JPH06308180A - 表面電位計及び形状測定器 - Google Patents

表面電位計及び形状測定器

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JPH06308180A
JPH06308180A JP9349993A JP9349993A JPH06308180A JP H06308180 A JPH06308180 A JP H06308180A JP 9349993 A JP9349993 A JP 9349993A JP 9349993 A JP9349993 A JP 9349993A JP H06308180 A JPH06308180 A JP H06308180A
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淳一 高橋
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 測定物の表面電位と表面形状を高速にかつ高
感度に測定することが可能な表面電位計及び形状測定器
を提供する。 【構成】 片持ち梁18の共振周波数又はこの共振周波
数とほぼ等しい周波数の交流電圧V3 に直流電圧V2
重畳させた電圧を導電性探針17に印加する直流電圧重
畳探針印加制御手段30を設け、交流電圧V3 による導
電性探針17と測定物16の間の静電引力により生じる
片持ち梁18の振動の振幅が零又は一定値になるように
直流電圧V2 を可変させる直流電位制御手段25を設
け、直流電圧V2 の電位を測定する直流電位測定手段2
6を設けた。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電子写真装置における
感光体ドラム表面の電位分布測定、トナー形状測定、ト
ナー帯電分布測定に用いられる表面電位計及び形状測定
器に関する。
【0002】
【従来の技術】従来における表面電位計及び形状測定器
としては、例えば、「走査型マクスウェル応力顕微鏡に
よる有機薄膜の表面電位の観察」なる名称で、走査型プ
ローブ顕微鏡システムセミナー、1992、12.10
に開示されているものがある。これを、今、図14に基
づいて説明する。試料1に対向してその上部には、先端
に探針2を有するカンチレバー3(片持ち梁)が配設さ
れている。このカンチレバー3には、交流電圧4(AC
sinωt)と、直流電圧5(VDC)とを重畳させた電
圧が印加される。交流電圧4の周波数ωは、カンチレバ
ー3の機械的共振周波数ω0 の1/6〜1/3の周波数
に設定されている。今、交流電圧4と試料1の表面電位
との間に電位差が生じると、静電引力が発生し、これに
よりカンチレバー3は振動する。この振動によりカンチ
レバー3の一面に取付けられたミラー6により反射され
たレーザ光aは、いわゆる「光テコ法」の原理により受
光素子7に検知され、この検知信号はプリアンプ8を介
して、ロックインアンプ9,10に送られる。この場
合、ロックインアンプ9では振動のω成分から直流電圧
5と表面電位との間の電位差を測定し、その電位差がな
くなるように直流電圧5を制御する。一方、ロックイン
アンプ10では振動の2ω成分から探針2の先端と試料
1の表面との間の距離を測定し、その距離を一定に保つ
ようにZ軸ピエゾコントローラ11によりピエゾアクチ
ュエータ12をZ軸方向に駆動させる。このピエゾアク
チュエータ12上には試料台13が取付けられており、
これにより試料台13に載置された前記試料1表面と探
針2との間で距離の調整がなされる。また、ピエゾアク
チュエータ12には、コントローラ14が接続されてお
り、X,Y軸方向の移動調整もなされる。そして、この
ような各種の制御信号をもとに、表面電位と表面形状を
同時にかつ独立して測定することができる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】前述したような従来例
においては、カンチレバー3の機械的共振周波数ω0
1/6〜1/3の周波数ω(=ω0/6〜ω0/3)の交
流電圧4を探針2に印加し、試料1表面と探針2との間
の静電引力によりカンチレバー3を振動させている。こ
のような振動は、ロックインアンプ9,10により振動
周波数に同期して振幅に比例した直流電圧に増幅変換さ
れる。この場合、ロックインアンプ9,10は、カンチ
レバー3の振動を表す交流信号を同期検波し、図示しな
いローパスフィルタにより平滑化して直流化するが、そ
のローパスフィルタの時定数は振動周期T(=2π/
ω)の100倍以上にしないと、直流化された信号の平
滑度が悪くなりS/Nが悪くなる。従って、ωが小さく
なると、周期Tが大きくなり、図14のフィードバック
ループ中の遅れ要素が大きくなり、これにより帰還の応
答速度が遅くなり、測定時間が多くかかることになる。
【0004】また、探針2と試料1の表面との間の電位
差をV、距離をdとすると、両者間に働く静電引力F
は、F∝(V2/d2)で表され、交流電圧振幅をVAC
すると、F∝(VAC 2/d2)で表される。探針2に働く
力Fとその変位xとの関係は、カンチレバー3が板バネ
と考えられることから、F=Kx(K:バネ定数)で表
される。ここで、プリアンプ8の出力電圧Vsig はxに
比例するため、 Vsig ∝(VAC 2/d2) となる。従って、Vsig の値を大きくするには、交流電
圧振幅VACを大きくするか、測定する際の距離dを短く
する必要がある。VACを大きくすると、探針2と試料1
の表面との間に放電が生じ易くなり、また、dを小さく
すると、放電の可能性があがり、試料1の表面の凹凸に
探針2の先端が衝突しやすくなる。
【0005】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明で
は、測定物に対向配置された導電性探針を片持ち梁の先
端に保持させ、前記測定物と前記導電性探針との間に作
用する静電引力により前記片持ち梁を変形させ、この片
持ち梁の変形により前記測定物と前記探針との間に作用
する静電引力を検出して前記測定物の表面電位を測定す
るようにした表面電位計において、前記片持ち梁の共振
周波数又はこの共振周波数とほぼ等しい周波数の交流電
圧を前記導電性探針に印加する探針印加制御手段を設け
た。
【0006】請求項2記載の発明では、測定物に対向配
置された導電性探針を片持ち梁の先端に保持させ、前記
測定物と前記導電性探針との間に作用する静電引力によ
り前記片持ち梁を変形させ、この片持ち梁の変形により
前記測定物と前記探針との間に作用する静電引力を検出
して前記測定物の形状を測定するようにした形状測定器
において、前記片持ち梁の共振周波数の2分の1の周波
数又はこの周波数とほぼ等しい周波数の2分の1の周波
数の交流電圧を前記導電性探針に印加する探針印加制御
手段を設けた。
【0007】請求項3記載の発明では、測定物に対向配
置された導電性探針を片持ち梁の先端に保持させ、前記
測定物と前記導電性探針との間に作用する静電引力によ
り前記片持ち梁を変形させ、この片持ち梁の変形により
前記測定物と前記探針との間に作用する静電引力を検出
して前記測定物の表面電位を測定するようにした表面電
位計において、前記片持ち梁の共振周波数又はこの共振
周波数とほぼ等しい周波数の交流電圧に直流電圧を重畳
させた電圧を前記導電性探針に印加する直流電圧重畳探
針印加制御手段を設け、前記交流電圧による前記導電性
探針と前記測定物の間の静電引力により生じる前記片持
ち梁の振動の振幅が零又は一定値になるように前記直流
電圧を可変させる直流電位制御手段を設け、前記直流電
圧の電位を測定する直流電位測定手段を設けた。
【0008】請求項4記載の発明では、測定物に対向配
置された導電性探針を片持ち梁の先端に保持させ、前記
測定物と前記導電性探針との間に作用する静電引力によ
り前記片持ち梁を変形させ、この片持ち梁の変形により
前記測定物と前記探針との間に作用する静電引力を検出
して前記測定物の形状を測定するようにした形状測定器
において、前記片持ち梁の共振周波数の2分の1の周波
数又はこの周波数とほぼ等しい周波数の2分の1の周波
数の交流電圧を前記導電性探針に印加する探針印加制御
手段を設け、前記交流電圧による前記探針と前記測定物
の間の静電引力により生じる前記片持ち梁の振動の振幅
が一定値になるように前記測定物と前記導電性探針との
間の距離を制御するアクチュエータを備えた距離制御手
段を設け、前記アクチュエータの変位量を測定する変位
量測定手段を設けた。
【0009】請求項5記載の発明では、測定物に対向配
置された導電性探針を片持ち梁の先端に保持させ、前記
測定物と前記導電性探針との間に作用する静電引力によ
り前記片持ち梁を変形させ、この片持ち梁の変形により
前記測定物と前記探針との間に作用する静電引力を検出
して前記測定物の電位又は形状を測定するようにした表
面電位計又は形状測定器において、前記片持ち梁の共振
周波数又はこの共振周波数とほぼ等しい周波数の第1交
流電圧と前記片持ち梁の共振周波数の2分の1の周波数
又はこの共振周波数とほぼ等しい周波数の2分の1の周
波数の第2交流電圧とを重畳させた電圧を前記導電性探
針に印加する探針印加制御手段を設け、前記第1交流電
圧による前記導電性探針と前記測定物の間の静電引力に
より生じる前記片持ち梁の振動の振幅から前記測定物の
電位を測定する表面電位測定手段を設け、前記第2交流
電圧による前記導電性探針と前記測定物の間の静電引力
により生じる前記片持ち梁の振動の振幅から前記測定物
の形状を測定する形状測定手段を設けた。
【0010】請求項6記載の発明では、請求項5記載の
発明において、導電性探針に第1交流電圧と第2交流電
圧とに加えて直流電圧を重畳した電圧を印加する直流電
圧重畳探針印加制御手段と、前記第1交流電圧による前
記導電性探針と前記測定物の間の静電引力により生じる
前記片持ち梁の振動の振幅が零又は一定値になるように
前記直流電圧を可変させる電位制御手段と、前記直流電
圧の電位を測定する電位測定手段とを有するようにし
た。
【0011】請求項7記載の発明では、請求項5記載の
発明において、第2交流電圧による導電性探針と前記測
定物の間の静電引力により生じる片持ち梁の振動の振幅
が一定値になるように前記測定物と前記導電性探針との
間の距離を制御するアクチュエータを備えた距離制御手
段と、前記アクチュエータの変位量を測定する変位量測
定手段とを有するようにした。
【0012】請求項8記載の発明では、請求項5記載の
発明において、導電性探針に第1交流電圧と第2交流電
圧とに加えて直流電圧を重畳した電圧を印加する直流電
圧重畳探針印加制御手段と、前記第1交流電圧による前
記導電性探針と前記測定物の間の静電引力により生じる
前記片持ち梁の振動の振幅が零又は一定値になるように
前記直流電圧を可変させる電位制御手段と、前記直流電
圧の電位を測定する電位測定手段と、第2交流電圧によ
る導電性探針と前記測定物の間の静電引力により生じる
片持ち梁の振動の振幅が一定値になるように前記測定物
と前記導電性探針との間の距離を制御するアクチュエー
タを備えた距離制御手段と、前記アクチュエータの変位
量を測定する変位量測定手段とを有するようにした。
【0013】請求項9記載の発明では、請求項5,6,
7又は8記載の発明において、第2交流電圧により生じ
る片持ち梁の振動波形の位相から90°の位相差をもっ
て位相検波した信号により測定物の電位を測定する電位
測定手段と、第1交流電圧により生じる前記片持ち梁の
振動波形の位相から90°の位相差をもって位相検波し
た信号により前記測定物の形状を測定する形状測定手段
とを有するようにした。
【0014】請求項10記載の発明では、請求項9記載
の発明において、第2交流電圧により生じる片持ち梁の
振動波形と第1交流電圧により生じる前記片持ち梁の振
動波形との位相差が90°になるように第2交流電圧と
第1交流電圧の間の位相差を決定する位相差決定手段を
有するようにした。
【0015】請求項11記載の発明では、請求項5,
6,7,8,9又は10記載の発明において、導電性探
針に第1交流電圧と第2交流電圧を交互に印加し、前記
第1交流電圧が印加されているときに測定物の電位を測
定し、第2交流電圧が印加されているときに前記測定物
の形状を測定する電位形状測定選択手段を有するように
した。
【0016】請求項12記載の発明では、請求項1,
2,3,4,5,6,7,8,9,10又は11記載の
発明において、導電性探針に印加する電圧を測定物の導
電性基板に印加し、その導電性探針の電位を基準電位と
した。
【0017】請求項13記載の発明では、請求項1,
2,3,4,5,6,7,8,9,10又は11記載の
発明において、第1交流電圧と第2交流電圧と直流電圧
のうち、いずれか2つを導電性探針に印加し、残りの1
つを測定物の導電性基板に印加する電圧印加制御手段を
有するようにした。
【0018】請求項14記載の発明では、請求項1,
2,3,4,5,6,7,8,9,10又は11記載の
発明において、第1交流電圧と第2交流電圧と直流電圧
のうち、いずれか2つを測定物の導電性基板に印加し、
残りの1つを導電性探針に印加する電圧印加制御手段を
有するようにした。
【0019】請求項15記載の発明では、請求項5,
6,7,8,9,10,11,12,13又は14記載
の発明において、第2交流電圧の周波数を片持ち梁の共
振周波数の2倍の周波数又はこの共振周波数とほぼ等し
い周波数の2倍の周波数に設定した。
【0020】
【作用】請求項1,3記載の発明においては、測定物の
表面電位を従来よりも高速にかつ高感度に測定すること
が可能となる。
【0021】請求項2,4記載の発明においては、測定
物の表面形状を従来よりも高速にかつ高感度に測定する
ことが可能となる。
【0022】請求項5,6,7,8,11,12,1
3,14,15記載の発明においては、測定物の表面電
位と表面形状を従来よりも高速にかつ高感度に、しか
も、同時にかつ独立に測定することが可能となる。
【0023】請求項9記載の発明においては、測定物の
表面電位と表面形状を従来よりも高速にかつ高感度に、
しかも、互いに干渉なく測定することが可能となる。
【0024】請求項10記載の発明においては、測定物
の表面電位と表面形状を従来よりも高速にかつ高感度
に、しかも、互いに干渉なく、最大の感度をもって測定
することが可能となる。
【0025】
【実施例】請求項3記載の発明の一実施例を図1〜図5
に基づいて説明する。まず、表面電位計の全体構成を図
1に基づいて述べる。試料台15上には測定物としての
試料16が設けられている。この試料16の上部には先
端に導電性探針17(以下、探針と呼ぶ)を有する片持
ち梁18が配置されており、この片持ち梁18はその一
端部が基台19に支持されてカンチレバーを構成してい
る。片持ち梁18の探針17が取付けられた面と反対側
の面にはミラー20が貼付けられている。半導体レーザ
21から出射されたレーザ光aは、いわゆる光テコの原
理により、ミラー20面により反射され光検知器22に
検出される。この光検知器22はプリアンプ23を介し
てロックインアンプ24と接続されている。このロック
インアンプ24の後段には、直流電位制御手段としての
積分器25が接続されている。この積分器25は、交流
電圧による探針17と試料16の間の静電引力により生
じる片持ち梁18の振動の振幅が零又は一定値になるよ
うに直流電圧を可変させる。積分器25の出力側のアー
スとの間には、直流電圧の電位を測定する直流電位測定
手段としての電圧計26が接続されている。また、積分
器25の出力側は加算器27の一方の入力端子に接続さ
れ、この加算器27の出力側はパワーアンプ28に接続
され、このパワーアンプ28は片持ち梁18と接続され
ている。加算器27の他方の入力端子には正弦波交流電
圧源29が接続されている。この正弦波交流電圧源29
は、前記片持ち梁18の共振周波数又はこの共振周波数
とほぼ等しい周波数の交流電圧を有している。この場
合、前記加算器27と、前記パワーアンプ28と、前記
正弦波交流電圧源29は、前記片持ち梁18の共振周波
数又はこの共振周波数とほぼ等しい周波数の交流電圧に
直流電圧を重畳させた電圧を前記探針17に印加する直
流電圧重畳探針印加制御手段30を構成している。
【0026】このような構成において、表面電位計の具
体的な動作について述べる。今、片持ち梁18の探針1
7と試料16の表面との間に電位差が生じ静電引力が作
用すると、片持ち梁18は振動する。これにより、光テ
コ法により片持ち梁18の振動をプリアンプ23の出力
Voとして検出する。そのVoは交流信号であり、ロッ
クインアンプ24において正弦波交流電圧源29の同期
信号(ω0)と同期して、直流電圧信号V1 に変換され
る。この場合、ロックインアンプ24の参照信号入力の
モードは、同期信号の周波数fに同期して増幅するモー
ドになっている。その後、直流電圧V1 は積分器25に
より積分されて反転増幅された電圧V2 となる。このV
2 と正弦波交流電圧源29の出力V3 とは加算器27に
加算され、これにより、直流電圧V2 に交流電圧V3
重畳した電圧V4 となる。この重畳された電圧V4 はゲ
インGをもつパワーアンプ28に入力されることによ
り、その出力はV5 =GV4 =G(V2+V3)となる。
この電圧V5 の値が探針17の電位となる。
【0027】図2は、探針17の先端部と試料16の表
面との間の様子を模式的に描いたものである。今、探針
17の先端面を面積Sをもつ平板と考え、この平板が試
料16の表面に対して平行に対向しているものとする。
この場合、探針17の先端面と試料16との間の距離を
dとし、両者間の電位差をVとすると、両者間に働く力
Fは、
【0028】
【数1】
【0029】で表される。ただし、aは比例定数であ
る。
【0030】また、図1において、試料表面の接地電位
(基準電位)に対する電位をVs、V5 の直流電圧分を
Vb(=GV2 )、V5 の交流電圧成分をVasinω
t(=GV3)とすると、(1)式において、V=Vb−
Vs+VA sinωtとなる。従って、力F(t)は、
【0031】
【数2】
【0032】となる。この(2)式より、
【0033】
【数3】
【0034】となる。
【0035】ここで、図3を用いて、振動の基本的な動
作について考える。今、図1の片持ち梁18の探針17
にF(t)が加わった場合の振動は、固定端31に質量
mがバネkとダッシュポットCを介して接続され、質量
mに力F(t)が印加された場合の振動に近似すること
ができる。この振動は粘性減衰1自由度系の強制振動で
あり、
【0036】
【数4】
【0037】の微分方程式で表される。この(4)式は
粘性減衰1自由度系の強制振動を表し、右辺の項F
(t)を強制項という。力F(t)は一般に調和加振力
の形式をとり、F(t)=Fosinωtとなる。ただ
し、Foは時間に無関係な定数である。もし、力F
(t)が(3)式のように周期的であるが調和力でない
時は、その周期(2π/ω)で決まる周波数を基本波と
してF(t)をフーリエ級数に展開する。すなわち、
【0038】
【数5】
【0039】となる。この時、(4)式の特別解は
(5)式の右辺の各項が単独に(4)式の左辺の系に作
用した、すなわち図3の質量mに(5)式の右辺の各項
の力が作用したとして得られる多くの特別解の和とな
る。そこで、(4)式の解は、
【0040】
【数6】
【0041】の解がわかればよい。すなわち、任意の周
波数の力の場合の解は(6)式の一般解を求めたと同様
にして、強制力の周波数がnωの場合の解を求め、所要
の特別解をこれらの解の和とする。(6)式の解は図3
の系に強制力F(t)が作用する時のmの振動の振幅x
を表す。今、強制力Fが働くと、最初はxには系の固有
振動数ωd を含んだ成分が混在するが、時間が経過する
と、その成分は減衰し、
【0042】
【数7】
【0043】で与えられる強制力の振動のみの成分とな
る。また、Fosinωtによる振動の振幅の最大値
は、
【0044】
【数8】
【0045】となる。Xo=Fo/kは定常力、すなわ
ち、周波数零の力Foが作用した時のmの変位である。
一般に、機械の振動が大きいとか小さいとか称している
のは、このXのことをいう。この場合、XとXoとの比
を振幅倍率と呼び、その値は、
【0046】
【数9】
【0047】となる。これは、周波数ωのときの定常振
幅とFoにより生じるmの変位(たわみ)との比を示す
ものである。図4及び図5は、種々のζについてのωと
X/Xo及びφの関係を示す。これにより、X/Xoが
最大となる時、図3の系は共振する。この時のωは、
【0048】
【数10】
【0049】で与えられる。この時、mの振動の位相は
90°(=π/2)の遅れとなる。
【0050】以上のようなことから、次に(3)式で表
される力F(t)がmに加わった場合を考える。(3)
式をもう一度書き直すと、
【0051】
【数11】
【0052】となる。この(14)式で表される力F
(t)がmに加わった場合は、その(14)式の〜
項の力が単独に加わった場合の解を(7)式から求めて
加算すればよい。
【0053】この(14)式でω=ω0 とした時、すな
わち、交流印加電圧の周波数を片持ち梁18の共振周波
数とした時、項は直流的な力なので振動には寄与しな
い。項の力の成分の周波数はω0 であるため、この力
成分により片持ち梁18は共振し、振幅は最大値をと
る。項については、周波数が2ω0 となる。片持ち梁
18のQ値は最低でも20以上はあるため、2ω0 の周
波数をもつ力による振動の振幅はω0 のそれに対して数
十分の一以下となる。従って、実質上は、項の力によ
るω0 の周波数をもつ振動しか現れない。この時の振幅
は、
【0054】
【数12】
【0055】に比例し、位相は交流印加電圧VA sin
ω0tに対して、φ=π/2の位相遅れをもつ振動とな
る。なお、VA は交流電圧の振幅であるから定数とする
ことができる。
【0056】さて、ここで再び図1の構成に戻り、片持
ち梁18の探針17にF(t)が加わった場合の振動に
ついて考える。今、Vb>Vsであった場合、ロックイ
ンアンプ24は正弦波交流電圧源29の周波数ω0 の同
期信号に同期してV0 を増幅するため、その出力V1
Vb−Vsに比例した直流電圧となる。従って、Vb>
Vsの場合、Vb−Vs>0となるためV1 >0とな
る。積分器25は反転増幅器の機能をもつため、V2
電位は小さくなっていき、これによりパワーアンプ28
の出力V5 の直流成分Vbも小さくなっていく。そし
て、このような動作は、Vb=Vsになるまで続き、V
b=Vsで安定する。Vbの値は、Vb=GV2 の関係
があるため、電圧計26でV2 を測定することにより得
ることができる。本発明の場合、片持ち梁が共振してい
るため、従来技術よりも小さな静電引力により測定が可
能となり、これにより高感度となる。また、従来技術で
は片持ち梁の共振周波数の1/6〜1/3の周波数で片
持ち梁が振動するのに比べて、本発明では共振周波数で
振動するため、ロックインアンプ24のローパスフィル
タの時定数を従来技術よりも高くすることができ、これ
により測定の高速化が可能となる。従って、このような
ことから、従来よりも高速にかつ高感度に試料16の表
面電位を測定することができる。
【0057】次に、請求項1記載の発明の一実施例を図
6に基づいて説明する。なお、請求項3記載の発明と同
一部分についての説明は省略し、その同一部分について
は同一符号を用いる。
【0058】ここでは、図6に示すような表面電位計に
おいて、正弦波交流電圧源29は、片持ち梁18の共振
周波数又はこの共振周波数とほぼ等しい周波数の交流電
圧を有している。この正弦波交流電圧源29とパワーア
ンプ28とは、片持ち梁18の共振周波数又はこの共振
周波数とほぼ等しい周波数の交流電圧を探針17に印加
する探針印加制御手段32を構成している。また、本回
路は、図1で述べたようなロックインアンプ24からの
帰還回路を備えていない。
【0059】以下、具体的な動作について説明する。図
6に示すように、ロックインアンプ24からの出力V1
をパワーアンプ28に帰還をかけず、Vbを常に0Vに
した回路状態とする。これにより、探針17には正弦波
交流電圧源29から得られた片持ち梁18の共振周波数
又はこの共振周波数とほぼ等しい周波数の交流電圧(ω
0)が印加されると、V1 は−Vsに比例した値となるた
め、そのV1 の値を電圧計26により求めることによっ
て、請求項3記載の発明と同様に、高速にかつ高感度に
試料16の表面電位を測定することができる。
【0060】次に、請求項4記載の発明の一実施例を図
7に基づいて説明する。なお、請求項1,3記載の発明
と同一部分についての説明は省略し、その同一部分につ
いては同一符号を用いる。
【0061】図7は、形状測定器の回路構成を示すもの
である。正弦波交流電圧源29はパワーアンプ33に接
続され、このパワーアンプ33は片持ち梁18に接続さ
れている。正弦波交流電圧源29は、片持ち梁18の共
振周波数の2分の1の周波数又はこの周波数とほぼ等し
い周波数の2分の1の周波数の交流電圧を有している。
この場合、正弦波交流電圧源29とパワーアンプ33と
は、片持ち梁18の共振周波数の2分の1の周波数又は
この周波数とほぼ等しい周波数の2分の1の周波数の交
流電圧を探針17に印加する探針印加制御手段34を構
成している。また、ロックインアンプ24には比較器3
5が接続され、この比較器35は積分器25と接続さ
れ、この積分器25はパワーアンプ28と接続され、こ
のパワーアンプ28はZ軸アクチュエータ36を駆動さ
せる。この場合、比較器35と、積分器25と、パワー
アンプ28とは、距離制御手段37を構成している。こ
の距離制御手段37は、交流電圧による探針17と試料
16との間の静電引力により生じる片持ち梁18の振動
の振幅が一定値になるように、Z軸アクチュエータ36
を用いて試料16と探針17との間の距離を制御する。
さらに、積分器25の出力側には、Z軸アクチュエータ
36の変位量を測定する変位量測定手段としての電圧計
38が接続されている。
【0062】このような構成において、形状測定器の具
体的な動作について述べる。今、正弦波交流電圧源29
の周波数ωは、片持ち梁18の共振周波数ω0 の1/2
の値とする。また、ロックインアンプ24の参照信号入
力は、参照信号の2倍の周波数に同期して増幅するよう
に2fモードになっている。また、探針17は接地して
いるためVb=0となる。今、正弦波交流電圧源29か
らパワーアンプ33を介して、片持ち梁18の共振周波
数の2分の1の周波数又はこの周波数とほぼ等しい周波
数の2分の1の周波数の交流電圧を探針17に印加す
る。(14)式において、ω=ω0 /2とすると、探針
17に働く力F(t)は、
【0063】
【数13】
【0064】のようになる。この場合、請求項3記載の
発明の実施例(ω=ω0 )と同様に、実際の振動に寄与
する力は、(15)式内の項のみとなる。この項の
力による片持ち梁18の共振した時の位相は、交流電圧
VA sin(ω0/2)t に対してφ=πの位相遅れを
もつ。また、振幅は、(aVA 2)/(2d2)に比例す
る。これにより、振幅はVb、Vsに依存せず、また、
a、VA は定数であるため振幅はdのみに依存する。
【0065】図7において、片持ち梁18の振動は光テ
コ法により検出されプリアンプ23から出力V0 として
得られ、その出力V0 は振動に比例した交流電圧信号で
あり、正弦波交流電圧源29の周波数ω0 /2の2倍の
周波数ω0 に同期してロックインアンプ24によりV0
の振幅に比例した直流電圧V1 に変換される。従って、
このV1 の値から探針17の先端と試料16の表面との
間の距離dを、試料表面電位Vsに依存せず測定するこ
とができる。
【0066】また、ロックインアンプ24から得られた
電圧V1 は比較器35により基準値V01と比較されその
差V7 が求められ、V7 は積分器25により積分されて
2となる。このV2 はパワーアンプ28によりZ軸ア
クチュエータ36を制御して距離dを変化させることが
できる。これにより、V7 が0となるようにZ軸アクチ
ュエータ36が動作し、距離dは常に一定となる。ま
た、Z軸アクチュエータ36への入力電圧とアクチュエ
ータの変位の関係が予めわかっていれば、電圧計38に
よりV2 を測定することにより表面の形状を試料表面電
位Vsに関係なく測定することができる。従って、本実
施例の場合にも、請求項3記載の発明の実施例と同様な
理由から、従来に比べて、高速にかつ高感度に試料16
の表面形状を測定することができる。
【0067】次に、請求項2記載の発明の一実施例を図
8に基づいて説明する。なお、請求項1,3,4記載の
発明と同一部分についての説明は省略し、その同一部分
については同一符号を用いる。
【0068】図8は形状測定器の回路構成を示すもので
あり、ここでは図7に示したようなZ軸アクチュエータ
36への帰還回路を備えていない。また、正弦波交流電
圧源29は、片持ち梁18の共振周波数の2分の1の周
波数又はこの周波数とほぼ等しい周波数の2分の1の周
波数の交流電圧を有する。この正弦波交流電圧源29
と、パワーアンプ33とは、片持ち梁18の共振周波数
の2分の1の周波数又はこの周波数とほぼ等しい周波数
の2分の1の周波数の交流電圧を探針17に印加する探
針印加制御手段39を構成している。
【0069】以下、具体的な動作について述べる。図8
においては、ロックインアンプ24の出力V1 の値から
帰還をかけていない。このV1 の値は1/d2 に比例し
た値となるため、電圧計38によりそのV1 の値を測定
することにより距離dを求めることができ、試料16の
表面形状を測定することができる。従って、本実施例の
場合にも、従来よりも、高速にかつ高感度に試料16の
表面形状を測定することができる。
【0070】次に、請求項8,9,10記載の発明の一
実施例を図9〜図11に基づいて説明する。なお、請求
項1〜4記載の発明と同一部分についての説明は省略
し、その同一部分については同一符号を用いる。
【0071】図9は、表面電位計及び形状測定器を同一
回路内に備えた構成を示すものである。プリアンプ23
からの出力V0 は、ロックインアンプ40,41に送ら
れる。ロックインアンプ40の後段に接続された回路は
表面電位計の回路構成を示し、ロックインアンプ41の
後段に接続された回路は形状測定器の回路構成を示す。
そこで、まず、表面電位計の回路構成について述べる。
ロックインアンプ40から出力された直流電圧V11は、
電位制御手段としての積分器42に送られる。この積分
器42は、第1正弦波交流電圧源43の第1交流電圧V
31による探針17と試料16との間の静電引力により生
じる片持ち梁18の振動の振幅が零又は一定値になるよ
うに直流電圧V11を可変させる。この積分器42には、
直流電圧V11の電位を測定する電位測定手段としての電
圧計44が接続されている。そして、積分器42からの
出力V21は、加算器45の3つの入力端子のうちの一つ
に入力される。また、加算器45の他の入力端子には、
第1正弦波交流電圧源43からの第1交流電圧V31と、
第2正弦波交流電圧源46からの第2交流電圧V32とが
入力される。加算器45からの出力V41はパワーアンプ
47に送られ、この出力V51は片持ち梁18の探針17
に印加される。この場合、第1正弦波交流電圧源43
と、第2正弦波交流電圧源46と、加算器45と、パワ
ーアンプ47とは、探針17に第1交流電圧V31と第2
交流電圧V32とに加えて直流電圧V21を重畳した電圧を
印加する直流電圧重畳探針印加制御手段48を構成して
いる。
【0072】次に、形状測定器の回路構成について述べ
る。ロックインアンプ41から出力された直流電圧V12
は比較器49に送られる。この比較器49からの出力V
6 は積分器50に送られる。この積分器50には、Z軸
アクチュエータ36の変位量を測定する変位量測定手段
としての電圧計51が接続されている。積分器50の出
力V22はパワーアンプ52に送られ、このパワーアンプ
52によりZ軸アクチュエータ36は駆動される。この
場合、比較器49と、積分器50と、パワーアンプ52
とは、距離制御手段53を構成している。この距離制御
手段53は、第2交流電圧V32による探針17と試料1
6の間の静電引力により生じる片持ち梁18の振動の振
幅が一定値になるように、Z軸アクチュエータ36を用
いて試料16と探針17との間の距離を制御する(ここ
までの構成は、請求項8記載の発明に対応する)。
【0073】また、第2交流電圧V32により生じる片持
ち梁18の振動波形の位相から90°の位相差をもって
位相検波した信号により試料16の電位を測定する電位
測定手段と、第1交流電圧V31により生じる片持ち梁1
8の振動波形の位相から90°の位相差をもって位相検
波した信号により試料16の形状を測定する形状測定手
段とを設けた(請求項9記載の発明に対応する)。
【0074】さらに、第2交流電圧V32により生じる片
持ち梁18の振動波形と第1交流電圧V31により生じる
片持ち梁18の振動波形との位相差が90°になるよう
に第2交流電圧V32と第1交流電圧V31との間の位相差
を決定する位相差決定手段を設けた(請求項10記載の
発明に対応する)。
【0075】このような構成において、以下、請求項
8,9,10記載の発明の具体例を順次説明していく。
まず、請求項8記載の発明に係る、表面電位計及び形状
測定器を構成する本回路の具体的な動作について述べ
る。今、第1正弦波交流電圧源43は、V31=VA si
nω0t 、第2正弦波交流電圧源46は、V32=VB s
in(ω0/2)t の交流電圧を同期して発生する。そ
して、V31、V32、V21は、加算器45により加算さ
れ、パワーアンプ47により増幅され、探針17に印加
される。
【0076】ここで、探針17の電位と試料16の表面
電位との電位差をVとすると、
【0077】
【数14】
【0078】となる。従って、力F(t)は、
【0079】
【数15】
【0080】となる。これにより、F(t)は、
【0081】
【数16】
【0082】ここで、ω1=ω0、ω2=ω0/2とする
と、F(t)は、
【0083】
【数17】
【0084】となる。この(19)式で表されるF
(t)が片持ち梁18に加わった場合、前述した場合と
同様に、振動に寄与する項は、項と項である。項
による振動の振幅は1/d2 に比例し、項による振動
の振幅は(Vb−Vs)/d2 に比例する。また、項
による振動の位相差は、V31=VA sinω0t に対し
て、ψ1 =−(π/2)、項による振動の位相差は、
ψ2=−πとなる。そして、片持ち梁18の振動は、
項による振動波形v1 、項による振動波形v2
【0085】
【数18】
【0086】の和(v1+v2)となる。
【0087】図10は、V31、V32、V51、v1、v2
1+v2の関係を示す。ここで、 v1=v01sin(ω0t−π/2) …(22) v2=v02sin(ω0t−π) …(23) ただし、 v01=a1(Vb−Vs)/d2 …(24−1) v02=a2/d2 …(24−2) Vo=v1+v2 =v01sin(ω0t−π/2)+v02sin(ω0t−π) …(25) ロックインアンプ40,41は、入力信号を参照信号に
対して任意の位相差をもって同期検波し、これを図示し
ないローパスフィルタにて平滑化し直流信号に変換す
る。例えば、図11に示すように、入力電圧vi 、参照
信号vr vi =asin(ωt+ψ) …(26−1) vr =sinωt …(26−2) とすると、θだけの位相をもって同期検波し、積分した
場合の出力Vout は、
【0088】
【数19】
【0089】で与えられる。この場合、θ=−ψなら
ば、Vo=2a/πとなり、Voはθに対して最大値を
とる。また、θ+ψ=π/2ならばVo=0となる。
【0090】ここで、再び、図11、図12に基づいて
述べる。ロックインアンプ40は、Voの同期検波を参
照信号に対してθ1 =π/2で行う。また、ロックイン
アンプ41はθ2 =πで行う。ロックインアンプ40の
出力は、(25)式を(27)式に適用すると、
【0091】
【数20】
【0092】ここで、θ1=π/2だから、
【0093】
【数21】
【0094】となり、項による振動振幅v01=a
1{(Vb−Vs)/d2}に比例する直流電圧を得るこ
とができる。
【0095】一方、ロックインアンプ41の出力につい
ても同様に、
【0096】
【数22】
【0097】ここで、θ2 =πだから、
【0098】
【数23】
【0099】となり、項による振動振幅v02=a
2(1/d2)に比例する直流電圧を得ることができる。
すなわち、V11から図1のV1 と同様に試料表面と探針
電位の差Vb−Vsを、また、V12から図7のV1 と同
様に距離dを同時にかつ独立に検出することができる。
従って、これらV11、V12をもとに、請求項3,4記載
の実施例と同様に、Vb及びZ軸アクチュエータ36へ
帰還をかけることにより、試料表面電位と表面形状を同
時にかつ独立に測定することができる。V11は、(Vb
−Vs)/d2 に比例する値となるため、実際はVb−
Vsだけでなくdにも依存する。しかし、Vb−Vs=
0となるようにVbに帰還をかけることにより、V21
りdに無関係にVsを測定することができる。また、本
実施例においても、従来よりも、高速にかつ高感度に表
面電位と表面形状を測定することができる。
【0100】次に、請求項9記載の発明である位相差電
位測定手段及び位相差形状測定手段の具体例について述
べる。ここでは、v1 とv2 の位相差がπ/2でない時
にV11にv02が、V12にv01が混入しないことを目的と
する。その一例として、 v1=v01sin(ω0t+φ1) …(31) v2=v02sin(ω0t+φ2) …(32) とし、|φ1−φ2|≠π/2とする。ここで、V11を求
めると、
【0101】
【数24】
【0102】となる。ここで、θ1=−φ2−(π/
2)、すなわち、ロックインアンプ40の位相検波の位
相θ1 をv2 の位相とπ/2(90°)だけずらすこと
により、V11は、
【0103】
【数25】
【0104】となり、これによりv02の混入を防ぐこと
ができる。ただし、v01に対する感度は|φ1−φ2
=π/2の場合よりも低下する。
【0105】また、これと同様に、V12 についても同
様にしてv01の混入を防ぐことができる。従って、本実
施例の場合にも、従来よりも、高速にかつ高感度に試料
16の表面電位と表面形状を互いに干渉なく測定するこ
とができる。
【0106】次に、請求項10記載の発明である位相差
決定手段の具体例について述べる。ここでは、第1交流
電圧V31と第2交流電圧V32の位相差が図10に示すよ
うに0の場合でも、v1 とv2 の位相差がπ/2になら
ない場合に、V31とV32との間の位相差を調整すること
により、V31、V32に各々生じるv1 とv2 との間の位
相差をπ/2に設定し、これによりV11、V12各々にv
02、v01が混入せず、かつ、各々v01、v02に対して最
大感度をもつようにしたものである。従って、本実施例
においても、従来よりも、表面電位と表面形状を、高速
にかつ高感度に、しかも、互いに干渉なくかつ最大の感
度をもって測定することができる。
【0107】次に、請求項5,6,7記載の発明の一実
施例を図9に基づいて説明する。なお、請求項1〜4、
8〜10記載の発明と同一部分についての説明は省略
し、その同一部分については同一符号を用いる。
【0108】請求項5〜7記載の発明は、請求項8〜1
0記載の発明と関連している。そこで、まず、請求項5
記載の発明について述べる。本請求項5の発明は、片持
ち梁18の共振周波数又はこの共振周波数とほぼ等しい
周波数の第1交流電圧V31と片持ち梁18の共振周波数
の2分の1の周波数又はこの共振周波数とほぼ等しい周
波数の2分の1の周波数の第2交流電圧V32とを重畳さ
せた電圧を探針17に印加する探針印加制御手段を設
け、第1交流電圧V31による探針17と試料16との間
の静電引力により生じる片持ち梁18の振動の振幅から
試料16の電位を測定する表面電位測定手段を設け、第
2交流電圧V32による探針17と試料16との間の静電
引力により生じる片持ち梁18の振動の振幅から試料1
6の形状を測定する形状測定手段を設けたことに特徴が
ある。
【0109】具体的には、請求項8記載の発明を示す図
9の回路においては、探針17に第1交流電圧V31と第
2交流電圧V32とに加えてさらに直流電圧V21を重畳し
た電圧を印加したが、ここでは、その直流電圧V21によ
る印加はなく第1交流電圧V31と第2交流電圧V32のみ
を探針17に印加するようにしたものである。これによ
り、従来よりも高速にかつ高感度に試料16の表面電位
と表面形状とを同時にかつ独立して測定することができ
る。
【0110】次に、請求項6記載の発明について述べ
る。本請求項6の発明は、前記請求項5記載の発明で述
べた表面電位測定手段の具体的な内部構成手段を示すも
のである。すなわち、第1交流電圧V31による探針17
と試料16との間の静電引力により生じる片持ち梁18
の振動の振幅が零又は一定値になるように直流電圧V21
を可変させる電位制御手段と、直流電圧V21の電位を測
定する電位測定手段とを設けたものである。また、ここ
では、直流電圧重畳探針印加制御手段として、探針17
に第1交流電圧V31と第2交流電圧V32とに加えて直流
電圧V21を重畳した電圧を印加するようにした。
【0111】具体的には、電位制御手段とは請求項8記
載の発明(図9参照)で述べた積分器42に相当し、ま
た、電位測定手段とは請求項8記載の発明(図9参照)
で述べた電圧計44に相当する。さらに、直流電圧重畳
探針印加制御手段とは、請求項8記載の発明(図9参
照)で述べた第1正弦波交流電圧源43と第2正弦波交
流電圧源46と加算器45とパワーアンプ47とからな
る直流電圧重畳探針印加制御手段48に相当する。これ
により、従来よりも高速にかつ高感度に試料16の表面
電位と表面形状とを同時にかつ独立して測定することが
できる。
【0112】次に、請求項7記載の発明について述べ
る。本請求項7の発明は、前記請求項5記載の発明で述
べた形状測定手段の具体的な内部構成手段を示すもので
ある。すなわち、第2交流電圧V32による探針17と試
料16との間の静電引力により生じる片持ち梁18の振
動の振幅が一定値になるように試料16と探針17との
間の距離を制御するアクチュエータを備えた距離制御手
段と、そのアクチュエータの変位量を測定する変位量測
定手段とを設けたものである。
【0113】具体的には、距離制御手段とは、請求項8
記載の発明(図9参照)で述べた比較器49と積分器5
0とパワーアンプ52とからなる距離制御手段53に相
当する。また、変位量測定手段とは、請求項8記載の発
明(図9参照)で述べた電圧計51に相当する。これに
より、従来よりも、高速にかつ高感度に試料16の表面
電位と表面形状とを同時にかつ独立して測定することが
できる。
【0114】次に、請求項11記載の発明の一実施例に
ついて説明する。なお、請求項1〜10記載の発明と同
一部分についての説明は省略し、その同一部分について
は同一符号を用いる。
【0115】ここでは、前述した請求項5〜10記載の
発明である表面電位計及び形状測定器において、探針1
7に第1交流電圧V31と第2交流電圧V32を交互に印加
し、第1交流電圧V31が印加されているときに試料16
の電位を測定し、第2交流電圧V32が印加されていると
きに試料1の形状を測定する電位形状測定選択手段を設
けたことに特徴がある。具体的には、図9に示す回路に
おいて、第1正弦波交流電圧源43の第1交流電圧V31
と第2正弦波交流電圧源46の第2交流電圧V32とを時
間的に交互に選択して発生させることにより、試料16
の表面電位と表面形状とを交互に測定するようにした。
これにより、従来よりも、高速にかつ高感度に試料16
の表面電位と表面形状とを同時にかつ独立して測定する
ことができる。
【0116】次に、請求項12〜14記載の発明の一実
施例を図12に基づいて説明する。なお、請求項1〜1
1記載の発明と同一部分についての説明は省略し、その
同一部分については同一符号を用いる。
【0117】ここでは、探針17に印加する電圧を試料
16の導電性基板としての試料台15に印加し、その探
針17の電位を基準電位とした(請求項12記載の発明
に対応する)。また、第1交流電圧V31と第2交流電圧
32と直流電圧V21のうち、いずれか2つを探針17に
印加し、残りの1つを試料台15に印加する電圧印加制
御手段を設けた(請求項13記載の発明に対応する)。
さらに、第1交流電圧V31と第2交流電圧V32と直流電
圧V21のうち、いずれか2つを試料台15に印加し、残
りの1つを探針17に印加する電圧印加制御手段を設け
た(請求項14記載の発明に対応する)。
【0118】そこで、以下、請求項12,13記載の発
明である基準電位設定手段、電圧印加制御手段の具体例
について述べる。図12において、加算器45には、第
1正弦波交流電圧源43の第1交流電圧V31と第2正弦
波交流電圧源46の第2交流電圧V32との2つの電圧が
印加されている。また、積分器42の出力V21は反転パ
ワーアンプ54に送られ、この反転パワーアンプ54の
出力は−Vbとされ試料台15と接続されている。この
場合、反転パワーアンプ54が基準電位設定手段、電圧
印加制御手段を構成している。
【0119】以下、具体的な動作を図12に基づいて述
べる。一般に、試料16(以下、ここでは膜と呼ぶ)と
しては、試料台15(以下、ここでは基板と呼ぶ)上に
絶縁膜や光半導体の膜が積層されたものが多い。これま
での各回路(図1,7,8,9参照)では、基板15が
基準電位とされたGNDに接地されていた。本回路で
は、基板15がGNDではなく、探針17に帰還されて
いた直流電圧V21を反転パワーアンプ54にて反転した
電圧−Vbを印加する。また、基板15と膜16との間
の表面電位差(膜厚にかかる電圧)をVsとする。これ
により、試料表面とGND間の電位差はVs−Vbとな
る。一方、探針17に加わる電圧Vtは、第1交流電圧
31と第2交流電圧V32による電圧のみが印加されるた
め、 Vt=VA sinω1t+VB sinω2t となる。従って、試料表面を基準とした探針17の先端
間の電位差Vは、 V=VA sinω1t+VB sinω2t−(Vs−Vb) …(35) となり、(16)式と同様になる。従って、本実施例に
おいても、従来よりも高速にかつ高感度に膜16の表面
電位と表面形状とを同時にかつ独立して測定することが
できる。
【0120】なお、基板15に印加する電圧は、Vbの
みならず、VA sinω1t、VBsinω2tさらには
これらを組み合わせたものでも同様の動作を行うことが
できる。また、上述した例は、第1交流電圧V31と第2
交流電圧V32と直流電圧V21のうち、いずれか2つを探
針17に印加し、残りの1つを基板15に印加したが、
これに限るものではなく、いずれか2つを基板15に印
加し、残りの1つを探針17に印加するようにしてもよ
い。
【0121】次に、請求項15記載の発明の一実施例を
図13に基づいて説明する。なお、請求項1〜14記載
の発明と同一部分についての説明は省略し、その同一部
分については同一符号を用いる。
【0122】ここでは、第2交流電圧V32の周波数を片
持ち梁18の共振周波数の2倍の周波数又はこの共振周
波数とほぼ等しい周波数の2倍の周波数に設定したもの
である。以下、具体的に説明する。図13に示す回路に
おいて、第2正弦波交流電圧源46の周波数を片持ち梁
18の共振周波数ω0 の2倍である2ω0 に設定する。
ここで、探針17に働く力F(t)は(18)式におい
て、ω1=ω0、ω2=2ω0とした場合であることから、
【0123】
【数26】
【0124】となる。この(36)式において、片持ち
梁18の振動に寄与する力は項と項であり、各々の
項により生じる振動振幅は、項では(a/d2)(V
b−Vs)VA に、項では(a/d2)(VA VB )
に比例する。そして、a、VA、VB は定数と考えられ
るため、請求項5〜14記載の発明と同様にして、項
による振動から試料表面の電位を、項による振動から
試料表面形状を同時にかつ独立して測定することができ
る。
【0125】
【発明の効果】請求項1記載の発明は、測定物に対向配
置された導電性探針を片持ち梁の先端に保持させ、前記
測定物と前記導電性探針との間に作用する静電引力によ
り前記片持ち梁を変形させ、この片持ち梁の変形により
前記測定物と前記探針との間に作用する静電引力を検出
して前記測定物の表面電位を測定するようにした表面電
位計において、前記片持ち梁の共振周波数又はこの共振
周波数とほぼ等しい周波数の交流電圧を前記導電性探針
に印加する探針印加制御手段を設けたので、測定物の表
面電位を従来よりも高速にかつ高感度に測定することが
できるものである。
【0126】請求項2記載の発明は、測定物に対向配置
された導電性探針を片持ち梁の先端に保持させ、前記測
定物と前記導電性探針との間に作用する静電引力により
前記片持ち梁を変形させ、この片持ち梁の変形により前
記測定物と前記探針との間に作用する静電引力を検出し
て前記測定物の形状を測定するようにした形状測定器に
おいて、前記片持ち梁の共振周波数の2分の1の周波数
又はこの周波数とほぼ等しい周波数の2分の1の周波数
の交流電圧を前記導電性探針に印加する探針印加制御手
段を設けたので、測定物の表面形状を従来よりも高速に
かつ高感度に測定することができるものである。
【0127】請求項3記載の発明は、測定物に対向配置
された導電性探針を片持ち梁の先端に保持させ、前記測
定物と前記導電性探針との間に作用する静電引力により
前記片持ち梁を変形させ、この片持ち梁の変形により前
記測定物と前記探針との間に作用する静電引力を検出し
て前記測定物の表面電位を測定するようにした表面電位
計において、前記片持ち梁の共振周波数又はこの共振周
波数とほぼ等しい周波数の交流電圧に直流電圧を重畳さ
せた電圧を前記導電性探針に印加する直流電圧重畳探針
印加制御手段を設け、前記交流電圧による前記導電性探
針と前記測定物の間の静電引力により生じる前記片持ち
梁の振動の振幅が零又は一定値になるように前記直流電
圧を可変させる直流電位制御手段を設け、前記直流電圧
の電位を測定する直流電位測定手段を設けたので、測定
物の表面電位を従来よりも高速にかつ高感度に測定する
ことができるものである。
【0128】請求項4記載の発明は、測定物に対向配置
された導電性探針を片持ち梁の先端に保持させ、前記測
定物と前記導電性探針との間に作用する静電引力により
前記片持ち梁を変形させ、この片持ち梁の変形により前
記測定物と前記探針との間に作用する静電引力を検出し
て前記測定物の形状を測定するようにした形状測定器に
おいて、前記片持ち梁の共振周波数の2分の1の周波数
又はこの周波数とほぼ等しい周波数の2分の1の周波数
の交流電圧を前記導電性探針に印加する探針印加制御手
段を設け、前記交流電圧による前記探針と前記測定物の
間の静電引力により生じる前記片持ち梁の振動の振幅が
一定値になるように前記測定物と前記導電性探針との間
の距離を制御するアクチュエータを備えた距離制御手段
を設け、前記アクチュエータの変位量を測定する変位量
測定手段を設けたので、測定物の表面形状を従来よりも
高速にかつ高感度に測定することができるものである。
【0129】請求項5記載の発明は、測定物に対向配置
された導電性探針を片持ち梁の先端に保持させ、前記測
定物と前記導電性探針との間に作用する静電引力により
前記片持ち梁を変形させ、この片持ち梁の変形により前
記測定物と前記探針との間に作用する静電引力を検出し
て前記測定物の電位又は形状を測定するようにした表面
電位計又は形状測定器において、前記片持ち梁の共振周
波数又はこの共振周波数とほぼ等しい周波数の第1交流
電圧と前記片持ち梁の共振周波数の2分の1の周波数又
はこの共振周波数とほぼ等しい周波数の2分の1の周波
数の第2交流電圧とを重畳させた電圧を前記導電性探針
に印加する探針印加制御手段を設け、前記第1交流電圧
による前記導電性探針と前記測定物の間の静電引力によ
り生じる前記片持ち梁の振動の振幅から前記測定物の電
位を測定する表面電位測定手段を設け、前記第2交流電
圧による前記導電性探針と前記測定物の間の静電引力に
より生じる前記片持ち梁の振動の振幅から前記測定物の
形状を測定する形状測定手段を設けたので、測定物の表
面電位と表面形状を従来よりも高速にかつ高感度に、し
かも、同時にかつ独立に測定することができるものであ
る。
【0130】請求項6記載の発明は、請求項5記載の発
明においては、導電性探針に第1交流電圧と第2交流電
圧とに加えて直流電圧を重畳した電圧を印加する直流電
圧重畳探針印加制御手段と、前記第1交流電圧による前
記導電性探針と前記測定物の間の静電引力により生じる
前記片持ち梁の振動の振幅が零又は一定値になるように
前記直流電圧を可変させる電位制御手段と、前記直流電
圧の電位を測定する電位測定手段とを有するようにした
ので、測定物の表面電位と表面形状を従来よりも高速に
かつ高感度に、しかも、同時にかつ独立に測定すること
ができるものである。
【0131】請求項7記載の発明は、請求項5記載の発
明において、第2交流電圧による導電性探針と前記測定
物の間の静電引力により生じる片持ち梁の振動の振幅が
一定値になるように前記測定物と前記導電性探針との間
の距離を制御するアクチュエータを備えた距離制御手段
と、前記アクチュエータの変位量を測定する変位量測定
手段とを有するようにしたので、測定物の表面電位と表
面形状を従来よりも高速にかつ高感度に、しかも、同時
にかつ独立に測定することができるものである。
【0132】請求項8記載の発明は、請求項5記載の発
明において、導電性探針に第1交流電圧と第2交流電圧
とに加えて直流電圧を重畳した電圧を印加する直流電圧
重畳探針印加制御手段と、前記第1交流電圧による前記
導電性探針と前記測定物の間の静電引力により生じる前
記片持ち梁の振動の振幅が零又は一定値になるように前
記直流電圧を可変させる電位制御手段と、前記直流電圧
の電位を測定する電位測定手段と、第2交流電圧による
導電性探針と前記測定物の間の静電引力により生じる片
持ち梁の振動の振幅が一定値になるように前記測定物と
前記導電性探針との間の距離を制御するアクチュエータ
を備えた距離制御手段と、前記アクチュエータの変位量
を測定する変位量測定手段とを有するようにしたので、
測定物の表面電位と表面形状を従来よりも高速にかつ高
感度に、しかも、同時にかつ独立に測定することができ
るものである。
【0133】請求項9記載の発明は、請求項5,6,7
又は8記載の発明において、第2交流電圧により生じる
片持ち梁の振動波形の位相から90°の位相差をもって
位相検波した信号により測定物の電位を測定する電位測
定手段と、第1交流電圧により生じる前記片持ち梁の振
動波形の位相から90°の位相差をもって位相検波した
信号により前記測定物の形状を測定する形状測定手段と
を有するようにしたので、測定物の表面電位と表面形状
を従来よりも高速にかつ高感度に、しかも、互いに干渉
なく測定することができるものである。
【0134】請求項10記載の発明は、請求項9記載の
発明において、第2交流電圧により生じる片持ち梁の振
動波形と第1交流電圧により生じる前記片持ち梁の振動
波形との位相差が90°になるように第2交流電圧と第
1交流電圧の間の位相差を決定する位相差決定手段を有
するようにしたので、測定物の表面電位と表面形状を従
来よりも高速にかつ高感度に、しかも、互いに干渉な
く、最大の感度をもって測定することができるものであ
る。
【0135】請求項11記載の発明は、請求項5,6,
7,8,9又は10記載の発明において、導電性探針に
第1交流電圧と第2交流電圧を交互に印加し、前記第1
交流電圧が印加されているときに測定物の電位を測定
し、第2交流電圧が印加されているときに前記測定物の
形状を測定する電位形状測定選択手段を有するようにし
たので、測定物の表面電位と表面形状を従来よりも高速
にかつ高感度に、しかも、同時にかつ独立に測定するこ
とができるものである。
【0136】請求項12記載の発明は、請求項1,2,
3,4,5,6,7,8,9,10又は11記載の発明
において、導電性探針に印加する電圧を測定物の導電性
基板に印加し、その導電性探針の電位を基準電位とした
ので、測定物の表面電位と表面形状を従来よりも高速に
かつ高感度に、しかも、同時にかつ独立に測定すること
ができるものである。
【0137】請求項13記載の発明は、請求項1,2,
3,4,5,6,7,8,9,10又は11記載の発明
において、第1交流電圧と第2交流電圧と直流電圧のう
ち、いずれか2つを導電性探針に印加し、残りの1個を
測定物の導電性基板に印加する電圧印加制御手段を有す
るようにしたので、測定物の表面電位と表面形状を従来
よりも高速にかつ高感度に、しかも、同時にかつ独立に
測定することができるものである。
【0138】請求項14記載の発明は、請求項1,2,
3,4,5,6,7,8,9,10又は11記載の発明
において、第1交流電圧と第2交流電圧と直流電圧のう
ち、いずれか2つを測定物の導電性基板に印加し、残り
の1個を導電性探針に印加する電圧印加制御手段を有す
るようにしたので、測定物の表面電位と表面形状を従来
よりも高速にかつ高感度に、しかも、同時にかつ独立に
測定することができるものである。
【0139】請求項15記載の発明は、請求項5,6,
7,8,9,10,11,12,13又は14記載の発
明において、第2交流電圧の周波数を片持ち梁の共振周
波数の2倍の周波数又はこの共振周波数とほぼ等しい周
波数の2倍の周波数に設定したので、測定物の表面電位
と表面形状を従来よりも高速にかつ高感度に、しかも、
同時にかつ独立に測定することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】請求項3記載の発明の一実施例である表面電位
計の構成を示す回路図である。
【図2】試料表面に近接した探針先端部の様子を示す模
式図である。
【図3】振動を近似して示す模式図である。
【図4】振幅倍率曲線を示す特性図である。
【図5】位相遅れ曲線を示す特性図である。
【図6】請求項1記載の発明の一実施例である表面電位
計の構成を示す回路図である。
【図7】請求項4記載の発明の一実施例である形状測定
器の構成を示す回路図である。
【図8】請求項2記載の発明の一実施例である形状測定
器の構成を示す回路図である。
【図9】請求項5〜11記載の発明の一実施例である表
面電位計及び形状測定器の構成を示す回路図である。
【図10】波形図である。
【図11】波形図である。
【図12】請求項12〜14記載の発明の一実施例であ
る表面電位計及び形状測定器の構成を示す回路図であ
る。
【図13】請求項15記載の発明の一実施例である表面
電位計及び形状測定器の構成を示す回路図である。
【図14】従来の表面電位計及び形状測定器の構成を示
す回路図である。
【符号の説明】
15 導電性基板 16 測定物 17 導電性探針 18 片持ち梁 25 直流電位制御手段 26 直流電位測定手段 30 直流電圧重畳探針印加制御手段 32 探針印加制御手段 34 探針印加制御手段 36 アクチュエータ 37 距離制御手段 38 変位量測定手段 42 電位制御手段 43 電位測定手段 48 直流電圧重畳探針印加制御手段 51 変位量測定手段 53 距離制御手段

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 測定物に対向配置された導電性探針を片
    持ち梁の先端に保持させ、前記測定物と前記導電性探針
    との間に作用する静電引力により前記片持ち梁を変形さ
    せ、この片持ち梁の変形により前記測定物と前記探針と
    の間に作用する静電引力を検出して前記測定物の表面電
    位を測定するようにした表面電位計において、前記片持
    ち梁の共振周波数又はこの共振周波数とほぼ等しい周波
    数の交流電圧を前記導電性探針に印加する探針印加制御
    手段を設けたことを特徴とする表面電位計。
  2. 【請求項2】 測定物に対向配置された導電性探針を片
    持ち梁の先端に保持させ、前記測定物と前記導電性探針
    との間に作用する静電引力により前記片持ち梁を変形さ
    せ、この片持ち梁の変形により前記測定物と前記探針と
    の間に作用する静電引力を検出して前記測定物の形状を
    測定するようにした形状測定器において、前記片持ち梁
    の共振周波数の2分の1の周波数又はこの周波数とほぼ
    等しい周波数の2分の1の周波数の交流電圧を前記導電
    性探針に印加する探針印加制御手段を設けたことを特徴
    とする形状測定器。
  3. 【請求項3】 測定物に対向配置された導電性探針を片
    持ち梁の先端に保持させ、前記測定物と前記導電性探針
    との間に作用する静電引力により前記片持ち梁を変形さ
    せ、この片持ち梁の変形により前記測定物と前記探針と
    の間に作用する静電引力を検出して前記測定物の表面電
    位を測定するようにした表面電位計において、前記片持
    ち梁の共振周波数又はこの共振周波数とほぼ等しい周波
    数の交流電圧に直流電圧を重畳させた電圧を前記導電性
    探針に印加する直流電圧重畳探針印加制御手段を設け、
    前記交流電圧による前記導電性探針と前記測定物の間の
    静電引力により生じる前記片持ち梁の振動の振幅が零又
    は一定値になるように前記直流電圧を可変させる直流電
    位制御手段を設け、前記直流電圧の電位を測定する直流
    電位測定手段を設けたことを特徴とする表面電位計。
  4. 【請求項4】 測定物に対向配置された導電性探針を片
    持ち梁の先端に保持させ、前記測定物と前記導電性探針
    との間に作用する静電引力により前記片持ち梁を変形さ
    せ、この片持ち梁の変形により前記測定物と前記探針と
    の間に作用する静電引力を検出して前記測定物の形状を
    測定するようにした形状測定器において、前記片持ち梁
    の共振周波数の2分の1の周波数又はこの周波数とほぼ
    等しい周波数の2分の1の周波数の交流電圧を前記導電
    性探針に印加する探針印加制御手段を設け、前記交流電
    圧による前記探針と前記測定物の間の静電引力により生
    じる前記片持ち梁の振動の振幅が一定値になるように前
    記測定物と前記導電性探針との間の距離を制御するアク
    チュエータを備えた距離制御手段を設け、前記アクチュ
    エータの変位量を測定する変位量測定手段を設けたこと
    を特徴とする形状測定器。
  5. 【請求項5】 測定物に対向配置された導電性探針を片
    持ち梁の先端に保持させ、前記測定物と前記導電性探針
    との間に作用する静電引力により前記片持ち梁を変形さ
    せ、この片持ち梁の変形により前記測定物と前記探針と
    の間に作用する静電引力を検出して前記測定物の電位又
    は形状を測定するようにした表面電位計又は形状測定器
    において、前記片持ち梁の共振周波数又はこの共振周波
    数とほぼ等しい周波数の第1交流電圧と前記片持ち梁の
    共振周波数の2分の1の周波数又はこの共振周波数とほ
    ぼ等しい周波数の2分の1の周波数の第2交流電圧とを
    重畳させた電圧を前記導電性探針に印加する探針印加制
    御手段を設け、前記第1交流電圧による前記導電性探針
    と前記測定物の間の静電引力により生じる前記片持ち梁
    の振動の振幅から前記測定物の電位を測定する表面電位
    測定手段を設け、前記第2交流電圧による前記導電性探
    針と前記測定物の間の静電引力により生じる前記片持ち
    梁の振動の振幅から前記測定物の形状を測定する形状測
    定手段を設けたことを特徴とする表面電位計及び形状測
    定器。
  6. 【請求項6】 導電性探針に第1交流電圧と第2交流電
    圧とに加えて直流電圧を重畳した電圧を印加する直流電
    圧重畳探針印加制御手段と、前記第1交流電圧による前
    記導電性探針と前記測定物の間の静電引力により生じる
    前記片持ち梁の振動の振幅が零又は一定値になるように
    前記直流電圧を可変させる電位制御手段と、前記直流電
    圧の電位を測定する電位測定手段とを有することを特徴
    とする請求項5記載の表面電位計及び形状測定器。
  7. 【請求項7】 第2交流電圧による導電性探針と前記測
    定物の間の静電引力により生じる片持ち梁の振動の振幅
    が一定値になるように前記測定物と前記導電性探針との
    間の距離を制御するアクチュエータを備えた距離制御手
    段と、前記アクチュエータの変位量を測定する変位量測
    定手段とを有することを特徴とする請求項5記載の表面
    電位計及び形状測定器。
  8. 【請求項8】 導電性探針に第1交流電圧と第2交流電
    圧とに加えて直流電圧を重畳した電圧を印加する直流電
    圧重畳探針印加制御手段と、前記第1交流電圧による前
    記導電性探針と前記測定物の間の静電引力により生じる
    前記片持ち梁の振動の振幅が零又は一定値になるように
    前記直流電圧を可変させる電位制御手段と、前記直流電
    圧の電位を測定する電位測定手段と、第2交流電圧によ
    る導電性探針と前記測定物の間の静電引力により生じる
    片持ち梁の振動の振幅が一定値になるように前記測定物
    と前記導電性探針との間の距離を制御するアクチュエー
    タを備えた距離制御手段と、前記アクチュエータの変位
    量を測定する変位量測定手段とを有することを特徴とす
    る請求項5記載の表面電位計及び形状測定器。
  9. 【請求項9】 第2交流電圧により生じる片持ち梁の振
    動波形の位相から90°の位相差をもって位相検波した
    信号により測定物の電位を測定する電位測定手段と、第
    1交流電圧により生じる前記片持ち梁の振動波形の位相
    から90°の位相差をもって位相検波した信号により前
    記測定物の形状を測定する形状測定手段とを有すること
    を特徴とする請求項5,6,7又は8記載の表面電位計
    及び形状測定器。
  10. 【請求項10】 第2交流電圧により生じる片持ち梁の
    振動波形と第1交流電圧により生じる前記片持ち梁の振
    動波形との位相差が90°になるように第2交流電圧と
    第1交流電圧の間の位相差を決定する位相差決定手段を
    有することを特徴とする請求項9記載の表面電位計及び
    形状測定器。
  11. 【請求項11】 導電性探針に第1交流電圧と第2交流
    電圧を交互に印加し、前記第1交流電圧が印加されてい
    るときに測定物の電位を測定し、第2交流電圧が印加さ
    れているときに前記測定物の形状を測定する電位形状測
    定選択手段を有することを特徴とする請求項5,6,
    7,8,9又は10記載の表面電位計及び形状測定器。
  12. 【請求項12】 導電性探針に印加する電圧を測定物の
    導電性基板に印加し、その導電性探針の電位を基準電位
    としたことを特徴とする請求項1,2,3,4,5,
    6,7,8,9,10又は11記載の表面電位計及び形
    状測定器。
  13. 【請求項13】 第1交流電圧と第2交流電圧と直流電
    圧のうち、いずれか2つを導電性探針に印加し、残りの
    1つを測定物の導電性基板に印加する電圧印加制御手段
    を有することを特徴とする請求項1,2,3,4,5,
    6,7,8,9,10又は11記載の表面電位計及び形
    状測定器。
  14. 【請求項14】 第1交流電圧と第2交流電圧と直流電
    圧のうち、いずれか2つを測定物の導電性基板に印加
    し、残りの1つを導電性探針に印加する電圧印加制御手
    段を有することを特徴とする請求項1,2,3,4,
    5,6,7,8,9,10又は11記載の表面電位計及
    び形状測定器。
  15. 【請求項15】 第2交流電圧の周波数を片持ち梁の共
    振周波数の2倍の周波数又はこの共振周波数とほぼ等し
    い周波数の2倍の周波数に設定したことを特徴とする請
    求項5,6,7,8,9,10,11,12,13又は
    14記載の表面電位計及び形状測定器。
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