JP2015180506A - 金属触媒の製造方法および製造装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】金属担持物に対し熱処理を行い、金属を活性成分とする触媒を製造するための方法であって、焼成処理工程を不活性雰囲気における加熱により行うとともに、焼成処理工程からの焼成処理生成物を水素雰囲気で熱処理する水素処理工程を行う。
【選択図】図1
Description
このような金属触媒の担体としては、種々の金属酸化物が用いられるが、金属酸化物に代えて、炭素材料が用いられる場合がある。
しかしこれらのような製造方法の中で、熱処理工程にバッチ式の加熱炉を用いると生産効率が低いという問題があり、製造規模の拡大が望まれている。
上述の技術課題を解決するための本発明において金属触媒の製造方法の特徴構成は、焼成処理工程を不活性雰囲気における加熱により行うとともに、前記焼成処理工程からの焼成処理生成物を水素雰囲気で熱処理する水素処理工程を行う点にある。
上記構成のうち、金属担持物に対して不活性雰囲気での焼成処理工程を行うことで得られた焼成処理生成物は、担体に担持された金属の表面に薄い酸化被膜が生成した状態となっている場合が多い。
上記構成において、前記焼成処理工程を、50〜500L/minの不活性ガス気流下で、350℃以上650℃以下の温度で、0.2時間以上1.5時間以下の時間行うことが好ましい。
上記構成において、前記焼成工程を、50〜500L/minの不活性ガス気流下で、350℃以上650℃以下の温度で、0.2時間以上1.5時間以下の時間加熱処理することにより、金属の酸化を抑制させながら、焼成処理に伴って発生する種々のガス等の影響を排除しつつ、前記高分子有機物を炭化する焼成処理工程を行うことができる。
この際、温度が低すぎたり、時間が短すぎると、炭化が不十分となり、温度が高すぎたり、時間が長すぎると金属微粒子の熱シンタリングが進行したりし、最終的に得られる触媒の活性が低下する傾向にあるため、350℃以上650℃以下の温度で、0.2時間以上1.5時間以下行うことが好ましいと言える。
また、上記構成において、前記水素処理工程を、10〜200L/minの水素気流下で、300℃以上600℃以下の温度で、0.5時間以上3時間以下の時間行うことが好ましい。
上記構成において、前記水素処理工程を、10〜200L/minの水素気流下で行えば、焼成処理生成物に生じた酸化被膜を確実に還元して、活性の高い金属触媒を生成することができる。
この水素処理工程は、温度が低すぎたり、時間が少なすぎると、酸化被膜の除去が充分できず、触媒活性が不十分になる傾向があり、温度が高すぎたり、時間が長すぎると金属微粒子の熱シンタリングが進行するため、300℃以上600℃以下の温度で、0.5時間以上3時間以下の時間行うことが好ましい。
また、本発明の金属触媒の製造装置の特徴構成は、金属担持物を不活性ガス雰囲気で加熱する焼成処理部を備えるとともに、焼成処理部における焼成処理生成物を、水素ガス流通条件下で加熱する水素処理部を備えた点にある。
この金属触媒の製造装置は、焼成処理部を備えるから、上記金属触媒の製造方法における焼成処理工程を行うことが出来、その焼成処理工程を、不活性ガス雰囲気で行うことができるので、焼成処理に伴って発生するガス等の影響を与えることなく、熱処理することができる。また、水素ガス流通条件下で加熱する水素処理部を備えると、前記焼成処理部において得られた焼成処理生成物を、水素還元して活性の高い金属触媒を得ることができる。
また、上記構成において、筒状加熱搬送装置を備え、前記筒状加熱搬送装置に金属担持物を供給する供給部を備えるとともに、
前記金属担持物の搬送上流側から、搬送方向下流側に向かって前記筒状加熱搬送装置に不活性ガスを供給する不活性ガス供給部を設け、
前記筒状加熱搬送装置の搬送方向における中間部分から搬送方向下流側に向かって水素ガスを供給する水素ガス供給部を設け、
前記筒状加熱搬送装置の搬送方向における前記中間部分よりも上流側に焼成処理部を形成するとともに搬送方向における前記中間部分よりも下流側に水素処理部を形成してなり、前記筒状加熱搬送装置の下流から排出される触媒を不活性雰囲気下で水封冷却回収する製品回収部を備えてもよい。
上記金属触媒の製造装置の構成において、筒状加熱搬送装置に金属担持物を供給する供給部を備えるとともに、前記金属担持物の搬送上流側から、搬送方向下流側に向かって前記筒状加熱搬送装置に不活性ガスを供給する不活性ガス供給部を設けてあれば、前記筒状加熱搬送装置の搬送方向における前記中間部分よりも上流側に焼成処理部を形成することができ、上記金属触媒の製造方法における焼成処理工程を、連続的に行いながらその焼成処理工程を不活性雰囲気下で行うことができる。
また、前記筒状加熱搬送装置の搬送方向における中間部分から搬送方向下流側に向かって水素ガスを供給する水素ガス供給部を設けてあれば、前記筒状加熱搬送装置の搬送方向における前記中間部分よりも下流側に水素処理部を形成して、上記金属触媒の製造方法における水素処理工程を、連続的に行えるとともに、前記焼成処理工程と同一装置内で効率良く行える。
また、筒状加熱搬送装置の下流から排出される処理物を不活性雰囲気下で水封冷却回収する製品回収部を備えれば、水素処理工程で得られた生成物を、空気中に晒すことなく、回収保存することができる。
〔金属触媒の製造装置〕
本発明の金属触媒の製造装置は、図1に示すように、金属担持物を供給する原料供給部13aを備えるとともに、不活性ガス供給部14aおよび加熱部12を設けてなる第一の筒状加熱搬送装置1からなる焼成処理部10を備える。また、前記焼成処理部10における焼成処理生成物を供給する焼成処理物供給部23aを備えるとともに、水素ガスを供給する水素ガス供給部24aおよび加熱部22を備えた第二の筒状加熱搬送装置2からなる水素処理部20を備える。
前記金属担持物は、熱処理可能な物質に金属を担持させてなるものであれば、任意のものを採用することができるが、イオン交換樹脂に金属化合物の水溶液を作用させ、イオン交換により結合、担持させたものが好適に用いられる。イオン交換樹脂としては、強酸性イオン交換樹脂、弱酸性イオン交換樹脂のいずれも使用することができ、たとえば、メタクリル酸タイプのイオン交換樹脂を用いることができる。金属化合物としては、水溶性のものであればいずれも用いることができ、たとえば、硫酸イオンとの化合物が用いられる。金属化合物は、前記高分子有機物の焼成・水素処理後、触媒に対して35〜55%の金属が含有される量が適用される。
前記第一の筒状加熱搬送装置1は、筒状の搬送路11を形成して、軸心周りに回転自在に、かつ、わずかに傾けて保持されてロータリーキルンとして働く周壁に加熱部12を設けて構成してあり、内部に前記焼成処理部10を形成する。前記筒状加熱搬送装置1における搬送方向上流側の入口部11aには、金属担持物を被処理物として投入する原料供給部13aを備える。また、前記筒状加熱搬送装置1における搬送方向下流側の出口部11bには、前記焼成処理部10に不活性ガスを導入する不活性ガス供給部14aを設けるとともに、前記筒状加熱搬送装置1における搬送方向上流側の入口部11aに不活性ガス排出部14bを設けてある。また、搬送される被処理物を第一の筒状加熱搬送装置1の外部に排出する排出部13bを設けるとともに、被処理物を焼成処理生成物として冷却、回収する冷却回収装置15を設けて構成してある。尚、前記冷却回収装置15にも、不活性ガス供給部15aを設けて、冷却回収される被処理物を不活性ガス雰囲気に維持する構成としてある。
前記第二の筒状加熱搬送装置2は、搬送路21を形成して、軸心周りに回転自在に、かつ、わずかに傾けて保持されてロータリーキルンとして働く周壁に加熱部22を設けて構成してあり、内部に前記水素処理部20を形成する。前記筒状加熱搬送装置2における搬送方向上流側の入口部21aには、前記焼成処理部10で得られた焼成処理生成物を被処理物として投入する焼成処理物供給部23aを備える。また、前記第二の筒状加熱搬送装置2における搬送方向下流側の出口部21bには、前記水素処理部20に水素ガスを導入する水素ガス供給部24aを設けるとともに、前記第二の筒状加熱搬送装置2における搬送方向上流側の入口部21aに水素ガス排出部24bを設けてある。また、搬送される被処理物を第二の筒状加熱搬送装置2の外部に排出する排出部23bを設けるとともに、被処理物を冷却、回収する冷却回収装置25を設けて構成してある。尚、前記冷却回収装置25には、不活性ガス供給部25aを設けて、冷却回収される被処理物を不活性ガス雰囲気に維持する製品回収部26を設けてある。
上記金属触媒の製造装置において、高分子有機物担体としてのイオン交換樹脂に、ニッケル化合物を担持させてなる金属担持物を22Kg/hで供給し、225L/minの窒素気流下で焼成処理工程を行った。焼成処理部10における加熱温度は約500℃としてあり、この温度で金属担体の高分子有機物を炭化することができる。高温部の滞留時間は30分程度とする。これにより、ニッケルを炭素材料に担持してなる焼成処理生成物を得た。次に、前記水素処理部20において、前記焼成処理部10からの焼成処理生成物を10Kg/hで供給し、50L/minの水素気流下で熱処理する水素処理工程を行う。水素処理部20における加熱温度は約450℃としてあり、高温部の滞留時間は120分程度とする。これにより、上記焼成処理生成物の酸化ニッケルの被膜がニッケルに還元処理される。
った。
反応速度定数=1/(反応時間)×Ln((原水のTOC)/(処理済水のTOC))
として求められる定数であり、触媒活性が高いほど大きな値をとる。
また、上記焼成処理部10を、全工程窒素雰囲気で通過させて得られた焼成処理生成物の触媒活性は、0.0037/secであり、活性があまり高くない。
〔金属触媒の製造装置〕
実施形態1における金属触媒の製造装置は、2つの筒状加熱搬送装置1、2を用いて、焼成処理工程と水素処理工程とを個別に行う構成としてあったが、両工程を1つの筒状加熱搬送装置3で行うこともできる。
すなわち本発明の金属触媒の製造装置は、図2に示すように、筒状加熱搬送装置3を備え、搬送路31を形成する筒状の周壁に加熱部32を設けて構成してある。また、前記筒状加熱搬送装置3に金属担持物を供給する供給部33aを備えるとともに、前記金属担持物の搬送上流側の入口部31aから、搬送方向下流側の出口部31bに向かって前記筒状加熱搬送装置3に不活性ガスを供給する不活性ガス供給部37aを設け、前記筒状加熱搬送装置3の搬送方向における中間部分から搬送方向下流側に向かって水素ガスを供給する水素ガス供給部37bを設け、前記筒状加熱搬送装置3の搬送方向における前記中間部分よりも上流側に焼成処理部30aを形成するとともに搬送方向における前記中間部分よりも下流側に水素処理部30bを形成してなる。また、筒状加熱搬送装置3における搬送方向下流側の出口部31bに不活性ガスおよび水素ガスの排出部37cを設けてある。さらに、搬送される被処理物を筒状加熱搬送装置3の外部に排出する排出部33bを設けるとともに、被処理物を冷却、回収する冷却回収装置35を設けて構成してある。尚、前記冷却回収装置35には、不活性ガス供給部35aを設けて、冷却回収される被処理物を不活性ガス雰囲気に維持する製品回収部36を備える。得られた被処理物は、不活性ガス雰囲気下で冷却、回収され、水封下で保持される。
10 :焼成処理部
11 :搬送路
11a :入口部
11b :出口部
12 :加熱部
13a :原料供給部
13b :排出部
14a :不活性ガス供給部
14b :不活性ガス排出部
15 :冷却回収装置
15a :不活性ガス供給部
16 :焼成処理生成物回収部
2 :筒状加熱搬送装置
20 :水素処理部
21 :搬送路
21a :入口部
21b :出口部
22 :加熱部
23a :焼成処理生成物供給部
23b :排出部
24a :水素ガス供給部
24b :水素ガス排出部
25 :冷却回収装置
25a :不活性ガス供給部
26 :製品回収部
3 :筒状加熱搬送装置
30a :焼成処理部
30b :水素処理部
31 :搬送路
31a :入口部
31b :出口部
32 :加熱部
33a :供給部
33b :排出部
35 :冷却回収装置
35a :不活性ガス供給部
36 :製品回収部
37a :窒素ガス供給部
37b :水素ガス供給部
37c :排出部
上述の技術課題を解決するための金属触媒の製造方法の特徴構成は、金属担持物に対し熱処理を行い、金属を活性成分とする触媒を製造するための方法であって、前記金属担持物は、イオン交換樹脂にニッケルを担持させたものであり、焼成処理工程を不活性雰囲気における加熱により行うとともに、前記焼成処理工程からの焼成処理生成物を水素雰囲気で熱処理する水素処理工程を行い、前記焼成処理工程を、50〜500L/minの不活性ガス気流下で、350℃以上650℃以下の温度で、0.2時間以上1.5時間以下の時間行い、前記水素処理工程を、10〜200L/minの水素気流下で、300℃以上600℃以下の温度で、0.5時間以上3時間以下の時間行う点にある。
上述の技術課題を解決するための金属触媒の製造装置の特徴構成は、金属担持物を窒素ガス雰囲気で加熱する焼成処理部を備えるとともに、焼成処理部における焼成処理生成物を、水素ガス流通条件下で加熱する水素処理部を備えた金属触媒の製造装置であって、前記金属担持物は、イオン交換樹脂にニッケルを担持させたものであり、前記焼成処理部は前記金属担持物の加熱を、50〜500L/minの不活性ガス気流下で、350℃以上650℃以下の温度で、0.2時間以上1.5時間以下の時間行い、前記水素処理部は前記金属担持物の熱処理を、10〜200L/minの水素気流下で、300℃以上600℃以下の温度で、0.5時間以上3時間以下の時間行う点にある。
イオン交換樹脂にニッケルを担持させたものである金属担持物に対して不活性雰囲気での焼成処理工程を行うことで得られた焼成処理生成物は、担体に担持された金属の表面に薄い酸化被膜が生成した状態となっている場合が多い。
ここで、さらに、前記焼成処理工程で得られた焼成処理生成物を、水素雰囲気で熱処理する水素処理工程を行うと、前記の薄い酸化被膜を除去して活性化することができるので、得られた金属触媒は、活性の高い触媒となる。
この際、温度が低すぎたり、時間が短すぎると、炭化が不十分となり、温度が高すぎたり、時間が長すぎると金属微粒子の熱シンタリングが進行したりし、最終的に得られる触媒の活性が低下する傾向にあるため、350℃以上650℃以下の温度で、0.2時間以上1.5時間以下行うことが好ましいと言える。
この水素処理工程は、温度が低すぎたり、時間が少なすぎると、酸化被膜の除去が充分できず、触媒活性が不十分になる傾向があり、温度が高すぎたり、時間が長すぎると金属微粒子の熱シンタリングが進行するため、300℃以上600℃以下の温度で、0.5時間以上3時間以下の時間行うことが好ましい。
また、上記構成において、前記水素処理工程の後に、前記水素処理工程で熱処理された前記金属担持物を不活性雰囲気で水封冷却回収する製品回収工程を行うことが好ましい。
これにより、水素処理工程で得られた生成物を、空気中に晒すことなく、回収保存することができる。
Claims (5)
- 金属担持物に対し熱処理を行い、金属を活性成分とする触媒を製造するための方法であって、
焼成処理工程を不活性雰囲気における加熱により行うとともに、前記焼成処理工程からの焼成処理生成物を水素雰囲気で熱処理する水素処理工程を行う金属触媒の製造方法。 - 前記焼成処理工程を、50〜500L/minの不活性ガス気流下で、350℃以上650℃以下の温度で、0.2時間以上1.5時間以下の時間行う請求項1に記載の金属触媒の製造方法。
- 前記水素処理工程を、10〜200L/minの水素気流下で、300℃以上600℃以下の温度で、0.5時間以上3時間以下の時間行う請求項1または2に記載の金属触媒の製造方法。
- 金属担持物を窒素ガス雰囲気で加熱する焼成処理部を備えるとともに、焼成処理部における焼成処理生成物を、水素ガス流通条件下で加熱する水素処理部を備えた金属触媒の製造装置。
- 筒状加熱搬送装置を備え、前記筒状加熱搬送装置に金属担持物を供給する供給部を備えるとともに、
前記金属担持物の搬送上流側から、搬送方向下流側に向かって前記筒状加熱搬送装置に不活性ガスを供給する不活性ガス供給部を設け、
前記筒状加熱搬送装置の搬送方向における中間部分から搬送方向下流側に向かって水素ガスを供給する水素ガス供給部を設け、
前記筒状加熱搬送装置の搬送方向における前記中間部分よりも上流側に焼成処理部を形成するとともに搬送方向における前記中間部分よりも下流側に水素処理部を形成してなり、前記筒状加熱搬送装置の下流から排出される処理物を不活性雰囲気下で水封冷却回収する製品回収部を備えた請求項4に記載の金属触媒の製造装置。
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