JPH06318724A - 電極及び光起電力素子 - Google Patents

電極及び光起電力素子

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JPH06318724A
JPH06318724A JP5107079A JP10707993A JPH06318724A JP H06318724 A JPH06318724 A JP H06318724A JP 5107079 A JP5107079 A JP 5107079A JP 10707993 A JP10707993 A JP 10707993A JP H06318724 A JPH06318724 A JP H06318724A
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JP
Japan
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electrode
conductive
curing
resistance
layer
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JP5107079A
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English (en)
Inventor
Hirobumi Ichinose
博文 一ノ瀬
Akio Hasebe
明男 長谷部
Tsutomu Murakami
勉 村上
Yuko Yokoyama
優子 横山
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Canon Inc
Original Assignee
Canon Inc
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Publication date
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    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E10/00Energy generation through renewable energy sources
    • Y02E10/50Photovoltaic [PV] energy

Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は、低抵抗で、密着性の高く、且つ信
頼性の高い、導電性塗料からなる電極と、光起電力素子
のシャントや信頼性等の課題を解決して特性の良好な光
起電力素子を提供することを目的とする。 【構成】 本発明の電極は、少なくとも1種類の導電性
フィラーと、少なくとも1種類の有機高分子樹脂バイン
ダーと、硬化温度の異なる2種類以上の硬化剤とを含む
導電性塗料で形成されたことを特徴とする。また、半導
体層上に透明な上部電極を積層してなる光起電力素子に
おいて、該上部電極上に、前記導電性塗料を用いて第1
の電極が形成され、該第1の電極上に該第1の電極より
も低抵抗の第2の電極が積層されていることを特徴とす
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、特性が優れ、信頼性の
高い、導電性塗料を用いた電極及び該電極を用いた光起
電力素子(以下太陽電池と呼ぶこともある)の構成に関
する。より詳しくは、本発明は、導電性に優れ、密着
性、耐久性が高くしかも信頼性の高い、導電性塗料をか
ら成る電極に関する。また、該電極を用いることにより
ショートやシャントを防いで、初期特性が高く、且つ長
期使用時における信頼性の高い光起電力素子の構成に関
する。
【0002】
【従来の技術】従来、導電性塗料から成る電極は、EL
表示装置、液晶表示装置等の電極として用いられてお
り、通常、蒸着法、スパッタリング法などで作製されて
いる。このような電極の製造方法には、200℃から4
00℃と比較的高い基板温度が必要なこと、または堆積
速度が遅いため厚膜を得るには長時間の堆積が必要であ
るなどの問題点がある。この点を改良する方法として、
例えば0.4μmの導電性フィラーを樹脂に分散した導
電性塗料を印刷方式により塗布、乾燥する方法が特開平
2−117015号公報等に開示されている。
【0003】次に、以上の電極が太陽電池に用いられる
従来の技術を以下に述べる。
【0004】太陽電池は、電卓、腕時計など民生機器用
の電源として広く応用されており、また、石油、石炭な
どのいわゆる化石燃料の代替電力用として実用化可能な
技術として注目されている。太陽電池は半導体のpn接
合、pin接合、ショットキー接合等の半導体接合部に
発生する拡散電位を利用した技術であり、シリコンなど
の半導体が光を吸収して電子と正孔の光キャリヤーが生
成し、該光キャリヤーを前記接合部の拡散電位により生
じた内部電界でドリフトさせて外部に取り出すものであ
る。このような太陽電池の半導体材料として、アモルフ
ァスシリコン、アモルファスシリコンゲルマニウム、ア
モルファスシリコンカーバイドなどのテトラヘドラル系
のアモルファス系半導体等が用いられる。これらの半導
体材料をを用いた薄膜太陽電池は、単結晶太陽電池に比
較して大面積の膜が作製できること、膜厚が薄くて済む
こと、任意の基板材料に堆積できることなどの長所があ
り有望視されている。
【0005】アモルファスシリコン系太陽電池の構造
は、例えば基板上に薄膜のアモルファスシリコンからな
るp層、i層、n層を積層して構成される。また、変換
効率を向上させるためにpin接合を2以上の直列に積
層するいわゆるタンデムセル等も検討されている。前記
半導体の光入射側及び裏面側には上部電極及び下部電極
の一対の電極が設けられる。アモルファスシリコン系太
陽電池においては一般的に半導体自体のシート抵抗は高
いため、半導体全面にわたる透明な上部電極を必要と
し、通常は、SnO2,ITO(In23+SnO2)の
ような透明導電膜が設けられる。該透明導電膜は反射防
止膜としても機能する。更に、集電効率を向上させるた
めに上部電極上に集電用のグリッド電極を設けるが、光
の入射を妨げないように櫛歯形状に形成される。更にグ
リッド電極の電流を集合させるバスバーが設けられる。
前記グリッド電極としては、真空蒸着、スパッタリング
法などにより被着された金属層なども用いられている。
しかし、真空蒸着、スパッタリング法等は、高額な設備
費などを必要とする問題点を有する。
【0006】近年、大量生産、低価格化に適した電極と
して導電性ペースト・塗料を用いた研究が進められてい
る。導電ペーストとしては銀や銅を導電材料として含む
ものが用いられるが、良好な接触抵抗が得られないこと
や、水分との相互作用によりイオン性の物質が発生する
ので、前記太陽電池の使用時に、ピンホールなどの欠陥
部分がある場合、使用時間の経過と共に次第に欠陥部分
の電気抵抗が低下し、変換効率などの特性が劣化する現
象が見られる。
【0007】このような問題の対策として、例えば、特
開昭62−296478号公報に開示されているよう
に、電極として、カーボンとグラファイトからなるぺー
スト状の導電材を使用する構成がある。また、特公昭6
4−6534号公報に開示されている炭素と金属を含む
導電ペーストとから成る第一層と、金属のみのぺースト
から成る第二層の積層電極の構成がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
従来の導電性塗料を用いた電極においては、具体的かつ
詳細な製造方法や硬化方法については述ベられて無く、
開示された方法で作製した電極は抵抗が高く、密着力の
小さいものしか得られなかった。また、屋外などの使用
環境下で用いられた場合、湿度により抵抗値が上昇する
という問題がある。
【0009】一方、上記した従来の太陽電池の構成で
は、シャントによる製造歩留まり低下や実使用時の湿度
によるリークが防げず、さらに、シリーズ抵抗の増加に
伴う変換効率の低下など信頼性に問題がある。
【0010】本発明の目的は以上のような課題を克服し
て光起電力素子やその他のデバイスにも適用できる電極
であり、低抵抗で、密着性が高く、且つ信頼性の高い、
導電性塗料からなる電極を提供することにある。
【0011】また、本発明の他の目的は光起電力素子の
シャントや信頼性等の課題を解決して特性の良好な太陽
電池を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】上述した導電性塗料から
成る電極における課題を解決するために、本発明の導電
性塗料から成る電極は、少なくとも1種類の導電性フィ
ラーと、少なくとも1種類の有機高分子樹脂バインダー
と、硬化温度の異なる2種類以上の硬化剤とを有する導
電性塗料から成ることを特徴とする。また、前記導電性
塗料から成る電極を第1の電極として形成後、該第1の
電極上に第2の電極を積層して多層電極を形成した電極
であることを特徴とする。
【0013】さらに本発明の太陽電池は、半導体層上に
透明な上部電極を積層してなる太陽電池において、該上
部電極上に、少なくとも1種類の導電性フィラーと、少
なくとも1種類の有機高分子樹脂バインダーと、硬化温
度の異なる2種類以上の硬化剤とを含む導電性塗料を用
いて第1の電極が形成され、該第1の電極上に該第1の
電極よりも低抵抗の第2の電極が積層されていることを
特徴とする。
【0014】
【作用】本発明の導電性塗料から成る電極は、導電性フ
ィラー及びバインダー、硬化剤の種類及び硬化条件相互
の関係において、良好な電極の得られる条件を実験的に
見い出し、更に実験を進めて完成したものであり、その
骨子は、少なくとも1種類の導電性フィラーと、少なく
とも1種類の有機高分子からなるバインダーと、異なる
硬化温度を有する2種以上の硬化剤を加えた導電性塗料
を用いることを特徴とする電極にある。
【0015】本発明により良好な特性の電極が得られる
理由は以下のように説明される。
【0016】一般的に多層電極形成においては、第1の
電極と基板との間においてのみならず、第1の電極と第
2の電極との間において良好なオーミック接触を形成
し、かつシリーズ抵抗が低いこと、更には接着強度が高
いことが要求される。
【0017】しかし、第1の電極の熱硬化を完了した後
に、続いて第2の電極を形成した場合、第1の電極と第
2の電極間において十分な接触が得られず抵抗値が高く
なってしまう場合がある。また、第1の電極を塗布後、
硬化温度以下で乾燥のみを行い、次に、第2の電極を積
層後、硬化を完了する場合には、乾燥段階を別に設けな
ければならず、また、導電性塗料の樹脂の架橋、三次元
化が行われていないため、樹脂の流動により、電極幅が
不均一になる場合がある。更に、第2の電極に溶剤が含
まれる場合、第1の電極の表面が溶剤の影響を受ける場
合がある。
【0018】一方、本発明では、導電性塗料に硬化温度
の異なる硬化剤が2種以上添加されている。従って、第
1の電極を塗布後、高温硬化の硬化剤の硬化温度よりも
低く、低温硬化の硬化剤の硬化温度以上の温度で熱処理
することにより、低温硬化の硬化剤のみにより架橋が進
行する。この際、高温硬化の硬化剤による架橋は起こら
ないため、導電性塗料は完全には硬化しない。
【0019】続いて、第2の電極を積層した後、高温硬
化の硬化剤の硬化温度以上の温度で熱処理し、導電性塗
料の硬化を完了させる。この結果、第1の電極と第2の
電極間の界面でフィラー粒子の拡散が促進され、良好な
接触が得られると共に密着性が増大すると考えられる。
【0020】本発明において、前記導電性フィラーとし
ては、導電性を有する金属微粉末、金属酸化物半導体、
導電性カーボンブラック等が好適に用いられる。金属微
粉末としては、例えば金粉、銀粉、銅粉、ニッケル粉、
アルミニウム粉等が使用される。また、金属酸化物半導
体としては、例えばIn23、SnO2、Sbドープし
たS nO2、ITO、TiO2、CdO、ZnO等の超
微粉が挙げられる。導電性カーボンブラックは加工行程
で粉体の微細構造が破壊されると導電性が変動するた
め、中空のシェル状に変形したもの、あるいはグラファ
イト化の進んだアセチレンブラック等が好ましい。これ
らの材料のバルクとしての比抵抗は10-4Ωcm程度か
ら10Ωcm程度である。また、導電性フィラーの形状
は、比抵抗に影響するので球状よりもフレーク状の方が
3次元的な接続を形成し易く、安定なため、より望まし
い。
【0021】本発明のバインダーは、導電性フィラーを
結着して保持するとともに湿度から保護する機能を有す
る。また、基板上に接着する働きも要求される。このよ
うな材料としては有機高分子樹脂が好適であり、熱硬化
性樹脂が一層好適に用いられる。該熱硬化性樹脂の内、
例えばエポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、
アルキド樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリ
イミド樹脂、フッ素系樹脂等が好ましく、適当な硬化剤
を添加し、場合によっては硬化触媒を添加しても良い。
また、これらのポリマーは柔軟性を付与したり耐候性を
付与する等の目的のため変性ポリマーとしても良い。
【0022】前記硬化剤としては、熱硬化性樹脂とそれ
自身が反応して樹脂の架橋、三次元化を行うよう、樹脂
の種類、配合割合、反応条件が適宜選択されるが、イソ
シアネート、酸無水物、フェノール樹脂、アニリン樹
脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂、メルカプタン、過酸
価物等が好適に用いられる。これらの硬化剤にはそれぞ
れ特有の硬化温度があり、大きく分けて低温、中温、高
温硬化剤に分類される。また、ポリイソシアネートをブ
ロック剤でマスクで安定化したブロック型イソシアネー
トは常温では反応しない構造になっており硬化温度に幅
を持たせることができる。
【0023】導電性塗料を基板上に所望のパターンの電
極に形成するためには公知の方法が用いられる。すなわ
ち、粘度の高いぺーストの場合はスクリーン印刷が可能
であり所望の回路パターンの版を用いてパターン形成で
きる。また、粘度の低いぺーストの場合はディッピング
やスプレー法、スピンコート法などが用いられる。コー
ティングした後は所望の条件で熱風オーブンやIRオー
ブンを用いて硬化させる。
【0024】次に、本発明の光起電力素子について説明
する。本発明者は、実験を重ねる過程で以下の知見を見
いだした。反射防止層を兼ねる上部電極とグリッド電極
(第2の電極)との間に前記グリッド電極よりも高抵抗
な導電性塗料から成る電極層(第1の電極)を形成して
多層電極としての集電電極を設けることによりシャドー
ロスやシリーズ抵抗の増加等の弊害がなく、且つ半導体
層の欠陥部の上部及び下部電極の接触を防いで初期のシ
ャントを無くし、製造歩留まりを向上させるとともに屋
外での実使用時の高温高湿の環境下で発生する金属のマ
イグレーションを防ぐことが可能となる。その結果、光
起電力素子の信頼性を向上させることが出来ることのみ
ならず、良好な導電性と密着性得ることができる。本発
明の光起電力素子は、以上の知見に更に詳細な検討を加
えて完成したものである。
【0025】本発明の光起電力素子を図1を用いて詳細
に説明する。図1において100は光起電力素子本体、
101は基板、102は下部電極、103はn層、10
4はi層、105はp層、106は上部電極、107は
第1の電極、108は第2の電極、109はバスバーを
表す。
【0026】第1の電極107としては、第2の電極1
08よりも高抵抗であることが要求され、なおかつ、光
起電力素子としての効率を損なわない程度の抵抗値であ
る必要がある。この様な目的に、本発明の導電性塗料を
用いた電極が好適に用いられる。即ち、第1の電極10
7はシャントを防ぐための高抵抗層であって、太陽電池
によって発生する電流に対しては抵抗とならずに、また
欠陥がある場合には抵抗として働くため、大きなリーク
となることを防ぐことができる。また、第1の電極10
7と上部電極106とはオーミック特性を有することが
必要であるが、本発明の透明電極は、酸化物半導体であ
るが縮退した構造であり、良好なオーミックコンタクト
が得られる。
【0027】第1の電極107の好適な抵抗値として
は、グリッドの設計や、光起電力素子の動作点での電流
値、欠陥の大きさなどにより決定されるが、膜厚10μ
mの時は比抵抗として0.1Ωcm〜100Ωcmが好
ましい。この範囲でシャントが生じたときには充分な抵
抗となり、且つ光起電力素子で発生した電流に対しては
無視できる程度の抵抗値となる。
【0028】第1の電極107の厚みは、ピンホールが
無いこと、湿度に対するバリヤ性が充分なこと、密着性
や柔軟性があることなどから決められるが、1μm以下
ではピンホールとなり易く、30μm以上では柔軟性が
損なわれるため1〜30μm程度が好ましい。
【0029】第1の電極107の形態は第2の電極10
8のパターンと同様のパターンに形成されるものであ
り、第2の電極108を積層する際にアライメントを容
易とするためと、湿度の影響で第2の電極108に用い
る金属のマイグレーションなどを防ぐために、第2の電
極108よりもやや広めに形成することが好ましい。ま
た、第1の電極107の幅が広過ぎるとシャドーロスに
なるため適度の広さに設計される必要がある。このため
第1電極107の好適な幅としては、第2の電極の1〜
5倍程度とすることが好ましい。
【0030】また、パターン形成をスクリーン印刷で行
う場合には1000cpsから10万cps程度の粘度
のぺーストであることが望ましい。
【0031】また、太陽電池を屋外で使用する場合に
は、湿度、温度に耐えるような耐候性が必要である。第
2の電極108以外の部分のシャドーロスを少なくする
ため太陽電池の分光感度がある波長に対して、第1の電
極107は透明であるとより好ましい。
【0032】本発明の光起電力素子は2種類以上硬化剤
を含んだ導電性塗料から成る電極を前述した方法で第1
の電極として形成後、続いて第1の電極よりも抵抗の低
い第2の電極を積層することで導電性、密着性の優れた
多層電極が得られる。しかも、シャントやショートによ
る電流リークを少なくする構成であるためアモルファス
シリコン系太陽電池に好適に適用できるものであるが、
同様の構成はアモルファス系以外に単結晶、多結晶系あ
るいはシリコン以外の半導体を用いた太陽電池、ショッ
トキー接合型の太陽電池などにも適用できることは言う
までもない。
【0033】以下に、本発明の太陽電池の実施態様構成
例について図を用いて説明する。
【0034】本発明の太陽電池の好適な構成例を図1〜
3に模式的に示す。
【0035】図1は基板と反対側から光入射するシング
ルセル構造のアモルファスシリコン系太陽電池、図3は
図1の太陽電池をトリプル構造とした太陽電池を光入射
側から見た図であり、約10cmの長さのグリッドが3
列形成されていて各列の中央にバスバーが設けられてい
る。
【0036】更に、図示しないがガラス基板上に堆積し
たアモルファスシリコン系太陽電池、単結晶、薄膜多結
晶太陽電池においても本発明の思想を用いた構成は適用
可能であることは言うまでもない。
【0037】本発明で用いるグリッド電極である第2の
電極108は半導体層103,104,105で発生し
た起電力を取り出すための電極である。第2の電極10
8は櫛状に形成され、半導体層105あるいは上部電極
106のシート抵抗の値から好適な幅やピッチなどが決
定される。第2の電極108は比抵抗が低く太陽電池の
直列抵抗とならないことが要求され、好ましい比抵抗と
しては10-2Ωcm〜10-6Ωcmである。第2の電極
108の材料としては、Ti、Cr、Mo、W、Al、
Ag、Ni、Cu、Sn、Pt等の金属またはこれらの
合金や半田が用いられる。第2の電極108は櫛状であ
るため、形成方法としては、所望の形状のマスクパター
ンを用い、スパッタリング法、抵抗加熱法、CVD法等
が用いられる。あるいは全面に金属層を蒸着した後にエ
ッチングしてパターニングする方法、光CVDにより直
接グリッド電極パターンを形成する方法、グリッド電極
のネガパターンのマスクを形成した後にメッキ法により
形成する方法、導電性ペーストを印刷して形成する方法
などがある。前記スクリーン印刷法はポリエステルやス
テンレスからなるメッシュに所望のパターニングを施し
たスクリーンを用いて導電性ぺーストを印刷インキとし
て用いるものであり電極幅としては、最小で50μm位
とすることができる。印刷機は市販のスクリーン印刷機
が好適に用いられる。スクリーン印刷した導電性ペース
トはバインダーを架橋させ、溶剤を揮発させるために乾
燥炉で加熱する。乾燥炉は熱風オーブンやIR(赤外
線)オーブンが用いられる。
【0038】次に、基板101はアモルファスシリコン
のような薄膜の太陽電池の場合に、半導体層103,1
04,105を機械的に支持する部材であり、また場合
によっては電極としても用いられる。基板101は、半
導体層103,104,105を成膜するときの加熱温
度に耐える耐熱性が要求されるが導電性のものでも電気
絶縁性のものでも良く、導電性の材料としては、具体的
にはFe,Ni,Cr,Al,Mo,Au,Nb,T
a,V,Ti,Pt,Pb,Ti等の金属またはこれら
の合金、例えば真ちゅう、ステンレス鋼等の薄板及びそ
の複合体やカーボンシート、亜鉛メッキ鋼板等が挙げら
れ、電気絶縁性材料としては、ポリエステル、ポリエチ
レン、ポリカーボネート、セルロースアセテート、ポリ
プロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポ
リスチレン、ポリアミド、ポリイミド、エポキシ等の耐
熱性合成樹脂のフィルムまたはシート又はこれらとガラ
スファイバー、カーボンファイバー、ホウ素ファイバ
ー、金属繊維等との複合体、及びこれらの金属の薄板、
樹脂シート等の表面に異種材質の金属薄膜及び/または
SiO2,Si34、Al23,AlN等の絶縁性薄膜
をスパッタ法、蒸着法、鍍金法等により表面コーティン
グ処理を行ったものおよび、ガラス、セラミックスなど
が挙げられる。
【0039】下部電極102は、半導体層103,10
4,105で発生した電力を取り出すための一方の電極
であり、半導体層103に対してはオーミックコンタク
トとなるような仕事関数を持つことが要求される。材料
としては、Al,Ag,Pt,Au,Ni,Ti,M
o,W,Fe,V,Cr,Cu,ステンレス,真ちゅ
う,ニクロム,SnO2,In23,ZnO,ITO等
のいわゆる金属単体又は合金、及び透明導電性酸化物
(TCO)等が用いられる。下部電極102の表面は平
滑であることが好ましいが、光の乱反射を起こさせる場
合にはテクスチャー化しても良い。また、基板101が
導電性であるときは下部電極102は特に設ける必要は
ない。
【0040】下部電極の作製法はメッキ、蒸着、スパッ
タ等の方法を用いる。上部電極の作製方法としては、抵
抗加熱蒸着法、電子ビーム加熱蒸着法、スパッタリング
法、スプレー法等を用いることができ、所望に応じて適
宜選択される。
【0041】本発明に用いられる太陽電池の半導体層と
しては、アモルファスシリコン、多結晶シリコン、単結
晶シリコン等が挙げられる。アモルファスシリコン系太
陽電池において、i層104を構成する半導体材料とし
ては、a−Si:H、a−Si:F、a−Si:H:
F、a−SiGe:H、a−SiGe:F、a−SiG
e:H:F、a−SiC:H、a−SiC:F、a−S
iC:H:F等のいわゆる第IV族及び第IV族合金系
のアモルファス半導体が挙げられる。p層105または
n層103を構成する半導体材料としては、前述したi
層104を構成する半導体材料に価電子制御剤をドーピ
ングすることによって得られる。p型半導体を得るため
の価電子制御剤としては、周期律表第III族の元素を
含む化合物が用いられる。第III族の元素としては、
B、Al、Ga、Inが挙げられる。n型半導体を得る
ための価電子制御剤としては、周期律表第V族の元素を
含む化合物が用いられる。第V族の元素としては、P、
N、As、Sbが挙げられる。
【0042】アモルファスシリコン半導体層の成膜法と
しては、蒸着法、スパッタ法、RFプラズマCVD法、
マイクロ波プラズマCVD法、ECR法、熱CVD法、
LPCVD法等の公知の方法を所望に応じて用いる。工
業的に採用されている方法としては、原料ガスをRFプ
ラズマで分解し、基板上に堆積させるRFプラズマCV
D法が好んで用いられる。さらに、RFプラズマCVD
においては、原料ガスの分解効率が約10%と低いこと
や、堆積速度が1Å/secから10Å/sec程度と
遅いことが問題であるがこの点を改良できる成膜法とし
てマイクロ波プラズマCVD法が注目されている。以上
の成膜を行うための反応装置としては、バッチ式の装置
や連続成膜装置などの公知の装置が所望に応じて使用で
きる。本発明の太陽電池においては、分光感度や電圧の
向上を目的として半導体接合を2以上積層するいわゆる
タンデムセルにも用いることが出来る。
【0043】上部電極106は、半導体層103,10
4,105で発生した起電力を取り出すための電極であ
り、下部電極102と対をなすものである。上部電極1
06はアモルファスシリコンのようにシート抵抗が高い
半導体の場合に必要であり、結晶系の太陽電池ではシー
ト抵抗が低いため特に必要としない。また、上部電極1
06は、光入射側に位置するため、透明であることが必
要で、透明電極とも呼ばれる。上部電極106は、太陽
や白色蛍光灯等からの光を半導体層内に効率良く吸収さ
せるために光の透過率が85%以上であることが望まし
く、さらに、電気的には光で発生した電流を半導体層に
対し横方向に流れるようにするためシート抵抗値は10
0Ω/□以下であることが望ましい。このような特性を
備えた材料としてSnO2,In23,ZnO,Cd
O,CdSnO4,ITO(In23+SnO2)などの
金属酸化物が挙げられる。
【0044】本発明で用いられるバスバー109は、第
2の電極108を流れる電流を更に一端に集めるための
電極である。電極材料としてはAg、Pt、Cu等の金
属やこれらの合金からなるものを用いることができ、形
態としてはワイヤー状、箔状のものを張り付けたり、第
2の電極108と同様の導電性ペーストを用いても良
い。箔状のものとしては例えば銅箔や、或いは銅箔にス
ズメッキしたもので、場合によっては接着剤付きのもの
が用いられる。
【0045】バスバー109の形成方法としては、金属
ワイヤーを導電性接着剤で固定したり、銅箔を張り付け
たりあるいは、第2の電極108と同様に形成しても良
い。
【0046】以上のように作製された太陽電池は、屋外
使用の際、耐候性を良くし機械的強度を保つために公知
の方法でエンカプシュレーションをしてモジュール化さ
れる。具体的にはエンカプシュレーション用材料として
は、接着層については、太陽電池との接着性、耐候性、
緩衝効果の点でEVA(エチレンビニールアセテート)
が好適に用いられる。また、さらに耐湿性や耐傷性を向
上させるために、表面保護層としては弗素系の樹脂が積
層される。弗素系の樹脂としては、例えば4フッ化エチ
レンの重合体TFE(デュポン製テフロンなど)、4フ
ッ化エチレンとエチレンの共重合体ETFE(デュポン
製テフゼルなど)、ポリフッ化ビニル(デュポン製テド
ラーなど)、ポリクロロフルオロエチレンCTFE(ダ
イキンエ業製ネオフロン)等が挙げられる。またこれら
の樹脂に公知の紫外線吸収剤を加えることで耐候性を向
上させても良い。
【0047】エンカプシュレーションの方法としては、
例えば真空ラミネーターのような公知の装置を用いて、
太陽電池基板と前記樹脂フィルムとを真空中で加熱圧着
する方法が望ましい。
【0048】
【実施例】本発明の導電性塗料からなる電極及び本発明
の太陽電池の構成について実施例に基づいて詳しく説明
するが、本発明はこれらの実施例により限定されるもの
ではない。
【0049】(実施例1)本発明の製造方法を用いて以
下に示すようにして導電性塗料から成る電極を作製し
た。
【0050】まず、導電性フィラーとしてITO粉末1
00重量部とバインダーとして酸価6.2mgKOH/
g、OH価57.9mgKOH/gのフッ素系樹脂(重
量平均分子量1000)5重量部と、硬化剤として硬化
温度が130℃であるのへキサメチレンジイソシアネー
トから成るポリイソシアネートのオキシムブロック体
(1重量部)と硬化温度が180℃であるへキサメチレ
ンジイソシアネートから成るポリイソシアネートラクタ
ムブロック体(2重量部)と溶剤としてBCA(酢酸n
−ブチルセルソルブ、以下BCAと呼ぶ)(30重量
部)とを混合して3本ロールミルを用いて混練し、透明
導電性塗料を作製した。
【0051】前記導電性塗料をコーニング7059ガラ
ス基板上にスクリーン印刷機で印刷し、不図示の熱風オ
ーブンに投入して130℃で30分間保持し、第1の電
極を形成した。その後、基板をオーブンから取り出して
冷却後、基板を不図示のスクリーン印刷機に設置し、銅
ペーストを第2の電極として前記第1の電極上に印刷し
た。印刷後、基板を前記オーブンに入れて180℃で3
0分間保持し、第1の電極及び第2の電極の硬化を同時
に完了し、電極を形成した。この試料をS−1とする。
次に比抵抗を4端子法で測定したところ35Ω・cm
と、良好な導電率であった。
【0052】次に、以下のようにして前記試料S−1の
耐湿性試験を行った。JIS規格C0022の高温高湿
試験方法に基づき、温度85,℃湿度85%の環境試験
器の中に試料を設置して放置し、200時間ごとに前述
と同様にして4端子法で比抵抗を測定したところ図4に
示したようになり、1000時間後の抵抗値は38Ω・
cmであり殆ど変化は観られなかった。
【0053】以上の結果から本発明の作製方法によって
作製された導電性塗料を用いた電極は良好な導電性と密
着性を有し、かつ、信頼性も高いことが分かった。
【0054】(比較例1)次に、比較のために従来の製
造方法を用いて以下に示すようにして導電性塗料をから
成る電極を作製した。
【0055】導電性フィラーとバインダーとは実施例1
と同じものを用いた。これに硬化温度180℃のへキサ
メチレンジイソシアネートから成るポリイソシアネート
のラクタムブロック体(3重量部),BCA(30重量
部)を添加し、混合し、3本ロールミルを用いて混練
し、透明導電性塗料を作製した。前記透明導電性塗料を
コーニング7059ガラス基板上にスクリーン印刷機で
印刷し、不図示の熱風オーブンに投入して180℃で3
0分間で完全に硬化し第1の電極を形成した。その後、
基板をオーブンから取り出して冷却後、基板を不図示の
スクリーン印刷機に設置し、銅ぺーストを前記第1の電
極上に印刷した。印刷後、基板を前記オーブンに入れて
180℃で30分間保持し、第2の電極を硬化し、多層
電極を形成した。この試料をR−1とした。次に比抵抗
を4端子法で測定したところ300Ω・cmであった。
【0056】また、実施例1と同様にして前記試料R−
1の耐湿性試験を行った。温度85℃湿度85%の環境
試験器の中に試料を設置して1000時間放置し、20
0時間ごとに前述と同様にして4端子法でシート抵抗を
測定したところ図4に示すように経時変化し、1000
時間後に、抵抗値は初期値の約2倍に上昇していた。
【0057】この結果から、本発明の製造方法による多
層電極は信頼性の高いことが分かる。
【0058】(実施例2)以下に示す以外は実施例1と
同様にして導電性塗料を用いた電極を作製した。まず、
導電性フィラーとしてカーボン粉末100重量部とバイ
ンダーとしてエポキシ樹脂5重量部、硬化剤は、低温側
の硬化剤としてメルカプタン(硬化温度140℃、10
重量部)、高温側の硬化剤として酸無水物系化合物(硬
化温度185℃、15重量部)の硬化温度がことなる2
種類の硬化剤,溶剤としてカルビトールアセテート(2
5重量部)を添加して、導電性塗料を作製した。前記導
電性塗料をコーニング7059ガラス基板上にスクリー
ン印刷機で印刷し、不図示の熱風オーブンに投入して1
40℃で20分間保持し、第1の電極を形成した。その
後、基板をオーブンから取り出して冷却後、基板を不図
示のスクリーン印刷機に設置し、銀ペーストを第2の電
極としてを第1の電極上に印刷した。印刷後、基板を前
記オーブンに入れて185℃で30分間保持し、第1の
電極及び第2の電極の硬化を同時に完了し、導電性塗料
を用いた電極を形成した。この試料をS−2とした。S
−2の比抵抗は45Ω・cmであった。
【0059】次に、以下のようにして前記試料S−2の
耐湿性試験を行った。JIS規格C0022の高温高湿
試験方法に基づいて、温度85℃湿度85%の環境試験
器の中に試料を設置して放置し、1000時間後に前述
と同様にして4端子法で比抵抗を測定したところ、抵抗
値は48Ω・cmであり殆ど変化していなかった。
【0060】(実施例3)次に、図1に示す層構成のグ
リッド長が30cmでバスバー付きのpin接合型シン
グルセル構成の光起電力素子100を以下のようにして
作製した。
【0061】まず、十分に脱脂、洗浄を行ったSUS4
30BA製基板(幅30cm×長さ30cm、厚み0.
2mm)101を不図示のDCスパッタ装置に設置し、
Agを4000Å堆積し、その後ZnOを4000Å堆
積して下部電極102を形成した。基板101を取り出
し、不図示のRFプラズマCVD成膜装置に設置し、n
層103、i層104、p層105の順で堆積を行っ
た。その後、不図示の抵抗加熱の蒸着装置に入れて、酸
素を導入して1×10-4Torrの内圧に保ち、Inと
Snの合金を抵抗加熱により蒸着し、反射防止効果を兼
ねた機能を有する透明なITOの上部電極106を70
0Å堆積した。
【0062】次に、基板101を不図示のスクリーン印
刷機に設置し、幅300μm、長さ10cmの第1の電
極107を間隔5mmで3列印刷した。このとき、導電
性塗料はポリエステル系バインダー5重量部、硬化剤と
して硬化温度が130℃であるへキサメチレンジイソシ
アネートから成るポリイソシアネートのオキシムブロッ
ク体(1重量部)と硬化温度が180℃であるへキサメ
チレンジイソシアネートから成るポリイソシアネートの
ラクタムブロック体(2重量部)の2種類のブロックイ
ソシアネートと,溶剤としてイソホロン(20重量部)
を加え、実施例1と同様な方法で第1の電極を形成し
た。
【0063】次に、不図示の熱風オーブンの温度を、1
30℃に保持し、基板101を投入して30分間保持し
た。その後、基板101をオーブンから取り出して冷却
後、基板101を不図示のスクリーン印刷機に設置し、
幅200μm長さ10cmの銀ペーストからなる第2の
電極108を1cm間隔で印刷した。印刷後、基板10
1を前記オーブンに入れて180℃で30分間保持し、
第1の電極及び第2の電極の硬化を完了した。なお、第
1の電極107及び第2の電極108の厚みはともに、
10μmであった。また、第1の電極107比抵抗は3
0Ωcmであった。
【0064】さらに、幅5mmの接着剤付き銅箔のバス
バー109を接着し、図3に示す30cm×30cm角
のシングルセルを作製した。さらに、同様の方法で試料
を10枚作製した。
【0065】次に、これら試料のエンカプシュレーショ
ンを以下のように行った。基板101の上下にEVAを
積層しさらにその上下にフッ素樹脂フィルムETFE
(デュポン製製品名テフゼル)を積層した後、真空ラミ
ネーターに投入して150℃で60分間保持し、真空ラ
ミネーションを行った。
【0066】得られた試料の初期特性を以下のようにし
て測定した。
【0067】まず、試料の暗状態での電圧電流特性を測
定し、原点付近の傾きからシャント抵抗を求めたとこ
ろ、55KΩcm2〜75KΩcm2と、良好な特性であ
り、ばらつきが少なかった。次に、AM1.5グローバ
ルの太陽光スペクトルで100mW/cm2の光量の疑
似太陽光源(SPIRE社製以下シミュレータと呼ぶ)
を用いて太陽電池特性を測定した。変換効率は、5.3
%±0.5%、シリーズ抵抗は30Ω・cm2〜50Ω
・cm2となり、良好な特性でありばらつきも少なかっ
た。
【0068】これらの試料の信頼性試験を、日本工業規
格C8917の結晶系太陽電池モジュールの環境試験方
法及び耐久試験方法に定められた温湿度サイクル試験A
−2に基づいて行った。
【0069】まず、試料を温湿度が制御できる恒温恒湿
器に投入し、−40℃から+85℃(相対湿度85%)
に変化させるサイクル試験を20回繰り返し行った。試
験10回終了ごとに初期特性の測定と同様にしてシミュ
レータを用い太陽電池特性を測定したところ、図5に示
したように、試験20回終了後でシリーズ抵抗は初期値
に対し平均で5%の上昇、変換効率は平均で1%の低下
であり、有意な劣化は生じなかった。また、シャント抵
抗を測定したところ平均で約8%の減少で有意な劣化は
なかった。
【0070】本実施例の結果から本発明の作製方法から
なる導電性塗料を用いた電極を用いた本発明の太陽電池
は歩留まりが良く良好な特性で有り、信頼性も良いこと
がわかる。
【0071】(比較例2)比較のために実施例3と同様
の構成で第1の電極を形成する際、硬化剤としてへキサ
メチレンジイソシアネートから成るポリイソシアネート
のラクタムブロック体(3重量部)1種類のみ及び溶剤
としてBCA(30重量部)を添加した導電性塗料を用
いた太陽電池を作製した。
【0072】実施例3と同様に基板101に上部電極1
06までを形成した。次に実施例3と同様にして第1の
電極を形成し、前記オーブンで180℃で30分間保持
し、完全に硬化させた。その後、第2の電極を積層し導
電性塗料を用いた電極を作製した。
【0073】さらに、接着剤付きの銅箔のバスバー10
9を作製し、図3に示す30cm×30cm角のシング
ルセルを10枚作製した。
【0074】次に、この試料のエンカプシュレーション
を実施例3と同様に行った。得られた試料の初期特性を
実施例3と同様の手順で測定したところ、変換効率は
4.8%±2.5%、シリーズ抵抗は90Ωcm2から
150Ωcm2であり、実施例3に比較してシリーズ抵
抗が高く、このため変換効率が低くばらつきも大きかっ
た。
【0075】次にこの試料の信頼性拭験を実施例3と同
様に評価した。温湿度サイクル試験終了後の試料の変換
効率を測定したところ試験20回後で初期値に対し平均
で17%の低下を示し、有意な劣化が起きていた。
【0076】また、シリーズ抵抗を測定したところ図5
に示したように経時的に変化し、試験20回後で平均で
350Ωcm2まで上昇しており、電極間の密着性が低
下していることがわかった。
【0077】(実施例4)次に電極構成を変えて図2に
示すトルプル型光起電力素子として半導体層の形成にマ
イクロ波プラズマCVD法を用いて以下のようにして太
陽電池を作製した。
【0078】まず、基板101上にAg層とZnO層と
からなる下部電極102を形成し、その後、不図示のマ
イクロ波プラズマCVD成膜装置に入れn層103、i
層104、p層105の順で堆積を行いボトム層を形成
した。この時i層104はa−SiGeとした。次にn
層113、i層114、p層115の順で堆積を行いミ
ドル層を形成した。i層114はボトム層と同様にa−
SiGeとした。次にn層123、i層124、p層1
25の順で堆積を行いトップ層を形成した。i層124
はa−Siとした。次に実施例3と同様に、反射防止効
果を兼ねた機能を有する透明な上部電極106を700
Å堆積した。上部電極106としてIn 23(IO)を
用いた。
【0079】次に、基板101を不図示のスクリーン印
刷機に設置し、幅300μm、長さ10cmの第1の電
極107を5mm間隔で印刷した。このとき導電性塗料
はTiO2粉70重量部、バインダーとしてエポキシ系
樹脂を30重量部、硬化剤とし て低温側の硬化剤とし
てアミン系硬化剤(硬化温度120℃、10重量部)、
高温側の硬化剤としてフェノール樹脂(硬化温度165
℃、20重量部)の硬化温度がことなる2種の硬化剤を
添加して、溶剤としてキシレンを10重量含む組成のも
のを用いた。次に、不図示の熱風オーブンの温度を、1
20℃に保持し、基板101を投入し30分間保持し
た。その後、基板101をオーブンから取り出して冷却
後、基板101を不図示のスクリーン印刷機に設置し、
幅200μm長さ10cmの銀ペーストからなる第2の
電極108を1cm間隔で印刷した。印刷後、基板10
1を前記オーブンに入れて165℃で30分間保持し、
第1の電極及び第2の電極の硬化を完了した。
【0080】印刷後、基板101の片側に50μmの厚
みの銅箔からなるバスバーを、取りだし電極110を接
着剤で張り付けた。次に、前記第2の電極108および
取りだし電極110の上部にクリーム半田を印刷して2
30℃で1分間保持し、半田を溶融して前記第2の電極
108および取り出し電極110上にハンダ電極を形成
して第2の電極を完成し図3に示す30×30cm角の
シングルセルを作製した。
【0081】次に、フラックスを洗浄するため超音波洗
浄を15分間行った。さらに、同様の方法で試料を10
枚作製した。
【0082】次に試料のラミネーションを実施例3と同
様に行った。
【0083】得られた試料の初期変換効率を求めたとこ
ろ6.1%±0.2%、シリーズ抵抗が20Ω・cm2
〜40Ω・cm2であり良好な特性でありばらつきも少
なかった。
【0084】これらの試料の信頼性試験を、実施例3と
同様にして測定したところ、試験20回後でシリーズ抵
抗は初期値対して平均で2.5%の上昇、変換効率は初
期値に対して平均で1.5%の低下にすぎず、有意な劣
化は生じなかった。また、シャント抵抗を測定したとこ
ろ平均で約7%の減少で有意な劣化はなかった。
【0085】本実施例の結果から本発明の太陽電池は高
い歩留まりで製造でき、且つ高特性、高信頼性の太陽電
池であることが分かる。
【0086】
【発明の効果】請求項1及び2の本発明により、抵抗が
小さく、密着性が極めて高い電極を提供することができ
る。
【0087】また、請求項3の発明により、初期特性が
高く、信頼性に優れた光起電力素子が得られ、しかも高
い歩留まりで製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光起電力素子の構成を模式的に示す断
面図である。
【図2】本発明のトリプル型光起電力素子の構成を模式
的に示す断面図である。
【図3】本発明の太陽電池の構成を模式的に示す平面図
である。
【図4】高温高湿度試験後の多層電極の抵抗値の変化を
示すグラフである。
【図5】温湿度サイクル試験後のシリーズ抵抗の変化を
示すグラフである。
【符号の説明】
100 光起電力素子本体、 101 基板、 102 下部電極、 103、113、124 n層、 104、114、124 i層、 105、115、125 p層、 106 上部電極、 107 第1の電極、 108 第2の電極、 109 バスバー、 110 取り出し電極。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 横山 優子 東京都大田区下丸子3丁目30番2号キヤノ ン株式会社内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも1種類の導電性フィラーと、
    少なくとも1種類の有機高分子樹脂バインダーと、硬化
    温度の異なる2種類以上の硬化剤とを有する導電性塗料
    であることを特徴とする電極。
  2. 【請求項2】 基板上に2層以上に積層された多層構造
    の電極であって、前記基板に接する第1の電極は、少な
    くとも1種類の導電性フィラーと、少なくとも1種類の
    有機高分子樹脂バインダーと、硬化温度の異なる2種類
    以上の硬化剤とを有する導電性塗料であることを特徴と
    する電極。
  3. 【請求項3】 半導体領域上に透明な上部電極を有する
    光起電力素子において、前記上部電極上に、少なくとも
    1種類の導電性フィラーと、少なくとも1種類の有機高
    分子樹脂バインダーと、硬化温度の異なる2種類以上の
    硬化剤とを有する導電性塗料を用いて第1の電極が形成
    され、該第1の電極上に該第1の電極よりも低抵抗の低
    い第2の電極が積層されていることを特徴とする光起電
    力素子。
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