JPH06319581A - 安定同位体標識rnaおよびリボヌクレオチドの製造方法 - Google Patents

安定同位体標識rnaおよびリボヌクレオチドの製造方法

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JPH06319581A
JPH06319581A JP6019669A JP1966994A JPH06319581A JP H06319581 A JPH06319581 A JP H06319581A JP 6019669 A JP6019669 A JP 6019669A JP 1966994 A JP1966994 A JP 1966994A JP H06319581 A JPH06319581 A JP H06319581A
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labeled
rna
yeast
stable isotope
ribonucleotide
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JP6019669A
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Inventor
Tsutomu Okada
務 岡田
Munehiro Tejima
宗広 手島
Sumiko Tamura
寿美子 田村
Hiroaki Fukuda
裕章 福田
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Japan Oxygen Co Ltd
Nippon Sanso Corp
Original Assignee
Japan Oxygen Co Ltd
Nippon Sanso Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 13Cと15Nのうち、一方または両方などの安
定同位体で標識されたRNAおよび5′リボヌクレオチ
ドを安価に、かつ工業的に容易に生産する方法の提供を
目的としている。 【構成】 13C標識化合物と15N標識化合物のうち一方
または両方を原料として酵母菌を培養し、次いで培養酵
母菌体より全炭素原子に占める13C原子の存在比及び/
又は全窒素原子に占める15N原子の存在比が95%以上
であるRNAを抽出することを特徴としている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は13Cや15Nなどの安定同
位体で標識された安定同位体標識RNAおよび5′リボ
ヌクレオチドの製造方法であり、特に標識率の高い安定
同位体標識RNAおよび5′リボヌクレオチドを効率良
く製造する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】安定同位体標識RNAおよび5′リボヌ
クレオチドなどの標識化合物は、最近目ざましい発展を
遂げているRNAの多次元NMRによる構造解析に不可
欠なものである。すなわち、13Cや15Nは、1Hと同様
にスピン1/2の原子核を持つために、これらの安定同
位体を有する物質は高分解能NMRの測定が可能であ
る。これらの標識化合物では1Hの化学シフトに加えて
13Cと15Nの化学シフトが利用できるようになり、多次
元NMRによる原子のシグナルの帰属の決定が容易とな
る。従ってRNAのような、わずか4種類の類似のヌク
レオチド(シチジル酸、アデニル酸、グアニル酸及びウ
リジル酸)からなり、NMRシグナルの化学シフトが極
めて狭い範囲に集中している物質の構造決定のために
は、安定同位体標識RNAは不可欠な物質である。そし
て安定同位体で標識されたRNAおよび5′リボヌクレ
オチドは、これらの測定に用いる任意の標識RNAを化
学合成または生物合成するための原料として極めて価値
ある物質である。
【0003】従来、13Cと15Nの一方または両方などの
安定同位体で標識されたRNAおよび5′リボヌクレオ
チドの製造方法に関する報告は無かった。しかし近時、
ヌクレイックアシッドリサーチ(Nucleic Acids Resear
ch)20巻17号4507〜4513頁および同号4515〜4523頁
(1992年)に、安定同位体で標識された炭素源及び窒素
源を用いて生育させた細菌の菌体から標識されたRNA
および5′ヌクレオチドを製造する方法が発表されてい
る。これらの発表のうち前者は炭素源として、全ての炭
素原子が完全に標識されたグルコース(136
126)、窒素源として標識された硫酸アンモニウムを
用いて大腸菌を培養する方法であり、後者は炭素源とし
て標識されたメタノールと、窒素源として標識された硫
酸アンモニウムを原料とし、メタノール資化性細菌を培
養する方法である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前者の
方法は炭素源として用いる13C標識グルコース(136
126)が極めて高価であり、必ずしも良い方法では
ない。一方、後者の方法は炭素源のラベル化メタノール
は安価であるが、揮発性が高いため通気培養が極めて困
難であり、また生育阻害性が強いため培地中のメタノー
ルの濃度を高めることができず生産性が悪い。さらにい
ずれの方法も、細菌を用いるため、抽出した核酸画分に
は、DNAが多量に含まれており、DNAを分離する工
程が必要である等問題点が多く、工業的方法としては困
難である。
【0005】本発明は上記事情に鑑みてなされたもの
で、13Cと15Nのうち、一方または両方などの安定同位
体で標識されたRNAおよび5′リボヌクレオチドを安
価に、かつ工業的に容易に生産する方法の提供を目的と
している。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは13Cで標識
された安価な炭素源と15Nで標識された窒素源の、一方
または両方を含有する培地で酵母を製造する方法、さら
にこのRNAを分解、分離することにより対応する標識
5′リボヌクレオチドを安価にかつ工業的に容易に生産
する方法を発見し、それによって本発明を完成させた。
即ち、本発明に係る安定同位体標識RNAの製造方法
は、13C標識化合物と15N標識化合物のうち一方または
両方を原料として酵母菌を培養し、次いで培養酵母菌体
より全炭素原子に占める13C原子の存在比及び/又は全
窒素原子に占める15N原子の存在比が95%以上である
RNAを抽出することを特徴としている。
【0007】また、本発明に係る安定同位体標識リボヌ
クレオチドの製造方法は、13C標識化合物と15N標識化
合物のうち一方または両方を原料として酵母菌を培養
し、次いで培養酵母菌体よりRNAを抽出し、さらに該
RNAを分解して全炭素原子に占める13C原子の存在比
及び/又は全窒素原子に占める15N原子の存在比が95
%以上である5′リボヌクレオチドを分離することを特
徴としている。
【0008】さらに、上記安定同位体標識RNAの製造
方法及び安定同位体標識リボヌクレオチドの製造方法に
おいては、13C標識化合物が13CH3OH、13CH3 13
OOH及びその塩類、1361261325OHのう
ちのいずれか一種を用いることが好ましい。またこれら
の製造方法においては、上記13C標識化合物を資化する
酵母菌として、キャンディダ属酵母を用いることが望ま
しい。
【0009】
【作用】本発明の安定同位体標識RNA及びリボヌクレ
オチドの製造方法では、炭素源及び/又は窒素源として
13Cと15Nの標識化合物を用いた培地で、核酸画分のR
NA含有率が細菌よりも高い酵母を培養し、培養した酵
母菌体から安定同位体標識RNAを抽出し、或いはその
RNAを分解、精製して安定同位体標識リボヌクレオチ
ドを生産することにより、従来の細菌を用いた安定同位
体標識RNAやリボヌクレオチドの製造方法に比べ生産
効率に優れている。また、培養菌体より抽出した核酸画
分中のRNA含量が高く、その核酸画分からRNAを分
離精製する際に混在するDNAの分離操作が容易とな
る。
【0010】また本発明では13Cと15Nの標識化合物を
用いた培地で酵母を培養し、培養酵母菌体より安定同位
体標識RNA及びリボヌクレオチドを製造するので、標
識化合物、特に13C標識炭素源として安価なC1〜C2
化合物、例えば13CH3OHと13CH3 13COOH及びそ
の塩類を用いて効率良く培養することができる。
【0011】以下、本発明の詳細について説明する。本
発明に係る標識RNAとは、13Cで標識された安定同位
体標識RNA、15Nで標識された安定同位体RNA、及
13Cと15Nの両方で標識された安定同位体標識RNA
であり、全炭素に占める13C原子の存在比(以下13C標
識化率という)及び/または全窒素原子に占める15N原
子の存在比(以下15N標識化率という)が95%以上で
あることを特徴としている。
【0012】この安定同位体標識RNAを得るには、13
C標識の場合は培養に用いる炭素源を全て13Cとし、15
N標識の場合は窒素源を15Nにして酵母を培養し、その
菌体からRNAを抽出する。13C標識炭素源としては、
安価に入手でき、かつ酵母により容易に資化される13
標識化合物が望ましい。具体的な炭素源としては、13
612613CH3OH,1325OH,13CH3 13CO
OH等の化合物が考えられる。13CH3 13COOHの場
合には、そのナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム
塩(15N標識アンモニウムでも良い)などの塩の形でも
使用できる。これら13C標識標識化合物の中で価格、及
び酵母の資化性を考慮すれば、13CH3OH及び13CH3
13COOHとその塩類が特に好ましい炭素源である。
【0013】また本発明に用いる15N標識窒素源につい
ては、15Nを含むアンモニウム塩、例えば(15NH42
SO415NH4Cl,15NH42PO4等及び硝酸塩
類、例えばK15NO3,Na15NO3,また15NH4 15
3等である。その他酵母の生育上必須の金属イオン等
は通常の酵母の培養と同様に添加する必要がある。一
方、ビタミン類や微量生育因子については生成RNA及
び5′ヌクレオチドの13Cおよび15Nの安定同位体標識
化率を低下させる可能性を有する物質はできるだけ避け
る必要があるが、ビタミン類や微量生育因子を含む材料
として、予め13Cおよび15Nの安定同位体で高度に標識
された酵母からの抽出液(安定同位体標識酵母エキス)
を添加することにより、13Cおよび15Nの安定同位体標
識化率を低下させずにビタミン類や微量生育因子を添加
することが可能となる。
【0014】次に本発明に用いる酵母について説明す
る。一般に酵母は菌体内に含まれる核酸のうち、DNA
に対するRNAの比率が高く、大腸菌などの細菌類より
もRNAの原料としては適しており、調味料用の核酸の
製造のためには酵母が用いられている。特に、標識炭素
源及び窒素源のような高価な原料を用いる本発明の場合
には、炭素源に対する菌体収率およびRNA収率が高い
ことが重要である。
【0015】本発明に用いる酵母はこのような条件を満
足することが必要であり、具体的には次のような酵母が
用いられる。例えば、サッカロミセス(Saccharomyce
s)属、キャンディダ(Camdida)属、ピキア(Pichia)
属、ハンセヌラ(Hansenula)属、トルロプシス(Torul
opsis)属、クレッケラ(Kloeckera)属等の酵母に分類
されている通常の酵母菌株を使用することができる。
【0016】これらの中で特に上記目的のために好まし
い酵母としては、例えば136126を炭素源とする場
合には、キャンディダ(Candida)属、例えばキャンデ
ィダ・ウチリス(Candida utilis)、キャンディダ・ト
ロピカリス(Candida tropicalis)、キャンディダ・リ
ポリチカ(Candida lypolitica)等の種に属する菌株が
好ましい。また、13CH3OHを炭素源とする場合の好
ましい酵母としては、例えばハンセヌラ・ポリモルファ
(Hansenula polymorpha)、特にハンセヌラ・ポリモル
ファATCC 26012、同IFO 1476、クレッ
ケラ(Kloeckera)属酵母、特にクレッケラ・sp NO22
01、キャンディダ・ボイディニ(Candida boiddinii)
等が挙げられる。また、13CH3 13COOH及びその塩
類を炭素源とする場合の好ましい酵母としてはキャンデ
ィダ(Candida)属酵母が挙げられる。具体的にはキャ
ンディダ・ウチリスIFO 0396、キャンディダ・
トロピカリス(Candida tropicalis)種に属する酵母、
特に、キャンディダ・トロピカリスIFO 1647、
キャンディダ・ルゴーサ(Candida rugosa)種酵母、キ
ャンディダ・クルセイ(Candida krusei)種酵母等が好
ましい。
【0017】次に、上述した炭素源、窒素源、及び酵母
菌株を用いて標識されたRNA及び5′リボヌクレオチ
ドを生産する方法について述べる。上記標識された炭素
源及び/又は窒素源を炭素源及び/又は窒素源とし、更
にカリウム、マグネシウム、リン酸イオン等を、さらに
必要に応じてその他の微量金属イオンを含有する培地を
作製する。ここで注意するべきことは、13Cおよび15
の標識化率を高めるためには、培地中に混入している標
識されていない炭素及び窒素の量を可能な限り少なくす
ることである。従って、上記標識炭素源及び/又は窒素
源を唯一の炭素源及び/又は窒素源とする培地が望まし
い。ここで注意すべきことは、炭素源の中には、高濃度
で酵母の生育を阻害するものがあることである。一般に
菌の生育が阻害された場合には、菌体収率が低く、RN
A含量も低い。このような場合には、培地中の炭素源の
濃度を低く抑えるために、炭素源を分割して添加する
か、培地中の炭素源の濃度をモニターしつつ、炭素源を
連続的に培地に供給することが望ましい。このような炭
素源としては、酢酸、メタノール及びエタノール等が挙
げられる。例えば酢酸の場合には培地中の濃度が5g/
l以下、メタノールの場合には、7g/l以下、エタノ
ールの場合には10g/l以下であることが好ましい。
その他の培地の条件としては特に制限されず、炭素源と
窒素源の量、金属イオン濃度、pH等は通常で良い。こ
のような培地に上記酵母菌株を接種する。酵母の培養条
件は個々の菌株により異なるが、特に限定されるもので
はなく、通常の酵母の生育に適した培養温度、通気条件
等であれば良い。培養時間は通常、酵母菌の指数増殖期
後期か、定常期に入った時点までとするのが望ましい。
【0018】培養終了後、生成した菌体を遠心分離し
て、これからRNAの抽出を行う。RNAの抽出精製法
は、機械的に又は酵素的に細胞壁を破壊し細胞の内容物
からRNAを精製する方法、菌体を加温下に食塩水で処
理してRNAを抽出する方法、種々の方法を用いること
ができ、特に制限されないが、DNAの混入の可能性の
少ない方法がより好ましい。
【0019】抽出精製したRNAより、5′リボヌクレ
オチド、即ち、5′シチジル酸(CMPと略記する)、
5′アデニル酸(AMPと略記する)、5′グアニル酸
(GMPと略記する)及び5′ウリジル酸(UMPと略
記する)を製造するためには、通常は酵素リボヌクレア
ーゼによる加水分解を行い、生成した4種類の5′リボ
ヌクレオチドをイオン交換樹脂によるカラムクロマトグ
ラフィー等により分画、分取することにより得られる。
以下に本発明方法について実施例を挙げて説明する。
【0020】
【実施例】
(実施例1)キャンディダ・ウチリス IFO 0369
株を、予め三角フラスコで種母培養し、これをジャーフ
ァメンターに1%植菌した。種母培養及び本培養におけ
る培地は、13CH3 13COONa(米国アイソテック社
製;>99atom%)7g/l、15NH4Cl(同アイソ
テック社製)2.5g/l、KH2PO4 1.0g/l、
2HPO4 1.0g/l、MgSO4・7H2O50mg/
lを用い、バッチ培養を行った。培養条件としては、槽
内液量3リットル、培養温度28℃、通気量3リットル/分、攪
拌数350r.p.m.、pH6.5(4NHClによる自動
調整)で50時間培養を行った。培養終了後、5000
r.p.m.にて10分間酵母菌体を遠心分離し、蒸留水で水
洗を3回行った後、湿菌体26.6g(乾物重量にして
4.74g)を得た。なおこの菌体の全核酸量及びRN
A量をシュミット−タンハウザー−シュナイダー(Schm
idt-Thannhauser-Schnider;STS法と略記する)の変
法(熱酸抽出法)及びSTS法で測定した。その測定値
はそれぞれ乾物重量当り8.7%及び7.8%であった。
次にこの湿菌体10.0g(乾燥重量1.78g)をと
り、7%NaCl溶液100mlに懸濁させ、95℃で
4時間攪拌しながら、RNAの抽出を行った。冷却後、
遠心分離により上清を得た。この上清に6N HClを
加えてpH1.5とし、RNAを沈澱させた。さらに遠
心分離を行ってRNAの沈澱を得た。67%エタノー
ル、95%エタノール、99.5%エタノールでこの沈
澱を洗浄し、その後乾燥してRNAの粗抽出粉末を得
た。これはRNA量にして約104mgであった。得ら
れたRNAを元素分析計により成分中の炭素分を二酸化
炭素ガスとし、窒素分を窒素ガスに変換し、これらのガ
スを質量分析計で測定し、各々の標識化率を測定した結
果、このRNAの13Cおよび15Nの標識化率は約98%
および約99%であった。
【0021】(実施例2)先の実施例1で得られたRN
A 50mgを0.1mM ZnCl2を含む50mM酢酸
緩衝液(pH5.5)15mlに溶解し、45℃に加温
し、ここにリボヌクレアーゼP1(生化学工業(株)
製)をRNAmg当り0.3単位となるように添加し
た。この分解反応はTLCでモニターし、2時間後に反
応が完結したら0.5mM EDTAを添加し、さらに2
分間90℃に加熱し酵素を失活させた。この反応後の溶
液を2倍に希釈し、10mM HClで平衡化させた陰
イオン交換樹脂DOWEX AG−1X4(200-400メッシュ)
(Bio Rad社製,2.0×64cm)にアプライし、1
0mM HCl 2容と10mM HCl+1M NaCl
1容の濃度勾配溶出法により5′リボヌクレオチドを
溶出し、15ml毎分画し、波長260nmで吸光度を
モニターしながら、CMP、AMP、GMP、UMP画
分を分取した。次に、これらの個々の5′リボヌクレオ
チド画分を集めて、DEAEセファデックスA−25
(Pharmacia社製)カラムを用いて脱塩した。これらの
処理により最終的に取得した5′リボヌクレオチド量
は、CMPが12mg、AMPが18mg、GMPが1
3mg、UMPが8mgであった。得られたCMPを元
素分析計により炭素分を二酸化炭素ガスに、窒素分を窒
素ガスに変換し、それらのガスを質量分析計で測定した
結果、CMPの13Cおよび15Nの標識化率は約97%お
よび約98%であった。
【0022】(実施例3)13CH3OH(アイソテック
社製;>99atom%)5g/l、NH4Cl 4g/l、
KH2PO4 1.0g/l、K2HPO4 1.0g/l、M
gSO4・7H2O50mg/l、ビタミン混合液1%を溶
解した培地1リットルを、5リットル容の三角フラスコに入れ、
これにメタノール資化性の酵母であるハンセヌラ・ポリ
モルファIFO 1476株を接種し、25℃の温度下で
220r.p.m.で回転振とう培養した(ビタミン混合液
は、チアミン1mg/l、リボフラビン1mg/l、パ
ントテン酸1mg/l、ニコチン酸1mg/l、p-ア
ミノ安息香酸200μg/l、葉酸10μg/l、ビオ
チン10μg/lを含有)。培養中、培地中のメタノー
ル(13C標識メタノール)濃度が0.3〜0.7%となる
ように13CH3OHを逐次添加し、最終的に全量20g
13CH3OHを使用し7日間培養を行った。培養終了
後、5000r.p.m.にて10分間酵母菌体を遠沈し、蒸
留水で水洗を3回行ったのち、湿菌体10.5gを得
た。この菌体の乾物重量は1.85gであり、乾物重当
りの核酸含量は5.2%であった。この菌体の全量を用
いて実施例1と同様の方法でRNAの抽出を行い90m
gのRNA粉末を得た。得られたRNAを元素分析計に
より炭素分を二酸化炭素ガスに変換し、このガスを質量
分析計で測定した結果、RNAの13C標識化率は約98
%であった。
【0023】(実施例4)実施例3で得られたRNA5
0mgより実施例2と同様の方法で、5′リボヌクレオ
チドへの酵素分解、および各ヌクレオチドのカラムクロ
マト分離、分取を行った。最終的に取得した5′リボヌ
クレオチド量は、CMPが13mg、AMPが15m
g、GMPが11mg、UMPが10mgであった。得
られた5′リボヌクレオチドのうちAMPについて元素
分析計により炭素分を二酸化炭素ガスに変換し、このガ
スを質量分析計で測定した結果、AMPの13C標識化率
は約97%であった。
【0024】(実施例5)キャンディダ・ウチリス I
FO 0369株を、予め三角フラスコで種母培養し、
これをジャーファメンターに1%植菌した。種母培養及
び本培養における培地は、13CH3 13COONa(米国
アイソテック社製;>99atom%)2.0g/l、15
4Cl(同アイソテック社製)2.5g/l、KH2
4 1.0g/l、K2HPO4 1.0g/l、MgSO4
・7H2O 50mg/lを用い、本培養では培地中の13
標識酢酸濃度が常に2g/l以下を保つように13C標識
酢酸の添加を行い、最終添加標識酢酸量が30gになる
まで培養を行った。培養条件としては、槽内液量3リット
ル、培養温度28℃、通気量3リットル/min、攪拌数700
r.p.m.、pH6.5(自動調整)で25時間培養を行っ
た。培養終了後、5000Gにて10分間酵母菌体を遠
心分離し、蒸留水で水洗を3回行った後、湿菌体66.
0g(乾物重量にして11.9g)を得た。なおこの菌
体の全核酸量及びRNA量をSTS法(Schmidt-Thannh
auser-Schnider法)により測定した。その測定値は乾物
重量当り10.7%であった。
【0025】(実施例6)実施例1の培地組成におい
て、13CH3 13COONa 7g/lを136126(米
国アイソテック社製;99atom%)10g/lに置き換
えた培地でキャンディダ・ウチリス IFO 0369株
を培養した。培養中のpHは6.5とし、4NのNaO
Hで自動調節した。その他の条件は、全て実施例1と同
一の条件で15時間培養を行った。培養終了後、実施例
1と同様の処理を行い、湿菌体68.5g(乾物重量に
して14.2g)を得た。この菌体のRNA含量は乾物
重量当り11.2%であった。
【0026】(実施例7)実施例3の培地組成におい
て、13CH3OH 5g/lを13CH3 13CH2OH(米国
アイソテック社製;99atom%)5g/lに置き換えた
培地でハンセヌラ・ポリモルファ IFO 1476株を
培養した。培養1日後から、1日毎に13CH3 13CH2
Hを15gづつ添加し、その他の条件は全て実施例3と
同一の条件で3日間培養を行った。培養終了後、実施例
3と同様の処理を行い、湿菌体42.5g(乾物重量に
して7.5g)を得た。この菌体のRNA含量は乾物重
量当り6.4%であった。
【0027】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の安定同位
体標識RNAおよびリボヌクレオチドの製造方法は、炭
素源及び/又は窒素源として13Cと15Nの標識化合物を
用いた培地で、核酸画分のRNA含有率が細菌よりも高
い酵母を培養し、培養した酵母菌体から安定同位体標識
RNAを抽出し、或いはそのRNAを分解、精製して安
定同位体標識リボヌクレオチドを生産することにより、
従来の細菌を用いた安定同位体標識RNAやリボヌクレ
オチドの製造方法に比べ生産効率に優れている。また、
培養菌体より抽出した核酸画分中のRNA含量が高く、
その核酸画分からRNAを分離精製する際に混在するD
NAの分離操作が容易となる。また本発明では13Cと15
Nの標識化合物を用いた培地で酵母を培養し、培養酵母
菌体より安定同位体標識RNA及びリボヌクレオチドを
製造するので、標識化合物、特に13C標識炭素源として
安価なC1〜C2化合物、例えば13CH3OHと13CH3
13COOH及びその塩類を用いて効率良く培養すること
ができる。従って、本発明によれば、標識率の高い安定
同位体標識RNAおよび5′リボヌクレオチドを効率良
く、安価に製造することが可能となる。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成6年3月16日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0022
【補正方法】変更
【補正内容】
【0022】(実施例3)13CH3OH(アイソテック
社製;>99atom%)5g/l、NH4Cl 4g/
l、KH2PO41.0g/l、K2HPO41.0g/
l、MgSO4・7H2O50mg/l、ビタミン混合液
1%を溶解した培地1リットルを、5リットル容の三角フラスコ
に入れ、これにメタノール資化性の酵母であるハンセヌ
ラ・ポリモルファIFO 1476株を接種し、25℃の
温度下で220r.p.m.で回転振とう培養した(ビタミン
混合液は、チアミン1mg/l、リボフラビン1mg/
l、パントテン酸1mg/l、ニコチン酸1mg/l、
p−アミノ安息香酸200μg/l、葉酸10μg/
l、ビオチン10μg/lを含有)。培養中、培地中の
メタノール(13C標識メタノール)濃度が0.3〜0.7
%となるように13CH3OHを逐次添加し、最終的に全
量20gの13CH3OHを使用し7日間培養を行った。
培養終了後、5000r.p.m.にて10分間酵母菌体を遠
沈し、蒸留水で水洗を3回行ったのち、湿菌体16.2
gを得た。この菌体の乾物重量は2.85gであり、乾
物重当りの核酸含量は5.2%であった。この菌体の全
量を用いて実施例1と同様の方法でRNAの抽出を行い
90mgのRNA粉末を得た。得られたRNAを元素分
析計により炭素分を二酸化炭素ガスに変換し、このガス
を質量分析計で測定した結果、RNAの13C標識化率は
約98%であった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 G01R 33/28 (C12P 19/30 C12R 1:72) (C12P 19/34 C12R 1:72) (72)発明者 福田 裕章 茨城県つくば市大久保10 日本酸素株式会 社つくば研究所内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 13C標識化合物と15N標識化合物のうち
    一方または両方を原料として酵母菌を培養し、次いで培
    養酵母菌体より全炭素原子に占める13C原子の存在比及
    び/又は全窒素原子に占める15N原子の存在比が95%
    以上であるRNAを抽出することを特徴とする安定同位
    体標識RNAの製造方法。
  2. 【請求項2】 13C標識化合物が13CH3OH、13CH3
    13COOH及びその塩類、1361261325OH
    のうちのいずれか一種であることを特徴とする請求項1
    記載の安定同位体標識RNAの製造方法。
  3. 【請求項3】 上記酵母菌がキャンディダ属酵母である
    ことを特徴とする請求項1又は2記載の安定同位体標識
    RNAの製造方法。
  4. 【請求項4】 13C標識化合物と15N標識化合物のうち
    一方または両方を原料として酵母菌を培養し、次いで培
    養酵母菌体よりRNAを抽出し、さらに該RNAを分解
    して全炭素原子に占める13C原子の存在比及び/又は全
    窒素原子に占める15N原子の存在比が95%以上である
    5′リボヌクレオチドを分離することを特徴とする安定
    同位体標識リボヌクレオチドの製造方法。
  5. 【請求項5】 13C標識化合物が13CH3OH、13CH3
    13COOH及びその塩類、1361261325OH
    のうちのいずれか一種であることを特徴とする請求項4
    記載の安定同位体標識リボヌクレオチドの製造方法。
  6. 【請求項6】 上記酵母菌がキャンディダ属酵母である
    ことを特徴とする請求項4又は5記載の安定同位体標識
    リボヌクレオチドの製造方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO1999062924A1 (fr) * 1996-01-26 1999-12-09 Nippon Sanso Corporation 5'-ribonucleotide marque par d et son procede de production
JP2000290291A (ja) * 1999-03-31 2000-10-17 Nippon Sanso Corp 安定同位体標識オリゴヌクレオチド及びオリゴヌクレオチド検出方法
AT501629A1 (de) * 2005-04-05 2006-10-15 Erber Ag Herstellung von hochgradig isotopenmarkierten, sekundären, mikrobiellen stoffwechselprodukten sowie stoffwechselprodukte

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