JPH06304242A - コラーゲン−リン酸カルシウム複合材料およびその用途 - Google Patents

コラーゲン−リン酸カルシウム複合材料およびその用途

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JPH06304242A
JPH06304242A JP5101520A JP10152093A JPH06304242A JP H06304242 A JPH06304242 A JP H06304242A JP 5101520 A JP5101520 A JP 5101520A JP 10152093 A JP10152093 A JP 10152093A JP H06304242 A JPH06304242 A JP H06304242A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 コラーゲンを含む材料にリン酸カルシウムが
化学的に複合化されることが可能であり、生体への親和
性と骨・組織修復機能とを兼ね備えた複合材料およびそ
の用途を提供する。 【構成】 コラーゲンを含む複合材料であって、化学活
性を有するリン酸カルシウム化合物とリン酸イオン源が
配合されてなることを特徴とするコラーゲン−リン酸カ
ルシウム複合材料。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、歯周組織における組
織再生膜(GTR膜)、止血剤、骨補填材、軟骨補填
材、硬組織細胞の三次元培養基材等として用いるコラー
ゲン−リン酸カルシウム複合材料およびその用途に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来、GTR膜や骨補填材として、コラ
ーゲンをポリフェノール系の架橋剤で架橋させた材料
(たとえば、コラーゲン膜等)が用いられている。これ
らの材料は、コラーゲンが生体に由来するため、生体親
和性や柔軟性に優れている。しかし、この材料は、組織
や骨の修復を促進することはできなかった。
【0003】また、従来コラ─ゲン膜、綿状物あるいは
フィブリン糊が止血剤として使用されているが、特に硬
組織では、その止血効果およびその後の硬組織修復が不
充分であった。一方、α−リン酸三カルシウム(以下、
α−TCPと記す)、リン酸四カルシウム(以下、Te
CPと記す)、リン酸八カルシウム(以下、OCPと記
す)等の化学活性を有するリン酸カルシウム化合物は、
たとえば、生体内や口腔内において、生体硬組織の主成
分であるハイドロキシアパタイト(以下、HApと記
す)、炭酸アパタイト(以下、CO3−Apと記す)へ
徐々に転化し、生体硬組織と一体化し得るものである。
しかし、化学活性を有するリン酸カルシウム化合物のみ
では、柔軟性に乏しく成型が困難であり、患部への適切
な補填が難しいうえ、止血効果もない。
【0004】そこで、コラーゲンを主原料として用いた
材料に、上記化学活性を有するリン酸カルシウム化合物
を化学的に結合させれば、柔軟性や成型性があって、組
織や骨の修復を促進できるコラーゲン材料を得ることが
できる。ところで、生体用接着剤としては、フィブリン
糊、ゼラチン−レゾルシノール−ホルムアルデヒド接着
剤(GRF)等があった。しかしながら、フィブリン糊
は、生体親和性は高いが接着性が弱い。一方、GRF接
着剤は、接着性は強いが生体親和性が低く、患部の炎症
や細胞の塊死を引き起こすこともあった。
【0005】上記の、コラーゲンを主原料として用いた
材料に、化学活性を有するリン酸カルシウム化合物を化
学的に結合させた材料は、止血剤、生体用接着剤として
の用途にも好適である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】したがって、この発明
は、コラーゲンを含む材料にリン酸カルシウムが化学的
に複合化されることが可能であり、生体への親和性およ
び柔軟性と骨・組織修復機能とを兼ね備えた複合材料お
よびその用途を提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、この発明にかかるコラーゲン−リン酸カルシウム複
合材料は、コラーゲンを含む複合材料であって、化学活
性を有するリン酸カルシウム化合物とリン酸イオン源が
配合されてなることを特徴とする。この発明に用いられ
るコラーゲンとしては、特に限定はされないが、アテロ
コラーゲンを用いるのが好ましい。アテロコラーゲン
は、酵素処理により分子末端のテロペプタイドが一部ま
たは全部除去されているコラーゲンであり、生体為害性
を持たないものである。コラーゲンは、溶液として用い
てもよいし、粉末状態で用いてもよい。
【0008】コラーゲン溶液のコラーゲン濃度は、0.
2〜2.0%の範囲が好ましい。この範囲を上回ると粘
度が高すぎて溶液としての提供が困難となり、下回ると
希薄すぎてコラーゲンの持つ効果が発揮されない。コラ
ーゲンを粉末状態で用いる場合には、平均粒子径が32
μm以下、好ましくは10μm以下であることが好まし
い。平均粒子径が大きくなると、反応溶液中への溶解が
困難となり、コラーゲンの均一分散が不可能となる。
【0009】この発明では、リン酸イオン源が配合され
る。これは、通常、水溶液の形で加えられる。リン酸イ
オン源は、複合化の際に化学活性を有するリン酸カルシ
ウム化合物の結晶成長を助け、OCP、Ca欠損HA
p、CO3−Apの生成を促進する。リン酸イオンの供
給源としては、第一リン酸カリウム、第二リン酸ナトリ
ウム等が挙げられる。水溶液中のリン酸イオンのモル濃
度は、2/1〜1/30Mが好ましい。この範囲より低
濃度だと、前述の通りリン酸カルシウムの結晶成長が遅
延し、高濃度だと、第一リン酸カリウム、第二リン酸ナ
トリウム等が溶解せずに析出沈殿する。また、リン酸イ
オンを含有する緩衝液や培養液(たとえば、MEM培地
溶液、BGJ−b培地溶液等)を加えてもよい。
【0010】この発明に用いられる化学活性を有するリ
ン酸カルシウム化合物としては、α−リン酸三カルシウ
ム(以下、α−TCPと記す)、リン酸四カルシウム
(以下、TeCPと記す)、リン酸八カルシウム(以
下、OCPと記す)等が挙げられる。上記化学活性を有
するリン酸カルシウム化合物は、単独で用いても2種以
上を併用してもよい。これらは粉末状態で用いるとよ
い。使用量は、乾燥後の複合材料中の重量比が、コラー
ゲン:リン酸カルシウム化合物=99.9:0.1〜
0.7:99.3であることが好ましい。リン酸カルシ
ウム化合物量がこれを上回れば、コラーゲンとの良好な
複合化が行われない。
【0011】この発明では、さらに、ポリフェノール系
の架橋剤を配合してもよい。コラーゲンは、架橋剤によ
って架橋される。架橋剤としてはポリフェノール系の架
橋剤が望ましく、特に、タンニン酸、リグニン等が好ま
しい。タンニン酸やリグニンは、生体関連物質であり、
生体為害性を持たないからである。架橋剤の使用量は、
コラーゲンに対して0.05〜5%が好ましい。この範
囲を上回れば、部分的に強く架橋されて逆にコラーゲン
のゲル化を阻害する可能性がある。
【0012】この発明では、必要に応じてはアスコルビ
ン酸を添加してもよい。アスコルビン酸は生体内でビタ
ミンC作用を示し、コラーゲンの合成を活性化して細胞
増殖を促進する。その他、この発明の複合材料には、テ
トラサイクリン等の抗生物質、シスプラチン等の抗癌
剤、b−FGF、TGF−βスーパーファミリーおよび
それらのDNAあるいは細胞増殖因子や生理活性因子等
を添加してもよい。
【0013】この発明の複合材料は、上記の成分を反応
させた複合物を乾燥させて得られる。エタノール等の生
体に無害な溶媒を用いて風乾させるか、凍結乾燥させて
もよい。また、この発明にかかる生体用接着剤は、請求
項1記載の複合材料に、ゼラチンおよびレゾルシノール
が添加されてなる。
【0014】ゼラチンを添加することにより、硬化後の
強度を高めることができる。また、ゼラチンのカルボキ
シル基がアパタイトに付いて、バイオポリマー複合化炭
酸アパタイト(以下、単にCO3−Apと記す)が生成
する。このCO3−Apは、生体組織と完全に置きかわ
ることができる。この発明に用いられるゼラチンとして
は、局方ゼラチン、ゼラチン21(新田ゼラチン社製)
等が挙げられるが、パイロジェンフリーゼラチンが特に
好ましい。パイロジェンフリーゼラチンは、生体への為
害性が少ないからである。ここで、パイロジェンフリー
ゼラチンとは、細菌の内毒素(高分子リポポリサッカラ
イド)等の発熱物質を除去したゼラチンである。パイロ
ジェンフリーゼラチンは、たとえば、ゼラチンの原料で
あるオセインまたは獣皮をアルカリ処理してパイロジェ
ンフリー水で洗浄した後、ゼラチンを抽出する方法(米
国特許第4374063号参照)、ゼラチンを加水分解
した後、限外濾過膜を透過させてパイロジェンを濾別除
去する方法(特開昭56−68607号公報参照)等に
よって得ることができる。
【0015】上述のゼラチンは、そのまま、粉末状態で
添加してもよく、溶液として使用してもよい。添加量は
特に限定されない。この発明において、レゾルシノール
は、接着成分として作用する。レゾルシノールは、生体
為害性が低い。添加量は、0.1〜20%(重量比)が
好ましい。これ以上高濃度になると、生体為害性が無視
できなくなり、また、架橋後の接着剤の弾性が低下して
操作性が悪くなり、適用部位から剥がれやすくなる。
【0016】
【作用】この発明にかかるコラーゲン−リン酸カルシウ
ム複合材料は、生体硬組織を構成するコラーゲンを主材
料とするため、生体親和性や柔軟性に優れている。さら
に、これに化学活性を有するリン酸カルシウムを配合し
ているため、生体組織と経時的に置換する。化学活性を
有するリン酸カルシウムは、加水分解反応に伴って生体
硬組織の主成分であるCO3 −Ap、OCPを合成する
からである。
【0017】また、ゲル化エネルギーを有するコラーゲ
ンに、結晶転化エネルギーを有するリン酸カルシウムを
加水分解反応させて複合化させているため、両者の効果
を良好に得ることができる。化学活性を有するリン酸カ
ルシウムは、リン酸イオンを含有する水溶液中で加水分
解反応を行うことによって、結晶界面上で経時的に相転
移反応により、結晶転化する。この結晶転化において、
中性pH領域では、準安定相のOCPが生成・生長す
る。このOCPが、カルボキシル基を有するコラーゲン
のゾル→ゲル相転移反応と共役することにより、層間複
合物を形成する。
【0018】この発明にかかる生体用接着剤は、上記こ
の発明の複合材料にゼラチンおよびレゾルシノールを添
加してなるため、生体親和性が高く、しかも高い接着性
を有する。
【0019】
【実施例】以下に、この発明の実施例を示すが、この発
明は下記実施例に限定されない。 −実施例1− 無菌濾過(0.45μm)を行ったリン酸緩衝液(pH
7)に、紫外線滅菌したOCPを、OCP/リン酸緩衝
液=0.25g/10mlの割合で加え、1時間攪拌し
た。次に、紫外線滅菌したコラーゲン−IP(セルマト
リックス−IP:新田ゼラチン社製)の0.3%水溶液
(pH3)を、リン酸緩衝液:コラーゲン溶液=1:1
の比で混合し、5分間攪拌した。得られた複合物をマル
チプレートへ分注し、CO2 インキュベーター(37
℃、CO2 =5%)内に1日、3日、1週間放置した。
これらを結晶転化、結晶成長を分析する目的で10%ホ
ルマリン処理および100%エタノール処理して風乾
し、複合材料を得た。
【0020】−実施例2− タンニン酸を0.2%(W/V)加えたリン酸緩衝液を
用いた以外は実施例1と同様にした。 −実施例3− OCPの代わりに、150℃乾熱滅菌したα−TCP
を、α−TCP/リン酸緩衝液=1g/10mlの割合で
加えた以外は、実施例1と同様にした。
【0021】−実施例4− OCPの代わりに、150℃乾熱滅菌したα−TCP
を、α−TCP/リン酸緩衝液=1g/10mlの割合で
加えた以外は、実施例2と同様にした。 −比較例1− α−TCPの代わりに、150℃乾熱滅菌したHApを
用いた以外は実施例3と同様にした。
【0022】−比較例2− α−TCPの代わりに、150℃乾熱滅菌したHApを
用いた以外は実施例4と同様にした。実施例1〜4およ
び比較例1、2について、ゲル化の観察、凍結乾燥およ
び以下の物性測定を行った。結果を表1、図1〜5に示
した。 〔測定方法〕 (1) pH測定 所定時間ごとに採取したゲル状複合化物のpHを、pH
メーターを用いて測定した。 (2) X線回析 得られた複合材料を、粉末X線回析装置(MXP3 、マ
ックサイエンス社製)を用いて、同定した。 (3) 走査電顕 得られた複合材料を、走査電子顕微鏡(CS−2100
A型、株式会社日立製作所製)で表面を観察した。
【0023】
【表1】
【0024】1.ゲル化 表1にみるように、タンニン酸を加えない系では、初期
に良好なゲル化を示し、経時的に硬さを増し、結晶生成
が行われている。一方、タンニン酸を加えた系では、ゲ
ル状の沈殿が生じ、複合化物の均一なゲル化がいささか
阻害されている。 2.pH測定 図1はタンニン酸を加えない系であり、図2はタンニン
酸を加えた系であるが、こらの図にみるように、いずれ
も、pHは、経時的に中性付近に落ち着いてくる傾向が
みられた。 3.X線回折 図4にみるように、α−TCPを用いた系(実施例3、
4)では、1、3日後にOCPを形成しつつアパタイト
への結晶転化を開始し、ほぼ1週間後に完全にアパタイ
トへ置換している。OCPを用いた系(実施例1、2)
でも、図3にみるように、若干ではあるが、アパタイト
の合成が確認される。これらのアパタイトは、その一部
が炭酸アパタイトであると考えられる。比較例では、図
5にみるように、結晶転化はほとんど確認されなかっ
た。 4.走査電顕 OCPの系(実施例1、2)では、1日後では、ほぼ全
面的に燐片状ないしウロコ状の結晶で覆われており、母
体結晶表面は比較的平坦である。3日、1週間後になる
と、母体結晶表面に顆粒状の結晶が目立つようになる。
タンニン酸含有の有無による違いは観察されなかった。
【0025】α−TCPを用いた系のうち、タンニン酸
非含有系では(実施例3)、顆粒状の整った構造が観察
され、生成した結晶どうしの絡み合いとコラーゲンによ
るマトリックスで複合材料を構成していると思われる。
また、タンニン酸含有系(実施例4)の3日後では、典
型的なOCP生成を示す花弁状の結晶構造が観察され、
OCPへの結晶転化がうかがえる。
【0026】比較例では、結晶成長は観察されなかっ
た。5.各実施例および比較例において、複合化物を凍
結乾燥した。タンニン酸含有系では、パサパサ感が有
り、乾燥に時間を有した。一方、タンニン酸無添加のも
のでは、全て良好な柔軟性を有する綿状物となった。 −実施例5− 紫外線滅菌したコラーゲン−IPの0.3%水溶液(p
H3)、MEM培地10倍濃度溶液および再構成用緩衝
液を、8:1:1の割合で混合した。この混合液に、1
50℃乾熱したOCPを、OCP/混合液=0.5g/
10mlの割合で加え、1時間攪拌した。得られた複合物
をマルチプレートへ分注し、CO2 インキュベーター
(37℃、CO2 =5%)内に1日、3日、1週間、2
週間、3週間放置した。これらを結晶転化、結晶成長を
分析する目的で10%ホルマリン処理および100%エ
タノール処理して風乾し、複合材料を得た。
【0027】−実施例6− 混合液は、紫外線滅菌したコラーゲン−IPの0.3%
水溶液(pH3)、BGJ−b培地5倍濃度溶液および
再構成用緩衝液を、7:2:1の割合で混合したものと
した以外は実施例5と同様にした。 −実施例7− OCPの代わりに、150℃乾熱滅菌したα−TCPを
用いた以外は、実施例5と同様にした。
【0028】−実施例8− OCPの代わりに、150℃乾熱滅菌したα−TCPを
用いた以外は、実施例6と同様にした。 −実施例9− OCPの代わりに、150℃乾熱滅菌したTeCPを用
いた以外は、実施例5と同様にした。
【0029】−実施例10− OCPの代わりに、150℃乾熱滅菌したTeCPを用
いた以外は、実施例6と同様にした。 −比較例3− OCPの代わりに、150℃乾熱滅菌したHApを用い
た以外は、実施例5と同様にした。
【0030】−比較例4− OCPの代わりに、150℃乾熱滅菌したHApを用い
た以外は、実施例6と同様にした。実施例5〜10およ
び比較例3、4について、上述の物性測定を行った。結
果を図6〜27に示した。 1.pH測定 図6、7にみるように、実施例5、6(OCPを用いた
系)および比較例3、4(HApを用いた系)では、p
H変動は小さく比較的安定している。実施例7、8(α
−TCPを用いた系)では、pHは経時的に酸性側へ推
移するが、BGJ−b培地を用いた実施例8の方がわず
かながら変動幅が小さくなっている。したがって、適切
な培地の選択等によってpH変動を抑制し得ると考えら
れる。実施例9、10(TeCPを用いた系)では、p
Hは、初期は変動するが、次第に中性に安定してくる。 2.X線回折 OCPを用いた系(実施例5、6)では、図8〜11に
みるように、経時的な結晶転化は、あまり確認されない
が、これらは図12に示すように、初期より、一部炭酸
アパタイトを合成している。α−TCPを用いた系(実
施例7、8)では、図13〜16にみるように、経時的
な結晶転化が確認された。この転化反応は、図17に示
すように、ほぼ1週から2週の間に完了しており、α−
TCPピークの減退とともに炭酸アパタイトから水酸ア
パタイトへと移り変わっている。TeCPを用いた系
(実施例9、10)でも、図18〜21にみるように、
経時的な結晶転化が確認された。この転化反応は、図2
2に示すように、同じくほぼ1週から2週の間に完了し
ていて、初期より水酸アパタイトを合成しており、経時
的にTeCPピークが減退する。一方、図23〜27に
みるように、比較例では、経時的な結晶転化がほとんど
確認されなかった。 3.走査電顕 OCPを用いた系(実施例5、6)では、結晶表面が比
較的平坦であり、部分的に鱗片状結晶が確認される。α
−TCPを用いた系(実施例7、8)では、終始、花弁
状構造を示し、長期的には、大きな顆粒も確認され、O
CPが合成されていることが分かる。BGJ−b培地を
用いた実施例8の方が、大きな花弁状構造を示してお
り、α−TCPの活性度が高いようである。また、Te
CPを用いた系(実施例9、10)では、大きな顆粒表
面に微細な顆粒状結晶が多く観察され、α−TCPを用
いた系と同様、BGJ−b培地を用いた実施例10の方
が、TeCPの活性度が高いようである。一方、比較例
では、表面の結晶構造は終始変化をみせなかった。
【0031】さらに、実施例1〜10、および比較例1
〜4の反応3日後ホルマリン無処理の各凍結乾燥物を披
験材として、成熟家兎脛骨果部にドリル穴を開け充填
し、止血効果を目視により判定するとともに、埋入6週
後に周囲部を脱灰、非脱灰病理標本を作成した。その結
果を表2に示す。
【0032】
【表2】
【0033】
【発明の効果】この発明のコラーゲン−リン酸カルシウ
ム複合材料は、生体活性度が高く、積極的な治癒効果が
期待できる。さらに、プレス、カッティング等の成形が
容易なうえ柔軟性にも優れるため、曲面部位への充填も
可能である。また、加水分解反応過程にあるゲル状物
は、三次元培養基材となり、さらに、これらを凍結乾燥
すれば良好な柔軟性を有する綿状あるいは膜状のインプ
ラント材となる。
【0034】また、この発明の生体用接着剤は、接着剤
自身が生体にとって異物ではなく、自己修復細胞の増殖
を促進することができる。このため、各種臓器の切開・
切除面の止血、血管・臓器の接合および吻合部の接着に
好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1、3および比較例1の複合材料のpH
の経時的変動を示す。
【図2】実施例2、4および比較例2の複合材料のpH
の経時的変動を示す。
【図3】実施例1、2の複合材料のX線回折装置による
チャートを示す。
【図4】実施例3、4の複合材料のX線回折装置による
チャートを示す。
【図5】比較例1、2の複合材料のX線回折装置による
チャートを示す。
【図6】実施例5、7、9および比較例3の複合材料の
pHの経時的変動を示す。
【図7】実施例6、8、10および比較例4の複合材料
のpHの経時的変動を示す。
【図8】実施例5の複合材料の1日経過後のX線回折装
置によるチャートを示す。
【図9】実施例5の複合材料の3週経過後のX線回折装
置によるチャートを示す。
【図10】実施例6の複合材料の1日経過後のX線回折
装置によるチャートを示す。
【図11】実施例6の複合材料の3週経過後のX線回折
装置によるチャートを示す。
【図12】実施例5の複合材料の経時的変化を示すX線
回折チャートである。
【図13】実施例7の複合材料の1日経過後のX線回折
装置によるチャートを示す。
【図14】実施例7の複合材料の3週経過後のX線回折
装置によるチャートを示す。
【図15】実施例8の複合材料の1日経過後のX線回折
装置によるチャートを示す。
【図16】実施例8の複合材料の3週経過後のX線回折
装置によるチャートを示す。
【図17】実施例7の複合材料の経時的変化を示すX線
回折チャートである。
【図18】実施例9の複合材料の1日経過後のX線回折
装置によるチャートを示す。
【図19】実施例9の複合材料の3週経過後のX線回折
装置によるチャートを示す。
【図20】実施例10の複合材料の1日経過後のX線回
折装置によるチャートを示す。
【図21】実施例10の複合材料の3週経過後のX線回
折装置によるチャートを示す。
【図22】実施例9の複合材料の経時的変化を示すX線
回折チャートである。
【図23】比較例3の複合材料の1日経過後のX線回折
装置によるチャートを示す。
【図24】比較例3の複合材料の3週経過後のX線回折
装置によるチャートを示す。
【図25】比較例4の複合材料の1日経過後のX線回折
装置によるチャートを示す。
【図26】比較例4の複合材料の3週経過後のX線回折
装置によるチャートを示す。
【図27】比較例3の複合材料の経時的変化を示すX線
回折チャートである。
フロントページの続き (72)発明者 萬代 佳宣 大阪府八尾市二俣2丁目22番地 新田ゼラ チン株式会社大阪工場内 (72)発明者 永冨 功治 大阪府八尾市二俣2丁目22番地 新田ゼラ チン株式会社大阪工場内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 コラーゲンを含む複合材料であって、化
    学活性を有するリン酸カルシウム化合物とリン酸イオン
    源が配合されてなることを特徴とするコラーゲン−リン
    酸カルシウム複合材料。
  2. 【請求項2】 コラーゲンと化学活性を有するリン酸カ
    ルシウム化合物の重量比が、コラーゲン:リン酸カルシ
    ウム化合物=99.9:0.1〜0.7:99.3であ
    る請求項1記載のコラーゲン−リン酸カルシウム複合材
    料。
  3. 【請求項3】 ポリフェノール系の架橋剤が配合されて
    なる請求項1または2記載のコラーゲン−リン酸カルシ
    ウム複合材料。
  4. 【請求項4】 請求項1から3までのいずれかに記載の
    複合材料に、ゼラチンおよびレゾルシノールが添加され
    てなる生体用接着剤。
JP5101520A 1993-04-27 1993-04-27 コラーゲン−リン酸カルシウム複合材料およびその用途 Expired - Fee Related JP3048289B2 (ja)

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