JPH06298606A - 海苔の赤腐れ菌駆除剤 - Google Patents

海苔の赤腐れ菌駆除剤

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JPH06298606A
JPH06298606A JP8487693A JP8487693A JPH06298606A JP H06298606 A JPH06298606 A JP H06298606A JP 8487693 A JP8487693 A JP 8487693A JP 8487693 A JP8487693 A JP 8487693A JP H06298606 A JPH06298606 A JP H06298606A
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 乳酸を有効成分として含有する海苔の赤腐れ
菌駆除剤。更に乳酸に加えて、リン酸及び酢酸より選ん
だ少なくとも1種を併せ含有してなる海苔の赤腐れ菌駆
除剤。 【効果】 乳酸を駆除剤として使用することにより、2
0秒〜30秒での赤腐れ菌駆除が可能となり、赤腐れ菌
の感染能力に対応できる。リン酸、酢酸を配合すること
により、乳酸の駆除能力を相乗的に高め、乳酸量を節減
できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は海苔の赤腐れ菌駆除剤に
関する。
【0002】
【従来の技術】海苔養殖において、雜藻すなわちアオノ
リ、アオサ、ケイ藻を駆除するために酸処理を行う方法
が採用されている。アオノリ等が製品中に混在すると海
苔の価格が下がってしまう。これらの酸としては、塩
酸、リン酸、クエン酸、リンゴ酸、フィチン酸等種々の
ものが使用されている。食品添加物として認められ、価
格も安価であるために主としてクエン酸が使用されてい
る。
【0003】クエン酸の1〜2%(pH約2.0〜2.
2)で5〜10分の処理が行われている。又、赤腐れ病
に対する駆除効果も認められており、前記の濃度で処理
すると1〜2分の間で駆除することができるため、実際
には5〜6分の処理が行われている。
【0004】赤腐れ病といわれる病害は、海苔葉状体が
生長し、ようやく収穫が可能になった時点で急速に発生
し、数日にして全漁場に蔓延し、葉状体を枯死流出せし
めてしまうため、その被害は甚大である。この病害の元
凶はピチウム属乃至は類縁の水かび類の寄生であるとい
われ、これらの微生物は主として温度15℃前後で生育
し、生物もしくは生物の死滅分解によって生ずる有機物
によって繁殖するといわれ、おそらくはアマノリの葉状
体が多量に海面に存在することがその生育好適条件を満
足させるものと考えられる。
【0005】赤腐れ菌は寄生体内では菌糸状に増殖し、
その寄生細胞を食害生長するが、この際旺盛な菌糸は末
端に多数の遊走子嚢を形成し、嚢内に多数の遊走子を生
ずる。嚢は成熟すると割れて遊走子を放出するが、放出
された遊走子は水中を遊泳して新たな寄生体に付着し、
再び菌糸状になって直ちに寄生体細胞を食害する。食害
された葉状体は千切れて脱落流出するのが通常で、この
ため産業的には直接食害されるものの数百倍もの被害に
なるといわれている。
【0006】特公昭46−35873号公報では、P‐
オキシ安息香酸又はそのエステルを施用するアマノリの
赤くされ病の防除方法が提案されている。これは、それ
までの抗生物質、逆性石鹸などの使用では、有用細菌類
を含めて、全面的に死滅させるが、カビ、酵母に対する
阻止能は低いばかりでなく、人間に対しても決して無害
なものでない事による。
【0007】特開昭50−121425号公報には炭素
数1〜4の飽和脂肪族カルボン酸、炭素数2〜4の飽和
または不飽和カルボン酸、グリコール酸、乳酸、酒石
酸、リンゴ酸、クエン酸から選ばれた有機カルボン酸の
1種又は2種以上を含有する殺雜藻剤が開示されてい
る。これには殺雜藻作用について専ら記載されている
が、赤腐れ菌に関する記載はなく、又請求の範囲及び明
細書中の請求項に対応する個所に乳酸の記載はあるが、
実施例はなく、他の有機カルボン酸並の殺雜藻作用が記
載されているのみである。
【0008】特公昭60−13647号公報には、クエ
ン酸0.3〜5.0重量%を含み、pHが1.0〜6.
0の処理液に浸漬させる雜藻、病害の駆除、予防による
海苔養殖法が記載されている。
【0009】特公昭60−13648号公報には、塩
酸、硝酸、硫酸、燐酸などの無機酸を添加してpH1.
0〜4.0とする雜藻、病害の駆除、予防による海苔養
殖法が記載されている。
【0010】特公昭60−21950号公報には、フィ
チン酸又はその塩を有効成分とする海苔養殖用肥料、赤
腐れ病に対する予防効果、珪藻駆除効果が開示されてい
る。
【0011】特開昭57−8722号公報には、リン酸
又はその塩を含む処理液で海苔網を処理して、雜藻、赤
腐れ病などの病害の除去、予防を行う海苔養殖法が開示
されている。
【0012】特開昭60−87202号公報には、アジ
ピン酸を有効成分とする食用海藻類の海水性細菌の殺菌
剤が開示されている。
【0013】特開昭60−244245号公報には、飽
和量以上のフマール酸を存在させる殺藻方法が開示され
ており、リンゴ酸、クエン酸、酒石酸、コハク酸の1種
以上を併用してもよい旨の記載もある。
【0014】特開昭60−248121号公報には、ハ
ロゲン化カルボン酸からなるクロル酢酸、ジクロル酢
酸、トリクロル酢酸などの一種又は二種以上を含む処理
液に浸漬することによる雜藻、ツボ状菌病、赤ぐされ病
等を駆除する海苔養殖法が開示されている。
【0015】特開昭62−21784号公報には希塩酸
を主成分とする酸性緩衝液と硝酸塩、アンモニウム塩及
び燐酸塩から構成されるノリ養殖用殺藻剤兼用液体肥料
が開示されている。
【0016】特開昭62−190103号公報には、グ
ルコン酸を有効成分とする赤ぐされ病及びツボ状菌病の
病原菌である Pythium 属及び Olpidiopsis 属の藻菌類
の駆除剤が開示されている。
【0017】特開平1−279805号公報には、フマ
ル酸モノナトリウム塩及び/又はフマル酸モノカリウム
塩を有効成分として含有する藻類および細菌類の駆除剤
が開示されている。
【0018】特開平2−25404号公報には、フマル
酸及び/又はフマル酸塩と炭酸ナトリウム、炭酸水素ナ
トリウム、炭酸カリウム、および炭酸水素カリウムより
なる群から選んだ少なくとも1種を含む駆除剤を水又は
海水に溶解させ、フマル酸モノナトリウム及び/又はフ
マル酸モノカリウムとする藻類および細菌類の駆除剤が
開示されている。
【0019】特開平2−291218号公報(特公平3
−47810号公報)には、飽和量をこえる量のフマー
ル酸を通水性を有する被覆手段で被覆した状態で存在さ
せ、この処理液中に被処理物を浸漬する殺藻方法が開示
されている。
【0020】後記するように、アオノリ等の雜藻類の駆
除は、専ら、処理液のpHに依存しているので、前記し
た公知の塩酸、リン酸、フィチン酸、酒石酸、クエン
酸、リンゴ酸、コハク酸、グルコン酸等の何れの酸を単
味で用いても、組合わせて用いても、pH2程度で9〜
10分で十分駆除できる。
【0021】しかし、赤腐れ菌は、発生すると感染能力
が高いため、早く処理をして完全に死滅させなくてはな
らない。しかし、海中からの感染が直ちに起こるために
2〜6日の間隔で、処理をしなければ海苔が壊滅状態に
なる。
【0022】海苔の生産者は平均して100〜200枚
の海苔網を採苗しており、現在の処理剤の効力では、最
低でも5分の処理時間がかかるため100枚を浸漬する
時間だけでも8時間以上かかるため、1日に処理できる
のは30〜40枚である。従って赤腐れの蔓延がひどく
なるにつれ、赤腐れ菌の駆除が間に合わなくなり、海苔
が腐れ生産皆無となって海苔の生産が終了するのが現状
である。従って、より短時間処理で赤腐れ菌を駆除でき
る薬剤の開発が切望されている。
【0023】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、海苔
自体に害を与えることなく、赤腐れ菌を短時間に駆除で
きる薬剤を提供することである。
【0024】
【課題を解決するための手段】本発明者は前記の課題を
解決するため鋭意研究を行った結果、乳酸が赤腐れ菌に
対して、効果的に作用し、極めて短時間にこれを駆除し
得ることを見いだして本発明を完成した。またそれ単独
では0.5%濃度で1分浸漬しても赤腐れ菌駆除効果の
ないリン酸、酢酸の少なくとも1種を0.4%以下組合
わせることによって更に優れた効果をあげることを見い
だした。
【0025】すなわち本発明は次の通りである。 (1) 乳酸を有効成分として含有する海苔の赤腐れ菌
駆除剤。
【0026】(2) 乳酸を0.4重量%以上含有する
海水溶液よりなる海苔の赤腐れ菌駆除剤。
【0027】(3) 乳酸に加えて、リン酸及び酢酸よ
り選んだ少なくとも1種を併せ含有してなる海苔の赤腐
れ菌駆除剤。
【0028】(4) 乳酸0.15重量%以上に加え
て、リン酸0.1重量%以上及び酢酸0.1重量%以下
より選んだ少なくとも1種を併せ含有する海水溶液より
なる海苔の赤腐れ菌駆除剤。
【0029】本発明における、乳酸濃度は、後記の表に
示すように90重量%濃度の液の含有重量%で表わす。
従って0.4重量%以上とは、純乳酸に換算すると0.
36重量%となる。リン酸濃度も、75重量%濃度の液
の含有重量%で表わし、酢酸濃度も90重量%濃度の液
の含有重量%で表わすものとする。他の酸についても同
様とする。
【0030】乳酸、クエン酸等の有機酸及び塩酸、リン
酸の0.5重量(W/W)%海水溶液を調製した。赤腐れ
菌に感染した海苔葉体を1分間浸漬処理し、滅菌海水で
洗浄後、シャーレ中にて静置培養した。1晩後、顕微鏡
下で赤腐れ菌の駆除効果を調査した。又0.5重量%の
調製液にアオノリを浸漬し、黄緑色のアオノリが濃緑色
に変色する時間を調査した(濃緑色に変色したアオノリ
は次第に脱色し、海苔網から脱落していく)。
【0031】その結果を表1に示す。赤腐れ菌駆除効果
の判定は、次の判定基準による。 ○:完全に駆除 △:かなり抑制し、微かに赤腐れ菌がみられる。 ×:赤腐れ菌が、かなり拡がっている。
【0032】
【表1】 乳酸は、有機酸、無機酸の中で赤腐れ菌に対する駆除効
果が最も高いことを示している。アオノリに対する駆除
効果は、pHが低い程高く、pHに依存していることは
明らかである。0.5%液で比較すると、乳酸のみが1
分で赤腐れ菌を駆除するが、リン酸、塩酸、フィチン酸
のようにpHは2.2以下とかなり酸性が強いにもかか
わらず1分で赤腐れ菌を駆除することができない。他の
有機酸も効果がない。
【0033】次に前記実験で使用した有機酸、無機酸を
用い、pHを2.2に調整し、前記と同様の実験を行っ
て、赤腐れ菌及びアオノリに対する駆除効果を調査し
た。赤腐れ菌の駆除効果の判定基準は前記と同一であ
る。
【0034】その結果を表2に示す。
【表2】
【0035】表1の場合と同様に、赤腐れ菌に対して乳
酸は、顕著な駆除効果を示す。即ち同濃度、同pHに調
製して比較し、乳酸の効果は高い。アオノリに対する駆
除効果は、酢酸以外は駆除時間が10分前後と一致して
いる。この結果は表1の結果と合わせて考えてもpHの
みに依存していることが明らかである。例外の酢酸はア
オノリの駆除には5分で駆除し、海苔は20秒でも死滅
してしまうため、この濃度(7V/V%)ではアオノリ
(雜藻)駆除剤としても、赤腐れ菌駆除剤としても使え
ないことを示している。
【0036】pH2.2に調製した場合、乳酸、コハク
酸が20秒で赤腐れ菌を駆除しているが、他の酸は1分
でも効果がない。アオノリの駆除は、pH(水素イオン
濃度)に左右されるが、赤腐れ菌に対してはpHとの関
連は小さいことを示している。コハク酸は、乳酸に較べ
て、濃度が高く、しかも溶解度が小さいために実際の使
用には適さない。表2の結果より、判明することは、ア
オノリなど雑藻の駆除は専らpHに依存している。本発
明の乳酸が赤腐れ菌駆除の効果が大きいため、特開昭5
0−121425号公報で、乳酸が殺雑藻剤として公知
であることから、乳酸を使用して、殺雑藻をしていると
称して、実際には赤腐れ菌駆除に用い、侵害することが
考えられるが、殺雑藻目的であればpHにより駆除時間
は決まるので、より小濃度でpHを下げ得る酸は沢山あ
ることから、乳酸を殺雑藻用に混合使用することは経済
的にあり得ないことになる。
【0037】乳酸は、液体であり海水との混溶も問題が
ない。乳酸を使用することにより、0.4重量%以上の
濃度であれば20秒で赤腐れ菌を駆除することができ、
1分以内での処理が可能であり、海苔網200枚でも1
日で処理することが可能となる。
【0038】海水を含んだ大量の海苔が浸け込まれるた
め、付着海水により希釈され、そして海苔網全体を浸け
込むため、始めと終りとでは処理時間も異なってくる。
従って平均1分で効果を発揮するためには、実験では2
0秒位での駆除効果が必要である。
【0039】乳酸と他の酸との混酸で海苔網を処理する
場合、後記するように乳酸とリン酸、酢酸又はその両方
との混酸は相乗的効果があり、乳酸量を減らすことがで
きるが、他のリンゴ酸、コハク酸、クエン酸、グルコン
酸、塩酸、フィチン酸等との組み合わせでは、一般に考
えられる加成効果はなく、かえって他の酸を加える程、
乳酸の作用効果は下ってくるという興味ある結果を得て
いる。酒石酸の場合のみ0.1〜0.4%の範囲では乳
酸の作用妨害は少い。しかし相乗効果も認められない。
【0040】
【実施例】以下に実施例によって、本発明を更に具体的
に説明するが、本発明は、この実施例によって何等限定
されるものではない。 (実施例1)乳酸の濃度を変えて、前記の表1の場合と
同様の実験を行って、赤腐れ菌の駆除効果を調査した。
その結果を表3に示す。判定基準は表1と同様である。
【表3】 乳酸単味であれば、0.4重量%〜1.0重量%の濃度
で、20秒以上の処理時間があれば、完全に駆除できる
ことが判る。
【0041】(実施例2)乳酸の濃度を0.4重量%に
固定し、酢酸とリン酸を夫々個々に0.1〜0.4重量
%の間に変化させて、表1の場合と同様の実験を行っ
た。その結果を表4に示す。判定基準は表1と同様であ
る。
【表4】 これによると、乳酸0.4重量%に酢酸単味を添加した
場合は酢酸0.1重量%以下では20秒以上の処理時間
で、リン酸単味を添加した場合には、リン酸0.1〜
0.4重量%の配合で10秒以上の処理時間で赤腐れ菌
を駆除できる。酢酸を配合した場合、0.2重量%以上
の配合では20秒以下の短時間処理であれば、問題がな
いが、処理時間が30秒以上と長びくと海苔自体に障害
がでるおそれがある。
【0042】(実施例3)乳酸の濃度を0.4重量%に
固定し、リンゴ酸と酒石酸を夫々個々に0.1〜0.4
重量%の間に変化させて、表1の場合と同様の実験を行
った。その結果を表5に示す。判定基準は表1と同様で
ある。
【表5】 この結果によると、乳酸0.4重量%にリンゴ酸0.1
重量%以下配合した場合には、20秒以上の処理時間で
赤腐れ菌を駆除できるが、リンゴ酸が0.2重量%以上
になると、30秒以下の処理時間では赤腐れ菌の駆除が
不完全になる。また乳酸0.4重量%、酒石酸0.1〜
0.4重量%を配合した場合には、20秒以下の処理時
間で赤腐れ菌を駆除できることが判る。表1のリンゴ酸
単味では0.8w/v%で1分間浸漬しても、赤腐れ菌
駆除効果のないことと照合すると、乳酸+リンゴ酸の場
合の効果は専ら乳酸による効果であることが判る。同様
に酒石酸0.1〜0.4%を添加した時の効果も、表1
の酒石酸0.15v/v%単味で1分間浸漬しても赤腐
れ菌駆除効果がないことと照合すると、専ら乳酸による
効果であることが判る。
【0043】(実施例4)乳酸の濃度を0.4重量%に
固定し、コハク酸とクエン酸を夫々個々に0.1〜0.
4重量%の間に変化させて、表1の場合と同様の実験を
行った。その結果を表6に示す。判定基準は表1と同様
である。
【表6】 この結果によると、乳酸0.4重量%にコハク酸0.1
〜0.3重量%配合した場合には、30秒以上の処理時
間で、赤腐れ菌を駆除できるが、コハク酸が0.4重量
%以上になると、60秒以上の処理時間が必要になる。
クエン酸についても、乳酸0.4重量%に、クエン酸を
0.1〜0.2重量%配合した場合には、30秒以上の
処理時間で赤腐れ菌を駆除できるが、クエン酸が0.3
重量%以上になると、60秒以上の処理時間が必要とな
る。
【0044】(実施例5)乳酸の濃度を0.4重量%に
固定し、グルコン酸、塩酸、フィチン酸を夫々個々に
0.1〜0.4重量%の間に変化させて、表1の場合と
同様の実験を行った。その結果を表7に示す。判定基準
は表1と同様である。
【表7】 この結果によると、乳酸0.4重量%に、グルコン酸
0.1重量%以下配合した場合は、20秒以上の処理時
間で、塩酸0.1〜0.4重量%配合した場合は30秒
以上の処理時間で、フィチン酸0.1〜0.2重量%配
合した場合は30秒以上の処理時間で夫々、赤腐れ菌を
駆除できるが、夫々について、それ以上配合すると60
秒以上の処理時間が必要になる。
【0045】(実施例6)乳酸の濃度を0.4重量%〜
0.3重量%に夫々固定し、リン酸を0.2重量%に固
定して、酢酸を0.05〜0.2重量%の間に変化させ
た3元系の場合について、表1の場合と同様の実験を行
った。その結果を表8に示す。判定基準は表1と同様で
ある。
【表8】 この結果によると、乳酸0.3重量%の場合、0.4重
量%の場合共に、リン酸を0.2重量%にすると、酢酸
が0.1重量%以下の場合に、20秒以上の処理時間で
赤腐れ菌を駆除できることが判る。酢酸濃度が0.15
重量%以上になると、海苔自体に障害が生じて来て好ま
しくない。
【0046】(実施例7)リン酸濃度を0.2重量%に
固定し、酢酸を配合しない場合と酢酸を0.1重量%配
合した場合について、乳酸濃度を0.1〜0.3重量%
の間に変化させて、表1の場合と同様の実験を行った。
その結果を表9に示す。判定基準は表1と同様である。
【表9】 この結果によると、酢酸の配合のない場合は、乳酸濃度
は0.3重量%以上ないと、20秒での赤腐れ菌の駆除
ができないのに対し、酢酸を0.1重量%配合した場合
には、乳酸濃度0.15〜0.3重量%のいずれについ
ても20秒での赤腐れ菌の駆除が可能であり、乳酸量を
節減できることが判る。即ち、表8、表9の結果から、
乳酸、リン酸、酢酸の3種併用により赤腐れ菌に対する
殺菌力は相乗的に高められることが判明した。
【0047】酢酸を0.04重量%に固定し、リン酸を
0.2〜0.4重量%に変化させ、乳酸を0.05〜
0.3重量%に変化させた場合について、赤腐れ菌を駆
除し得る時間について実験を行った。その結果を表10
に示す。
【表10】 この結果によれば、酢酸を0.04重量%配合し、リン
酸を0.2重量%配合すれば、乳酸は0.15重量%以
上配合すれば、最小20秒での処理時間で赤腐れ菌を駆
除できることが判る。乳酸が0.1重量%で、20秒の
処理時間では、かなり抑制はしているが、微かに赤腐れ
菌が残る。乳酸0.05重量%では、60秒以上の処理
時間でないと駆除できない。この2例は比較例である。
乳酸0.3重量%では、20秒の処理でも、赤腐れ菌を
完全に駆除し、10秒でも、殆んど抑制しているという
結果を得た。
【0048】
【発明の効果】海苔養殖における、赤腐れ菌は感染能力
が高いため、迅速な処理で完全に死滅させることが必要
であるが、海苔の生産者の平均採苗数100〜200枚
に対して赤腐れ菌の駆除を間に合わすためには、20秒
〜30秒での駆除が必要である。乳酸を使用することに
より、これが可能になり、更にリン酸、酢酸を配合する
ことにより、乳酸量を減しても、相乗的に短時間駆除が
可能となった。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成5年4月23日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0036
【補正方法】変更
【補正内容】
【0036】pH2.2に調製した場合、乳酸、コハク
酸が20秒で赤腐れ菌を駆除しているが、他の酸は1分
でも効果がない。アオノリの駆除は、pH(水素イオン
濃度)に左右されるが、赤腐れ菌に対してはpHとの関
連は小さいことを示している。コハク酸は、乳酸に較べ
て、濃度が高く、しかも溶解度が小さいために実際の使
用には適さない。表2の結果より、判明することは、ア
オノリなど雑藻の駆除は専らpHに依存している。本発
明の乳酸が赤腐れ菌駆除の効果が大きいため、特開昭5
0−121425号公報で、乳酸が殺雑藻剤として公知
であることから、本発明が特許化された後の将来におい
て乳酸を使用して、殺雑藻をしていると称して、実際に
は赤腐れ菌駆除に用い、侵害することが考えられるが、
殺雑藻目的であればpHにより駆除時間は決まるので、
より小濃度でpHを下げ得る酸は沢山あることから、乳
酸を殺雑藻用に混合使用することは経済的にあり得ない
ことになる。 ─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成5年10月22日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】請求項4
【補正方法】変更
【補正内容】
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0028
【補正方法】変更
【補正内容】
【0028】(4) 乳酸0.10重量%以上に加え
て、リン酸0.1重量%以上及び酢酸0.4重量%以下
より選んだ少なくとも1種を併せ含有する海水溶液より
なる海苔の赤腐れ菌駆除剤。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0045
【補正方法】変更
【補正内容】
【0045】(実施例6)乳酸の濃度を0.4重量%〜
0.3重量%に夫々固定し、リン酸を0.2重量%に固
定して、酢酸を0.05〜0.2重量%の間に変化させ
た3元系の場合について、表1の場合と同様の実験を行
った。その結果を表8に示す。判定基準は表1と同様で
ある。
【表8】 この結果によると、乳酸0.3重量%の場合、0.4重
量%の場合共に、リン酸を0.2重量%にすると、酢酸
が0.1重量%以下の場合に、20秒以上の処理時間で
赤腐れ菌を駆除できることが判る。酢酸濃度が0.15
重量%以上になると、60秒間の処理で海苔に微かな障
害が認められた。その処理では20〜30秒間の処理で
十分であるため、事実上問題はない。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0046
【補正方法】変更
【補正内容】
【0046】(実施例7)リン酸濃度を0.2重量%に
固定し、酢酸を配合しない場合と酢酸を0.1重量%配
合した場合について、乳酸濃度を0.1〜0.3重量%
の間に変化させて、表1の場合と同様の実験を行った。
その結果を表9に示す。判定基準は表1と同様である。
【表9】 この結果によると、酢酸の配合のない場合は、乳酸濃度
は0.3重量%以上ないと、20秒での赤腐れ菌の駆除
ができないにの対し、酢酸を0.1重量%配合した場合
には、乳酸濃度0.15〜0.3重量%のいずれかにつ
いても20秒での赤腐れ菌の駆除が可能であり、又乳酸
量0.1重量%の時は、30秒間での赤腐れ菌の駆除が
可能であり、乳酸量を節減することができる。即ち、表
8、表9の結果から、乳酸、リン酸、酢酸の3種併用に
より赤腐れ菌に対する殺菌力は相乗的に高められること
が判明した。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 乳酸を有効成分として含有する海苔の赤
    腐れ菌駆除剤。
  2. 【請求項2】 乳酸を0.4重量%以上含有する海水溶
    液よりなる海苔の赤腐れ菌駆除剤。
  3. 【請求項3】 乳酸に加えて、リン酸及び酢酸より選ん
    だ少なくとも1種を併せ含有してなる海苔の赤腐れ菌駆
    除剤。
  4. 【請求項4】 乳酸0.15重量%以上に加えて、リン
    酸0.1重量%以上及び酢酸0.1重量%以下より選ん
    だ少なくとも1種を併せ含有する海水溶液よりなる海苔
    の赤腐れ菌駆除剤。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2013014245A1 (en) * 2011-07-26 2013-01-31 Helmholtz Zentrum München Deutsches Forschungszentrum Für Gesundheit Und Umwelt (Gmbh) Plant protective composition containing alpha-hydroxy acids

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