JPH063045B2 - 柱と梁の接合構造 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 この発明は建物の骨組を構成する柱と梁の接合構造に関
する。

従来の技術 従来、柱・梁を用いて鉄骨の骨組を構築する場合、柱の
上端の側面に接合プレートを溶接し、この接合プレート
へ梁の端部をボルト等にて締結固定するのが一般であ
る。

発明が解決しようとする問題点 上記従来の接合構造において、接合プレートを現場で柱
へ溶接すると、現場施工の工数が大幅に増大するため、
予め接合プレートを柱へ溶接しておき、これを現場へ搬
入することとなるが、しかしながら、柱へ接合プレート
を溶接して突出させると、この接合プレーとが側方に大
きく突出するため部材が大型化し、運搬コストがかさ
み、しかも重量が増大するため現場作業も困難となる欠
点を有している。

この発明は、かかる欠点を解消し、運搬及び現場での取
り扱いを容易にした柱・梁の接合構造を提供することを
目的としている。

問題点を解決するための手段 上記の目的を達成するため、この発明では、丸形鋼管か
らなる柱端部に取り付けられた柱エンド部材と、梁端部
に取付けられた梁エンド部材とからなり、前記柱エンド
部材は、柱への取付側とは反対側の上面若しくは下面に
その柱の中心を中心とする円周方向に湾曲した被嵌合部
を備え、他方、梁エンド部材はその上下両端に前記被嵌
合部に嵌合可能な嵌合部を備え、梁エンド部材下端の嵌
合部がその下側の柱上端に取付けた柱エンド部材上面の
被嵌合部に前記湾曲方向に回転可能に嵌合されており、
同じく梁エンド部材上端の嵌合部がその上部の柱エンド
部材下面の被嵌合部に前記湾曲方向に回転可能に嵌合さ
れており、各柱エンド部材の上下方向の貫通穴を貫通し
て前記上下の柱エンド部材に跨って挿入した上下方向の
通しボルトで、前記柱エンド部材の上下方向の両側から
締め付けて、梁エンド部材が柱側へ締付け固定されてな
ることを特徴とする。

作 用 上記構成によれば、通しボルトのナットを締め付けるこ
とで柱側と梁側とが相互に接合されることになるので、
現場での熔接作業は不要である。また、柱エンド部材を
予め柱側に熔接などで固着して現場へ搬入する場合で
も、そのエンド部材は、柱側方に大きく突出することが
ないので、運搬も容易である。

実施例 以下、この発明の構成をＬ形の角部に実施した図示の実
施例に基づいて説明すると、第１図及び第２図におい
て、（１）は布基礎、（２）は、該布基礎（１）に埋設
されたアンカーボルトであって、布基礎（１）上に設置
された溝型鋼の土台（３）を、その下側のフランジ
（４）部分においてこのアンカーボルト（２）にて固定
する。

（５）は、丸形鋼管製の柱であって、この柱（５）の下
端にはＬ形の基板（６）が固着されており、この基板
（６）を、ボルト（７）で土台（３）の上部フランジ
（８）へ固着して、この柱（５）を立設する。（９）
は、柱（５）内へ挿通した通しボルトで、この通しボル
ト（９）の下端は、前記基板（６）と上部フランジ
（８）を貫通させるとともに、その上部フランジ（８）
の下面において、通しボルト（９）へ螺合したナット
（１０）で上方へ抜けないように支持している。（１
１）（１２）は、筒体からなる上下一対の梁のエンド部
材であり、この梁エンド部材（１１）（１２）には、各
々１個の接合プレート（１３）（１４）が垂直方向に向
けてその一端を溶着されている。各接合プレート（１
３）（１４）には、各々複数個のボルト孔（１５）（１
５）…が予め形成されている。（１６）は、柱（５）及
び梁エンド部材（１１）（１２）の外径と同じ外径を有
し且つ中央に貫通穴（１９）を備えたリング状の柱エン
ド部材であり、その上下両面に、同じく柱（５）及び梁
エンド部材（１１）（１２）の内径よりも僅かに小さい
外径で柱（５）の中心を中心として円周方向に湾曲した
被嵌合部（１７）（１７）を貫通穴（１９）の周囲に一
体に形成している。

このような構造において、前記の如く立設された柱
（５）の上端へ、１つの柱エンド部材（１６）を、その
下側の被嵌合部（１７）を挿入して取り付けて、更に、
下側の梁エンド部材（１２）下端を、その上部側に突出
する被嵌合部（１７）へ外嵌して該梁エンド部材（１
２）を積み上げる。更に、この下側の梁エンド部材（１
２）上部へ、同様にもう１つの柱エンド部材（１６）下
面の被嵌合部（１７）を挿入して取り付け、該柱エンド
部材（１６）上部の被嵌合部（１７）へ、第２の上部側
梁エンド部材（１１）下端を外嵌して積み上げる。この
上部側の梁エンド部材（１１）上端にも同様の柱エンド
部材（１６）下面の被嵌合部（１７）が挿入して取り付
けられており、これら各柱エンド部材（１６）（１６）
（１６）中央の貫通穴及び梁エンド部材（１１）（１
２）内を通って、前記通しボルト（９）の上端を突出さ
せ、該通しボルト（９）上端に螺合した長尺ナット（１
８）にて、各梁エンド部材（１１）（１２）を締め付け
固定するものである。その際、各接合プレート（１３）
（１４）は、角部の角度に従って通常は相互に直角とな
るよう方向を設定されるが、例えば、狭小地等の場合に
は、角部をそのように直角に取れない場合があり、その
場合には、各梁エンド部材（１１）（１２）を水平方向
に回転させて、鋭角または鈍角の適宜の角度に設定す
る。

上記の如く取り付けられた各梁エンド部材（１１）（１
２）の接合プレート（１３）（１４）には、その上端縁
に沿って、一対のアングル形上部ウエブ材（２１）（２
１）が、該接合プレート（１３）（１４）を挟むように
して配置され、このウエブ材（２１）（２１）の垂直片
（２２）（２２）に形成したボルト孔（２３）（２３）
…と、接合プレート（１３）（１４）の上部側のボルト
孔（１５）（１５）…へボルト（２４）を挿通して、該
ウエブ材（２１）（２１）端部を接合する。また、接合
プレート（１３）（１４）の下端縁に沿って、同様の一
対のアングル形ウエブ材（２５ ）（２５）が同様にし
て連結される。第２図に示す（２６）（２７）は、各々
垂直方向の束材と斜め方向の腹材であって、これらの束
材（２６）と腹材（２７）を、各上・下部のウエブ材
（２１）（２５）間へボルト（２８）にて接合しつつ取
り付け、これによってラチス梁（３６）を構成するよう
にしている。

なお、接合プレート（１３）（１４）と梁エンド部材
（１１）（１２）は、予め梁（３６）と一体にした状態
で柱（５）上端へ設置することも考えられる。柱（５）
上端の柱エンド部材（１６）も予め柱（５）と一体にし
ておいても良い。

（２９）は、その下端に基板（３０）を固着した２階用
の柱であり、該柱（２９）の下端を前記最上部の柱エン
ド部材（１６）の上部側被嵌合部（１７）へ外嵌すると
ともに、基板（３０）と上部ウエブ材（２１）（２１）
の水平片（３２）へ形成したボルト孔（３３）（３４）
へボルトを挿通して固定する。また、２階用の柱（２
９）へ挿通される通しボルト（３５）は、その下端を前
記１階用の通しボルト（９）上端へ螺じ込んだ長尺ナッ
ト（１８）上半部へ螺合して取り付けられて、この柱
（２９）の上端には、前記と同様にして梁エンド部材が
積み上げられる。

上記実施例は、Ｌ形の角部に実施する場合を示したが、
例えばＴ字形の角部の場合には、第３図の如く、その一
方の梁エンド部材例えば上部側の梁エンド部材（１２）
へ、第２図の接合プレート（１４）と反対方向に突出す
る接合プレート（１４）を溶着しておき、これに、梁即
ち前記ウエブ材（２１）（２５）を連結する。また、両
接合プレート（１４）（１４）に連結される梁が必ずし
も直線上に揃わない構築物の場合には、各接合プレート
（１４）（１４）に角度を持たせて溶着する。第４図に
このようなものを示している。なお、上記実施例では通
しボルト（９）の下端を土台（３）へ固定しているが、
柱（５）の上端を固定するようにしてもよい。

発明の効果 以上のように、この発明では、柱側に取付ける柱エンド
部材へ梁側のエンド部材を嵌合させて通しボルトで締め
付け固定するものであり、現場熔接を行なう必要がない
ため、現場での接合作業が容易である。また、これらの
エンド部材を柱又は梁とは別体にして現場へ搬入する場
合は勿論、柱エンド部材を柱へ梁エンド部材を梁へそれ
ぞれ予め固着して現場へ搬入する場合でも、それらエン
ド部材が柱又は梁の側方に大きく突出することがないた
め、輸送車両へ積込んでも大きくかさ張ることがなく、
輸送コストを低減できると共に、運搬も容易となる効果
がある。更には、梁エンド部材は、柱エンド部材の嵌合
部の湾曲方向に回転させて取付けることで梁の角度を変
更できるので、狭小地のように角部を直角に取れない場
合には、それにあわせて任意に角度を変更できるという
効果がある。

加えて、柱エンド部材と梁エンド部材とは相互に嵌合し
て取付けているから接合強度が増大し、また、組立精度
も向上する効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は、この発明の実施例を示す要部縦断面図、第２
図は、同じく要部分解斜視図、第３図及び第４図は、各
々筒状ボスの変形例を示す斜視図である。 （５）…柱、（９）…通しボルト、 （１１）（１２）…梁エンド部材、（１３）（１４）…
接合プレート、（１６）…柱エンド部材、（１７）…被
嵌合部、（１９）…貫通穴、（３６）…梁。

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】丸形鋼管からなる柱端部に取り付けられた
   柱エンド部材と、梁端部に取付けられた梁エンド部材と
   からなり、前記柱エンド部材は、柱への取付側とは反対
   側の上面若しくは下面にその柱の中心を中心とする円周
   方向に湾曲した被嵌合部を備え、他方、梁エンド部材は
   その上下両端に前記被嵌合部に嵌合可能な嵌合部を備
   え、梁エンド部材下端の嵌合部がその下側の柱上端に取
   付けた柱エンド部材上面の被嵌合部に前記湾曲方向に回
   転可能に嵌合されており、同じく梁エンド部材上端の嵌
   合部がその上部の柱エンド部材下面の被嵌合部に前記湾
   曲方向に回転可能に嵌合されており、各柱エンド部材の
   上下方向の貫通穴を貫通して挿入した上下方向の通しボ
   ルトで、前記柱エンド部材の上下方向の両側から締め付
   けて、梁エンド部材が柱側へ締付け固定されてなること
   を特徴とする柱と梁の接合構造。
2. 【請求項２】梁エンド部材が筒体からなりその筒体の上
   下両端を嵌合部とした特許請求の範囲第１項記載の柱と
   梁の接合構造。