JP2005271578A - 複合セラミックグリーンシート、セラミック焼成体、ガスセンサ素子、ガスセンサ、複合セラミックグリーンシートの製造方法 - Google Patents

複合セラミックグリーンシート、セラミック焼成体、ガスセンサ素子、ガスセンサ、複合セラミックグリーンシートの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 複合セラミックグリーンシートを用いた未焼成セラミック成形体を焼成した場合にクラックの生じ難い複合セラミックグリーンシートを、クラック等のない信頼性の高いセラミック焼結体およびガスセンサ素子を、このガスセンサ素子を用いたガスセンサを、亀裂のない複合セラミックグリーンシートの製造方法を提供する。
【解決手段】 複合セラミックグリーンシートCG1は、アルミナ等の第1シート材料3からなるアルミナシート部分R1と、これとは焼成挙動が異なるジルコニア等の第2シート材料4からなるジルコニアシート部分R2とが、拡がり方向に互いに隣り合っている。アルミナシート部分R1とジルコニアシート部分R2とは、その間に、第1シート材料3と第2シート材料4とが、その厚さST1の2倍以上の混在寸法SMW1に亘って混在してなる混在部RMを介して隣り合い、互いに一体化してなる。
【選択図】 図6

Description

本発明は、複数のシート部分を有するセラミックグリーンシート、複数の領域を含む複合セラミック層を有するセラミック焼成体、固体電解質セラミック領域と絶縁性セラミック領域とを有するガスセンサ素子、これを用いたガスセンサ、及び、複合セラミックグリーンシートの製造方法に関する。
従来より、異なる組成を有する少なくとも2つの部分が複合された複合セラミックグリーンシートが知られている(特許文献1参照)。
この特許文献1には、セラミックグリーンシートの製法の1つとして、第1及び第2のスラリを準備し、ドクターブレード法を用いて、第1及び第2のスラリを互いに接した状態で平行してキャスティングすることにより複合セラミックグリーンシートを得る手法(請求項1、図12参照)が記載されている。
特許2535617号公報(第1頁、図12)
しかしながら、この特許文献1に記載の手法では、複合セラミックグリーンシートを作製しても、このグリーンシートを用いてセラミック焼結体を作製した場合に、以下の不具合があった。即ち、第1シート部分と第2シート部分とで焼成挙動が異なる場合には、焼成後のセラミック焼結体で見た場合に、第1シート部分が焼結された第1セラミック領域と、第2シート部分が焼結された第2セラミック領域との境界を跨ぐあるいは沿うようにしてクラックが生じたり、クラックが生じやすいセラミック焼結体となることが判ってきた。これは、この特許文献1に記載の手法による複合セラミックグリーンシートでは、第1シート部分と第2シート部分とが、概略表面にほぼ直交する界面をなして接合しているに過ぎないからであると考えられた。
ところで、従来から、ジルコニアなどの固体電解質セラミック材は、高温下でイオン伝導性を帯び、燃料電池やNaS電池用の部材、酸素センサなどのガスセンサ素子としての利用が図られている。
なお、この固体電解質セラミック材をガスセンサ素子等に利用するには、この固体電解質セラミック材の表面に電極を設け、イオン伝導に伴って電極間に生じる電位差を捉える必要がある。一方、この電極と導通する配線を引き回すには、絶縁体、特に、アルミナ等の絶縁性セラミック上に印刷等によって形成した配線を用いるのが好ましい。
ところが、ジルコニアなどの固体電解質セラミック材と、アルミナなどの絶縁性セラミック材とは、熱膨張率が異なるなど、グリーンシートを焼成した場合の焼成挙動が異なるため、1枚のグリーンシート内に、固体電解質セラミック材料からなるシート部分と絶縁性セラミック材料からなるシート部分を隣接して設けると、上述のように、両者を跨ぐあるいは沿うようにクラックが生じる場合がある。
このため、従来からガスセンサ素子等では、固体電解質セラミック材からなるグリーンシートと、アルミナなどの絶縁性セラミック材料からなるグリーンシートとを別々に作成し、これを積層して構成している。
しかるに、固体電解質セラミック層の表面(絶縁性セラミック層とは逆側の面)に電極を形成した場合に、この電極を、固体電解質セラミック層と積層した絶縁性セラミック層
の表面に形成したパッドにまでつなげるのに、困難な点があった。即ち、固体電解質セラミック層上に電極を引き出すための配線層を形成したり、固体電解質セラミック層を貫通するビア導体あるいは側面を経由する側面導体を形成して、電極と絶縁性セラミック層上のパッドとを接続したいのである。しかし、固体電解質セラミック層が高温となる部分ではイオン伝導性を帯びるため、配線層やビア導体を固体電解質セラミック層上に直接形成すると、これらと電極とが固体電解質セラミック層を介して導通してしまう。このため、配線層やビア導体や側面導体を、固体電解質セラミック層上に直接形成することができない。
そこで、固体電解質セラミック層の表面や裏面の所定領域にアルミナなどの絶縁性セラミックコートを施し、その上に配線層を形成したり、この固体電解質セラミック層を十分に大きくし、固体電解質セラミック層がイオン伝導性を帯びない(つまり絶縁性のセラミック層となる)程度に温度が低下した領域においてビア導体あるいは側面導体を形成して、これを用いて電極と絶縁性セラミック層上の配線とを接続する。あるいは、貫通孔の内周面や側面にアルミナ層などの絶縁層を形成し、この絶縁層によってこの固体電解質セラミック層との絶縁をしたビア導体や側面導体を形成して、これを用いて電極と絶縁性セラミック層上の配線とを接続する必要があった。しかしこれらの手法では、コンパクト化に支障を来したり、作製が面倒であるためコストアップとなるなどの不具合があった。
また、特許文献1に記載の手法では、第1のスラリと第2のスラリを乾燥してグリーンシートとする場合に、スラリに含まれる溶媒の違い、含まれるセラミック粉末の材質の違い、バインダの材質の違いなどにより、スラリ(シート部分)の収縮の早さや収縮割合の変化などのシート成形時に生じるスラリ(シート部分)の挙動に違いが生じる場合がある。このような場合には、出来上がったグリーンシートで見た場合に、第1シート部分と第2シート部分との間に亀裂が生じて、グリーンシートとして使用することができない場合があることが判ってきた。
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであって、複合セラミックグリーンシートを用いた未焼成セラミック成形体を焼成した場合にクラックの生じにくい複合セラミックグリーンシートを提供することを目的とする。
また、クラック等のない信頼性の高いセラミック焼結体を提供することを目的とする。
さらに、クラック等のない信頼性の高いガスセンサ素子を提供することを目的とする。
さらに、信頼性の高いガスセンサ素子を用いたガスセンサを提供することを目的とする。
さらに、亀裂のない複合セラミックグリーンシートを製造する製造方法を提供することを目的とする。
その解決手段は、第1シート材料からなる第1シート部分と、第2シート材料からなり上記第1シート部分に対して焼成挙動が異なる第2シート部分とが、拡がり方向に互いに隣り合う複合セラミックグリーンシートであって、上記第1シート部分と第2シート部分とは、これらの間に介在する混在部であって、上記第1シート材料と第2シート材料とが、少なくともその厚さの2倍以上の寸法に亘って混在してなる混在部を介して隣り合い、互いに一体化してなる複合セラミックグリーンシートである。
本発明の複合セラミックグリーンシートでは、焼成挙動の異なる第1,第2シート部分が拡がり方向に隣り合う単一のシートをなしている。しかも、第1シート部分と第2シート部分とは、少なくとも自身の厚さの2倍以上の寸法に亘って第1シート材料と第2シート材料とが混在してなる混在部を介して互いに一体化してなる。
このため、この複合セラミックグリーンシートを打ち抜き、屈曲、巻き付けなどにより
所定形状に成形したり、この複合セラミックグリーンシートの各部に電極その他を形成したり、あるいは他のセラミックグリーンシートや部材と積層等によって一体化したりする。そしてその後に、この複合セラミックグリーンシートからなる未焼成セラミック成形体、あるいはこれを他のシートや部材とともに一体化してなる未焼成セラミック成形体を焼成した場合に、第1シート部分と第2シート部分とに相当するセラミック部分同士の間を跨ぐあるいは沿うようにしてクラックが生じたセラミック焼結体となったり、セラミック焼結体に応力が掛かった場合に容易にこの部分で破断するなどの不具合が抑制され、信頼性の高いセラミック焼成体を形成することができる。
なお、混在部として、第1シート材料と第2シート材料とが、この混在部の厚さの2倍以上の寸法に亘って混在しているものとしたが、より好ましくは厚さの3倍以上の寸法、さらに好ましくは5倍以上の寸法とすると良い。第1シート部分と第2シート部分の焼成挙動の違いを、より広い範囲で吸収することができるからである。
本明細書及び特許請求の範囲において、拡がり方向とは、セラミックグリーンシート(シート部分)の厚さ方向に直交する方向をいう。従って、平板状のグリーンシートの場合には、その表面に沿う平面方向をいう。
また、シート材料としては、セラミックグリーンシートのシート部分を構成する材料を指し、セラミック材料(セラミック粉末)、バインダ、気孔化剤等の添加物等、スラリを乾燥した際に残留する水、アルコール、有機溶媒等の溶媒などが挙げられる。
このうち、セラミック材料としては、具体的には、アルミナ、ジルコニア、金属酸化物半導体セラミック(例えば、TiO2やSnO2)などが挙げられる。
また、第1シート材料と第2シート材料とが混在するとは、第1シート材料と第2シート材料とが、両者の区別ができなくなるほど攪拌混合された状態となっている状態ばかりではなく、両者が区別できる状態であって、グリーンシートの表面に直交する方向(厚さ方向)に見て、両者が同時に存在する場合、例えば、第1シート材料と第2シート材料とが、厚さ方向に対して斜めに交差する界面をもって接している場合や、第1シート材料と第2シート材料が区別できる程度に、例えば墨流し状あるいは渦巻き状に、攪拌されて入り組んだ状態となっている場合をも含む。
また、焼成挙動とは、複合セラミックグリーンシートの焼成に際して、シート部分が示す挙動を指す。例えば、セラミック材料の焼結開始温度や焼成収縮率、焼結後の降温期間における熱収縮量を決定するセラミック材の熱膨張率、脱バインダ工程における脱脂開始温度(バインダ分解温度)などでその挙動の様子が与えられる。
さらに、焼成挙動の異なるシート部分の例としては、各シート部分に含まれているセラミック材料について、その化学的な組成が互いに異なるために、焼結開始温度や焼成収縮率、熱収縮量などが異なり、焼成収縮の開始時期、焼成収縮量や焼成後の降温時の熱収縮量など、シート部分の焼成時の挙動が互いに異なるシート部分が挙げられる。具体的には、一方が、アルミナセラミックのシート部分であり、他方がジルコニアセラミックのシート部分である場合である。また、セラミック材料の組成が同じであっても、セラミック材料の粒径、比表面積、化学的な活性などが異なるために、シート部分の焼成時の挙動が互いに異なるシート部分も挙げられる。具体的には、セラミック材料としては同じ化学的組成のアルミナセラミックを用いているが、一方は相対的に粒径の大きなアルミナセラミック粉末からなるシート部分であり、他方は相対的に小さな粒径のアルミナセラミック粉末からなるシート部分である場合が挙げられる。さらに、セラミック材料とともにシート部分をなすバインダやカーボン,カフェイン等の気孔化剤その他の添加物について、その化学的な組成が異なるシート部分や、シート部分におけるセラミック材料とバインダ等との組成比が異なるシート部分なども挙げられる。具体的には、セラミック材料は同じであるがシート部分に含まれるバインダの材質が互いに異なる場合や、シート部分におけるセラミック材料の組成比が一方のシート部分では相対的に大きく他方のシート部分では小さい場合が挙げられる。また、セラミック材料は同じであるが、一方のシート部分には気孔化剤が含まれ焼成後に多孔質セラミック材となり、他方のシート部分には気孔化剤が含まれず緻密質のセラミック材となる場合などが挙げられる。
したがって、焼成挙動の異なるセラミック材料を用いた複合セラミックグリーンシートとしては、以下が好ましい。即ち、複数のシート部分が互いに拡がり方向に隣接して、単一のシート形態をなすセラミックグリーンシートであって、第1セラミック材料からなる第1シート部分と、上記第1セラミック材料とは焼成挙動が異なる第2セラミック材料からなる第2シート部分とは、上記第1シート部分と第2シート部分との間に介在する混在部であって、上記第1セラミック材料と第2セラミック材料とが、少なくともその厚さの2倍以上の寸法に亘って混在してなる混在部を介して隣接し、互いに一体化してなる複合セラミックグリーンシートとするのが好ましい。
このように、焼成挙動の異なるセラミック材料を用いても、混在部を備えることで、焼成後にクラック等が生じない、信頼性の高いセラミック焼結体を提供することができる。
さらに、請求項1に記載の複合セラミックグリーンシートであって、前記混在部は、前記第1シート部分に近い側から前記第2シート部分に近い側に向かって、前記第1シート材料の上記混在部に含まれる割合が減少する一方、前記第2シート材料の上記混在部に含まれる割合が増加する形態に構成されてなる複合セラミックグリーンシートとすると良い。
複合セラミックグリーンシートをこのように構成することで、混在部での焼成挙動が、第1シート部分に近い側から第2シート部分に近い側に向かって徐々に変化するので、焼成挙動が急変しない。このため、これを用いてセラミック焼結体を製造した場合に、一方のシート部分であった部位と他方のシート部分であった部位との間にクラックが生じるなど、このセラミック焼結体にクラック等が生じにくい。
具体的には、以下とするのが好ましい。即ち、請求項2に記載の複合セラミックグリーンシートであって、前記混在部は、前記第1シート部分に近い側から前記第2シート部分に近い側に向かって、前記第1シート材料からなる部分の厚さが減少する一方、前記第2シート材料からなる部分の厚さが増加する形態にされてなる複合セラミックグリーンシートとするのが好ましい。
このような形態の複合セラミックグリーンシートとすると、確実に焼成挙動の急変を防止でき、セラミック焼結体の一方のシート部分であった部位と他方のシート部分であった部位との間にクラックが生じる不具合を確実に防止することができる。
また、請求項1に記載の複合セラミックグリーンシートであって、前記混在部は、前記第1シート材料と前記第2シート材料とが互いに入り組んだ形態にされてなる複合セラミックグリーンシートとすると良い。
複合セラミックグリーンシートをこのように構成することで、第1シート材料と第2シート材料との界面が単純な形状とならず、両者が複雑な形状で広い範囲に亘る界面で接するため、これを用いてセラミック焼結体を製造した場合に、これらが焼成してできた第1セラミック材と第2セラミック材も複雑に互いに結合することとなり、特に、このセラミック焼結体にクラック等が生じにくい。
なお、第1シート材料と第2シート材料とが互いに入り組んだ形態としては、この混在部のうち、第1シート部分に近い側から第2シート部分に近い側に向かう方向及び厚さ方向に沿う断面において、例えば、第1シート材料と第2シート材料の界面がS字状(ジグザグ状)となる形態や、第1シート材料と第2シート材料とが、墨流しの紋様や渦巻き状の紋様として現れる形態など、2種類のシート材料を不均一に混ぜ合わせた際に生じる紋様が現れる形態が挙げられる。
また、請求項1に記載の複合セラミックグリーンシートであって、前記第1シート材料のセラミック成分のうち主成分をなす第1セラミック成分が、前記混在部におけるセラミック成分中に占める割合は、前記第1シート部分におけるセラミック成分中に占める割合よりも少なく、前記第2シート材料のセラミック成分のうち主成分をなし、上記第1セラミック成分とは焼成挙動の異なる第2セラミック成分が、上記混在部におけるセラミック成分中に占める割合は、前記第2シート部分におけるセラミック成分中に占める割合よりも少なくされてなる複合セラミックグリーンシートとすると良い。
本発明の複合セラミックグリーンシートでは、混在部は、セラミック成分について、第1セラミック成分については、そのセラミック成分に占める割合が第1シート部分における割合よりも少なく、また、第2セラミック成分については、第2シート部分における割合よりも少ないという関係となっている。
このため、この複合セラミックグリーンシートを焼成した場合には、焼成挙動において、混在部は、第1シート部分と第2シート部分の中間の焼成挙動を示すこととなり、第1シート部分と第2シート部分の焼成挙動の違いに伴う応力の発生などを緩和して、亀裂などを生じさせにくい複合セラミックグリーンシートとなる。
なお、第2セラミック成分は、第1セラミック成分と焼成挙動が異なるものであれば良く、従って、第2セラミック成分が、焼成挙動に影響する性質に関し、第1セラミック成分と異なる特性を有しているものであれば良い。具体的には、例えば、第2セラミック成分が第1セラミック成分とは異なる組成(材質)からなるために焼成挙動が異なる場合のほか、第2セラミック成分が第1セラミック成分と同じ材質でありながら、第2セラミック成分が第1セラミック成分とは異なる粒径や比表面積等を有するために焼成挙動が異なる場合をも含む。
さらに、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の複合セラミックグリーンシートであって、前記第1シート部分及び第2シート部分のうち、少なくともいずれかが着色されて、上記第1シート部分と第2シート部分とが互いに識別可能にされてなる複合セラミックグリーンシートとすると良い。
第1シート部分と第2シート部分とが隣り合っているセラミックグリーンシートにおいて、第1シート部分と第2シート部分の色調が同一あるいは似通っていると、取り扱いの際に、その境界の位置(混在部の位置)や、どの部分がどちらシート部分かを識別するのが難しく、取り扱いがし難くなりがちである。
これに対し、本発明のグリーンシートでは、着色により第1シート部分と第2シート部分とが識別可能とされてなる。このため、第1シート部分と第2シート部分との間において、シート部分やその境界(混在部)の識別容易となり、このグリーンシートの取り扱いが容易となる。
なお、着色は、第1シート部分と第2シート部分の両者にそれぞれ行っても良いが、一方のシート部分にのみ着色して、識別を可能としても良い。
また、シート部分の着色の手法としては、例えば、グリーンシートの製造後、第1シート部分に塗料を塗布して着色することも考えられるが、着色したいシート部分となるスラリについて、着色剤として染料あるいは顔料を添加して、スラリ自身を着色するのが好ましい。
さらに、着色剤としては、ローダミンなど、焼成時の加熱や酸化により、揮発、ガス化等して、焼成後のセラミック層内には残留しない特性を有する有機系などの染料を用いるのが好ましい。シート部分を着色により識別可能とすることができる一方、焼成後のセラミック層の特性に影響を及ぼす虞がないからである。
さらに、請求項5に記載の複合セラミックグリーンシートであって、前記第1シート材料及び第2シート材料のうち、少なくともいずれかが着色されて、互いに識別可能とされてなる複合セラミックグリーンシートとすると良い。
このようにすると、第1シート部分と第2シート部分とを互いに識別できるほか、混在部の位置や、この混在部における第1シート材料と第2シート材料との混在の様子を容易に把握することができる利点もある。
さらに、請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の複合セラミックグリーンシートであって、前記第1シート部分は、固体電解質セラミック材料からなる固体電解質セラミックシート部分であり、前記第2シート部分は、絶縁性セラミック材料からなる絶縁性セラミックシート部分である複合セラミックグリーンシートとすると良い。
前述したように、ジルコニアなどを主成分とする固体電解質セラミック材料を焼結した固体電解質セラミック材は、高温下でイオン伝導性を帯び、燃料電池やNaS電池、酸素センサなどのガスセンサ素子としての利用が図られている。固体電解質セラミック層をガスセンサ素子等に利用するには、この固体電解質セラミック層の表面に電極を設ける必要がある。一方、この電極と導通する配線を引き回すには、絶縁性のセラミック上に印刷等によって形成した配線を用いるのが好ましい。
しかし、固体電解質セラミック材を用いる場合には、この固体電解質セラミック材がイオン伝導性を帯びるため、この固体電解質セラミック材の表面上に直接配線を形成する形で、配線を平面方向に引き回したり、あるいはビア導体や側面配線などを用いて固体電解質セラミック材の厚さ方向に配線を引き回すのは困難である。このため、電極が形成される表面以外の表面に絶縁コートを施して、その上に配線を形成したり、固体電解質セラミック層を十分に大きくするなど、固体電解質セラミック材を含むセラミック焼結体のコンパクト化に支障を来したり、ビア導体等の作製が面倒であるためコストアップとなるなどの不具合があった。
これに対し、本発明の複合セラミックグリーンシートでは、固体電解質セラミックシート部分と絶縁性セラミックシート部分とが混在部を介して隣り合い、単一の複合セラミックグリーンシートをなしているので、この複合セラミックグリーンシートを用いれば、(固体電解質セラミックシート部分を焼結した)固体電解質セラミック領域に形成した電極から、これと電気的に接続される配線を、隣り合う(絶縁性セラミック部分を焼結した)絶縁性セラミック領域の表面にまで引き出せば、その後は、固体電解質セラミック領域がイオン伝導性を有することやその温度を考慮することなく、配線を引き回すことができるから、配線の引き回しが容易で、コンパクトな燃料電池、ガスセンサ素子等を構成することができる。
なお、絶縁性セラミック材料としては、例えば、アルミナ、ムライト、窒化珪素等のセラミック材料が挙げられる。
また、固体電解質セラミック材料としては、ジルコニアなどが挙げられる。
さらに、セラミック焼結体であって、請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の複合セラミックグリーンシートを含む未焼成セラミック成形体を焼成してなるセラミック焼結体とすると良い。
本発明のセラミック焼結体は、その焼成前の未焼成セラミック成形体において、前述の複合セラミックグリーンシートを含んでいる。この複合セラミックグリーンシートのうち、第1シート部分と第2シート部分との間には混在部が設けられており、焼成によってクラックが生じにくい。従って、これを用いた未焼成セラミック成形体を焼成したセラミック焼結体は、この複合セラミックグリーンシートを焼成した部分でクラック等のない信頼性の高いセラミック焼結体となし得る。
あるいは、ガスセンサ素子であって、請求項7に記載の複合セラミックグリーンシートを含む未焼成ガスセンサ素子成形体を焼成してなり、上記複合セラミックグリーンシートを焼成してなる複合セラミック層のうち、前記固体電解質セラミックシート部分を焼成してなる固体電解質セラミック領域には、その表面に表面電極を、その裏面に裏面電極を備え、前記絶縁性セラミックシート部分を焼成してなる絶縁性セラミック領域及び前記混在部を焼成してなる混在領域には、その表面に上記表面電極から引き出された表面配線を、その裏面に上記裏面電極から引き出された裏面配線を備えるガスセンサ素子とすると良い。
本発明のガスセンサ素子では、未焼成ガスセンサ素子成形体において、請求項7に記載の複合セラミックグリーンシートを含んでいる。この複合セラミックグリーンシートを焼成してなる複合セラミック層のうち、固体電解質セラミック領域(固体電解質セラミックシート部分を焼成した部分)と絶縁性セラミック領域(絶縁性セラミックシート部分を焼成した部分)との間には、混在領域(混在部を焼成した部分)があるので、これらの間に焼成によってクラックが生じにくい。従って、このガスセンサ素子は、この固体電解質セラミック領域と絶縁性セラミック領域との間にクラック等のない信頼性の高いガスセンサ素子となし得る。
さらに、このガスセンサ素子では、固体電解質セラミック領域と絶縁性セラミック領域と混合領域とが、単一の複合セラミック層となる。そして、固体電解質セラミック領域に形成した表面電極及び裏面電極を、混在領域の表面及び裏面を通って、この固体電解質セラミック領域に隣り合う絶縁性セラミック領域の表面及び裏面まで、表面配線及び裏面配線により引き出している。このため、固体電解質セラミック領域の大きさを必要以上に大きくしたり、固体電解質セラミック層との絶縁をしたビア導体や側面導体など複雑な形状のビア導体等を形成する必要がなく、コンパクトで、配線構成が簡単なガスセンサ素子となる。
さらに、ガスセンサ素子を含み、このガスセンサ素子で特定ガスの検知を行うガスセンサであって、上記ガスセンサ素子は、請求項9に記載のガスセンサ素子であるガスセンサとすると良い。
本発明のガスセンサでは、上述のガスセンサ素子を用いているので、コンパクトで信頼性が高いガスセンサとなし得る。
他の解決手段は、1または複数のセラミック層を有するセラミック焼結体であって、上記セラミック層の少なくともいずれかは、そのセラミック層の拡がり方向に、第1セラミック材からなる第1領域と、上記第1セラミック材とは焼成挙動が異なる第2セラミック材からなる第2領域と、上記第1領域及び第2領域の間に介在する混在領域であって、上記第1セラミック材と第2セラミック材とが、少なくともその厚さの2倍以上の寸法に亘って混在してなる混在領域と、を含み、上記第1領域と混在領域と第2領域とが互いに一体化した単一の複合セラミック層であるセラミック焼結体である。
本発明のセラミック焼結体では、これの有するセラミック層のいずれかは、第1領域と第2領域との間に、少なくともその厚さの2倍以上の寸法に亘って第1セラミック材と第2セラミック材とが混在してなる混在領域を備えている複合セラミック層である。このため、第1領域と第2領域は焼成挙動の異なるセラミック材からなっているにも拘わらず、これらの間に存在する混在領域により、焼成挙動の違いが緩和され、焼成時及びその後にクラックが生じにくい。従って、このセラミック焼結体は、この複合セラミック層でのクラック等のない、またクラックの生じにくい、信頼性の高いセラミック焼結体となし得る。
なお、第1,第2セラミック材は、焼成挙動が異なる材質で有れば良く、化学的組成としては、異種である場合(例えば、ジルコニアとアルミナ)が典型的であるが、同種(例えば、アルミナ同士)であっても、例えば、粒径、気孔率等が異なることにより、焼成挙動が異なれば該当する。
なお、さらに以下とするのが好ましい。即ち、請求項11に記載のセラミック焼結体であって、前記混在領域は、前記第1領域に近い側から前記第2領域に近い側に向かって、前記第1セラミック材の上記混在領域に含まれる割合が減少する一方、前記第2セラミック材の上記混在部に含まれる割合が増加する形態に構成されてなるセラミック焼結体とするのが好ましい。このセラミック焼結体によれば、混在領域の存在により、焼成時の焼成挙動の違いが徐々に緩和されるので、クラック等のない、またクラックの生じにくい、信頼性の高いセラミック焼結体となし得る。
さらには、上記セラミック焼結体であって、前記混在領域は、前記第1領域に近い側から前記第2領域に近い側に向かって、前記第1セラミック材からなる部分の厚さが減少する一方、前記第2セラミック材からなる部分の厚さが増加する形態にされてなるセラミック焼結体とするのが好ましい。このセラミック焼結体によれば、さらに確実にクラック等のない、またクラックの生じにくい、信頼性の高いセラミック焼結体となし得る。
あるいは、請求項11に記載のセラミック焼結体であって、前記混在領域は、前記第1セラミック材と前記第2セラミック材とが互いに入り組んだ形態にされてなるセラミック焼結体とするのが好ましい。セラミック焼結体をこのように構成することで、第1セラミック材と第2セラミック材との界面が単純な形状とならず、両者が複雑な形状の界面で接するため、このセラミック焼結体にクラック等が生じにくい。
さらに、請求項11に記載のセラミック焼結体であって、前記第1セラミック材からなる第1セラミック層と、上記第1セラミック層と積層され一体焼結された前記複合セラミック層とを有し、上記複合セラミック層は、前記混在領域のうち、上記第1セラミック層に接している部分において、上記第1セラミック材の方が、前記第2セラミック材よりも、広い面積で上記第1セラミック層に接してなるセラミック焼結体とすると良い。
このようにすることで、第1セラミック層と複合セラミック層との間、特に、第1セラミック層と複合セラミック層の混在領域との間に、焼成挙動の違いによって生じる応力をより少なくすることができ、このような応力によって生じるクラックをも抑制することができる。
さらに他の解決手段は、1または複数のセラミック層を有するガスセンサ素子であって、上記セラミック層の少なくともいずれかは、そのセラミック層の拡がり方向に、固体電解質セラミック材からなる固体電解質セラミック領域と、上記固体電解質セラミック材とは焼成挙動が異なる絶縁性セラミック材からなる絶縁性セラミック領域と、上記固体電解質セラミック領域及び絶縁性セラミック領域の間に介在する混在領域であって、上記固体電解質セラミック材と絶縁性セラミック材とが、少なくともその厚さの2倍以上の寸法に亘って混在してなる混在領域と、を含み、上記固体電解質セラミック領域と混在領域と絶縁性セラミック領域とが互いに一体化した複合セラミック層であり、上記複合セラミック層のうち、上記固体電解質セラミック領域には、その表面に表面電極を、その裏面に裏面電極を備え、上記絶縁性セラミック領域及び混在領域には、その表面に上記表面電極から
引き出された表面配線を、その裏面に上記裏面電極から引き出された裏面配線を備えるガスセンサ素子である。
本発明のガスセンサ素子では、セラミック層のいずれかは、固体電解質セラミック領域と絶縁性セラミック領域との間に、混在領域を備える複合セラミック層である。このため、この複合セラミック層においては、固体電解質セラミック材と絶縁性セラミック材との焼成挙動の違いによって焼成時及びその後にクラックが生じにくい。従って、このガスセンサ素子は、複合セラミック層でのクラック等のない信頼性の高いガスセンサ素子となし得る。
さらに、セラミック層の少なくともいずれかは、固体電解質セラミック領域と絶縁性セラミック領域と混合領域とが、単一の複合セラミック層となっており、固体電解質セラミック領域に形成した表面電極及び裏面電極を、混在領域及び絶縁性セラミック領域に引き出す表面配線及び裏面配線を有する。このため、固体電解質セラミック領域の大きさを必要以上に大きくしたり、固体電解質セラミック層との絶縁をしたビア導体や側面導体など複雑な形状のビア導体等を形成する必要がなく、コンパクトで、配線構成が簡単なガスセンサ素子となる。
なお、固体電解質セラミック材と絶縁性セラミック材とは、焼結開始温度、焼結収縮率、熱膨張率などの点で両者に差異があるため、焼成挙動が異なる。
なお、さらに以下とするのが好ましい。即ち、混在領域は、前記固体電解質セラミック領域に近い側から絶縁セラミック領域に近い側に向かって、固体電解質セラミック材の上記混在部に含まれる割合が減少する一方、絶縁性セラミック材の混在領域に含まれる割合が増加する形態に構成されてなるのが好ましい。
さらには、この混在領域は、前記固体電解質セラミック領域に近い側から絶縁性セラミック領域に近い側に向かって、固体電解質セラミック材からなる部分の厚さが減少する一方、絶縁性セラミック材からなる部分の厚さが増加する形態にされてなるのが好ましい。
あるいは、混在領域は、固体電解質セラミック材と絶縁性セラミック材とが互いに入り組んだ形態にされてなるのが好ましい。これらのガスセンサ素子では、クラック等が生じにくい。
さらに、請求項13に記載のガスセンサ素子であって、前記絶縁性セラミック材からなる絶縁性セラミック層と、上記絶縁性セラミック層と積層され一体焼結された前記複合セラミック層とを有し、上記複合セラミック層は、前記混在領域のうち、上記絶縁性セラミック層に接している部分において、上記絶縁性セラミック材の方が、前記固体電解質セラミック材よりも、広い面積で上記絶縁性セラミック層に接してなるガスセンサ素子とすると良い。
このようにすることで、絶縁性セラミック層と複合セラミック層との間、特に、絶縁性セラミック層と複合セラミック層の混在領域との間に、焼成挙動の違いによって生じる応力をより少なくすることができ、このような応力によって生じるクラックをも抑制することができる。
さらに、請求項14に記載のガスセンサ素子であって、前記絶縁性セラミック層は、前記複合セラミック層の固体電解質セラミック領域を通電により加熱するヒータ配線と、上記複合セラミック層との間を電気的に絶縁してなるガスセンサ素子とすると良い。
ガスセンサ素子がヒータ配線を有する場合、ヒータ配線を流れる電流が、絶縁性セラミック層を通って漏れると、この漏れ電流により、固体電解質セラミック領域の表面電極と裏面電極との間に生じるセンサ出力が影響を受け、適切な出力を得にくくなるおそれがある。
これに対し、本発明のガスセンサ素子では、複合セラミック層の混在領域において、絶縁性セラミック層に接する面積について、絶縁性セラミック材の方が固体電解質セラミック材よりも大きくしているので、その分、漏れ電流が生じにくく、その影響を小さくすることができる。
さらに、ガスセンサ素子を含み、このガスセンサ素子で特定ガスの検知を行うガスセンサであって、上記ガスセンサ素子は、請求項13〜請求項15のいずれか1項に記載のガスセンサ素子であるガスセンサとすると良い。
このガスセンサでは、上述のガスセンサ素子を用いているので、コンパクトで安価なガスセンサとなし得る。
さらに他の解決手段は、複数のシート部分がストライプ状に互いに隣接して、単一のシート形態をなす複合セラミックグリーンシートの製造方法であって、第1シート材料を含む第1スラリと、第2シート材料を含み上記第1スラリとはシート成形挙動が異なる第2スラリとを、ウェブ上に、このウェブの幅方向に間隙を設けて被着した後、このウェブが進行し、上記第1スラリ及び第2スラリの塗工厚さを規定する規制部材の刃先に至るまでの間に、上記ウェブ上の上記第1スラリを上記ウェブの幅方向第2スラリ側に拡げると共に、上記ウェブ上の上記第2スラリを上記ウェブの幅方向第1スラリ側に拡げて、上記ウェブ上に上記第1スラリと第2スラリとが混在するスラリ混在部を形成して、上記第1シート材料からなる第1シート部分と上記第2シート材料からなる第2シート部分とが、上記第1シート部分と第2シート部分との間に介在する混在部であって、上記第1シート材料と第2シート材料とが混在してなる混在部を介して隣接し、互いに一体化してなる複合セラミックグリーンシートの製造方法である。
まず、第1スラリと第2スラリとが、互いにシート成形挙動が異なる場合を考える。この場合、これら第1,第2スラリを並行して一度にキャスティングして、第1シート部分と第2シート部分とがストライプ状に成形されたセラミックグリーンシートにすると、第1,第2スラリが乾燥によりシートとなるに際して、溶媒の揮発等による収縮の度合いなどのシート成形の際の挙動が異なるため、出来上がったグリーンシートで見て、第1シート部分と第2シート部分との界面に亀裂が生じる不具合が発生しがちであった。
これに対し、本発明の製造方法では、ウェブ上に被着した第1,第2スラリを、ドクタブレードなど規制部材の刃先で規制して塗工厚さを規定するまでの間に、第1スラリと第2スラリとをウェブの幅方向に拡げて、スラリ混在部を形成する。
このため、第1,第2スラリが乾燥によりシートとなるに際して、シート成形挙動が異なっていても、スラリ混在部により収縮の度合いなどの挙動の違いが緩和され、出来上がったグリーンシートで見て、第1シート部分と第2シート部分との界面に亀裂が生じることが防止される。
なお、本発明の複合セラミックグリーンシートには、スラリ混在部が乾燥してできた混在部が形成される。ここで、第1シート材料と第2シート材料とが、焼成挙動が異なる場合には、複合セラミックグリーンシートを焼成した場合に、この混在部の存在により、焼成挙動の違いによって、第1シート部分と第2シート部分との境界付近で生じるクラックを効果的に防止することができる。
また、シート成形挙動とは、スラリをウェブ上に被着した後、乾燥させグリーンシートを成形するまでの間に、スラリに含まれる溶媒の揮発などにより、スラリ(グリーンシート)が収縮する際にスラリに生じる挙動をいう。
また、シート成形挙動が異なるとは、比較する2つのスラリ間でシート成形挙動が異なることを言う。例えば、スラリに含まれる溶媒(水、アルコール、有機溶媒など)の気化熱、蒸発温度や蒸発速度の違い、セラミック粉末の材質、粒径、比表面積などの違い、バインダ等の材質の違いなどが異なることにより、収縮の早さや収縮割合の変化などのシート成形挙動が互いに異なる場合が生じる。例えば、一方のスラリが相対的に早く乾燥するために、このスラリが相対的に先に収縮する場合などが挙げられる。また、スラリに含まれる溶媒とセラミック粉末及びバインダの組成比の違いによっても挙動の違いが生じる場合がある。
(実施例1)
本発明の第1の実施の形態を、図1〜図6を参照して説明する。まず、本発明にかかる複合セラミックグリーンシートCGの製造について説明する。本実施例では、複合セラミックグリーンシートCG1の製造に、図1〜図4を参照して説明するリップコータ型のシート製造装置10を用いる場合について説明する。このシート製造装置10は、ローラ12の図中矢印に示す方向(時計方向)の回転によって送られる、長尺、帯状のウェブWの一方面(図1中、下面)に第1スラリ1及び第2スラリ2を帯状に塗工し、これを乾燥させて複合セラミックグリーンシートCG(CG1)を作製する。
なお、第1スラリ1及び第2スラリ2として、表1に示す組成のスラリを用いた。即ち、第1スラリ1は、セラミック材料として僅かにジルコニアが添加されたアルミナセラミック材料を含む。また、第2スラリ2は、セラミック材料として、ジルコニアを主成分とし、アルミナを20wt%添加したジルコニア固体電解質セラミック材料を含む。
また、第1スラリ1には、ごく僅かに、着色剤として赤色を呈するローダミンを添加しているため、ピンク色を呈する。一方、第2スラリ2は、白色を呈する。なお、このローダミンは、後述する複合セラミック層の焼結の際に、分解、燃焼してガス化するため、焼成後のアルミナセラミック領域には、残留しない。
Figure 2005271578
このシート製造装置10のうち、ウェブWに第1,第2スラリ1,2を塗工するノズルヘッド14は、ヘッド本体16と、これよりも上流側(図1中、右側)に配置されて、ヘッド本体16との間で第1溜め室22を形成する蓋体20と、蓋体20とウェブWとの間に介在して、ヘッド本体16のドクタエッジ部18よりも上流側(図1中、右側)に第2溜め室42を構成する壁部材40とを備える。ヘッド本体16のうち、ドクタエッジ部18先端のエッジ19とウェブWとの間隔を調整することによって、ウェブWに塗工されるスラリ(第1,第2スラリ)の塗工厚さ(従って、乾燥後のシート厚さ)を調整することができる。
チューブ30を通じて圧送されたスラリは、スラリ注入路24を通じて第1溜め室22に注入され、さらに、スラリ流出路26を通じて、スラリ流出口28から、第2溜め室42内に注入され、エッジ19に導かれる。
なお、壁部材40に取り付けられた圧力センサ46によって、スラリにかけられた圧力を計測し、これを一定とするように制御をすることで、スラリの塗工厚さを一定とするようにされている。
第1溜め室22及び第2溜め室42は、通常のシート製造装置においては、いずれも1室で足りる。しかし、本実施例1では、図5に示すように、第1スラリ1と第2スラリ2とが交互に並んだストライプ状の複合セラミックグリーンシートCG1を製造する。そこで、このシート製造装置10では、セラミックグリーンシートの全幅を決定する側壁部材58,59のほかに(図2参照)、4つの仕切り部材50(501,502,503,504)を、ウェブWの幅方向(図2において左右方向、図1において紙面に垂直な方向)に、間隔をあけて配置している。このため、第2溜め室42は、それぞれ5つの部屋に仕切られる。また、具体的には、第1溜め室22については図示しないが、この第1溜め室22についても、蓋体20によって5つの部屋に仕切られている。第2溜め室42については、図2に示すように、5つの第2溜め室42A,42B,42C,42D,42Eが形成される。また、これらの第2液溜め室42A等には、スラリ流出口28A,28B,
28C,28D,28Eがそれぞれ開口している。
また、図2に示すように、圧送ポンプ33によって第1チューブ31内を送られた第1スラリ1は、第1チューブが3つに分岐している。また、圧送ポンプ34によって第2チューブ32内を送られた第2スラリ2は、第2チューブ32が2つに分岐している。そして、これらのチューブ31,32は、交互に配置されているので、第1溜め室を通じて、5つの第2溜め室のうち、第2溜め室42A,42C,42Eには第1スラリ1が、第2溜め室42B,42Dには、第2スラリ2が注入されることとなる。つまり、第1スラリ1が注入された第2溜め室42A,42C,42Eと第2スラリ2とが注入された第2溜め室42B,42Dとが、交互に位置していることになる。
ところで、仕切り部材50(501,502,503,504)は、図3に示すように、ウェブWに接してあるいはごく僅かな間隔を介してウェブWに対向するウェブ対向面55(551,552,553,554)と、ウェブWの幅方向(図2において左右方向)を向く、第1側面53(531,532,533,534)及び第2側面54(541,542,543,544)を有している。さらにウェブ対向面55の下流側(図3において左下方向、図2において上方向))には、ウェブ対向面55に直交する先端面52(521,522,523,524)を有しており、この先端面52は、図1を参照すると、容易に理解できるように、ドクタエッジ部18のエッジ19よりも上流側(図1において左方向、図2において下方向)に位置している。
従って、仕切り部材50(501等)の先端面52(521等)とエッジ19との間に、図1に示すように、ウェブWの幅方向に仕切り部材が位置していない混合空間44が形成されている。
ところで、図4に示すように、スラリ流出路26を通じ、スラリ流出口28から第2溜め室42内に注入された第1スラリ1または第2スラリ2は、図中矢印で示すように、エッジ19方向に移動する。ここで、図中に破線で示す仕切り部材50の先端面52よりも上流側(図4中、右方)の分離区間SLにおいては、第2液溜め室42内に注入されたスラリが、隣の第2溜め室に注入されたスラリと混ざることはなく、互いに分離されている。
しかし、先端面52より下流側(図4中、左方)の混合区間SNでは、仕切り部材50が存在しないため、スラリは、それぞれ図4中、左方に進行すると共に、図4の紙面に垂直な奥方向、あるいは手前方向の混合空間44にも進行する。このため、隣り合った第2液溜め室に注入されていたスラリが互いに混合される。さらに、スラリは、エッジ19でその塗工厚さを制限されつつ、ウェブW上に複合セラミックグリーンシートCGとして塗工される。その後は、公知の手法によってスラリを乾燥せれば、複合セラミックグリーンシートCGが完成する。
かくして形成された複合セラミックグリーンシートCG(CG1)は、図5に示すように、アルミナセラミック材料からなるアルミナシート部分R1(R11,R12,R13)と、ジルコニア固体電解質セラミック材料からなるジルコニアシート部分R2(R21,R22)とが、厚み方向に直交する拡がり方向に交互に並ぶストライプ状の複合セラミックグリーンシートCGとなる。しかも、アルミナシート部分R1とジルコニアシート部分R2との間には、アルミナシート部分R1をなす第1シート材料3とジルコニアシート部分R2をなす第2シート材料4とが混在する混在部RM(RM1,RM2,RM3,RM4)が帯状に介在している。
なお、第1,第2シート材料3,4は、第1スラリ1あるいは第2スラリ2から、製膜の際に乾燥により除去された分の溶媒を除いた材料であり、具体的には、第1,第2スラリ1,2の内から水を除いた成分であり、主として、セラミック材料とバインダ及び着色
剤等とからなり、若干の水を含む。
この混在部RMは、例えば、図6に示す形態を有する。即ち、アルミナシート部分R1と、ジルコニアシート部分R2との間において、混在部RMでは、第1シート材料3と第2シート材料4との界面BSが、その厚さ方向(図6中、上下方向)に対して斜交している。従って、アルミナシート部分R1に近い側(図6中、左方)から、ジルコニアシート部分R2に近い側(図中、右方)に向かって、第1シート材料3からなる部分の厚さが減少する一方、第2シート材料4からなる部分の厚さが増加する形態となっている。しかも、この複合セラミックグリーンシートCG1において、その厚さST1(例えば、0.20mm)に対し、混在部RMの混在寸法SMW1は、2倍以上、3倍以上、さらには5倍以上(例えば、1.0mm以上)とされている。
なお、第1,第2スラリ1,2は、粘度の高い泥漿であるから、エッジ19を越えてウェブWに塗工された第1,第2スラリ1,2は、これらが乾燥される間に、混在部RMにおいて互いの混合が極端に大きく進行することは考えられない。従って、第1,第2スラリ1,2が、混合空間44で混合され、エッジ19を超えてウェブWに塗工された時点で、乾燥による厚みの減少は除くと、ほぼ、図6に示す形態で、第1,第2スラリ1,2が混在していたものと考えられる。
このように、第1スラリ1と第2スラリ2とを隣接して配置する場合に、本実施例1の複合セラミックグリーンシートCG1のようにしてあると、以下の利点がある。
即ち、第1,第2スラリ1,2は、ウェブW上に塗工された後、乾燥されてグリーンシートとなる。この際、溶媒(本実施例1では、水)が蒸発するため、その厚さが薄くなる(収縮する)と共に、平面方向(ウェブWに沿う方向)にも収縮する。しかるに、第1スラリ1と第2スラリ2とでは、含まれる溶媒(水)の割合や含まれているセラミック材その他が異なり、乾燥時の収縮の早さも異なる。つまり、第1,第2スラリ1,2は、これらをシートに成形する際の挙動が互いに異なる。
このため、単に、第1スラリ1と第2スラリ2とが接している場合、つまり、第1スラリ1と第2スラリ2との界面(第1シート材料3と第2シート材料4との界面BS)が、シートの厚さ方向にほぼ一致している形態の場合には、乾燥収縮の際の挙動の違いにより、この界面に沿って裂ける(割れる)ような亀裂を生じがちである。
これに対し、上述の複合セラミックグリーンシートCG1では、混在部RM(RM1等)において、その厚さST1の2倍以上の混在寸法SMW1に亘って、第1シート材料3と第2シート材料4とが混在している。このため、第1スラリ1と第2スラリ2とでシート成形の挙動が異なっていても、その挙動の違いを緩和することができるためである。かくして、混在部RMにより亀裂が発生しにくく、信頼性のある複合セラミックグリーンシートCG1となる。
さらに、この複合セラミックグリーンシートCG1を焼成して複合セラミック層FC1とすると、第1シート材料3はアルミナセラミック材5に、第2シート材料4はジルコニア固体電解質セラミック材6に、アルミナシート部分R1はアルミナ領域C1に、ジルコニアシート部分R2はジルコニア領域C2に、混合部RMは混合領域CMになる。この焼結の際にも、複合セラミックグリーンシートCG1において、その厚さST1に対し、混在部RMの混在寸法SMW1を2倍以上としておくことで、以下の利点がある。
即ち、第1シート材料3と第2シート材料4とは、複合セラミックグリーンシートCG1を焼成する際に、焼成収縮を起こし、その厚さが薄くなる(収縮する)と共に、平面方向にも収縮する。しかるに、第1シート材料3と第2シート材料4とでは、含まれるセラミック材料の化学的組成(アルミナセラミック材料とジルコニア固体電解質セラミック材
料)の違いや、含まれているバインダその他の量が異なり、焼結開始温度や、焼結時の収縮の早さ、焼結後の熱膨張率に起因して生じる熱収縮量などが異なる。つまり、第1,第2シート材料3,4は、これらを焼結する際の焼成挙動が互いに異なる。
このため、単に、第1シート材料3と第2シート材料4とが接している場合、つまり、第1シート材料3と第2シート材料4との界面が、シートの厚さ方向にほぼ一致している形態の場合には、以下の不具合が生じがちであった。即ち、焼成挙動の違いにより、複合セラミックグリーンシートを焼結した場合に、焼結された複合セラミック層について、アルミナセラミック材5とジルコニア固体電解質セラミック材6の界面CSを跨ぐあるいは沿うようなクラックが焼成時に生じている場合があった。また、焼成直後にはクラックが無くとも僅かな応力で界面CSを跨ぐあるいは沿うようにしてクラックが発生しがちであった。焼成時に、アルミナセラミック材とジルコニア固体電解質セラミック材との間に生じる残留応力によるものと考えられる。
これに対し、上述の複合セラミックグリーンシートCG1では、混在部RMにおいて、その厚さST1の2倍以上の混在寸法SMW1に亘って、第1シート材料3と第2シート材料4とが混在している。このため、第1シート材料3と第2シート材料4とで焼成挙動が異なっていても、クラックの無い複合セラミック層FC1を確実に形成することができる。混在部RM(混在領域CM)の存在により、焼成挙動の違いを緩和することができるためである。また、混在領域CMの存在により、応力が掛かってもクラックが発生しにくく、信頼性のある複合セラミック層FC1となすことができる。この混在寸法SMW1は、さらに大きく、厚さST1の3倍以上、特に5倍以上とすると、より焼成挙動の違いを緩和して、クラックの発生しにくい、信頼性の高い複合セラミック層FC1となすことができる。
本実施例1については、以下のように言うこともできる。アルミナとジルコニアは、焼結温度や熱膨張率等において互いに異なる特性を有しているので、焼成時に焼成挙動が異なるセラミック成分である。しかるに、複合セラミックグリーンシートCG1のうち、第1シート材料1のセラミック成分(アルミナ及びジルコニア。表1の第1スラリ欄参照)のうち主成分をなすアルミナが、混在部RMにおけるセラミック成分中に占める割合は、第1シート部分3におけるセラミック成分中に占める割合(97wt%)よりも少なくなっている。また、第2シート材料4のセラミック成分(ジルコニア及びアルミナ。表1の第2スラリ欄参照)のうち主成分をなすジルコニアが、混在部RMにおけるセラミック成分中に占める割合は、第2シート部分4におけるセラミック成分中に占める割合(80wt%)よりも少なくされてなる。
このため、この複合セラミックグリーンシートGC1を焼成した場合には、焼成挙動において、セラミック成分の点から見ても、混在部RMは、第1シート部分3と第2シート部分4の中間の焼成挙動を示すこととなり、第1シート部分3と第2シート部分3の焼成挙動の違いに伴う応力の発生などを緩和して、亀裂などを生じさせにくい複合セラミック層FC1を得ることができる。
さらに本実施例1においては、前述したように、ピンク色に着色した第1スラリ1を用いている。このため、白色の第2スラリ2とその色調で区別できるだけでなく、本実施例1にかかる複合セラミックグリーンシートCG1において、ピンク色の第1シート材料3と白色の第2シート材料とをその色調で容易に識別することができる。従って、アルミナシート部分R1とジルコニアシート部分R2との間において、シート部分やその境界(混在部RM)の識別が容易となり、この複合セラミックグリーンシートCG1の取り扱いが容易である。また、混在部RMにおける第1スラリ1(第1シート材料3)と第2スラリ2(第2シート材料4)との混合の様子(図6,7,9参照)が容易に判る利点もある。
(変形例1)
さらに、混在部RMにおける第1シート材料3と第2シート材料4との混在の形態(あるいは、混在領域CMにおけるアルミナセラミック材5とジルコニア固体電解質セラミック材6の混在の形態)としては、図7に示すように、界面BS(CS)が断面S字状などジグザグになるようにしても良い。この場合にも、複合セラミックグリーンシートCG2において、その厚さST2に対し、混在部RMの混在寸法SMW2を2倍以上としておく。
このようにすると、混在部RMにおいて、複合セラミックグリーンシートCG2について、亀裂の発生を防止することができる。第1シート材料3と第2シート材料4との界面BSを大きく取れるので、これらのシート成形挙動の違いがこの部分で緩和されるためと考えられる。
また、混在領域CMにおいて、グリーンシートCG2を焼成した複合セラミック層FC2について、クラックの発生を防止することができると考えられる。アルミナセラミック材5とジルコニア固体電解質セラミック材6との界面CSを大きく取れるので、これらの焼成挙動の違いがこの部分で緩和されるためと考えられる。
なお、複合セラミックグリーンシートCG2について、図7に示す混在部RMを形成するには、実施例1に示したシート製造装置10を用いて、第1スラリ1と第2スラリ2とをウェブWを塗工する際に、第1スラリ1及び第2スラリ2の粘度及びチューブからの圧送する圧力の大きさを適切に設定することで、可能となる。つまり、シート製造装置10では、第1,第2スラリ1,2の粘度や圧送の圧力等を調整することによって、図6に示す複合セラミックグリーンシートCG1と図7に示す複合セラミックグリーンシートCG2のいずれの形態となるかを選択することができる。
(変形例2)
さらに、前述のシート製造装置10において、仕切り部材50に代えて、図8に示す仕切り部材150を用いることもできる。この仕切り部材150を用い、第1,第2スラリ1,2の粘度や圧送の圧力等を調整すると、図9に示す複合セラミックグリーンシートCG3を製造することができる。この仕切り部材150の第1側面153及び第2側面154にV字状の切り欠き156,157を形成したことで、この第1,第2側面153,154に沿ってそれぞれ流れる第1,第2スラリ1,2の流れに乱れや渦が生じるため、混合空間44において、第1,第2スラリ1,2が不規則に混合されて両者の界面BSが乱れるためであると考えられる。
このグリーンシートCG3では、その混在部RMにおいて、第1シート材料3と第2シート材料4とが互いに入り組んだ形態、さらに具体的には、第1シート材料3と第2シート材料4とが、その断面において、墨流し状の模様を構成するように互いに入り組んでいる。この場合にも、複合セラミックグリーンシートCG3の厚さST3に対し、混在部RMの混在寸法SMW3を2倍以上としておく。
このようにすると、混在部RMにおいて、複合セラミックグリーンシートCG3について、亀裂の発生を防止することができる。第1シート材料3と第2シート材料4との界面BSが複雑に入り組んで、その面積が特に大きく取れるため、これらのシート成形挙動の違いがこの部分で緩和されるためと考えられる。
また、混在領域CMにおいて、グリーンシートCG3を焼成した複合セラミック層FC3についてクラックの発生を防止することができると考えられる。アルミナセラミック材5とジルコニア固体電解質セラミック材6との界面CSが複雑に入り組んで、その面積が特に大きく取れるため、これらの焼成挙動の違いがこの部分で緩和されるためと考えられる。
ついで、上述の実施例1(または変形例1,2)にかかる複合セラミックグリーンシートCG1を用いて、ガスセンサ素子(セラミック焼結体)100(図11参照)を製造する。
(従来例)
その前に、従来のガスセンサ素子GSの構造について、図10を参照して説明する。このガスセンサ素子GSは、ジルコニア固体電解質セラミック材からなる第1,第2ジルコニア固体電解質層Z1,Z2を基本として構成されるガスセンサ素子であり、このうち、第1ジルコニア固体電解質層Z1(以下、単に層Z1ともいう)は、ガス検知のための固体電解質体として機能する。一方、第2ジルコニア固体電解質層Z2は、層Z1の補強のために用いられる。
第1ジルコニア固体電解質層Z1には、貫通孔ZTH1が穿孔され、その表面(図中上方の面)Z1bには、アルミナペーストを塗布し、同時焼成によって形成された第1アルミナ絶縁コート層AL1が配置されている。この第1アルミナ絶縁コート層AL1には、貫通孔ZTH1と対応する位置に貫通孔ATH1が形成され、また、先端側(図中右側)には、矩形状の電極用窓AH1が形成されている。
同様に、第1ジルコニア固体電解質層Z1の裏面(図中下方の面)Z1cにも、アルミナペーストの塗布、同時焼成によって形成された第2アルミナ絶縁コート層AL2が配置されている。この第2アルミナ絶縁コート層AL2にも、貫通孔ZTH1と対応する位置
に貫通孔ATH2が形成され、また、先端側(図中右側)には、矩形状の電極用窓AH2が形成されている。
さらに、第1アルミナ絶縁コート層AL1の上方には、白金からなる第1,第2電極層EL1,EL2が、第2アルミナ絶縁コート層AL2の下方にも、白金からなる第4電極層EL4が、白金ペーストを塗布し同時焼結することによって形成されている。
このうち、第1電極層EL1は、第1アルミナ絶縁コート層AL1の電極用窓AH1を介して、その先端部分に位置し幅広矩形状の電極部EL1Aが、直接、第1ジルコニア固体電解質層Z1の表面Z1bに接している。一方、第1電極層EL1のうち、第1アルミナ絶縁コート層AL1が介在している部分では、第1ジルコニア固体電解質層Z1とは絶縁されている。また、やや幅広とされたパッド部EL1Bは、このガスセンサ素子GSの出力を外部に伝えるための電極パッド部を構成している。そして、電極部EL1Aとパッド部EL1Bとの間が、やや幅細の配線部EL1Cで結ばれている。
同様に、第4電極層EL4の先端部分に位置する幅広矩形状の電極部EL4Aも、第2アルミナ絶縁コート層AL2の電極用窓AH2を介して、直接、第1ジルコニア固体電解質層Z1の裏面Z1cに接しており、第1電極層EL1の電極部EL1Aと対向している。一方、第4電極層EL4のうち、第2アルミナ絶縁コート層AL2が介在している部分では、第1ジルコニア固体電解質層Z1とは絶縁されている。また、やや幅広とされたパッド部EL4Bも電極パッド部を構成している。そして、電極部EL4Aとパッド部EL4Bとの間が、やや幅細の配線部EL4Cで結ばれている。
さらに、第2電極層EL2は、第1電極層EL1のパッド部EL1Bとほぼ同形状を有している。この第2電極層EL2は、第1ジルコニア固体電解質層Z1の貫通孔ZTH1内において、第2電極層EL2と同時に形成される筒状のスルーホール電極層EL3を通じて、第4電極層EL4のパッド部EL4Bに導通している。
但し、第1ジルコニア固体電解質層Z1はイオン伝導性を有する固体電解質であるため、スルーホール電極層EL3を第1ジルコニア固体電解質層Z1から絶縁するために、貫通孔ZTH1の内壁面には、アルミナペーストを塗布焼成したアルミナ絶縁スルーホール層AL4が形成してあり、その内側にスルーホール電極層EL3が形成されている。
さらに、第4電極層EL4の下方には、補強用の第2ジルコニア固体電解質層Z2が設けられている。
このように、従来のガスセンサ素子では、ジルコニア固体電解質体のイオン伝導性を利用してガス検知を行うことはできるが、単一のセラミック材(つまりジルコニア固体電解質セラミック材)からなるセラミック層(本例では層Z1)を用いるため、第1,第4電極層EL1,EL4の引き回しのため、電極部EL1A,EL4A以外の部分については、第1,第2アルミナ絶縁コート層AL1,AL2を用いて絶縁を図る必要があり、構造も製造工程も複雑とならざるを無かった。
また、層Z1の貫通孔ZTH1内でも絶縁のために、アルミナ絶縁スルーホール層AL4を形成した上で、その内側にスルーホール電極層EL3を形成していた。このため、ここでも、構造も製造工程も複雑とならざるを得なかった。
さらに、スルーホール電極層EL3を層Z1と確実に絶縁するためには、アルミナ絶縁スルーホール層AL4を確実に形成し、しかも、その内部にスルーホール電極層EL3を形成可能とする必要がある。そのためには、貫通孔ZTH1の径を大きくせざるを得ない。従って、ガスセンサ素子の小型化の障害ともなっていた。
(実施例2)
これに対し、図11に示すガスセンサ素子100は、容易に理解できるように、簡単な構造で、小型となっている。このガスセンサ素子100について説明する。
このガスセンサ素子100は、アルミナセラミック材5とジルコニア固体電解質セラミック材6とが複合された複合セラミック層101,111を基本として構成されるガスセンサ素子である。このうち、第1複合セラミック層101のジルコニア固体電解質セラミック材6(ジルコニア領域C2)は、ガス検知のための固体電解質体として機能する。一方、第2複合セラミック層111は、複合セラミック層101の補強のために用いられる。
第1複合セラミック層101は、前述した実施例1にかかる複合セラミックグリーンシートCG1を用いて形成され、アルミナセラミック材5からなるアルミナ領域C1と、ジルコニア固体電解質セラミック材6からなるジルコニア領域C2と、これらの間に介在し、アルミナセラミック材5とジルコニア固体電解質セラミック材6とが混在する混在領域CMとに分けられる。このうち、アルミナ領域C1には、貫通孔106が穿孔され、その内部には、白金からなるビア導体123が白金ペーストの充填焼成により、形成されている。さらに、この第1複合セラミック層101の表裏面101b,101cには、前述の従来例とは異なり、アルミナ絶縁コート層を形成することなく、白金からなる第1,第2,第4電極層121,122,124が、白金ペーストを塗布し同時焼結することによって形成されている。
このうち、第1電極層121は、その先端部分に位置し幅広矩形状の電極部121Aが、直接、第1複合セラミック層101のジルコニア領域C2表面に接している。一方、第1電極層121のうち、電極部121Aよりも基端側(図中左側)に引き出された部分は、少なくともアルミナ領域C1の表面の位置において、具体的にはパッド部121Bにおいて、ジルコニア固体電解質セラミック材6とは絶縁している。なお、このパッド部121Bは、このガスセンサ素子100の出力を外部に伝えるための電極パッド部を構成している。そして、電極部121Aとパッド部121Bとの間は、やや幅細の配線部121Cで結ばれている。
同様に、第4電極層124は、その先端部分に位置し幅広矩形状の電極部124Aが、直接、第1複合セラミック層101のジルコニア領域C2の裏面に接している。一方、第4電極層124のうち、電極部124Aよりも基端側(図中左側)に引き出された部分は、少なくともアルミナ領域C1の裏面の位置、具体的にはパッド部124Bにおいて、ジルコニア固体電解質セラミック材6とは絶縁している。なお、このパッド部124Bは、ビア導体123を通じて次述する第2電極層122に接続するための電極パッド部を構成している。そして、電極部124Aとパッド部124Bとの間は、やや幅細の配線部124Cで結ばれている。
さらに、第2電極層122は、第1電極層121のパッド部121Bとほぼ同形状を有している。この第2電極層122は、第1複合セラミック層101のうち、アルミナ領域C1の表面に接しており、ビア導体123を通じて、第4電極層124のパッド部124Bに導通している。
なお、前述の従来例と異なり、ビア導体123をジルコニア固体電解質セラミック材6と絶縁するために、アルミナ絶縁スルーホール層を形成しておく必要はない。貫通孔106は、絶縁性のあるアルミナ領域C1に形成されているからである。
さらに、第4電極層124の下方には、補強用の第2複合セラミック層111が設けられている。
このように、本実施例2のガスセンサ素子100では、複合セラミック層101を用いているために、ジルコニア固体電解質体のイオン伝導性を利用してガス検知を行うことができる上、第1,第4電極層121,124の引き回しのためにアルミナ絶縁コート層を形成する必要が無い。このため、構造も製造工程も簡単である。
また、ビア導体123とジルコニア固体電解質セラミック材との絶縁を図る必要がないので、アルミナ絶縁スルーホール層を形成する必要もなく、この点でも構造も製造工程も簡単である。
さらに、アルミナ絶縁スルーホール層を形成する必要がないので、貫通孔106の径が小さくて足り、ガスセンサ素子の小型化にも有利である。
実際、図10と図11とを比較すれば容易に理解できるように、本実施例2のガスセンサ素子100では、大幅な小型化が可能である。
しかも、本実施例2のガスセンサ素子100では、第1,第2複合セラミック層101,111には、アルミナ領域C1とジルコニア領域C2との間に、その厚さの2倍以上の幅を有する混在領域CMを設けてある。より具体的には、アルミナ領域C1とジルコニア領域C2との間に、第1,第2複合セラミック層101,111の長手方向に対して平行で、かつ厚さ方向に沿う断面で見たとき、各複合セラミック層101,111における厚さの2倍以上の寸法(混在寸法)を有する混在領域CMが設けられている。このため、このガスセンサ素子100を同時焼成によって製作する場合にも、またその後にも、この複合セラミック層101,111においてクラックが生じにくく、信頼性の高いガスセンサ素子100となっている。
なお、本実施例2のように、2つのセラミック材の界面CSがその厚さ方向に対して斜交する実施例1(図6参照)に示したタイプの混在領域CMを有する、2枚の複合セラミック層101,111を重ねて用いる場合には、図11に示すように、界面CSの向きを選択すると良い。即ち、2つの複合セラミック層101,111を合わせたときに、同じセラミック材からなる部分がなるべく長く(広い面積で)接するようにすると良い。本実施例では具体的には、第1複合セラミック層101では、図中左から右に進むに従って、界面CSが上方に移動する形態の界面となる形態の混在領域CMを選択し、第2複合セラミック層111では、図中左から右に進むに従って、界面CSが下方に移動する形態の界面となる形態の混在領域CMを選択している。
なお、本実施例2のガスセンサ素子100は、以下のようにして製造すればよい。即ち、2つの複合セラミックグリーンシートを用意し、その内の1枚に貫通孔106を穿孔し、さらにこの貫通孔106内に白金ペーストを充填し、さらに、このグリーンシートの表裏面に白金ペーストを用いて、第1,第2,第4電極層を印刷する。さらに、もう1枚の複合セラミックグリーンシートを積層して、同時焼成すれば、ガスセンサ素子100を得ることができる。
(実施例3)
あるいは、前述の実施例1,変形例1,2にかかる複合セラミックグリーンシートCG1等を用いて、下記のガスセンサ素子(セラミック焼結体)200(図12参照)を製造することもできる。
なお、本実施例3のガスセンサ素子200では、第1,第2複合セラミック層201,211を有する。このうち、第1複合セラミック層201は、アルミナ領域C1と、ジルコニア領域C2と、アルミナセラミック材5とジルコニア固体電解質セラミック材6とが混在する混在領域CMからなる。即ち、実施例1または変形例1,2にかかる複合セラミックグリーンシートを用い、これを焼結したものである。
一方、第2複合セラミック層211は、緻密質アルミナ領域CA1と、多孔質アルミナ領域CA2と、緻密質アルミナセラミック材7と多孔質アルミナセラミック材8とが混在する混在領域CAMからなる。即ち、表2に示す2種のスラリを用いて、実施例1または変形例2と同様にして、複合セラミックグリーンシートを作製し、これを焼結したものである。なお、表2を参照すれば容易に理解できるように、多孔質アルミナ領域CA2となる第2スラリには、気孔化剤としてカーボン粉末が混入されており、このカーボン粉末が焼成の際に燃焼してガス化することで、アルミナ質の骨格を有する多孔質アルミナ領域CA2が形成される。
Figure 2005271578
図12に示すガスセンサ素子200は、ヒータ付きのガスセンサ素子であるが、従来例(図10参照)に比較すると容易に理解できるように、ガスセンサ素子の部分が、従来よりも、簡単な構造となっている。このガスセンサ素子200について説明する。
このガスセンサ素子200は、上述したように、大別して、ガスセンサとして機能するガスセンサ素子部280と、このジルコニア固体電解質セラミック材を加熱するためのヒータ部290とからなる。
このうち、ガスセンサ素子部280は、アルミナセラミック材5とジルコニア固体電解質セラミック材6とが複合された第1複合セラミック層201を基本として構成されている。この第1複合セラミック層201は、アルミナセラミック材5からなるアルミナ領域C1と、ジルコニア固体電解質セラミック材6からなるジルコニア領域C2と、これらの間に介在し、アルミナセラミック材5とジルコニア固体電解質セラミック材6とが混在する混在領域CMとからなる。このうち、ジルコニア領域C2(ジルコニア固体電解質セラミック材6)は、ガス検知のための固体電解質体として機能する。
また、このガスセンサ素子部280には、その他に、第2複合セラミック層211を有している。この第2複合セラミック層211は、アルミナセラミック材5と同じ、緻密質アルミナセラミック材7からなる緻密質アルミナ領域CA1と、多孔質アルミナセラミック材8からなる多孔質アルミナ領域CA2と、これらの間に介在し、緻密質アルミナセラミック材7と多孔質アルミナセラミック材8とが混在する混在領域CAMとからなる。
この第2複合セラミック層211は、緻密質アルミナ領域CA1が、主として複合セラミック層201の補強のために、多孔質アルミナ領域CA2が、ジルコニア領域C2表面及び次述する電極部241Aへのガス流通を確保しつつ、これらのリンやケイ素などの被毒物質からの化学的な保護のために用いられる。
第1複合セラミック層201は、前述した実施例1にかかる複合セラミックグリーンシートCG1を用いて形成され、アルミナ領域C1には、貫通孔206が穿孔され、その内部には、白金からなるビア導体223が白金ペーストの充填焼成により形成されている。さらに、この第1複合セラミック層201の表裏面201b,201cには、実施例2(図11参照)と同じく、また、前述の従来例(図10参照)とは異なり、アルミナ絶縁コート層を形成することなく、白金からなる第1,第2,第4電極層241,242,251が、それぞれ白金ペーストを塗布し同時焼結することによって形成されている。
このうち、第1電極層241は、その先端部分に位置し幅広矩形状の電極部241Aが、直接、第1複合セラミック層201のジルコニア領域C2の表面に接している。一方、第1電極層241のうち、電極部121Aよりも基端側(図中左側)に引き出された部分は、少なくともアルミナ領域C1の表面の位置、具体的にはパッド部241Bにおいて、ジルコニア固体電解質セラミック材6とは絶縁している。なお、このパッド部241Bは、このガスセンサ素子200の出力を外部に伝えるための電極パッド部を構成している。そして、電極部241Aとパッド部241Bとの間は、配線部241Cで結ばれている。
同様に、第4電極層251は、その先端部分に位置し幅広矩形状の電極部251Aが、直接、第1複合セラミック層201のジルコニア領域C2の裏面に接している。一方、第4電極層251のうち、電極部251Aよりも基端側(図中左側)に引き出された部分は、少なくともアルミナ領域C1の裏面の位置、具体的にはパッド部251Bにおいて、ジルコニア固体電解質セラミック材6とは絶縁している。なお、このパッド部251Bは、ビア導体223を通じて次述する第2電極層242に接続するための電極パッド部を構成している。そして、電極部251Aとパッド部251Bとの間は、配線部251Cで結ばれている。
さらに、第2電極層242は、第1電極層241のパッド部241Bとほぼ同形状を有している。この第2電極層242は、第1複合セラミック層201のうち、アルミナ領域C1の表面に接しており、ビア導体223を通じて、第4電極層251のパッド部251Bに導通している。
なお、実施例2と同じく、また前述の従来例と異なり、ビア導体223をジルコニア固体電解質セラミック材6と絶縁するために、アルミナ絶縁スルーホール層を形成しておく必要はない。貫通孔206は、絶縁性のあるアルミナ領域C1に形成されているからである。
さらに、第1,第2電極層241,242の上方には、補強等のための前述した第2複合セラミック層211が設けられている。
ついで、ヒータ部290について説明する。ヒータ部290は、主として、アルミナセラミック材からなり、前述した第1複合セラミック層211と平面方向の寸法がほぼ同じ第1アルミナ層221及び第2アルミナ層231と、これらの間に介在するヒータ配線層261とからなる。ヒータ配線層261は、その先端側(図中、右側)で、電極部241A,251Aの下方の位置に、細線化されると共にジグザグに折り返された発熱部261Aを有している。また基端側(図中左側)の両端には、やや幅広のパッド部261B,261Cが形成されている。このパッド部261B,261Cはいずれも、第2アルミナ層231に形成した貫通孔236内に充填されたビア導体237を介して、第2アルミナ層231の裏面231cの基端部に形成されたパッド層271,272に接続している。
従って、本実施例3のガスセンサ素子200では、パッド271,272の間に電圧を印加して電流を流し、ヒータ配線261の発熱部261Aから発熱させることで、第1複合セラミック層210のジルコニア領域C2が加熱され、酸素イオン伝導性を帯びるようになる。これにより、ガスセンサ素子部280において、ガス検知が可能となる。具体的には、ガスセンサ素子部280が酸素濃淡電池素子となり、これで生じた起電力(出力)をパッド部241Bと第2電極層242との間で得ることができる。
なお、このヒータ部290は、ガスセンサ素子部280の補強にもなっている。
このように、本実施例3のガスセンサ素子200では、第1複合セラミック層201を用いているために、ジルコニア固体電解質体のイオン伝導性を利用してガス検知を行うことができる上、第1,第4電極層241,251の引き回しのためにアルミナ絶縁コート層を形成する必要が無い。また、ビア導体223とジルコニア固体電解質セラミック材との絶縁を図る必要がないので、アルミナ絶縁スルーホール層を形成する必要もない。かくして、このガスセンサ素子200は、構造も製造工程も簡単である。
しかも、本実施例3のガスセンサ素子200においても、第1複合セラミック層201には、アルミナ領域C1とジルコニア領域C2との間に、その厚さの2倍以上の混在寸法を有する混在領域CMを設けてある。また、第2複合セラミック層211には、緻密質アルミナ領域CA1と多孔質アルミナ領域CA2との間に、その厚さの2倍以上の混在寸法を有する混在領域CAMを設けてある。このため、このガスセンサ素子200を同時焼成によって製作する場合にも、またその後にも、この複合セラミック層201,211においてクラックが生じにくく、信頼性の高いガスセンサ素子200となっている。
(変形例3)
ついで、上述した実施例3にかかるガスセンサ素子の変形例について説明する。上述したガスセンサ素子200では、第1複合セラミック層201のほかに、緻密質アルミナ領域CA1と、多孔質アルミナ領域CA2と、緻密質アルミナセラミック材7と多孔質アルミナセラミック材8とが混在する混在領域CAMからなる第2複合セラミック層211をこれに積層している(図12参照)。
これに対し、本変形例3のガスセンサ素子400(図14参照)では、ガスセンサ素子部480において、この第2複合セラミック層211に代えて、第1電極層241の電極部241Aへのガス流通を確保しつつ、電極部241Aや配線部241Bをリンやケイ素などの被毒物質から化学的に保護するために、印刷あるいは溶射によってアルミナ保護層411を形成してなる点で異なる。
さらに、本変形例3のガスセンサ素子400では、実施例3と同じく、実施例1にかかる複合セラミックグリーンシートCG1を用いて、第1複合セラミック層401を形成するが、図12と図14を対比すれば容易に理解できるように、実施例3の第1複合セラミック層201とは、表裏を反対にして用いている。
即ち、第1複合セラミック層401は、アルミナセラミック材5からなるアルミナ領域C1と、ジルコニア固体電解質セラミック材6からなるジルコニア領域C2と、これらの間に介在し、アルミナセラミック材5とジルコニア固体電解質セラミック材6とが混在する混在領域CMとからなる。この点は実施例3と同じである。但し、本変形例3では、混在領域CMにおいて、この第1複合セラミック層401と同時焼成される第1アルミナ層221と、アルミナセラミック材5とが接するように、第1複合セラミック層401の、即ち、複合セラミックグリーンシートCG1の表裏を考慮して積層してある。
第1アルミナ層221をなすアルミナと、第1複合セラミック層401に用いるジルコニア固体電解質セラミック材6とは、材質や熱膨張率などが異なることから、同時焼成の際の焼成挙動が異なる。従って、第1アルミナ層221と、ジルコニア固体電解質セラミック材6とが当接する面積を小さくする方が、焼成挙動の違いによる応力を少なくする上で有利である。従って、この変形例3のように、混在領域CMのうち、裏面401c側にアルミナセラミック材5が現れるように積層することで、第1アルミナ層221と第1複合セラミック層401との間、特に、第1アルミナ層221と第1複合セラミック層401の混在領域CMとの間で、焼成挙動の違いによって生じる応力をより少なくすることができる。このため、このような応力によって生じるクラックをも抑制することができる。
さらに、本変形例3のガスセンサ素子400は、第1電極層241と第4電極層251との間に発生する電圧を用いてガス検知を行う。さらに、このガスセンサ素子400はヒータ配線層261を有している。ところで、このヒータ配線層261とガスセンサ素子部480との間には、絶縁性の第1アルミナ層221が存在しているものの、例えば、第1電極層241とヒータ配線層261との間に電位差が生じていると、僅かではあるが、第1アルミナ層221及び第1複合セラミック層401を通じて、漏れ電流が第1電極層241に流れ込み、ガスセンサ出力に影響を及ぼすおそれがある。第1複合セラミック層401においては、特に、加熱によって導電性を有するようになるジルコニア固体電解質セラミック材6を経由して、漏れ電流が流れやすい。
これに対し、本変形例3のガスセンサ素子400では、第1複合セラミック層401の混在領域CMにおいて、第1アルミナ層221にアルミナセラミック材5が接するようにして積層してある。このため、これとは逆にした場合(実施例3,図12参照)に比して、漏れ電流が第1電極層241に流れ込みにくくなり、その影響を小さくすることができる。
なお、本変形例3では、第1複合セラミック層401に、実施例1にかかる複合セラミックグリーンシートCG1(図6参照)を用いた例を示したが、前述した変形例1,2における複合セラミックグリーンシートCG2,CG3を用いるなど、他の複合セラミックグリーンシートを用いることもできる。この場合においても、混在領域CMのうち、第1アルミナ層221に接している部分において、アルミナセラミック材の方が、ジルコニア固体電解質セラミック材6よりも、広い面積で第1アルミナ層221に接するようにすれば、焼成挙動の違いによる応力を少なくすることができる。また、ヒータ配線層261からの漏れ電流によるガスセンサ出力への影響も低減できる。
(実施例4)
ついで、実施例4にかかるガスセンサ300について説明する。本実施例4のガスセンサ300は、上述した実施例3のガスセンサ素子200(12参照)または変形例3のガスセンサ素子400(図14参照)を用いたガスセンサである。
このガスセンサ300は、内燃機関の排ガス管に取り付けて、排気ガス中の酸素濃度を測定する酸素センサである。このガスセンサ300は、具体的には、図13に示すように、軸線C方向に延びるガスセンサ素子200(400)、その後端側(図中上方)に取り付けられたセラミックセパレータ373と金属端子372とからなる端子ユニット371、ガスセンサ素子200の周囲を取り囲む主体金具311、主体金具311の先端側に取り付けられたプロテクタ341、主体金具311の後端側に取り付けられた金属外筒351等から構成されている。
主体金具311は、筒状をなし、プロテクタ341内に挿入される先端部313と、金属外筒351に挿入される後端部315とを有する。主体金具311の内側には、ガスセンサ素子200が、パッキン337、第1支持部材331、滑石粉末等を充填した充填封止層333等を介して軸方向に保持されている。さらに、充填封止層333の後端側には、内側をセンサ素子200(400)が貫通する筒状の第2支持部材335が配置されている。第2支持部材335の後端側は、主体金具311の後端部315よりも後端側の肉薄部を径方向内側に加締めることにより、加締部315bが形成されて、ガスセンサ素子200が第1支持部材331等を介して主体金具311の内部に気密に保持される。
また、プロテクタ341は、ガスセンサ素子200(400)の先端部、つまり、ジルコニア領域C2を間隙を介して覆い、内側ガス導入孔343Kが形成された有底筒状の内側カバー部343と、その外周に配置され、外側ガス導入孔345Kが形成された有底筒状の外側カバー部345とを有する。
金属外筒351は、肉薄な筒状をなし、端子ユニット371を間隙を介して覆い、その先端部353が主体金具311の後端部315に全周レーザ溶接されて、主体金具311に固着されている。金属外筒351の後端には、フッ素ゴムからなるグロメット359が
嵌入されている。このグロメット381には4本のリード線361が挿通されており、金属外筒351がカシメ部357で加締められることにより、グロメット381と金属外筒351との間及び各リード線361との間のシール性が保持されている。
また、端子ユニット371は、ガスセンサ素子200(400)の基端部を4つの金属端子372で挟持しており、各金属端子372は、それぞれガスセンサ素子200(400)のパッド部241B,第2電極242,パッド層271,272に接続している。
このガスセンサ素子300では、前述した、構造が簡単で、クラックの生じにくく、信頼性の高いガスセンサ素子200(400)を用いている。このため、安価で、信頼性の高いガスセンサとなる。
以上において、本発明を実施例及び変形例に即して説明したが、本発明は上記実施例等に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更して適用できることはいうまでもない。
例えば、実施例1及び変形例1,2では、リップコータ型のシート製造装置10を用い、スラリに圧力をかけながら、ドクタエッジ部18(エッジ19)までスラリを導いたが、スラリ(第1,第2スラリ1,2)をウェブWに塗工できる手法であれば良い。つまり、いわゆるドクタブレード法など適宜の手法を用い、ブレード(エッジ)に至るまでに、混合空間において、第1スラリと第2スラリとを混合し、複合セラミックグリーンシートを作製することができる。
また、実施例2,3及び変形例3では、ガスセンサ素子を、実施例4では、ガスセンサ素子を用いたガスセンサを例示したが、ガスセンサ素子について他の形態であっても良く、同様にガスセンサについて他の形態であっても良い。
実施例1に係る複合セラミックグリーンシートの製造に用いるシート製造装置(リップコータ)の要部の構造を示す説明図であり、ローラの軸線に直交する方向(ウェブの長手方向)の断面について示す説明図である。 図1のシート製造装置(リップコータ)の要部の構造を示す説明図であり、ローラの軸線に平行な方向(ウェブの幅方向)の断面について示す説明図である。 図1のシート製造装置(リップコータ)に用いる仕切り部材の形状を示す説明図である。 図1,図2に示すシート製造装置(リップコータ)にスラリーを供給した場合のスラリーの動きを示す説明図である。 ウェブ上に形成された複合セラミックグリーンシート(スラリ)の形態を示す説明図である。 実施例1にかかる複合セラミックグリーンシートの断面構造を示す説明図である。 変形例1にかかる複合セラミックグリーンシートの断面構造を示す説明図である。 変形例2にかかり、図1のシート製造装置(リップコータ)に用いる仕切り部材の他の形状を示す説明図である。 変形例2にかかる複合セラミックグリーンシートの断面構造を示す説明図である。 従来のセラミックグリーンシートを用いたガスセンサの構造例を示す説明図である。 上述の実施例1にかかる複合セラミックグリーンシートを用いた実施例2にかかるガスセンサ素子の構造を示す説明図である。 上述の実施例1にかかる複合セラミックグリーンシートを用いた、他の構造を有する実施例3にかかるガスセンサ素子の構造を示す説明図である。 図12または図14に示すガスセンサ素子を用いたガスセンサの形態例を示す説明図である。 上述の実施例1にかかる複合セラミックグリーンシートを用いた、さらに他の構造を有する変形例3にかかるガスセンサ素子の構造を示す説明図である。
符号の説明
10 シート製造装置(リップコータ)
16 ヘッド本体
18 ドクタエッジ部
19 エッジ
20 蓋体
22 第1溜め室
28,28A,28B,28C,28D,28E スラリ流出口
42,42A,42B,42C,42D,42E 第2溜め室
44,441,442,443,444 混合空間
50,501,502,503,504,150 仕切り部材
52,521,522,523,524,152 (仕切り部材の)先端面
W ウェブ
1 第1スラリ
2 第2スラリ
3 第1シート材料
4 第2シート材料
5 アルミナセラミック材
6 ジルコニア固体電解質セラミック材
7 緻密質アルミナセラミック材
8 多孔質アルミナセラミック材
CG,CG1,CG2,CG3 複合セラミックグリーンシート
BS,CS 界面
SL 分離区間
SN 混合区間
R1,R11,R12,R13 アルミナシート部分(第1シート部分、絶縁性セラミックシート部分)
R2,R21,R22 ジルコニアシート部分(第2シート部分、固体電解質セラミックシート部分)
RM,RM1,RM2,RM3,RM4 混在部
ST1,ST2,ST3 シート厚み
SMW1,SMW2,SMW3 混在寸法
GS,100,200,400 ガスセンサ素子(セラミック焼結体)
FC1,FC2,FC3,101,111,201,211,401 複合セラミック層
C1 アルミナ領域(第1セラミック領域、絶縁性セラミック領域)
C2 ジルコニア領域(第2セラミック領域、固体電解質セラミック領域)
CM 混在領域
CA1 緻密アルミナ領域(第1セラミック領域)
CA2 多孔質アルミナ領域(第2セラミック領域)
CAM (緻密質アルミナと多孔質アルミナの)混在領域
106,206,236,406 貫通孔
221,231 アルミナ層
121,122,124,241,242,251 電極層
121A,241A 電極部(表面電極)
124A,251A 電極部(裏面電極)
121B,241B パッド部(表面配線)
124B,251B パッド部(裏面配線)
121C,241C 配線部(表面配線)
124C,251C 配線部(裏面配線)
123,223,237,423 ビア導体
280,480 ガスセンサ素子部
290 ヒータ部
300 ガスセンサ
311 主体金具
341 プロテクタ
351 金属外筒
357 カシメ部
361 リード
371 端子ユニット
372 金属端子
373 セパレータ
381 グロメット

Claims (17)

  1. 第1シート材料からなる第1シート部分と、第2シート材料からなり上記第1シート部分に対して焼成挙動が異なる第2シート部分とが、拡がり方向に互いに隣り合う複合セラミックグリーンシートであって、
    上記第1シート部分と第2シート部分とは、
    これらの間に介在する混在部であって、上記第1シート材料と第2シート材料とが、少なくともその厚さの2倍以上の寸法に亘って混在してなる混在部を介して隣り合い、
    互いに一体化してなる
    複合セラミックグリーンシート。
  2. 請求項1に記載の複合セラミックグリーンシートであって、
    前記混在部は、
    前記第1シート部分に近い側から前記第2シート部分に近い側に向かって、
    前記第1シート材料の上記混在部に含まれる割合が減少する一方、
    前記第2シート材料の上記混在部に含まれる割合が増加する
    形態に構成されてなる
    複合セラミックグリーンシート。
  3. 請求項1に記載の複合セラミックグリーンシートであって、
    前記混在部は、
    前記第1シート材料と前記第2シート材料とが互いに入り組んだ形態にされてなる複合セラミックグリーンシート。
  4. 請求項1に記載の複合セラミックグリーンシートであって、
    前記第1シート材料のセラミック成分のうち主成分をなす第1セラミック成分が、前記混在部におけるセラミック成分中に占める割合は、前記第1シート部分におけるセラミック成分中に占める割合よりも少なく、
    前記第2シート材料のセラミック成分のうち主成分をなし、上記第1セラミック成分とは焼成挙動の異なる第2セラミック成分が、上記混在部におけるセラミック成分中に占める割合は、前記第2シート部分におけるセラミック成分中に占める割合よりも少なくされてなる
    複合セラミックグリーンシート。
  5. 請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の複合セラミックグリーンシートであって、
    前記第1シート部分及び第2シート部分のうち、少なくともいずれかが着色されて、上記第1シート部分と第2シート部分とが互いに識別可能にされてなる
    複合セラミックグリーンシート。
  6. 請求項5に記載の複合セラミックグリーンシートであって、
    前記第1シート材料及び第2シート材料のうち、少なくともいずれかが着色されて、互いに識別可能とされてなる
    複合セラミックグリーンシート。
  7. 請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の複合セラミックグリーンシートであって、
    前記第1シート部分は、固体電解質セラミック材料からなる固体電解質セラミックシート部分であり、
    前記第2シート部分は、絶縁性セラミック材料からなる絶縁性セラミックシート部分である
    複合セラミックグリーンシート。
  8. セラミック焼結体であって、
    請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の複合セラミックグリーンシートを含む未焼成セラミック成形体を焼成してなる
    セラミック焼結体。
  9. ガスセンサ素子であって、
    請求項7に記載の複合セラミックグリーンシートを含む未焼成ガスセンサ素子成形体を焼成してなり、
    上記複合セラミックグリーンシートを焼成してなる複合セラミック層のうち、
    前記固体電解質セラミックシート部分を焼成してなる固体電解質セラミック領域には、その表面に表面電極を、その裏面に裏面電極を備え、
    前記絶縁性セラミックシート部分を焼成してなる絶縁性セラミック領域及び前記混在部を焼成してなる混在領域には、その表面に上記表面電極から引き出された表面配線を、その裏面に上記裏面電極から引き出された裏面配線を備える
    ガスセンサ素子。
  10. ガスセンサ素子を含み、このガスセンサ素子で特定ガスの検知を行うガスセンサであって、
    上記ガスセンサ素子は、請求項9に記載のガスセンサ素子である
    ガスセンサ。
  11. 1または複数のセラミック層を有するセラミック焼結体であって、
    上記セラミック層の少なくともいずれかは、そのセラミック層の拡がり方向に、
    第1セラミック材からなる第1領域と、
    上記第1セラミック材とは焼成挙動が異なる第2セラミック材からなる第2領域と、
    上記第1領域及び第2領域の間に介在する混在領域であって、上記第1セラミック材と第2セラミック材とが、少なくともその厚さの2倍以上の寸法に亘って混在してなる混在領域と、を含み、
    上記第1領域と混在領域と第2領域とが互いに一体化した単一の複合セラミック層である
    セラミック焼結体。
  12. 請求項11に記載のセラミック焼結体であって、
    前記第1セラミック材からなる第1セラミック層と、
    上記第1セラミック層と積層され一体焼結された前記複合セラミック層とを有し、
    上記複合セラミック層は、
    前記混在領域のうち、上記第1セラミック層に接している部分において、上記第1セラミック材の方が、前記第2セラミック材よりも、広い面積で上記第1セラミック層に接してなる
    セラミック焼結体。
  13. 1または複数のセラミック層を有するガスセンサ素子であって、
    上記セラミック層の少なくともいずれかは、そのセラミック層の拡がり方向に、
    固体電解質セラミック材からなる固体電解質セラミック領域と、
    上記固体電解質セラミック材とは焼成挙動が異なる絶縁性セラミック材からなる絶縁性セラミック領域と、
    上記固体電解質セラミック領域及び絶縁性セラミック領域の間に介在する混在領域であって、上記固体電解質セラミック材と絶縁性セラミック材とが、少なくともその厚さの2倍以上の寸法に亘って混在してなる混在領域と、を含み、
    上記固体電解質セラミック領域と混在領域と絶縁性セラミック領域とが互いに一体化した複合セラミック層であり、
    上記複合セラミック層のうち、
    上記固体電解質セラミック領域には、その表面に表面電極を、その裏面に裏面電極を備え、
    上記絶縁性セラミック領域及び混在領域には、その表面に上記表面電極から引き出された表面配線を、その裏面に上記裏面電極から引き出された裏面配線を備える
    ガスセンサ素子。
  14. 請求項13に記載のガスセンサ素子であって、
    前記絶縁性セラミック材からなる絶縁性セラミック層と、
    上記絶縁性セラミック層と積層され一体焼結された前記複合セラミック層とを有し、
    上記複合セラミック層は、
    前記混在領域のうち、上記絶縁性セラミック層に接している部分において、上記絶縁性セラミック材の方が、前記固体電解質セラミック材よりも、広い面積で上記絶縁性セラミック層に接してなる
    ガスセンサ素子。
  15. 請求項14に記載のガスセンサ素子であって、
    前記絶縁性セラミック層は、前記複合セラミック層の固体電解質セラミック領域を通電により加熱するヒータ配線と、上記複合セラミック層との間を電気的に絶縁してなる
    ガスセンサ素子。
  16. ガスセンサ素子を含み、このガスセンサ素子で特定ガスの検知を行うガスセンサであって、
    上記ガスセンサ素子は、請求項13〜請求項15のいずれか1項に記載のガスセンサ素子である
    ガスセンサ。
  17. 複数のシート部分がストライプ状に互いに隣接して、単一のシート形態をなす複合セラミックグリーンシートの製造方法であって、
    第1シート材料を含む第1スラリと、第2シート材料を含み上記第1スラリとはシート成形挙動が異なる第2スラリとを、ウェブ上に、このウェブの幅方向に間隙を設けて被着した後、
    このウェブが進行し、上記第1スラリ及び第2スラリの塗工厚さを規定する規制部材の刃先に至るまでの間に、
    上記ウェブ上の上記第1スラリを上記ウェブの幅方向第2スラリ側に拡げると共に、上記ウェブ上の上記第2スラリを上記ウェブの幅方向第1スラリ側に拡げて、上記ウェブ上に上記第1スラリと第2スラリとが混在するスラリ混在部を形成して、
    上記第1シート材料からなる第1シート部分と上記第2シート材料からなる第2シート部分とが、上記第1シート部分と第2シート部分との間に介在する混在部であって、上記第1シート材料と第2シート材料とが混在してなる混在部を介して隣接し、互いに一体化してなる複合セラミックグリーンシートの製造方法。
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