JPH06302413A - 磁気記録用金属磁性粉末の製造方法 - Google Patents

磁気記録用金属磁性粉末の製造方法

Info

Publication number
JPH06302413A
JPH06302413A JP5113958A JP11395893A JPH06302413A JP H06302413 A JPH06302413 A JP H06302413A JP 5113958 A JP5113958 A JP 5113958A JP 11395893 A JP11395893 A JP 11395893A JP H06302413 A JPH06302413 A JP H06302413A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
magnetic
iron oxide
powder
compound
iron
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP5113958A
Other languages
English (en)
Inventor
Eiji Nomura
英司 野村
Haruki Ichinose
治紀 一ノ瀬
Tsutomu Imamura
務 今村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Ishihara Sangyo Kaisha Ltd
Original Assignee
Ishihara Sangyo Kaisha Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Ishihara Sangyo Kaisha Ltd filed Critical Ishihara Sangyo Kaisha Ltd
Priority to JP5113958A priority Critical patent/JPH06302413A/ja
Publication of JPH06302413A publication Critical patent/JPH06302413A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Hard Magnetic Materials (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 磁気記録媒体用に極めて好適な金属磁性粉末
の工業的に有利な製造方法、を提供する。 【構成】 含水酸化鉄または酸化鉄を主体とする鉄化合
物を、リン酸エステル類の存在下で造粒成形し、次いで
不活性ガス雰囲気下300〜800℃の温度で加熱処理
し、しかる後加熱還元処理して磁気記録用金属磁性粉末
を得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、磁気記録媒体用に好適
な鉄系金属磁性粉末の製造方法に関する。
【0002】
【発明の技術的背景とその問題点】磁気記録媒体は、近
年その記録密度を向上させ、より小型のもの、より高性
能なものに改善しようとする指向が一段と強まってきて
いる。これにともない、磁気記録媒体用磁性粉末とし
て、酸化鉄系磁性粉末に比べて、飽和磁化および保磁力
が大きい鉄または鉄系金属磁性粉末(以下、金属磁性粉
末という)が注目されている。金属磁性粉末は、デジタ
ルオーディオテープや8mmビデオテープなどへの実用が
図られつつあるが、近時さらに高画質ビデオテープ、高
記録密度ディスクなど、高性能記録媒体への適用が一層
期待されている。
【0003】近年、高性能磁気記録媒体用金属磁性粉末
として、これがたとえば針状粒子の場合、通常、長軸が
約0.3μm、さらには0.2μm以下の微細で焼結の
ないものが要求されており、なかんづく粒子性ノイズ低
減による高出力化をはかるために、一層超微細粉が要求
されている。さらにこのような超微細粉を磁性塗料とし
たときの分散性、その塗膜での配向性、充填性、表面平
滑性などの一層優れたものが希求されている。しかし
て、磁性粉は一般的に、微細なものにすればするほど、
分散性や充填性などが損なわれ易い。従って、鉄系金属
磁性粉末の分散性や充填性などを損なうことなく微細化
をはかるには、まず出発原料の鉄化合物は、その粒子が
微細であって、かつ良好な粒度分布のものが所望されて
いる。しかしながら、前記出発原料はそれが微細なもの
であればあるほど目的物への還元過程で、粒子内焼結に
より針状形状が変化したり、粒子間焼結により架橋や粒
子の粗大化を起こしたりして、目的物の磁気特性に著し
く悪影響を与える。
【0004】ところで、金属磁性粉末は、通常、ゲーサ
イトなどの針状形状の含水酸化鉄を加熱脱水してヘマタ
イトなどの酸化鉄粒子を得、これを水素などの還元性ガ
ス雰囲気中で加熱還元して金属磁性粉末とする方法が行
なわれている。しかして前記の加熱脱水工程、とりわけ
還元工程では、粒子焼結や粒子形状崩れが惹起し易く、
この粒子形状崩れやα−Feの結晶粒子粗大化によっ
て、目的の金属磁性粉末の磁気特性は著しく損なわれ
る。そしてその影響は、微細な金属磁性粉末の製造に対
し、出発原料である含水酸化鉄の粒子を微細なものにす
ればするほど粒子形状の崩れが起こり易く、磁気特性や
経時安定性の所望レベルへの達成が難しくなる。
【0005】従来から、これらの問題点を解決するた
め、種々の対策が提案されている。通常、出発原料の鉄
化合物の粒子表面に、種々の形状保持剤を被着処理した
り、あるいは混合付着したりした後、加熱還元処理する
方法が行なわれている。前記形状保持剤としては、たと
えば、ケイ素化合物を用いる方法、アルミニウム化合物
を用いる方法、アルミニウム化合物とケイ素化合物とを
併用する方法のほか、ホウ素化合物を用いる方法も提案
されている。
【0006】一方、加熱還元時においては、通常、流動
層方式や固定層方式が用いられているが、被還元処理粉
末粒子のいわゆるキャリーオーバーを防止したり、被還
元処理粉末粒子と還元性ガスとの接触効率を高め、かつ
操作容易にして均一な還元反応を図ることを目的とし
て、出発原料の鉄化合物を、種々の造粒方法によって造
粒成形し、その造粒物を用いて加熱還元処理して金属磁
性粉末を製造する方法が知られており、たとえば特開昭
48-79153、特開昭54-62915、特開昭57-116706 、特開昭
57-116708 、特開昭57-116709 、特開昭58-161711 、特
開昭58-174509 、特開平4-144208などが挙げられる。
【0007】しかしながら、出発原料である含水酸化鉄
や酸化鉄に形状保持剤であるアルミニウム化合物、ケイ
素化合物、ジルコニウム化合物等を被着した後、該含水
酸化鉄や酸化鉄を種々の造粒方法によって造粒成形し、
ペレット状や顆粒状のものとし、このものをたとえば流
動層方式や固定層方式等の反応装置を用いて加熱還元処
理やさらには安定化処理を行なうと、反応装置からの飛
散防止や流出防止が図られるものの、一方、生成する金
属磁性粉末の粒子同士の絡み合いが強くなったり、また
ケイ素化合物やアルミニウム化合物等の形状保持剤が焼
結バインダーとなって粒子同士が固着し、造粒成形物が
硬くなり易かったりし、その結果、磁気テープの製造時
の塗料化工程において、ほぐれ難く、分散性が悪化し、
磁気テープの磁気特性や塗膜の平滑性が阻害される等の
問題が惹起している。
【0008】また、加圧成形方式の造粒方法にあって
は、造粒成形時に出発原料である針状の含水酸化鉄や酸
化鉄の針状粒子が破損、損傷を受け易く、そのために金
属磁性粉末の粒子形状の不均一性や崩れが避けられず、
その結果、高出力、高記録密度用として期待される金属
磁性粉末の磁気特性が著しく悪化するなど、解決を要す
る問題が少なくない。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、かねてよ
り、前記問題点を解決すべく金属磁性粉末の製造条件の
適正化について種々検討を進めているが、とりわけ、被
還元処理物を造粒成形処理し、該造粒物を工業的に効率
良く還元処理して金属磁性粉末を製造する方法にあって
は、造粒成形時における被還元処理物粒子の折損、形状
崩れ、さらには造粒成形物の強度の固着による堅い造粒
塊の形成を防止することが、粒子形状性が良好でかつ磁
性塗料の塗料化時における易分散性能の金属磁性粉末を
得る上できわめて重要であることに着目し、さらに検討
を進めた。その結果、被還元処理物の造粒成形時にリン
酸エステル類を存在させかつ、該造粒成形物を不活性ガ
ス雰囲気下で加熱処理してから還元処理することによっ
て、造粒成形時の被処理粒子に加わる機械的応力を緩和
しかつ造粒成形物の過度の固着塊状化が防止し得るこ
と、さらに該造粒成形物が特定雰囲気下での加熱処理に
より被還元処理粒子表面にリン酸エステル類の分解生成
物を効率的に担持せしめ得ること、その結果、還元処理
工程の効率化と得られる金属磁性粉末の易分散性化、磁
気特性の高性能化をともに満足し得ることの知見を得、
本発明を完成したものである。
【0010】すなわち、本発明は、 (1)含水酸化鉄または酸化鉄を主体とする鉄化合物
を、リン酸エステル類の存在下で造粒成形し、次いで不
活性ガス雰囲気下300〜800℃の温度で加熱処理
し、しかる後加熱還元処理する磁気記録用金属磁性粉末
の製造方法。
【0011】(2)含水酸化鉄または酸化鉄を主体とす
る鉄化合物に、ケイ素化合物、ジルコニウム化合物、ア
ルミニウム化合物およびホウ素化合物から選ばれた少な
くとも1種を添加することを特徴とする前記(1)項に
記載の磁気記録用金属磁性粉末の製造方法。
【0012】(3)流動層方式または固定層方式で加熱
還元処理することを特徴とする前記(1)または(2)
項に記載の磁気記録用金属磁性粉末の製造方法。
【0013】(4)含水酸化鉄または酸化鉄を主体とす
る鉄化合物が、Mg、Zr、Mn、Zn、Ni、Si、
B、Al、Ag、Cu、P、SnおよびWの金属または
それらの化合物の少なくとも1種を含有するものである
ことを特徴とする前記(1)〜(3)項に記載の磁気記
録用金属磁性粉末の製造方法。
【0014】(5)含水酸化鉄の比表面積が55m2
g以上であることを特徴とする前記(1)〜(4)項に
記載の磁気記録用金属磁性粉末の製造方法および、
【0015】(6)酸化鉄の比表面積が40m2 /g以
上であることを特徴とする前記(1)〜(5)項に記載
の磁気記録用金属磁性粉末の製造方法である。
【0016】本発明において造粒成形物を柔らかくし、
生成する金属磁性粉末の分散性を向上させる機構は明確
ではないが、添加されたリン酸エステル類が還元前の熱
処理、または還元処理の段階において分解されて、リン
と炭素を主成分とする分解生成物が生じ、このものが基
体粒子同士の固着を防止することにあると推察される。
【0017】本発明において、含水酸化鉄または酸化鉄
を主体とする鉄化合物には種々のものがある。含水酸化
鉄の代表的なものとしては、オキシ水酸化鉄があり、α
-FeOOH、β-FeOOH、γ-FeOOH等が挙げられる。また酸化
鉄としては、α-Fe2O3、γ-Fe2O3、Fe3O4 およびγ-Fe2
O3を部分還元して得られるようなベルトライド化合物な
どが使用できる。なお、前記の含水酸化鉄または酸化鉄
の粒子形状は、代表的には針状であるが、それ以外の種
々の形状のものも使用でき、たとえば紡錘状、米粒状、
棒状、平板状、サイコロ状などがある。
【0018】これら鉄化合物の中、とくに望ましいのは
針状α-FeOOHおよびγ-FeOOHである。また鉄化合物は、
その比表面積が55m2/g以上の針状含水酸化鉄または40
2/g以上の針状酸化鉄のように微細なものが好適であ
る。なお基体粒子である含水酸化鉄または酸化鉄を主体
とする鉄化合物においては、Mg、Zr、Mn、Zn、
Ni、Si、B、Al、Ag、Cu、P、Sn、Wなど
の金属またはそれらの化合物の含有を妨げないが、とく
に本発明の目的を達成する上でリン化合物、ケイ素化合
物、アルミニウム化合物、ニッケル化合物、ホウ素化合
物、ジルコニウム化合物の少なくとも1種を用いること
は好ましい。
【0019】本発明において、前記の含水酸化鉄または
酸化鉄を主体とする鉄化合物、またはこれらにアルミニ
ウム化合物、ケイ素化合物、ホウ素化合物、ジルコニウ
ム化合物等を被着処理したものを造粒成形する際、存在
させるリン酸エステル類としては、種々のものを使用し
得るが、これらのリン酸エステルとしては、たとえばリ
ン酸エチル、リン酸プロピル、リン酸ブチルなどのアル
キルリン酸エステル、グルコース−1−リン酸、グルコ
ース−6−リン酸、D−フルクトース−6−リン酸など
の糖類のリン酸エステル、リン酸ポリオキシエチレンア
ルキルエーテル、C2H4O 基とC3H6O 基との混合ポリオキ
シアルキレン基を有するリン酸ポリアルキレンアルキル
エーテルなどを挙げることができる。なお、これらのリ
ン酸エステル類は、モノエステル体、ジエステル体、ト
リエステル体、もしくはそれらの混合物であってもよ
く、またそれらのエステル体のアルカリ金属塩、アルカ
リ土類金属塩、アンモニウム塩、アミン塩などであって
もよい。上記リン酸エステル類は、それらを単独で用い
ても、あるいは混用してもよい。
【0020】本発明において、造粒成形の際、リン酸エ
ステル類を存在させるには、種々の方法によって行なう
ことができるが、たとえば含水酸化鉄または酸化鉄を主
体とする鉄化合物に、造粒時直接添加してもよく、また
該鉄化合物に予め添加しておいてもよい。リン酸エステ
ル類は、そのままの形態で添加してもよいが、水に溶解
または懸濁した水性液として、あるいはアルコール、ア
セトン、キシレンなどの有機溶剤に溶解まはた懸濁した
非水性液として使用する。リン酸エステル類の処理量
は、該鉄化合物の鉄の重量基準で0.01〜5%、好ま
しくは0.05〜8%である。処理量が前記範囲より少
なきに過ぎると所望の効果がもたらされず、また多きに
過ぎると経済的に有利でないばかりか、円滑な造粒操作
ができなかったり、飽和磁化が低下するなど好ましくな
い。
【0021】本発明で用いる造粒成形機としては、回
転、転動、流動、振動、流動噴霧、攪拌、混合、加圧、
圧搾等の操作により、含水酸化鉄や酸化鉄の乾燥粉末や
湿ケーキを造粒成形するものであり、このような造粒機
の機種として、回転傾斜ドラム、ロッシュ、パン型等の
回転皿型造粒機、パグミル、リボンミキサー、アイリッ
ヒ型混合造粒機、不二パウダル製スパルタンリュウーザ
ー、マルメライザー、押出成形機、圧搾成形機、ロール
成形機、振動型造粒機、流動式造粒機等を用いることが
できる。
【0022】このような手段により造粒成形される基体
粒子粉末の造粒物の粒径は、0.3〜10mmの範囲とな
るようにするのが好ましい。粒径を0.3mmより小さく
すると、加熱還元時に還元ガスの偏流を生じたり、還元
ガスの流量を増加した時、系外に粒子が飛散し易くなる
ため還元ガスの流量を絞ることが必要となる。還元ガス
流量を低下させると還元反応により生ずる水分の濃度が
高くなるため還元速度が低下を来たし好ましくない。反
対に粒径を10mmより大きくすると、還元ガスが粒子内
部にゆきわたるまでに時間がかかると同時に、還元反応
を律速する造粒粒子内の水蒸気の拡散も遅くなるため還
元時間が長くなり、金属磁性粉末の生産性が低下する。
なお、造粒粒子間の水蒸気の拡散によって還元反応が律
速されることは、造粒粒子の粒子径が0.3〜10mmの
場合も同様であるが、造粒粒子中には造粒時に含まれる
水和物の結晶水の脱水孔が存在し、また粒子間に間隙も
存在しているので、粒子径が0.3〜10mmの範囲にあ
れば大きな障害にはならず、被還元物を粉末の状態で還
元する場合と比較すると、還元反応が若干低下する傾向
にはあるものの、還元反応の終了に要する時間は基体粒
子粉末をそのままの状態で還元する場合と大きく変わる
ことはない。従って、造粒粒子の粒径が0.3〜10mm
の範囲内であれば還元時間が大きく増大することもな
く、効率の良い還元が行なえる。
【0023】本発明に係る造粒法において、アルミニウ
ム化合物またはケイ素化合物を造粒時に添加しながら造
粒すると、造粒物どうしの付着が少なく、造粒歩留りが
向上する。また、加熱処理過程においても、好ましい粒
子形状を保持できると共に、造粒物どうしの融着を防ぐ
ことも出来る。アルミニウム化合物としては、超微粒子
アルミナ粉末、同ゾル、アルミカップリング剤等があ
る。ケイ素化合物としては、超微粒子シリカ粉末、同ゾ
ル、シリコンオイル、シランカップリング剤等がある。
これらの金属化合物の添加量は、AlまたはSi/Fe
として0.1〜5wt%であり、またその添加方法として
は、粉末または液体をそのままの状態で加えてもよい
し、水、有機溶剤等の溶媒に溶解または分散させたもの
を加えてもよい。
【0024】本発明においては、前記造粒成形後、得ら
れた造粒成形物は、窒素、ヘリウム、アルゴン等の不活
性ガス雰囲気下において300〜800℃、望ましくは
350〜700℃で加熱処理を行なう。この加熱処理に
より、基体粒子全体が焼きしまって緻密になると同時
に、添加されたリン酸エステル類が熱分解されて、リ
ン、炭素を主成分とする分解生成物が基体粒子を被覆、
保護するためか、粒子同士の固着防止が可能となり、ま
た還元時における粒子の焼結や粒子形状の崩れを一層抑
制することが出来る。加熱温度が前記範囲より低きに過
ぎると、リン酸エステル類の分解生成物の生成が不充分
であったり、基体粒子への被覆が不均一となって所望の
効果が得られ難い。また、焼成温度が前記範囲より低き
に過ぎると、リン酸エステル類の分解が過度に進み、分
解生成物が減少し、所望の効果が得られないばかりでな
く、基体粒子の形状が崩れたり、粒子間の焼結が進行す
るので好ましくない。
【0025】なお、含水酸化鉄を、リン酸エステル類の
存在下で造粒成形した場合、上記不活性ガス雰囲気下で
の加熱処理は、加熱脱水を兼ね得るが、別途、加熱脱水
を行なう場合には、その時のガス雰囲気としては、リン
酸エステル類を燃焼させないで分解反応が起こり易くす
るために、前記の不活性ガスの送入が望ましい。
【0026】前記加熱処理によって得られた処理物は、
次いで加熱還元処理することによって本発明の目的物が
得られる。この加熱還元処理では、種々の方法が採用で
き、たとえば、回転キルン方式、固定層方式、流動層方
式等があるが、流動層方式や固定層方式が水素のような
還元性ガスとの接触が良好であり、かつ生成水の拡散速
度が速いこと、また均熱性、反応の均一性等が優れてい
ることから流動層方式または固定層方式で還元すること
が望ましい。
【0027】還元性ガスとしては、たとえば水素、プロ
パン、石油ガス、一酸化炭素ガス及びこれらの混合物が
あるが、水素を使用することが実用的である。還元反応
温度は通常350〜600℃、望ましくは400〜50
0℃に設定され、鉄酸化物の実質的に全部を金属に還元
することができる。このように還元して得られた金属磁
性粉末は、大気に触れると発火し、酸化鉄に変化するた
め、通常大気中への取り出しにあたっては種々の公知の
方法を用い安定化させる。たとえば、トルエン等の有機
溶媒中に浸漬後、ゆっくりトルエンを蒸発させ安定化す
る方法、トルエン等の液相または気相中に含酸素ガスを
通気して安定化する方法、さらには種々の化合物による
酸化抑制の被膜形成処理と上記方法とを併用する方法な
どがある。このようにして得られた本発明の磁気記録用
金属磁性粉末は後記するとおり飽和磁化、保磁力などの
磁気特性に優れたものである。
【0028】また、表1にテープ化した時の磁気特性を
記載したが、本発明で得られた金属磁性粉末は、その造
粒物が柔らかく、また塗料樹脂や溶剤とのなじみが良く
なっているためか、塗料化時の分散時間を短くしても良
好な磁気特性が得られている。
【0029】以下に実施例および比較例を挙げて本発明
をさらに説明する。
【実施例】
実施例1 比表面積(BET法)65m2/g、平均長軸径0.25μ、
軸比10の針状α-FeOOH粉末5Kgを水80リットルに懸
濁させ、充分に攪拌し分散させた後、2モル/リットル
の水酸化ナトリウム水溶液を加えpH10に調整した。次い
で1モル/リットルのオルトケイ酸ナトリウム水溶液
2.8リットルを加えて攪拌し、1モル/リットルの硫
酸を加えpH5.5に中和し、針状α-FeOOHの粒子表面に
ケイ酸水和物を被着させ、濾過、水洗し、乾燥物を得
た。その後乾燥物は、ハンマーミルで粉砕し、タイラー
篩から求めた算術平均径で0.2mmの粉砕物とした。次
いで、この粉砕物5Kgを直径1mの回転皿型造粒機に入
れて回転させ、そこへリン酸モノエチル25gを水3リ
ットルと共に造粒液として噴霧しながら球状に造粒した
後乾燥させた。この乾燥物は、重量分布から求めた算術
平均径が約3mmであった。次に、得られた乾燥物をキル
ンタイプの焼成炉で窒素ガスを5リットル/分の速度で
送入しながら650℃2時間加熱処理し、α-Fe2O34Kg
を得た。このうち、α-Fe2O33Kgをステンレス製竪型流
動層式還元反応器(内径160mm,高さ670mm)に充填し、毎
分150リットルの水素ガス(線速度約13cm/秒)を
通気して425℃で排ガスの露点が−50℃になるまで
還元した。得られた還元物は、窒素気流中で冷却後トル
エン中に浸漬し、次いでトルエンを室温で徐々に蒸発さ
せて、目的の金属磁性粉末(試料A)を得た。
【0030】実施例2 実施例1において、造粒時の造粒液としてリン酸ポリオ
キシエチレントリデシルエーテル25gと水3リットル
を混合したものを使用したことのほかは、同例の場合と
同様に処理して、金属磁性粉末(試料B)を得た。
【0031】実施例3 実施例1において、造粒時に造粒液と共に超微粒子アル
ミナ粉末0.123Kgを添加したことのほかは、同例の
場合と同様に処理して、金属磁性粉末(試料C)を得
た。
【0032】実施例4 実施例1において、造粒時に造粒液と共に超微粒子シリ
カ粉末0.10Kgを添加したことのほかは、同例の場合
と同様に処理して、金属磁性粉末(試料D)を得た。
【0033】実施例5 実施例1において、造粒時に造粒液と共にホウ酸粉末
0.10Kgを添加したことのほかは、同例の場合と同様
に処理して、金属磁性粉末(試料E)を得た。
【0034】比較例1 実施例1において、造粒液として水のみを用いて造粒し
たことほかは、同例の場合と同様に処理して、金属磁性
粉末(試料F)を得た。
【0035】比較例2 実施例1において、造粒液として水のみを用いたこと及
び造粒液の噴霧添加時にホウ酸粉末0.10Kgを加えた
ことのほかは、同例の場合と同様に処理して、金属磁性
粉末(試料G)を得た。
【0036】前記の実施例および比較例で得られた各金
属磁性粉末試料及び、これらの試料を用いて下記の配合
組成物を混合分散させて磁性塗料を調製し、次いで乾燥
膜厚10μmとなるように塗布し、配向処理後乾燥して
作成した磁気テープについても、常法により磁気特性、
保磁力(Hc:Oe)、飽和磁化(σs:emu/g)、飽和磁束密
度(Bm:Gauss)、角形比(Rs、SQ)、配向比(OR)、反
転磁界分布(SFD)を測定した。また、前記の各磁気テー
プについて、光沢計で60°−60°光沢(%)を測定し
た。これらの結果を表1に示す。
【0037】 磁性粉末 5 重量部 分散剤 0.25 〃ホ゜リウレタン 樹脂(30%溶液) 2.96 〃 混合溶媒* 13.4 〃*トルエン /MEK/シクロヘキサノン(4.5/4.5/1)
【0038】
【表1】
【0039】
【発明の効果】本発明方法により、比較的簡潔な工程処
理操作によって、従来の被着処理にみられるような不具
合を惹起することなく、還元処理工程の効率化と粒子内
および相互の焼結や粒子形状崩れを抑制し得るととも
に、得られる金属磁性粉は磁気記録媒体における分散性
が良好であり、角形比、配向比などの優れた特性を有
し、かつ粒子性ノイズに起因するノイズを低下でき、高
密度記録用に一層好適な微細な金属磁性粉末を効率良く
製造することができ、甚だ工業的に有利な方法である。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 含水酸化鉄または酸化鉄を主体とする鉄
    化合物を、リン酸エステル類の存在下で造粒成形し、次
    いで不活性ガス雰囲気下300〜800℃の温度で加熱
    処理し、しかる後加熱還元処理することを特徴とする磁
    気記録用金属磁性粉末の製造方法。
  2. 【請求項2】 含水酸化鉄または酸化鉄を主体とする鉄
    化合物に、ケイ素化合物、ジルコニウム化合物、アルミ
    ニウム化合物およびホウ素化合物から選ばれた少なくと
    も1種を添加することを特徴とする請求項1に記載の磁
    気記録用金属磁性粉末の製造方法。
  3. 【請求項3】 流動層方式または固定層方式で加熱還元
    処理することを特徴とする請求項1または2に記載の磁
    気記録用金属磁性粉末の製造方法。
  4. 【請求項4】 含水酸化鉄または酸化鉄を主体とする鉄
    化合物が、Mg、Zr、Mn、Zn、Ni、Si、B、
    Al、Ag、Cu、P、SnおよびWの金属またはそれ
    らの化合物の少なくとも1種を含有するものであること
    を特徴とする請求項1〜3に記載の磁気記録用金属磁性
    粉末の製造方法。
  5. 【請求項5】 含水酸化鉄の比表面積が55m2 /g以
    上であることを特徴とする請求項1〜4に記載の磁気記
    録用金属磁性粉末の製造方法。
  6. 【請求項6】 酸化鉄の比表面積が40m2 /g以上で
    あることを特徴とする請求項1〜5に記載の磁気記録用
    金属磁性粉末の製造方法。
JP5113958A 1993-04-16 1993-04-16 磁気記録用金属磁性粉末の製造方法 Pending JPH06302413A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP5113958A JPH06302413A (ja) 1993-04-16 1993-04-16 磁気記録用金属磁性粉末の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP5113958A JPH06302413A (ja) 1993-04-16 1993-04-16 磁気記録用金属磁性粉末の製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH06302413A true JPH06302413A (ja) 1994-10-28

Family

ID=14625476

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP5113958A Pending JPH06302413A (ja) 1993-04-16 1993-04-16 磁気記録用金属磁性粉末の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH06302413A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN100423089C (zh) * 2003-07-04 2008-10-01 同和电子科技有限公司 涂布型叠层磁记录介质的底层用粉末以及使用该粉末的磁记录介质
JP2015180506A (ja) * 2015-07-10 2015-10-15 大阪瓦斯株式会社 金属触媒の製造方法および製造装置

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN100423089C (zh) * 2003-07-04 2008-10-01 同和电子科技有限公司 涂布型叠层磁记录介质的底层用粉末以及使用该粉末的磁记录介质
JP2015180506A (ja) * 2015-07-10 2015-10-15 大阪瓦斯株式会社 金属触媒の製造方法および製造装置

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP0717397A2 (en) Spindle-shaped magnetic ironbased alloy particles containing cobalt and iron as the main ingredients and process for producing the same
US5531922A (en) Granulated particles for magnetic particles for magnetic recording, and process for producing the same
JPH06302413A (ja) 磁気記録用金属磁性粉末の製造方法
JPH06302414A (ja) 磁気記録用金属磁性粉末の製造方法
JPS5980901A (ja) 強磁性金属粉末の製造法
JP2009084125A (ja) フェライト粉末の製造方法、フェライト粉末及び磁気記録媒体
JPH04144208A (ja) 磁気記録用金属磁性粉末の製造方法
JP3087804B2 (ja) 磁気記録用鉄合金磁性粒子用造粒物及びその製造法並びに該造粒物を用いた磁気記録用鉄合金磁性粒子の製造法。
JPS6411577B2 (ja)
JP2002115002A (ja) 鉄を主成分とする紡錘状金属磁性粒子粉末及びその製造法
JPH02175806A (ja) 磁気記録用金属磁性粉末の製造方法
JP2001123207A (ja) 磁気記録用Fe及びCoを主成分とする紡錘状合金磁性粒子粉末の製造法
JP2003037004A (ja) 磁気記録用金属磁性粒子の二次凝集体及びその製造法
US4316738A (en) Economical process for producing metal particles for magnetic recording
JPH03194905A (ja) 磁気記録用金属磁性粉末の製造方法
JPH03120802A (ja) 磁気記録用金属磁性粉末の製造方法
JP3405748B2 (ja) 金属磁性粉末の製造方法
JP2843124B2 (ja) 金属磁性粉末の製造方法
JPH08183618A (ja) 紡錘状酸化鉄造粒物及びその製造方法
JP3598120B2 (ja) 金属磁性粉末の製造方法
JP2000226606A (ja) 磁気記録用Fe及びCoを主成分とする紡錘状合金磁性粒子粉末の製造法
JPH06345439A (ja) 磁気記録用磁性酸化鉄粒子用造粒物及びその製造法並びに該造粒物を用いた磁気記録用磁性酸化鉄粒子粉末の製造法
JPH05140620A (ja) 強磁性金属粉末の製造方法
JPS63143203A (ja) 磁性鉄粉の製造方法
JPH08183619A (ja) 針状酸化鉄造粒物及びその製造方法