上となったときに、第２モータ２１の作
動を開始して、可動アンカー１２がガイドレール１３の
他端１３ｂまで移動される（セット位置）。他方、車速
が「零」及び後席乗員が操作する図外のマニュアルスイ
ッチが［ＯＮ」されたときに第１モータ２０の作動を開
始して、可動アンカー１２がガイドレール１３の一端１
３ａまで移動される（待機位置）。尚、第１モータ２０
の作動開始条件として、運転席の座部に荷重センサを設
け、運転者が座席から離れたことを条件に可動アンカー
１２をガイドレール１３の一端１３ａまで移動させるよ
うにしてもよい。

【００１４】可動アンカー１２がガイドレール１３の一
端１３ａに位置すると、ベルト６は、図１に実線で示す
ように、固定アンカー８とルーフ１５との間に張り渡さ
れた状態となり、待機状態を形成することになる。他
方、可動アンカー１２がガイドレール１３の他端１３ｂ
に位置すると、ベルト６は、図１に仮想線で示すよう
に、固定アンカー８と可動アンカー１２との間で腰ベル
ト部６ａを構成し、可動アンカ１２とリトラクター１０
との間で胸ベルト部６ｂを構成する３点式シートベルト
のセット状態を形成することになる。

【００１５】上記実施例によれば、ガイドレール１３の
一端１３ａがリトラクター１０の上方域に設けられてい
るため、後席３に着座した乗員と干渉することなくシー
トベルト６の装着あるいは解放を行うことができる。ま
た、車両走行時には、後席乗員の有無に係わらず、シー
トベルト６をセット状態にし、このセット状態では、シ
ートベルト６が後席３に張り付いた状態となるため、換
言すれば、固定アンカー８とルーフ１５との間にベルト
６が張り渡された状態でなくなるため、車室内空間の解
放感を損なうことはなく、また運転者の後方視界を害す
ることはない。なお、モ−タは、可動アンカ−１２の引
張専用として２つ設けてもよいが、１つのみとすること
もできる。

【００１６】

【効果】以上実施例について説明したが、ガイドレ−ル
１３は、ル−フに沿う部分のうち車体前後方向に伸びる
部分は、全く存在しないもの、あるいは実施例よりも短
いもの（１３ａの位置がより前方とされるもの）であっ
てもよい。

【００１７】以上の説明から明らかなように、本発明に
よれば、可動アンカーのセット位置を車体側に設定つま
り開閉されるドアにシ−トベルトの支持部分を設ける必
要がないので、シ−トベルトの取付支持剛性を容易に確
保することができる。また、可動アンカーをルーフと側
壁との間を移動させることにより、着座状態にある乗員
に対してシートベルトの自動装着及び自動解放を行うた
め、乗員に違和感を与えることはない。勿論、本発明
は、シ−トベルトの側方にドアが存在しない形式の車両
に対しても適用できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】後席を前方側から見た斜視図。

【図２】図１に示す矢印II方向からルーフを見た図。

【図３】図１に示すIII-III 線に沿って切断した断面
図。

【符号の説明】

３ 後席 ７ 後席の座部 ８ 固定アンカー ９ 後席の背もたれ部 １０ リトラクター １２ 可動アンカー １３ ガイドレール １５ ルーフ １６ サイドパネル １７ センタピラー ２０、２１ モータ ２３ サイドシェル

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 座席の車体内方側における座部の後端部
   近傍及び背もたれ部の上端部近傍に固設されたアンカー
   とリトラクターとに渡って延びるベルトの中間部に設け
   られた可動アンカーと、 車体のルーフ及び側壁に連続して設けられ、該側壁にお
   いて前記座部の後端部近傍から車体前方に向けて延びた
   後に上方に延びて前記ルーフに至る形状を備えて、前記
   可動アンカーを案内するガイドレールと、 前記可動アンカーを移動させる駆動手段とを有し、 前記可動アンカーは、前記座部の後端部近傍に位置する
   セット位置と、前記座部の上方に位置する待機位置とを
   選択的にとり得るようにされている、ことを特徴とする
   車両のシートベルト装置。