JPH06315995A - 複合成形品の製造方法 - Google Patents

複合成形品の製造方法

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JPH06315995A
JPH06315995A JP5354175A JP35417593A JPH06315995A JP H06315995 A JPH06315995 A JP H06315995A JP 5354175 A JP5354175 A JP 5354175A JP 35417593 A JP35417593 A JP 35417593A JP H06315995 A JPH06315995 A JP H06315995A
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Japan
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mold
resin
liquid molding
molded product
particles
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JP5354175A
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English (en)
Inventor
Hiromitsu Takamoto
裕光 高本
Hidetoshi Okamura
英俊 岡村
Satoshi Maeda
諭志 前田
Kunihisa Kawamura
訓久 川村
Yojiro Iriyama
要次郎 入山
Kenichi Sekiyama
憲一 関山
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Teijin Ltd
Toyota Motor Corp
Original Assignee
Teijin Ltd
Toyota Motor Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 芯部に均一な発泡コアを有する軽量で強靱な
FRP複合成形品を短いサイクルで製造する。 【構成】 成形用の型のキャビティ内に、強化繊維シー
トのような表層部形成用の繊維状補強材および目開きの
小さい織物、不織布などの分離層を配置し、その内側の
部分に少なくとも発泡性樹脂粒子および液状成形樹脂を
含む樹脂混合物を入れ、型を閉じて誘電加熱または誘導
加熱して成形することにより、少なくとも繊維強化樹脂
からなる表層部と厚み方向の発泡状態が均一な強化され
た発泡コアからなる芯部を有する軽量で剛性を有する有
用なFRP複合成形品を短時間で効率よく製造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、複合成形品の製造方法
に関し、さらに詳細には繊維状補強材を含有する樹脂層
よりなる表層部および発泡コアからなる軽量な芯部とに
より一体化された複合成形品を効率的に製造する方法に
関する。
【0002】
【従来の技術】芯部に発泡コアを有するFRP(繊維強
化樹脂)複合成形品は、軽量性と強靱性に優れているた
め、スポーツ用品分野、自動車・電車・航空機・船舶な
ど輸送機器の構造材、内外装部材、医療機器、通信機器
など極めて広い用途がある。
【0003】芯部に発泡コアを有するFRP複合成形品
の製造としては、例えば芯部に発泡コアをあらかじめ成
形し、これを強化材としての織布で包んだのち、改めて
型に挿入し、液状成形樹脂を注入して外殻を形成する方
法(特開昭55−82612号公報、特開昭61−27
9517号公報参照)、あるいは外殻のFRPをあらか
じめ成形しておき、その中心部の空隙内に発泡性ウレタ
ン樹脂などを注入して空隙内で発泡させる方法などが知
られている。
【0004】しかしながら、上記の技術は、いずれも複
合成形品を得るための工程が多岐にわたり操作が繁雑で
あり、そのため成形品の生産効率が低く、コスト高にな
るという欠点を有している。これらの欠点を改善するも
のとして、発泡性樹脂粒子と液状成形樹脂を使用し、発
泡コアと繊維状補強材を含有する樹脂層よりなる表層部
を同時に成形する技術が、特開平3−183511号公
報、特開平3−180329号公報、特開平3−453
15号公報、特開平3−288629号公報、特開平4
−27532号公報などに提案されており、工業的に有
利な方法である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、この成形方法
においては、主として型(金型)からの伝熱により発泡
性樹脂粒子を含む樹脂混合物を加熱し硬化反応を進めて
いる。ところが、型の内壁面に接するように、炭素繊
維、ガラスマットなどの繊維状補強材を設置しているた
め、型からの熱伝達効果が悪く、また発泡性樹脂粒子と
液状成形樹脂を含む樹脂混合物はスラリー状の有機物で
あり熱伝導率が小さいので、加熱に長時間を要する。そ
して、スラリー状の樹脂混合物の昇温速度は、伝熱係数
によって決まり任意に制御できない欠点を持つ。上記の
成形方法では、芯部と表層部を発泡性樹脂粒子によって
同時に成形することを大きな特徴としており、特に発泡
性樹脂粒子の膨張と液状成形樹脂の粘度変化(硬化状
態)の調節が大切となるが、型からの伝熱ではこのタイ
ミングを調節することが難しい。
【0006】さらに、型内部のスラリー状の樹脂混合物
は、成形時に多少移動するものの、樹脂混合物自体の厚
み方向の温度勾配が大きくなっており、発泡性樹脂粒子
の発泡時期が厚み方向で異なるため、芯部の密度が不均
一になる。さらに、型からの伝熱が不均一になって樹脂
の温度上昇に斑ができやすく、部分的に重合度に差が生
じ表層部にドライスポットや樹脂溜まりを生ずる原因と
なる。また、得られる成形品を型から取り出すには、成
形品をその成形温度より充分低い温度まで冷却してから
でないと、液状成形樹脂が温度により変形する余地を残
しており、発泡性樹脂粒子により生じる内圧の残圧の影
響で、取り出す際や取り出した後に、成形品が変形する
という問題がある。従って、上記の成形方法において、
成形時の芯部の温度勾配を小さくして発泡倍率のより均
一な芯部を形成できれば、剪断強度の大きい成形品が得
られ、また成形後の冷却時間を短縮できれば、成形サイ
クルを短くすることができ生産性を向上させ得ることが
期待される。
【0007】また、金型を通して加熱する従来の方法で
は、発泡性樹脂粒子を充分に膨張させる温度まで加熱す
るためには、金型温度を発泡性樹脂粒子が充分膨張する
ための温度以上に高めることが必要である。このよう
に、金型温度を高く設定すると、金型内壁面で液状成形
樹脂のゲル化が発泡性樹脂粒子の膨張よりも先に始ま
り、発泡性樹脂粒子が膨張しようとしても、液状成形樹
脂の流動性が無くなっているために金型の外へ押し出さ
れなくなり、圧力がバランスしてしまい、充分に発泡で
きず軽量性に乏しい成形品になる。また、発泡性樹脂粒
子が充分膨張しないために、リブなどの凸状成形品では
角部分に充分圧力がかからず、繊維状補強材が金型内壁
面に押しつけられないで液状成形樹脂だけの部分(樹脂
溜まり)ができやすい。
【0008】本発明は、前記従来技術の課題を背景にな
されたもので、これらの課題を一挙に解決し、良好な品
質、特に発泡コアからなる芯部の均一性に優れ、剪断強
度の良好なる複合成形品を、短いサイクルで安定して製
造し得る方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、少なくとも液
状成形樹脂により所定の形状に成形された繊維状強化樹
脂層からなる表層部および発泡コアからなる芯部を有す
る複合成形品を製造するにあたり、(a)成形用の型内
に、繊維状補強材および液状成形樹脂は通すが発泡性樹
脂粒子は通さない分離層を設置すること、(b)型内の
成形後の発泡コアとなる部分に、少なくとも発泡性樹脂
粒子と液状成形樹脂とを含む樹脂混合物を供給するこ
と、(c)型を閉じたのち、誘電加熱または誘導加熱に
より、型内の発泡性樹脂粒子と液状成形樹脂とを短時間
に充分高い温度まで加熱して、芯部に位置する発泡性樹
脂粒子をほぼ均一に加熱発泡させて体積膨張を生じさ
せ、この膨張力によって上記繊維状補強材および分離層
を包含する表層部形成材料を型の内壁面に対して押し付
けるとともに、液状成形樹脂を表層部形成材料中に浸透
させること、(d)その状態で液状成形樹脂を硬化させ
ること、(e)誘電加熱または誘導加熱を中止し、成形
品を型内で冷却すること、そして(f)得られた複合成
形品を型から取り出すこと、を特徴とする複合成形品の
製造方法である。
【0010】このように、本発明では、上記(c)工程
において、型のキャビティ内に存在する少なくとも発泡
性樹脂粒子と液状成形樹脂とを含む樹脂混合物を、表層
部形成材料を介して誘電加熱または誘導加熱し、選択的
かつ均一に充分に高い温度まで短時間で加熱し、発泡性
樹脂粒子を素早く膨張させるとともに、液状成形樹脂の
粘度を一時的に低下させ、液状成形樹脂の一部を分離層
を通して表層部にまで移動させ、表層部を形成する繊維
補強材を充分に濡らしたのち、液状成形樹脂を硬化さ
せ、硬化反応終了とともに直ちに誘電加熱または誘導加
熱を中止して成形温度よりも低い温度に保持された型に
より短時間に成形品を冷却し、その後、型から取り出す
ことに最大の特徴を有するものである。
【0011】一般に、熱可塑性樹脂の成形において、高
周波電圧により型内を加熱すること自体は、例えば特開
平3−27411号公報に記載され、また発泡性塩化ビ
ニル樹脂の成形において高周波電圧による加熱を利用す
ることも、特開平1−192534号公報などにより公
知ではある。しかしながら、このような公知の方法で
は、高周波電圧によって加熱しても型の内壁面に熱が逃
げるためキャビティ内の温度に分布ができ、このため表
面に近い部分と中心部分とでは、発泡状態が異なって発
泡層の密度に厚さ方向の差が生じるという問題がある。
従って、このような成形品をパネルとして使用する場
合、剪断応力がかかると、芯部の最も弱い部位(最もよ
く発泡している中心部)に亀裂が入り破損する場合があ
る。
【0012】しかるに、本発明の方法では、表層部、す
なわち型の内壁面側に表層部形成材料である繊維層が存
在するため、型の内壁面への伝熱による温度低下が抑制
され、芯部となる部分に存在する樹脂混合物が均一に加
熱され、厚さ方向の温度勾配が実質的になくなるため、
誘電加熱または誘導加熱による加熱の問題がなくなり、
厚さ方向の発泡状態が均一な成形品が得られる。その結
果、等重量のパネルで比較した場合、表層部形成材料の
ない場合、最も弱くなる部分の強度が大きくなるため、
剪断強度の高い製品となる。さらに、誘電加熱または誘
導加熱によって、樹脂混合物が選択的に迅速に加熱され
るため、型自体の温度はできるだけ上げないようにする
ことが可能である。
【0013】本発明の方法では、成形用の型内に、すな
わちこの型のキャビティ内壁面に沿って表層部を構成す
る繊維状補強材および分離層を一層または複数層設置す
る。繊維状補強材および分離層の例は、先に挙げた特開
平4−27532号公報などに詳しく記載されている。
【0014】すなわち、繊維状補強材としては、一般に
プラスチックの強化のために使用される繊維状の材料が
使用される。この繊維状の材料としては、ガラス繊維、
炭素繊維、シリコン・カーバイト繊維、金属繊維、アラ
ミド繊維、ポリアリレート繊維などの高強度モジュラス
繊維、ポリオレフィン繊維、およびこれらの2種以上の
混合繊維が好ましい。これらの繊維のほかに、ポリエス
テル繊維、ポリアミド繊維、ビスコース繊維、天然繊
維、または石綿なども使用することができる。これらの
繊維は、短繊維であっても長繊維であってもよく、また
ウィスカーであってもよいが、長繊維、特に連続繊維が
好ましい。これらの繊維状材料は、一般に繊維構造体と
して使用されるのが好ましい。
【0015】すなわち、この繊維状補強材は、織物(平
織り、スダレ織り、綾織りなど)、編物、不織布、UD
糸(一方向配列フィラメント)、またはウエッブである
のが有利である。これらの形態は、平坦なものに限ら
ず、三次元織物、三次元編物でもよく、またブレードチ
ューブのようなものでもよい。短繊維あるいはウィスカ
ー(例えば、シリコン・カーバイトウィスカー、炭素ウ
ィスカー、酸化ケイ素ウィスカーなど)は、それ自体と
しては、表層部における補強材として使用することは適
当ではないが、ウエッブや不織布の一部の材料として使
用することができる。なお、表面性を良くする目的でよ
く用いられるサーフェスマットのようなものを、繊維状
補強材に被せて使用することがある。ここでは、このよ
うな場合も一体として繊維状補強材と称する。
【0016】また、分離層は、発泡性樹脂粒子を実質的
に通過させないが、成形時における流動性のある液状成
形樹脂を通過し得るものであることが必要である。さら
に、分離層として望まれる性能は、発泡性樹脂粒子の集
合体の体積膨張の結果、その圧力に耐え得るものである
ことが必要である。体積膨張の結果、分離層が破れた
り、あるいは穴が開いて、発泡性樹脂粒子が分離層を通
過すると、分離層内と繊維状補強材部で差圧がとれなく
なり、充分に繊維状補強材を型に押しつけることができ
ないので、成形品表面に薄いスキン層を得ることが困難
となる。本発明の複合成形品の性能を達成するために、
分離層の目開き、強度あるいは孔の大きさは、使用され
る発泡性樹脂粒子の大きさおよび形状に基づいて選択さ
れるべきである。これに反し、発泡性樹脂粒子が通過し
得る分離層を使用すると、表層部に気泡含有粒子が含ま
れることになり、その結果、得られる複合成形品は満足
すべき強度を有しなかったり、また外観が劣悪なものと
なり、商品価値が低くなる。
【0017】分離層としては、熱膨張後の発泡性樹脂粒
子を実質的に通さず液状成形樹脂は通す分離機能を有す
る部分が少なくともその一部または全部を構成し、残り
は液状成形樹脂をも通さない材料からなるものが用いら
れる。この分離層の分離機能を発現し得るものとして、
例えば目開きの小さい繊維シートおよび/または多孔質
シートが挙げられる。分離層用のシートとしては、各種
天然繊維、合成繊維、無機繊維などの織布、編物、組
物、不織布、紙などが用いられる。また、多孔質シート
としては、連通気孔を有するシートまたはフィルムであ
って、ポリウレタン、ポリスチレンあるいはポリプロピ
レンなどのフォームシートや、延伸、抽出または凝固法
などで作るポリエチレン、ポリプロピレンあるいはポリ
スルホンなどの多孔膜が用いられる。その目開きは、発
泡性樹脂粒子の種類や発泡性に応じて、これらが通過し
ない範囲のものが選択される。
【0018】この分離層として、それ自体、補強材とし
ての機能を有するガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維
などの目開きの小さいシートを用いることができる。こ
の場合は、分離層自体が表層部の繊維状補強補強材を兼
ねる。また、分離層として容易に成形品の形状に合わせ
るように伸縮性を有する材料を選択することもできる。
【0019】この分離層は、一部が液状成形樹脂を通さ
ない材料で構成されたものでもよい。例えば、分離機能
を有する材料からなる部分とその部分で用いている材料
とは異なった材料をつなぎ合わせる以外に、分離機能を
有する繊維シートおよび/または多孔質シートの一部を
あらかじめ樹脂でその目開きを封止処理したもの、繊維
シートがポリプロピレン繊維など加熱処理により融着さ
せ得る場合は、融着処理により一部の目開きをつぶした
もの、一部にフィルムなどを貼りつけたものなどが用い
られる。
【0020】これらの繊維状補強材および/または分離
層は、あらかじめプリプレグの形で樹脂処理しておくこ
とも可能である。
【0021】本発明では、上記のように、表層部形成材
料、すなわち繊維状補強材と分離層を、型のキャビティ
の型内壁面に沿って繊維状補強材が内壁面側になり、分
離層が芯部側になるように設置し、次いで型内の発泡コ
アが形成されるべき部分、すなわち上記表層部形成材料
に囲まれる(または挟まれる)部分に、発泡性樹脂粒子
と液状成形樹脂と、必要に応じて後述の第3成分を入れ
る。これらの各成分は、供給する際にあらかじめスラリ
ー状となし、型内に入れる。この際、芯部にも強化材と
なるバルキーな繊維構造体を設置してもよい。この場
合、強化材を設置した後に、上述の樹脂混合物を注入す
る方法と、あらかじめ強化材に樹脂混合物を含浸させて
おいて、それを型内に設置する方法とがある。
【0022】ここで、強化材に用いる繊維構造体の構成
繊維は、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維、ポリエ
ステル繊維、レーヨン、木綿などの一般に用いられる繊
維であり、一般にはこれらの繊維を、その内部を発泡性
樹脂粒子が自由に移動できる程度のバルキーなシート状
物に加工したのち、嵩高さ0.01〜0.15cm3
cm3 程度のコンティニュアスマット、チョップドスト
ランドマット、目抜きクロスなどが有利に用いられる。
なお、ここでいう「嵩高さ」とは、繊維構造体の繊維目
付/密度/厚みで求められる値である。
【0023】この芯部に配置される繊維構造体は、前記
のように基本的に連続長繊維で構成されたバルキーな織
物、編物、マットや不織布などの繊維シート状物あるい
はこれらを付形した物が好ましいが、短繊維を少量の接
着剤で結合してシート状または付形物などに加工したも
のでもよい。この繊維構造体の具体例としては、連続し
た繊維を配置したいわゆるコンティニュアスストランド
マット、目抜きクロスのほか、数センチの長さにカット
したチョップドストランドを少量のバインダーを用いて
シート状に加工したチョップドストランドマット、ポリ
エステル繊維の不織布なども、連続繊維の構造体と同様
の機能があり、同様に用いることができる。なお、この
繊維構造体として、上記の繊維状補強材と同じものを用
いても差し支えない。
【0024】なお、本発明では、樹脂混合物に気泡が含
まれていると、成形品の表面や表層部の繊維状補強材お
よび/または分離層の内部にボイドなどが発生しやすく
なることが経験的に知られている。これを防ぐには、混
合時に樹脂混合物に空気やチッ素などの非凝縮性ガスが
含まれないようにしたり、樹脂混合物から減圧真空によ
り空気やチッ素などの非凝縮性ガスを脱泡除去すること
が有効である。
【0025】発泡性樹脂粒子は、加熱することにより膨
張を起こす材料であって、成形に供する液状成形樹脂の
反応硬化時に膨張する機能を持っているもので、特開平
4−27532号公報などに詳しく記載されている。す
なわち、発泡性樹脂粒子としては、成形時の加熱により
体積膨張することができるとともに、かつ液状成形樹脂
に溶解しない、すなわち発泡後実質的に気泡が粒子中に
内包されているものが使用される。この発泡性樹脂粒子
としては、加熱により体積が少なくとも約10%、好ま
しくは少なくとも約20%、さらに好ましくは2倍以
上、特に好ましくは6倍以上増大するものが使用され
る。現在入手し得る発泡性樹脂粒子は、通常、約20%
〜70倍程度体積が膨張するものである。ここで、体積
膨張の倍率は、発泡性樹脂粒子を成形温度において常圧
で発泡させたときの体積膨張率を示すものであって、必
ずしも成形によって得られる複合成形品中の発泡倍率を
意味するものではない。
【0026】発泡性樹脂粒子の大きさは、その平均径が
約1μm〜約5mm、好ましくは約10μm〜約1mm
の範囲が好適である。一般的に好適な発泡性樹脂粒子
は、ポリウレタン、フェノール樹脂、ポリウレア、メラ
ミン樹脂、ポリイミドなどの硬化型フォームやその前駆
体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン共重合体、ポ
リアクリロニトリルまたはその共重合体、ポリスチレン
またはポリスチレン共重合体、ポリエチレン、ポリプロ
ピレンなどのポリオレフィン、ポリフェニレンオキサイ
ドもしくはその共重合体またはポリフェニレンオキサイ
ドとポリスチレンの混合体、ポリアミド、ポリカーボネ
ート、ポリブチレンテレフタレートあるいはこれらの共
重合体などの熱可塑性樹脂などにより形成される。この
発泡性樹脂粒子の発泡は、発泡剤分解法、溶剤気散法、
化学反応法、気体混入法などのいずれの方法も適用する
ことができる。このうち、発泡剤分解法や溶剤気散法が
好ましく用いられる。
【0027】発泡性樹脂粒子としては、特に加熱により
気体として体積膨張する低沸点炭化水素を内包している
ポリ塩化ビニリデン系ポリマーの粒子(これは、大気中
では数倍〜数十倍程度に膨張する)を使用するのが望ま
しい。以上のような発泡性樹脂粒子の具体例は、ノーベ
ル社の「エクスパンセル」、松本油脂製薬(株)の「マ
ツモトマイクロスフェア」、積水化成(株)の「エスレ
ンビーズ」などが挙げられ、これらをそのまま使用する
ことができる。しかしながら、発泡性樹脂粒子として
は、ポリオレフィン、ポリスチレンなどの発泡ビーズの
製造において、発泡を途中で止め、加熱によりさらに発
泡し得るようにしたビーズ類(これは、後の加熱により
10%〜数十%膨張する)も使用可能である。発泡性樹
脂粒子の量は、発泡樹脂粒子と液状成形樹脂との合計量
に対し、1〜40重量%の範囲で使用することが適当で
ある。
【0028】なお、発泡コアに使用される発泡性樹脂粒
子中には、加熱などにより実質的に体積膨張しない非膨
張性発泡粒子を混合して使用することができる。この非
膨張性発泡粒子もまた分離層を実質的に通過しないもの
であることが必要である。
【0029】また、液状成形樹脂は、成形時に流動性を
示すものである限り、一般に成形用樹脂として使用され
るものであればよい。この液状成形樹脂としては、成形
の結果、重合反応および/または架橋反応によって硬化
し、固体の樹脂を与えるものである。この液状成形樹脂
の具体例としては、例えばエポキシ樹脂、ポリウレタン
樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリビニルエステル樹
脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂などであり、これ
らの中でエポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、不飽和ポリ
エステル樹脂またはポリビニルエステル樹脂が好まし
い。また、場合によっては、硬化型のポリシクロオレフ
ィン樹脂(例えば、ジシクロペンタジエン樹脂)も使用
し得る。これらの液状成形樹脂は、通常使用されるよう
に、樹脂またはその前駆体(例えば、原料モノマー)中
に硬化剤および/または硬化促進剤などを組み合わせて
用いられるが、本発明も同様にこれらを組み合わせて使
用することができる。
【0030】さらに、成形品の強度を上げるために、上
記の樹脂混合物に、炭素繊維、アラミド繊維や、シリコ
ンカーバイト、チタン酸カリウム、ボロンなどの短繊維
やウィスカーなどの6mmよりも短い繊維を加えること
ができ、また必要に応じて顔料などを添加することもで
きる。いずれにせよ、各成分を成形後の発泡コアの密度
が、0.8g/cm3 以下となるように配合するのが適
当である。
【0031】さらに、加熱が誘導加熱により行われる場
合には、樹脂混合物中に、後記するように導電性粉粒体
を加えておくことが好ましい。
【0032】型内に上記樹脂混合物を供給する量は、発
泡性樹脂粒子の配合率、加熱時の体積膨張率を考慮し
て、適宜選定すべきであるが、型内の空間容積の50〜
90%の範囲になるように調節するのが好ましい。
【0033】次に、本発明の複合成形品の製造方法を誘
電加熱と誘導加熱の場合に分けて、その具体例を説明す
る。まず、誘電加熱の場合について述べると、誘電加熱
に使用される型は、例えば図1に示すように、入れ子構
造の型12を電極とするものである。すなわち、図1の
型は、型のキャビティ1が、上金型2、下金型3および
それらの周縁部に介在させるスペーサとなる電気絶縁材
料4a、4bによって構成されている。図1に示す金型
にあっては、上金型2の上側、下金型3の下側に、それ
ぞれ上電極6および下電極7を設置し、高周波発振器1
1から高周波を印加し、これによって型のキャビティ1
内に入れた発泡性樹脂粒子と液状成形樹脂(マトリック
ス樹脂)を含む樹脂混合物を加熱するようになってい
る。この例では、上金型2、下金型3の内部にそれぞれ
温度調節配管8が設けられており、この中を水、熱媒体
またはその他の温度制御用流体を通すことによって、上
金型2、下金型3の温度を任意にコントロールできるよ
うになされている。上金型2および下金型3は、さらに
上下に配置した電気絶縁材料5a、5bを介して、上下
のプレス盤9、10に挟持されるようになされている。
【0034】誘電加熱による条件は特に限定されるもの
ではないが、周波数が好ましくは13.56〜40.6
8MHz程度、印加時間が好ましくは130〜300秒
程度である。また、この際、金型温度(温度調節配管内
温度)は、60〜110℃程度に調節されることが望ま
しい。
【0035】本発明で使用する型は、上記の構造に限定
されず、型のキャビティ内の樹脂混合物を選択的に誘電
加熱できるような構造であればよい。従って、例えば上
金型2、下金型3を導電性材料で構成し、これに直接高
周波電圧を印加することも可能である。
【0036】このような観点から、マトリックス樹脂と
なる液状成形樹脂は、誘電体損失の大きいものが好まし
く、また型の材質は電気比抵抗が小さく、熱伝導度の高
い物、例えば金属が好ましい。また、型の材質によって
は、液状成形樹脂の硬化反応時に発生する熱を奪って温
度が上昇するため、脱型可能な温度まで冷却する構造
(例えば、図1のような温度調節配管)を持った物が有
利に用いられる。これらにより、熱容量の大きな型の温
度を、成形の度ごとに上下する必要がなくなり、成形の
サイクルアップがさらに向上する。
【0037】このように、本発明の誘電加熱による方法
では、まず(1)成形用の型として、上述のような高周
波電圧により型のキャビティを加熱できる構造(例えば
図1に示す構造)の型を用い、(2)その際、例えば図
2に示すように型の内壁面25に沿って繊維状補強材2
0、分離層21からなる表層部形成材料を配置するとと
もに、発泡コアとなる部分に極性の大きな発泡性樹脂粒
子22と液状成形樹脂23を含む樹脂混合物24を存在
させる。
【0038】次いで、(3)型を閉じたのち、型の設置
した両電極(図1参照)に高周波電圧をかけ、表層部形
成材料を介して選択的に樹脂混合物24を構成する発泡
性樹脂粒子22と液状成形樹脂23を短時間で充分高い
温度まで加熱することにより、表層部形成材料の断熱効
果によって型の内壁面25へ熱が散逸するのを防止し、
芯部を均一に加熱し、かくして芯部に位置する発泡性樹
脂粒子22を均一に加熱発泡させて体積膨張を発生さ
せ、これにより表層部形成材料を型の内壁面25に対し
て押しつけるとともに、液状成形樹脂の一部を表層部に
至らせる。この状態で、(4)液状成形樹脂23を硬化
させ、(5)所定時間硬化させたのち、高周波加熱を中
止し(この際、金型は、熱容量が大きく、かつ型内の表
層部形成材料である繊維層の断熱効果により高周波加熱
では殆ど温度上昇しない)、(6)型内で成形品を短時
間に冷却したのち、(7)型を開いて、得られる成形品
を型から取り出す、ことにより目的とする良好な品質の
複合成形品が得られる。
【0039】なお、高周波加熱方法としては、金型を閉
じたのち、所定時間加熱し、液状成形樹脂が反応を開始
し発熱を始めるまででよいが、硬化を充分にさせるため
に、必要によっては金型に奪われる熱量分だけを加える
ことも可能である。この場合、印加電流を初期よりも1
/2以下に小さく以下するのが好ましい。
【0040】次に、誘導加熱の一例について述べる。こ
の誘導加熱では、例えば発泡性樹脂粒子と液状成形樹脂
のほかに、さらに導電性粉粒体を配合した樹脂混合物を
用意し、この樹脂混合物を成形用の型に供給する前に管
路を設け、この管路に高周波誘導加熱コイルを周設し、
これに電圧・電流を印加してあらかじめ樹脂混合物を加
熱する。次いで、成形用型のキャビティ内にこの樹脂混
合物を入れ、成形用型に設置した高周波誘導加熱コイル
に電圧・電流を印加する。この高周波誘導加熱により、
樹脂混合物中の導電性粉粒体を短時間に充分高い温度ま
でまで昇温させ、これにより発泡性樹脂粒子と液状成形
樹脂も充分に加熱して、芯部に位置する発泡性樹脂粒子
をほぼ均一に加熱発泡させて体積膨張させ、この膨張圧
力によって上記繊維状補強材および分離層を包含する表
面形成材料を型の内壁面に押しつけるとともに、液状成
形樹脂を表層部形成材料中に浸透させるものである。
【0041】この誘導加熱による方法を、さらに図面を
用いて説明すると、まず高周波誘導加熱コイルを備えた
管路および成形用型を準備する。ここで、管路は、図3
に示すように、該管路32の外周部にラセン状の電極コ
イル31が設置されている。なお、この電極コイル31
で管路32内に高周波磁界を発生させるために、該コイ
ル31と管路32本体とは絶縁状態としなければならな
い。管路32本体の材質は特に限定されないが、樹脂混
合物を有効に直接加熱するために非金属製が好ましい。
この管路32に、導電性粉粒体を含むスラリー状の樹脂
混合物を通し、導電性粉粒体の加熱により該混合物を短
時間で加熱し、上記型内のキャビティ内に注入する。こ
のときに樹脂混合物の温度は、当然のことながら発泡性
樹脂粒子の膨張する温度より低い温度とすることが必要
である。
【0042】上記樹脂混合物が、型のキャビティ内に注
入された後は、素早く型締めをし、図4に示すように型
に設置されているコイルに電圧・電流を流し、該樹脂混
合物を誘導加熱する。すなわち、図4の例では、上型4
2と下型43とにそれぞれ高周波誘導コイル44を設
け、型のキャビティ41の内部に存在する樹脂混合物中
の導電性粉粒体を急速に昇温できるようにしており、該
コイル44に通電して導電性粉粒体を発熱させて樹脂混
合物を加熱するようにしている。ここで、型40も、前
記の管路32と同様にコイル44と上下の型42,43
は絶縁状態に保つことが必要である。また、型材質も特
に限定しないが、好ましくは非金属製がよい。この加熱
温度は、60〜150℃に調節されることが望ましい。
なお、図4のごとく、上下の型は、それぞれ断熱材45
を介して上プレス板46と下プレス板47により押圧さ
れるようにするのが適当である。
【0043】高周波誘導加熱コイル44は、被加熱物に
高周波磁界を与えるためのコイルであり、被加熱物の形
状に応じてコイルの形状を設計する必要がある。コイル
自体の材質は、導電性を有していれば特に限定されな
い。また、該コイルは、導電中、温度上昇を防ぐため何
らかの冷却手段を設けることが必要であり、一般にはコ
イル自体に中空管を使用し、その中空部に冷却水を通す
方法が採用される。
【0044】樹脂混合物中に添加する導電性粉粒体は、
周囲に配置されている誘導コイルにより発生する高周波
磁界によってうず電流損を生じて発熱し、この熱によっ
て型のキャビティ内の樹脂混合物中の発泡性樹脂粒子を
膨張させ、それに続いて液状成形樹脂を硬化させる。そ
のため、導電性粉粒体の形態や大きさは、樹脂混合物中
の中に混入し得る状態であれば特に限定されず、例えば
薄片状、薄葉状であってもよいが、管路を通り、型内の
キャビティに注入することを考えれば、粉末形態が好ま
しい。粉末のサイズは特に限定されないが、注入するシ
ステムでの注入機器の送量能力で決めればよい。導電性
粉粒体の粒径は、通常、10〜300μm程度である。
【0045】また、導電性粉粒体の材質は、導電性を有
するものであれば特に限定されるものではなく、得られ
る複合成形品の用途に応じて決めればよいが、通常、金
属粉粒体が用いられる。例えば、この金属粉粒体として
は、強磁性を有するフェライト、コバルト、ニッケルな
どは、導電性を有し、かつ強磁性を有するため、フェラ
イトなどが発熱し、膨張させ硬化させて複合成形品を成
形したのち、該成形品に磁性を与えることにより、軽量
でかつ強度を有する磁石とすることもできる。この導電
性粉粒体の使用量は、樹脂混合物中に、通常1.5〜1
5重量%、好ましくは2〜10重量%程度である。1.
5重量%未満では、熱容量的に不足し、所定時間内に所
定温度まで加熱できない。一方、15重量%を超える
と、スラリー粘度の増加を生じ、取り扱いが困難とな
り、また成形物の密度が大きくなり、製品価値がなくな
る。
【0046】誘導加熱による条件は特に限定されるもの
ではないが、発振周波数は10〜300KHzで、印加
電圧は50〜100Vの範囲である。管路加熱の場合
は、流速により出口温度が60〜100℃となるように
電圧値を調節する。また、成形用型の印加時間は、10
〜60秒程度になるように電圧値を調節する。
【0047】なお、図3〜4では、樹脂混合物中に導電
性粉粒体を混入させ、上型42,下型43内に設置され
た高周波誘導コイル44によって誘導電流を発生させ、
導電性粉粒体を発熱させて樹脂混合物を加熱・硬化させ
る場合について説明したが、これに限定されるものでは
ない。例えば、樹脂混合物中に導電性粉粒体を混入する
ことなく、上型42,下型43の周囲に高周波誘導コイ
ルを周設し、これらの上型42,43自体を加熱するこ
とにより、樹脂混合物を加熱・硬化させてもよい。
【0048】
【作用】本発明方法では、このように型内の樹脂混合物
を、誘電加熱または誘導加熱により加熱するため、型
(金型)温度を低めに設定し、内部に液状成形樹脂と発
泡性樹脂粒子を選択的に加熱できるので、型壁面で液状
成形樹脂は冷却されて硬化速度が遅くなり、ゲル化が抑
制され内部の発泡性樹脂粒子を先に膨張させることが可
能になり、液状成形樹脂を充分に流動させ余剰の液状成
形樹脂を型外に押し出させることができる。従って、発
泡性樹脂粒子は、拘束されることなく必要な大きさまで
充分に膨張できる。かくして、軽量で均一に発泡した芯
部および高繊維含有率の表層部(スキン層)が形成でき
る。
【0049】従って、本発明の方法では、従来のように
型を外部からの伝熱で加熱する方法に較べて、キャビテ
ィ内に存在する熱伝導性の低い樹脂混合物を迅速かつ均
一に加熱昇温でき、しかも必要な冷却を短時間で行うこ
とが可能となる。この結果、本発明方法では、芯部の発
泡倍率の均一性に優れた切断強度の大きい複合成形品が
得られるのみならず、大幅な成形サイクルの短縮を達成
することができ、生産性の向上を図ることができる。
【0050】
【実施例】以下、本発明を実施例により詳細に説明する
が、これらは本発明を説明するためのものであって、こ
れらの実施例により本発明が限定されるものではない。
【0051】参考例1 実施例および比較例に使用される発泡性樹脂粒子、非膨
張性発泡粒子、液状成形樹脂、繊維状補強材などとし
て、以下のものを用意した。 発泡性樹脂粒子;〔松本油脂製薬(株)製、マツモトマ
イクロスフェアF−82D、発泡温度=105℃〕 非膨張性発泡粒子;ガラスビーズ〔住友スリーエム
(株)製、C−15〕 繊維状補強材;ガラスマット〔旭ファイバーグラス
(株)製、M8609−300、目付け約300g/m
2 〕 分離層;ポリエステル主体の不織布〔ユニセル(株)
製、BT605W〕 液状成形樹脂;エポキシ樹脂〔油化シェル(株)製、エ
ピコート828〕 硬化剤;イソホロンジアミン 金属粉粒体;鉄粉
【0052】実施例1 まず、液状成形樹脂であるエピコート828を100重
量部に、硬化剤(イソホロンジアミン)24重量部、硬
化促進剤(BF3 ・MEA)1重量部および発泡性樹脂
粒子(マツモトマイクロスフェアF−82D)38重量
部およびガラスビーズ18重量部を混合し、スラリー状
の樹脂混合物を調製した。次いで、成形用の型として、
厚み10mm、幅210mm、長さ300mmのキャビ
ティを持ち、図1に示すように高周波電圧をかけること
ができ、かつ金型を一定温度の保つための熱媒体を通せ
るような配管を備えた上下一対の金型を準備した。
【0053】次いで、あらかじめ寸法を合わせておいた
ガラスマット(繊維状補強材)、分離層およびスラリー
状の樹脂混合物を、ガラスマット(繊維状補強材)/分
離層/樹脂混合物/分離層/ガラスマット(繊維状補強
材)の順に金型に収めた。また、金型の配管には、90
℃の熱媒体を通して、金型温度を調節した。その後、金
型を閉じて、型の電極に周波数13.56MHzで出力
400mAの高周波を90秒間かけた。9分後に金型を
開き、成形品を取り出した。
【0054】得られた複合成形品は、既に90℃以下に
冷却されており、脱型後の成形品の変形はほとんど見ら
れなかった。得られた成形品は、緻密なFRP表層部と
発泡による多数の気泡を含む芯部を有するサンドイッチ
構造の、厚みが10mmのシート状複合成形品であっ
た。このシートの比重は0.46、強度は4.4kg/
mm2 であった。また、芯部の発泡状態を顕微鏡で観察
したところ、均一であった。
【0055】比較例1 実施例1と同様の繊維状補強材(ガラスマット)、分離
層、液状成形樹脂、および発泡性樹脂粒子および非膨張
性発泡粒子などを準備し、金型としては従来の外部から
の伝熱で加熱するタイプのものを準備した。次いで、実
施例1と同様に、キャビティに、ガラスマット、分離層
およびスラリー状の樹脂混合物を、ガラスマット/分離
層/樹脂混合物/分離層/ガラスマットの順に金型に収
めた。
【0056】金型に140℃の熱媒体を通し、金型を加
熱し120℃に保ち、伝熱によりキャビティ内を加熱し
た。反応開始までに2分、最高温度に到達するまでに約
5分を要した。その後、10分間硬化させたのち、冷媒
に切替え冷却し、成形品が90℃以下になる状態で金型
より取り出した。この際、冷却に10分を要した。この
ときの成形サイクルは、27分であった。また、得られ
た複合成形品の芯部の発泡状態は、不均一であった。
【0057】比較例2 実施例1と同様の繊維状補強材(ガラスマット)、分離
層、液状成形樹脂、および発泡性樹脂粒子および非膨張
性発泡粒子などを準備し、金型としては従来の外部から
の伝熱で加熱するタイプのものを準備した。次いで、実
施例1と同様に、キャビティに、ガラスマット、分離層
およびスラリー状の樹脂混合物を、ガラスマット/分離
層/樹脂混合物/分離層/ガラスマットの順に金型に収
めた。次いで、比較例1と同様にして金型を加熱し硬化
させたのち、成形品が120℃になった時点で成形品を
取り出したところ、成形品は部分的に膨れが生じてい
た。
【0058】比較例3 実施例1と同様の金型を準備し、この型内に実施例1と
同様の発泡性樹脂粒子、非膨張性発泡粒子、液状成形樹
脂および硬化剤からなる樹脂混合物のみを入れて、高周
波加熱により成形を行った。この成形品は、比重0.4
6で軽量であったが、発泡した芯部を観察すると、表層
部と芯部で発泡の程度が異なっており、表層部は蜜で芯
部が粗い構造となっていた。比較のため、実施例1の成
形品から取り出した芯部と比較例3の成形品から取り出
した芯部における断面方向の比発泡倍率(全体の発泡倍
率を1.00とした相対値)の分布を測定したところ、
表1および図5に示すとおりであった。
【0059】
【表1】
【0060】実施例2 まず、液状成形樹脂であるエピコート828を100重
量部に、硬化剤(イソホロンジアミン)24重量部、硬
化促進剤(BF3 ・MEA)1重量部、発泡性樹脂粒子
(マツモトマイクロスフェアF−82D)38重量部、
ガラスビーズ3重量部を加え、スラリー状樹脂混合物を
調製した。該スラリー状樹脂混合物中に、鉄粉を5重量
%になるように添加した。次いで、高周波誘導加熱ので
きる管路として内径10mm、外径20mm、長さ10
0mmのフッ素樹脂(テフロン)製のパイプを準備し
た。この外周にコイル径5mmの銅製よりなるラセン状
の誘導加熱コイルを上述の管路に巻き付けて図3のよう
な管路を形成した。なお、コイルは、冷却できるように
内径2mmの中空になっており、この中を水が流れるよ
うになっている。このコイルの巻き数は29巻きであ
る。
【0061】一方、成形用の型として、厚み10mm、
幅150mm、長さ300mmのキャビティを持つ、エ
ポキシ樹脂よりなる上下2分割した樹脂型を準備した。
この型は、図4に示すように、上・下面に誘導加熱コイ
ルを備え、高周波誘導をかけることができ、かつ型を冷
却できるように型の上・下に配管を備えている。上述の
管路のコイルに、50V、3Aを流した状態で、樹脂混
合物を120cc/分で供給し、80℃に加熱された該
混合物を得た。この混合物を素早く型に入れ、寸法を合
わせておいたガラスマット(繊維状補強材)/分離層/
樹脂混合物/分離層/ガラスマット(繊維状補強材)の
順に型内に収め、上下の型を合わせて閉じた。
【0062】次いで、型の上・下面の誘導加熱コイル
に、発振周波数100KHz、100V、6A通電し、
型内部が150℃になるまで通電した。通電時間は、2
3秒と非常に短時間であった。その後、10分間保持し
たのち、型の配管に冷却水を通し、冷却し、80℃にな
った時点で型を開き、成形品を取り出した。脱型後の成
形品の変形はほとんど見られなかった。得られた成形品
は、緻密なFRP表層部と発泡による多数の気泡を含む
芯部を有するサンドイッチ構造の、厚みが10mmのシ
ート状複合成形品であった。このシートの比重は0.
8、強度は5kg/mm2 であった。また、芯部の発泡
状態を顕微鏡で観察したところ、均一であった。
【0063】
【発明の効果】本発明によれば、繊維状補強材を含有す
る樹脂層よりなる表層部および均一に発泡した樹脂を含
有する軽量で均一な芯部からなる剪断強度の優れたFR
P複合成形品を、安定して短時間に製造することが可能
となる。特に、本発明では、従来法に較べて大幅な成形
サイクルの短縮が達成することができ、生産性の向上を
図ることができる。
【0064】本発明により得られる複合成形品は、自動
車外板用材料のほか、例えばカヌーパドル、マスト、方
向舵、ウインドサーフィン安定用フィン(スケグ)、人
力水中翼挺、スキー(板、ポール)、ホッケースティッ
ク、野球用バット、スポークのない車輪、自転車のフレ
ーム、スケートボードなどのスポーツ用品分野、自動車
(乗用車、バス、トラック)などのスポイラー、ドライ
ブシャフト、内外装品、電車のドアや構造部材などの車
両分野、熱交換器の鏡板、エアコン・コンプレッサーブ
レード、攪拌翼、電気絶縁材サポートビーム、フィッテ
ィング類などの産業分野、車椅子(ハイドリム、側パネ
ル)、X線投影用テーブル、義手・義足などの医療器具
分野、およびプロペラ、座席、家具、コントロールサー
フェス、二次構造材、衛星放送用アンテナのリフレクタ
などの広い分野に有効である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の方法で使用する成形用金型の一例で、
該金型断面の構成図である。
【図2】本発明の方法における成形段階の芯部の断面状
態を示す構成図である。
【図3】本発明の方法で使用する管路の一例で、該管路
の断面状態を示す構成図である。
【図4】本発明の方法で使用する成形用型の一例で、該
型断面の構成図である。
【図5】実施例1と比較例3における成形品の芯部の比
発泡倍率の変化を示すグラある。
【符号の説明】
1 キャビティ 2 上金型 3 下金型 6 上電極 7 下電極 41 キャビティ 44 高周波誘導コイル 42 上型 43 下型
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 前田 諭志 山口県岩国市日の出町2番1号 帝人株式 会社岩国研究センター内 (72)発明者 川村 訓久 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 (72)発明者 入山 要次郎 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 (72)発明者 関山 憲一 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも液状成形樹脂により所定の形
    状に成形された繊維状強化樹脂層からなる表層部および
    発泡コアからなる芯部を有する複合成形品を製造するに
    あたり、(a)成形用の型内に、繊維状補強材および液
    状成形樹脂は通すが発泡性樹脂粒子は通さない分離層を
    設置すること、(b)型内の成形後の発泡コアとなる部
    分に、少なくとも発泡性樹脂粒子と液状成形樹脂とを含
    む樹脂混合物を供給すること、(c)型を閉じたのち、
    誘電加熱または誘導加熱により、型内の発泡性樹脂粒子
    と液状成形樹脂とを短時間に充分高い温度まで加熱し
    て、芯部に位置する発泡性樹脂粒子をほぼ均一に加熱発
    泡させて体積膨張を生じさせ、この膨張力によって上記
    繊維状補強材および分離層を包含する表層部形成材料を
    型の内壁面に対して押し付けるとともに、液状成形樹脂
    を表層部形成材料中に浸透させること、(d)その状態
    で液状成形樹脂を硬化させること、(e)誘電加熱また
    は誘導加熱を中止し、成形品を型内で冷却すること、そ
    して(f)得られた複合成形品を型から取り出すこと、
    を特徴とする複合成形品の製造方法。
  2. 【請求項2】 型の内壁面を、表層部形成材料の液状成
    形樹脂の硬化に支障なく、かつ得られる成形品を変形す
    ることなく型から取り出すことが可能な温度に保持し、
    得られる成形品の冷却を型の内壁面からの伝熱で行う請
    求項1記載の複合成形品の製造方法。
JP5354175A 1993-03-08 1993-12-28 複合成形品の製造方法 Withdrawn JPH06315995A (ja)

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