JPH06308762A - トナー用樹脂組成物及びトナー - Google Patents

トナー用樹脂組成物及びトナー

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Publication number
JPH06308762A
JPH06308762A JP5101476A JP10147693A JPH06308762A JP H06308762 A JPH06308762 A JP H06308762A JP 5101476 A JP5101476 A JP 5101476A JP 10147693 A JP10147693 A JP 10147693A JP H06308762 A JPH06308762 A JP H06308762A
Authority
JP
Japan
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toner
vinyl acetate
weight
ethylene
vinyl
Prior art date
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Pending
Application number
JP5101476A
Other languages
English (en)
Inventor
Takuo Suzuki
卓夫 鈴木
Tsunehiro Masaoka
恒博 正岡
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sekisui Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Chemical Co Ltd
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Filing date
Publication date
Application filed by Sekisui Chemical Co Ltd filed Critical Sekisui Chemical Co Ltd
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Publication of JPH06308762A publication Critical patent/JPH06308762A/ja
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 トナーが凝集せず、しかも低温定着性と耐オ
フセット性(トナーの一部が熱ローラーの表面に移行し
これが用紙に移行して画像を汚さないないこと)に優
れ、さらに白地汚れを起こさない(定着画像を擦った場
合にトナーがのっていない白地部分が汚れないこと)ト
ナー用樹脂組成物及びトナーを得る。 【構成】 スチレン系単量体及び/又は(メた)アクリ
ル酸エステル単量体を構成単位として含むビニル系重合
体に、エチレン−酢酸ビニル共重合体5〜50重量%を
含有させる。上記ビニル系重合体は、分子量1×103
〜8×104 の領域に分子量分布の極大を有する。ま
た、上記エチレン−酢酸ビニル共重合体は、メルトフロ
ーレートが600g/10分以上で且つ酢酸ビニル含有
量が3〜30重量%である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、電子写真等に使用す
るトナー用樹脂組成物及びトナーに関し、さらに詳しく
いえば、静電荷像を現像する方法において乾式現像方式
に使用するトナー用樹脂組成物及びそれを用いたトナー
に関する。
【0002】
【従来の技術】電子写真等において、静電荷像を現像す
る方法として、乾式現像方式が多用されている。この乾
式現像方式では、バインダーとなるトナー用樹脂にカー
ボンブラック等の着色剤を含有させた微粉末に、鉄粉や
ガラスビーズ等のキャリアーを混合した摩擦帯電性のト
ナー(現像剤)、或いはトナー用樹脂にカーボンブラッ
ク等の着色剤とマグネタイト等の磁性粉とを含有させた
磁性トナー(現像剤)が用いられる。
【0003】複写物を得るには、通常、感光体上に静電
潜像を形成し、この静電潜像に摩擦帯電性のトナーや磁
性トナーを電気的に付着させて現像し、ここで得られた
トナー像を用紙等のシート上に転写し、その後トナーに
対して離型性を有する熱圧ローラーで定着させて永久可
視像とする。
【0004】この熱圧ローラー定着法においては、消費
電力等の経済性を向上させるため、複写速度を上げるた
め及び用紙のカール防止のため、より低温で定着可能な
トナーが要求されている。低温定着性という点から、ト
ナー用樹脂の軟化点を下げることにより、ある程度定着
可能温度を低下させることができるが、未だ十分ではな
い。
【0005】すなわち、このような低い軟化点のトナー
用樹脂を用いたトナーは、定着時に像を形成するトナー
の一部が熱圧ローラーの表面に移行し、次に送られてく
る用紙等のシートに再び移行して画像を汚すという現象
(オフセット)が発生し易いという問題がある。
【0006】このような問題を解決する目的で、トナー
用樹脂として、特定の低分子量の重合体成分と高分子量
の重合体成分とからなるスチレン系重合体又はアクリル
系重合体或いはスチレン−アクリル系重合体を用たトナ
ーが提案されている(例えば、特開昭56−15834
0号公報参照)。
【0007】また、特開平4−21860号公報には、
スチレン系単量体成分が50重量%以上含まれているス
チレン系単量体と(メタ)アクリル酸エステル単量体と
の共重合体に、数平均分子量が8千〜5万、軟化点が6
0〜220℃で、酢酸ビニル含有量が約3〜60重量%
のエチレン−酢酸ビニル共重合体0.1〜30重量%を
含有させたトナー用樹脂組成物が提案されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】このようなトナー用樹脂組成物及びトナー
は、低温定着性、耐オフセット性、及びトナーの凝集が
相当に改善されるが、まだ十分に満足のいくものではな
く改善の余地がある。また、樹脂強度が弱く、そのため
定着画像を擦った場合に、トナーがのっていない白地の
部分が汚れる、いわゆる白地汚れの問題がある。
【0010】この発明は、このような従来の問題を解決
するもので、その目的とするところは、低温定着性に
優れている、耐オフセット性に優れている、白地汚
れを起こさない、トナーが凝集しない、以上の特性を
併有するトナー用樹脂組成物及びトナーを提供するもの
である。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、この発明のトナー用樹脂組成物は、スチレン系単量
体及び/又は(メタ)アクリル酸エステル単量体を構成
単位として含むビニル系重合体であって、分子量1×1
3 〜8×104 の領域に分子量分布の極大を有するビ
ニル系重合体に、メルトフローレートが600g/10
分以上で且つ酢酸ビニル含有量が3〜30重量%エチレ
ン−酢酸ビニル共重合体5〜50重量%が含有されてい
る。また、この発明のトナーは、上記のトナー用樹脂組
成物を用いて得られる。
【0012】この発明に用いるビニル系重合体は、構成
単位として、スチレン系単量体及び/又は(メタ)アク
リル酸エステル単量体を含む。なお、これらの単量体以
外に、その他のビニル系単量体を構成単位として含むこ
とができる。
【0013】スチレン系単量体の具体例としては、スチ
レンのほかに、o−メチルスチレン、m−メチルスチレ
ン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−エ
チルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブ
チルスチレン、p−ter−ブチルスチレン、p−n−
ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n
−ドデシルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェ
ニルスチレン、p−クロルスチレン、3,4ジクロルス
チレン等を挙げることができる。
【0014】(メタ)アクリル酸エステル単量体の具体
例としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、ア
クリル酸プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸
イソブチル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸ドデ
シル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステ
アリル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メ
タクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタク
リル酸イソブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタク
リル酸ドデシル、メタクリル酸ステアリル等の(メタ)
アクリル酸のアルキルエステルを挙げることができる。
【0015】その他、アクリル酸2−クロルエチル、ア
クリル酸フェニル、α−クロルアクリル酸メチル、メタ
クリル酸フェニル、メタクリル酸ジメチルアミノエチ
ル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル、メタクリル酸
2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸グリシジル、ビス
グリシジルメタクリレート、ポリエチレングリコールジ
メタクリレート、メタクリロキシエチルホスフェートな
どを挙げることができる。
【0016】特に、アクリル酸エチル、アクリル酸プロ
ピル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、メタク
リル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブ
チルが好適である。
【0017】上記のスチレン系単量体、(メタ)アクリ
ル酸エステル単量体以外のビニル系単量体としては、ア
クリル酸、メタクリル酸、α−エチルアクリル酸、クロ
トン酸などのアクリル酸及びそのα−又はβ−アルキル
誘導体、フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコ
ン酸などの不飽和ジカルボン酸及びそのモノエステル誘
導体又はジエステル誘導体、コハク酸モノアクリロイル
オキシエチルエステル、コハク酸モノメタクリロイルオ
キシエチルエステル、アクリロニトリル、メタクリロニ
トリル、アクリルアミド、酢酸ビニル、塩化ビニル、エ
チレン、或いはジビニルベンゼンのような多官能性ビニ
ル系単量体等を挙げることができる。
【0018】上記のビニル系重合体は、分子量1×10
3 〜8×104 の領域に分子量分布の極大を有するもの
を用いる。この分子量分布は、ゲルパーミエーションク
ロマトグラフィ(GPC)によって測定される。極大で
の分子量が、上記の範囲より小さいとトナー粒子が凝集
しやすくなり、逆に上記の範囲よりも大きいとトナーの
溶融時の流動性が低下する。
【0019】なお、上記ビニル系重合体は、分子量1×
103 〜8×104 の領域に分子量分布の極大を有し、
しかも分子量1×105 以上の領域に分子量分布の極大
極大又は肩を持つか、或いは重量平均分子量(Mw ) /
数平均分子量(Mn )が6以上であるか、或いはゲル分
(トルエン溶剤不溶分)を少なくとも10重量%以上含
むものが好ましい。この範囲を外れるとトナーの耐オフ
セット性が悪化することがある。また、トナー粒子の凝
集防止の点からガラス転移点が50℃以上であるものが
好ましい。なお、ガラス転移点は、示差走査熱量計(D
SC)によって測定される。
【0020】このようなビニル系重合体は、懸濁重合、
乳化重合、溶液重合、塊状重合等の公知のビニル重合方
法により製造することができる。
【0021】この発明においては、上記のビニル系重合
体に、メルトフローレートが600g/10分以上で且
つ酢酸ビニル含有量が3〜30重量%エチレン−酢酸ビ
ニル共重合体5〜50重量%が含有される。
【0022】ここで、エチレン−酢酸ビニル共重合体の
メルトフローレートは、JIS K6730(エチレン
・酢酸ビニル樹脂試験方法)或いはASTM D 12
38に基づいて測定され、試験温度190℃、試験荷重
2.16 kgf の条件に換算された値で示される。この
メルトフローレートが600g/10分を下回ると、溶
融粘度が高すぎるため低温で十分に流動することができ
ず、より低温で定着させることができなくなる。特に、
メルトフローレートが1400g/10分以上のものが
好ましい。
【0023】なお、エチレン−酢酸ビニル共重合体の重
量平均分子量(Mw ) は千以上が好ましく、2千以上が
さらに好ましい。エチレン−酢酸ビニル共重合体の分子
量があまりにも低分子量であると、ビニル系共重合体が
を可塑化され保存性を悪化させたり、樹脂強度が低下し
て白地汚れを発生させたり、定着したトナーが被定着物
の界面で凝集破壊を起こす恐れがある。一方、樹脂の粉
砕性及び樹脂への分散性から、数量平均分子量(Mn )
は4万以下が好ましく、2万以下がさらに好ましい。
【0024】また、エチレン−酢酸ビニル共重合体の酢
酸ビニル含有量が3重量%未満では、この共重合体の流
動性が悪いため、トナーが凝集し易くなる。しかも、共
重合体の結晶性が増して樹脂への分散性が悪くなり、画
像のカブリが発生することがある。特に、酢酸ビニル含
有量が6重量%以上が好ましい。
【0025】逆に、エチレン−酢酸ビニル共重合体の酢
酸ビニル含有量が30重量%を越えると、この共重合体
のガラス転移点が低くなり、それに伴い樹脂組成物のガ
ラス転移点が低くなるためトナーが凝集し易くなる。特
に、酢酸ビニル含有量が20重量%以下が好ましい。
【0026】なお、エチレン−酢酸ビニル共重合体にお
いて、エチレン成分が高度にブロック化していると結晶
性が増して分散性が悪くなることがあるので、エチレン
−酢酸ビニル共重合体はランダム共重合に近いことが望
ましい。
【0027】さらに、トナー用樹脂組成物中のエチレン
−酢酸ビニル共重合体の含有量が、5重量%未満ではそ
の効果がほとんど得られず、逆に含有量が50重量%を
超えると、樹脂組成物が強靱となって微粉砕しにくくな
り、トナーとすることができなくなる。特に、エチレン
−酢酸ビニル共重合体の含有量は10〜40重量%が好
ましい。
【0028】上記のビニル系重合体に、エチレン−酢酸
ビニル共重合体を含有させてトナー用樹脂組成物及びト
ナーを製造するには、例えば、上記のビニル系重合体
に、エチレン−酢酸ビニル共重合体を配合し、その他着
色剤等の従来公知のトナー用添加剤を配合し、リボンブ
レンダー、ヘンセルミキサー等で混合し、これをロール
ミル、ニーダー、押出機等を用いて混練した後、冷却し
て微粉砕する方法が採用される。
【0029】また、ビニル系重合体に、エチレン−酢酸
ビニル共重合体をより均一に含有させるために、両者を
適当な溶剤に溶解分散したのち脱溶剤したり、或いはエ
チレン−酢酸ビニル共重合体の存在下でビニル系単量体
を重合する方法も採用される。
【0030】着色剤としては、白黒画像を得るためのト
ナーには、カーボンブラック等が使用されるが、白黒画
像を得るためトナーのみならず、カラー画像を得るため
のカラートナーを得ることもできる。
【0031】カラートナー用の着色剤としては、例えば
C.I.ソルベントレッド、C.I.ピグメントレッ
ド、C.I.ディスパーレッド、C.I.ピグメントバ
イオレッド、C.I.ソルベントイエロー、C.I.ピ
グメントイエロー、C.I.ディスパーイエロー、C.
I.ソルベントブルー、C.I.ピグメントブルー等が
配合される。
【0032】また、磁性粉を配合して磁性トナーを得る
こともできる。磁性粉としては、マグネタイト、フェラ
イト、ヘマタイト等の鉄、亜鉛、コバルト、ニッケル、
マンガンなどの強磁性を示す合金又は化合物の粉末が配
合される。
【0033】また、帯電制御剤としてニグロシン、スピ
ロンブラック(保土ケ谷化学社製)等の染料や、その他
フタロシアニン系の顔料、ジ−t−ブチルサリチル酸の
クロム錯体、4級アンモニウム塩等を配合することがで
きる。
【0034】さらに、離型作用のあるポリプロピレンワ
ックス、ポリエチレンワックス、その他、脂肪族アミ
ド、ビス脂肪族アミド、金属石鹸、パラフィン等を配合
することができる。また、トナー粒子の流動性を上げる
ために、疎水性シリカ等を後添加してもよい。
【0035】なお、トナー用樹脂組成物には、この発明
の目的が達成される範囲内で、塩化ビニル樹脂、酢酸ビ
ニル樹脂、オレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、エポキ
シ樹脂等の公知のバインダー樹脂を含有させることがで
きる。
【0036】
【作用】スチレン系単量体及び/又は(メタ)アクリル
酸エステル単量体を構成単位として含むビニル系重合体
であって、分子量1×103 〜8×104 の領域に分子
量分布の極大を有するビニル系共重合体に、メルトフロ
ーレートが600g/10分以上で且つ酢酸ビニル含有
量が3〜30重量%エチレン−酢酸ビニル共重合体5〜
50重量%が含有されると、このビニル系重合体とエチ
レン−酢酸ビニル共重合体との両方の特性が相まって、
トナーの溶融粘度が下がり、より低温で定着が可能とな
り、さらに溶融時の流動性が高められる。
【0037】また、上記のエチレン−酢酸ビニル共重合
体は強靱で、またビニル系重合体との相溶性もよく、こ
のエチレン−酢酸ビニル共重合体により樹脂組成物の強
靱性が高められ白地汚れの発生が防止され且つトナー粒
子の凝集も防止される。
【0038】
【実施例】以下、本発明の実施例および比較例を説明す
る。実施例1 3リットルのセパラブルフラスコにトルエン900gを
入れ、これにメルトフローレート2500g/10分、
酢酸ビニル含有量10重量%のエチレン−酢酸ビニル共
重合体(平均分子量約1万、軟化点91℃)(エルバッ
クス500W:三井デュポンケミカル社製)170g
と、スチレン70重量%とアクリル酸n−ブチル30重
量%とからなるスチレン系樹脂(平均分子量約80万)
230gとを溶解した。次いで、気相を窒素ガスで置換
した後、この系をトルエンの沸点まで加温した。
【0039】トルエンの還流が起きた状態で攪拌しなが
ら、スチレン550g、メタクリル酸メチル50g、ア
クリル酸n−ブチル100g及び重合開始剤としてt−
ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート20gを溶
解した混合溶液を、2.5時間かけて滴下しながら溶液
重合を行った。
【0040】混合溶液の滴下終了後、さらにトルエンの
沸騰する温度で攪拌しながら2時間熟成した。その後、
180℃まで徐々に昇温しながら減圧下でトルエンを除
去して、樹脂組成物を得た。
【0041】なお、上記方法において、エチレン−酢酸
ビニル共重合体(エルバックス500W:三井デュポン
ケミカル社製)170gを用いないで、それ以外は、上
記方法と同様にして溶液重合を行って得られたビニル系
樹脂は、分子量分布において、分子量1.5万と70万
に極大があり、Mw /Mn が18で、ガラス転移点が6
0℃あった。
【0042】この樹脂組成物100重量部と、カーボン
ブラック(MA−100:三菱化成社製)5重量部と、
スピロンブラックTRH(保土ケ谷化学社製)1重量部
と、ポリプロピレンワックス(ビスコール660P:三
洋化成社製)3重量部とを、ロールミルで溶融混練し、
冷却後粗粉砕し、さらにジェットミルで微粉砕して平均
粒度約12〜15μm のトナー粉末を得た。
【0043】このトナー粉末100重量部に、疎水性シ
リカ粉末(R−972:日本アエロジル社製)0.3重
量部を添加してトナーを作製した。このトナー10gを
100mlのサンプル瓶に取り、50℃の恒温槽中に1
6時間放置した後、パウダーテスター(ホソカワミクロ
ン社製)で凝集性を測定したところ、トナー粒子の凝集
は認められなかった。
【0044】また、このトナー4重量部を約50〜80
ミクロンの平均粒径を有する鉄粉キャリアー96重量部
と混合して現像剤を作り、この現像剤を用いて複写画像
を得た。使用した電子写真複写機は富士ゼロックス35
00を熱圧ローラーの温度が変えられるように改造した
ものである。
【0045】定着温度は、電子写真複写機の熱圧ローラ
ーの設定温度を種々変えて複写物をタイプライター用砂
消しゴムで摩擦したとき、複写画像の濃度が変化する時
の設定温度とした。このトナーを用いた現像剤の定着温
度は130で十分に低かった。また、定着画像を指で擦
ったが白地汚れは認められなかった。
【0046】オフセット発生温度は、電子写真複写機の
熱圧ローラーの設定温度を種々変えて、オフセットの発
生する時の設定温度とした。なお、この試験は、熱ロー
ラーの耐熱性を考慮して200℃で打ち切った。このト
ナーを用いた現像剤のオフセット発生温度は190で高
かった。
【0047】実施例2 3リットルのセパラブルフラスコにトルエン900gを
入れ、これにメルトフローレート2500g/10、酢
酸ビニル含有量10重量%のエチレン−酢酸ビニル共重
合体(平均分子量約1万、軟化点91℃)(エルバック
ス500W:三井デュポンケミカル社製)200gを溶
解した。次いで、気相を窒素ガスで置換した後、この系
をトルエンの沸点まで加温した。
【0048】トルエンの還流が起きた状態で攪拌しなが
ら、スチレン660g、メタクリル酸n−ブチル200
g、ジビニルベンゼン8g及び重合開始剤としてベンゾ
イルパーオキサイド40gを溶解した混合溶液を、8時
間かけて滴下しながら溶液重合を行った。
【0049】混合溶液の滴下終了後、さらにトルエンの
沸騰する温度で攪拌しながら8時間熟成した。その後、
180℃まで徐々に昇温しながら減圧下でトルエンを除
去して、樹脂組成物を得た。
【0050】なお、上記方法において、エチレン−酢酸
ビニル共重合体(エルバックス500W:三井デュポン
ケミカル社製)200gを用いないで、それ以外は、上
記方法と同様にして溶液重合を行って得られたビニル系
樹脂は、分子量分布において、分子量1万に極大があ
り、Mw /Mn が18で、ゲル分率(トルエン溶剤不溶
分)が11重量%、ガラス転移点が64℃あった。
【0051】上記の樹脂組成物を用いること以外は、実
施例1と同様に行った。その結果、トナーの凝集は認め
られなかった。また、定着温度は140で十分に低かっ
た。また、オフセット発生温度は190で十分に高かっ
た。また、定着画像を指で擦ったが白地汚れは認められ
なかった。
【0052】実施例3 スチレン70重量部と、メタクリル酸n−ブチル20重
量部と、アクリル酸n−ブチル10重量部とを共重合し
て、分子量分布において、分子量7千と200万に極大
があり、Mw /Mn が40で、ガラス転移点が58℃の
共重合体を得た。
【0053】この共重合体88重量部と、メルトフロー
レート800g/10分、酢酸ビニル含有量19重量%
のエチレン−酢酸ビニル共重合体(平均分子量約1.5
万、軟化点78℃)(エバフレックスV577:三井デ
ュポンケミカル社製)12重量部とを、窒素ガスで置換
したニーダーで160℃で10分間溶融混練し、冷却後
粗粉砕して、樹脂組成物を得た。
【0054】この樹脂組成物100重量部と、カーボン
ブラック(MA−100:三菱化成社製)5重量部と、
スピロンブラックTRH(保土ケ谷化学社製)1重量部
とを、ロールミルで溶融混練し、冷却後粗粉砕し、さら
にジェットミルで微粉砕して平均粒度約12〜15μm
のトナー粉末を得た。
【0055】このトナー粉末を用いること以外は、実施
例1と同様に行った。その結果、トナーの凝集は認めら
れなかった。また、定着温度は140で十分に低かっ
た。また、オフセット発生温度は200℃以上で十分に
高かった。また、定着画像を指で擦ったが白地汚れは認
められなかった。
【0056】実施例4 3リットルのセパラブルフラスコにトルエン900gを
入れ、これにメルトフローレート2500g/10分、
酢酸ビニル含有量28重量%のエチレン−酢酸ビニル共
重合体(平均分子量約1万、軟化点71℃)(エルバッ
クス200W:三井デュポンケミカル社製)300g
と、スチレン70重量%とアクリル酸n−ブチル30重
量%とからなるスチレン系樹脂(平均分子量約80万)
250gとを溶解した。次いで、気相を窒素ガスで置換
した後、この系をトルエンの沸点まで加温した。
【0057】トルエンの還流が起きた状態で攪拌しなが
ら、スチレン380g、アクリル酸n−ブチル70g及
び重合開始剤としてt−ブチルパーオキシ2−エチルヘ
キサノエート10gを溶解した混合溶液を、3時間かけ
て滴下しながら溶液重合を行った。
【0058】混合溶液の滴下終了後、さらにトルエンの
沸騰する温度で攪拌しながら3時間熟成した。その後、
180℃まで徐々に昇温しながら減圧下でトルエンを除
去して、樹脂組成物を得た。
【0059】なお、上記方法において、エチレン−酢酸
ビニル共重合体(エルバックス200W:三井デュポン
ケミカル社製)300gを用いないで、それ以外は、上
記方法と同様にして溶液重合を行って得られたビニル系
樹脂は、分子量分布において、分子量2万と70万に極
大があり、Mw /Mn が16で、ガラス転移点が63℃
あった。
【0060】この樹脂組成物50重量部と、マグネタイ
ト(平均粒径0.3μm )50重量部と、カーボンブラ
ック(MA−100:三菱化成社製)4重量部と、ニグ
ロシン4重量部と、ポリプロピレンワックス(ビスコー
ル550P:三洋化成社製)2重量部とを、ロールミル
で溶融混練し、冷却後粗粉砕し、さらにジェットミルで
微粉砕して平均粒度約12〜15μm のトナー粉末を得
た。
【0061】このトナー粉末を用いること以外は、実施
例1と同様に行った。但し、電子写真複写機はシャープ
SF−7700を熱圧ローラーの温度が変えられるよう
に改造したものを使用した。その結果、トナーの凝集は
認められなかった。また、定着温度は140で十分に低
かった。また、オフセット発生温度は190℃で十分に
高かった。また、定着画像を指で擦ったが白地汚れは認
められなかった。
【0062】比較例1 実施例1において、エチレン−酢酸ビニル共重合体(エ
ルバックス500W:三井デュポンケミカル社製)17
0gを用いなかった。それ以外は実施例1と同様に行っ
た。その結果、トナーに凝集は認められず、オフセット
発生温度も190℃で十分に高かった。しかし、定着温
度は160で高かった。また、定着画像を指で擦ったと
ころ白地汚れが認められた。
【0063】比較例2 実施例1において、エチレン−酢酸ビニル共重合体(エ
ルバックス500W:三井デュポンケミカル社製)17
0gに替えて、ポリエチレンワックス(サンワックス1
31P:三洋化成社製)170gを用いた。それ以外は
実施例1と同様に行った。その結果、トナーに凝集が認
められた。また、オフセット発生温度は200℃以上で
十分に高かった。しかし、定着温度が160で高く、ト
ナーに凝集が認められた。また、定着画像を指で擦った
ところ白地汚れがひどかった。
【0064】比較例3 実施例1において、エチレン−酢酸ビニル共重合体(エ
ルバックス500W:三井デュポンケミカル社製)17
0gに替えて、メルトフローレート2500g/10
分、酢酸ビニル含有量10重量%のエチレン−酢酸ビニ
ル共重合体(平均分子量約1万、軟化点91℃)(エル
バックス500W:三井デュポンケミカル社製)170
gを用いた。それ以外は実施例1と同様に行った。その
結果、オフセット発生温度は190℃で十分に高く、定
着温度は130℃で十分に低くかった。また、定着画像
を指で擦ったが白地汚れは認められなかった。しかし、
トナーに凝集が認められた。
【0065】比較例4 実施例1において、エチレン−酢酸ビニル共重合体(エ
ルバックス500W:三井デュポンケミカル社製)17
0gに替えて、メルトフローレート400g/10分、
酢酸ビニル含有量33重量%のエチレン−酢酸ビニル共
重合体(平均分子量約1.5万、軟化点69℃)(エバ
フレックスEV5772:三井デュポンケミカル社製)
170gを用いた。それ以外は実施例1と同様に行っ
た。その結果、トナーに凝集は認められず、オフセット
発生温度は190℃で十分に高かった。また、定着画像
を指で擦ったが白地汚れは認められなかった。しかし、
定着温度は150℃で高かった。
【0066】比較例5 実施例1において、エチレン−酢酸ビニル共重合体(エ
ルバックス500W:三井デュポンケミカル社製)17
0gに替えて、メルトフローレート400g/10分、
酢酸ビニル含有量28重量%のエチレン−酢酸ビニル共
重合体(平均分子量約1.5万、軟化点71℃)(エバ
フレックスEV210:三井デュポンケミカル社製)1
70gを用いた。それ以外は実施例1と同様に行った。
その結果、トナーに凝集は認められず、オフセット発生
温度は190℃で十分に高かった。また、定着画像を指
で擦ったが白地汚れは認められなかった。しかし、定着
温度は150℃で高かった。
【0067】比較例6 実施例2において、エチレン−酢酸ビニル共重合体(エ
ルバックス500W:三井デュポンケミカル社製)20
0gを、30gに変更した。それ以外は実施例2と同様
に行った。その結果、トナーに凝集は認められず、オフ
セット発生温度は200℃で十分に高かった。しかし、
定着温度は160℃で高かった。また、定着画像を指で
擦ったところ白地汚れが認められた。
【0068】比較例7 実施例3において、エチレン−酢酸ビニル共重合体(エ
バフレックスV577:三井デュポンケミカル社製)1
2重量部を、100重量部に変更した。この場合、粉砕
性が悪く、30μm 以下に粉砕することができず、トナ
ーとすることができなかった。
【0069】比較例8 実施例1において、重合開始剤としてt−ブチルパーオ
キシ2−エチルヘキサノエート20gを、2gに変更
し、熟成2時間を熟成2時間に変更した。それ以外は実
施例1と同様に行った。その結果、トナーに凝集は認め
られず、オフセット発生温度は200℃以上で十分に高
かった。また、定着画像を指で擦ったが白地汚れは認め
られなかった。しかし、定着温度は160℃で高かっ
た。
【0070】なお、この場合、エチレン−酢酸ビニル共
重合体(エルバックス500W:三井デュポンケミカル
社製)170gを用いないで、溶液重合を行って得られ
たビニル系樹脂は、分子量分布において、分子量10万
と70万に極大があり、Mw/Mn が6で、ガラス転移
点が67℃あった。
【0071】
【発明の効果】上述の通り、本発明のトナー用樹脂組成
物は、スチレン系単量体及び/又は(メタ)アクリル酸
エステル単量体を構成単位として含むビニル系重合体で
あって、分子量1×103 〜8×104 の領域に分子量
分布の極大を有するビニル系重合体に、メルトフローレ
ートが600g/10分以上で且つ酢酸ビニル含有量が
3〜30重量%エチレン−酢酸ビニル共重合体5〜50
重量%が含有されており、それにより、トナーが凝集せ
ず、しかも低温定着性及び耐オフセット性に優れ、しか
も白地汚れを起こさず、またトナー粒子の凝集がない優
れた特性を併有するトナーを得ることができる。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 スチレン系単量体及び/又は(メタ)ア
    クリル酸エステル単量体を構成単位として含むビニル系
    重合体であって、分子量1×103 〜8×10 4 の領域
    に分子量分布の極大を有するビニル系重合体に、メルト
    フローレートが600g/10分以上で且つ酢酸ビニル
    含有量が3〜30重量%エチレン−酢酸ビニル共重合体
    5〜50重量%が含有されていることを特徴とするトナ
    ー用樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のトナー用樹脂組成物を用
    いたトナー。
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