JPH06305856A

JPH06305856A - セメント成形品およびセメント成形物の表面平滑化工法

Info

Publication number: JPH06305856A
Application number: JP10282393A
Authority: JP
Inventors: Akira Ogawa; 明小川
Original assignee: Individual
Current assignee: Individual
Priority date: 1993-04-28
Filing date: 1993-04-28
Publication date: 1994-11-01
Anticipated expiration: 2011-11-20
Also published as: JP2555261B2

Abstract

(57)【要約】【目的】セメント成形物の表面を、低コストで、簡単か
つ迅速に平滑化することのできる工法と、これによって
得られる軽量かつ安価なセメント成形品とを提供するこ
とを目的としている。【構成】セメント成形品１の表面を高圧水洗して表面に
隠蔽した巣孔１１を掘り起こす素地清掃工程、セメント
成形品１の表面にあらかじめ形成された凹部１２にセメ
ント系パテ３を充填する補修工程、セメント成形品１の
表面全体にセメント系シーラー２を塗布し、このセメン
ト系シーラー２を少なくともセメント成形品１の表面の
巣孔１１に充填させる下塗り工程、セメント成形品１の
表面に塗布されたセメント系シーラー２の層を、セメン
ト成形品１の表面が見えるか否かの程度まで研磨する研
磨工程を具備したセメント成形品１などセメント成形物
全般の表面平滑化工法およびこれによって得られるセメ
ント成形品１である。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、表面が平滑化されたセ
メント成形品およびこのセメント成形品を含むセメント
成形物全般の表面を平滑化する工法に関するものであ
る。

【０００２】

【従来の技術】一般に、建築物の高層化や鉄骨増加比率
の増加、あるいは軟弱地盤への対応といったニーズに答
えるため、さらに現場取付け工程の短縮化、省力化など
のために、これら建築物の外装材としては、軽量化が要
求されている。一方、デザイン面では、これら建築物の
外装材としては、金属パネル並みに平滑仕上げされたも
のが要求されている。

【０００３】そこで、従来より、これらの外装材として
は、アルミ等の金属パネルを用いたり、エポキシ樹脂パ
テ工法によるセメント成形品などを用いることが行われ
ている。

【０００４】このエポキシ樹脂パテ工法とは、図２に示
すように、まず、セメント系成形品ａの表面を研磨清掃
してエポキシ樹脂ｂが付着しやすい粗面状態にした後、
この粗面にエポキシ樹脂ｂを塗布する。そして、この塗
布によって得られたエポキシ樹脂ｂの層を研磨してエポ
キシ樹脂ｂによる平滑層面ｃを得るものである。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかし、上記従来の外
装材のうちアルミ等の金属パネルを用いた場合、セメン
ト系成形品にくらべで非常に高価なものになってしま
う。

【０００６】また、エポキシ樹脂パテ工法によるセメン
ト成形品ａの場合、エポキシ樹脂ｂを塗布する際にセメ
ント成形品ａの乾燥状態やエポキシ樹脂ｂの使用温度や
使用湿度などの条件を限定されてしまうので、このセメ
ント成形品ａにエポキシ樹脂ｂを塗布して乾燥させるた
めの施工期間が長くなってしまうといった不都合を生じ
る。また、このような理由から、エポキシ樹脂パテ工法
は、既設のセメント建築物の表面を補修更新して平滑に
するような場合には、上記セメント成形品ａの場合より
もいっそうの手間がかかることとなり、セメント成形物
の全般に渡って実施することができない。

【０００７】また、エポキシ樹脂ｂの層は硬いので研磨
するのに作業性が悪く施工費が嵩むといった不都合を生
じる。

【０００８】さらに、エポキシ樹脂ｂは、セメント成形
品ａ自身にくらべて高価なため、非常に高価なものにな
ってしまう。

【０００９】本発明は係る実情に鑑みてなされたもの
で、セメント成形物の表面を、低コストで、簡単かつ迅
速に平滑化することのできる工法と、これによって得ら
れる軽量かつ安価なセメント成形品とを提供することを
目的としている。

【００１０】

【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
の本発明のセメント成形品は、セメント成形品の表面の
凹部にセメント系パテが充填されるとともに、このセメ
ント成形品の表面に隠蔽された巣孔が掘り起こされ、こ
のセメント成形品の表面の巣孔に、該セメント成形品の
表面全体を被覆するように塗布されたセメント系シーラ
ーが充填され、このセメント系シーラー層が、セメント
成形品の表面が見えるか否かの程度の厚みまで研磨され
てなるものである。

【００１１】また、本発明のセメント成形物の表面平滑
化工法は、セメント成形物の表面を高圧水洗して表面に
隠蔽した巣孔を掘り起こす素地清掃工程と、セメント成
形物の表面にあらかじめ形成された凹部にセメント系パ
テを充填する補修工程と、セメント成形物の表面全体に
セメント系シーラーを塗布し、このセメント系シーラー
を少なくともセメント成形物の表面の巣孔に充填させる
下塗り工程と、セメント成形物の表面に塗布されたセメ
ント系シーラー層を、セメント成形物の表面が見えるか
否かの程度まで研磨する研磨工程とを具備したものであ
る。

【００１２】

【作用】本発明によると、素地清掃工程で、セメント成
形物の表面に隠蔽した巣孔を掘り起こしてセメント系シ
ーラーが充填しやすい状態にすることができるととも
に、掘り起こし後の破砕粉を水流によって完全除去する
ことができる。

【００１３】また、補修工程および下塗り工程では、セ
メント成形物と同質のセメント系パテおよびセメント系
シーラーを用いるので、塗布条件などを厳しく限定され
ることなく塗布できる。

【００１４】さらに、研磨工程では、セメント成形物と
同質のこれらセメント系パテおよびセメント系シーラー
を研磨することとなるので、容易に研磨作業を行うこと
ができる。

【００１５】そして、得られたセメント成形物の平滑面
は、実質的にセメント成形物の素地を緻密にしたもの、
すなわち、セメント成形物の素地が生かされたものとな
る。

【００１６】

【実施例】以下、本発明の一実施例を図面を参照して説
明する。

【００１７】図１はセメント成形品１の表面平滑化工法
の工程の概略を示している。

【００１８】すなわち、この表面平滑化工法は、素地清
掃工程、補修工程、下塗り工程、研磨工程を具備してい
る。

【００１９】本発明に用いるセメント成形品１は、特に
その材質を限定されるものではなく、目的に応じた各種
のセメント成形品１を用いることができる。例えば、外
壁材として軽量で強度に優れたものが要求される場合に
は、超軽量骨材や各種の繊維補強材を添加したステンレ
ス繊維補強コンクリート（ＳＦＲＣ）や、炭素繊維補強
コンクリート（ＣＦＲＣ）などを用いることができる。

【００２０】素地清掃工程では、このセメント成形品１
の表面に高圧の水を吹き付けて水洗する。そして、この
水洗によってセメント成形品１の表面に隠蔽した巣孔１
１を掘り起こして巣孔１１を露出させ、セメント系シー
ラー２を充填しやすい状態にする。この際、巣孔１１の
掘り起こしによって生じた破砕粉は、水流によって容易
に除去されることとなる。なお、この水洗の際の水圧
は、あまり高すぎるとセメント成形品１の表面を過剰に
掘り起こしてしまうこととなり、低すぎるとセメント成
形品１の表面に隠蔽した巣孔１１を充分に掘り起こすこ
とができなくなるので、セメント成形品１の強度に応じ
て適宜の水圧で水洗することが好ましい。一例として、
圧縮強度３００ｋｇｆ／ｃｍ²程度のセメント成形品１
の場合、５０〜７０kg／cm²以上の圧力で水洗すること
が好ましい。

【００２１】補修工程では、セメント成形品１の表面に
微妙に生じた不陸部分や、上記素地清掃工程において大
きく欠けてしまった箇所などの凹部１２にセメント系パ
テ３を充填してセメント成形品１を補修する。このセメ
ント系パテ３の充填は特に厳密に行う必要はなく、職人
の感によって行われる。

【００２２】この際使用するセメント系パテ３として
は、セメント材料、混和材および混和液を水で希釈した
ものを用いることができる。このうち、セメント材料と
しては、普通ポルトランドセメント、白色ポルトランド
セメント、早強ポルトランドセメント、スラリーセメン
トのうちから選ばれる１種以上を適宜に用いることがで
きる。また、混和材としては、粒状珪石、粉状珪石およ
び変成炭酸カルシウムに、保水剤、早強剤および膨張剤
などの各種効果剤を添加したものを用いることができ
る。混和液としては、アクリル系エマルジョン、エポキ
シ系エマルジョンおよび各種水溶性樹脂水溶液のうち１
種もしくは混合したものを用いることができる。

【００２３】また、このセメント系パテ３は、粉状珪石
に対して粒状珪石の量を多くするとともに、混和液を多
く用いて少ない水の量で希釈することで、成形性の良い
高粘度に調整したものが用いられる。なお、粉状珪石と
しては、平均粒度１４５メッシュ未満の微骨材、粒状珪
石としては平均粒度１４５メッシュ以上の粗骨材が使用
される。

【００２４】下塗り工程では、上記補修工程で補修した
部分を含め、セメント成形品１の表面全体にセメント系
シーラー２を塗布する。この塗布作業は、長尺のヘラや
コテなどでセメント成形品１の表面に擦り込むようにし
て埋め塗りする。そして、これにより、素地清掃工程で
掘り起こした巣孔１１内にセメント系シーラー２を充分
に充填する。また、このセメント系シーラー２によっ
て、セメント成形品１の表面に生じていた微妙な不陸を
修正し、このセメント成形品１の表面全体の不陸を取
る。

【００２５】この際使用するセメント系シーラー２とし
ては、基本的に上記セメント系パテ３と同組成のものが
用いられる。ただし、このセメント系シーラー２は、粉
状珪石に対して粒状珪石の量を少なくするとともに、混
和液を少なくして多くの水で希釈することで、塗布時の
伸びや巣孔１１への浸透性が良くなるように調整したも
のが用いられる。

【００２６】なお、セメント系シーラー２およびセメン
ト系パテ３のうち、少なくともセメント系シーラー２
は、セメント成形品１と識別可能な色に着色されたもの
を用いることが望ましい。

【００２７】研磨工程では、セメント成形品１の表面に
塗布されたセメント系シーラー２を、セメント成形品１
の表面が見えるか否かの程度まで研磨する。この研磨作
業としては、砥石ペーパーを取り付けた研磨機による研
磨が好ましい。また、散水研磨などを行ってもよい。こ
の砥石ペーパーの目の粗さとしては、特に限定されるも
のではないが、目の細かいものを用いると作業時間がか
かり、目の粗いものを用いると仕上がりが粗くなる。そ
のため、作業効率と所望の研磨具合との兼ね合いに応じ
て適宜のものを用いることができる。この砥石ペーパー
による研磨は、最高でセメント系シーラー２の平均粒度
径の程度にまで緻密に仕上げることが可能となる。

【００２８】また、この研磨によるセメント成形品１の
表面が見えるか否かの程度は、セメント成形品１と識別
可能な色に着色されたセメント系シーラー２を用いてい
るので、このセメント系シーラー２の色がセメント成形
品１の素地の色に変化することろをもって判断すること
ができる。この研磨工程を行うと、下塗り工程において
セメント系シーラー２が緻密に充填されたセメント成形
品１の表面が露出される。また、この研磨工程では、素
地清掃工程において掘り起こされなかった微細な巣孔
（図示省略）が掘り起こされると同時に、この微細な巣
孔（図示省略）内に研磨されたセメン系シーラー２が充
填されることとなり、いっそうの平滑化が図られる。

【００２９】このようにして得られたセメント成形品１
は、実質的にセメント成形品１の表面の巣孔１１を緻密
に閉塞した状態、すなわち、セメント成形品１の素地を
生かしたものとなる。そして、このセメント成形品１の
表面に下塗りおよび上塗りなどの塗装を施すことによっ
て、金属パネル並みの平滑感のある仕上がりにすること
ができる。その結果、高価な金属パネルを用いることな
く、低コストで金属パネル並みの仕上がりのある建築物
を構成することができる。また、金属パネルなどを用い
ることができないような部位であっても、セメント成形
品１の表面が直接的に金属パネル並みの仕上がりを有す
るので、建築物を構成する場合のデザイン的な自由度も
高まることとなる。

【００３０】なお、このようにして平滑面を構成したセ
メント成形品１は、建築物の外壁パネルや、その他各種
構造物のセメント成形部分に用いることができる。その
ため、このセメント成形品１の形状としても特に限定さ
れるものではなく、使用する箇所に応じて板状体、柱状
体、その他各種形状に成形されたセメント成形品１であ
ってもよい。

【００３１】また、本実施例では、単体のセメント成形
品１に平滑化工法を実施する場合について述べている
が、既設の建築物のセメント成形部分を補修更新する場
合などを含めセメント成形物全般に渡ってこの平滑化工
法を実施することができる。

【００３２】

【発明の効果】以上述べたように、本発明によると、セ
メント成形物と同質で実質的に安価なセメント系パテお
よびセメント系シーラーを用いて、作業条件を厳しく限
定されることなく、かつ容易に作業を行うことができる
ので、セメント成形物の表面を、低コストで、簡単かつ
迅速に金属パネル並みの平滑面にすることができる。ま
た、単体のセメント成形品や既設のセメント建築物など
を問わず、セメント成形物全般に渡って実施することが
できる。

【００３３】また、このようにして得られるセメント成
形品の平滑面は、実質的にセメント成形物の素地を緻密
にしたもの、すなわち、セメント成形品の素地が生かさ
れたものとなるので、打設後のセメント成形品と略同等
の重量にもかかわらず、金属パネル並みの優れた外観が
得られる。その結果、軽量化が望まれる高層建築物や、
軟弱地盤での建築物の建設などにおいて特に有効なもの
となる。

【図面の簡単な説明】

【図１】セメント成形品の表面平滑化工法の作業工程の
概略を示す工程図である。

【図２】従来のエポキシ樹脂パテ工法によるセメント成
形品の表面平滑化工法の作業工程の概略を示す工程図で
ある。

【符号の説明】

１セメント成形品１１巣孔１２凹部２セメント系シーラー３セメント系パテ

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】セメント成形品の表面の凹部にセメント
系パテが充填されるとともに、このセメント成形品の表
面に隠蔽された巣孔が掘り起こされ、このセメント成形
品の表面の巣孔に、該セメント成形品の表面全体を被覆
するように塗布されたセメント系シーラーが充填され、
このセメント系シーラー層が、セメント成形品の表面が
見えるか否かの程度の厚みまで研磨されてなることを特
徴とするセメント成形品。
【請求項２】セメント成形物の表面を高圧水洗して表
面に隠蔽した巣孔を掘り起こす素地清掃工程と、セメント成形物の表面にあらかじめ形成された凹部にセ
メント系パテを充填する補修工程と、セメント成形物の表面全体にセメント系シーラーを塗布
し、このセメント系シーラーを少なくともセメント成形
物の表面の巣孔に充填させる下塗り工程と、セメント成形物の表面に塗布されたセメント系シーラー
層を、セメント成形物の表面が見えるか否かの程度まで
研磨する研磨工程とを具備したことを特徴とするセメン
ト成形物の表面平滑化工法。