JPH06296679A - 医科歯科用セメント材料 - Google Patents

医科歯科用セメント材料

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JPH06296679A
JPH06296679A JP5084970A JP8497093A JPH06296679A JP H06296679 A JPH06296679 A JP H06296679A JP 5084970 A JP5084970 A JP 5084970A JP 8497093 A JP8497093 A JP 8497093A JP H06296679 A JPH06296679 A JP H06296679A
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和彦 南川
Tomihito Sugihara
富人 杉原
Yoshinobu Bandai
佳宣 萬代
Koji Nagatomi
功治 永冨
Hiroshi Inoue
宏 井上
Takanori Eto
隆徳 江藤
Yasuo Azezaki
泰男 畦崎
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 操作性に優れて修復部位の内面形状に適合し
やすく、さらに、生体親和性が良く、生体組織と置きか
わることのできる医科歯科用セメント材料を提供する。 【構成】 粉成分と液成分とからなる医科歯科用セメン
ト材料であって、前記粉成分として少なくとも化学活性
を有するリン酸カルシウム化合物を含み、前記液成分と
して少なくとも水を含み、ゼラチンおよび酸を必須成分
とすることを特徴とする医科歯科用セメント材料。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、骨欠損部や骨空隙部
の修復、および覆髄や根管充填に用いる医科歯科用セメ
ント材料に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、抜歯等により生じた骨欠損部や骨
空隙部の修復用の充填材として、ハイドロキシアパタイ
トあるいはその前駆体のβ−リン酸三カルシウムの顆
粒、ブロック体等が用いられている。ハイドロキシアパ
タイトやβ−リン酸三カルシウムは、生体に対して無害
ではあるが、長時間体内にあっても硬組織との一体化は
できず、硬組織と表面上で接着されているにすぎない。
【0003】これらは、充填する際には、顆粒はスラリ
ー状にして使用するが、充填部位から漏出しやすく、作
業性が悪い。一方、ブロック体は充填部位の形状に合わ
せて加工する必要があり、複雑な部位の場合には、適合
させることが難しい。また、これらの充填材は物理的刺
激による繊維組織による被包化や、当該材が塩基性であ
るため、埋入周囲組織の出血のため軟組織には使用でき
ない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】したがって、この発明
は、操作性に優れて修復部位の内面形状に適合しやす
く、さらに、生体親和性が良く、生体組織と置きかわる
ことのできる医科歯科用セメント材料を提供することを
課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、この発明にかかる医科歯科用セメント材料は、粉成
分と液成分とからなる医科歯科用セメント材料であっ
て、前記粉成分として少なくとも化学活性を有するリン
酸カルシウム化合物を含み、前記液成分として少なくと
も水を含み、ゼラチンおよび酸を必須成分とすることを
特徴とする。
【0006】この発明に粉成分として用いられる化学活
性を有するリン酸カルシウム化合物としては、α−リン
酸三カルシウム(以下、α−TCPと記す)、リン酸四
カルシウム(以下、4CPと記す)、リン酸八カルシウ
ム(以下、OCPと記す)等が挙げられる。これらは、
たとえば、生体内や口腔内において、生体硬組織の主成
分であるハイドロキシアパタイト(以下、HApと記
す)へ徐々に転化し、生体硬組織と一体化し得るもので
ある。上記化学活性を有するリン酸カルシウム化合物
は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0007】この発明において、ゼラチンを必須成分と
することにより、硬化後のセメント材の強度を高めるこ
とができる。また、ゼラチンのカルボキシル基がOCP
またはアパタイトの水酸基やリン酸基と一部置換して炭
酸アパタイト(以下、CO3−Apと記す)が生成す
る。CO3−Apは、生体組織と完全に置きかわること
ができる。
【0008】この発明に用いられるゼラチンとしては、
局方ゼラチン、水溶性ゼラチン(「ゼラチン21」新田
ゼラチン社製)等が挙げられるが、パイロジェンフリー
ゼラチンが特に好ましい。パイロジェンフリーゼラチン
は、生体への為害性が少ないからである。ここで、パイ
ロジェンフリーゼラチンとは、細菌の内毒素(高分子リ
ポポリサッカライド)等の発熱物質を除去したゼラチン
である。パイロジェンフリーゼラチンは、たとえば、ゼ
ラチンの原料であるオセインまたは獣皮をアルカリ処理
してパイロジェンフリー水で洗浄した後、ゼラチンを抽
出する方法(米国特許第4374063号参照)、ゼラ
チンを加水分解した後、限外濾過膜を透過させてパイロ
ジェンを濾別除去する方法(特開昭56−68607号
公報参照)等によって得ることができる。
【0009】この発明において、酸の役割は以下の通り
である。無機酸および酢酸は、生体硬組織と類似の硬化
体の生成を促進する。有機酸は、セメント材料の硬化を
促進し、硬化物の高度を高める。また、カルボン酸の場
合には、ゼラチンと同様、カルボン酸のカルシウム塩ま
たはCaCO3 とHAp、OCPとが二次反応してCO
3−Apを生成する。
【0010】この発明に用いられる酸としては、特に限
定はされず、カルボキシル基を有する有機酸特にキレ─
ト力のあるジまたはトリカルボン酸等が挙げられるが、
生体内のクエン酸回路で合成される有機酸が特に好まし
い。クエン酸回路で合成される有機酸は、生体への為害
性が少ないからである。具体的には、クエン酸、イソク
エン酸、オキソグルタル酸、スクシニルCo−A、コハ
ク酸、フマル酸、リンゴ酸、オキサロ酢酸等が挙げられ
る。また、アミノ酸およびポリアミノ酸も生体為害性が
なく、具体的には、アスパラギン酸、グルタミン酸等お
よびそれらの重合体、共重合体が挙げられる。上記酸
は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0011】上述のゼラチンは、微粉化することによっ
て、粉成分としての化学活性を有するリン酸カルシウム
化合物に粉成分として添加してもよく、液成分に溶解さ
せて使用してもよい。酸もまた同様である。この発明で
は、生体組織と完全に置きかわることのできるCO3
Apの生成が重要な効果を与える。化学活性を有するリ
ン酸カルシウム化合物は、転化して、OCP、HAp、
CO3−Ap等を生成するが、これらの生成物中のCO3
−Apの割合は、種結晶になる程度(数%)以上が好ま
しい。そのためには、カルボキシル基を供給するゼラチ
ンと化学活性を有するリン酸カルシウム化合物との割合
は、0.0025:1〜0.01:1が好ましい。な
お、カルボン酸を使用する時は、ゼラチン量を加減でき
る。
【0012】この発明の医科歯科用セメント材料は、上
記粉成分と液成分を練和し、パテ状として使用される。
この発明のセメント材料は、練和後1〜5分でパテ状と
なる。使用に際しては、粉成分の重量/液成分の重量
(粉液重量比。以下、「P/L比」と記す)=1.8〜
2.3の比率で練和されることが好ましい。この範囲を
外れて粉成分が多い場合には練和中に粉成分の全量を液
成分と混ぜ合わすことができないおそれがあり、液成分
が多い場合にはセメントの流動性が大きくなり成形がで
きないおそれがある。
【0013】このパテ状セメント材は、たとえば、2〜
10分間で硬化してしまい変形できなくなるので、それ
までの間にこのパテ状セメント材を、たとえば、通常の
やり方に従って患部に充填する。充填されたパテ状セメ
ント材は、生体内または口腔内の環境下で、たとえば、
3日間で完全にHAp、炭酸アパタイト(以下、CO 3
−Apと記す)へ転化し、一部新生骨に置換され、生体
組織と一体化する。
【0014】また、患部へパテ状セメント材を直接充填
し成形体を得た後、取り出してオートクレーブ処理を行
って硬化させ、再度この成形体を患部へ充填してもよ
い。オートクレーブ処理を行うことにより、HAp、C
3−Apの生成を促すことができ、さらに、炎症の原
因となる未反応の酸を除去することができる。なお、オ
ートクレーブ処理を行うと成形体の強度がやや低下する
ため、たとえば、海綿骨や軟組織や歯肉等の成形体の強
度があまり必要とされない部位にこの充填方法を適用す
ればよい。
【0015】
【作用】この発明にかかる医科歯科用セメント材料は、
生体内で転化して生体硬組織の主要成分であるHAp、
CO3−Apを生成する。CO3−Apは、酸またはゼラ
チンのカルボキシル基が反応し、HApの水酸基または
リン酸基の一部を置換することによって生成する。とこ
ろで、HApは、破骨細胞による貪食を受けないため、
骨芽細胞による骨の生成が行われない。このため、生体
組織と完全には置きかわらず、表面上で接着しているに
すぎない。一方、CO3−Apは、破骨細胞により貪食
されるため、骨芽細胞による骨の生成が行われる。この
ため、生体組織と完全に置きかわることができる。した
がって、この発明にかかる医科歯科用セメント材料は、
生体親和性に優れている。
【0016】また、この発明にかかる医科歯科用セメン
ト材料は、ゼラチンを必須成分とするため、練和時の操
作性が良く、硬化後の成形体は高強度である。
【0017】
〔測定方法〕
(1) 硬化時間 JIS−T−6602の歯科用リン酸亜鉛セメントの硬
化時間測定方法に準じた。すなわち、硬化性材料を練和
したもの(セメント泥)を直径10mm、高さ5mmのリン
グに満たし、練和開始から3分後に室温37℃、相対湿
度95%以上の環境下で質量300gのビカ─針(針の
断面積1mm2 )の圧痕がつかなくなるまでの時間を硬化
時間とした。硬化時間は、3回の測定値の平均を15秒
単位で丸めて表した。 (2) 破砕抗力 内径6mm、高さ12mmの円筒状ステンレス金型にセメン
ト泥を充填し、両端を肉厚のガラス板で挟み、加圧し
た。練和開始3分後、加圧したまま温度37℃、相対湿
度100%の恒温器中に移した。30分後、硬化物を金
型から取り出し、37℃の蒸留水中に浸漬し、練和開始
24時間後に蒸留水から取り出し、試験片とした。この
試験片を島津オートグラフAG−2000Aを用いて破
砕抗力を測定した。クロスヘッドスピードは1mm/分、
測定は10個の試験片について行い、その総平均値の−
15%以下の数値を除いた残りの数値の平均値を測定値
とした。ただし、総平均値の−15%以下の数値が2個
以上の時は、再試験を行った。 (3) 崩壊率 崩壊率試験は、次の各号の順序により行う。
【0018】(a) 標準ちょう度のセメント0.5ml
を2回計量し、ガラス板の上にとる。 (b) この2個の試験片に質量既知の適当な長さの耐酸
性細線を挿入する。 (c) これを他のガラス板で軽く圧接してセメントの直
径を約20mmとし、練和を開始したときから3分を経
過したとき、温度37℃、相対湿度100%の恒温器中
に移す。
【0019】(d) 練和を開始したときから1時間を経
過したとき、2個の試験片をガラス板から剥離し、直ち
に質量既知の内容積約100mlの共せんガラスびんに
入れて栓をし、秤量する。 (e) この質量とびん及び細線の合計質量との差を求
め、試験片の質量ととする。
【0020】(f) これに50mlの蒸留水を入れ、2
個の試験片を細線をもって水中に懸垂させ、軽くせんを
して温度37℃の恒温器中に24時間保つ。 (g) 試験片をびんから取り出し、その表面に結晶の析
出が有るかどうかを調べる。 (h) ガラスびんを水浴上で加熱して蒸発させ、さらに
温度150℃の恒温器中で、びんの質量変化が24時間
につき0.5mg以下になるまで乾燥させる。
【0021】(i) 次にデシケ─タの中に入れて放冷し
た後、びんを秤量する。 (j) この値からもとのガラスびんの質量を引いて蒸発
残留物の質量を求め、試験片のもとの質量に対する%を
求め、これを崩壊率とする。 (4) 硬化体pH コンパクト・ピーエイチ・メーター(COMPACT pH METER)
(商品名「CARDY」、堀場製作所製)を用いて測定
した。まず初めに、コンパクト・ピーエイチ・メーター
のセンサーの上に吸水紙を載せ、蒸留水を2〜3滴注い
で紙を湿らせた。次に、湿らせた吸水紙の上に、硬化性
材料を1分間練和したもの(セメント泥)を流し込み、
練和開始から5分後、15分後、30分後、45分後、
60分後、75分後、90分後にそれぞれ常温下でセメ
ント材料の練和物近傍で測定したpH値を、セメント泥
pHとした。また、練和開始後24時間の成形体のpH
を同様に測定して、成形体のpHとした。 (5) X線回析 粉末X線回析装置(MXP3 、マックサイエンス社製)
を用いて、同定した。 (6) 走査電顕 走査電子顕微鏡(CS−2100A型、株式会社日立製
作所製)で表面を観察した。
【0022】−実施例− 粉成分として、粒子径32μm以下のリン酸4カルシウ
ム(Ca4(PO42O)と、粒子径32μm以下のリ
ン酸カルシウム2水和物(CaHPO4・2H2O)を等
モルずつ混合した。一方、液成分として、ゼラチン(牛
骨由来)を0.5%(w/v)含む40%(w/w)ク
エン酸水溶液を調製した。これらの粉成分と液成分を、
P/L比=2.0で組み合わせてセメント材料を得た。
【0023】−比較例− 液成分にゼラチンを含まないこと以外は、実施例と同様
にしてセメント材料を得た。実施例、比較例のセメント
材料について、上述の物性測定を行った。結果を表1、
図1〜7に示した。なお、以下でオートクレーブ処理
は、121℃、2atm、25分行った。
【0024】
【表1】
【0025】1.硬化時間 表1にみるように、練和物は、実施例、比較例ともに、
練和開始後約1分30秒よりパテ状を呈し、2〜3分の
間に硬化を完了した。 2.破砕抗力 表1にみるように、初期硬化後の成形体の破砕抗力は、
実施例、比較例ともに、オートクレーブ処理を行ったも
のでは、処理前に比べて約1/2以下の強度に低下した
値を示した。 3.崩壊率 表1にみるように、崩壊率は、ゼラチンを含む実施例
が、比較例よりも若干高い値を示した。 4.硬化体pH 図1にみるように、実施例、比較例ともに、硬化反応直
後は一時的に低いpH値を示すが、硬化に伴い経時的に
中性付近に推移した。また、硬化24時間後の成形体の
pHも、双方とも、未反応な酸の徐放に伴って経時的に
pH6付近に推移した。 5.X線回析 実施例、比較例について、初期硬化後の硬化体(a)、
それら硬化体を水中に浸漬させたもの(b)、初期硬化
後オートクレーブ処理した硬化体(c)の3種について
X線回析を行った。結果をそれぞれ図2〜7に示した。
各チャートの上に付した記号は上記(a)、(b)、
(c)に対応する。
【0026】図8は、HAp、4CP、リン酸水素カル
シウム二水和物(以下、DCPDと記す)、リン酸水素
カルシウム(以下、DCPAと記す)、炭酸カルシウム
(CaCO3 )のX線回析結果である。図2〜7より、
実施例、比較例ともに、その結晶形態は、図8に示され
るような、主に多種のリン酸カルシウムが混ざり合った
アモルファスな結晶形態であることが分かる。ところ
が、その主なピークは条件変化に伴い変わっていき、初
期硬化反応のみでは未反応DCPDのピークが顕著であ
り、HApとCO3 −Apとの混合物(以下アパタイト
と略す)の生成はあまり進行していない。水中に浸漬さ
せたものでは、DCPDからDCPAへの主要ピークの
変化が確認されるが、依然として未反応な4CPのピー
クが残存し、生成したアパタイトは低結晶なものであ
る。一方、硬化体にオートクレーブ処理を行うと、ほぼ
純粋なCO3 −Apに置換しており、オートクレーブ処
理によりCO3 −Apの生成が促進されたことが分か
る。
【0027】これらの生成アパタイトは、初期硬化反応
後より炭酸カルシウムのピークが多く確認されることよ
り、近年、より生体骨に近いとされるCO3−Apが生
成されていると考えられる。生体骨近似なCO3−Ap
は、化学活性のないセラミックスタイプのHApとは異
なり、化学活性が高く、生体骨との界面結合のみならず
骨と置換し得るものであり、生体材料として非常に好ま
しい。CO3−Apの炭酸の供給源は、酸やゼラチンの
有するカルボキシル基が置換したものであると考えられ
る。
【0028】また、オートクレーブ処理によって、過剰
な酸が除去され、生体組織に与える為害作用は少なくな
る。しかし、破砕抗力の結果にみられた様に、オートク
レーブ処理でCO3 −Apが生成されることにより、そ
れまで骨材効果を発揮していた未反応物質が無くなり、
硬化体内部の強度が、主に生成したCO3 −Ap結晶同
士の絡み合いによって維持されることになるため、強度
低下が起こる。この発明のセメント材料は、長期にわた
って高い圧縮強度を必要とするものではないが、初期に
おいてはある程度の強度維持が望ましいと考えられる。
【0029】−応用例1− この発明のセメント材料の組織親和性を検討するため、
実施例のセメント材料をオートクレーブ処理したものを
ラットの皮下に埋入した。 (方法)SDラット7週齢雄の背面の体毛を除去し、エ
タノ─ルヒビテンで洗浄後、同部位を切開、筋膜を剥離
した。前述の成型体を剥離筋膜下に埋入、すみやかに縫
合したのち、抗菌スプレ─を用いて創面をコ─ティング
した。所定期間後に屠殺し、採取した成型体をエタノ─
ルにて洗浄後試験に供した。
【0030】−比較応用例1− 比較例のセメント材料を用いた以外は、応用例1と同様
に行った。応用例1、比較応用例1のセメント材料につ
いて、上述の物性測定を行った。結果を図9〜11に示
した。 1.破砕抗力 セメント材料をラット背部皮下へ埋入したものの経時的
な破壊抗力を図9に示す。図9より、比較応用例はほぼ
直線的に強度が低下していくのに対し、応用例では強度
の低下は緩やかであり、2週以後は強度が150kgf/cm
2 以上で維持されていることが分かる。 2.X線回析 セメント材料をラット背部皮下へ埋入したものの経時的
な反応生成物を同定した結果を図10(応用例1)、図
11(比較応用例1)に示す。図10、11より、応用
例1は比較応用例1に比べ、アパタイト結晶の成長が比
較的遅れて開始されている。よって、強度低下を及ぼす
アパタイト結晶の成長が比較的早い比較応用例では、強
度低下が顕著であると考えられ、破砕抗力の結果と一致
している。 3.走査電顕 X線回析に供した試料と同じものを走査型電子顕微鏡で
観察したところ、応用例1については表面に繊維状の物
質が確認されたが、比較応用例1には繊維状の物質は確
認されなかった。この繊維状の物質はゼラチン繊維と思
われる。すなわち、オートクレーブ処理を行っても一部
のゼラチン繊維は残存することを示す。これらがオート
クレーブ処理により丈夫な網目状繊維物を形成し、生体
内での硬化体自体の崩壊を緩やかにして、アパタイト結
晶の成長を遅延させ、初期における強度維持に効果をも
たらしていると考えられる。
【0031】−応用例2− ゼラチンをパイロジェンフリーゼラチン「ビスタプラズ
マ」( 新田ゼラチン)に置きかえた他は実施例と同様の
セメント材料を用いて、応用例1と同様に行った。これ
について、破砕抗力、X線回析、走査電顕の結果を表2
および図12に示す。図12にみるように、初期(〜1
週)においては、応用例1とほぼ同様の結果を示してい
る。したがって、より生体親和性が高いパイロジェンフ
リーゼラチンを用いることが望ましい。応用例2につい
ても、表面に繊維状の物質が確認された。
【0032】
【表2】
【0033】
【発明の効果】この発明の医科歯科用セメント材料は、
操作性に優れて修復部位の内面形状に適合しやすく、さ
らに、生体親和性が良く、生体組織と置きかわることが
できる。したがって、抜歯後の歯槽堤形成のための歯槽
骨、顎骨への充填や、歯牙組織、骨組織への直接充填、
接着材や固着材等への利用も可能である。また、ゼラチ
ンとしてパイロジェンフリーゼラチンを用いれば、出血
歯槽骨充填患部での止血効果もある。パイロジェンフリ
ーゼラチンの含有量を多くすれば、膜状成形物も作製で
きるので、GTR(Guided Tissue Regeneration)法に
用いる生体吸収性膜としての用途にも有効である。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例および比較例のセメント泥、成形体のp
Hの経時的変動を示す。
【図2】実施例の硬化体のX線回析装置によるチャート
(a)を示す。
【図3】実施例の硬化体のX線回析装置によるチャート
(b)を示す。
【図4】実施例の硬化体のX線回析装置によるチャート
(c)を示す。
【図5】比較例の硬化体のX線回析装置によるチャート
(a)を示す。
【図6】比較例の硬化体のX線回析装置によるチャート
(b)を示す。
【図7】比較例の硬化体のX線回析装置によるチャート
(c)を示す。
【図8】HAp、4CP、DCPD、DCPA、CaC
3 のX線回析装置によるチャートを示す。
【図9】応用例1および比較応用例1の硬化体の破砕抗
力の経時的変動を示す。
【図10】応用例1の硬化体のX線回析装置によるチャ
ートを示す。
【図11】比較応用例1の硬化体のX線回析装置による
チャートを示す。
【図12】応用例2の硬化体のX線回析装置によるチャ
ートを示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 永冨 功治 大阪府八尾市二俣2丁目22番地 新田ゼラ チン株式会社大阪工場内 (72)発明者 井上 宏 大阪府堺市浜寺昭和町2―182―2 (72)発明者 江藤 隆徳 大阪府吹田市千里山西5―19―2 (72)発明者 畦崎 泰男 大阪市旭区今市1―1―11

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 粉成分と液成分とからなる医科歯科用セ
    メント材料であって、前記粉成分として少なくとも化学
    活性を有するリン酸カルシウム化合物を含み、前記液成
    分として少なくとも水を含み、ゼラチンおよび酸を必須
    成分とすることを特徴とする医科歯科用セメント材料。
  2. 【請求項2】 酸がクエン酸回路で合成される酸および
    /またはグルタミン酸,アスパラギン酸およびそれらの
    重合体である請求項1記載の医科歯科用セメント材料。
  3. 【請求項3】 ゼラチンがパイロジェンフリーゼラチン
    である請求項1または2記載の医科歯科用セメント材
    料。
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