JPH0630456U - 合成樹脂製のシリンダヘッドカバー - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 ［目的］ 合成樹脂製のシリンダヘッドカバー及び中仕
切板の熱による亀裂の発生や破損を防止する。 ［構成］ 合成樹脂製のシリンダヘッドカバー１１の内
側に、天井壁１１ａに沿って一端部にブローバイガスの
入口通孔１２ａを有すると共に他端部にドレン口１２ｂ
を備える中仕切板１２を設けて、天井壁１１ａと中仕切
板１２との間に分離室１３を形成し、分離室１３内にお
いて天井壁１１ａと中仕切板１２には下向き，上向きの
衝突板１４ａ，１４ｂを交互に設け、中仕切板１２には
衝突板１４ｂを外れた所要の位置に十字形等のスリット
１６を複数設け、これらのスリット１６により使用時に
おける中仕切板１２の熱的な伸び，縮みを吸収する。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

この考案はエンジン用の合成樹脂製のシリンダヘッドカバーの改良に関する。

【０００２】

【従来の技術】

エンジン用のシリンダヘッドカバーは図３，図４のようにシリンダヘッドＨ上 に取付けられ、そのシリンダヘッドＨ上に配設されるロッカアームａや弁棒ｂ， カムシャフトｃ等からなる動弁機構Ｍの塵埃による汚れを防いでいるが、最近で はエンジンの軽量化のためにナイロン等の合成樹脂で作られ、そして、シリンダ ヘッドカバー１の内側には天井壁１ａに沿う中仕切板２が設けられて分離室３が 形成され、その分離室３の内部において天井壁１ａと中仕切板２には複数の下向 き、上向きの衝突板４ａ，４ｂが交互に設けられ、中仕切板２は一側部に入口通 孔２ａを備えると共に他端部にはドレン口２ｂを備えており、天井壁１ａの他側 部には出口パイプ５が設けられて、ホースを介して吸気管に接続するようになさ れている。

【０００３】 そして、エンジンの作動時にはエンジン内部に漏出するブローバイガスを吸気 動作によって、シリンダヘッドＨを通じ入口通孔２ａから分離室３内に導き、複 数の下向き，上向きの衝突板４ａ，４ｂに対する突き当たりと、ジグザグな流れ の向きの変化によりブローバイガスに含まれているオイルが分離され、オイルが 除去されたガスを出口パイプ５から吸気管側に戻し、オイルはドレン口２ｂから オイルパンに滴下するようになされている。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

ところで上記従来のシリンダヘッドカバーでは、中仕切板の周縁部をカバー本 体の周壁内側の途中の段部に熱板，振動，超音波等の手段で溶着するようにして いるが、中仕切板は密実な平板でカバー本体の周壁に直結されるため、エンジン の作動時における熱による膨張や結晶化の進展に伴う熱収縮を吸収することがで きず、中仕切板又はカバー本体に変形や亀裂を生じてしまう。

【０００５】 そこで、この考案はエンジンの作動中の熱の影響を受けたにしても、中仕切板 やカバー本体が損傷しないようにすることを目的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

上記目的のもとにこの考案は、合成樹脂製のシリンダヘッドカバーとして、エ ンジンのシリンダヘッド上に取付けられ、内側には一端部にブローバイガスの入 口通孔を備え他端部にオイルのドレン口を有する中仕切板を天井壁に沿って配設 し、天井板と中仕切板との間に分離室を形成し、該分離室内において天井壁と中 仕切板に下向き、上向きの複数の衝突板を交互に設け、中仕切板の衝突板の設定 部位を外れた所要の位置に所要形状のスリットを複数形成したことを特徴として いる。

【０００７】

【実施例】

図１，図２はこの考案に係るシリンダヘッドカバー１１を示すものであり、ナ イロン，ポリアセタール等の機械的強さを持つ合成樹脂で箱状に形成され、シリ ンダヘッドＨの上に配設されているロッカアームａや弁棒ｂ，カムシャフトｃ等 からなる動弁機構Ｍをおおって、シリンダヘッドＨ上に取付けられており、カバ ー１１の内側には同質の合成樹脂からなる中仕切板１２が天井壁１１ａに沿う状 態に配設されて、天井壁１１ａと中仕切板１２との間に分離室１３が形成されて おり、この分離室１３内において天井壁１１ａと中仕切板１２に複数の下向き、 上向きの衝突板１４ａ，１４ｂが交互に千鳥状に設けられている。

【０００８】 上記中仕切板１２は長手方向の一端隅部にブローバイガスの入口通孔１２ａを 有すると共にその対角線上に当たる他端隅部にはドレン口１２ｂを備えており、 そして、中仕切板１２には衝突板１４ｂの設定部位を外れた所要の位置に十字形 のスリット１６が複数形成されていて、中仕切板１２の周縁部がシリンダヘッド カバー１１の周壁の内側途中の段部の下面に熱板，振動，超音波等の手段により 溶着されている。又シリンダヘッドカバー１１の他端部上には出口パイプ１５が 設けられホース部材を介しエンジンの吸気管に接続するようになされている。

【０００９】 そこで、エンジンの作動時には、エンジン内部に漏出するブローバイガスがエ ンジンの吸気作用により、シリンダヘッドＨを通じ中仕切板１２の入口通孔１２ ａから分離室１３内に導入され、下向き、上向きの複数の衝突板１４ａ，１４ｂ に突き当たり、かつそれらの衝突板１４ａ，１４ｂによつて流れの向きが上，下 にジグザグに変えられて、ガス中に含まれているオイル粒子が分離され、オイル の除去されたブローバイガスは出口パイプ１５からホース部材を介し吸気管側に 送られ、オイルはドレン口１２ｂからオイルパン側に戻される。

【００１０】 その間に、中仕切板１２はシリンダブロックから流れてくる高温のガスにさら され、結晶化の進展により収縮したり、熱膨張したりするが、中仕切板１２には 複数の十字形のスリット１６が所要の位置に設けられているので、熱的収縮や膨 張に伴う中仕切板１２の若干の寸法的変化はスリット１６の開き程度の変化によ り吸収され、ヘッドカバー１１には直接伝わらない。

【００１１】 ところで、中仕切板１２には複数のスリット１６が設けられているため、上記 のようなブローバイガスの流れの過程で、初期の段階にはガスはスリット１６か らも分離室１３中に入ることになるが、オイルが分離されるようになるとそれら のスリット１６は中仕切板１２上に流れ落ちたオイルによって塞がれることにな り、そこからガスは入らず、分離されたオイルの一部がスリット１６からも滴り 落ちるようになる。

【００１２】 なお、スリット１６の形状は図示のような十字形に限らないが、中仕切板１２ の縦及び横方向の伸び縮みを吸収するために、Ｘ字形，Ｌ字形，Ｙ字形等の形状 が好ましい。

【００１３】

【考案の効果】 以上のようにこの考案ではエンジン用の合成樹脂製のシリンダヘッドカバーと して、内側にブローバイガスからオイルを除去するための分離室を形成するため の中仕切板の衝突板の設定部位を外れた所要の位置に所要形状のスリットを複数 設けたので、エンジンの作動時における中仕切板の熱的な収縮や膨張を複数のス リットの開き程度の変化により適切に吸収することができ、中仕切板やシリンダ ヘッドカバーが変形したり亀裂を生じたりせず、長期に使用することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】シリンダヘッド上に取付けたこの考案の実施例
の長手方向の断面図。

【図２】中仕切板の配設状態を示すカバーの一部の斜視
図。

【図３】シリンダヘッド上に取付けた従来品の長手方向
の断面図。

【図４】従来品の横方向の断面図。

【符号の説明】

１１ シリンダヘッドカバー １１ａ 天井壁 １２ 中仕切板 １２ａ 入口通孔 １２ｂ ドレン口 １３ 分離室 １４ａ 衝突板 １４ｂ 衝突板 １５ 出口パイプ １６ スリット Ｈ シリンダヘッド

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 エンジンのシリンダヘッド上に取付けら
   れ、内側には一端部にブローバイガスの入口通孔を備え
   他端部にオイルのドレン口を有する中仕切板を天井壁に
   沿って配設し、天井板と中仕切板との間に分離室を形成
   し、該分離室内において天井壁と中仕切板に下向き、上
   向きの複数の衝突板を交互に設ける合成樹脂製のシリン
   ダヘッドカバーにおいて、上記中仕切板の衝突板の設定
   部位を外れた所要の位置に所要形状のスリットを複数形
   成してなる合成樹脂製のシリンダヘッドカバー。