JPH06190934A - 高表面品質複合成形品の製造方法 - Google Patents

高表面品質複合成形品の製造方法

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JPH06190934A
JPH06190934A JP4357892A JP35789292A JPH06190934A JP H06190934 A JPH06190934 A JP H06190934A JP 4357892 A JP4357892 A JP 4357892A JP 35789292 A JP35789292 A JP 35789292A JP H06190934 A JPH06190934 A JP H06190934A
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JP4357892A
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Hiromitsu Takamoto
裕光 高本
Hidetoshi Okamura
英俊 岡村
Kunihisa Kawamura
訓久 川村
Yojiro Iriyama
要次郎 入山
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Teijin Ltd
Toyota Motor Corp
Original Assignee
Teijin Ltd
Toyota Motor Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 表面平滑性の優れた表層部と芯部に発泡コア
を有する高表面品質複合成形品を製造する。 【構成】 型のキャビティ内壁面に強化繊維シートのご
とき表層部形成用の材料を配置し、その内側の部分に発
泡性粒子および液状成形樹脂の混合物を入れるに際し、
キャビティ内壁面または表層部形成用の材料にあらかじ
め低収縮化剤、発泡性樹脂および充填剤の群から選ばれ
た少なくとも1種の表面性改質剤を散布または塗布し、
金型を閉じて加熱成形することにより、表面平滑性に優
れた強靱な表層部と発泡コアからなる芯部を有する軽量
で剛性を有する有用な高表面品質複合成形品を得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高表面品質複合成形品
の製造方法に関し、さらに詳細には、(A)表層部形成
材料を含有する樹脂層よりなる表層部と、(B)発泡コ
アからなる軽量な芯部と、によりなる一体化された高表
面品質複合成形品を効率的に製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】芯部に発泡コアを有するFRP複合成形
品は、軽量性と強靱性に優れているため、スポーツ用品
分野、自動車・電車・航空機・船舶など輸送機器の構造
材、内外装部材、医療機器、通信機器など極めて広い用
途がある。
【0003】芯部に発泡コアを有するFRP複合成形品
の製造としては、例えば芯部に発泡コアをあらかじめ成
形し、これを強化材としての織布で包んだのち、改めて
型に挿入し、液状成形樹脂を注入して外殻を形成する方
法(特開昭55−82612号公報、特開昭61−27
9517号公報参照)、あるいは外殻のFRPをあらか
じめ成形しておき、その中心部の空隙内に発泡性ウレタ
ン樹脂などを注入して空隙内で発泡させる方法などが知
られている。
【0004】しかしながら、上記の技術は、いずれも複
合成形品を得るための工程が多岐にわたり操作が繁雑で
あり、そのため成形品の生産効率が低く、コスト高にな
るという欠点を有している。これらの欠点を改善するも
のとして、発泡性粒子と液状成形樹脂を使用し、発泡コ
アと繊維状補強材を含有する樹脂層よりなる表層部を同
時に成形する技術が、特開平3−183511号公報、
特開平3−180329号公報、特開平3−45315
号公報、特開平3−288629号公報、特開平4−2
7532号公報などに提案されている。
【0005】これらの先行技術によると、型のキャビテ
ィ内壁面に強化繊維シートのごとき表層部形成用の材料
および/または目開きの小さい織物、不織布などの分離
層を配置し、その内側の部分に発泡性粒子および液状成
形樹脂の混合物を入れ、金型を閉じて加熱すると、発泡
性粒子が膨張し、これにより表層部形成材料を型の内部
制約面に押し付けることにより、強靱な表層部と発泡コ
アからなる芯部を有する軽量な複合成形品を得るもので
ある。
【0006】しかし、この成形法において得られた複合
成形品は、表層部に存在する樹脂の硬化収縮により表面
に小さなボイドが見られ、自動車の外板用材料のような
外観を重視される用途に対しては充分な表面平滑性があ
るとはいえない。また、成形後の発泡コアとなる部分に
供給する発泡性粒子と液状成形樹脂に、いわゆる低収縮
化剤、発泡性粒子または充填剤をあらかじめ混合してお
いても、成形に際して分離層を透過できなかったりして
表層部まで達することができず、期待される良好な表面
平滑性が得られない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記従来技
術の課題を背景になされたもので、表面平滑性の優れた
表層部と芯部に発泡コアを有する高表面品質複合成形品
を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、少なくとも液
状成形樹脂により所定の形状に成形された表層部および
発泡コアからなる芯部を有する複合成形品を製造するに
あたり、(a)成形用の型の内面に、低収縮化剤、発泡
性粒子および充填剤の群から選ばれた少なくとも1種の
表面性改質剤を散布または塗布すること、(b)成形用
の型内に、表層部形成材料を設置すること、(c)成形
後の発泡コアとなる部分に、少なくとも発泡性粒子およ
び液状成形樹脂の混合物を供給すること、(d)型を閉
じたのち、型の所定領域を充分高い温度まで加熱するこ
とおよび/または前記液状成形樹脂の反応熱による温度
上昇により、コア部に位置する発泡性粒子を加熱発泡さ
せて体積膨張を生じさせ、これにより表層部形成材料を
型の内部制約面に対して押し付けること、(e)液状成
形樹脂を硬化させること、そして、(f)得られた複合
成形品を型から取り出すこと、を特徴とする高表面品質
複合成形品の製造方法である。
【0009】また、本発明は、少なくとも液状成形樹脂
により所定の形状に成形された表層部および発泡コアか
らなる芯部を有する複合成形品を製造するにあたり、
(a)成形用の型内に、あらかじめ低収縮化剤、発泡性
粒子および充填剤の群から選ばれた少なくとも1種の表
面性改質剤を散布または塗布した表層部形成材料を設置
すること、(b)成形後の発泡コアとなる部分に、少な
くとも発泡性粒子および液状成形樹脂の混合物を供給す
ること、(c)型を閉じたのち、型の所定領域を充分高
い温度まで加熱することおよび/または前記液状成形樹
脂の反応熱による温度上昇により、コア部に位置する発
泡性粒子を加熱発泡させて体積膨張を生じさせ、これに
より表層部形成材料を型の内部制約面に対して押し付け
ること、(d)液状成形樹脂を硬化させること、そし
て、(e)得られた複合成形品を型から取り出すこと、
を特徴とする高表面品質複合成形品の製造方法である。
【0010】さらに、本発明は、少なくとも液状成形樹
脂により所定の形状に成形された表層部および発泡コア
からなる芯部を有する複合成形品を製造するにあたり、
(a)成形用の型内に、表層部形成材料を設置するこ
と、(b)表層部形成材料に低収縮化剤、発泡性粒子お
よび充填剤の群から選ばれた少なくとも1種の表面性改
質剤を散布または塗布すること、(c)成形後の発泡コ
アとなる部分に、少なくとも発泡性粒子および液状成形
樹脂の混合物を供給すること、(d)型を閉じたのち、
型の所定領域を充分高い温度まで加熱することおよび/
または前記液状成形樹脂の反応熱による温度上昇によ
り、コア部に位置する発泡性粒子を加熱発泡させて体積
膨張を生じさせ、これにより表層部形成材料を型の内部
制約面に対して押し付けること、(e)液状成形樹脂を
硬化させること、そして、(f)得られた複合成形品を
型から取り出すこと、を特徴とする高表面品質複合成形
品の製造方法である。
【0011】本発明では、まず型を準備する。その際使
用される型は、成形時に実質的に密閉することが可能で
あり、成形圧力温度に耐え得るものであればよく、通
常、ハンドレイ法、RTM法(Resin Trans
fer Molding法)、またはRIM法(Rea
ction Injection Molding法)
などの成形方法に使用される型が使用可能である。型の
材質としては、金型、木型あるいは樹脂型のいずれであ
っても差し支えない。
【0012】この型内、すなわちこの型のキャビティ内
壁面に沿って表層部を構成する繊維状補強材および/ま
たは分離層を一層または複数層設置する。繊維状補強材
および/または分離層の例は、先に挙げた特開平4−2
7532号公報などに詳しく記載されている。
【0013】すなわち、繊維状補強材としては、一般に
プラスチックの強化のために使用される繊維状の材料が
使用される。この繊維状の材料としては、ガラス繊維、
炭素繊維、シリコン・カーバイト繊維、金属繊維、アラ
ミド繊維、ポリアリレート繊維、およびこれらの2種以
上の混合繊維が好ましい。これらの繊維のほかに、ポリ
エステル繊維、ポリアミド繊維、ビスコース繊維、天然
繊維、または石綿なども使用することができる。これら
の繊維は、短繊維であっても長繊維であってもよく、ま
たウィスカーであってもよいが、長繊維、特に連続繊維
が好ましい。これらの繊維状材料は、一般に繊維構造体
として使用されるのが好ましい。すなわち、この繊維状
補強材は、織物(平織り、スダレ織り、綾織りなど)、
編物、不織布、UD糸(一方向配列フィラメント)、ま
たはウエッブであるのが有利である。これらの形態は、
平坦なものに限らず、三次元織物、三次元編物でもよ
く、またブレードチューブのようなものでもよい。短繊
維あるいはウィスカー(例えば、シリコン・カーバイト
ウィスカー、炭素ウィスカー、酸化ケイ素ウィスカーな
ど)は、それ自体としては、表層部における補強材とし
て使用することは適当ではないが、ウエッブや不織布の
一部の材料として使用することができる。なお、表面性
を良くする目的でよく用いられるサーフェスマットのよ
うなものを、繊維状補強材に被せて使用することがあ
る。ここでは、このような場合も一体として繊維状補強
材と称する。
【0014】また、分離層は、発泡性粒子を実質的に通
過しないが、成形時における流動性のある液状成形樹脂
を通過し得るものであることが必要である。さらに、分
離層として望まれる性能は、発泡性粒子の集合体の体積
膨張の結果、その圧力に耐え得るものであることが必要
である。体積膨張の結果、分離層が破れたり、あるいは
穴が開いて、発泡性粒子が分離層を通過すると、分離膜
内と繊維状補強材部で差圧がとれなくなり、充分に繊維
状補強材を金型に押しつけることができないので、薄い
スキン層を得ることが困難となる。本発明の複合成形品
の性能を達成するために、分離層の目開き、強度あるい
は孔の大きさは、使用される発泡性粒子の大きさおよび
形状に基づいて選択されるべきである。これに反し、発
泡性粒子が通過し得る分離層を使用すると、表層部に気
泡含有粒子が含まれることになり、その結果、得られる
複合成形品は満足すべき強度を有しなかったり、また外
観が劣悪なものとなり、商品価値が低くなる。
【0015】分離層の材質としては、具体的には織物、
編物、不織布、ウエッブ、紙、金網、または多孔質膜が
挙げられる。これらのうち、好ましいものは、織物、編
物、不織布またはウエッブであり、これらの素材は、合
成繊維、天然繊維または無機繊維のいずれであってもよ
い。分離層は、その構造も、発泡性粒子を実質的に通過
させないものが望まれる。すなわち、分離層の構造は、
成形に使用される型の構造や目的とする複合成形品の構
造あるいは形状に依存して決められる。一般には、袋状
構造体あるいは面状構造体であり、袋状構造体が特に好
ましい。前記袋状構造体あるいは面状構造体は、その全
体が分離層である必要はなく、実質的に液状成形樹脂を
通過させて発泡性粒子を通過させない限り、その一部が
発泡性粒子を通過させない他の材質、例えばフィルム、
膜、微多孔膜などで構成されていてもよい。本発明にお
ける分離層は、表層部を形成する前記繊維状補強材と一
体化された構造材料であることができる。この一体化さ
れた構造材料を使用することは、本発明の方法の好まし
い実施態様の一つである。典型的な一体化された構造材
料は、分離層としての機能を、少なくともその表面部に
有する繊維状補強材である。
【0016】本発明では、型のキャビティ内壁面あるい
は繊維状補強材および/または分離層に、あらかじめ低
収縮化剤、発泡性粒子および充填剤の群から選ばれた少
なくとも1種の表面性改質剤を散布または後述の液状成
形樹脂でスラリーにしたものを塗布するか、成形用の型
内に表層部形成材料を設置してから、前記表面改質剤を
散布または塗布する。
【0017】ここで用いられる低収縮化剤は、シート・
モールディング・コンパウンド(SMC)などで表面性
を改良するために用いられるゴム系、あるいは熱可塑性
の樹脂で、成形に供する液状成形樹脂が反応硬化時に膨
張を起こす材料である。この低収縮化剤の具体例として
は、スチレン−ブタジエンブロック共重合体(水素添加
物を含む)などの熱可塑性エラストマー〔例えば、シェ
ル化学(株)製、クレイトンCX−1855〕、ポリス
チレン、共重合化ポリスチレン(GP・PS)などのス
チレン系樹脂〔例えば、三菱モンサント化成(株)製、
ダイヤフレックスHF−77〕、酸基含有ポリビニルア
セテート〔例えば、ユニオンカーバイト社製、ニューロ
ンT〕、スチレン−酢酸ビニル系共重合体〔例えば、日
本油脂(株)製、モディパーS501〕、そのほかポリ
メチルメタクリレート、ポリ酢酸ビニルなどが挙げられ
る。
【0018】また、表面性改質剤として用いられる発泡
性粒子は、加熱することにより膨張を起こす材料であっ
て成形に供する液状成形樹脂が反応硬化時に膨張する機
能を持っているもので、特開平4−27532号公報な
どに詳しく記載されている。すなわち、発泡性粒子とし
ては、成形時の加熱により体積膨張することができ、か
つ発泡後実質的に気泡が粒子中に内包されているものが
使用される。この発泡性粒子としては、加熱により体積
が少なくとも約10%、好ましくは少なくとも約20%
増大するものが使用される。現在入手し得る発泡性粒子
は、通常、約20%〜70倍程度体積が膨張するもので
ある。ここで、体積膨張の倍率は、発泡性粒子を成形温
度において常圧で発泡させたときの体積膨張率を示すも
のであって、必ずしも成形によって得られる複合成形品
中の発泡倍率を意味するものではない。
【0019】表面性改質剤として使用される発泡性粒子
の大きさは、その平均径が、60μm以下、好ましくは
0.5〜50μm、さらに好ましくは1〜30μmであ
る。60μmを超えると、成形品の表層に凹凸が増え、
表面積性が悪化する。この発泡性粒子を構成する重合体
は、成形時の加熱により発泡して体積膨張し、気泡が実
質的に内包されているものであり、しかも成形時の加熱
温度により流動しないものである。一般的に好適な発泡
性粒子は、ポリ塩化ビニリデンの共重合体、ポリアクリ
ロニトリルの共重合体などにより形成され、その中に発
泡性ガスを内包しているものである。特に、加熱により
気体として体積膨張する低沸点炭化水素を内包している
ポリ塩化ビニリデン系またはポリアクリロニトリル系の
ポリマーの粒子(これは、大気中では数倍〜数十倍程度
に膨張する)を使用するのが望ましい。このような発泡
性粒子の具体例は、ノーベル社の「エクスパンセル」、
松本油脂製薬(株)の「マツモトマイクロスフェア」な
どが挙げられ、これらをそのまま使用することができ
る。
【0020】さらに、表面性改質剤として用いられる充
填剤としては、酸化チタン、炭酸カルシウム、炭酸マグ
ネシウム、クレー、カオリン、タルクなどが挙げられ
る。これらの充填剤は、粒子のサイズが大きすぎると逆
に表面に凹凸が生ずるので、一般にFRPの表面性向上
に用いられる微細なものが好ましい。これらの充填剤の
平均粒径は、好ましくは0.5〜50μm、さらに好ま
しくは1〜30μmである。
【0021】これらの低収縮化剤、発泡性粒子あるいは
充填剤からなる表面性改質剤の散布方法は、一般の粉体
散布装置で均一に行う。また、この表面性改質剤を塗布
する場合には、これを液状成形樹脂に混合し、スラリー
化して塗布するが、この場合の混合割合は、液状成形樹
脂100重量部に対して表面性改質剤0.5〜5重量部
であり、また塗布方法としては、一般の塗装用スプレー
ガンで均一に塗布される。さらに、これらの表面性改質
剤の使用量は、使用される種類や散布・塗布手段によっ
て異なり、表1に示す使用量が好ましい。
【0022】
【表1】
【0023】次に、表層部を構成する繊維状補強材およ
び/または分離層をキャビティ内壁面に沿って設置した
型内の発泡コアが形成されるべき部分に、発泡性粒子と
液状成形樹脂と、必要に応じて第三成分の混合物を入れ
る。これらの例も、先に挙げた特開平4−27532号
公報などに詳しく記載されている。
【0024】すなわち、発泡性粒子は、前記表面性改質
剤に使用されるものと同様のものを挙げることができ
る。ただし、発泡コアに使用される発泡性粒子の大きさ
は、その平均径が約1μm〜約5mm、好ましくは約1
0μm〜約1mmの範囲が好適である。発泡性粒子の具
体例は、前記表面性改質剤に挙げられたもののほか、積
水化成(株)の「エスレンビーズ」なども挙げられる。
また、ポリスチレン系、ポリオレフィン系の重合体など
からなる発泡性粒子も用いられる。なお、発泡コアに使
用される発泡性粒子中には、加熱などにより実質的に体
積膨張しない非膨張性発泡粒子を混合して使用すること
ができる。この非膨張性発泡粒子もまた分離層を実質的
に通過しないものであることが必要である。この非膨張
性発泡粒子を混合して使用すると、成形操作が容易とな
り、また得られる複合成形品は一層強靱性および剛性に
優れたものとなる。この非膨張性発泡粒子としては、無
機発泡粒子、有機発泡粒子のいずれでもよいが、一般に
は無機発泡粒子が好適である。非膨張性無機発泡粒子と
しては、例えばガラスバルーン、シリカバルーン、シラ
スバルーンなどが挙げられ、これらは平均粒径が約1μ
m〜約1mm、好ましくは約5μm〜約0.5mmのも
のが望ましい。前記発泡性粒子とこの非膨張性発泡粒子
との混合割合は、重量比で10:1〜1:5、好ましく
は9:1〜1:3の範囲である。
【0025】また、液状成形樹脂は、成形時に流動性を
示すものである限り、一般に成形用樹脂として使用され
るものであればよい。この液状成形樹脂としては、成形
の結果、重合反応および/または架橋反応によって硬化
し、固体の樹脂を与えるものである。この液状成形樹脂
の具体例としては、例えばエポキシ樹脂、ポリウレタン
樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリビニルエステル樹
脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂などであり、これ
らの中でエポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、不飽和ポリ
エステル樹脂またはポリビニルエステル樹脂が好まし
い。また、場合によっては、硬化型のポリシクロオレフ
ィン樹脂(例えば、ジシクロペンタジエン樹脂)も使用
し得る。これらの液状成形樹脂は、通常使用されるよう
に、樹脂またはその前駆体(例えば、原料モノマー)中
に硬化剤および/または硬化促進剤などを組み合わせて
用いられるが、本発明も同様にこれらを組み合わせて使
用することができる。この場合の発泡性粒子と液状成形
樹脂との重量割合は、通常、5/100〜30/10
0、好ましくは10/100〜25/100である。
【0026】型を閉じたのち、型の所定領域を充分高い
温度まで加熱することおよび/または上記液状成形樹脂
の反応熱による温度上昇により、発泡性粒子が膨張を開
始しその膨張圧力で分離層および/またはその他の表面
形成材料が型の内部制約面に押し付けられ、該制約面に
沿った外形を形成させると同時に、液状成形樹脂が分離
層および/または繊維状補強材などの表層部形成材料に
浸透し、その一部は該材料を通り抜け成形品の表面層を
形成する。樹脂の過剰分は型の貯り部分に集めるか、ベ
ントから抜き出される。ここで、充分高い温度までと
は、型内に充填した液状成形樹脂が反応を開始するに必
要な温度と反応熱の一部を金型が奪って内部温度が低下
しないで反応が完結するに必要な温度である。また、液
状成形樹脂の反応熱による温度上昇は、液状成形樹脂が
硬化するときは発熱反応であり、外部から積極的に熱を
除去しなければ反応により温度が上昇することによるも
のである。この反応熱を利用して発泡性粒子を膨張させ
るものである。
【0027】同時並行的に液状成形樹脂の硬化が進み、
充分硬化した段階で得られた複合成形品を型から取り出
す。この硬化条件は、硬化時の温度と時間によって決め
られ、条件設定は、液状成形樹脂の熱軟化点(Tg)が
所望の値になる条件で行う。
【0028】以上のように、本発明は、型のキャビティ
内壁面または繊維状補強材および/または分離層に、成
形に先立ちあらかじめ低収縮化剤、発泡性粒子および充
填剤の群から選ばれた少なくとも1種の表面性改質剤を
散布または塗布しておくか、あるいは成形用の型内に表
層部形成材料を設置し、これに表面性改質剤を散布また
は塗布することを特徴としている。この結果、本発明で
は、得られる成形品の表面に小さなボイドはなく繊維状
補強材の痕跡による微小の凹凸やうねりのない表面平滑
性の優れた複合成形品が得られる。
【0029】
【実施例】以下、本発明を実施例により詳細に説明する
が、これらは本発明を説明するためのものであって、こ
れらの実施例により本発明が限定されるものではない。
【0030】参考例1 実施例および比較例に使用される発泡性粒子、液状成形
樹脂、繊維状補強材などとして、以下のものを用意し
た。 発泡性粒子;〔松本油脂製薬(株)製「マツモトマイク
ロスフェアF−82D」、発泡温度=105℃〕 非膨張性発泡粒子;ガラスバルーン〔住友スリーエム
(株)製、C−15〕 充填剤;炭酸カルシウム〔日東粉工業(株)製、NS#
1000〕 繊維状補強材;ガラスマット〔旭ファイバーグラス
(株)製、M8609−300、目付け約300g/m
2 〕 分離層;ポリエステル主体の不織布〔ユニセル(株)
製、BT605W〕 液状成形樹脂;エポキシ樹脂〔油化シェル(株)製「エ
ピコート828」〕 硬化剤;イソホロンジアミン
【0031】実施例1 まず、液状成形樹脂である「エピコート828」を10
0重量部に炭酸カルシウムを100重量部混合、混練り
したのち、硬化剤(イソホロンジアミン)を24重量部
添加し、よくかき混ぜスラリーAを調製した。また、液
状成形樹脂である「エピコート828」を100重量部
とイソホロンジアミン24重量部、発泡性粒子38重量
部、およびガラスバルーン18重量部を混合し、スラリ
ーBを調製した。
【0032】次いで、上下1対の内寸法で幅210m
m、長さ300mm、厚み10mmの金型の上下のキャ
ビティ面にスラリーAを約0.2mmの厚さになるよう
に塗布した。次いで、あらかじめ寸法を合わせておいた
ガラスマット(繊維状補強材)、不織布(分離層)およ
びスラリーBをガラスマット/不織布/スラリーB/不
織布/ガラスマットの順に金型に納めた。金型を閉じて
ジャケットに150℃の熱媒体を通した。約20分後に
冷却のため30℃の冷却用の熱媒体に切り替え、冷却
後、成形品を取り出した。得られた成形品の表面には、
小さなボイドはなく、ガラス繊維の痕跡による微小の凹
凸やうねりのない表面平滑性の優れた成形品が得られ、
自動車用外板としてそのまま塗装して使用できる物であ
った。
【0033】比較例1 金型内面にスラリーAの塗布を省略した以外は、実施例
1と同じ操作をした。得られた成形品の表面性は、樹脂
の収縮により表面に小さなボイドが見られ自動車用の外
板としてそのまま使用できない物であった。
【0034】実施例2 金型内面に塗布するスラリーとして、スラリーAの炭酸
カルシウム100重量部を発泡性粒子(マツモトマイク
ロスフェアF−82D)2重量部に置き換えたスラリー
Cを用いた以外は、実施例1と同じ操作をした。得られ
た成形品の表面には、ボイドはなく、ガラス繊維の痕跡
による微小の凹凸やうねりのない表面平滑性の優れた成
形品が得られ、自動車用外板としてそのまま塗装して使
用できる物であった。
【0035】実施例3 実施例1で用いた金型の内面に塗布したのとほぼ同量の
スラリーAを表面に均一に塗布したガラスマット(繊維
状補強材)を2枚用意した。このガラスマットを用いて
ガラスマット/不織布/スラリーB/不織布/ガラスマ
ットの順に、実施例1に用いた金型に納め、金型を閉じ
てジャケットに150℃の熱媒体を通した。約20分後
に冷却のため30℃の冷却用の熱媒体に切り替えた。冷
却後、成形品を取り出した。得られた成形品の表面に
は、小さなボイドがなく、ガラス繊維の痕跡による微小
の凹凸やうねりのない表面平滑性の優れた成形品が得ら
れ、自動車用外板としてそのまま塗装して使用できる物
であった。
【0036】実施例4 実施例1で用いた金型の下型にガラスマット(繊維状補
強材)を敷き、表面に発泡性粒子を16g/m2 になる
ように均一に散布した。その後、発泡性粒子を散布して
いない不織布/スラリーB/表面に発泡性粒子を16g
/m2 になるように均一に散布した不織布/ガラスマッ
トの順に金型に納めた。実施例1と同様に加熱し、樹脂
を硬化させたのち、冷却して成形品を得た。得られた成
形品の表面には、ボイドがなくガラス繊維の痕跡による
微小の凹凸やうねりのない表面平滑性の優れた成形品が
得られ、自動車用外板としてそのまま塗装して使用でき
る物であった。
【0037】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、自動車
の外板用材料のような外観を重視される用途に対し、充
分な表面平滑性がある高表面品質複合成形品を安定して
製造することが可能となる。
【0038】本発明により得られる高表面品質複合成形
品は、自動車外板用材料のほか、例えばカヌーパドル、
マスト、方向舵、ウインドサーフィン安定用フィン(ス
ケグ)、人力水中翼挺、スキー(板、ポール)、ホッケ
ースティック、野球用バット、スポークのない車輪、自
転車のフレーム、スケートボードなどのスポーツ用品分
野、自動車(乗用車、バス、トラック)などのスポイラ
ー、ドライブシャフト、内外装品、電車のドアや構造部
材などの車両分野、熱交換器の鏡板、エアコン・コンプ
レッサーブレード、攪拌翼、電気絶縁材サポートビー
ム、フィッティング類などの産業分野、車椅子(ハイド
リム、側パネル)、X線投影用テーブル、義手・義足な
どの医療器具分野、およびプロペラ、座席、家具、コン
トロールサーフェス、二次構造材、衛星放送用アンテナ
のリフレクタなどの広い分野に有効である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 川村 訓久 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 (72)発明者 入山 要次郎 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも液状成形樹脂により所定の形
    状に成形された表層部および発泡コアからなる芯部を有
    する複合成形品を製造するにあたり、(a)成形用の型
    の内面に、低収縮化剤、発泡性粒子および充填剤の群か
    ら選ばれた少なくとも1種の表面性改質剤を散布または
    塗布すること、(b)成形用の型内に、表層部形成材料
    を設置すること、(c)成形後の発泡コアとなる部分
    に、少なくとも発泡性粒子および液状成形樹脂の混合物
    を供給すること、(d)型を閉じたのち、型の所定領域
    を充分高い温度まで加熱することおよび/または前記液
    状成形樹脂の反応熱による温度上昇により、コア部に位
    置する発泡性粒子を加熱発泡させて体積膨張を生じさ
    せ、これにより表層部形成材料を型の内部制約面に対し
    て押し付けること、(e)液状成形樹脂を硬化させるこ
    と、そして、(f)得られた複合成形品を型から取り出
    すこと、を特徴とする高表面品質複合成形品の製造方
    法。
  2. 【請求項2】 少なくとも液状成形樹脂により所定の形
    状に成形された表層部および発泡コアからなる芯部を有
    する複合成形品を製造するにあたり、(a)成形用の型
    内に、あらかじめ低収縮化剤、発泡性粒子および充填剤
    の群から選ばれた少なくとも1種の表面性改質剤を散布
    または塗布した表層部形成材料を設置すること、(b)
    成形後の発泡コアとなる部分に、少なくとも発泡性粒子
    および液状成形樹脂の混合物を供給すること、(c)型
    を閉じたのち、型の所定領域を充分高い温度まで加熱す
    ることおよび/または前記液状成形樹脂の反応熱による
    温度上昇により、コア部に位置する発泡性粒子を加熱発
    泡させて体積膨張を生じさせ、これにより表層部形成材
    料を型の内部制約面に対して押し付けること、(d)液
    状成形樹脂を硬化させること、そして、(e)得られた
    複合成形品を型から取り出すこと、を特徴とする高表面
    品質複合成形品の製造方法。
  3. 【請求項3】 少なくとも液状成形樹脂により所定の形
    状に成形された表層部および発泡コアからなる芯部を有
    する複合成形品を製造するにあたり、(a)成形用の型
    内に、表層部形成材料を設置すること、(b)表層部形
    成材料に低収縮化剤、発泡性粒子および充填剤の群から
    選ばれた少なくとも1種の表面性改質剤を散布または塗
    布すること、(c)成形後の発泡コアとなる部分に、少
    なくとも発泡性粒子および液状成形樹脂の混合物を供給
    すること、(d)型を閉じたのち、型の所定領域を充分
    高い温度まで加熱することおよび/または前記液状成形
    樹脂の反応熱による温度上昇により、コア部に位置する
    発泡性粒子を加熱発泡させて体積膨張を生じさせ、これ
    により表層部形成材料を型の内部制約面に対して押し付
    けること、(e)液状成形樹脂を硬化させること、そし
    て、(f)得られた複合成形品を型から取り出すこと、
    を特徴とする高表面品質複合成形品の製造方法。
  4. 【請求項4】 表層部形成材料が繊維状補強材および/
    または分離層からなり、分離層の成形後の発泡コアとな
    る側の反対側および/または繊維状補強材に低収縮化
    剤、発泡性粒子および充填剤の群から選ばれた少なくと
    も1種の表面性改質剤を散布または塗布する請求項2ま
    たは請求項3に記載の高表面品質複合成形品の製造方
    法。
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