JP3251899B2 - 耐摩耗性高透磁率合金および磁気記録再生ヘッド - Google Patents
耐摩耗性高透磁率合金および磁気記録再生ヘッドInfo
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- H01F1/14708—Fe-Ni based alloys
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、Ni,Nb,N,
OおよびFeよりなる耐摩耗性高透磁率合金およびN
i,Nb,N,OおよびFeを主成分とし、副成分とし
てCr,Mo,Ge,Au,Co,V,W,Cu,T
a,Mn,Al,Si,Ti,Zr,Hf,Sn,S
b,Ga,In,Tl,Zn,Cd,希土類元素,白金
族元素,Be,Ag,Sr,Ba,B,P,Sの1種ま
たは2種以上を含有する耐摩耗性高透磁率合金およびそ
の製造法ならびに磁気記録再生ヘッドに関するもので、
その目的とするところは、鍛造加工が容易で、実効透磁
率が大きく、飽和磁束密度が4000G以上で、{110 }<
112 >+{311 }<112 >の再結晶集合組織を有して耐
摩耗性が良好な磁性合金を得るにある。
OおよびFeよりなる耐摩耗性高透磁率合金およびN
i,Nb,N,OおよびFeを主成分とし、副成分とし
てCr,Mo,Ge,Au,Co,V,W,Cu,T
a,Mn,Al,Si,Ti,Zr,Hf,Sn,S
b,Ga,In,Tl,Zn,Cd,希土類元素,白金
族元素,Be,Ag,Sr,Ba,B,P,Sの1種ま
たは2種以上を含有する耐摩耗性高透磁率合金およびそ
の製造法ならびに磁気記録再生ヘッドに関するもので、
その目的とするところは、鍛造加工が容易で、実効透磁
率が大きく、飽和磁束密度が4000G以上で、{110 }<
112 >+{311 }<112 >の再結晶集合組織を有して耐
摩耗性が良好な磁性合金を得るにある。
【0002】
【従来の技術】テープレコーダーおよびビデオなどの磁
気記録再生ヘッドは交流磁界において作動するものであ
るから、これに用いられる磁性合金は高周波磁界におけ
る実効透磁率が大きいことが必要とされ、また磁気テー
プが接触して摺動するため耐摩耗性が良好であることが
望まれている。現在、耐摩耗性にすぐれた磁気ヘッド用
磁性合金としてはセンダスト(Fe−Si−Al系合
金)およびフェライト(MnO−ZnO−Fe2 O3 )
があるが、これらは非常に硬く脆いため、鍛造、圧延加
工が不可能で、ヘッドコアの製造には研削、研磨の方法
が用いられており、従ってその成品は高価である。また
センダストは飽和磁束密度は大きいが薄板にできないの
で高周波磁界における実効透磁率が比較的小さい。また
フェライトは実効透磁率は大きいが、飽和磁束密度が約
4000Gで小さいのが欠点である。他方パーマロイ(Ni
−Fe系合金)は飽和磁束密度は大きいが、実効透磁率
は小さく、また鍛造、圧延加工および打抜きは容易で量
産性にすぐれているが、摩耗しやすいのが欠点であり、
これを改善することが強く望まれている。
気記録再生ヘッドは交流磁界において作動するものであ
るから、これに用いられる磁性合金は高周波磁界におけ
る実効透磁率が大きいことが必要とされ、また磁気テー
プが接触して摺動するため耐摩耗性が良好であることが
望まれている。現在、耐摩耗性にすぐれた磁気ヘッド用
磁性合金としてはセンダスト(Fe−Si−Al系合
金)およびフェライト(MnO−ZnO−Fe2 O3 )
があるが、これらは非常に硬く脆いため、鍛造、圧延加
工が不可能で、ヘッドコアの製造には研削、研磨の方法
が用いられており、従ってその成品は高価である。また
センダストは飽和磁束密度は大きいが薄板にできないの
で高周波磁界における実効透磁率が比較的小さい。また
フェライトは実効透磁率は大きいが、飽和磁束密度が約
4000Gで小さいのが欠点である。他方パーマロイ(Ni
−Fe系合金)は飽和磁束密度は大きいが、実効透磁率
は小さく、また鍛造、圧延加工および打抜きは容易で量
産性にすぐれているが、摩耗しやすいのが欠点であり、
これを改善することが強く望まれている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、先にN
i−Fe−Nb−N系合金およびNi−Fe−Nb−O
系合金は鍛造加工が容易で硬度が高く、高透磁率合金で
あることから、磁気記録再生ヘッド用磁性合金として好
適であることを見い出し、これを特許出願した(特公昭
62−5972号および特公昭62−12296 号)。その後本発明
者らは、Ni−Fe−Nb−N系合金およびNi−Fe
−Nb−O系合金の摩耗について系統的な研究を行った
結果、摩耗は硬度によって一義的に決定されるものでな
く、合金の再結晶集合組織と緊密な関係があることが明
らかとなった。
i−Fe−Nb−N系合金およびNi−Fe−Nb−O
系合金は鍛造加工が容易で硬度が高く、高透磁率合金で
あることから、磁気記録再生ヘッド用磁性合金として好
適であることを見い出し、これを特許出願した(特公昭
62−5972号および特公昭62−12296 号)。その後本発明
者らは、Ni−Fe−Nb−N系合金およびNi−Fe
−Nb−O系合金の摩耗について系統的な研究を行った
結果、摩耗は硬度によって一義的に決定されるものでな
く、合金の再結晶集合組織と緊密な関係があることが明
らかとなった。
【0004】
【課題を解決するための手段】一般に、摩耗現象は合金
結晶の方位によって大きな差位があり、結晶異方性が存
在することが知られているが、Ni−Fe−Nb系合金
においては{100 }<001 >再結晶集合組織は摩耗しや
すく、{110 }<112 >とこの<112 >方位を軸として
多少回転した{311 }<112 >の再結晶集合組織が耐摩
耗性にすぐれていることが明らかとなった。すなわち、
Ni−Fe−Nb系合金は{110 }<112 >+{311 }
<112 >の再結晶集合組織を形成させることによって、
耐摩耗性が著しく向上することを見い出したのである。
結晶の方位によって大きな差位があり、結晶異方性が存
在することが知られているが、Ni−Fe−Nb系合金
においては{100 }<001 >再結晶集合組織は摩耗しや
すく、{110 }<112 >とこの<112 >方位を軸として
多少回転した{311 }<112 >の再結晶集合組織が耐摩
耗性にすぐれていることが明らかとなった。すなわち、
Ni−Fe−Nb系合金は{110 }<112 >+{311 }
<112 >の再結晶集合組織を形成させることによって、
耐摩耗性が著しく向上することを見い出したのである。
【0005】本発明者らは、この知見に基づいて、Ni
−Fe−Nb系合金の{110 }<112 >+{311 }<11
2 >の再結晶集合組織を形成させるための研究を幾多遂
行した結果、これにNおよびOの合計0.0003〜0.3 %添
加すると{100 }<001 >再結晶集合組織の発達が抑制
され、{110 }<112 >+{311 }<112 >の再結晶集
合組織の形成が著しく促進されることを見い出したので
ある。すなわちNi−Fe2元系合金は冷間圧延加工す
ると{110 }<112 >+{112 }<111 >の加工集合組
織が生じるが、これを高温加熱すると{100 }<001 >
再結晶集合組織が発達することが知られている。しか
し、これにNbを添加すると積層欠陥エネルギーが低下
するが、さらにこれにNおよびOの合計0.0003〜0.3 %
添加すると、窒化物および酸化物が粒界に析出し粒界エ
ネルギーが低下して、再結晶において{100 }<001 >
再結晶集合組織の発達を強く抑制し、{110 }<112 >
+{311 }<112 >の再結晶集合組織の成長が優先的に
促進され、{110 }<112 >+{311 }<112 >の再結
晶集合組織が形成されて、耐摩耗性が著しく向上する。
また、Ni−Fe−Nb系合金にNおよびOを添加する
と硬い窒化物および酸化物がマトリックス中にも析出
し、耐摩耗性の向上に寄与するとともに、これらの強磁
性、弱磁性および非磁性の微細な窒化物および酸化物の
分散析出によって磁区が分割されて、交流磁界における
渦電流損失が減少し、このために実効透磁率が増大する
ことも見い出した。要するに、NbとNおよびOの相乗
的効果により、{110 }<112 >+{311 }<112 >の
再結晶集合組織が発達するとともに実効透磁率が増大
し、耐摩耗性のすぐれた高透磁率合金が得られるのであ
る。
−Fe−Nb系合金の{110 }<112 >+{311 }<11
2 >の再結晶集合組織を形成させるための研究を幾多遂
行した結果、これにNおよびOの合計0.0003〜0.3 %添
加すると{100 }<001 >再結晶集合組織の発達が抑制
され、{110 }<112 >+{311 }<112 >の再結晶集
合組織の形成が著しく促進されることを見い出したので
ある。すなわちNi−Fe2元系合金は冷間圧延加工す
ると{110 }<112 >+{112 }<111 >の加工集合組
織が生じるが、これを高温加熱すると{100 }<001 >
再結晶集合組織が発達することが知られている。しか
し、これにNbを添加すると積層欠陥エネルギーが低下
するが、さらにこれにNおよびOの合計0.0003〜0.3 %
添加すると、窒化物および酸化物が粒界に析出し粒界エ
ネルギーが低下して、再結晶において{100 }<001 >
再結晶集合組織の発達を強く抑制し、{110 }<112 >
+{311 }<112 >の再結晶集合組織の成長が優先的に
促進され、{110 }<112 >+{311 }<112 >の再結
晶集合組織が形成されて、耐摩耗性が著しく向上する。
また、Ni−Fe−Nb系合金にNおよびOを添加する
と硬い窒化物および酸化物がマトリックス中にも析出
し、耐摩耗性の向上に寄与するとともに、これらの強磁
性、弱磁性および非磁性の微細な窒化物および酸化物の
分散析出によって磁区が分割されて、交流磁界における
渦電流損失が減少し、このために実効透磁率が増大する
ことも見い出した。要するに、NbとNおよびOの相乗
的効果により、{110 }<112 >+{311 }<112 >の
再結晶集合組織が発達するとともに実効透磁率が増大
し、耐摩耗性のすぐれた高透磁率合金が得られるのであ
る。
【0006】本発明の特徴とする所は次の通りである。 第1発明 重量比にてNi 60 〜90%、Nb 0.5〜14%、Nおよび
Oの合計0.0003〜0.3%(但し、NおよびOは0%を含
まず)および残部Feと少量の不純物とからなる合金
を、1000℃を越え融点以下の温度で熱間加工した後冷却
し、次に加工率50%以上の冷間加工を施した後、900 ℃
を越え融点以下の温度で加熱し、ついで規則−不規則格
子変態点以上の温度から100 ℃/秒〜1℃/時の組成に
対応した所定の速度で常温まで冷却することにより得ら
れた合金で、1kHz における実効透磁率3000以上、飽和
磁束密度4000G以上で、且つ{110 }<112 >+{311
}<112 >の再結晶集合組織を有する合金であること
を特徴とする耐摩耗性高透磁率合金。
Oの合計0.0003〜0.3%(但し、NおよびOは0%を含
まず)および残部Feと少量の不純物とからなる合金
を、1000℃を越え融点以下の温度で熱間加工した後冷却
し、次に加工率50%以上の冷間加工を施した後、900 ℃
を越え融点以下の温度で加熱し、ついで規則−不規則格
子変態点以上の温度から100 ℃/秒〜1℃/時の組成に
対応した所定の速度で常温まで冷却することにより得ら
れた合金で、1kHz における実効透磁率3000以上、飽和
磁束密度4000G以上で、且つ{110 }<112 >+{311
}<112 >の再結晶集合組織を有する合金であること
を特徴とする耐摩耗性高透磁率合金。
【0007】第2発明 重量比にてNi 60 〜90%、Nb 0.5〜14%、Nおよび
Oの合計0.0003〜0.3%(但し、NおよびOは0%を含
まず)、および残部Feと少量の不純物とからなる合金
を、1000℃を越え融点以下の温度で熱間加工した後冷却
し、次に加工率50%以上の冷間加工を施した後、900 ℃
を越え融点以下の温度で加熱し、ついで規則−不規則格
子変態点以上の温度から100 ℃/秒〜1℃/時の組成に
対応した所定の速度で冷却し、これをさらに規則−不規
則格子変態点以下の温度で1分間以上100 時間以下の組
成に対応した所定の時間加熱し冷却することにより得ら
れた合金で1kHz における実効透磁率3000以上、飽和磁
束密度4000G以上で、且つ{110 }<112 >+{311 }
<112 >の再結晶集合組織を有する合金であることを特
徴とする耐摩耗性高透磁率合金。
Oの合計0.0003〜0.3%(但し、NおよびOは0%を含
まず)、および残部Feと少量の不純物とからなる合金
を、1000℃を越え融点以下の温度で熱間加工した後冷却
し、次に加工率50%以上の冷間加工を施した後、900 ℃
を越え融点以下の温度で加熱し、ついで規則−不規則格
子変態点以上の温度から100 ℃/秒〜1℃/時の組成に
対応した所定の速度で冷却し、これをさらに規則−不規
則格子変態点以下の温度で1分間以上100 時間以下の組
成に対応した所定の時間加熱し冷却することにより得ら
れた合金で1kHz における実効透磁率3000以上、飽和磁
束密度4000G以上で、且つ{110 }<112 >+{311 }
<112 >の再結晶集合組織を有する合金であることを特
徴とする耐摩耗性高透磁率合金。
【0008】第3発明 重量比にてNi 60 〜90%、Nb 0.5〜14%、Nおよび
Oの合計0.0003〜0.3%(但し、NおよびOは0%を含
まず)および副成分としてCr,Mo,Ge,Auをそ
れぞれ7%以下、Co,Vをそれぞれ10%以下、Wを15
%以下、Cu,Ta,Mnをそれぞれ25%以下、Al,
Si,Ti,Zr,Hf,Sn,Sb,Ga,In,T
l,Zn,Cd,希土類元素、白金族元素をそれぞれ5
%以下、Be,Ag,Sr,Baをそれぞれ3%以下、
Bを1%以下、Pを0.7 %以下、Sを0.1 %以下の1種
または2種以上の合計0.001 〜30%および残部Feと少
量の不純物とからなる合金を、1000℃を越え融点以下の
温度で熱間加工した後冷却し、次に加工率50%以上の冷
間加工を施した後、900 ℃を越え融点以下の温度で加熱
し、ついで規則−不規則格子変態点以上の温度から100
℃/秒〜1℃/時の組成に対応した所定の速度で常温ま
で冷却することにより得られた合金で、1kHz における
実効透磁率3000以上、飽和磁束密度4000G以上で、且つ
{110 }<112 >+{311 }<112 >の再結晶集合組織
を有する合金であることを特徴とする耐摩耗性高透磁率
合金よりなる磁気記録再生ヘッド。
Oの合計0.0003〜0.3%(但し、NおよびOは0%を含
まず)および副成分としてCr,Mo,Ge,Auをそ
れぞれ7%以下、Co,Vをそれぞれ10%以下、Wを15
%以下、Cu,Ta,Mnをそれぞれ25%以下、Al,
Si,Ti,Zr,Hf,Sn,Sb,Ga,In,T
l,Zn,Cd,希土類元素、白金族元素をそれぞれ5
%以下、Be,Ag,Sr,Baをそれぞれ3%以下、
Bを1%以下、Pを0.7 %以下、Sを0.1 %以下の1種
または2種以上の合計0.001 〜30%および残部Feと少
量の不純物とからなる合金を、1000℃を越え融点以下の
温度で熱間加工した後冷却し、次に加工率50%以上の冷
間加工を施した後、900 ℃を越え融点以下の温度で加熱
し、ついで規則−不規則格子変態点以上の温度から100
℃/秒〜1℃/時の組成に対応した所定の速度で常温ま
で冷却することにより得られた合金で、1kHz における
実効透磁率3000以上、飽和磁束密度4000G以上で、且つ
{110 }<112 >+{311 }<112 >の再結晶集合組織
を有する合金であることを特徴とする耐摩耗性高透磁率
合金よりなる磁気記録再生ヘッド。
【0009】第4発明 重量比にてNi 60 〜90%、Nb 0.5〜14%、Nおよび
Oの合計0.0003〜0.3%(但し、NおよびOは0%を含
まず)、および副成分としてCr,Mo,Ge,Auを
それぞれ7%以下、Co,Vをそれぞれ10%以下、Wを
15%以下、Cu,Ta,Mnをそれぞれ25%以下、A
l,Si,Ti,Zr,Hf,Sn,Sb,Ga,I
n,Tl,Zn,Cd,希土類元素、白金族元素をそれ
ぞれ5%以下、Be,Ag,Sr,Baをそれぞれ3%
以下、Bを1%以下、Pを0.7 %以下、Sを0.1 %以下
の1種または2種以上の合計0.001 〜30%および残部F
eと少量の不純物とからなる合金を、1000℃を越え融点
以下の温度で熱間加工した後冷却し、次に加工率50%以
上の冷間加工を施した後、900 ℃を越え融点以下の温度
で加熱し、ついで規則−不規則格子変態点以上の温度か
ら100 ℃/秒〜1℃/時の組成に対応した所定の速度で
冷却し、これをさらに規則−不規則格子変態点以下の温
度で1分間以上100 時間以下の組成に対応した所定の時
間加熱し冷却することにより得られた合金で、1kHz に
おける実効透磁率3000以上、飽和磁束密度4000G以上
で、且つ{110 }<112 >+{311 }<112 >の再結晶
集合組織を有する合金であることを特徴とする耐摩耗性
高透磁率合金よりなる磁気記録再生ヘッド。
Oの合計0.0003〜0.3%(但し、NおよびOは0%を含
まず)、および副成分としてCr,Mo,Ge,Auを
それぞれ7%以下、Co,Vをそれぞれ10%以下、Wを
15%以下、Cu,Ta,Mnをそれぞれ25%以下、A
l,Si,Ti,Zr,Hf,Sn,Sb,Ga,I
n,Tl,Zn,Cd,希土類元素、白金族元素をそれ
ぞれ5%以下、Be,Ag,Sr,Baをそれぞれ3%
以下、Bを1%以下、Pを0.7 %以下、Sを0.1 %以下
の1種または2種以上の合計0.001 〜30%および残部F
eと少量の不純物とからなる合金を、1000℃を越え融点
以下の温度で熱間加工した後冷却し、次に加工率50%以
上の冷間加工を施した後、900 ℃を越え融点以下の温度
で加熱し、ついで規則−不規則格子変態点以上の温度か
ら100 ℃/秒〜1℃/時の組成に対応した所定の速度で
冷却し、これをさらに規則−不規則格子変態点以下の温
度で1分間以上100 時間以下の組成に対応した所定の時
間加熱し冷却することにより得られた合金で、1kHz に
おける実効透磁率3000以上、飽和磁束密度4000G以上
で、且つ{110 }<112 >+{311 }<112 >の再結晶
集合組織を有する合金であることを特徴とする耐摩耗性
高透磁率合金よりなる磁気記録再生ヘッド。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明の合金を造るには、重量比
にてNi 60 〜90%、Nb 0.5〜14%および残部Feの
適当量を、空気中、窒素および酸素の適当な混合ガス雰
囲気中あるいは真空中において、適当な溶解炉を用いて
溶解した後、そのままか、さらにこれに副成分元素とし
てCr,Mo,Ge,Auの7%以下、Co,Vの10%
以下、Wの15%以下、Cu,Ta,Mnの25%以下、A
l,Si,Ti,Zr,Hf,Sn,Sb,Ga,I
n,Tl,Zn,Cd,希土類元素,白金族元素の5%
以下、Be,Ag,Sr,Baの3%以下、Bの1%以
下、Pの0.7 %以下、Sの0.1 %以下の1種または2種
以上の合計0.001 〜30%の所定量を添加して充分に攪拌
して組成的に均一な溶融合金を造る。ついで、N2 ,N
3 HおよびO2 ガスを炉内に導入して調圧するか、ある
いは合金成分の窒化物および酸化物を適当量添加するこ
とにより、溶融合金に適当量の窒素および酸素を添加す
る。
にてNi 60 〜90%、Nb 0.5〜14%および残部Feの
適当量を、空気中、窒素および酸素の適当な混合ガス雰
囲気中あるいは真空中において、適当な溶解炉を用いて
溶解した後、そのままか、さらにこれに副成分元素とし
てCr,Mo,Ge,Auの7%以下、Co,Vの10%
以下、Wの15%以下、Cu,Ta,Mnの25%以下、A
l,Si,Ti,Zr,Hf,Sn,Sb,Ga,I
n,Tl,Zn,Cd,希土類元素,白金族元素の5%
以下、Be,Ag,Sr,Baの3%以下、Bの1%以
下、Pの0.7 %以下、Sの0.1 %以下の1種または2種
以上の合計0.001 〜30%の所定量を添加して充分に攪拌
して組成的に均一な溶融合金を造る。ついで、N2 ,N
3 HおよびO2 ガスを炉内に導入して調圧するか、ある
いは合金成分の窒化物および酸化物を適当量添加するこ
とにより、溶融合金に適当量の窒素および酸素を添加す
る。
【0011】次にこれを適当な形および大きさの鋳型に
注入して健全な鋳塊を得、さらにこれに1000℃を越え融
点以下の温度において鍛造および熱間加工(熱間圧延な
ど)を施して適当な厚さの板となし、また、必要ならば
焼鈍する。次いでこれに冷間圧延などの方法によって加
工率50%以上の冷間加工を施し、目的の形状のもの、例
えば厚さ0.1 mmの薄板を造る。次にその薄板から外径45
mm、内径33mmの環状板を打抜き、これを水素中その他の
適当な非酸化性雰囲気(水素、アルゴン、窒素など)中
あるいは真空中で1000℃を越え融点以下の温度で適当時
間加熱し、ついで規則−不規則格子変態点(約600 ℃)
以上の温度から100 ℃/秒〜1℃/時の組成に対応した
適当な速度で冷却するかあるいはこれをさらに規則−不
規則格子変態点(約600 ℃)以下の温度で適当時間再加
熱し、冷却する。このようにして実効透磁率3000以上、
飽和磁束密度4000G以上を有し、且つ{110 }<112 >
+{311 }<112 >の再結晶集合組織を有した耐摩耗性
高透磁率合金が得られる。
注入して健全な鋳塊を得、さらにこれに1000℃を越え融
点以下の温度において鍛造および熱間加工(熱間圧延な
ど)を施して適当な厚さの板となし、また、必要ならば
焼鈍する。次いでこれに冷間圧延などの方法によって加
工率50%以上の冷間加工を施し、目的の形状のもの、例
えば厚さ0.1 mmの薄板を造る。次にその薄板から外径45
mm、内径33mmの環状板を打抜き、これを水素中その他の
適当な非酸化性雰囲気(水素、アルゴン、窒素など)中
あるいは真空中で1000℃を越え融点以下の温度で適当時
間加熱し、ついで規則−不規則格子変態点(約600 ℃)
以上の温度から100 ℃/秒〜1℃/時の組成に対応した
適当な速度で冷却するかあるいはこれをさらに規則−不
規則格子変態点(約600 ℃)以下の温度で適当時間再加
熱し、冷却する。このようにして実効透磁率3000以上、
飽和磁束密度4000G以上を有し、且つ{110 }<112 >
+{311 }<112 >の再結晶集合組織を有した耐摩耗性
高透磁率合金が得られる。
【0012】次に本発明の図面につき説明する。図1は
79.5%Ni−Fe−5.5 %Nb−N−O系合金(但し、
N:O=1:1)について加工率90%の冷間圧延をし、
1150℃で加熱した後600 ℃/時の速度で冷却した場合の
再結晶集合組織および諸特性とNおよびO量との関係を
示したものである。Ni−Fe−Nb系合金は冷間圧延
加工すると{110 }<112 >+{112 }<111 >の加工
集合組織が生じるが、これを高温加熱すると{100 }<
001 >と{110 }<112 >+{311 }<112 >の再結晶
集合組織が生成する。しかし、これにNおよびOを添加
すると{100 }<001 >再結晶集合組織の生成が抑制さ
れ、{110 }<112 >+{311 }<112 >の再結晶集合
組織が発達し、それとともに摩耗量は減少する。また実
効透磁率はNおよびOの添加によって増大するが、Nお
よびOの合計で0.3 %以上では鍛造加工が困難となり好
ましくない。
79.5%Ni−Fe−5.5 %Nb−N−O系合金(但し、
N:O=1:1)について加工率90%の冷間圧延をし、
1150℃で加熱した後600 ℃/時の速度で冷却した場合の
再結晶集合組織および諸特性とNおよびO量との関係を
示したものである。Ni−Fe−Nb系合金は冷間圧延
加工すると{110 }<112 >+{112 }<111 >の加工
集合組織が生じるが、これを高温加熱すると{100 }<
001 >と{110 }<112 >+{311 }<112 >の再結晶
集合組織が生成する。しかし、これにNおよびOを添加
すると{100 }<001 >再結晶集合組織の生成が抑制さ
れ、{110 }<112 >+{311 }<112 >の再結晶集合
組織が発達し、それとともに摩耗量は減少する。また実
効透磁率はNおよびOの添加によって増大するが、Nお
よびOの合計で0.3 %以上では鍛造加工が困難となり好
ましくない。
【0013】図2は、79.5%Ni−Fe−5.5 %Nb−
0.022 %N−0.022 %O合金について、熱間加工温度と
再結晶集合組織および摩耗量との関係を示したものであ
る。熱間加工温度が1000℃以上に上昇すると、{112 }
<111 >再結晶集合組織の生成が減少し、{110 }<11
2 >+{311 }<112 >の再結晶集合組織の生成が助長
され摩耗量が著しく減少する。
0.022 %N−0.022 %O合金について、熱間加工温度と
再結晶集合組織および摩耗量との関係を示したものであ
る。熱間加工温度が1000℃以上に上昇すると、{112 }
<111 >再結晶集合組織の生成が減少し、{110 }<11
2 >+{311 }<112 >の再結晶集合組織の生成が助長
され摩耗量が著しく減少する。
【0014】図3は、79.5%Ni−Fe−5.5 %Nb−
0.022 %N−0.022 %O合金について、1150℃で加熱し
た場合の再結晶集合組織および諸特性と冷間加工率との
関係を示したもので、冷間加工率の増加は{110 }<11
2 >+{311 }<112 >の再結晶集合組織の発達をもた
らし、耐摩耗性を向上させ、実効透磁率を高める。
0.022 %N−0.022 %O合金について、1150℃で加熱し
た場合の再結晶集合組織および諸特性と冷間加工率との
関係を示したもので、冷間加工率の増加は{110 }<11
2 >+{311 }<112 >の再結晶集合組織の発達をもた
らし、耐摩耗性を向上させ、実効透磁率を高める。
【0015】図4は、79.5%Ni−Fe−5.5 %Nb−
0.022 %N−0.022 %O合金を冷間加工率90%で圧延し
た後の加熱温度と再結晶集合組織および諸特性との関係
を示したもので、加熱温度の上昇とともに{112 }<11
1 >成分が減少し、{110 }<112 >+{311 }<112
>が発達して耐摩耗性が向上し、また実効透磁率は増大
する。
0.022 %N−0.022 %O合金を冷間加工率90%で圧延し
た後の加熱温度と再結晶集合組織および諸特性との関係
を示したもので、加熱温度の上昇とともに{112 }<11
1 >成分が減少し、{110 }<112 >+{311 }<112
>が発達して耐摩耗性が向上し、また実効透磁率は増大
する。
【0016】図5は、合金番号6(79.0%Ni−Fe−
2.5 %Nb−0.1505%N−0.0072%O合金)合金番号12
(79.5%Ni−Fe−5.5 %Nb−0.022 %N−0.022
%O合金)、合金番号30(80.5%Ni−Fe−5.0 %N
b−0.0136%N−0.024 %O−4%Mo合金)について
実効透磁率と冷却速度との関係およびこれらをさらに再
加熱処理を施した場合の実効透磁率(×印)を示したも
のである。図から明らかなように、合金番号30の試料に
再加熱処理を380 ℃で3時間施すことにより実効透磁率
は3.5 ×104 と著しく改善される。また合金番号12の試
料において再加熱処理を400 ℃で1時間施すと実効透磁
率が2.5 ×104 の如く改善される。すなわち、合金の組
成に対応した最適冷却速度、最適再加熱温度および再加
熱時間が存在することが判る。
2.5 %Nb−0.1505%N−0.0072%O合金)合金番号12
(79.5%Ni−Fe−5.5 %Nb−0.022 %N−0.022
%O合金)、合金番号30(80.5%Ni−Fe−5.0 %N
b−0.0136%N−0.024 %O−4%Mo合金)について
実効透磁率と冷却速度との関係およびこれらをさらに再
加熱処理を施した場合の実効透磁率(×印)を示したも
のである。図から明らかなように、合金番号30の試料に
再加熱処理を380 ℃で3時間施すことにより実効透磁率
は3.5 ×104 と著しく改善される。また合金番号12の試
料において再加熱処理を400 ℃で1時間施すと実効透磁
率が2.5 ×104 の如く改善される。すなわち、合金の組
成に対応した最適冷却速度、最適再加熱温度および再加
熱時間が存在することが判る。
【0017】図6は、79.5%Ni−Fe−5.5 %Nb−
0.022 %N−0.022 %O系合金にCr,Mo,Ge,A
uあるいはCoを添加した場合の磁気ヘッドの摩耗量お
よび実効透磁率の特性図で、Cr,Mo,Ge,Auあ
るいはCoを添加すると、何れも実効透磁率は高くな
り、摩耗量は減少するが、Cr,Mo,GeあるいはA
uの7%以上では飽和磁束密度が4000G以下となり好ま
しくない。またCo10%以上では残留磁気が大きくな
り、帯磁ノイズが増大するので好ましくない。
0.022 %N−0.022 %O系合金にCr,Mo,Ge,A
uあるいはCoを添加した場合の磁気ヘッドの摩耗量お
よび実効透磁率の特性図で、Cr,Mo,Ge,Auあ
るいはCoを添加すると、何れも実効透磁率は高くな
り、摩耗量は減少するが、Cr,Mo,GeあるいはA
uの7%以上では飽和磁束密度が4000G以下となり好ま
しくない。またCo10%以上では残留磁気が大きくな
り、帯磁ノイズが増大するので好ましくない。
【0018】図7は、同じく79.5%Ni−Fe−5.5 %
Nb−0.022 %N−0.022 %O系合金にV,W,Cu,
TaあるいはMnを添加した場合の磁気ヘッドの摩耗量
および実効透磁率の特性図で、V,W,Cu,Taある
いはMnを添加すると、何れも実効透磁率は高くなり、
摩耗量は減少するが、Vを10%以上、Wを15%以上、C
u,TaあるいはMnを25%以上添加すると飽和磁束密
度が4000G以下となり好ましくない。
Nb−0.022 %N−0.022 %O系合金にV,W,Cu,
TaあるいはMnを添加した場合の磁気ヘッドの摩耗量
および実効透磁率の特性図で、V,W,Cu,Taある
いはMnを添加すると、何れも実効透磁率は高くなり、
摩耗量は減少するが、Vを10%以上、Wを15%以上、C
u,TaあるいはMnを25%以上添加すると飽和磁束密
度が4000G以下となり好ましくない。
【0019】図8は、同じく79.5%Ni−Fe−5.5 %
Nb−0.022 %N−0.022 %O系合金にAl,Si,T
i,Zr,Hf,Sn,Sb,Ga,InあるいはTl
を添加した場合の特性図で、Al,Si,Ti,Zr,
Hf,Sn,Sb,Ga,InあるいはTlを添加する
と、何れも実効透磁率は高くなり、摩耗量は減少する
が、Si,Ti,Zr,Hf,Ga,InあるいはTl
を5%以上添加すると飽和磁束密度が4000G以下とな
り、Al,SnあるいはSbが5%以上では鍛造加工が
困難となり好ましくない。
Nb−0.022 %N−0.022 %O系合金にAl,Si,T
i,Zr,Hf,Sn,Sb,Ga,InあるいはTl
を添加した場合の特性図で、Al,Si,Ti,Zr,
Hf,Sn,Sb,Ga,InあるいはTlを添加する
と、何れも実効透磁率は高くなり、摩耗量は減少する
が、Si,Ti,Zr,Hf,Ga,InあるいはTl
を5%以上添加すると飽和磁束密度が4000G以下とな
り、Al,SnあるいはSbが5%以上では鍛造加工が
困難となり好ましくない。
【0020】図9は、同じく79.5%Ni−Fe−5.5 %
Nb−0.022 %N−0.022 %O系合金にZn,Cd,L
a ,Pt,Be,Ag,Sr,Ba,B,PあるいはS
を添加した場合の特性図で、Zn,Cd,La ,Pt,
Be,Ag,Sr,Ba,B,PあるいはSを添加する
と、何れも実効透磁率は高くなり、摩耗量は減少する
が、Zn,Cd,La ,Ptを5%以上、Be,Sr,
Baを3%以上添加すると飽和磁束密度が4000G以下と
なり、Agを3%以上、Bを1%以上、Pを0.7%以上
あるいはSを0.1 %以上添加すると鍛造加工が困難とな
り好ましくない。
Nb−0.022 %N−0.022 %O系合金にZn,Cd,L
a ,Pt,Be,Ag,Sr,Ba,B,PあるいはS
を添加した場合の特性図で、Zn,Cd,La ,Pt,
Be,Ag,Sr,Ba,B,PあるいはSを添加する
と、何れも実効透磁率は高くなり、摩耗量は減少する
が、Zn,Cd,La ,Ptを5%以上、Be,Sr,
Baを3%以上添加すると飽和磁束密度が4000G以下と
なり、Agを3%以上、Bを1%以上、Pを0.7%以上
あるいはSを0.1 %以上添加すると鍛造加工が困難とな
り好ましくない。
【0021】本発明において、1000℃を越えた温度での
熱間加工は{110 }<112 >+{311 }<112 >の再結
晶集合組織の形成を促進するために必要であり、また冷
間加工は{110 }<112 >+{112 }<111 >の集合組
織を形成し、これを基として{110 }<112 >+{311
}<112 >の再結晶集合組織を発達させるために必要
で、図1,図2および図3に見られるようにNおよびO
の合計0.0003%以上好ましくは0.0005%以上の添加にお
いて、1000℃を越えた温度で熱間加工をした後、特に加
工率50%以上の冷間加工を施した場合に、{110 }<11
2 >+{311 }<112 >の再結晶集合組織の発達が顕著
で、耐摩耗性は著しく向上し、その実効透磁率も高い。
また上記の冷間加工に次いで行われる加熱は、組織の均
一化、加工歪の除去とともに、{110 }<112 >+{31
1 }<112 >の再結晶集合組織を発達させ、高い実効透
磁率とすぐれた耐摩耗性を得るために必要であるが、図
4に見られるように特に900 ℃を越え融点以下の温度の
加熱によって実効透磁率および耐摩耗性は顕著に向上す
る。
熱間加工は{110 }<112 >+{311 }<112 >の再結
晶集合組織の形成を促進するために必要であり、また冷
間加工は{110 }<112 >+{112 }<111 >の集合組
織を形成し、これを基として{110 }<112 >+{311
}<112 >の再結晶集合組織を発達させるために必要
で、図1,図2および図3に見られるようにNおよびO
の合計0.0003%以上好ましくは0.0005%以上の添加にお
いて、1000℃を越えた温度で熱間加工をした後、特に加
工率50%以上の冷間加工を施した場合に、{110 }<11
2 >+{311 }<112 >の再結晶集合組織の発達が顕著
で、耐摩耗性は著しく向上し、その実効透磁率も高い。
また上記の冷間加工に次いで行われる加熱は、組織の均
一化、加工歪の除去とともに、{110 }<112 >+{31
1 }<112 >の再結晶集合組織を発達させ、高い実効透
磁率とすぐれた耐摩耗性を得るために必要であるが、図
4に見られるように特に900 ℃を越え融点以下の温度の
加熱によって実効透磁率および耐摩耗性は顕著に向上す
る。
【0022】尚、上記の冷間加工と、次いで行われる90
0 ℃を越え融点以下の加熱を繰り返し行うことは、{11
0 }<112 >+{311 }<112 >の再結晶集合組織の集
積度を高め、耐摩耗性を向上させるために有効である。
この場合は最終冷間加工の加工率が50%以下でも{110
}<112 >+{311 }<112 >の再結晶集合組織が得
られが、本発明の技術的思想に包含されるものである。
従って、本発明の冷間加工率は、全製造行程における冷
間加工を総計した加工率を意味し、最終冷間加工率のみ
を意味するものではない。
0 ℃を越え融点以下の加熱を繰り返し行うことは、{11
0 }<112 >+{311 }<112 >の再結晶集合組織の集
積度を高め、耐摩耗性を向上させるために有効である。
この場合は最終冷間加工の加工率が50%以下でも{110
}<112 >+{311 }<112 >の再結晶集合組織が得
られが、本発明の技術的思想に包含されるものである。
従って、本発明の冷間加工率は、全製造行程における冷
間加工を総計した加工率を意味し、最終冷間加工率のみ
を意味するものではない。
【0023】上記の900 ℃を越え融点以下の温度から規
則−不規則格子変態点(約600 ℃)以上の温度までの冷
却は、急冷しても徐冷しても得られる磁性には大した変
わりはないが、図5に見られるようにこの変態点以下の
冷却速度は磁性に大きな影響を及ぼす。すなわち、この
変態点以上の温度より100 ℃/秒〜1℃/時の組成に対
応した適当な速度で常温迄冷却することにより、地の規
則度が適度に調整され、すぐれた磁性が得られる。そし
て上記の冷却速度の内100 ℃/秒に近い速度で急冷する
と、規則度が小さくなり、これ以上速く冷却すると規則
化が進まず、規則度はさらに小さくなり磁性は劣化す
る。しかし、その規則度の小さい合金をその変態点以下
の200 ℃〜600 ℃において組成に対応して、1分間以上
100 時間以下再加熱し冷却すると、規則化が進んで適度
な規則度となり磁性は向上する。他方、上記の変態点以
上の温度から、例えば1℃/時以下の速度で徐冷する
と、規則化は進みすぎ、磁性は低下する。尚、上記の熱
処理を水素が存在する雰囲気中で施すことは、実効透磁
率を高めるのに特に効果があるので好ましい。
則−不規則格子変態点(約600 ℃)以上の温度までの冷
却は、急冷しても徐冷しても得られる磁性には大した変
わりはないが、図5に見られるようにこの変態点以下の
冷却速度は磁性に大きな影響を及ぼす。すなわち、この
変態点以上の温度より100 ℃/秒〜1℃/時の組成に対
応した適当な速度で常温迄冷却することにより、地の規
則度が適度に調整され、すぐれた磁性が得られる。そし
て上記の冷却速度の内100 ℃/秒に近い速度で急冷する
と、規則度が小さくなり、これ以上速く冷却すると規則
化が進まず、規則度はさらに小さくなり磁性は劣化す
る。しかし、その規則度の小さい合金をその変態点以下
の200 ℃〜600 ℃において組成に対応して、1分間以上
100 時間以下再加熱し冷却すると、規則化が進んで適度
な規則度となり磁性は向上する。他方、上記の変態点以
上の温度から、例えば1℃/時以下の速度で徐冷する
と、規則化は進みすぎ、磁性は低下する。尚、上記の熱
処理を水素が存在する雰囲気中で施すことは、実効透磁
率を高めるのに特に効果があるので好ましい。
【0024】
【実施例】次に本発明の実施例につき説明する。 実施例1 合金番号12(組成Ni=79.5%,Nb=5.5 %,N=0.
022 %,O=0.022 %,Fe=残部)の合金の製造。 原料として99.9%純度の電解ニッケルおよび電解鉄、9
9.8%の純度のニオブを用いた。試料を造るには、原料
の全重量800 gをアルミナ坩堝に入れ、真空中で高周波
誘導電気炉によって溶かした後、よく攪拌して均質な溶
融合金とした。ついで、全圧3×10-1Torrの窒素と
酸素との混合ガス(N2 :O2 =1:1)雰囲気中で13
分間保持した後直径25mm、高さ170 mmの孔をもつ鋳型に
注入し、得られた鋳塊を約1150℃で鍛造して厚さ約7mm
の板とした。さらに、1000℃を越え1300℃の間で適当な
厚さまで熱間圧延し、ついで常温で種々な加工率で冷間
加工を施して0.1 mmの薄板とし、それから外径45mm、内
径33mmの環状板を打ち抜いた。つぎに、これに種々な熱
処理を施して、磁気特性および磁気ヘッドのコアとして
使用した場合、湿度85%、45℃において磁気テープによ
る300 時間走行後の摩耗量をタリサーフ表面粗さ計で測
定を行い、表1のような特性を得た。
022 %,O=0.022 %,Fe=残部)の合金の製造。 原料として99.9%純度の電解ニッケルおよび電解鉄、9
9.8%の純度のニオブを用いた。試料を造るには、原料
の全重量800 gをアルミナ坩堝に入れ、真空中で高周波
誘導電気炉によって溶かした後、よく攪拌して均質な溶
融合金とした。ついで、全圧3×10-1Torrの窒素と
酸素との混合ガス(N2 :O2 =1:1)雰囲気中で13
分間保持した後直径25mm、高さ170 mmの孔をもつ鋳型に
注入し、得られた鋳塊を約1150℃で鍛造して厚さ約7mm
の板とした。さらに、1000℃を越え1300℃の間で適当な
厚さまで熱間圧延し、ついで常温で種々な加工率で冷間
加工を施して0.1 mmの薄板とし、それから外径45mm、内
径33mmの環状板を打ち抜いた。つぎに、これに種々な熱
処理を施して、磁気特性および磁気ヘッドのコアとして
使用した場合、湿度85%、45℃において磁気テープによ
る300 時間走行後の摩耗量をタリサーフ表面粗さ計で測
定を行い、表1のような特性を得た。
【0025】
【表1】
【0026】実施例2 合金番号42(組成Ni=76.0%,Nb=3.0 %,N=0.
026 %,O=0.0158%,Ta=10.0%,Fe=残部)の
合金の製造。 原料として実施例1と同じ純度の電解ニッケル、電解鉄
およびニオブと99.8%純度のタンタルを用いた。試料を
造るには、原料の全重量800 gをアルミナ坩堝に入れ、
全圧6×10-1Torrの窒素と酸素との混合ガス
(N2 :O2 =6:4)雰囲気中で高周波誘導電気炉に
よって溶かした後、よく攪拌して均質な溶融合金とし
た。次にこれを直径25mm、高さ170 mmの孔をもつ鋳型に
注入し、得られた鋳塊を約1250℃の温度で鍛造して厚さ
約7mmの板とした。さらに、1000℃を越え1400℃の間で
適当な厚さまで熱間圧延し、ついで常温で種々な加工率
で冷間圧延加工を施して0.1 mmの薄板とし、それから外
径45mm、内径33mmの環状板を打抜いた。つぎに、これに
種々な熱処理を施して、磁気特性および磁気ヘッドのコ
アとして使用した場合、湿度85%、45℃において磁気テ
ープによる300 時間走行後の摩耗量をタリサーフ表面粗
さ計で測定を行い、表2のような特性を得た。なお代表
的な合金の特性は表3,表4に示すとおりである。
026 %,O=0.0158%,Ta=10.0%,Fe=残部)の
合金の製造。 原料として実施例1と同じ純度の電解ニッケル、電解鉄
およびニオブと99.8%純度のタンタルを用いた。試料を
造るには、原料の全重量800 gをアルミナ坩堝に入れ、
全圧6×10-1Torrの窒素と酸素との混合ガス
(N2 :O2 =6:4)雰囲気中で高周波誘導電気炉に
よって溶かした後、よく攪拌して均質な溶融合金とし
た。次にこれを直径25mm、高さ170 mmの孔をもつ鋳型に
注入し、得られた鋳塊を約1250℃の温度で鍛造して厚さ
約7mmの板とした。さらに、1000℃を越え1400℃の間で
適当な厚さまで熱間圧延し、ついで常温で種々な加工率
で冷間圧延加工を施して0.1 mmの薄板とし、それから外
径45mm、内径33mmの環状板を打抜いた。つぎに、これに
種々な熱処理を施して、磁気特性および磁気ヘッドのコ
アとして使用した場合、湿度85%、45℃において磁気テ
ープによる300 時間走行後の摩耗量をタリサーフ表面粗
さ計で測定を行い、表2のような特性を得た。なお代表
的な合金の特性は表3,表4に示すとおりである。
【0027】
【表2】
【0028】
【表3】
【0029】
【表4】
【0030】上記のように本発明合金は加工が容易で、
耐摩耗性にすぐれ、4000G以上の飽和磁束密度、3000以
上の高い実効透磁率、低保磁力を有しているので、磁気
記録再生ヘッドのコアおよびケース用磁性合金として好
適であるばかりでなく、耐摩耗性および高透磁率を必要
とする一般の電磁機器の磁性材料としても好適である。
耐摩耗性にすぐれ、4000G以上の飽和磁束密度、3000以
上の高い実効透磁率、低保磁力を有しているので、磁気
記録再生ヘッドのコアおよびケース用磁性合金として好
適であるばかりでなく、耐摩耗性および高透磁率を必要
とする一般の電磁機器の磁性材料としても好適である。
【0031】次に本発明において、合金の組成をNi 6
0 〜90%、Nb 0.5〜14%、NおよびOの合計0.0003〜
0.3 %(但し、NおよびOは0%を含まず)および残部
Feと限定し、これに副成分として添加する元素を、C
r,Mo,Ge,Auの何れか7%以下、Co,Vの何
れかを10%以下、Wを15%以下、Cu,Ta,Mnの何
れかを25%以下、Al,Si,Ti,Zr,Hf,S
n,Sb,Ga,In,Tl,Zn,Cd,希土類元
素,白金族元素の何れか5%以下、Be,Ag,Sr,
Baの何れか3%以下、Bを1%以下、Pを0.7 %以
下、Sを0.1 %以下の1種または2種以上の合計で0.00
1 〜30%と限定した理由は、各実施例、表3,表4およ
び図面で明らかなように、この組成範囲の実効透磁率は
3000以上、飽和磁束密度4000G以上で、且つ{110 }<
112 >+{311 }<112 >の再結晶集合組織を有し、耐
摩耗性がすぐれているが、この組成範囲をはずれると磁
気特性あるいは耐摩耗性が劣化するからである。
0 〜90%、Nb 0.5〜14%、NおよびOの合計0.0003〜
0.3 %(但し、NおよびOは0%を含まず)および残部
Feと限定し、これに副成分として添加する元素を、C
r,Mo,Ge,Auの何れか7%以下、Co,Vの何
れかを10%以下、Wを15%以下、Cu,Ta,Mnの何
れかを25%以下、Al,Si,Ti,Zr,Hf,S
n,Sb,Ga,In,Tl,Zn,Cd,希土類元
素,白金族元素の何れか5%以下、Be,Ag,Sr,
Baの何れか3%以下、Bを1%以下、Pを0.7 %以
下、Sを0.1 %以下の1種または2種以上の合計で0.00
1 〜30%と限定した理由は、各実施例、表3,表4およ
び図面で明らかなように、この組成範囲の実効透磁率は
3000以上、飽和磁束密度4000G以上で、且つ{110 }<
112 >+{311 }<112 >の再結晶集合組織を有し、耐
摩耗性がすぐれているが、この組成範囲をはずれると磁
気特性あるいは耐摩耗性が劣化するからである。
【0032】すなわち、Nb 0.5%以下、NおよびOの
合計0.0003%以下では{110 }<112 >+{311 }<11
2 >の再結晶集合組織が充分発達しないので耐摩耗性が
悪く、Nb14%以上およびNおよびOの合計0.3 %以上
では鍛造加工が困難となり、また実効透磁率3000以下、
飽和磁束密度4000G以下になるからである。
合計0.0003%以下では{110 }<112 >+{311 }<11
2 >の再結晶集合組織が充分発達しないので耐摩耗性が
悪く、Nb14%以上およびNおよびOの合計0.3 %以上
では鍛造加工が困難となり、また実効透磁率3000以下、
飽和磁束密度4000G以下になるからである。
【0033】そしてNi 60 〜90%、Nb 0.5〜14%、
NおよびOの合計0.0003〜0.3 %および残部Feの組成
範囲の合金は、実効透磁率3000以上、飽和磁束密度4000
G以上で、耐摩耗性がすぐれ、且つ加工性が良好である
が、一般にこれらにさらにCr,Mo,Ge,Au,
W,V,Cu,Ta,Mn,Al,Zr,Si,Ti,
Hf,Ga,In,Tl,Zn,Cd,希土類元素,白
金族元素,Be,Ag,Sr,Ba,B,P,Sの何れ
かを添加すると特に実効透磁率を高める効果があり、C
oを添加すると特に飽和磁束密度を高める効果があり、
Au,Mn,Ti,Co,希土類元素,Be,Sr,B
a,Bの何れかを添加すると鍛造、加工を良好にする効
果があり、Al,Sn,Sb,Au,Ag,Ti,Z
n,Cd,Be,Ta,V,P,Sの何れかの添加およ
び副成分の各元素の窒化物および酸化物は{110 }<11
2 >+{311 }<112 >の再結晶集合組織を発達させ、
耐摩耗性を向上する効果がある。
NおよびOの合計0.0003〜0.3 %および残部Feの組成
範囲の合金は、実効透磁率3000以上、飽和磁束密度4000
G以上で、耐摩耗性がすぐれ、且つ加工性が良好である
が、一般にこれらにさらにCr,Mo,Ge,Au,
W,V,Cu,Ta,Mn,Al,Zr,Si,Ti,
Hf,Ga,In,Tl,Zn,Cd,希土類元素,白
金族元素,Be,Ag,Sr,Ba,B,P,Sの何れ
かを添加すると特に実効透磁率を高める効果があり、C
oを添加すると特に飽和磁束密度を高める効果があり、
Au,Mn,Ti,Co,希土類元素,Be,Sr,B
a,Bの何れかを添加すると鍛造、加工を良好にする効
果があり、Al,Sn,Sb,Au,Ag,Ti,Z
n,Cd,Be,Ta,V,P,Sの何れかの添加およ
び副成分の各元素の窒化物および酸化物は{110 }<11
2 >+{311 }<112 >の再結晶集合組織を発達させ、
耐摩耗性を向上する効果がある。
【0034】希土類元素はSc,Yおよびランタン系元
素からなるものであるが、その効果は均等であり、また
白金族元素はPt,Ir,Ru,Rh,Pd,Osから
なるが、その効果も均等であり、同効成分と見做し得
る。
素からなるものであるが、その効果は均等であり、また
白金族元素はPt,Ir,Ru,Rh,Pd,Osから
なるが、その効果も均等であり、同効成分と見做し得
る。
【0035】
【発明の効果】要するに、本発明の合金は鍛造加工が容
易で、{110 }<112 >+{311 }<112 >の再結晶集
合組織を形成させることによって耐摩耗性がすぐれ、飽
和磁束密度が4000G以上で、実効透磁率が高いので、磁
気記録再生ヘッド用磁性合金として好適であるばかりで
なく、耐摩耗性および高透磁率を必要とする一般の電磁
機器の磁気材料としても好適である。
易で、{110 }<112 >+{311 }<112 >の再結晶集
合組織を形成させることによって耐摩耗性がすぐれ、飽
和磁束密度が4000G以上で、実効透磁率が高いので、磁
気記録再生ヘッド用磁性合金として好適であるばかりで
なく、耐摩耗性および高透磁率を必要とする一般の電磁
機器の磁気材料としても好適である。
【図1】図1は79.5%Ni−Fe−5.5 %Nb−N−O
系合金の諸特性とNおよびO量(但し、N:O=1:
1)との関係を示す特性図である。
系合金の諸特性とNおよびO量(但し、N:O=1:
1)との関係を示す特性図である。
【図2】図2は79.5%Ni−Fe−0.022 %N−0.022
%O合金の諸特性と熱間加工温度との関係を示す特性図
である。
%O合金の諸特性と熱間加工温度との関係を示す特性図
である。
【図3】図3は79.5%Ni−Fe−5.5 %Nb−0.022
%N−0.022 %O合金の諸特性と冷間加工率との関係を
示す特性図である。
%N−0.022 %O合金の諸特性と冷間加工率との関係を
示す特性図である。
【図4】図4は79.5%Ni−Fe−5.5 %Nb−0.022
%N−0.022 %O系合金の諸特性と加熱温度との関係を
示す特性図である。
%N−0.022 %O系合金の諸特性と加熱温度との関係を
示す特性図である。
【図5】図5は79.0%Ni−Fe−2.5 %Nb−0.1505
%N−0.0072%O合金(合金番号6)、79.5%Ni−F
e−5.5 %Nb−0.022 %N−0.022 %O合金(合金番
号12)および80.5%Ni−Fe−5.0 %Nb−0.0136%
N−0.024 %O−4%Mo合金(合金番号30)の実効透
磁率と冷却速度、再加熱温度および再加熱時間との関係
を示す特性図である。
%N−0.0072%O合金(合金番号6)、79.5%Ni−F
e−5.5 %Nb−0.022 %N−0.022 %O合金(合金番
号12)および80.5%Ni−Fe−5.0 %Nb−0.0136%
N−0.024 %O−4%Mo合金(合金番号30)の実効透
磁率と冷却速度、再加熱温度および再加熱時間との関係
を示す特性図である。
【図6】図6は79.5%Ni−Fe−5.5 %Nb−0.022
%N−0.022 %O系合金にCr,Mo,Ge,Auある
いはCoを添加した場合の諸特性と各元素の添加量との
関係を示す特性図である。
%N−0.022 %O系合金にCr,Mo,Ge,Auある
いはCoを添加した場合の諸特性と各元素の添加量との
関係を示す特性図である。
【図7】図7は79.5%Ni−Fe−5.5 %Nb−0.022
%N−0.022 %O系合金にV,W,Cu,Taあるいは
Mnを添加した場合の諸特性と各元素の添加量との関係
を示す特性図である。
%N−0.022 %O系合金にV,W,Cu,Taあるいは
Mnを添加した場合の諸特性と各元素の添加量との関係
を示す特性図である。
【図8】図8は79.5%Ni−Fe−5.5 %Nb−0.022
%N−0.022 %O系合金にAl,Si,Ti,Zr,H
f,Sn,Sb,Ga,InあるいはTlを添加した場
合の諸特性と各元素の添加量との関係を示す特性図であ
る。
%N−0.022 %O系合金にAl,Si,Ti,Zr,H
f,Sn,Sb,Ga,InあるいはTlを添加した場
合の諸特性と各元素の添加量との関係を示す特性図であ
る。
【図9】図9は79.5%Ni−Fe−5.5 %Nb−0.022
%N−0.022 %O系合金にZn,Cd,La ,Pt,B
e,Ag,Sr,Ba,B,PあるいはSを添加した場
合の諸特性と各元素の添加量との関係を示す特性図であ
る。
%N−0.022 %O系合金にZn,Cd,La ,Pt,B
e,Ag,Sr,Ba,B,PあるいはSを添加した場
合の諸特性と各元素の添加量との関係を示す特性図であ
る。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI H01F 1/147 H01F 1/14 B (56)参考文献 特開 昭61−174349(JP,A) 特開 平2−138709(JP,A) 特開 平2−146704(JP,A) 特開 平2−138448(JP,A) 特公 昭62−12296(JP,B2) 特公 昭62−5972(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C22C 19/00 - 19/03 C22F 1/00 C22F 1/10 G11B 5/127 H01F 1/147
Claims (4)
- 【請求項1】 重量比にてNi 60 〜90%、Nb 0.5〜
14%、NおよびOの合計0.0003〜0.3 %(但し、Nおよ
びOは0%を含まず)および残部Feと少量の不純物と
からなる合金を、1000℃を越え融点以下の温度で熱間加
工した後冷却し、次に加工率50%以上の冷間加工を施し
た後、900 ℃を越え融点以下の温度で加熱し、ついで規
則−不規則格子変態点以上の温度から100 ℃/秒〜1℃
/時の組成に対応した所定の速度で常温まで冷却するこ
とにより得られた合金で、1kHz における実効透磁率30
00以上、飽和磁束密度4000G以上で、且つ{110 }<11
2 >+{311 }<112 >の再結晶集合組織を有する合金
であることを特徴とする耐摩耗性高透磁率合金。 - 【請求項2】 重量比にてNi 60 〜90%、Nb 0.5〜
14%、NおよびOの合計0.0003〜0.3 %(但し、Nおよ
びOは0%を含まず)、および残部Feと少量の不純物
とからなる合金を、1000℃を越え融点以下の温度で熱間
加工した後冷却し、次に加工率50%以上の冷間加工を施
した後、900 ℃を越え融点以下の温度で加熱し、ついで
規則−不規則格子変態点以上の温度から100 ℃/秒〜1
℃/時の組成に対応した所定の速度で冷却し、これをさ
らに規則−不規則格子変態点以下の温度で1分間以上10
0 時間以下の組成に対応した所定の時間加熱し冷却する
ことにより得られた合金で1kHz における実効透磁率30
00以上、飽和磁束密度4000G以上で、且つ{110 }<11
2 >+{311 }<112 >の再結晶集合組織を有する合金
であることを特徴とする耐摩耗性高透磁率合金。 - 【請求項3】 重量比にてNi 60 〜90%、Nb 0.5〜
14%、NおよびOの合計0.0003〜0.3 %(但し、Nおよ
びOは0%を含まず)および副成分としてCr,Mo,
Ge,Auをそれぞれ7%以下、Co,Vをそれぞれ10
%以下、Wを15%以下、Cu,Ta,Mnをそれぞれ25
%以下、Al,Si,Ti,Zr,Hf,Sn,Sb,
Ga,In,Tl,Zn,Cd,希土類元素、白金族元
素をそれぞれ5%以下、Be,Ag,Sr,Baをそれ
ぞれ3%以下、Bを1%以下、Pを0.7 %以下、Sを0.
1 %以下の1種または2種以上の合計0.001 〜30%およ
び残部Feと少量の不純物とからなる合金を、1000℃を
越え融点以下の温度で熱間加工した後冷却し、次に加工
率50%以上の冷間加工を施した後、900 ℃を越え融点以
下の温度で加熱し、ついで規則−不規則格子変態点以上
の温度から100 ℃/秒〜1℃/時の組成に対応した所定
の速度で常温まで冷却することにより得られた合金で、
1kHz における実効透磁率3000以上、飽和磁束密度4000
G以上で、且つ{110 }<112 >+{311 }<112 >の
再結晶集合組織を有する合金であることを特徴とする耐
摩耗性高透磁率合金。 - 【請求項4】 重量比にてNi 60 〜90%、Nb 0.5〜
14%、NおよびOの合計0.0003〜0.3 %(但し、Nおよ
びOは0%を含まず)、および副成分としてCr,M
o,Ge,Auをそれぞれ7%以下、Co,Vをそれぞ
れ10%以下、Wを15%以下、Cu,Ta,Mnをそれぞ
れ25%以下、Al,Si,Ti,Zr,Hf,Sn,S
b,Ga,In,Tl,Zn,Cd,希土類元素、白金
族元素をそれぞれ5%以下、Be,Ag,Sr,Baを
それぞれ3%以下、Bを1%以下、Pを0.7 %以下、S
を0.1 %以下の1種または2種以上の合計0.001 〜30%
および残部Feと少量の不純物とからなる合金を、1000
℃を越え融点以下の温度で熱間加工した後冷却し、次に
加工率50%以上の冷間加工を施した後、900 ℃を越え融
点以下の温度で加熱し、ついで規則−不規則格子変態点
以上の温度から100 ℃/秒〜1℃/時の組成に対応した
所定の速度で冷却し、これをさらに規則−不規則格子変
態点以下の温度で1分間以上100 時間以下の組成に対応
した所定の時間加熱し冷却することにより得られた合金
で、1kHz における実効透磁率3000以上、飽和磁束密度
4000G以上で、且つ{110 }<112 >+{311 }<112
>の再結晶集合組織を有する合金であることを特徴とす
る耐摩耗性高透磁率合金。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP03088798A JP3251899B2 (ja) | 1998-02-13 | 1998-02-13 | 耐摩耗性高透磁率合金および磁気記録再生ヘッド |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP03088798A JP3251899B2 (ja) | 1998-02-13 | 1998-02-13 | 耐摩耗性高透磁率合金および磁気記録再生ヘッド |
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Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP5190215A Division JP2777319B2 (ja) | 1993-07-30 | 1993-07-30 | 耐摩耗性高透磁率合金およびその製造法ならびに磁気記録再生ヘッド |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH10259439A JPH10259439A (ja) | 1998-09-29 |
JP3251899B2 true JP3251899B2 (ja) | 2002-01-28 |
Family
ID=12316249
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP03088798A Expired - Fee Related JP3251899B2 (ja) | 1998-02-13 | 1998-02-13 | 耐摩耗性高透磁率合金および磁気記録再生ヘッド |
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WO2006085593A1 (ja) | 2005-02-09 | 2006-08-17 | Mitsubishi Materials Corporation | 扁平金属軟磁性粉末およびその軟磁性粉末を含む磁性複合材 |
EP3749792B1 (de) * | 2018-02-09 | 2021-06-09 | Heraeus Deutschland GmbH & Co. KG | Verfahren zur hydrometallurgischen aufarbeitung einer edelmetall-zinn-legierung |
-
1998
- 1998-02-13 JP JP03088798A patent/JP3251899B2/ja not_active Expired - Fee Related
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