JPH06303909A - 丸粒処理した米菓及びその製造方法 - Google Patents

丸粒処理した米菓及びその製造方法

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JPH06303909A
JPH06303909A JP5120945A JP12094593A JPH06303909A JP H06303909 A JPH06303909 A JP H06303909A JP 5120945 A JP5120945 A JP 5120945A JP 12094593 A JP12094593 A JP 12094593A JP H06303909 A JPH06303909 A JP H06303909A
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rice
round
dough
lactic acid
grain
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Hajime Takahashi
肇 高橋
Kazukiyo Sakagami
一清 坂上
Noriyuki Watanabe
紀之 渡辺
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Kameda Seika Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 原料米を丸粒のまま蒸煮する丸粒処理米菓に
おいて、製粉処理による米菓と同様なウキが良く食感が
ソフトで、原料米の含硫化合物由来の異臭を防止し、餅
生地における微生物発生を防いで生地の異臭と物性の変
質を防止し食感及び風味の良好な丸粒処理した米菓及び
その製造方法を提供する。 【構成】 原料米を製粉せずに丸粒のまま蒸煮して餅生
地を得る丸粒処理米菓において、蒸煮前に原料米を乳酸
発酵または酸浸漬することを特徴とする丸粒処理した米
菓及びその製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、食感および風味良好な
丸粒処理米菓とその製造方法に関し、特に米菓の原料米
を丸粒のまま乳酸発酵または酸浸漬した丸粒処理した米
菓及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来技術】この種の従来の丸粒処理米菓には糯米を洗
米、浸漬後に蒸煮した後餅搗きして餅生地とする糯米菓
と、粳米を洗米、浸漬後に蒸煮した後餅搗きして餅生地
とする粳米菓との2通りの米菓とその製造方法があり、
いずれも蒸煮前の原料米処理は糠分、汚れを落すことが
主であって化学的処理して米の成分を変えることはな
く、蒸煮前の米の処理は米の成分を物理的に変えるだけ
のものであった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】 本発明が解決しよ
うとする問題点は、従来の丸粒処理米菓は原料米を丸粒
のまま蒸煮してそれを搗き機で潰して餅生地を得るもの
であるから、米組織が十分に壊れないで、製粉処理した
米菓と比較すると生地の膨化力が弱く、伸び、ウキ共に
悪く、固い食感の米菓しか得られず、ウキのよいソフト
な米菓を丸粒処理方法で得ることは困難であるという点
である。
【0004】また、丸粒処理米菓は糯・粳米菓共に原料
米を製粉しないで丸粒のまま蒸煮し、餅生地とするの
で、原料米に含まれる蛋白質および遊離アミノ酸中のシ
ステイン・シスチンが焼成工程の加熱分解によって一部
の分解生成物が硫化水素になって、焼成した米菓生地に
異臭が発生しやすいという問題があった。
【0005】さらに、製粉処理した米菓では、原料米を
水洗い、浸漬、水切り後に製粉し、それを蒸煮するが、
そのとき米粉は水分が30%ほどあるので、製粉時の粉
品温の上昇および環境温度が高いといったときには米粉
に微生物が発生し、そのために生地の異臭および生地物
性の変化の原因になっていた。
【0006】本発明者らは、丸粒処理米菓において、乳
酸発酵または酸浸漬処理した原料米を蒸煮し餅生地にす
ることで従来における上記課題を解決できる知見を得
た。即ち、本発明は原料米を製粉せずに蒸煮して餅生地
を得る丸粒処理米菓において、蒸煮前に原料米を乳酸発
酵または酸浸漬処理することによって、ウキのよいソフ
トな米菓を、また、米菓生地の含硫化合物由来の異臭を
防ぎ、さらに微生物発生を防いで微生物を原因とする異
臭の発生と物性の変質を防ぐことを可能とした丸粒処理
米菓およびその製造方法を提供することを目的とするも
のである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記の目的を
達成するために、蒸煮前の原料米を乳酸発酵または酸浸
漬処理すると蛋白含量が減少し、原料米に含まれる蛋白
質および遊離アミノ酸中のシステイン・シスチンは加熱
分解によって一部の分解生成物が硫化水素になって異臭
の原因となるものであるが、原料米を乳酸発酵または酸
浸漬処理することにより蛋白含量を減少せしめ、よって
焼成した米菓生地から硫化水素系の異臭の発生を防ぐも
のである。
【0008】また、原料米の乳酸発酵または酸浸漬処理
によって澱粉の物性が変化し、糊化開始温度、最高粘性
の上昇と最低粘性の低下が見られ、米菓の餅生地にした
ときの膨化力、いわゆるウキが大きくなる物性変化をお
こさせるために原料米を乳酸発酵または酸浸漬するもの
である。
【0009】原料米の乳酸発酵処理は、まず精白度90
%程度の米を常法の洗米機で水洗いして、糠、汚れを落
し、ついでソルビトール、グルコース、フラクトース等
の糖類0〜10%および乳酸菌培養液0.2〜5%(濃
度107〜109/ml)を分散した菌種液に、水洗いし
た精白米を混入し、25〜45℃で6時間〜3日間程度
乳酸発酵(蛋白分解型)させる。発酵時間は、長ければ
長いほど発酵が進み蛋白を分解していくので目的とする
米菓のタイプによって時間調整する。
【0010】乳酸発酵方法としては、この他に、嫌気性
下で30℃程度の同様の菌種液に2時間程度浸漬した
後、水切りを行ない、再度培養恒温槽にて25〜45
℃、4時間〜3日間程度乳酸発酵させる方法(蛋白分解
残存型)がある。分解型の方が発酵の程度が大きく米菓
生地の加熱分解による異臭を除去しやすいのに対し、分
解残存形の方は、生地が有している、いわゆる風味が残
りやすいという特性を有しているから、求める米菓及び
生地のウキ等の目的に応じて2つの方法を使い分けるも
のである。
【0011】酸処理は、精白米を水洗いした後浸漬し、
当該浸漬水をPH5.5以下、水温を常温〜60℃程度
に調整し、4時間〜3日間程度、静置又は浸漬水を循環
させて行なう。酸は有機酸(乳酸,酢酸等)、塩酸等全
ての酸が該当する。
【0012】乳酸発酵または酸処理によって原料米は蛋
白含量が処理前に比較して減少する。その後、当該発酵
米を水洗いして脱酸を行なう。ついで水切りを行なった
後、米菓製造の常法により蒸煮する。蒸煮方法は蒸練機
よりは開放型の蒸し方式で行なう方が原料米の乳酸発酵
臭及び酸臭等が揮散消失するので好ましい。その後、粳
米菓では搗き、圧延、型抜き、乾燥、焼成し、糯米菓で
は蒸煮、搗き、冷蔵、切断、乾燥、焼成することによ
り、伸び、ウキ、食感の改善と丸粒処理のソフトな米菓
の製造及び焼成米菓の異臭発生を防止できるものであ
る。
【0013】
【実施例】以下に示す各実施例は原料米を丸粒のままそ
の蛋白含量を減少せしめるものであり、原料米の種類、
すなわち、粳米であるか、糯米であるか、或いは、米菓
の風味を重視するのか、米菓の生地のウキを重視するの
か、により各実施例の中からその目的に合致したものを
適宜選択して行なうものである。また、図1乃至図4
は、各実施例により得た米菓を、従来の丸粒処理による
米菓または製粉処理による米菓とを比較し測定した、レ
オメーターによる測定結果を示すものであり、その測定
は、レオメーター(不動工業株式会社製・NRMー20
10JーCW)測定条件,アダプター・円柱タイプ(直
径10mm、高さ50mm),圧縮速度・30cm/m
in,試料形状・直方体(底面6×6mm),最大荷重
・10kg,破壊方法・アダフターとのクリアランス1
mm以下の円筒中内での圧縮破壊,によるものである。
【0014】(実施例1)精白度90%の粳米21Kg
を水洗いし、水切りした後ソルビトール630gを溶か
した水21リットルに浸漬し、そこに乳酸菌を培養液4
2ミリリットル(濃度108個/ml)を注入した。そ
して、液の表面にフイルムをかぶせ(嫌気的条件)と
し、37℃、14時間浸漬した。水切りの後軽く水洗い
した浸漬米を、蒸し機(セイロ)により蒸気圧0.2k
g/cm2で20分間蒸した後、10秒程度温水に浸
し、再度0.2kg/cm2で20分間蒸した。得られ
た水分51.5%の蒸米を双軸のスクリュー式練り機に
て、いわゆるメツブシを行なった後、餅搗き機で50回
搗いた。2段ロールで厚さ3mm程度のシート状に圧延
した後、円筒型の抜き型にて直径63mmの円形状に型
抜きした。温度70℃の乾燥機で4時間乾燥させ、水分
19.0%の乾燥生地を得た。その後、ねかせ、二次乾
燥を行ない焼き前水分11.5%の乾燥生地を常法によ
り焼成した。得られた焼成生地は、直径約80mm、厚
さ約8〜9mmのせんべいで、従来の丸粒処理のせんべ
いと比較して、大変ソフトで、くだけ、口溶けが良く、
製粉方式のソフトタイプと比較しても好ましい食感であ
り、異臭のないものであった。
【0015】(実施例2)粳精白米21kgを実施例1
と同様の方法で乳酸発酵処理し、水切りの後軽く水洗い
した処理米を蒸し機(セイロ)により、蒸気圧0.2k
g/cm2で20分間蒸した後、10秒程度温水に浸
し、再度蒸気圧0.2kg/cm2で20分間蒸した。
得られた水分51.5%の蒸米を双軸のスクリュー式練
り機にて、いわゆるメツブシを行なった後、餅搗き機で
50回搗いた。2段ロールで厚さ1.5mm程度のシー
ト状に圧延した後、円筒型の抜き型にて直径53mmの
円形状に型抜きした。温度70℃の乾燥機で1.5時間
乾燥を行ない焼き前水分12.5%の乾燥生地を常法に
より焼成した。得られた焼成生地は、直径約50mm、
厚さ約3〜4mmのせんべいで、乳酸発酵させない丸粒
処理のうす焼タイプと比較してソフトで、製粉処理のも
のより砕けが良く好ましい食感であり、異臭のないもの
であった。
【0016】(実施例1,2と従来例との比較例)実施
例1,2のせんべいと、原料米の粳米を乳酸発酵せずに
そのまま丸粒処理した従来の製造方法によるせんべいと
を比較した。粳精白米21kgを水洗いし、水温37℃
で14時間浸漬した。水切りの後軽く水洗いした浸漬米
を蒸し機(セイロ)により、0.2kg/cm2で20
分間蒸した後、10秒程度温水に浸し、再度0.2kg
/cm2で20分間蒸した。得られた水分51.5%の
蒸米を双軸のスクリュー式練り機にて、いわゆるメツブ
シを行なった後、餅搗き機で50回搗いた。2段ロール
で厚さ1.5mm程度のシート状に圧延した後、円筒型
の抜き型にて直径53mmの円形状に型抜きした。温度
70℃の乾燥機で1.5時間乾燥を行ない、焼き前水分
12.5%の乾燥生地を常法により焼成した。得られた
焼成生地は、直径約50mm、厚さ約3〜4mmのせん
べいで、(実施例1,2によるせんべいと比較すると)
その食感は堅く、ジャりツキ傾向であった。
【0017】図1,図2は、実施例1(中厚せんべいタ
イプ)及び実施例2(うすやきタイプ)により得た米菓
のせんべいを、常法(従来の製造方法によるもの)によ
る丸粒処理の米菓のせんべい、および、常法の製粉処理
による米菓のせんべいとを、上記に示した測定条件下で
レオメーターによる測定結果によって比較したものであ
る。図1に示す測定結果から明らかな如く、図1(a)
における実施例1により得たせんべい(丸粒乳酸発酵処
理)についての測定結果から、図1(b)における常法
の丸粒処理による米菓のせんべい(丸粒処理した鬼太鼓
「商標名」)についての測定結果から、実施例1による
せんべいの方がかなりソフトであり、図1(c)におけ
る製粉処理による米菓せんべい(粉体処理したソフトサ
ラダ「商標名」)についての測定結果から、実施例1に
よるせんべいの方がハードな独特の食感を有するもので
あることが推測される。また、図2に示す測定結果から
明らかな如く、図2(a)における実施例2により得た
せんべい(丸粒乳酸発酵処理)についての測定結果か
ら、図2(b)における常法による丸粒処理によるせん
べい(丸粒処理)についての測定結果から、実施例2に
よるせんべいの方がソフトであり、図2(c)における
製粉処理による米菓せんべい(粉体処理)についての測
定結果から、実施例2によるせんべいとは異なる独特の
食感を有することが推測される。
【0018】(実施例3)粳精白米21kgを実施例1
と同様の乳酸発酵条件で処理し、37℃、24時間浸漬
した。水切りの後軽く水洗いした浸漬米を蒸し機(セイ
ロ)により、蒸気圧0.2kg/cm2で20分間蒸し
た後、10秒程度温水に浸し、再度蒸気圧0.2kg/
cm2で20分間蒸した。得られた水分51,5%の蒸
米を双軸のスクリュー式練り機にて、いわゆるメツブシ
を行なった後、餅搗き機で50回搗いた。2段ロールで
厚さ3mm程度のシート状に圧延した後、円筒型の抜き
型にて直径63mmの円形状に型抜きした。温度70℃
の乾燥機で4時間乾燥させ、水分19.0%の乾燥生地
を得た。その後、ねかせ、二次乾燥を行ない焼き前水分
11.5〜12%の乾燥生地を常法により250℃油揚
げを行なった。得られた焼成生地は、直径約65mm、
厚さ約8〜9mmの揚げせんべいで、従来の製粉処理の
ソウトタイプと比較して多少堅い食感であり、異臭も感
じられず、通常丸粒処理では困難であった揚げせんべい
の製造が可能となった。
【0019】(実施例4)粳精白米(平成2年度産コシ
ヒカリ)21kgを実施例1と同様の乳酸発酵条件で処
理し、37℃、4時間浸漬した。当該処理米を蒸し機
(セイロ)により、蒸気圧0.2kg/cm2で20分
間蒸した後、20秒程度温水に浸し、再度蒸気圧0.2
kg/cm2で20分間蒸した。得られた水分54%の
蒸米を餅搗き機で100回搗いた。2段ロールで厚さ2
mm程度のシート状に圧延した後、5℃、48時間冷蔵
した。この生地を縦約30mm、横約50mm、厚さ約
1.7mmの短冊状に切断し、乾燥した。焼き前水分1
1%の生地を常法により焼成した。焼成生地は、縦約1
0mm、横約40mm、厚さ約4mmの短冊状で、通常
のもち製品のような食感を有し、異臭のないものであっ
た。
【0020】(実施例4と従来例との比較例)乳酸発酵
させない通常の原料米たる粳精白米21kgを、37
℃、4時間浸漬した後、蒸し機(セイロ)により、蒸気
圧0.2kg/cm2で20分間蒸した後、20秒程度
温水に浸し、再度蒸気圧0.2kg/cm2で20分間
蒸した。得られた水分54%の蒸米を餅搗き機で100
回搗いたが餅状にできなかった。
【0021】図3に示す測定結果(揚げ物タイプについ
ての)から比較すると、図3(a)における実施例4に
より得た米菓たる揚げものタイプの米菓(丸粒乳酸発酵
処理)についての測定結果からは、図3(b)における
常法の製粉処理による米菓(粉体処理の揚げ一番「商標
名」)についての測定結果から、実施例4による米菓の
方が、多少堅い食感を有することが推測される。
【0022】(実施例5)糯水稲精白米21kgを実施
例1と同様の乳酸発酵条件で処理し、45℃、24時間
浸漬した。水切りの後軽く水洗いした浸漬米を蒸し機
(セイロ)により、蒸気圧0.2kg/cm2で30分
間蒸した後、得られた水分48.9%の蒸米を双軸のス
クリュー式練り機にて、いわゆるメツブシを行なった
後、餅搗き機で216回搗いた。ノズル内径84×35
mmの成型機で半円形成型枠に押し出し、ただちに冷蔵
庫で48時間冷蔵固化させた。切断機で厚さ2mmに切
断し、長径40mm半円形の生地を得て、これを乾燥機
にて温度50℃で1.5時間乾燥させ、水分22%の乾
燥生地を得た。ねかせを24時間、室温にて行なった
後、乾燥生地を煎機にて焼成した。得られた半円形焼成
生地は、長径約33mm、厚さ約7mmのおかきで、従
来の丸粒方式のおかきと比較して、形状が揃っており、
ソフトな食感を有し、異臭のないものであった。
【0023】(実施例5と従来例との比較例)原料米と
しての糯水稲精白米を乳酸発酵せずに丸粒処理による従
来の製造方法により得た米菓のおかきと、実施例5によ
り得た米菓のおかきとを、形状、食感について比較し
た。糯水稲精白米21kgを24時間浸漬し、水切りの
後軽く水洗いした浸漬米を蒸し機(セイロ)により、蒸
気圧0.2kg/cm2で30分間蒸した後、得られた
水分45.5%の蒸米を双軸のスクリュー式練り機に
て、いわゆるメツブシを行なった後、餅搗き機で216
回搗いた。ノズル内径84×35mmの成型機で半円形
成型枠に押し出し、ただちに冷蔵庫で48時間冷蔵固化
させた。切断機で厚さ2mmに切断し半円形の生地を
得、これを乾燥機にて温度50℃で1.5時間乾燥さ
せ、水分22%の乾燥生地を得た。ねかせを24時間、
室温にて行なった後、乾燥生地を煎機にて焼成した。得
られた半円形焼成生地は、長径約33〜34mm、厚さ
約7〜9mmのおかきで、形状の不揃いが多少あり、食
感は実施例5のものより堅い食感であった。
【0024】図4に示す測定結果(おかきタイプについ
ての)から比較すると、図4(a)における実施例5に
より得たおかき(丸粒乳酸発酵処理)についての測定結
果からは、図4(b)における常法の丸粒処理による米
菓のおかきについての測定結果から、実施例5の方がよ
りソフトで、独特の食感を有することが推測される。
【0025】(実施例6)粳精白米21kgを実施例1
と同様の乳酸発酵条件で処理し、37℃、10時間浸漬
した。水切りの後軽く水洗いした浸漬米を、蒸し機(セ
イロ)により蒸気圧0.2kg/cm2で20分間蒸し
た後、10秒程度温水に浸し、再度蒸気圧0.2kg/
cm2で20分間蒸した。得られた水分51.5%の蒸
米を双軸のスクリュー式練り機にていわゆるメツブシを
行なった後、餅搗き機で50回搗いた。2段ロールで厚
さ3mm程度のシート状に圧延した後、円筒型の抜き型
にて直径63mmの円形状に型抜きした。温度70℃の
乾燥機で4〜5時間乾燥させ、水分19.0%の乾燥生
地を得た。その後、ねかせ、二次乾燥を行ない焼き前水
分11.5〜12%の乾燥生地を常法により焼成した。
得られた焼成素焼き生地は直径約80mm、厚さ約8〜
9mmのせんべいで、これを10枚ガスバリヤー性フイ
ルム(KOP)の袋に5日間密封した後、硫化水素用検
知管(株式会社ガステック製の硫化水素用検知管 N
O.4LL)にて異臭と相関の高い硫化水素の測定を行
なった。当該素焼き生地は10ppm以下になってお
り、官能試験の結果、異臭もほとんど感じられなかっ
た。
【0026】(実施例6と従来例との比較例)水洗いし
た粳精白米21kgを、10時間水浸漬した。水切りの
後、蒸し機(セイロ)により、蒸気圧0.2kg/cm
2で20分間蒸した後、10秒程度温水に浸し、再度蒸
気圧0.2kg/cm2で20分間蒸した。得られた水
分51%の蒸米を双軸のスクリュー式練り機にていわゆ
るメツブシを行なった後、餅搗き機で50回搗いた。2
段ロールで厚さ3mm程度のシート状に圧延した後、円
筒型の抜き型にて直径63mmの円形状に型抜きした。
温度70℃の乾燥機で4〜5時間乾燥させ、水分19.
0%の乾燥生地を得た。その後、ねかせ、二次乾燥を行
ない焼き前水分11.5〜12%の乾燥生地を常法によ
り焼成した。得られた焼成素焼き生地は直径約80m
m、厚さ約8〜9mmのせんべいで、これを10枚ガス
バリヤー性フイルム(KOP)の袋に5日間密封した
後、硫化水素用検知管(株式会社ガステック製の硫化水
素用検知管 NO.4LL)にて異臭と相関の高い硫化
水素の測定を行なった。当該素焼き生地は26ppmで
官能試験の結果、異臭が感じられた。
【0027】(実施例7)粳精白米21kgを水洗いし
た後浸漬し、当該浸漬水を、濃度1%の乳酸を添加しP
H3.4に調整した後、常温で14時間静置した。水切
りの後、軽く水洗いした浸漬米を、蒸し機(セイロ)に
より0.2kg/cm2で20分間蒸した後、10秒程
度温水に浸し、再度0.2kg/cm2で20分間蒸し
た。得られた水分51.5%の蒸米を双軸のスクリュー
式練り機にて、いわゆるメツブシを行なった後、餅搗き
機で50回搗いた。2段ロールで厚さ3mm程度のシー
ト状に圧延した後、円筒型の抜き型にて直径63mmの
円形状に型抜きした。温度70℃の乾燥機で4時間乾燥
させ、水分19.0%の乾燥生地を得た。その後、ねか
せ、二次乾燥を行ない焼き前水分11.5%の乾燥生地
を常法により焼成した。 得られた焼成生地は、実施例
1とほとんど同様のせんべいで、従来の丸粒処理のせん
べいと比較して、異臭もなく、大変ソフトで、くだけ、
口溶けが良く、製粉方式のソフトタイプと比較しても好
ましい食感であった。
【0028】
【発明の効果】本発明は、原料米を蒸煮する前に乳酸発
酵または酸浸漬処理することにより、原料米に含有され
る蛋白質を減少せしめるものであるから、丸粒処理によ
る米菓製造工程における蛋白質及び遊離アミノ酸を原因
とする加熱分解により生成する硫化水素に起因する異臭
の発生を防止することができるという効果がある。
【0029】また、原料米を乳酸発酵または酸浸漬処理
することによって、原料米における澱粉の物性が変化す
るものであるから、製品化する米菓の生地の膨化力が大
きく、伸び、ウキ共に良好でソフトな食感の優れた米菓
を得ることができるという効果がある。
【0030】さらに、本来、原料米を丸粒のまま用いる
丸粒処理した米菓は、原料米を製粉処理した米菓に比べ
て米の風味がそのまま生かされるという長所が有る反
面、食感が堅くソフトないわゆるウキの良い米菓を得る
ことは困難であるという問題があったが、本発明により
原料米を乳酸発酵または酸浸漬処理し、その発酵時間、
浸漬時間、温度を変えることで発酵の程度を調整するこ
とにより、米菓の餅生地の物性を変えることができるの
で、丸粒処理米菓特有の米の風味を生かした米菓を製造
でき、さらに製粉処理米菓に遜色のない種々のウキの優
れた米菓を製造することができるという効果がある。
【0031】本発明は、製粉処理による米菓と同様にウ
キが良くソフトな食感の米菓を得ることができ、しか
も、製粉処理による米菓においては、蒸煮した米粉は含
有水分が多い(通常30%程度)ために、製造工程上に
米粉に微生物が発生し生地の異臭発生と生地物性の変化
の原因となるという問題点があったが、本発明は、丸粒
処理による米菓を製造するものであるから、かかる製粉
処理による米菓における問題点は全て解決することがで
きるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1の丸粒乳酸発酵処理の中厚せんべいタ
イプと従来の米菓の製造方法によるせんべいについて、
レオメーター(不動工業製)による測定結果を示す図で
ある。
【図2】実施例2の丸粒乳酸発酵処理のうすやきせんべ
いタイプと従来の米菓の製造方法によるせんべいとにつ
いて、レオメーターによる測定結果を示す図である。
【図3】実施例4の丸粒乳酸発酵処理の揚げ物タイプと
従来の製造方法による米菓について、レオメーターによ
る測定結果を示す図である。
【図4】実施例5の丸粒乳酸発酵処理のおかきタイプと
従来の米菓の製造方法によるおかきとについて、レオメ
ーターによる測定結果を示す図である。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 原料米を製粉せずに丸粒のまま蒸煮して
    餅生地を得る丸粒処理米菓において、蒸煮前に原料米を
    乳酸発酵または酸浸漬することを特徴とする丸粒処理し
    た米菓。
  2. 【請求項2】 原料米を製粉せずに丸粒のまま蒸煮して
    餅生地を得る丸粒処理米菓において、原料米を乳酸発酵
    処理また酸浸漬処理した後、蒸煮することを特徴とする
    丸粒処理した米菓の製造方法。
  3. 【請求項3】 原料米の乳酸発酵処理が、乳酸菌培養液
    を混合した菌種液に水洗した精白米を浸漬して発酵適温
    により乳酸発酵する請求項2記載の丸粒処理した米菓の
    製造方法。
  4. 【請求項4】 原料米の酸浸漬処理が、所定の酸性に調
    整した浸漬水に水洗した精白米を浸漬する請求項2記載
    の丸粒処理した米菓の製造方法。
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