JPH0631406A - 磁気特性及び形状性に優れたFe−Si−Al系磁性薄帯の製造方法 - Google Patents
磁気特性及び形状性に優れたFe−Si−Al系磁性薄帯の製造方法Info
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- JPH0631406A JPH0631406A JP18524892A JP18524892A JPH0631406A JP H0631406 A JPH0631406 A JP H0631406A JP 18524892 A JP18524892 A JP 18524892A JP 18524892 A JP18524892 A JP 18524892A JP H0631406 A JPH0631406 A JP H0631406A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 磁気特性の向上を図りながら高温処理を可能
にして、形状不良を改善でき、さらには加工性,靱性,
耐摩耗性等の機械的特性を向上できるFe−Si−Al
系磁性薄帯の製造方法を提供する。 【構成】 Fe−Si−Al系合金溶湯6を一対のロー
ル2により急冷凝固させながら圧延して急冷薄帯7を得
た後、これを熱処理して磁性薄帯を製造する場合に、上
記合金溶湯6中に、急冷凝固時に結晶核を形成する元
素,又はその酸化物,炭化物,窒化物を添加する。これ
により結晶粒が微細化した急冷薄帯を得る。また、添加
元素にC,あるいはLa,Ceを採用する。
にして、形状不良を改善でき、さらには加工性,靱性,
耐摩耗性等の機械的特性を向上できるFe−Si−Al
系磁性薄帯の製造方法を提供する。 【構成】 Fe−Si−Al系合金溶湯6を一対のロー
ル2により急冷凝固させながら圧延して急冷薄帯7を得
た後、これを熱処理して磁性薄帯を製造する場合に、上
記合金溶湯6中に、急冷凝固時に結晶核を形成する元
素,又はその酸化物,炭化物,窒化物を添加する。これ
により結晶粒が微細化した急冷薄帯を得る。また、添加
元素にC,あるいはLa,Ceを採用する。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えばプリペイドカー
ドや自動改札機等の産業用、あるいはオーディオ等の民
生用の磁気記録,磁気再生を行う磁気ヘッドコアに採用
されるFe−Si−Al系磁性薄帯の製造方法に関し、
特に磁気特性の向上を図りながら、形状不良を改善で
き、また靱性,耐摩耗性等の機械的特性を向上できるよ
うにした製造方法に関する。
ドや自動改札機等の産業用、あるいはオーディオ等の民
生用の磁気記録,磁気再生を行う磁気ヘッドコアに採用
されるFe−Si−Al系磁性薄帯の製造方法に関し、
特に磁気特性の向上を図りながら、形状不良を改善で
き、また靱性,耐摩耗性等の機械的特性を向上できるよ
うにした製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】例えば、磁気テープやプリペイドカード
等の磁気記録層に磁気記録,磁気再生を行う場合、磁気
ヘッドコアが用いられている。この磁気ヘッドコアに採
用される材料には、磁気特性に優れ,かつ耐摩耗性,耐
蝕性に優れたFe−Si−Al系合金が汎用されてい
る。このようなFe−Si−Al系合金を用いた磁気ヘ
ッドコア材の製造方法として、従来、Fe−Si−Al
系合金鋳塊を製造し、この鋳塊を冷間あるいは熱間圧延
加工により平板状に形成する。次に、これに切断,研削
等の機械加工を施して所定形状のコア材を形成し、この
後、該コア材の加工歪の除去,及び磁気特性を発現させ
るために焼鈍処理を施す方法がある。しかしこの方法
は、鋳塊を製造し、これを圧延した後機械加工を施して
コア材に仕上げるという方法であることから、製造工程
数の多い分生産性が低く、製造コストが上昇するという
問題がある。
等の磁気記録層に磁気記録,磁気再生を行う場合、磁気
ヘッドコアが用いられている。この磁気ヘッドコアに採
用される材料には、磁気特性に優れ,かつ耐摩耗性,耐
蝕性に優れたFe−Si−Al系合金が汎用されてい
る。このようなFe−Si−Al系合金を用いた磁気ヘ
ッドコア材の製造方法として、従来、Fe−Si−Al
系合金鋳塊を製造し、この鋳塊を冷間あるいは熱間圧延
加工により平板状に形成する。次に、これに切断,研削
等の機械加工を施して所定形状のコア材を形成し、この
後、該コア材の加工歪の除去,及び磁気特性を発現させ
るために焼鈍処理を施す方法がある。しかしこの方法
は、鋳塊を製造し、これを圧延した後機械加工を施して
コア材に仕上げるという方法であることから、製造工程
数の多い分生産性が低く、製造コストが上昇するという
問題がある。
【0003】このような熱間圧延法等に対して、双ロー
ルよる製造方法がある。これは、Fe−Si−Al系合
金溶湯を一対の冷却ロール間に供給し、これにより溶湯
を急冷凝固させるとともに圧延して急冷薄帯を製造する
方法である。この双ロール法によれば、溶湯から一気に
コア用薄帯が得られることから、上記熱間圧延法等に比
べて製造工数を削減でき、生産性を向上できるととも
に、コストを低減できる。
ルよる製造方法がある。これは、Fe−Si−Al系合
金溶湯を一対の冷却ロール間に供給し、これにより溶湯
を急冷凝固させるとともに圧延して急冷薄帯を製造する
方法である。この双ロール法によれば、溶湯から一気に
コア用薄帯が得られることから、上記熱間圧延法等に比
べて製造工数を削減でき、生産性を向上できるととも
に、コストを低減できる。
【0004】ここで、上記双ロールにより得られた急冷
薄帯は、その製法上エッジ割れ,捩じれ, 歪み,エッジ
部の波うち等の形状不良が生じ易い。このため、従来、
上記急冷薄帯に熱処理を施し、これで形状性の改善を図
って加工性を向上するようにしている。そしてこの熱処
理によって得られた磁性薄帯を積層加工し、この後コア
形状に製品加工している。
薄帯は、その製法上エッジ割れ,捩じれ, 歪み,エッジ
部の波うち等の形状不良が生じ易い。このため、従来、
上記急冷薄帯に熱処理を施し、これで形状性の改善を図
って加工性を向上するようにしている。そしてこの熱処
理によって得られた磁性薄帯を積層加工し、この後コア
形状に製品加工している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記急冷薄
帯の形状不良を改善するには、850 〜1000℃の高温処理
するのが望ましい。しかしながら、上記従来のFe−S
i−Al系合金薄帯を、高温処理すると急冷薄帯の結晶
粒が異常成長して粗大化し、その結果、集合組織の優先
方位に変化が生じ、磁気特性が悪化するという問題点が
ある。従って、従来では、結晶粒の成長を抑制するため
に800 ℃程度の低温処理を行っている。このため形状不
良の改善が不充分となることから、取り扱う際の加工性
が悪化するとともに、靱性,耐摩耗性等の機械的特性が
低いという問題が生じる。
帯の形状不良を改善するには、850 〜1000℃の高温処理
するのが望ましい。しかしながら、上記従来のFe−S
i−Al系合金薄帯を、高温処理すると急冷薄帯の結晶
粒が異常成長して粗大化し、その結果、集合組織の優先
方位に変化が生じ、磁気特性が悪化するという問題点が
ある。従って、従来では、結晶粒の成長を抑制するため
に800 ℃程度の低温処理を行っている。このため形状不
良の改善が不充分となることから、取り扱う際の加工性
が悪化するとともに、靱性,耐摩耗性等の機械的特性が
低いという問題が生じる。
【0006】本発明は上記従来の状況に鑑みてなされた
もので、磁気特性,及び形状特性の両方を向上でき、ま
た靱性,耐摩耗性等の機械的特性に優れたFe−Si−
Al系磁性薄帯の製造方法を提供することを目的として
いる。
もので、磁気特性,及び形状特性の両方を向上でき、ま
た靱性,耐摩耗性等の機械的特性に優れたFe−Si−
Al系磁性薄帯の製造方法を提供することを目的として
いる。
【0007】
【課題を解決するための手段】本件発明者らは、Fe−
Si−Al系合金の磁気特性,形状特性の両方を向上さ
せる観点から、急冷薄帯の金属組織について検討したと
ころ、この薄帯の結晶粒を微細化することによって、高
温熱処理を行う際の結晶粒の異常成長を抑制できること
に着目した。そしてこのような微細組織を得るには、F
e−Si−Al系合金溶湯を急冷凝固させる際に結晶核
を形成する元素,あるいはその酸化物等を添加すること
によって、多数の固溶元素が酸化物等の形で析出し、こ
れが結晶の核となって結晶粒が微細化することを見出
し、本発明を成したものである。
Si−Al系合金の磁気特性,形状特性の両方を向上さ
せる観点から、急冷薄帯の金属組織について検討したと
ころ、この薄帯の結晶粒を微細化することによって、高
温熱処理を行う際の結晶粒の異常成長を抑制できること
に着目した。そしてこのような微細組織を得るには、F
e−Si−Al系合金溶湯を急冷凝固させる際に結晶核
を形成する元素,あるいはその酸化物等を添加すること
によって、多数の固溶元素が酸化物等の形で析出し、こ
れが結晶の核となって結晶粒が微細化することを見出
し、本発明を成したものである。
【0008】そこで本発明は、Fe−Si−Al系合金
溶湯を一対のロールにより急冷凝固させるとともに圧延
して急冷薄帯を得た後、これを熱処理して磁性薄帯を製
造するようにしたセンダスト系磁性薄帯の製造方法にお
いて、上記合金溶湯中に、急冷凝固時に結晶核を形成す
る元素,又はその酸化物,炭化物,窒化物の少なくとも
1つを添加し、これにより微細化した結晶粒を有する急
冷薄帯を得ることを特徴としている。
溶湯を一対のロールにより急冷凝固させるとともに圧延
して急冷薄帯を得た後、これを熱処理して磁性薄帯を製
造するようにしたセンダスト系磁性薄帯の製造方法にお
いて、上記合金溶湯中に、急冷凝固時に結晶核を形成す
る元素,又はその酸化物,炭化物,窒化物の少なくとも
1つを添加し、これにより微細化した結晶粒を有する急
冷薄帯を得ることを特徴としている。
【0009】ここで、上記添加元素にはC,あるいはL
a,Ceが有効である。このC量は0.01〜0.2 %の範囲
が望ましく、またLa,Ce量は0.002 〜0.1 %の範囲
が望ましい。また、他の添加元素としては、Nb,T
a,Ti,Zr等の炭化物,窒化物が採用できる。この
場合、上記Nb,Ta等の単独では結晶核の形成は困難
であることから、カーバイト(NbC),ナイトライド
(NbN)として添加する。これにより溶湯時は固溶し
ているが、冷却すると析出することとなる。さらに、R
EMのオキサイドを添加してもよい。これはカーバイド
等とはメカニズムが異なるが、融点が高いことから溶湯
段階でも酸化物として存在し、冷却後においてもそのま
ま結晶核として残る。なお、上記核酸化物等の添加量は
少なすぎると固溶したまま析出しないことから、析出に
十分な量を必要とする。
a,Ceが有効である。このC量は0.01〜0.2 %の範囲
が望ましく、またLa,Ce量は0.002 〜0.1 %の範囲
が望ましい。また、他の添加元素としては、Nb,T
a,Ti,Zr等の炭化物,窒化物が採用できる。この
場合、上記Nb,Ta等の単独では結晶核の形成は困難
であることから、カーバイト(NbC),ナイトライド
(NbN)として添加する。これにより溶湯時は固溶し
ているが、冷却すると析出することとなる。さらに、R
EMのオキサイドを添加してもよい。これはカーバイド
等とはメカニズムが異なるが、融点が高いことから溶湯
段階でも酸化物として存在し、冷却後においてもそのま
ま結晶核として残る。なお、上記核酸化物等の添加量は
少なすぎると固溶したまま析出しないことから、析出に
十分な量を必要とする。
【0010】また、上記Fe−Si−Al系合金の組成
としては、磁気特性を確保するためにSi量は5.0 〜1
1.0%、Al量は3.0 〜10.0%、残りFeとするのが望
ましい。また耐蝕性を向上させる目的からTi,Cr,
Ru,Co等の元素を5%以内で添加してもよい。
としては、磁気特性を確保するためにSi量は5.0 〜1
1.0%、Al量は3.0 〜10.0%、残りFeとするのが望
ましい。また耐蝕性を向上させる目的からTi,Cr,
Ru,Co等の元素を5%以内で添加してもよい。
【0011】
【作用】本発明に係るFe−Si−Al系磁性薄帯の製
造方法によれば、Fe−Si−Al系合金溶湯に、急冷
凝固時に結晶核を形成する元素,又はその酸化物等を添
加したので、これにより得られた急冷薄帯は上記酸化物
等が結晶核として析出し、これにより結晶粒が微細化し
た組織となる。このような微細組織の急冷薄帯を、850
℃以上の高温処理しても結晶粒の異常な成長を抑制で
き、集合組織状態の変化を生じることなく正常な結晶組
織が得られることから、磁性特性を悪化させることはな
い。その結果、磁性特性の向上を図りながら高温処理が
可能となるので、急冷薄帯に生じる捩じれ, 歪み等の形
状不良を改善でき、ひいては取り扱う際の加工性を向上
できるとともに、靱性,耐摩耗性等の機械的特性を向上
できる。
造方法によれば、Fe−Si−Al系合金溶湯に、急冷
凝固時に結晶核を形成する元素,又はその酸化物等を添
加したので、これにより得られた急冷薄帯は上記酸化物
等が結晶核として析出し、これにより結晶粒が微細化し
た組織となる。このような微細組織の急冷薄帯を、850
℃以上の高温処理しても結晶粒の異常な成長を抑制で
き、集合組織状態の変化を生じることなく正常な結晶組
織が得られることから、磁性特性を悪化させることはな
い。その結果、磁性特性の向上を図りながら高温処理が
可能となるので、急冷薄帯に生じる捩じれ, 歪み等の形
状不良を改善でき、ひいては取り扱う際の加工性を向上
できるとともに、靱性,耐摩耗性等の機械的特性を向上
できる。
【0012】
【実施例】以下、本発明の実施例を説明する。本実施例
では、本発明のFe−Si−Al系磁性薄帯の製造方法
の効果を確認するために行った試験について説明する。 実施例1 図1は、本実施例に採用した双ロール装置を示す。この
双ロール装置1は、1対の圧延冷却ロール2,2を水平
に向けて配置してなり、このロール2は互いに内側に回
転駆動するように構成されている。またこのロール2間
の上方には溶湯容器3の噴射ノズル4が位置しており、
この容器3の外周部には誘導加熱装置5が配設されてい
る。ここで、上記双ロール装置1は、噴出ノズル径1m
m, 噴出圧力0.9Kg/cm2,ロール直径80mm, ロール周速3.6
m/ 秒, ロール圧下荷重10ton に設定されている。
では、本発明のFe−Si−Al系磁性薄帯の製造方法
の効果を確認するために行った試験について説明する。 実施例1 図1は、本実施例に採用した双ロール装置を示す。この
双ロール装置1は、1対の圧延冷却ロール2,2を水平
に向けて配置してなり、このロール2は互いに内側に回
転駆動するように構成されている。またこのロール2間
の上方には溶湯容器3の噴射ノズル4が位置しており、
この容器3の外周部には誘導加熱装置5が配設されてい
る。ここで、上記双ロール装置1は、噴出ノズル径1m
m, 噴出圧力0.9Kg/cm2,ロール直径80mm, ロール周速3.6
m/ 秒, ロール圧下荷重10ton に設定されている。
【0013】また、Si:6.0 〜11.0wt%,Al:4.0
〜7.0 wt%, 残部FeからなるFe−Si−Al系合金
粉末に、Cを0.01〜0.2 wt%%添加した。さらにTi,
Cr,Ru,Co等の元素を4wt%以下添加して材料粉
末を形成した。このFe−Si−Al系合金粉末を上記
容器3内で溶製し、これによりFe−Si−Al系合金
溶湯6を製造した。この合金溶湯6の温度は、融点より
150 〜200 ℃高い、1400℃に設定した。
〜7.0 wt%, 残部FeからなるFe−Si−Al系合金
粉末に、Cを0.01〜0.2 wt%%添加した。さらにTi,
Cr,Ru,Co等の元素を4wt%以下添加して材料粉
末を形成した。このFe−Si−Al系合金粉末を上記
容器3内で溶製し、これによりFe−Si−Al系合金
溶湯6を製造した。この合金溶湯6の温度は、融点より
150 〜200 ℃高い、1400℃に設定した。
【0014】そして、上記条件で両ロール2を回転させ
ながら、このロール2間に上記Fe−Si−Al系合金
溶湯6を噴射ノズル4から噴射する。すると、この合金
溶湯6は両ロール2により急冷凝固し、かつロール2間
で圧延されることとなり、これにより厚さ20〜100 μm
, 幅15〜50mmのリボン状の急冷薄帯7が製造される。
このようにして得られた急冷薄帯7は、これの固溶炭素
がカーバイドの形で多数析出した結晶核となって微細組
織を形成している。この後、上記急冷薄帯7を、真空中
にて1000℃に2時間熱処理を施すことにより、結晶粒の
異常成長が抑制された細粒状の粒子を有する本実施例の
Fe−Si−Al系合金製磁性薄帯が製造される。
ながら、このロール2間に上記Fe−Si−Al系合金
溶湯6を噴射ノズル4から噴射する。すると、この合金
溶湯6は両ロール2により急冷凝固し、かつロール2間
で圧延されることとなり、これにより厚さ20〜100 μm
, 幅15〜50mmのリボン状の急冷薄帯7が製造される。
このようにして得られた急冷薄帯7は、これの固溶炭素
がカーバイドの形で多数析出した結晶核となって微細組
織を形成している。この後、上記急冷薄帯7を、真空中
にて1000℃に2時間熱処理を施すことにより、結晶粒の
異常成長が抑制された細粒状の粒子を有する本実施例の
Fe−Si−Al系合金製磁性薄帯が製造される。
【0015】次に、上記製造方法により得られた磁性薄
帯の効果を確認するために行った試験結果を説明する。
図2は、上記磁性薄帯のC量と、靱性との関係を示す図
であり、同図からC量0.01〜0.02wt%の場合は最小曲げ
半径は5〜10mmと高く、高靱性が得られていることが
わかる。また、図3及び図4は、C量と、磁性薄帯の1
m 当たりの曲がり,及び割れ個数を示す図であり、各図
からも明らかなように、C量0.01〜0.2wt %の場合は、
曲がりは10mm以下, 割れは1〜20個と小さく、形状不良
が改善されている。これによって積層加工やコア形状加
工を行う際の取り扱いを容易にでき、量産性を向上でき
る。
帯の効果を確認するために行った試験結果を説明する。
図2は、上記磁性薄帯のC量と、靱性との関係を示す図
であり、同図からC量0.01〜0.02wt%の場合は最小曲げ
半径は5〜10mmと高く、高靱性が得られていることが
わかる。また、図3及び図4は、C量と、磁性薄帯の1
m 当たりの曲がり,及び割れ個数を示す図であり、各図
からも明らかなように、C量0.01〜0.2wt %の場合は、
曲がりは10mm以下, 割れは1〜20個と小さく、形状不良
が改善されている。これによって積層加工やコア形状加
工を行う際の取り扱いを容易にでき、量産性を向上でき
る。
【0016】
【表1】
【0017】表1は、上記磁性薄帯の耐摩耗性,及び硬
度を示し、同表からも明らかなように、C無添加のセン
ダスト合金やFRP,Ti合金等の他の部材に比べて本
実施例の磁性薄帯では摩耗量は0.95と小さく、かつ硬度
は545HV と大幅に向上している。
度を示し、同表からも明らかなように、C無添加のセン
ダスト合金やFRP,Ti合金等の他の部材に比べて本
実施例の磁性薄帯では摩耗量は0.95と小さく、かつ硬度
は545HV と大幅に向上している。
【0018】図5ないし図8は、上記磁性薄帯の熱処理
温度と各磁性特性との関係を示す特性図である。各図に
おいて、実線はC元素を添加していないFe−Si−A
l系合金、破線はC元素を添加した本実施例の磁性薄帯
を示す。
温度と各磁性特性との関係を示す特性図である。各図に
おいて、実線はC元素を添加していないFe−Si−A
l系合金、破線はC元素を添加した本実施例の磁性薄帯
を示す。
【0019】図5に示すように、〔200 〕軸における積
分強度比では、C元素無添加の場合は、850 ℃を越える
と結晶粒の異常成長により磁化容易軸の集合組織状態が
悪化し、積分強度比が6から1.5 に低下している。これ
に対して本実施例の磁性薄帯の場合は、850 ℃を越えて
も集合組織状態は変化することなく、異常成長が抑制さ
れていることがわかる。
分強度比では、C元素無添加の場合は、850 ℃を越える
と結晶粒の異常成長により磁化容易軸の集合組織状態が
悪化し、積分強度比が6から1.5 に低下している。これ
に対して本実施例の磁性薄帯の場合は、850 ℃を越えて
も集合組織状態は変化することなく、異常成長が抑制さ
れていることがわかる。
【0020】また、図6に示すように、透磁率では、C
元素無添加の場合、800 ℃を越えると急激に低下してい
る。これに対して本実施例の磁性薄帯の場合は、処理温
度を高くする程透磁率が向上している。さらに、図7に
示すように、磁束密度では、C元素無添加の場合は、80
0 ℃を越えると急激に低下しているのに対して、本実施
例の磁性薄帯の場合は、処理温度を高くする程向上して
いる。さらにまた、図8に示す保磁力では、熱処理温度
が850 ℃を越えると、C元素無添加の場合は高くなる
が、本実施例の磁性薄帯の場合は、逆に低下している。
元素無添加の場合、800 ℃を越えると急激に低下してい
る。これに対して本実施例の磁性薄帯の場合は、処理温
度を高くする程透磁率が向上している。さらに、図7に
示すように、磁束密度では、C元素無添加の場合は、80
0 ℃を越えると急激に低下しているのに対して、本実施
例の磁性薄帯の場合は、処理温度を高くする程向上して
いる。さらにまた、図8に示す保磁力では、熱処理温度
が850 ℃を越えると、C元素無添加の場合は高くなる
が、本実施例の磁性薄帯の場合は、逆に低下している。
【0021】ここで、図2ないし図8において、図中、
○印で示した磁性薄帯は、C元素を0.07wt%添加してな
るFe−Si−Al系合金(Si8%,Al5%、残部
Fe)の特性を示す。
○印で示した磁性薄帯は、C元素を0.07wt%添加してな
るFe−Si−Al系合金(Si8%,Al5%、残部
Fe)の特性を示す。
【0022】実施例2 この実施例は、添加元素にLa,Ceを採用し、これを
0.002 〜0.1 wt%添加して上述と同様の条件及び方法に
よりにFe−Si−Al系合金磁性薄帯を製造した。そ
して、これにより得られた磁性薄帯の効果を確認するた
めの試験を行った。
0.002 〜0.1 wt%添加して上述と同様の条件及び方法に
よりにFe−Si−Al系合金磁性薄帯を製造した。そ
して、これにより得られた磁性薄帯の効果を確認するた
めの試験を行った。
【0023】図9は、上記第2実施例の磁性薄帯の靱性
特性を示す図であり、最小曲げ半径は略5mmと高い靱性
が得られていることがわかる。また、図10及び図11
は、それぞれ磁性薄帯の1m 当たりの曲がり,及び割れ
個数を示す図であり、各図からも明らかなように、曲が
りは10mm以下, 割れは1〜20個と小さく、この場合も形
状不良が改善されていることがわかる。
特性を示す図であり、最小曲げ半径は略5mmと高い靱性
が得られていることがわかる。また、図10及び図11
は、それぞれ磁性薄帯の1m 当たりの曲がり,及び割れ
個数を示す図であり、各図からも明らかなように、曲が
りは10mm以下, 割れは1〜20個と小さく、この場合も形
状不良が改善されていることがわかる。
【0024】
【表2】
【0025】表2は、上記磁性薄帯の耐摩耗性,及び硬
度を示し、同表からも明らかなように、C元素を添加し
ないFe−Si−Al系合金やFRP,Ti合金等の他
の部材に比べて本実施例の磁性薄帯は摩耗量が0.94と小
さく、硬度が560HV と大幅に向上していることがわか
る。
度を示し、同表からも明らかなように、C元素を添加し
ないFe−Si−Al系合金やFRP,Ti合金等の他
の部材に比べて本実施例の磁性薄帯は摩耗量が0.94と小
さく、硬度が560HV と大幅に向上していることがわか
る。
【0026】また、図9ないし図11において、図中、
●印で示した磁性薄帯は、La元素を0.007wt %添加し
てなるFe−Si−Al系合金(Si8%,Al5%,
La+Se0.007 % ,残部Fe)の特性を示す。
●印で示した磁性薄帯は、La元素を0.007wt %添加し
てなるFe−Si−Al系合金(Si8%,Al5%,
La+Se0.007 % ,残部Fe)の特性を示す。
【0027】
【発明の効果】以上のように本発明に係るFe−Si−
Al系磁性薄帯の製造方法によれば、Fe−Si−Al
系合金溶湯に、急冷凝固時に結晶核を形成する元素,又
はその酸化物等を添加し、これにより結晶粒が微細化し
た急冷薄帯を得たので、磁気特性の向上を図りながら高
温処理が可能となることから、形状不良を改善できる効
果があり、かつ加工性を向上できるとともに、靱性,耐
摩耗性等の機械的特性を向上できる効果がある。
Al系磁性薄帯の製造方法によれば、Fe−Si−Al
系合金溶湯に、急冷凝固時に結晶核を形成する元素,又
はその酸化物等を添加し、これにより結晶粒が微細化し
た急冷薄帯を得たので、磁気特性の向上を図りながら高
温処理が可能となることから、形状不良を改善できる効
果があり、かつ加工性を向上できるとともに、靱性,耐
摩耗性等の機械的特性を向上できる効果がある。
【図1】本発明の一実施例によるFe−Si−Al系磁
性薄帯の製造方法を説明するための双ロール装置を示す
図である。
性薄帯の製造方法を説明するための双ロール装置を示す
図である。
【図2】上記第1実施例の磁性薄帯の効果を示す特性図
である。
である。
【図3】上記第1実施例の磁性薄帯の効果を示す特性図
である。
である。
【図4】上記第1実施例の磁性薄帯の効果を示す特性図
である。
である。
【図5】上記第1実施例の磁性薄帯の効果を示す特性図
である。
である。
【図6】上記第1実施例の磁性薄帯の効果を示す特性図
である。
である。
【図7】上記第1実施例の磁性薄帯の効果を示す特性図
である。
である。
【図8】上記第1実施例の磁性薄帯の効果を示す特性図
である。
である。
【図9】上記第2実施例の磁性薄帯の効果を示す特性図
である。
である。
【図10】上記第2実施例の磁性薄帯の効果を示す特性
図である。
図である。
【図11】上記第2実施例の磁性薄帯の効果を示す特性
図である。
図である。
2 圧延冷却ロール 6 Fe−Si−Al系合金溶湯 7 急冷薄帯
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 村上 晋一 兵庫県神戸市中央区脇浜町1丁目3番18号 株式会社神戸製鋼所神戸本社内
Claims (3)
- 【請求項1】 Fe−Si−Al系合金溶湯を一対のロ
ールにより急冷凝固させながら圧延して急冷薄帯を得た
後、これを熱処理して磁性薄帯を製造するようにしたF
e−Si−Al系磁性薄帯の製造方法において、上記合
金溶湯中に、急冷凝固時に結晶核を形成する元素,又は
その酸化物,炭化物,窒化物の少なくとも1つを添加し
て急冷薄帯の結晶粒を微細化せしめ、この薄帯を熱処理
したことを特徴とする磁気特性及び形状性に優れたFe
−Si−Al系磁性薄帯の製造方法。 - 【請求項2】 請求項1において、上記添加元素がCで
あり、これを0.01〜0.2 %添加したことを特徴とするF
e−Si−Al系磁性薄帯の製造方法。 - 【請求項3】 請求項1において、上記添加元素がL
a,及び/又はCeであり、これを0.002 〜0.1 %添加
したことを特徴とするFe−Si−Al系磁性薄帯の製
造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP18524892A JPH0631406A (ja) | 1992-07-13 | 1992-07-13 | 磁気特性及び形状性に優れたFe−Si−Al系磁性薄帯の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP18524892A JPH0631406A (ja) | 1992-07-13 | 1992-07-13 | 磁気特性及び形状性に優れたFe−Si−Al系磁性薄帯の製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0631406A true JPH0631406A (ja) | 1994-02-08 |
Family
ID=16167489
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP18524892A Withdrawn JPH0631406A (ja) | 1992-07-13 | 1992-07-13 | 磁気特性及び形状性に優れたFe−Si−Al系磁性薄帯の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0631406A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPWO2003002771A1 (ja) * | 2001-06-28 | 2004-10-21 | 新日本製鐵株式会社 | 低炭素鋼板、低炭素鋼鋳片およびその製造方法 |
-
1992
- 1992-07-13 JP JP18524892A patent/JPH0631406A/ja not_active Withdrawn
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPWO2003002771A1 (ja) * | 2001-06-28 | 2004-10-21 | 新日本製鐵株式会社 | 低炭素鋼板、低炭素鋼鋳片およびその製造方法 |
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Date | Code | Title | Description |
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