JPH0918040A - 集電電極および光起電力素子 - Google Patents

集電電極および光起電力素子

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JPH0918040A
JPH0918040A JP7166499A JP16649995A JPH0918040A JP H0918040 A JPH0918040 A JP H0918040A JP 7166499 A JP7166499 A JP 7166499A JP 16649995 A JP16649995 A JP 16649995A JP H0918040 A JPH0918040 A JP H0918040A
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JP
Japan
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electrode
conductive adhesive
wire
solar cell
collecting electrode
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JP7166499A
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Akio Hasebe
明男 長谷部
Yukie Ueno
雪絵 上野
Satoshi Niikura
諭 新倉
Hirobumi Ichinose
博文 一ノ瀬
Tsutomu Murakami
勉 村上
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Original Assignee
Canon Inc
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    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E10/00Energy generation through renewable energy sources
    • Y02E10/50Photovoltaic [PV] energy

Abstract

(57)【要約】 【目的】 集電電極を構成する金属ワイヤの金属イオン
によるマイグレーションが低減し、初期の歩留が良好で
あり、長期信頼性に優れた集電電極および光起電力素子
を提供する。 【構成】 本発明の集電電極は、金属ワイヤと、導電性
接着剤からなる被覆層とを有する集電電極において、前
記導電性接着剤は、トリアジン化合物を含有している。
前記トリアジン化合物としては、2,4−ジアミノ−6
ビニル−S−トリアジンが好ましく、その含有量は、前
記導電性接着剤の固形分の0.5wt%から10wt%
であることが望ましい。本発明の光起電力素子は、少な
くとも1つ以上のpn接合またはpin接合からなる半
導体層と、該半導体層の光入射側に透明電極を有する光
起電力素子において、前記透明電極上に、前記請求項1
乃至6の少なくとも1項に記載の集電電極が配設されて
いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、集電電極および光起電
力素子に係る。より詳細には、太陽電池としての変換効
率と製造安定性が良好な集電電極および光起電力素子に
関する。
【0002】
【従来の技術】光起電力素子を応用した太陽電池は、火
力発電、水力発電などの既存発電方法の問題を解決する
代替エネルギー源として注目されている。その中でも、
アモルファスシリコン太陽電池は、結晶系の太陽電池に
比較して低コストで、かつ大面積の太陽電池が製造でき
るため、各種の研究がなされている。このアモルファス
シリコン太陽電池を実用化するに当たり重要な技術課題
の1つとして、光電変換効率を向上させることが挙げら
れる。この技術課題を解決すべく、各種の検討が鋭意進
められている。
【0003】ところで、アモルファスシリコン太陽電池
の構成としては、例えば、ステンレス等からなる導電性
基板上に、裏面電極、半導体層、受光面電極の順番で積
層したものが公知である。この受光面電極は、例えば透
明導電性酸化物によって形成される。
【0004】更に、電流を集めるための細い金属からな
る集電電極が、前記受光面電極の表面上に堆積される。
この集電電極は、太陽電池の光入射面側に設けられるた
め、集電電極の面積はいわゆるシャドーロスとなり、太
陽電池の発電に寄与する有効面積を減少させてしまう。
このため、集電電極は比較的細い櫛状に形成される。ま
た、前記集電電極は通常細く長く形成されるために、電
気抵抗が少なくなるような材料及び断面形状設計が要求
される。
【0005】また更に、前記集電電極によって集められ
た電流を集めるために、バスバー電極と呼ばれる比較的
太い金属からなる電極が形成される。
【0006】以下では、上述した構成の太陽電池におい
て、変換効率を向上させる目的から、集電電極によるシ
ャドーロス、及び電気抵抗ロスを最小限にする研究開発
の現状について説明する。
【0007】前記集電電極材料としては、上述のシャド
ーロス、電気抵抗ロスを少なくするために銀や銅の様に
比抵抗の低い金属体が用いられている。例えば銀の比抵
抗は、1.62×10-6Ωcmであり、銅の比抵抗は
1.72×10-6Ωcmである。
【0008】これらの電極を形成する方法としては、例
えば、蒸着法、メッキ法、スクリーン印刷法等の方法が
用いられている。蒸着法では、堆積速度が遅いこと、真
空プロセスを用いるためスループットが低いこと、ま
た、線状のパターンを形成するためにはマスキングが必
要であり、またマスク部分に堆積した金属は無駄になる
等の問題点がある。一方、スクリーン印刷法の問題点と
しては、低抵抗な電極を得ることが困難な点が挙げられ
る。例えば銀の導電性ペーストの比抵抗は、最も低いも
のでも4.0×10-5Ωcmであり、純粋なバルクの銀
よりも1桁比抵抗が小さい、すなわち1桁抵抗が高い。
【0009】従来、この様な材料を用いて、集電電極の
面積を変えずに抵抗を下げる方法としては、以下の技術
が知られている。 (イ)電極の厚みを厚くする方法。この場合、実用的に
可能な厚みは10μm〜20μmである。この様な厚み
では、例えば10cm以上の長い集電電極を形成するた
めには、電気抵抗ロスを小さくするために必然的に集電
電極幅が200μm程度以上となり、アスペクト比(厚
みと幅の比)が1:10の様に小さくなってしまいシャ
ドーロスが大きいという問題があった。
【0010】(ロ)米国特許4,260,429号公報
および米国特許4,283,591号公報において、金
属ワイヤに導電性粒子を含むポリマーで被覆した電極
を、集電電極とする方法が開示されている。米国特許
4,260,429号公報に開示された集電電極の断面
図を図6(a)に示す。図6(a)において601は金
属ワイヤー、602は導電性樹脂からなる被覆層であ
る。この発明は導電性の良い銅等の金属ワイヤを用いる
ため、長い集電電極を形成した場合でも電気抵抗ロスが
少なく、またアスペクト比が1:1とできるためシャド
ーロスも小さくできるという利点がある。また、米国特
許4,260,429号公報では、ワイヤーの固定には
導電性接着剤を用いて簡便な方法で接着できることが特
徴である。
【0011】しかし、上記従来技術(イ)及び(ロ)に
開示されるような電極を太陽電池に用いた場合、金属ワ
イヤの金属イオンによるマイグレーションの問題があっ
た。長期間の暴露の結果、光や湿度の影響を受けて電極
金属がイオン化する。その結果、太陽電池のピンホール
やショートなどの欠陥部分において上部電極と下部電極
の短絡が発生し、シャント抵抗が小さくなり変換効率が
低くなったりする問題があった。つまり、マイグレーシ
ョンやシャント封止の十分な効果は期待できなかった。
【0012】上記マイグレーションを防止することは、
太陽電池の集電電極以外に、電子機器のプリント基板に
おいても、重要な問題である。プリント基板の配線パタ
ーンには、太陽電池の集電電極同様おもに銅および銀が
使用されるが、高密度化が要求されるプリント基板の場
合、配線パターンが非常に密接した状態にある。このよ
うに電極間の距離が接近すると電極間にかかる電界が高
くなり、マイグレーションが発生し易くなる。特に、吸
湿性のあるフェノール樹脂基板においては顕著に発生す
ることが報告されている。さらに空気中の塵中には、水
分以外に塩素イオン、硫酸イオン、ナトリウムイオン、
カリウムイオン等が含まれており、これらのイオンを含
有した塵の付着によりマイグレーションは、加速され
る。このため屋外で使用される電子機器には、塵の侵入
を防止する機構が不可欠となっている。
【0013】太陽電池においては、素子そのものが屋外
で使用するものであり、屋外用電子機器よりもさらに効
果的なマイグレーション防止機能が必要であった。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、集電
電極を構成する金属ワイヤの金属イオンによるマイグレ
ーションが低減し、初期の歩留まりが良好であり、長期
信頼性に優れた集電電極を提供することである。
【0015】また、本発明の他の目的は、前記集電電極
を用いた特性の良好な光起電力素子の構成を提供するこ
とである。
【0016】また、本発明のさらに他の目的は、前記集
電電極を用いて光起電力素子を安全に製造する方法を提
供することである。
【0017】
【課題を解決するための手段】本発明の集電電極は、金
属ワイヤと、導電性接着剤からなる被覆層とを有する集
電電極において、前記導電性接着剤は、トリアジン化合
物を含有していることを特徴とする。
【0018】また、前記トリアジン化合物は、2,4−
ジアミノ−6−ビニル−S−トリアジンが好ましく、そ
の含有量は、前記導電性接着剤の固形分の0.5wt%
から10wt%の範囲が好適である。
【0019】さらに、前記金属ワイヤは、銀ワイヤ、銀
クラットワイヤ、銀メッキワイヤの少なくとも1つが、
前記導電性接着剤の導電性粒子は、カーボンブラック、
グラファイト、ITO、SnO2、In23、ZnOの
少なくとも1つが、及び、前記導電性接着剤のバインダ
は、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、ブ
チラール樹脂、ポリアミド樹脂の少なくとも1つが、そ
れぞれ望ましい。
【0020】本発明の光起電力素子は、少なくとも1つ
以上のpn接合またはpin接合からなる半導体層と、
該半導体層の光入射側に透明電極を有する光起電力素子
において、前記透明電極上に、前記請求項1乃至6の少
なくとも1項に記載の集電電極が配設されていることを
特徴とする。
【0021】
【作用】請求項1に係る発明では、金属ワイヤと、導電
性接着剤からなる被覆層とを有する集電電極において、
前記導電性接着剤は、トリアジン化合物を含有している
ため、屋外使用時に湿度が入り、被覆層を形成する導電
性接着剤が劣化した場合、導電性接着剤中を移行する金
属イオンを捕獲できる。その結果、マイグレーションが
発生するのを防ぐことが可能な集電電極が得られる。
【0022】請求項2に係る発明では、前記トリアジン
化合物を、2,4−ジアミノ−6−ビニル−S−トリア
ジンとしたため、金属イオンの中でも、特に銀イオンを
捕獲できる集電電極が得られる。
【0023】請求項3に係る発明では、前記2,4−ジ
アミノ−6−ビニル−S−トリアジンの含有量が、前記
導電性接着剤の固形分の0.5wt%から10wt%で
あるため、良好な耐マイグレーション特性を有する集電
電極が得られる。
【0024】請求項4に係る発明では、前記金属ワイヤ
が、銀ワイヤ、銀クラットワイヤ、銀メッキワイヤの少
なくとも1つであるため、電気抵抗が低く、耐食性が良
い集電電極が得られる。
【0025】請求項5に係る発明では、前記導電性接着
剤の導電性粒子が、カーボンブラック、グラファイト、
ITO、SnO2、In23、ZnOの少なくとも1つ
であるため、適当な比抵抗を持つ導電性接着剤となる。
その結果、電気的特性の良好な集電電極が得られる。
【0026】請求項6に係る発明では、前記導電性接着
剤のバインダが、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、フェノ
キシ樹脂、ブチラール樹脂、ポリアミド樹脂の少なくと
も1つであるため、柔軟性、耐湿性、接着性に優れた導
電性接着剤となる。その結果、機械的特性が良好な集電
電極が得られる。
【0027】請求項7に係る発明では、少なくとも1つ
以上のpn接合またはpin接合からなる半導体層と、
該半導体層の光入射側に透明電極を有する光起電力素子
において、前記透明電極上に、前記請求項1乃至6の少
なくとも1項に記載の集電電極が配設されているため、
初期特性が良好で信頼性が高い光起電力素子が得られ
る。
【0028】
【実施態様例】
(集電電極)本発明に係る集電電極としては、図1に示
すものが挙げられる。図1において、100は集電電
極、101は金属体からなる金属ワイヤ、102導電性
接着剤からなる被覆層である。
【0029】図1における金属ワイヤ101は、線材と
して工業的に安定に供給されているものが好ましい。金
属ワイヤ101を形成する金属体の材質としては、比抵
抗が10-4Ωcm以下の金属を用いることが好ましい。
例えば、銅、銀、金、白金、アルミニウム、モリブデ
ン、タングステン等の材料が電気抵抗が低く好適に用い
られる。中でも銅、銀、金が電気抵抗が低く望ましい。
また、前記金属ワイヤはこれらの合金であっても良い。
【0030】さらに、図2に示すとおり、所望に応じて
前記金属ワイヤの表面に腐食防止、酸化防止、導電性接
着剤、導電性接着剤との接着性向上、電気的導通の改良
などの目的で薄い金属層203を形成しても良い。
【0031】該表面金属層は、例えば、銀、パラジウ
ム、銀とパラジウムの合金、金などの腐食されにくい貴
金属や、ニッケル、スズなどの耐食性の良い金属が挙げ
られる。中でも金、銀、スズが湿度などの影響を受けに
くく金属層として好適に用いられる。
【0032】前記表面金属層の形成方法としては、例え
ば、メッキ法、クラッド法が好適に用いられる。また、
前記金属をフィラーとして樹脂に分散して作製した導電
性接着剤をコートしても良い。コート厚みは所望に応じ
て決定されるものであるが、例えば断面が円形の金属ワ
イヤであれば、金属ワイヤの直径に対して1%から10
%の厚みが好適である。電気的導通、耐食性の効果、金
属層厚みを考慮して金属層の比抵抗は10-6乃至100
Ωcmが好適である。
【0033】前記金属ワイヤの断面形状は円形が好適で
あるが、矩形であっても良く所望に応じて適宜選択され
る。前記金属ワイヤの直径は、電気抵抗ロスとシャドー
ロスとの和が最小となる様に設計して選択されるもので
あるが、具体的には例えば直径25μmから1mmまで
の銅線が好適に用いられる。より好ましくは25μmか
ら200μmとすることで効率の良い太陽電池が得られ
る。25μmより細い場合はワイヤーが切れ易く製造が
困難となり、また、電気ロスも大きくなる。また、20
0μm以上であるとシャドーロスが大きくなったり、太
陽電池表面の凹凸が大きくなって表面を被覆する際にE
VAなどの充填材を厚くしなければならなくなる。
【0034】この様な金属ワイヤは公知の伸線機によっ
て所望の直径に成型して作られる。伸線機を通過した金
属ワイヤは硬質であるが、伸び易さや曲げ易さなどの所
望の特性に応じて公知の方法でアニールし、軟質にして
用いても良い。
【0035】(導電性接着剤)本発明において、前記金
属ワイヤを被覆するための導電性接着剤は、導電性粒子
と高分子樹脂とを分散して得られる。前記高分子樹脂と
しては金属ワイヤに塗膜を形成し易く、作業性に優れ、
柔軟性があり、耐候性が優れた樹脂が好ましく、具体的
には熱硬化性樹脂としてはウレタン、エポキシ、ポリビ
ニルホルマール、アルキド樹脂あるいはこれらを変性し
た樹脂等が好適な材料として挙げられる。とりわけ、ウ
レタン樹脂、エポキシ樹脂はエナメル線用絶縁被覆材料
として用いられており、柔軟性や生産性の面で優れた材
料である。しかも、耐湿性、接着性の符でも光起電力素
子の集電電極用材料として好適に用いられる。
【0036】熱可塑性樹脂としては、例えば、ブチラー
ル、フェノキシ、ボリアミド、ポリアミドイミド、メラ
ミン、アクリル、スチレン、ポリエステル、フッ素など
が好適な樹脂として挙げられる。とりわけ、ブチラール
樹脂、フェノキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイ
ミド樹脂が柔軟性、耐湿性、接着性の面で優れた材料で
光起電力素子の集電電極材料として好適に用いられる。
【0037】前記導電性粒子は導電性を付与するための
顔料であり、具体的な材料としては、例えば、カーボン
ブラック、グラファイトなどやIn22、TiO2、S
nO2、ITO、ZnO及び前記材料に適当なドーパン
トを添加した酸化物半導体材料等が好適に用いられる。
前記導電性粒子の粒径は、形成する前記被覆層の厚みよ
りも小さくする必要があるが、小さすぎると粒子同士の
接触点での抵抗が大きくなるため所望の比抵抗が得られ
なくなる。この様な事情から前記導電性粒子の平均粒径
としては0.02μm乃至15μmが好ましい。また、
異なる2種類以上の導電性粒子を混合して、比抵抗や導
電性接着剤内での分散度を調節しても良い。
【0038】さらに、ITO、In23、TiO2、S
nO2、ZnO等の材料を用いることにより透光性を付
与しても良い。中でもITOを用いることにより特に高
い透光性が得られる。
【0039】(導電性粒子と高分子樹脂の混合)本発明
において、前記導電性粒子と前記高分子樹脂とは所望の
比抵抗を得るため好適な比率で混合される。導電性粒子
を増加すると比抵抗は低くなるが、樹脂の比率が少なく
なるため塗膜としての安定性は悪くなる。一方、樹脂を
増加すると導電性粒子同士の接触が不良となり高抵抗化
する。したがって、好適な比率は、用いる高分子樹脂と
導電性粒子及び所望の物性値によって適宜選択されるも
のである。具体的には、導電性粒子が5体積%から95
体積%程度とすることで良好な比抵抗が得られる。
【0040】前記導電性接着剤の比抵抗としては、太陽
電池によって発生する電流を集電するのに無視し得る抵
抗で、かつ、シャントが生じない様に適度な抵抗値とす
ることが必要であり、具体的には0.01乃至100Ω
cm程度が好ましい。0.01Ωcm以下であるとシャ
ントを防ぐバリア機能が少なくなり、100Ωcm以上
では電気抵抗ロスが大きくなるためである。前記導電性
粒子及び高分子樹脂の混合に際しては、3本ロールミ
ル、ペイントシェーカー、ビーズミル等の通常の分散装
置を用いることができる。分散を良好とするため所望に
応じて公知の分散剤を添加しても良い。また、分散時あ
るいは分散後に導電性接着剤の粘度調整のため適当な溶
剤で希釈しても良い。
【0041】(導電性接着剤)本発明に係る前記導電性
接着剤層102は、前記集電電極を半導体層あるいは透
明電極に接着固定する機能と集電する機能とを有する接
着層である。前記導電性接着層を構成する導電性接着剤
に含まれる高分子樹脂としては上述した樹脂の中でもと
りわけ接着性が良好で、柔軟性の良い樹脂が好適に用い
られる。すなわち、ウレタン、エポキシ、フェノキシあ
るいはこれらを変性した熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂が
好適な材料として挙げられる。とりわけウレタン樹脂は
架橋密度を調整しやすい樹脂であるため好適に用いられ
る。
【0042】これらの樹脂は被覆後に未硬化の状態とし
ておき、接着工程を経た後硬化する様にすることが望ま
しい。そのために、前記高分子の硬化剤はブロックイソ
シアネートにすることが好ましい。ブロックイソシアネ
ートは各ブロックイソシアネートのイソシアネート基の
解離温度に加熱することにより硬化が進行する機構を持
っている。そのため、解離温度以下で乾燥することによ
り、含まれていた溶剤が完全に除去され、粘着性、タッ
ク性がなくなるためリールにコイル状に巻き取り、保存
可能になる。しかも、保存時にはイソシアネートの解離
温度以上の熱を加えない限り、硬化が進行しないため、
集電電極形成時に一様に十分な接着力が得られる。
【0043】前記導電性接着層の厚みは前記金属ワイヤ
の径によって異なるが、例えば前記金属ワイヤが100
μmであれば前記導電性接着層はピンホールが無く、接
着層としての機能が十分で有りかつシャドウロスを極端
に生じないために5乃至30μm程度が好適である。
【0044】前記導電性接着剤を前記金属ワイヤに被覆
する方法としては通常のエナメル線の絶縁被覆膜の塗布
方法が好適に用いることができるが、具体的には、前記
導電性接着剤を適当な粘度となる様に溶剤で希釈し、前
記金属ワイヤにロールコーターなどを用いてコートし、
所望の厚みを形成するためのダイスを通過させてその後
加熱炉で溶剤乾燥させる。
【0045】(導電性接着層に用いる高分子樹脂の架橋
の度合い)本発明において、電極を形成する工程の前後
で、導電性接着層に用いる高分子樹脂の架橋の度合い
は、ブロックイソシアネート等の硬化剤を用いてコント
ロールする。その結果、加熱乾燥後、樹脂の硬化が進行
せず保存性が良好で、電極形状の変化がなく良好な接着
性を得られる。
【0046】前記高分子樹脂の架橋の度合いを測る方法
としては、例えば、ゲル分率を測定する方法が挙げられ
る。すなわち、前記高分子樹脂片の試料をキシレンなど
の溶媒に浸漬すると、ゲル化して架橋したゲル部分は溶
出しないが、架橋していないゾル部分は溶出する。すな
わち架橋が完了すればゾル部分の溶出はなくなる。次に
前記試料を取り出しキシレンを蒸発させることによりゾ
ル部分も除いた未溶解のゲル部分が残る。そこで、架橋
しておらず溶出したゾル量を測定することによりゲル分
率を求めることが出来る。以下に計算方法を示す。
【0047】ゲル分率={(未溶解分の重量)/(試料
の元の重量)}×100(%) このゲル分率が乾燥後に高いことにより集電電極を形成
の際に接着力が低下する原因となる。更に、加熱圧着し
形成された集電電極の導電性接着層のゲル分率が抵いこ
とにより湿度の影響で信頼性が低下する恐れがある。
【0048】そこで、前記金属ワイヤに接着層を被覆乾
燥後、導電性接着層の高分子樹脂層のゲル分率を0%以
上20%以下にすることにより、保存後にも初期接着性
は変化しない。更に、集電電極を加熱圧着形成後の接着
層のゲル分率が20%以上100以下であることによ
り、使用中の信頼性も向上する。
【0049】(導電性接着層を金属ワイヤにコートする
装置)本発明において、前記導電性接着剤を前記金属ワ
イヤにコートを行うのに好適な装置としては、例えば、
図3に模式的に示したものが挙げられる。図3におい
て、301は送り出しリール、302は金属ワイヤ、3
03は洗浄槽、304はコーター、305はダイス、3
06は乾燥炉、307は膜厚測定機、308はテンショ
ンコントローラー、309は整列巻き駆動装置、310
は巻き取りリール、311は温度調節機である。
【0050】送り出しリール301は被覆層形成前の金
属ワイヤが巻いてあるボビンである。洗浄槽303は所
望に応じても用いるものであるが、アセトン、MEK,
IPAなどの溶剤を満たしたタンクであって金属ワイヤ
302の表面の汚れを洗浄するものである。
【0051】コータ304は導電性接着剤を金属ワイヤ
302に塗布する装置である。コータ304には塗布す
る導電性接着剤が一定量貯められているが、所望に応じ
て粘度調整のための溶剤添加機構や温度調整機構、導電
性接着剤補充機構、ろ過機構などを追加しても良い。
【0052】ダイス305は塗布した導電性接着剤を所
望の厚みとなる様に制御するためのものである。前記ダ
イス305は市販のエナメルコート用のものが好適に用
いられる。また、所望に応じてフェルトを用いても良
い。
【0053】乾燥炉306は塗布した導電性接着剤の溶
剤を除去して乾燥させたり、あるいは熱硬化させたりす
るためのもので熱風乾燥機や赤外線乾燥機などが所望に
応じて用いられる。
【0054】膜厚測定器307は塗布した導電性接着剤
の厚みを測定し管理するためのものであり、市販の外径
測定器が好適に用いられる。前記膜圧測定機307で測
定した膜圧から送り速度や導電性接着剤粘度などのフィ
ードバック制御を行っても良い。
【0055】テンションコントローラー308は金属ワ
イヤ302をたるみが生じない様にかつ降伏点以上の力
がかからない様に一定の張力に保つ装置である。
【0056】整列巻き駆動装置309は巻き取りリール
310に巻き取る際にワイヤーの間隔を制御しながら巻
き取るための装置である。巻き取りリール310は不図
示のモーターによって所望の送り速度となるように回転
駆動される。
【0057】温調機311は乾燥炉306の温度を設定
値に保つためのものである。所望に応じてスライダッ
ク、オンオフ制御、PID制御などの公知の方法を選択
して用いられる。
【0058】図3では縦形装置を示したが、金属ワイヤ
の搬送方向は縦方向でも横方向でも良く、所望に応じて
設計されるものである。
【0059】また、複数の導電性接着剤の塗布を行う必
要がある場合には、1層ごとにコート後にボビンに巻き
取っても良いが、場合によっては連続して複数の層を塗
って最後にボビンに巻き取っても良い。また、図3では
1本の金属ワイヤの塗布機であるが、同時に複数本の塗
布を行っても良い。
【0060】導電性接着剤を被覆した前記金属ワイヤは
ボビンに巻き取った状態で保存し、太陽電池の集電電極
を形成する際に適宜巻き出して用いる。
【0061】(光起電力素子)本発明の光起電力素子と
しては、例えば、図4〜図8に模式的に示した太陽電池
が挙げられる。
【0062】図4は、基板と反対側から光入射するアモ
ルファスシリコン系太陽電池の模式的断面図である。図
4において、401は基板、402は下部電極、40
3、413、423はn型半導体層、404、414、
424はi型半導体層、405、415、425はp型
半導体層、406は透明導電膜、407は集電電極を表
す。
【0063】図5は、単結晶シリコン太陽電池の模式的
断面図である。図5において、501はシリコンウエハ
基板からなる半導体層、502は半導体層501とpn
接合を形成する半導体層、503は裏面電極、504は
集電電極、505は反射防止膜を表す。
【0064】図6は多結晶シリコン太陽電池の模式的断
面図である。図6において、601はシリコンウエハ基
板からなる半導体層、602は半導体層601とpn接
合を形成する半導体層、603は裏面電極、604は集
電電極、605は反射防止膜を表す。
【0065】図7は薄膜多結晶シリコン太陽電池の模式
的断面図である。図7において、701は基板、702
は多結晶化した半導体層、703は半導体層702とp
n結合を形成する半導体層、704は裏面電極、705
は集電電極、706は反射防止膜を表す。
【0066】図8は、図4〜図7の太陽電池を光入射側
から見た図である。図8において、801は太陽電池基
板、802はプラス電極、803はマイナス電極、80
4は集電電極を表す。
【0067】本発明の集電電極を用いるのに好適な太陽
電池構成としては、光入射側と反対に形成される裏面電
極である第1の電極と、前記第1の電極上に設けた発電
に寄与する半導体層と、前記半導体層の光入射面側に設
けた本発明の集電電極からなる構成が好ましい。
【0068】アモルファスシリコン系太陽電池400の
ように、半導体層が薄膜である場合には、支持基板40
1が必要となり、前記支持基板としては絶縁性あるいは
導電性基板が用いられる。
【0069】支持基板401として、導電性基板である
ステンレスやアルミ等の金属基板が用いられる場合に
は、支持基板401が前記裏面電極(第1の電極)の役
目も果たす。一方、ガラス、高分子樹脂、セラミック等
の絶縁性基板を用いる場合には、基板上にクロム、アル
ミニウム、銀等の金属を蒸着し、裏面電極とする。
【0070】下部電極402は、半導体層403、40
4、405、413、414、415、423、42
4、425で発生した電力を取り出すための一方の電極
であり、半導体層403に対してはオーミックコンタク
トとなる仕事関数を持つことが要求される。材料として
は、例えば、Al、Ag、Pt、Au、Ni、Ti、M
o、W、Fe、V、Cr、Cu、ニクロム、SnO2
In23、ZnO、ITO等のいわゆる金属体または合
金及び透明導電性酸化物(TCO)等が用いられる。下
部電極の表面は平滑であることが好ましいが、光の乱反
射を起こさせる場合にはテクスチャー化しても良い。ま
た、基板401が導電性である場合、下部電極402を
設けなくても良い。下部電極302はメッキ、蒸着、ス
パッタ等の公知の方法で形成することができる。
【0071】アモルファスシリコンからなる半導体層
は、n層403、i層404、p層405としたシング
ル構成だけでなく、pin接合またはpn接合を重ねた
ダブル構成、トリプル構成も好適に用いられる。特に、
i層の404、414、424を構成する半導体材料と
してはa−Siの他にa−SiGe、a−SiC等いわ
ゆるIV族及びIV族合金系アモルファス半導体が挙げ
られる。
【0072】アモルファスシリコンからなる半導体層の
成膜方法としては、例えば、蒸着法、スパッタ法、高周
波プラズマCVD法、マイクロプラズマCVD法、EC
R法、熱CVD法、LPCVD法等公知の方法を所望に
応じて用いる。成膜装置としては、バッチ式の装置や連
続成膜装置等が所望に応じて使用出来る。
【0073】透明導電膜406は、アモルファスシリコ
ンのようにシート抵抗が高い場合必要であり、かつ、光
入射側に位置するために透明であることが必要である。
透明導電膜406の材料としては、例えば、SnO2
In23、ZnO、CdO、CdSnO4、ITO等の
金属酸化物が用いられる。
【0074】単結晶シリコン太陽電池500や多結晶シ
リコン太陽電池600の場合、支持基板を設けず単結晶
ウエハ501や多結晶ウエハ601が基板の役目をす
る。単結晶ウエハ501はCZ法で引き上げられたSi
インゴットを切断する方法等で得られる。多結晶ウエハ
601はキャスト法により得られたSiインゴット切断
する方法や、リボン法によりシート状の多結晶を得る方
法等により形成される。pn結合の形成にはPOC13
用いた気相拡散法やTiO2またはSiO2 、P25
用いいた塗布拡散法、イオンを直接にドープするイオン
打ち込み法等が用いられ、半導体層502、602が得
られる。
【0075】裏面電極503、603は蒸着、スパッタ
法等により金属膜を形成したり、銀ペーストのスクリー
ン印刷等により形成する。反射防止膜504、604太
陽電池表面での光の反射による効率の低下を防ぐために
形成し、SiO2、Ta25、Nb25等が用いられ
る。
【0076】薄膜多結晶700はアルミナやグラファイ
トなどの基板701上にSi多結晶薄膜702を成長
し、場合によっては、これをさらに粒径拡大化の処理を
行った後、これを再度基板とし、その上に生活層となる
べくベース層を形成、その上に表面層703をエピキタ
シャル成長法等により形成する。基板701に金属Si
等の低コストの基板を用いても良い。
【0077】本発明の集電電極からなる第2の電極80
4は前記半導体層の光入射面側に配置されるが、配置方
法としては集電の電気抵抗による損失とシャドウロスと
の和が最小となる様に適当な間隔で平行に配置するのが
好ましい。例えばシート抵抗が100Ω/□程度であれ
ば集電電極の間隔は5mm程度が好ましい。また、細い
径のワイヤーを用いた場合にはピッチを狭くし、太い径
のワイヤーを用いた場合にはピッチを広くするという最
適化を行うことで最高の効率が得られる。
【0078】本発明の電極はとりわけ大面積の太陽電池
を形成する場合に適しており例えば、30cm角の太陽
電池を作製する場合には、半導体層上に30cmの長さ
の本発明の電極を平行に所定の間隔で設置して集電電極
を形成すれば良い。さらに前記集電電極からひとつの端
子に電流を流すための比較的大きな電流が流せるために
集電部としてタブ等を配置しても良い。
【0079】本発明における太陽電池のモジュール化と
しては、以上のように作製された太陽電池に対して、屋
外使用の際、対候性を良くし機械的強度を保つ目的か
ら、公知の方法で行うエンカプシュレーションがある。
【0080】具体的なエンカプシュレーション用材料と
しては、接着層についてはEVA(エチレンビニルアセ
テート)等が好適に用いられる。また、機械的強度を向
上するためにクレーンガラス等にEVAを含浸させても
良い。さらに、耐湿性や耐傷性を向上させるために、表
面保護層としてフッ素系の樹脂が積層される。例えば、
4フッ化エチレンの共重合体TFE、4フッ化エチレン
とエチレンの共重合体ETFE、ポリフッ化ビニル、ポ
リクロロフルオロエチレンCTFE等があげられる。ま
た、これらの樹脂に紫外線吸収剤を加えることで耐熱性
を向上させても良い。これらの樹脂を太陽電池基板と積
層する方法としては、例えば、真空ラミネートのような
市販の装置を用いて、真空中で加熱、圧着することが可
能である。
【0081】(光起電力素子の製造方法)本発明に係る
光起電力素子すなわち太陽電池を作製する方法として
は、前記集電電極を光入射側の半導体層または透明導電
膜の上に熱または圧力あるいは熱と圧力で接着する方法
が好ましい。加熱温度としては接着層となる導電性接着
剤の軟化点以上の温度にすることが好ましく、前記接着
層が軟化して前記集電電極が太陽電池表面に接着する。
【0082】また、前記導電性接着剤の硬化剤がブロッ
クイソシアネートからなる場合には、前記ブロックイソ
シアネートの解離温度以上の温度にし接着工程中に熱硬
化させることが好ましい。また、圧力としては前記接着
層が適度に変形する圧力が好ましく、太陽電池を破壊し
ない程度の圧力以下でなければならない。具体的には例
えば、アモルファスシリコンのような薄膜太陽電池では
0.1kg/cm2から1.0kg/cm2あれば、熱に
より軟化させて太陽電池に接着させることが好ましい
が、接着時に適度な圧力を加えても良い。また、前記接
着層が熱可塑性であれば加熱により軟化するが、熱硬化
性の樹脂の場合は、ワイヤへの塗布を行う時に硬化反応
させずに溶剤の乾燥のみ行って、接着時に加熱により硬
化させても良い。
【0083】また、本発明は上記示した太陽電池以外の
太陽電池にも好適に用いられることは言うまでもない。
【0084】
【実施例】以下、実施例により、本発明に係る光起電力
素子である太陽電池の構成、及び、太陽電池製造方法に
ついて更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例
により限定されるものではない。
【0085】(実施例1)本例では、図1に示す集電電
極100の構造を、金属ワイヤ101(銀ワイヤ)/被
覆層102の導電性接着剤(カーボンとウレタン)、と
した。
【0086】以下では、本例の集電電極の形成方法を、
手順にしたがって説明する。 (1)金属ワイヤ101としては、直径100μmの銀
ワイヤを用いた。 (2)被覆層102の導電性接着剤を形成するためのカ
ーボンペーストは、次のように作製した。第1に、溶剤
として酢酸エチル2.5g、IPA2.5gの混合溶剤
を分散用シェーク瓶に入れた。第2に、主剤となるウレ
タン樹脂に(ニッポラン5199日本ポリウレタン株式
会社製)を22.0gを前記シェーク瓶に加えボールミ
ルで充分攪拌した。第3に、硬化剤としてブロックイソ
シアネート(タケネートB815N武田薬品工業株式会
社)を1.1g、分散用ガラスビーズ10gを前記溶液
に加えた。第4に、導電性粒子として平均の一次粒径が
0.05μmのカーボンブラック(Conductex 975 コ
ロンビアンカーボン日本株式会社製)を2.5gを前記
溶液に加えた。第5に、2,4−ジアミノ−6−ビニル
−S−トリアジンを0.5g、前記溶液に加えた。
【0087】(3)以上の材料を投入したシェーク瓶
を、東洋精機製作所社製ペイント・シェーカにて10時
間分散した。その後、作製したペーストから分散用ガラ
スビーズを取り除いた。該ペーストの平均粒子径を測定
したところ約1μmであった。ペイント・シェーカの代
わりにビーズミルを用いても同様の結果であった。 (4)前記ペーストを、前記硬化剤の標準条件である、
温度160℃、時間30分で硬化させ、その体積抵抗率
を測定したところ、0.6Ωcmであり、十分低抵抗で
あることを確認した。
【0088】以下では、図3に示した縦型のワイヤコー
ト機300を用いて、被覆層102を形成する方法につ
いて説明する。 (5)送り出しリール301に金属ワイヤ307を巻い
たリールを設置し、巻き取りリール310に向け前記金
属ワイヤを張った。次に、コーターに前記ペーストを注
入した。
【0089】塗布速度は40m/minで滞留時間が2
sec、乾燥炉306の温度は120℃とし、5回コー
トした。使用したエナメルコート用ダイスの径は110
μmから200μmまでを順次用いた。前記ワイヤに塗
布されたペーストは、溶剤が揮発し未硬化状態で存在す
る。第2層102の厚さは、平均20μmで、コートし
た結果(100m長さあたり)から膜厚のバラツキは、
±0.5μm以内に納まっていた。
【0090】以下では、図4(c)に示した層構成で、
グリッド長が30cmのグリッド電極を有するpin接
合型トリプル構成のアモルファスシリコン太陽電池40
0の作製方法について、手順にしたがって説明する。 (6)十分に脱脂、洗浄したSUS430BA基板40
1を不図示のDCスパッタ装置に入れAgを450nm
堆積し、その後ZnOを1000nmを堆積して下部電
極402を形成した。基板を取り出し、不図示のマイク
ロ波プラズマCVD成膜装置に入れ、n層403にシリ
コン層、i層404にシリコンゲルマニウム層、p層4
05にシリコン層の順でボトム層を形成した。次に、同
様にしてn層413にシリコン層、i層414にシリコ
ンゲルマニウム層、p層415にシリコン層の順でミド
ル層を順次形成した。更に、n層423、i層424、
p層425の順でシリコン層のトップ層を形成し、半導
体層の堆積を終えた。その後、不図示の抵抗加熱の蒸着
装置に入れ、反射防止効果を兼ねた機能を有する透明導
電膜406としてITOを70nm成膜した。
【0091】(7)太陽電池基板401を、面形状が3
0cm角で、セルの有効面積が900cm2となるよう
に、塩化第2鉄を主成分とするエッチングペーストと市
販の印刷機を用いて不要部分の透明導電膜を除去した。 (8)図8に示すとおり、有効面積外に硬質銅のプラス
電極802、マイナス電極803を設け、集電電極80
4として前記被覆ワイヤ100を6mm間隔で有効面積
内に納まるように両プラス電極802間に張り、紫外線
硬化接着剤を用いて固定した。
【0092】(9)前記集電電極804を太陽電池基板
400のセル面に接着するために、不図示の加熱装置を
用いて加熱圧着し、図8(a)に示す30cm角のトリ
プルセルを作製した。加熱条件は、温度200℃、時間
45秒、圧力1kg/cm2とした。 (10)この試料のエンカプシュレーションを以下のよ
うに行った。太陽電池基板801の上下にクレーンガラ
ス及びEVAを積層し、さらにその上下にフッ素樹脂フ
ィルムETFE(デュポン社製テフゼル)を積層し、真
空ラミネータに投入して、温度150℃で時間60mi
n保持し、ラミネーションを行った。
【0093】以上の工程(1)〜工程(10)により、
同様の太陽電池モジュールを50個作製した。
【0094】以下では、得られた試料の初期特性評価に
関して述べる。 (a)試料の暗状態における電圧−電流特性を測定し、
原点付近の傾きからシャント抵抗を調べた。その結果、
シャント抵抗は200kΩcm2〜500kΩcm2であ
り、良好な値を示した。 (b)AM1.5グローバルの太陽光スペクトルで10
0mW/cm2の光量の疑似太陽光源(以下シュミレー
ターと呼ぶ)を用いて太陽電池特性を測定し変換効率を
求めた。その結果、変換効率は9.6%±0.02%で
あり、ばらつきも少なく良好な値であった。
【0095】(c)シリーズ抵抗を測定したところ、平
均値が32.0Ωcm2であり、良好な値であった。 (d)I−Vカーブが正常なものの歩留まり率は、94
%と良好であった。
【0096】以下では、得られた試料に対して行った信
頼性試験に関して述べる。本発明の信頼性試験は、日本
工業規格C8917の結晶系太陽電池モジュールの環境
試験方式、及び、耐久試験方法に定められた温湿度サイ
クル試験A−2、に基づいて行った。具体的には、試料
を温湿度が制御できる恒温恒湿器に投入し、温度を−4
0℃から+85℃(相対湿度85%)に変化させるサイ
クル試験を20回繰り返した。その後、初期特性評価と
同様にシミュレーターを用いて変換効率を調べた。その
結果、信頼性試験後の変換効率は、初期変換効率に対し
て平均で2%の低下があった。この低下量から、有意な
劣化は生じなかったと判断した。
【0097】したがって、上述した本例の結果から、本
発明の少なくとも、金属ワイヤ、前記金属ワイヤに接す
るpn接合またはpin接合からなる半導体層、及び、
前記半導体層に接する導電性接着剤からなる被覆層、を
有することを特徴とする集電電極を用いた光起電力素子
すなわち太陽電池は、良好な特性を有し、かつ、信頼性
も高いことが分かった。
【0098】さらに、これらの試料の耐湿度リーク性を
確認するために、信頼性試験を以下のように行った。ま
ず試料を温湿度が、制御できる光が透光可能な窓を持つ
恒温恒湿器に投入し+85℃/相対湿度85%の状態に
保持した。温湿度が十分平衡になったところで、窓の外
部に設置したシミュレータによりAM1.5グローバル
の太陽光スペクトルで100mW/cm2の光量を10
00時間照射した。
【0099】次に、試験終了後の試料に対して、初期特
性評価と同様にシミュレーターを用いて変換効率を調べ
た。その結果、耐湿度リーク性試験後の変換効率は、初
期変換効率に対して平均で2%の低下があった。この低
下量から、有意な劣化は生じなかったと判断した。
【0100】上述した本例の結果から、本発明の導電性
接着剤を被覆した金属ワイヤを集電電極として用いた太
陽電池は、良好な特性であり、信頼性も高いことが分か
った。
【0101】(比較例1)本例では、図1に示す集電電
極100を構成する導電性接着剤層102から、2,4
−ジアミノ−6−ビニル−S−トリアジンを省いた点が
実施例1と異なる。
【0102】他の点は、実施例1と同様とした。以上の
方法により、同様の太陽電池モジュールを50個作製し
た。
【0103】以下では、得られた試料の初期特性評価
(実施例1と同様の測定条件)に関して述べる。
【0104】まず、シャント抵抗を調べたところ200
kΩcm2〜500kΩcm2であり、良好な値を示し
た。次に、変換効率を求めたところ9.0%±0.2%
であり、ばらつきも少なかった。
【0105】さらに、I−Vカーブが正常な試料のシリ
ーズ抵抗を求めたところ平均で32.1Ωcm2であ
り、良好な値であった。しかし、I−Vカーブが正常な
ものの初期歩留まり率は、95%で良好であった。
【0106】以下では、得られた試料に対して実施例1
と同様の信頼性試験を行った後、初期特性評価と同様に
シミュレーターを用いて変換効率を調べた結果に関して
説明する。
【0107】信頼性試験後の変換効率は、初期変換効率
に対して平均で2%の低下であり、有意な劣化は生じな
かった。
【0108】さらに、これらの試料の耐湿度リーク性を
確認するために、信頼性試験を以下のように行った。ま
ず試料を温湿度が、制御できる光が透光可能な窓を持つ
恒温恒湿器に投入し+85℃/相対湿度85%の状態に
保持した。温湿度が十分平衡になったところで、窓の外
部に設置したシミュレータによりAM1.5グローバル
の太陽光スペクトルで100mW/cm2の光量を10
00時間照射した。
【0109】次に、試験終了後の試料に対して、初期特
性評価と同様にシミュレーターを用いて変換効率を調べ
た。その結果、耐湿度リーク性試験後の変換効率は、初
期変換効率に対して平均で10%の低下があった。この
低下量から、有意な劣化が生じたと判断した。また、シ
ャント抵抗を測定したところ、平均5kΩcm2まで低
下していた。したがって、変換効率の劣化の原因はシャ
ント抵抗の低下によるものであることが分かった。
【0110】これは、外部からの湿度の侵入および太陽
電池自身の起電力により、光起電力素子の欠陥部分で、
金属イオンのマイグレーションが発生したためと推測さ
れる。
【0111】シャントを確認するために、光起電力素子
に逆バイアスを印加し、シャント部に電流を流し、サー
モカメラで発熱箇所、つまりシャント箇所を観察した。
その結果、シャント抵抗の低い試料のシャント箇所は、
集電電極の直下にあることが分かった。シャントが集電
電極の直下に存在した場合、あるいは発生した場合は、
シャント抵抗の低下、変換効率の低下を引き起こすこと
が分かった。
【0112】上述した実施例1と比較例1の結果から、
本発明の集電電極を用いた太陽電池は初期の歩留まりが
良く、信頼性が良好であることが分かった。
【0113】(比較例2)本例では、図1に示す集電電
極100の構造において、金属ワイヤ101には銀クラ
ット銅ワイヤを、被覆層102にはフッ素系樹脂ペース
トを用い、前記導電性接着剤から、2,4−ジアミノ−
6−ビニル−S−トリアジンを省いた点が実施例1と異
なる。他の点は、実施例1と同様とした。
【0114】上記被覆層102に使用したペーストは、
米国特許4,260,429に記載されているようなフ
ッ素系樹脂ペースト(Electrodag +502SS アチソンコ
ロイド社製)とした。このとき、2,4−ジアミノ−6
−ビニル−S−トリアジンは、添加しなかった。上記ペ
ーストは、実施例1と同様にしてワイヤーに塗布した。
【0115】形成された被覆層102の厚さは、平均2
0μmで、コートした結果(100m長さあたり)から
膜厚のバラツキは、±1.0μm以上であった。
【0116】前記ペーストを、前記硬化剤の標準条件で
ある、温度120℃、時間5分で硬化させ、その体積抵
抗率を測定したところ、0.1Ωcmであり、十分低抵
抗であることを確認した。
【0117】次に、実施例1と同様にして、本ワイヤを
集電電極とする太陽電池モジュールを50個作製した。
【0118】以下では、得られた試料の初期特性評価
(実施例1と同様の測定条件)に関して述べる。まず、
シャント抵抗を調べたところ300kΩcm2〜500
kΩcm2であり、良好な値を示した。次に、変換効率
を求めたところ9.0%±0.3%であり、ばらつきも
少なかった。
【0119】さらに、I−Vカーブが正常な試料のシリ
ーズ抵抗を求めたところ平均で32.1Ωcm2であ
り、良好な値であった。しかし、I−Vカーブが正常な
ものの初期歩留まり率は、96%で良好であった。
【0120】以下では、得られた試料に対して実施例1
と同様の信頼性試験を行った後、初期特性評価と同様に
シミュレーターを用いて変換効率を調べた結果に関して
説明する。
【0121】信頼性試験後の変換効率は、初期変換効率
に対して平均で11%の低下であり、有意な劣化が生じ
ていた。また、シャント抵抗を測定したところ、平均で
8kΩcm2まで低下していた。これにより、変換効率
の劣化原因は、シャント抵抗の低下によるものであるこ
とが分かった。
【0122】これは、外部からの湿度の侵入および太陽
電池自身の起電力により、光起電力素子の欠陥部分で、
金属イオンのマイグレーションが発生したためと推測さ
れる。
【0123】シャントを確認するために、光起電力素子
に逆バイアスを印加し、シャント部に電流を流し、サー
モカメラで発熱箇所、つまりシャント箇所を観察した。
その結果、シャント抵抗の低い試料のシャント箇所は、
集電電極の直下にあることが分かった。シャントが集電
電極の直下に存在した場合、あるいは発生した場合は、
シャント抵抗の低下、変換効率の低下を引き起こすこと
が分かった。
【0124】本例の結果から、本発明の集電電極を用い
た太陽電池は初期の歩留まりが良く、信頼性が良好であ
ることが分かった。
【0125】(実施例2)本例では、図1に示す集電電
極100の構造において、金属ワイヤ101には銀ワイ
ヤを、被覆層102には高分子樹脂としてブチラール樹
脂と、導電性粒子としてITO粉末を用いた点が実施例
1と異なる。他の点は、実施例1と同様とした。
【0126】上記高分子樹脂としては、ブチラール樹脂
(エスレックBL−S積水化学工業株式会社製)を、導
電性粒子としては、平均の一次粒径が0.05μmのI
TO粉末(HYX住友金属鉱株式会社製)を用いた。
【0127】前記ペーストを、前記硬化剤の標準条件で
ある、温度160℃、時間30分で硬化させ、その体積
抵抗率を測定したところ、1.0Ωcmであり、十分低
抵抗であることを確認した。
【0128】次に、実施例1と同様にして、本ワイヤを
集電電極とする太陽電池モジュールを50個作製した。
【0129】以下では、得られた試料の初期特性評価
(実施例1と同様の測定条件)をしたところ、変換効率
が9.7%±0.05%、シャント抵抗が250kΩc
2〜300kΩcm2、シリーズ抵抗が平均で32.5
Ωcm2で良好な特性が得られた。また、I−Vカーブ
か正常なものの歩留まり率は94%で良好であった。
【0130】以下では、得られた試料に対して実施例1
と同様の信頼性試験を行った後、初期特性評価と同様に
シミュレーターを用いて変換効率を調べた結果に関して
説明する。
【0131】信頼性試験後の変換効率は、初期変換効率
に対して平均で2%の低下であり、有意な劣化は生じな
かった。
【0132】本例の結果から、本発明の集電電極を用い
た太陽電池は初期の歩留まりが良く、信頼性が良好であ
ることが分かった。
【0133】(実施例3)本例では、図1に示す集電電
極100の構造において、金属ワイヤ101には銀ワイ
ヤを、被覆層102には高分子樹脂としてウレタン樹脂
と、導電性粒子としてSnO2を用いた点が実施例1と
異なる。他の点は、実施例1と同様とした。
【0134】上記導電性粒子としては、平均の一次粒径
が0.2μmのSnO2粉末(三井金属鉱業株式会社
製)を用いた。
【0135】前記ペーストを、前記硬化剤の標準条件で
ある、温度160℃、時間30分で硬化させ、その体積
抵抗率を測定したところ、1.0Ωcmであり、十分低
抵抗であることを確認した。
【0136】次に、実施例1と同様にして、本ワイヤを
集電電極とする太陽電池モジュールを50個作製した。
【0137】以下では、得られた試料の初期特性評価
(実施例1と同様の測定条件)をしたところ、変換効率
が9.1%±0.06%、シャント抵抗が250kΩc
2〜400kΩcm2、シリーズ抵抗が平均で32.9
Ωcm2で良好な特性が得られた。また、I−Vカーブ
か正常なものの歩留まり率は92%で良好であった。
【0138】以下では、得られた試料に対して実施例1
と同様の信頼性試験を行った後、初期特性評価と同様に
シミュレーターを用いて変換効率を調べた結果に関して
説明する。
【0139】信頼性試験後の変換効率は、初期変換効率
に対して平均で2.5%の低下であり、有意な劣化は生
じなかった。
【0140】本例の結果から、本発明の集電電極を用い
た太陽電池は初期の歩留まりが良く、信頼性が良好であ
ることが分かった。
【0141】(実施例4)本例では、図1に示す集電電
極100の構造において、金属ワイヤ101には銀ワイ
ヤを、被覆層102には高分子樹脂としてポリアミド樹
脂と、導電性粒子としてIn23を用いた点が実施例1
と異なる。他の点は、実施例1と同様とした。
【0142】上記高分子樹脂としては、ポリアミド樹脂
(三菱化成社製)、導電性粒子としては、平均の一次粒
径が0.05μmのIn23(住友金属鉱株式会社製)
を用いた。
【0143】前記ペーストを、前記硬化剤の標準条件で
ある、温度160℃、時間30分で硬化させ、その体積
抵抗率を測定したところ、1.5Ωcmであり、十分低
抵抗であることを確認した。
【0144】次に、実施例1と同様にして、本ワイヤを
集電電極とする太陽電池モジュールを50個作製した。
【0145】以下では、得られた試料の初期特性評価
(実施例1と同様の測定条件)をしたところ、変換効率
が9.2%±0.01%、シャント抵抗が400kΩc
2〜500kΩcm2、シリーズ抵抗が平均で32.3
Ωcm2で良好な特性が得られた。また、I−Vカーブ
か正常なものの歩留まり率は90%で良好であった。
【0146】以下では、得られた試料に対して実施例1
と同様の信頼性試験を行った後、初期特性評価と同様に
シミュレーターを用いて変換効率を調べた結果に関して
説明する。
【0147】信頼性試験後の変換効率は、初期変換効率
に対して平均で2%の低下であり、有意な劣化は生じな
かった。
【0148】本例の結果から、本発明の集電電極を用い
た太陽電池は初期の歩留まりが良く、信頼性が良好であ
ることが分かった。
【0149】(実施例5)本例では、図2に示す集電電
極200の構造において、金属ワイヤには銀クラッド銅
ワイヤを、被覆層202には高分子樹脂としてウレタン
樹脂と、導電性粒子としてカーボンブラックを用いた点
が実施例1と異なる。他の点は、実施例1と同様とし
た。
【0150】上記金属ワイヤは、厚み2μmの銀クラッ
ドの金属層203を銅線201の上に形成した直径10
0μmの銀クラッド銅ワイヤとした。金属層203は、
集電電極200が、導電性接着剤に対して密着性および
電導性を向上するために用いた。
【0151】以下では、上記被覆層202を形成するた
めのペーストの作製方法について説明する。 (1)第1に、溶剤として、酢酸エチル2.5g、IP
A2.5gの混合溶剤を分散用シェーク瓶に入れた。第
2に、主剤となるウレタン樹脂を22.0gを前記シェ
ーク瓶に加えボールミルで充分攪拌した。第3に、硬化
剤として、ブロックイソシアネートを1.1g、分散用
ガラスビーズ10gを前記溶液に加えた。第4に、導電
性粒子として、平均の一次粒径が0.05μmのカーボ
ンブラク2.5gを前記溶液に加えた。第5に、2,4
−ジアミノ−6−ビニル−S−トリアジンを0.5g、
前記溶液に加えた。
【0152】(2)以上の材料を投入したシェーク瓶を
東洋精機製作所社製ペイント・シェーカにて10時間分
散した。その後、出来上がったペーストから分散用ガラ
スビーズを取り除いた。該ペーストの平均粒子径を測定
したところ約1μmであった。ペイントシェーカーの変
わりにビーズミルを用いても同様の結果であった。 (3)前記ペーストを、前記硬化剤の標準条件である、
温度160℃、時間30分で硬化させ、その体積抵抗率
を測定したところ、0.6Ωcmであり、十分低抵抗で
あることを確認した。
【0153】図3に示す縦型のワイヤーコート機300
を用い、銀クラッド層203上に、実施例1と同様にし
て被覆層202をコートし、集電電極200を形成し
た。該集電電極200を用い、実施例1と同様の方法で
太陽電池モジュールを50個作製した。
【0154】以下では、得られた試料の初期特性評価
(実施例1と同様の測定条件)をしたところ、変換効率
が9.7%±0.03%、シャント抵抗が300kΩc
2〜400kΩcm2、シリーズ抵抗が平均で31.5
Ωcm2で良好な特性が得られた。また、I−Vカーブ
か正常なものの歩留まり率は96%で良好であった。
【0155】以下では、得られた試料に対して実施例1
と同様の信頼性試験を行った後、初期特性評価と同様に
シミュレーターを用いて変換効率を調べた結果に関して
説明する。
【0156】信頼性試験後の変換効率は、初期変換効率
に対して平均で1.5%の低下であり、有意な劣化は生
じなかった。
【0157】本例の結果から、本発明の集電電極を用い
た太陽電池は初期の歩留まりが良く、信頼性が良好であ
ることが分かった。
【0158】(実施例6)本例では、図2に示す集電電
極200の構造において、金属ワイヤには銀クラッド銅
ワイヤを、被覆層102には高分子樹脂としてフェノキ
シ樹脂と、導電性粒子としてZnO粉末を用いた点が実
施例5と異なる。他の点は、実施例5と同様とした。
【0159】上記高分子樹脂としては、フェノキシ樹脂
(PKHH巴工業株式会社製)、導電性粒子としては、
平均の一次粒径が0.1μmのZnO粉末(三井金属鉱
業株式会社製)を用いた。
【0160】前記ペーストを、前記硬化剤の標準条件で
ある、温度160℃、時間30分で硬化させ、その体積
抵抗率を測定したところ、1.3Ωcmであり、十分低
抵抗であることを確認した。
【0161】次に、実施例1と同様にして、本ワイヤを
集電電極とする太陽電池モジュールを50個作製した。
【0162】以下では、得られた試料の初期特性評価
(実施例1と同様の測定条件)をしたところ、変換効率
が9.6%±0.02%、シャント抵抗が310kΩc
2〜390kΩcm2、シリーズ抵抗が平均で32.4
Ωcm2で良好な特性が得られた。また、I−Vカーブ
か正常なものの歩留まり率は94%で良好であった。
【0163】以下では、得られた試料に対して実施例1
と同様の信頼性試験を行った後、初期特性評価と同様に
シミュレーターを用いて変換効率を調べた結果に関して
説明する。
【0164】信頼性試験後の変換効率は、初期変換効率
に対して平均で2%の低下であり、有意な劣化は生じな
かった。
【0165】本例の結果から、本発明の集電電極を用い
た太陽電池は初期の歩留まりが良く、信頼性が良好であ
ることが分かった。
【0166】(実施例7)本例では、図2に示す集電電
極200の構造において、金属ワイヤには銀クラッド銅
ワイヤを、被覆層202には高分子樹脂としてフェノキ
シ樹脂と、導電性粒子としてZnOにドーパントとして
アルミニウムを添加したZnO粉末を用いた点が実施例
5と異なる。ドーパントであるアルミニウムは、集電電
極200が、導電性接着剤に対して密着性および電導性
を向上するために用いた。他の点は、実施例5と同様と
した。
【0167】上記金属ワイヤは、厚み2μmの銀クラッ
ドの金属層203を銅線201の上に形成した直径10
0μmの銀クラッド銅ワイヤとした。金属層203は、
集電電極200において、導電性粒子の接触抵抗を低抵
抗化するために用いた。
【0168】前記ペーストを、前記硬化剤の標準条件で
ある、温度160℃、時間30分で硬化させ、その体積
抵抗率を測定したところ、0.9Ωcmであり、十分低
抵抗であることを確認した。
【0169】次に、実施例5と同様にしてワイヤコート
し、実施例1と同様の方法で本ワイヤを集電電極とする
太陽電池モジュールを50個作製した。
【0170】以下では、得られた試料の初期特性評価
(実施例1と同様の測定条件)をしたところ、変換効率
が9.6%±0.08%、シャント抵抗が400kΩc
2〜500kΩcm2、シリーズ抵抗が平均で31.5
Ωcm2で良好な特性が得られた。また、I−Vカーブ
か正常なものの歩留まり率は92%で良好であった。
【0171】以下では、得られた試料に対して実施例1
と同様の信頼性試験を行った後、初期特性評価と同様に
シミュレーターを用いて変換効率を調べた結果に関して
説明する。
【0172】信頼性試験後の変換効率は、初期変換効率
に対して平均で2%の低下であり、有意な劣化は生じな
かった。
【0173】本例の結果から、本発明の集電電極を用い
た太陽電池は初期の歩留まりが良く、信頼性が良好であ
ることが分かった。
【0174】(実施例8)本例では、図2に示す集電電
極200の構造において、金属ワイヤには銀メッキ銅ワ
イヤを、被覆層202には高分子樹脂としてウレタン樹
脂と、導電性粒子としてTiO2を用いた点が実施例5
と異なる。導電性粒子としては、平均の一次粒子が0.
2μmのTiO2(石原産業株式会社製)を用いた。他
の点は、実施例5と同様とした。
【0175】前記ペーストを、前記硬化剤の標準条件で
ある、温度160℃、時間30分で硬化させ、その体積
抵抗率を測定したところ、1.1Ωcmであり、十分低
抵抗であることを確認した。
【0176】次に、実施例5と同様にしてワイヤコート
し、実施例1と同様の方法で本ワイヤを集電電極とする
太陽電池モジュールを50個作製した。
【0177】以下では、得られた試料の初期特性評価
(実施例1と同様の測定条件)をしたところ、変換効率
が9.5%±0.01%、シャント抵抗が400kΩc
2〜500kΩcm2、シリーズ抵抗が平均で31.6
Ωcm2で良好な特性が得られた。また、I−Vカーブ
か正常なものの歩留まり率は92%で良好であった。
【0178】以下では、得られた試料に対して実施例1
と同様の信頼性試験を行った後、初期特性評価と同様に
シミュレーターを用いて変換効率を調べた結果に関して
説明する。
【0179】信頼性試験後の変換効率は、初期変換効率
に対して平均で2.3%の低下であり、有意な劣化は生
じなかった。
【0180】本例の結果から、本発明の集電電極を用い
た太陽電池は初期の歩留まりが良く、信頼性が良好であ
ることが分かった。
【0181】(実施例9)本例では、図1に示す集電電
極100の構造において、導電性接着剤に添加する2,
4−ジアミノ−6−ビニル−S−トリアジンの添加量
を、0.0、0.5、1.0、2.0、4.0、10.
0、20.0wt%変化させた点が実施例1と異なる。
他の点は、実施例1と同様とした。
【0182】前記ペーストを、前記硬化剤の標準条件で
ある、温度160℃、時間30分で硬化させ、その体積
抵抗率を測定したところ、表1の結果を得た。但し、
2,4−ジアミノ−6−ビニル−S−トリアジンを20
wt%添加した導電性接着剤は、硬化が不完全となり非
常に脆い塗膜となった。
【0183】前記20wt%添加以外の導電性接着剤に
ついて、実施例1と同様にしてワイヤーコートし、集電
電極100を形成した。該集電電極100を用い実施例
1と同様の方法で太陽電池モジュールを10個ずつ作製
した。
【0184】得られた試料の初期特性評価(実施例1と
同様の測定条件)をしたところ、表1の結果を得た。こ
の結果から、2,4−ジアミノ−6−ビニル−S−トリ
アジンの添加量が、0.0%から10%の範囲で良好な
特性が得られることが分かった。
【0185】以下では、得られた試料に対して実施例1
と同様の信頼性試験を行った後、初期特性評価と同様に
シミュレーターを用いて変換効率を調べたところ、表1
の結果を得た。この結果から、2,4−ジアミノ−6−
ビニル−S−トリアジンの添加量が、5.0%から10
%で良好な耐マイグレーション特性が得られることが分
かった。
【0186】
【表1】
【0187】本例の結果から、2,4−ジアミノ−6−
ビニル−S−トリアジンの含有量は、導電性接着剤の固
形分の0.5wt%から10wt%の範囲にあるとき、
本発明の集電電極を用いた太陽電池は初期の歩留まりが
良く、信頼性が良好であることが分かった。
【0188】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
金属ワイヤと、導電性接着剤からなる被覆層とを有する
集電電極において、前記導電性接着剤は、トリアジン化
合物を含有しているため、集電電極における金属イオン
のマイグレーションが防げる集電電極が得られる。ま
た、本発明の集電電極を用いることにより、初期特性及
び長期間に渡る信頼性の良好な光起電力素子が得られ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る被覆層を設けた集電電極の構成を
模式的に示す断面図である。
【図2】本発明に係る被覆層および金属層を設けた集電
電極の構成を模式的に示す断面図である。
【図3】本発明に係る被覆層を設けた集電電極の作製に
用いたワイヤコート装置の模式図である。
【図4】本発明に係るアモルファスシリコン系太陽電池
の構成を模式的に示す断面図である。
【図5】本発明に係る単結晶シリコン系太陽電池の構成
を模式的に示す断面図である。
【図6】本発明に係る多結晶シリコン系太陽電池の構成
を模式的に示す断面図である。
【図7】本発明に係る薄膜多結晶シリコン系太陽電池の
構成を模式的に示す断面図である。
【図8】本発明に係る太陽電池の構成を模式的に示す平
面図である。
【符号の説明】
100、200、407、504、604、703、8
04 集電電極、 101、201、302 金属ワイヤ、 102、202 被覆層、 203 金属層、 301 送り出しリール、 303 洗浄層、 304 コータ、 305 ダイス、 306 乾燥炉、 307 膜厚測定器、 308 テンションコントローラー、 309 整列巻き駆動装置、 310 巻き取りリール、 311 温調器、 400、500、600、700、800 太陽電池、 401、701 基板、 402 下部電極、 403、413、423 n型半導体層、 404、414、424 i型半導体層、 405、415、425 p型半導体層、 406 透明導電膜、 501、502、601、602、702、703 半
導体層、 503 裏面電極、 505、605、704 反射防止膜、 802 プラス電極、 803 マイナス電極。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 一ノ瀬 博文 東京都大田区下丸子3丁目30番2号キヤノ ン株式会社内 (72)発明者 村上 勉 東京都大田区下丸子3丁目30番2号キヤノ ン株式会社内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属ワイヤと、導電性接着剤からなる被
    覆層とを有する集電電極において、前記導電性接着剤
    は、トリアジン化合物を含有していることを特徴とする
    集電電極。
  2. 【請求項2】 前記トリアジン化合物が、2,4−ジア
    ミノ−6−ビニル−S−トリアジンであることを特徴と
    する請求項1に記載の集電電極。
  3. 【請求項3】 前記2,4−ジアミノ−6−ビニル−S
    −トリアジンの含有量が、前記導電性接着剤の固形分の
    0.5wt%から10wt%であることを特徴とする請
    求項1又は2に記載の集電電極。
  4. 【請求項4】 前記金属ワイヤが、銀ワイヤ、銀クラッ
    トワイヤ、銀メッキワイヤの少なくとも1つであること
    を特徴とする請求項1乃至3の少なくとも1項に記載の
    集電電極。
  5. 【請求項5】 前記導電性接着剤の導電性粒子が、カー
    ボンブラック、グラファイト、ITO、SnO2、In2
    3、ZnOの少なくとも1つであることを特徴とする
    請求項1乃至4の少なくとも1項に記載の集電電極。
  6. 【請求項6】 前記導電性接着剤のバインダが、ウレタ
    ン樹脂、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、ブチラール樹
    脂、ポリアミド樹脂の少なくとも1つであることを特徴
    とする請求項1乃至5の少なくとも1項に記載の集電電
    極。
  7. 【請求項7】 少なくとも1つ以上のpn接合またはp
    in接合からなる半導体層と、該半導体層の光入射側に
    透明電極を有する光起電力素子において、前記透明電極
    上に、前記請求項1乃至6の少なくとも1項に記載の集
    電電極が配設されていることを特徴とする光起電力素
    子。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001172364A (ja) * 1999-12-22 2001-06-26 Taiyo Ink Mfg Ltd 光硬化性樹脂組成物
JP2008028094A (ja) * 2006-07-20 2008-02-07 Fujikura Ltd エポキシ系接着剤、カバーレイ、プリプレグ、金属張積層板、プリント配線基板
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