JPH06298632A - 歯質の耐酸性強化組成物 - Google Patents

歯質の耐酸性強化組成物

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JPH06298632A
JPH06298632A JP5114217A JP11421793A JPH06298632A JP H06298632 A JPH06298632 A JP H06298632A JP 5114217 A JP5114217 A JP 5114217A JP 11421793 A JP11421793 A JP 11421793A JP H06298632 A JPH06298632 A JP H06298632A
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 茶ポリフェノール，フッ素，アルミニウム塩
を含有することを特徴とする歯質の耐酸性強化組成物。 【効果】 本発明に係る歯質の耐酸性強化組成物は、日
常飲用されている天然の成分であり、人体に対する安全
性に全く問題がない。この組成物は、耐酸性に優れてい
るばかりでなく、歯質保護に対しても効果を発揮する。
したがって、本発明の組成物は、練歯磨，粉歯磨，マウ
スウオッシュ等に添加して効果的に歯質の耐酸性を増強
することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【０００１】
【産業上の利用分野】本発明は歯質の耐酸性強化組成物
に関し、さらに詳しくは茶ポリフェノール等を含む歯質
の耐酸性強化組成物に関する。この組成物は、練歯磨，
粉歯磨，マウスウォッシュなどに用いることにより、歯
質の耐酸性を効果的に増強することができる。
【０００２】
【従来の技術】従来より茶にはフッ素が３００〜２００
０ｐｐｍ含まれ、その５０％以上が茶抽出液中に溶出さ
れることが知られており、茶を飲用することによって、
飲用しない場合に較べて虫歯にかかりにくいこと並びに
その原因は茶に含まれているフッ素の存在によるもので
あることが報告されている。フッ素が歯のエナメル質の
中にフルオロアパタイトとして存在し、エナメル質の耐
酸性を強化することはよく知られている。しかし、歯質
の耐酸性を強化する効果を示す歯質の耐酸性強化組成物
については提案されてはいるものの、未だ実用化に至っ
ておらず、今後の開発に期待されるところが大きい。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、歯質
の耐酸性を効果的に強化することができる組成物を提供
することである。本発明者らは、歯質における耐酸性を
調査すべく研究を重ね、ヒドロキシアパタイト（以下、
ＨＡと略記することがある。）へのフッ素の取り込み量
と耐酸性を調べると共に、茶抽出液中に含まれるフッ素
以外の有機物や無機物についての耐酸性効果についての
検討を行った。その結果、茶ポリフェノール，フッ素お
よびアルミニウム塩を含有する組成物が歯質の耐酸性を
効果的に増強する作用があることを見出し、本発明を完
成するに至った。
【０００４】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明は、茶ポ
リフェノール，フッ素およびアルミニウム塩を含有する
ことを特徴とする歯質の耐酸性強化組成物を提供するも
のである。
【０００５】本発明において、茶ポリフェノールとは茶
カテキン類や茶テアフラビン類を意味し、これらの詳細
や製法は、例えば特開昭５９−２１９３８４号公報，同
６０−１３７８０号公報，同６１−１３０２８５号公報
などに示されている。茶ポリフェノールは、純品の他、
粗製物も用いることができる。フッ素は、フッ化ナトリ
ウム（以下、ＮａＦと略記する。）などのフッ化物の形
態で用いる。また、アルミニウム塩としては、けい酸
塩，硝酸塩，乳酸塩，酢酸塩などがあり、特に乳酸アル
ミニウムが好ましい。
【０００６】次に、本発明の組成物における各成分の配
合割合については通常、茶ポリフェノール１０〜2,００
０ｐｐｍ、好ましくは１００〜1,０００ｐｐｍ，フッ化
物２０〜1,０００ｐｐｍ、好ましくは５０〜５００ｐｐ
ｍおよびアルミニウム塩５０〜2,０００ｐｐｍ、好まし
くは１００〜1,０００ｐｐｍである。本発明の組成物
は、練歯磨，粉歯磨，マウスウォッシュなどに用いられ
る。
【０００７】
【実施例】本発明を実施例により詳しく説明する。 試験例１ 試料の調製 ＨＡとして、和光純薬（株）製の高速カラムクロマト用
ＨＡを用い、ＨＡ以外の化学薬品はナカライテスクより
購入したものを使用した。なお、ＮａＦ溶液はＯＲＩＯ
Ｎ社製９４０９００標準液（１００ｐｐｍ）を希釈して
用いた。また、茶抽出液としては番茶を９０〜９３℃の
蒸留水１００ｍｌで抽出後、濾過した液を用い、茶葉の
量（２〜５ｇ）と抽出時間（１０〜２０分）を変化させ
て調製した。ＨＡへの試料の吸着は、ＨＡ１００ｍｇに
茶ポリフェノールを含有した溶液、リン酸緩衝液にてｐ
Ｈ5.６に調整したＮａＦ溶液および茶抽出液のそれぞれ
に各種溶液２ｍｌを加え、３７℃の恒温振とう器中で１
０分間浸漬させた後、直ちに遠心分離し、上清を除去し
た。次に、蒸留水を用いて洗浄を２回繰り返し、３７℃
の恒温器中で乾燥した。対照として蒸留水を用いて同様
に行った。
【０００８】上記のように試料を吸着させたＨＡの各々
に塩酸を加えて溶解し、溶液中のフッ素量を測定し、Ｈ
Ａへのフッ素取り込み量とした。ＮａＦ液と茶抽出液の
ＨＡへのフッ素の取り込み量を図１に示した。図から明
らかなように、フッ素含量が同じであるときは、取り込
み量もほぼ同量である。
【０００９】試験例２ 試験例１と同様にして作成した、試料を吸着したＨＡの
各々に酢酸緩衝液１０ｍｌを加え、濾過し、脱灰液中へ
のリンの溶出量をモリブデンブルー法を用いて吸光光度
計で測定した。その結果を図２に示した。図から明らか
なように、フッ素含量が多い程耐酸性が強化されること
が分かった。なお、耐酸性の値は下記の式により求めた
ものである。
【００１０】
【数１】
【００１１】試験例３ ＮａＦ溶液を用いた場合も茶抽出液を用いた場合も、Ｈ
Ａへのフッ素の取り込み量が同じであっても、茶抽出液
の場合は、取り込まれたフッ素量が示す耐酸性よりも強
い効果が得られたため、ＨＡの脱灰抑制に茶中に含まれ
る他の成分が関与することが示唆された。そこで、この
例では茶抽出物の有機物と無機物について耐酸性を調べ
てみた。その結果、アルミニウムに耐酸性効果があるこ
とが認められた。その結果を図３に示す。
【００１２】実施例１ そこで、さらに検討を加え、茶ポリフェノール５mgを含
有する溶液２mlとリン酸緩衝液２mlに各々ＮａＦ（フッ
素として５0.０μg ），Ａｌ（ＮＯ3)3 （アルミニウム
として１０0.０μg)を添加したもので同様の試験を行っ
た。その結果を表１に示す。
【００１３】
【表１】
【００１４】表から明らかなように、茶ポリフェノール
のみでは耐酸性の向上は全く見られず、茶ポリフェノー
ル含有溶液にフッ素とアルミニウム塩を加えたところ、
耐酸性が強化されることを見出した。
【００１５】実施例２ 実施例１の結果から、以下に示した他の茶ポリフェノー
ル類にフッ素およびアルミニウム塩を添加したものにつ
いて同様の試験を行った。その結果を図４に示す。図か
ら明らかなように、フッ素とアルミニウム塩を添加する
ことによって、すべてのポリフェノール類において有意
に耐酸性は強化された。なお、通常の茶飲用の場合にお
ける茶ポリフェノール含量は0.５〜1.０mg/mlである
が、図から明らかなように、茶ポリフェノール類の量が
増加することにより歯質の耐酸性が増強されている。図
中、ＥＧＣｇはエピガロカテキンンガレートの純品を示
し、ポリフェノン１００（三井農林（株）製）は茶カテ
キン含量９１％、ポリフェノン６０（三井農林（株）
製）は茶カテキン含量６０％以上、ポリフェノン３０
（三井農林（株）製）は茶カテキン含量３０％以上のも
のをそれぞれ示す。
【００１６】参考例１ 常法に従い、次の処方の茶ポリフェノール含有練歯磨を
調製した。なお、単位は重量を示す。本品約１ｇが１回
の歯磨きに用いられる。 第二リン酸カルシウム ４５ カルボキシメチルセルロースナトリウム １．０ グリセリン ２０ ラウリル硫酸ナトリウム １．０ 香料 １．０ サッカリンナトリウム ０．２ 茶ポリフェノール ０．１ 硝酸アルミニウム ０．０１〜０．１ フッ化ナトリウム ０．００５〜０．０５ 水で１００に調整
【００１７】参考例２ 常法に従い、次の処方の茶ポリフェノール含有マウスウ
ォッシュを調製した。なお、単位は重量を示す。本品約
１０ｍｌが１回の口漱ぎに用いられる。 エタノール ２０ サッカリンナトリウム ０．１ 香料 １．０ ショ糖脂肪酸エステル ０．５ 茶ポリフェノール ０．１ 乳酸アルミニウム ０．００１〜０．０１ フッ化ナトリウム ０．０００５〜０．００５ 水で１００に調整
【００１８】
【発明の効果】本発明に係る歯質の耐酸性強化組成物
は、日常飲用されている茶に含まれている天然の成分で
あり、人体に対する安全性に全く問題がない。この組成
物は、耐酸性に優れているばかりでなく、歯質保護に対
しても効果を発揮する。したがって、本発明の組成物
は、練歯磨，粉歯磨，マウスウォッシュ等に添加して効
果的に歯質の耐酸性を増強することができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】 試験例１の溶液中のフッ素濃度とＨＡへのフ
ッ素の取り込み量の関係を示すグラフである。
【図２】 試験例２のフッ素濃度とＨＡに対する耐酸性
の関係を示すグラフである。
【図３】 試験例３のアルミニウム濃度とＨＡに対する
耐酸性の関係を示すグラフである。
【図４】 実施例２の茶ポリフェノール類濃度と耐酸性
の関係を示すグラフである。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成６年２月３日
【手続補正１】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】０００７
【補正方法】変更
【補正内容】
【０００７】
【実施例】本発明を実施例により詳しく説明する。 試験例１ 試料の調製 ＨＡとして、和光純薬（株）製の高速カラムクロマト用
ＨＡを用い、ＨＡ以外の化学薬品はナカライテスクより
購入したものを使用した。なお、ＮａＦ溶液はＯＲＩＯ
Ｎ社製９４０９００標準液（１００ｐｐｍ）を希釈して
用いた。また、茶抽出液としては番茶を９０〜９３℃の
蒸留水１００ｍｌで抽出後、濾過した液を用い、茶葉の
量（２〜５ｇ）と抽出時間（１０〜２０分）を変化させ
て調製した。ＨＡへの試料の吸着は、ＨＡ１００ｍｇに
対し、茶抽出液２ｍｌもしくはリン酸緩衝液にてｐＨ5.
６に調整した各種溶液（ＮａＦ，Ａｌ (ＮＯ3)3 ，茶ポ
リフェノールまたはそれらの混合物）２ｍｌを加え、３
７℃の恒温振とう器中で１０分間浸漬させた後、直ちに
遠心分離し、上清を除去した。次に、蒸留水を用いて洗
浄を２回繰り返し、３７℃の恒温器中で乾燥した。対照
として蒸留水を用いて同様に行った。
【手続補正２】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】００１２
【補正方法】変更
【補正内容】
【００１２】実施例１ そこで、さらに検討を加え、茶ポリフェノール５mgを含
有するリン酸緩衝液２mlに各々ＮａＦ（フッ素として５
0.０μg ），Ａｌ（ＮＯ3)3 （アルミニウムとして１０
0.０μg)を添加したもので同様の試験を行った。その結
果を表１に示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 ＦＩ 技術表示箇所 Ａ６１Ｋ 35/78 Ｃ 7822−4Ｃ //(Ａ６１Ｋ 31/35 33:16 33:06） (Ａ６１Ｋ 35/78 33:16 33:06）

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項１】 茶ポリフェノール，フッ素およびアルミ
    ニウム塩を含有することを特徴とする歯質の耐酸性強化
    組成物。
  2. 【請求項２】 茶ポリフェノールを１０〜2,０００ｐｐ
    ｍ, フッ素をフッ化物として２０〜1,０００ｐｐｍおよ
    びアルミニウム塩を５０〜2,０００ｐｐｍ含有する請求
    項１記載の歯質の耐酸性強化組成物。
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