JPH09119938A - 走査型プローブ顕微鏡 - Google Patents

走査型プローブ顕微鏡

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JPH09119938A
JPH09119938A JP29894095A JP29894095A JPH09119938A JP H09119938 A JPH09119938 A JP H09119938A JP 29894095 A JP29894095 A JP 29894095A JP 29894095 A JP29894095 A JP 29894095A JP H09119938 A JPH09119938 A JP H09119938A
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JP29894095A
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Takeshi Murayama
健 村山
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Hitachi Construction Machinery Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 カンチレバーに設けた圧電薄膜によりZ軸の
サーボを直接行い、測定時間を大幅に向上する。 【解決手段】 試料12に臨む探針15を備えたカンチレバ
ー13と、試料と探針の相対的位置を変化させる微動機構
11を備え、微動機構によって探針が試料の表面を走査
し、探針・試料間の原子間力等に基づき生じるカンチレ
バーのたわみ量を制御することで試料表面の形状等を得
る構成を有し、カンチレバーに設けられたカンチレバー
加振用圧電薄膜16と、圧電薄膜にカンチレバー共振点付
近の周波数の電圧を印加し微小振動を生じさせる第1電
圧印加手段23と、カンチレバーの微小振動の周波数を検
知する検知手段19,20,25と、周波数が一定に保たれるよ
うにカンチレバーにたわみ変形を生じさせる第2電圧印
加手段24を備える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は走査型プローブ顕微
鏡に関し、特に高速測定に適した走査型プローブ顕微鏡
に関する。
【0002】
【従来の技術】走査型プローブ顕微鏡は、原子レベルの
寸法オーダの測定分解能を有するものであり、表面の形
状計測など各種の分野に適用されつつある。検出に利用
する物理量により、走査型トンネル顕微鏡(STM)、
原子間力顕微鏡(AFM)、磁気力顕微鏡(MFM)な
どに分かれ、応用範囲も広がっている。
【0003】中でも原子間力顕微鏡は、試料表面の形状
を高分解能で検出するに適しており、半導体、ディスク
の表面計測などの分野で実績を上げている。以下では、
原子間力顕微鏡(AFM)の例を挙げて説明する。
【0004】図3に従来の原子間力顕微鏡の構成を示
す。試料台としての機能を有するXYZ微動機構51の
上に被測定試料52が載置される。試料52の上方位置
にカンチレバー53が配置される。カンチレバー53の
基端は固定され、先端には探針54が設けられる。探針
54の先端は試料52の観察表面に臨む。またカンチレ
バー53の上方位置にはレーザ光発振器55と、レーザ
光検出器56が配置される。レーザ光発振器55から出
射されたレーザ光57は、カンチレバー53の背面に設
けられた鏡面部で反射され、レーザ光検出器56に対し
て照射される。
【0005】上記の構成において、カンチレバー接近機
構(図示せず)により、探針54と試料52の間隔を約
1nm(ナノメータ)にまで近づけると両者の間に原子
間力が作用し、カンチレバー53にたわみ変形が生じる
ようになる。そのたわみ角を上記レーザ光57により光
てこの原理で検出する。測定開始前に、試料52と探針
54の間は原子間力が作用する所定の距離に保持され
る。
【0006】試料表面を測定するときには、XYZ微動
機構51のXY微動部によって試料52をXまたはYの
各方向に走査し、この走査の間、XYZ微動機構51に
含まれるZ微動部によってカンチレバー53のたわみ角
が所定の角度になるようにする。XYZ微動機構51の
Z微動部の移動量をモニタすることによって、試料52
の表面形状を計測することができる。なお図3では、X
YZ微動機構51の動作を制御する制御手段、レーザ光
検出器56の検出信号を取り込み、当該制御手段にフィ
ードバックする手段、Z微動部の移動量に関する信号を
取り出し、表面形状を演算する演算手段、モニタ等の図
示を省略している。
【0007】原子間力顕微鏡は、その原理上、非常に高
い測定分解能力を有するが、探針54を試料52の表面
に沿って機械的に走査するため、測定時間を短縮するこ
とが難しいという本質的な問題を含んでいる。原子間力
顕微鏡での機械的走査では、XY平面内で試料52を機
械的に走査すると同時に、試料52の観察表面と探針5
4の間隔を一定に保つようにZ軸方向の動作を機械的に
制御することが必要とされる。
【0008】また機械制御の高速化を図るためには、機
械部分の共振点を高くする必要がある。例えば、トライ
ポッド型、チューブ型といった一般に用いられるバルク
型圧電素子を用いた微動機構の場合、寸法としては数十
mmが一般的であり、その共振点としては数kHzから
10kHz程度になる。
【0009】機構における寸法と共振点の関係を、片持
ち梁構造を例にして説明する。図4に示すモデルにおい
て、片持ち梁の共振点は次の式で表される。
【0010】 f=1/2π(k/m)1/2 …(1) ∝T/L2 ここで、 f:共振点(固有振動数) k:剛性(ばね定数) m:質量 T:板厚 L:長さ
【0011】例えば、T:L=1:100の場合を考え
る。1mm:100mmと1μm:100μmの場合、
それらの間の共振周波数の比率は、1/1002 :10
-3/(1000-32 =1:1000になる。この結果
によれば、寸法が小さい方が共振周波数が大きくなり、
共振点の面では圧倒的に有利になることが分かる。この
ことから、従来の圧電素子を用いた微動機構では、サイ
ズが相対的に大きくなるため、機構の共振点を大きくす
ることが困難となる。
【0012】従って、XYZ微動機構51に含まれるZ
微動部をカンチレバー53側に設けて、カンチレバー5
3をZ軸方向に移動させるようにし、試料台側の寸法を
小さくすることにより、極めて高速な計測を行うことが
可能となる。
【0013】そこで、従来、カンチレバー53にZnO
等の圧電薄膜を付加して構成した走査型プロ−ブ顕微鏡
が提案されている。例えば第42回応用物理学関連連合
講演会、講演予稿集、No.2、P474にその一例が
記載されている。図5にその基本構成を示す。61,6
2はZnO等の薄膜圧電体、63,64,65は電極で
ある。本構成を有する走査型プローブ顕微鏡は動的走査
型力顕微鏡と呼ばれるものである。この走査型プローブ
顕微鏡では、カンチレバー53をその共振点近傍の周波
数で微小振動させ、探針と試料の間の距離に応じてその
共振周波数が変化することを利用しており、探針と試料
の間の距離を一定に保つサーボが行われる。
【0014】本構成において、一方の薄膜圧電体61は
カンチレバー53の加振用に用いられ、他方の薄膜圧電
体62はカンチレバー53の変位検出用に用いられる。
66は加振用の信号発生器、67は変位検出器である。
68はコントローラであり、このコントローラはカンチ
レバー53の振動周波数と基準周波数(Vref )を比較
器69で比較し、その後、制御器70を介してXYZ微
動機構51の中のZ軸圧電素子に電圧を印加する。なお
圧電体は、電圧を印加すると歪みが生じ、この歪み(応
力)が作用すると、電圧が発生するという可逆的な特性
を有する。探針54と試料52の間の距離調整の調整・
制御はXYZ微動機構51によって行われる。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】上記構成を有する従来
の動的走査型のプローブ顕微鏡では、カンチレバー53
に圧電薄膜を用いているが、Z軸方向の微動の制御に関
するZ軸サーボはバルク型圧電素子を用いたXYZ微動
機構51で行われるので、根本的なZ軸サーボ特性の向
上は望めない。
【0016】本発明の目的は、上記課題を解決すること
にあり、カンチレバーに設けた圧電薄膜によりZ軸のサ
ーボを直接行える構成であって測定時間を大幅に向上し
た走査型プローブ顕微鏡を提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段および作用】第1の本発明
(請求項1に対応)に係る走査型プローブ顕微鏡は、上
記目的を達成するため、試料に臨む探針を備えたカンチ
レバーと、試料と探針の相対的位置を変化させる微動機
構とを備え、微動機構によって探針が試料の表面を走査
し、その走査の間、探針と試料の間の原子間力等の相互
作用に基づき生じるカンチレバーのたわみ量を制御する
ことで試料の表面における形状等の物理情報を得る構成
を有し、さらに、カンチレバーに設けられたカンチレバ
ー加振用の圧電薄膜と、圧電薄膜にカンチレバーの共振
点付近の周波数の電圧を印加してカンチレバーに微小振
動を生じさせる第1電圧印加手段と、カンチレバーの微
小振動の周波数を検知する検知手段と、この検知手段の
出力信号に基づき周波数が一定に保たれるようにカンチ
レバーにたわみ変形を生じさせる第2電圧印加手段とを
備えるように構成される。
【0018】第2の本発明(請求項2に対応)に係る走
査型プローブ顕微鏡は、第1の発明において、前記検知
手段が、好ましくは、レーザ光発振器とレーザ光検出器
からなる光学系検出手段であることを特徴とする。
【0019】第3の本発明(請求項3に対応)に係る走
査型プローブ顕微鏡は、第1の発明において、前記検知
手段が、好ましくは、カンチレバーの微小振動の周波数
を検出する圧電薄膜であることを特徴とする。
【0020】第4の本発明(請求項4に対応)に係る走
査型プローブ顕微鏡は、第3の発明において、好ましく
は、周波数検出用圧電薄膜と加振用圧電薄膜とが積層し
て形成される。
【0021】第5の本発明(請求項5に対応)に係る走
査型プローブ顕微鏡は、上記の各発明において、圧電薄
膜がZnOであることを特徴とする。
【0022】本発明では、カンチレバーの共振点近傍の
周波数に一致する周波数を有する正弦波電圧信号を圧電
薄膜に印加することにより、カンチレバーに微振動を生
じさせる。このときの振動振幅は、方式にもよるが、1
〜数十nm程度とする。この状態で探針を試料の表面に
対して数nmの距離まで接近させ、探針・試料間に原子
間力等を発生させると、カンチレバーの共振周波数が当
該距離の大きさに対応して変化する。カンチレバーの変
位は、一般に用いられている光てこ方式、あるいは圧電
薄膜で検出される。変位信号から振動周波数を検知し、
振動周波数が一定になるようZ軸のサーボを行う。振動
周波数が一定になるようZ軸のサーボを行うことによっ
て、探針・試料間の距離を所定の距離に保持することが
できる。Z軸のサーボは、加振用の圧電薄膜に所望の電
圧を印加し、カンチレバーにたわみ変形を生じさせるこ
とで行われる。すなわち、第1電圧印加手段からの加振
用電圧信号と第2電圧印加手段からのZ軸サーボ用信号
が同時に圧電薄膜に印加される。
【0023】上記構成において、カンチレバーの共振点
を数百kHzとした場合、原子間力に伴う変化分はその
1%以下であり極めて微小である。従って、力を受けな
い状態での共振周波数近傍の周波数を有する信号をモニ
タする。Z軸サーボ用信号は、試料表面の形状により変
化するため、加振用の周波数領域になると両者が干渉し
不都合が生じることが予想できる。従って実際には、Z
軸サーボに関するサーボ帯域をカンチレバーの共振点の
例えば1/2〜1/10程度にすることで干渉を防止す
る。この場合においても数10〜100kHz程度のサ
ーボ帯域を確保することができる。
【0024】従来用いられている、トライポッド型、チ
ューブ型といったバルク圧電素子を用いたZ軸サーボで
は、その機構共振点の制約からサーボ帯域は数kHz以
下に限られていた。従って試料をXY方向に高速で走査
するとZ軸サーボが追従できなくなり、高速な測定がで
きなかった。今回の薄膜圧電体を用いた方式は、従来法
に比べおよそ10〜100倍の高速測定を実現でき、走
査型プローブ顕微鏡の欠点といわれる測定時間の問題を
解決できるものである。
【0025】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施形態を添付
図面に基づいて説明する。
【0026】図1に本発明の第1実施形態を示す。この
走査型プローブ顕微鏡の例は原子間力顕微鏡である。試
料台としての機能を有するXY微動機構11の上面に試
料12が載置される。試料12の上方位置にカンチレバ
ー13が配置される。カンチレバー13の基端は取付け
部14に固定され、その先端には探針(プローブともい
う)15が設けられる。探針15の先端は、試料12の
観察表面に臨む。図1に示したカンチレバー13および
探針15は、説明の便宜上その寸法を誇張して描いてい
る。実際には、カンチレバー13の長さは100μm程
度、厚みは1μm程度である。
【0027】この構成では、試料台において、試料12
を微動させる機構部分はXY微動機構11のみとなり、
Z微動機構部分は含まれない。このXY微動機構11
は、一般的な圧電素子を用いたもので構成される。例え
ば、よく知られたチューブ型圧電素子あるいはトライポ
ッド型圧電素子が使用される。
【0028】カンチレバー13の背面部には、積層構造
で、圧電薄膜16と電極17,18が設けられる。圧電
薄膜16の材料には例えばZnOが用いられる。圧電薄
膜16は、電極17,18によって挟まれている。電極
17,18は、圧電薄膜16に対して電圧を印加するた
めのものである。なおGND側の配線は図示を省略して
いる。電極17,18を介して圧電薄膜16に電圧を印
加すると、圧電薄膜16に変形が生じ、その結果カンチ
レバー13においてもユニモルフの原理でたわみ変形が
生じる。
【0029】カンチレバーまたは探針に関して生じた変
位は、レーザ光発振器19とレーザ光検出器20からな
る光学系変位検出器によって検出される。21は、カン
チレバー13の背面部に設けられた電極17で反射され
るレーザ光の軌跡を示している。
【0030】上記電極17,18に印加される電圧信号
は加算器22から供給される。加算器22では、信号発
生器23からの電圧信号とコントローラ24からの電圧
信号が加算される。信号発生器23は、カンチレバー1
3の共振点近傍の周波数を有する正弦波電圧信号(V
b)を出力する。コントローラ24の内部構造は後述さ
れる。
【0031】一方、上記のレーザ光検出器20は、光の
強度を検出することにより、カンチレバー13の振動の
周波数に関する情報(f)を取り出す。レーザ光検出器
20で取り出された周波数情報は、周波数−電圧変換器
25で、周波数に比例する電圧に変換される。周波数−
電圧変換器25から出力された電圧信号(Vf)はコン
トローラ24に入力される。
【0032】コントローラ24は加算器26とPI制御
機能および増幅機能を有する制御部27とを内蔵する。
加算器26では基準電圧(Vref )と入力電圧(Vf)
との偏差を求め、制御部27では、求められた偏差に基
づいて圧電素子印加電圧(Vs)を生成し、出力する。
印加電圧Vsは前述の加算器22に入力される。
【0033】次に、上記構成を有する走査型プローブ顕
微鏡の動作を説明する。
【0034】信号発生器23はカンチレバー13の共振
点近傍の周波数に一致する周波数を有する正弦波電圧信
号Vbを出力する。この正弦波電圧信号は、加算器22
を通り、電極17,18を介して圧電薄膜16に印加さ
れる。実際には、電極17,18に電位差を与える形で
印加する。この状態で、カンチレバー13に共振点近傍
の周波数に一致する周波数の微振動が生じる。
【0035】図示しない探針接近機構により、探針15
を試料12に約1nmの距離まで近づけると、探針と試
料の間に原子間力が作用し、カンチレバー13の共振点
がわずかに変化する。この変位に関する状態はレーザ光
検出器20で周波数情報fとして検出され、周波数−電
圧変換器25を介して周波数に対応する電圧信号Vfに
変換される。
【0036】コントローラ24では、基準周波数に係る
基準電圧Vref と電圧信号Vfを比較し、加算器26に
より偏差信号を出力する。この偏差信号は制御部27に
入力され、ここから圧電素子印加電圧Vsが出力され
る。加算器22では、印加電圧Vsと加振用電圧信号V
bとが合計され、この合計電圧が圧電薄膜16に印加さ
れる。このうちサーボ用電圧Vsが圧電薄膜16に印加
されると、カンチレバー13にたわみ変形が生じ、探針
15と試料12の間の距離を大きく変えることができ
る。一般的に加振用電圧信号Vbによるカンチレバー1
3の振動は、振幅1〜数十nmで一定振幅とする。それ
に対し、サーボ用電圧Vsによるカンチレバー13のた
わみ(振幅)はμmオーダに設定される。サーボ用電圧
Vsによるカンチレバー13の振動周波数は探針・試料
間距離に依存するため、この振動周波数を一定に保つよ
うに電圧Vsによる制御を行えば、探針・試料間距離を
一定に保つことができる。実際には、サーボ用電圧Vs
によるカンチレバーの振幅は0.1〜数μmオーダに設
定され、XY微動機構11により試料12をXY平面で
走査のために移動し、その間、上記方式によって探針1
5と試料12との間の距離を一定に保つように制御す
る。そして、印加電圧Vsをモニタすることによって、
試料12の表面形状を測定することが可能になる。
【0037】上記構成によれば、このようにカンチレバ
ー13自身が持つ構造でZ軸方向の移動のサーボ制御を
行えるようにしたので、数十から100kHz程度の高
速なZ軸サーボが実現でき、走査型プローブ顕微鏡とし
ての測定時間を大幅に(従来比:10〜100倍程度)
短縮することができる。
【0038】カンチレバーの共振点を数百kHzとした
場合、例えば原子間力に伴う変化分はその1%以下であ
り極めて微小である。従って、力を受けない状態での共
振周波数近傍の周波数を有する信号をモニタする。Z軸
サーボ用信号は、試料表面の形状により変化するため、
加振用の周波数領域になると両者が干渉し不都合が生じ
ることが予想できる。従って実際には、Z軸のサーボ帯
域をカンチレバーの共振点の例えば1/2〜1/10程
度にすることで干渉を防止する。この場合においても数
10〜100kHz程度のサーボ帯域を確保することが
できる。
【0039】従来用いられているトライポッド型やチュ
ーブ型といったバルク圧電素子を用いたZ軸サーボで
は、その機構共振点の制約からサーボ帯域は数kHz以
下に限られていた。従って試料をXY方向に高速で走査
すると、Z軸サーボが追従できなくなり、高速な測定が
できなかった。本実施形態の圧電薄膜を用いた方式は、
従来法に比べおよそ10〜100倍の高速測定を実現で
き、走査型プローブ顕微鏡の欠点といわれる測定時間の
問題を解決できる。
【0040】次に、図2を参照して本発明の第2実施形
態を説明する。基本的構成は第1実施形態と同じである
が、カンチレバー13の振動数情報を検出するにあたっ
て圧電薄膜を利用するようにした点が異なっている。図
2中、図1で説明した要素と同一の要素には同一の符号
を付し、その説明を省略する。
【0041】図2に示した構成では、加振用およびZ軸
サーボ用の圧電薄膜31と、カンチレバー13の振動数
検出用の圧電薄膜32とを備え、これらを積層してカン
チレバー13の下面に付設している。また2枚の圧電薄
膜31,32は3枚の電極33,34,35によってサ
ンドウィッチ状に配置される。加振用およびZ軸サーボ
用の圧電薄膜31、およびこれに関連する制御系の部分
に関しては第1実施形態と同様な作用および効果が生じ
る。また周波数検出系の構成として、第1実施形態にお
ける光学系の代わりに薄膜圧電体を使用するようにした
ため、構成が簡素かつ安価となり、製作しやすく、メン
テナンスが容易となる。
【0042】なおカンチレバーの振動数検出には、レー
ザ干渉を用いた方式、静電容量を用いた方式など各種の
ものを用いることができる。また、周波数の検出手段と
しては、周波数自身を検出する方式の他に、周波数シフ
トに伴う或る周波数成分の振幅変化の形で計測する方式
などが有効である。さらに、同一のカンチレバーに2組
の圧電薄膜を形成し、一方を加振用に、他方をZ軸サー
ボ用として構成することも可能である。
【0043】
【発明の効果】以上の説明で明らかなように本発明によ
れば、動的走査型のプローブ顕微鏡において、カンチレ
バーに圧電薄膜を設けカンチレバー自身でZ軸サーボを
行えるようにしたので、高速なZ軸サーボを行うことが
でき、走査型プローブ顕微鏡の測定時間を大幅に向上さ
せることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態を示す構成図である。
【図2】本発明の第2の実施形態を示す構成図である。
【図3】従来の走査型プローブ顕微鏡の一例を示す構成
図である。
【図4】カンチレバーの寸法を示す図である。
【図5】従来の動的走査型のプローブ顕微鏡の一例を示
す構成図である。
【符号の説明】
11 XY微動機構 12 試料 13 カンチレバー 15 探針 16 圧電薄膜 17,18 電極 19 レーザ光発振器 20 レーザ光検出器 25 周波数−電圧変換器 31,32 圧電薄膜 33〜35 電極

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 試料に臨む探針を備えたカンチレバー
    と、前記試料と前記探針の相対的位置を変化させる微動
    機構とを備え、前記微動機構によって前記探針が前記試
    料の表面を走査し、走査の間、前記探針と前記試料の間
    の相互作用に基づき生じる前記カンチレバーのたわみ量
    を制御することで前記試料の表面における物理情報を得
    る走査型プローブ顕微鏡において、 前記カンチレバーに設けられたカンチレバー加振用の圧
    電薄膜と、前記圧電薄膜に前記カンチレバーの共振点付
    近の周波数の電圧を印加して前記カンチレバーに微小振
    動を生じさせる第1電圧印加手段と、前記カンチレバー
    の微小振動の周波数を検知する検知手段と、この検知手
    段の出力信号に基づき前記周波数が一定に保たれるよう
    に前記カンチレバーにたわみ変形を生じさせる第2電圧
    印加手段とを備えることを特徴とする走査型プローブ顕
    微鏡。
  2. 【請求項2】 前記検知手段は、光学系検出手段である
    ことを特徴とする請求項1記載の走査型プローブ顕微
    鏡。
  3. 【請求項3】 前記検知手段は、前記カンチレバーの微
    小振動の周波数を検出する圧電薄膜であることを特徴と
    する請求項1記載の走査型プローブ顕微鏡。
  4. 【請求項4】 前記周波数検出用圧電薄膜と前記加振用
    圧電薄膜を積層させて形成したことを特徴とする請求項
    3記載の走査型プローブ顕微鏡。
  5. 【請求項5】 前記圧電薄膜はZnOであることを特徴
    とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の走査型プロ
    ーブ顕微鏡。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2003016874A1 (en) * 2001-08-16 2003-02-27 Kanagawa Academy Of Science And Technology Vibration type probe sensor
JP2010217153A (ja) * 2009-02-23 2010-09-30 Horiba Ltd 走査型プローブ顕微鏡用プローブ及び走査型プローブ顕微鏡
CN108981898A (zh) * 2018-08-20 2018-12-11 山东大学 一种利用光热效应实现微悬臂梁共振频率调谐的方法、实现系统及应用
CN111595786A (zh) * 2020-06-08 2020-08-28 河北大学 基于光声效应的气体检测系统及方法

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