JPH0629356B2 - 熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

熱可塑性樹脂組成物

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JPH0629356B2
JPH0629356B2 JP60263417A JP26341785A JPH0629356B2 JP H0629356 B2 JPH0629356 B2 JP H0629356B2 JP 60263417 A JP60263417 A JP 60263417A JP 26341785 A JP26341785 A JP 26341785A JP H0629356 B2 JPH0629356 B2 JP H0629356B2
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resin
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謙治 延原
守 野間
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Japan Synthetic Rubber Co Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】 a.産業上の利用分野 本発明は、ゴム変性熱可塑性樹脂組成物の機械的性質お
よび成形加工性を低下させることなく、艶消しされた表
面を有する成形加工品を得ることがき、そのウェルド部
の外観不良が改良された樹脂組成物に関する。
b.従来の技術 ゴム変性熱可塑性樹脂は、優れた耐衝撃性、成形性およ
び良好な表面光沢を有することから、種々の用途に使用
されている。しかしながら、使用される用途によって
は、他の物性を低下させることなく、成形品の表面を艶
消しの状態にしたものが望まれる場合がある。
このような艶消しが要求される用途としては、自動車の
内装部品、事務用および家庭用電気機器部品などが挙げ
られる。
従来の成形品の艶消し方法としては、チタン、マグネシ
ウム、カルシウムなどの酸化物や炭酸塩をゴム強化樹脂
に添加する方法がよく知られているが、この方法では樹
脂の機械的性質、特に衝撃強度を大きく低下させる難点
があり、また艶消しにはなるが成形品表面の艶が均一に
消えないし、また特に成形品のウェルド部の外観(艶ム
ラ)が悪い欠点がある。
また、ゴム強化樹脂にゴム質弾性体を添加することによ
り艶を消す方法もよく知られているが、この方法では樹
脂の機械的性質、特に硬度、剛性が低下する。また、成
形品の表面上に異物状のものが現われ成形品の商品価値
を著しく損う。
さらに、架橋性モノマーを用いて三次元化した樹脂成分
を添加する方法も知られているが、成形品表面に光沢む
らを生じ、また成形性を低下させるなどの欠点を有して
いた。
c.発明が解決しようとする問題点 本発明者らは、上述の従来知られていた技術上の問題点
である耐衝撃性、剛性、成形性等の低下、成形品のウェ
ルド部の光沢むらの発生などの欠点を改良した、艶消し
ゴム強化熱可塑性樹脂を開発することを目的として鋭意
研究を重ねた結果、本発明に到達したものである。
d.問題点を解決するための手段 本発明は、ゴム状重合体を5〜40重量%含有しかつエチ
レン性不飽和カルボン酸0.3〜3重量%を共重合させた
ゴム変性芳香族ビニル系熱可塑性樹脂組成物100重量部
に、芳香族ビニル化合物−共役ジエンブロック共重合体
1〜10重量部を添加してなる熱可塑性樹脂組成物、およ
び、これに平均粒子径0.5〜15μmの無機質充填剤0.5〜
15重量部を添加してなる熱可塑性樹脂組成物を提供する
ものである。
上記ゴム変性芳香族ビニル系熱可塑性樹脂組成物(A)
は、ゴム状重合体(a)の存在下もしくは非存在下に、ビ
ニル芳香族化合物(b)、ビニルシアン化合物(c)、エチレ
ン性不飽和カルボン酸(d)および必要に応じてこれらと
共重合可能な化合物(e)からなる単量体混合物(f)を重合
してなる共重合体を含有するものである。
上記ゴム状重合体(a)としては、ジエン系ゴム状重合体
および非ジエン系ゴム状重合体が使用できる。
ジエン系ゴム状重合体としては、ポリブタジエン、天然
ゴム、スチレン−ブタジエン共重合体(SBR)、アクリロ
ニトリル−ブタジエン共重合体(NBR)、ポリイソプレ
ン、ポリクロロプレンなどが挙げられる。これらのゴム
状重合体(a)は、乳化重合、溶液重合などによりつくら
れ、また、スズまたはリチウムなどによりカップリング
されたポリブタジエン、ポリイソプレン、SBR、さらに
スチレン−ブタジエンブロック共重合体なども使用する
ことができる。これらのゴム状重合体は、単独または2
種以上を混合して使用することができる。
一方、非ジエン系ゴム状重合体としては、エチレン−プ
ロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−非共役ジエ
ン共重合体、塩素化ポリエチレン、アクリル系ゴム状重
合体などが挙げられる。これらの非ジエン系ゴム状重合
体は、単独または2種以上混合して使用することができ
る。また、ジエン系ゴム状重合体と非ジエン系ゴム状重
合体を混合して使用することもできる。
ビニル芳香族化合物(b)としては、スチレン、α−メチ
ルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレ
ン、p−メチルスチレン、α−エチルスチレン、メチル
−α−メチルスチレン、ジメチルスチレン、クロルスチ
レン、ジクロルスチレン、ブロムスチレン、ジブロムス
チレン、ビニルナフタレンなどがあげられるが、好まし
い単量体はスチレン、α−メチルスチレンである。
ビニルシアン化合物(c)としては、アクリロニトリル、
メタクリロニトリルなどが例示される。
エチレン性不飽和カルボン酸(d)としては、アクリル
酸、メタクリル酸、エタクリル酸、イタコン酸、マレイ
ン酸、フマル酸などを挙げることができるが、好ましい
単量体はアクリル酸、メタクリル酸である。
上記単量体と共重合体可能な化合物(e)としては、例え
ばアミド基を有するビニル化合物、N−メチロール化合
物、エチレン系不飽和カルボン酸エステルおよび多官能
性単量体などを使用することができる。
アミド基を有する化合物あるいはN−メチロール化合物
としては、例えばアクリルアミド、メタクリルアミド、
N−メチロールアクリルアミドなどがある。
エチレン系不飽和カルボン酸エステル化合物としては、
アルキルアクリレート、アルキルメタクリレートおよび
エチレン系不飽和カルボン酸とヒドロキシアルキルのエ
ステルなどがあり、アルキルアクリレートとしては、た
とえばメチルアクリレート、エチルアクリレートなどで
ある。アルキルメタクリレートとしては、例えばメチル
メタクリレート、エチルメタクリレートなどである。エ
チレン系不飽和カルボン酸のヒドロキシアルキルエステ
ルとしては、例えばβ−ヒドロキシエチルアクリレー
ト、β−ヒドロキシエチルメタクリレートなどである。
多官能性単量体としては、ジビニルベンゼンなどがあ
る。
本発明による上記樹脂組成物の好ましい実施態様は次の
とおりてある。
(1)ゴム状重合体(a)の存在下に、ビニル芳香族化合物
(b)、ビニルシアン化合物(c)、エチレン性不飽和カルボ
ン酸(d)および必要に応じてこれらと共重合可能な化合
物(e)からなる単量体混合物(f)を重合してなるグラフト
共重合体(A′)からなる組成物。
(2)ビニル芳香族化合物(b)、ビニルシアン化合物(c)、
エチレン性不飽和カルボン酸(d)および必要に応じてこ
れらと共重合可能な化合物(e)からなる単量体混合物(f)
を重合してなる共重合体(A″)とゴム変性熱可塑性樹
脂(B)からなる組成物、または上記(A″)、(B)および
ビニル芳香族系(共)重合体(C)からなる組成物。
(3)上記(A′)を必須成分とし、これと(A″)、(B)
および(C)の少なくとも1種とからなる組成物。
(4)上記(A″)を必須成分とし、これと(A′)およ
び(B)の少なくとも1種とからなる組成物。
上記の各組成物のうち、好ましいものは(2)、(3)、(4)
であり、特に好ましいものは(2)である。
前記グラフト共重合体(A′)もしくは共重合体
(A″)は、ゴム状重合体(a)の存在下または非存在下
に、前記単量体混合物(f)を乳化重合、懸濁重合、溶液
重合、塊状重合またはこれらを組合せた重合方法などに
より得られる。
重合系のpHを調節するために、エチレン性不飽和カルボ
ン酸を塩基により中和し、重合後、鉱酸によってカルボ
ン酸に戻す方法も可能である。
また上記実施態様におけるゴム変性熱可塑性樹脂(B)と
しては、例えばアクリロニトリル−ブタジエン−スチレ
ン共重合体(ABS樹脂)、アクリロニトリル−ブダジエ
ン−スチレン−α−メチルスチレン共重合体およびさら
にこれらにメチルメタクリレートを含む共重合体(耐熱
ABS樹脂)、アクリロニトリル−エチレン・αモノオレ
フィン−スチレン共重合体(AES樹脂)、アクリロニト
リル−ブチルアクリレート−スチレン共重合体(ASA樹
脂)、メチルメタアクリレート−ブタジエン−スチレン
共重合体(MBS樹脂、ゴム変性ポリスチレン(HIPS樹
脂)、ポリカーボネート樹脂とABS樹脂あるいはAES樹脂
との混合樹脂、ABS樹脂に塩化ビニル樹脂を複合させた
難燃性樹脂およびABS樹脂に難燃剤に配合し難燃性ABS樹
脂などがあげられる。これらゴム変性熱可塑性樹脂(B)
の中で、ビニル芳香族単量体およびビニルシアン化合物
単量体を含むものが特に好ましい。
上記実施態様におけるビニル芳香族系(共)重合体(C)
としては、前記ビニル芳香族化合物(b)単独の重合体、
または該ビニル芳香族化合物(b)とビニルシアン化合物
(c)および前記共重合可能な化合物(e)から選ばれた少な
くとも1種との共重合体があげられる。
本発明において、組成物(A)中のゴム状重合体(a)の含有
量は5〜40重量%であり、好ましくは5〜30重量%であ
る。
また該組成物中のエチレン性不飽和カルボン酸の含有量
は0.3〜3重量%であり、好ましくは0.3〜2重量%さら
に好ましくは0.3〜1重量%未満、特に好ましくは0.3〜
0.9重量%である。
また上記組成物中のビニル芳香族化合物(b)の含有量は5
4.7〜90重量%が好ましく、さらに好ましくは59.5〜90
重量%であり、ビニルシアン化合物(c)の含有量は4.7〜
40重量%が好ましく、さらに好ましくは4.5〜35重量%
であり、他の共重合可能な化合物(e)は20重量%以下が
好ましく、さらに好ましくは0〜10重量%である。
ゴム状重合体(a)は耐衝撃性の向上に寄与し、5重量%
未満では耐衝撃性のものが得られず、一方、40重量%を
こえると硬度が低下し、その用途に制限をうけることに
なる。
エチレン性不飽和カルボン(d)の酸単量体の含有量は0.3
重量%未満では艶消し効果十分ではなく、また、3重量
%を越えると成形品の表面に光沢のムラが発生し、不均
一な艶消し状態となるため好ましくない。
ビニルシアン化合物(e)の含有は、耐衝撃性、耐薬品性
の向上に寄与し、含有量が少ないと耐衝撃性、耐薬品性
の低下の原因となるため好ましくなく、一方、多くなる
と加工性、色調の低下の原因となり好ましくない。
ビニル芳香族化合物(b)の含有は成形性に寄与し、その
含有量が少なくなると成形性が低下し、一方、多いとビ
ニルシアン化合物単量体の使用量が少なくなり、先に示
した好ましくない挙動が生じる。
前記グラフト共重合体(A′)としては、該(A′)中
のゴム状重合体(a)および単量体混合物(f)の成分比(重
量%)は5〜60/95〜40が好ましく、さらに好ましくは
5〜40/95〜60である。
また単量体混合物(f)の各成分の構成比(合計100重量
%)は、ビニル芳香族化合物(b)/ビニルシアン化合物
(c)/エチレン性不飽和カルボン酸(d)/他の共重合可能
な化合物(e)の比が、30〜92.68/7〜40/0.32〜30/0〜25
が好ましく、さらに好ましくは45〜89.47/10〜35/0.53
〜20/0〜15である。
また、前記共重合体(A″)としては、該(A″)を構
成する単量体混合物(f)の組成比は、ビニル芳香族化合
物(b)/ビニルシアン化合物(c)/エチレン性不飽和カル
ボン酸(d)/他の共重合可能な化合物(e)の比(合計100
重量%)が、30〜92.6/7〜40/0.4〜30/0〜25が好まし
く、さらに好ましくは45〜89.5/10〜35/0.5〜20/0〜15
である。
上記(A′)または(A″)中のエチレン性不飽和カル
ボン酸の含有量が少なすぎると艶消し効果が充分得られ
ず、また多すぎるとゴム変性熱可塑性樹脂との混合性が
低下する。
また上記共重合体(A′)、(A″)のメチルエチルケ
トン(MEK)可溶分の極限粘度〔η〕(MEK30℃)は0.3〜
0.8d/gが好ましく、0.3d/g未満では艶消し効
果が充分でなく、また0.8d/gをこえると成形品の
艶消し状態が不均一となり、好ましくない。
本発明に使用される芳香族ビニル化合物−共役ジエンブ
ロック共重合体(以下、単にブロック共重合体という)
は、ゴム変性芳香族ビニル系熱可塑性樹脂100重量部に
対し1〜10重量部、好ましくは2〜8重量部である。1
重量部未満では、十分な艶消し効果が得られず、またウ
ェルド部の外観不良が十分に改善がされない。一方、10
重量部を超えると加工性が低下し好ましくない。
ブロック共重合体を構成する芳香族ビニル化合物は、先
に示したものが使用できる。これらのうち特に好ましい
ものはスチレンである。一方、共役ジエン化合物として
は、例えばブタジエン、イソプレン、ピペリレンなどが
挙げられる。これらのうち好ましいものはブタジエン、
イソプレンである。
本発明で使用される好ましいブロック共重合体として
は、 で示されるブロック共重合体であり、全芳香族ビニル化
合物の含量が25〜90重量%、好ましくは28〜90重量%で
ある。
本発明で使用される特に好ましいブロック共重合体とし
ては、次の構造を有するものであり、このブロック共重
合体を使用すると、さらに1段とすぐれたウェルド強度
の改良が期待できる。
すなわち、芳香族ビニル化合物の含量が25〜95重量%の
ブロック共重合体であって、一般式 で表わされものであって、かつ芳香族ビニル化合物がモ
ノマー単位で1個もしくは4個以上連らなった連鎖を構
成する芳香族ビニル化合物の含量が、芳香族ビニル化合
物全体の1〜25重量%、好ましくは2〜20重量%、さら
に好ましくは5〜20重量%である。
一方、テーパーブロックの好ましい数は2〜7個であ
る。
本発明に使用されるブロック共重合体は、例えば次のよ
うな方法で製造することができる。
すなわち炭化水素溶媒中にエーテルまたは第3級アミン
を添加し、有機リチウム化合物を開始剤として用い、ま
ず、芳香族ビニル化合物を重合し、重合反応が実質的に
終了したのち、芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物
の混合物を2回〜10回に分けて添加して重合し、必要な
らそののち、1回添加分と等量の共役ジエンを添加して
重合する。
さらに一般式A−B−Aのブロック共重合体は、そのの
ち芳香族ビニル化合物を重合して得られる。また一般式
(A−B)nXのブロック共重合体は、そののち従来公
知のカップリング剤、例えばテトラクロロシランなどを
用いてカップリング反応を行うことによって得られる。
なお(A−B)n型ブロック共重合体は、上記A−B−
A型の製造において、最初に共役ジエンと芳香族ビニル
化合物を同時に加えて重合すればよい。またA−B−A
型のブロック共重合体の製造においては最後の芳香族ビ
ニル化合物を重合しなければよい。
上記の芳香族ビニル化合物と共役ジエンの混合物を2回
〜10回に分けて重合する工程において各回の単量体の使
用量は同程度の方が好ましく、また、モノマーを添加す
る方法としてはモノマー混合物を添加する方法、または
共役ジエンと芳香族ビニル化合物を別々に同時に添加し
ても良い。
ブロック共重合体中の好ましい芳香族ビニル化合物の連
鎖分布の量は、炭化水素溶媒中にエーテルまたは第3級
アミンをモノマー100重量部当り0.005〜5重量部、好ま
しくは0.005〜0.5重量部添加することにより得られる。
本発明に使用されるブロック共重合体の製造に用いられ
る炭化水素溶媒としては、シクロペンタジエン、シクロ
ヘキサン、ベンゼン、キシレンおよびこれらとペンタヘ
キサン、ヘプタン、ブタンなどとの混合物が用いられ
る。
また有機リチウム化合物としては、n−ブチルリチウ
ム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム、n
−ヘキシルリチウム、iso−ヘキシルリチウム、フェニ
ルリチウム、ナフチルリチウムなどが用いられる。
本発明に使用されるブロック共重合体の重量平均分子量
は、10,000〜800,000、好ましくは、50,000〜500,000
で、この範囲より小さいと耐衝撃性の改良が期待でき
ず、またこの範囲より大きいと、(A)〜(C)成分との相溶
性が悪くなり好ましくない。
本発明の組成物に、目的により1価、2価あるいは3価
の金属化合物の少なくとも1種を添加することができ
る。好ましい添加量は、エチレン性不飽和カルボン酸に
対して0.1〜0.2モル比で配合される。好ましい化合物と
しては、ZnO、A、K2O、CaO、SnO、FeO、Na
2O、BaO、MgOなどである。
その他、本発明の組成物にはその用途に応じてガラス繊
維のごとき強化剤、熱安定剤、酸化防止剤、発泡剤、光
安定剤、難燃剤、可塑剤、離型剤、帯電防止剤、染料な
どを添加することができる。
これらのうち特に、無機質充填剤(D)の添加は、本発明
の効果、特に表面低光沢(艶消し)、表面外観、ウェル
ド部の外観の改良に効果的であり、就中その充填剤の特
定形状および特定量の添加により上記効果が十分発現で
きる。
該充填剤の好ましい形状および添加量は次のとおりであ
る。
すなわち前述のゴム変性芳香族ビニル系熱可塑性樹脂組
成物(A)に添加する無機質充填剤(D)の平均粒子径は、好
ましくは0.5〜15μm、さらに好ましくは1〜10μm、
特に好ましくは2〜6μmである。無機質充填剤(D)の
添加量は、(A)100重量部に対して、好ましくは0.5〜15
重量部、さらに好ましくは1〜10重量部、特に好ましく
は2〜6重量部である。平均粒子径が上記範囲内である
と、十分な艶消し効果が得られる。なお、0.5μm未満
であると作業性が悪く、また粒子径が15μmより大きす
ぎると成形品の表面が粗くなる傾向がある。添加量が0.
5重量部以上であると美麗な艶消しの効果およびウェル
ド部の外観の改善が得られる。一方、添加量が15重量部
をこえると、表面の外観およびウェルド部の外観が悪く
なる傾向がある。無機質充填剤(D)のうち好ましいもの
としては、タルク、シリカ、炭酸カルシウム、炭酸マグ
ネシウム、珪藻土、炭化珪素、クレー、マイカ、モンモ
リロナイト、ベントナイトなどが挙げられる。さらに好
ましいものとしてはタルク、シリカ、炭酸カルシウムで
ある。これら無機質充填剤は1種または2種以上で使用
される。
本発明の熱可塑性樹脂組成物にさらに他の樹脂、例えば
ポリフェニレンオキシド、フッ化ビニリデン系樹脂、ナ
イロン、ポリアセタールなどをブレンドすることがで
き、これらは艶消し効果を有するが、特に上記ビニル芳
香族系(共)重合体およびゴム変性熱可塑性樹脂との組
成物が優れた特性を有するものである。
すなわち、本発明による樹脂組成物は、その高い衝撃強
度、剛性を保持して、成形品表面の光沢むらを発生させ
ることなく、良好な艶消し効果を得ることができ、自動
車用内部部品および内装材や家庭用および事業用電気機
器部品等に使用され得る。
また、本発明による樹脂組成物は射出成形のみならず、
押出成形、真空成形などにおいても良好な艶消し成形品
を提供するものであり、産業上の利用価値は極めて大き
い。
e.実施例 次に、実施例および比較例に基づいて、本発明をさらに
具体的に説明するが、本発明はその要旨を越えない限
り、実施例によって制限されるものではない。
実施例1〜16、比較例1〜4 実施例・比較例で使用する樹脂の製造方法を示す。
1.グラフト共重合体(A−1)の製造方法 ポリブタジエンラテックス(日本合成ゴム株式会社製;
JSR#0700)20部(固形分58%)、水250部、オレイン酸カ
リウム10部の混合液に、ピロリン酸ソーダ0.2部、デキ
ストローズ0.2部、硫酸第一鉄0.004部、クメンヒドロペ
ルオキシド0.4部を加える。これにスチレン58部、アク
リロニトリル21部、メタクリル酸1部からなる単量体混
合物(合計80部)とt−ドデシルメルカプタン0.3部の
混合物を、反応器内へ窒素気流下で攪拌しながら滴下し
て加えた。なお、エチレン性不飽和カルボン酸は苛性カ
リで中和して添加した。滴下時間は2時間、重合温度は
60℃であった。この結果得られた樹脂ラテックスを硫酸
を加えて凝固し、同時にカルボン酸塩をカルボン酸に戻
しグラフト共重合体(A−1)を得た。
2.共重合体(イ)(ロ)(ハ)(ニ)の製造方法攪拌
機つき反応器に、脱イオン水300部、ドデシルベンゼン
スルホン酸ナトリウム2部を加え、表−2に示した単量
体の1/3を加えた。攪拌して十分に乳化させたのち、反
応器を加熱して65℃に達したときに、過硫酸カリウムを
0.1部添加した。このときから1時間および2時間後
に、表−1に示す単量体の1/3および過硫酸カリウム0.0
5部をそれぞれ加えて、合計3時間重合した。この結果
得られた樹脂ラテックスを凝固させて、カルボン酸を含
有した共重合体(イ)、(ロ)、(ハ)および(ニ)を
作製した。
3.ブロック共重合体(C-1、C-2、C-3、C-4、C-5、C-
6)の製造 (1)洗浄乾燥した攪拌機およびジャケット付きのオート
クレーブに、窒素雰囲気下でシクロヘキサン4500g、テ
トラヒドロフラン1gを仕込んだのち、内温を70℃にし
た。
次にn−ブチルリチウム0.5gを含むヘキサン溶液を添
加後、スチレンを130g添加し、60分重合した。スチレ
ンの重合転化率は100%であった。次いでスチレン15
g、ブタジエン115gの混合物を添加して60分重合し
た。スチレン、ブタジエンの重合転化率は100%であっ
た。さらにこの操作を2回繰返した。次にブタジエンを
115g添加して重合転化率100%まで重合させた。そのの
ち、さらにスチレンを130g添加して60分重合し、表−
2のブロック共重合体C−1を得た。
(2)次に、ブロック共重合体C−1のスチレン量を変え
たサンプルを、上記C−1と同様の方法で重合し、表−
2のブロック共重合体C−2〜C−5を得た。
(3)(A−B)nxタイプのブロック共重合体を得るため
に、次の方法で重合を行なった。
前述と同じオートクレーブに、シクロヘキサン4,500
g、テトラヒドロフラン1gを仕込んだのち、内温を70
℃にした。
次にn−ブチルリチウム1gを含むヘキサン溶液を添加
後、スチレン380gを添加し60分重合した。スチレンの
重合転化率は100%であった。次いでスチレン10g、ブ
タジエン300gの混合物を添加して、60分重合した。ス
チレン、ブタジエンの重合転化率は100%であった。さ
らにこの操作を1回繰返したのち、ブタジエン1gを添
加して重合させた。そののち、テトラクロロシラン0.66
gを添加して、20分カップリング反応を行った。
なお重合中は温度を常に70℃になるように調節した。重
合終了後、重合体溶液に2,6−ジ−tert−ブチル−p
−クレゾールを添加したのち、シクロヘキサンを加熱除
去して、表−2に示すブロック共重合体C−6を得た。
(4)その他配合する樹脂 ABS樹脂−1;ポリブタジエンゴム20部、スチレン54
部、アクリロニトリル26部からなるABS樹脂 ABS樹脂−2;ポリブタジエンゴム15部、スチレン10
部、α−メチルスチレン50部、アクリロニトリル25部か
らなるABS樹脂 AES樹脂;EPT(日本イーピーラバー社製JSREP-24)30
部、スチレン50部、アクリロニトリル20部からなるAES
樹脂 AAS樹脂;n−ブチルアクリレート重合体25部、スチレ
ン50部、アクリロニトリル25部からなるAAS樹脂 AS樹脂;ライタック120PC(三井東圧化学(株)製品) ポリカーボネート樹脂;ノバレックス7022(三菱化成
(株)製) 自己消火性樹脂(1);ポリブタジエンゴム25部、スチレ
ン55部、アクリロニトリル20部からなるABS樹脂40部と
塩化ビニル樹脂60部とを混合。
自己消火性樹脂(2);ポリブタジエンゴム20部、スチレ
ン57部、アクリロニトリル23部からなるABS樹脂75部、
難燃材(テトラブロモビスフェノールA)21部および三
酸化アンチモン4部を混合。
評価方法 表−3、表−4に示した配合成分および配合割合からな
る組成物を用いて下記の評価方法で評価を行なった。
(1)耐衝撃性;ASTM(D256-54T)ノッチ付きアイゾット衝
撃強度23℃ (1)表面光沢;東芝機械(株)製10オンス射出成形機(I
S-125A)を用い、成形温度240℃、射出速度D-5で成形品
(150×170mm、厚さ3mm)を成形して、スガ試験機
(株)製デジタル変角光沢計UGV-4Dを用い、入射角60度
での表面反射光の測定を行った。
(3)表面外観;8オンス射出成形機を用いて300mm×250m
m、厚さ5mmの成形品を成形して、その表面外観を目視
評価した。表−3において、○は表面の光沢ムラがなく
均一、△は表面にやや光沢ムラおよび荒れを意味し、×
は表面の光沢ムラおよび荒れが著しいことを表す。
(4)ウェルド部の外観;8オンス射出成形機を用いて、
第1図に示すように、、その両端に矢印1で示すゲート
(溶融樹脂流入口)を6ヶ所有する金型を用いて射出し
て(図1に示す)中央にウェルドライン2が生じる150m
m×250mm、厚さ2mmの成形品3を成形し、該成形品を用
いて下記の方法で評価した。
その表面ウェルド部の外観艶ムラを目視で評価した。表
−3において、 ○はウェルド部艶ムラがなく均一。
△はウェルド部艶ムラやや有り。
×はウェルド部艶ムラが著しいことを表す。
以下、実施例1〜16および比較例1〜4で得られた樹脂
組成物の物性についての評価結果を示す。
実施例1〜16は本発明の範囲内の熱可塑性樹脂組成物で
あり、得られた成形品は耐衝撃性に優れ、美麗な状態の
艶消し表面外観を有し、さらにウェルド部の外観不良が
なく、表面外観の優れた耐衝撃性樹脂組成物である。
比較例1は本発明の耐衝撃性樹脂組成物の構成要件の1
つであるブロック共重合体を使用しない例であり、艶消
し性、表面外観、ウェルド部の外観がともに劣る。
比較例2はブロック共重合体および無機質充填材を使用
しない例であり、艶消し性、表面外観、ウェルド部の外
観が比較例1、2に比べ一段劣る。
比較例3はブロック共重合体を本発明の範囲を超えて使
用したもので、表面外観、ウェルド部の外観の低下が著
しい。
比較例4はエチレン性不飽和カルボン酸単量体成分を含
有しないゴム変性芳香族ビニル系熱可塑性樹脂組成物を
用いた例であり、艶消し性、表面外観、ウェルド部の外
観が劣る。
f.発明の効果 本発明の樹脂組成物は、その高い衝撃強度、剛性を保持
して、かつ成形品表面の光沢むらを発生させることな
く、良好な艶消し効果およびウェルド部の外観が1段と
改善されており、自動車用内部部品および内装材や家庭
用および事業用電気機器部品などに好適に使用すること
ができる。
また、本発明による樹脂組成物は、射出成形のみなら
ず、押出成形、真空成形などにおいても良好な艶消し成
形品を低するものであり、産業上の利用価値は極めて大
きい。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明の実施例において、ウェルド部の外観
を評価するために射出成形した成形品試料を示す説明図
である。 1……ゲート、2……ウェルドライン、 3……成形品。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 //(C08L 55/02 53:02)

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ゴム状重合体を5〜40重量%含有しかつエ
    チレン性不飽和カルボン酸0.3〜3重量%を共重合させ
    たゴム変性芳香族ビニル系熱可塑性樹脂組成物100重量
    部に、芳香族ビニル化合物−共役ジエンブロック共重合
    体1〜10重量部を添加してなる熱可塑性樹脂組成物。
  2. 【請求項2】ゴム状重合体を5〜40重量%含有しかつエ
    チレン性不飽和カルボン酸0.3〜3重量%を共重合させ
    たゴム変性芳香族ビニル系熱可塑性樹脂組成物100重量
    部に、芳香族ビニル化合物−共役ジエンブロック共重合
    体1〜10重量部、平均粒子径0.5〜15μmの無機質充填
    剤0.5〜15重量部を添加してなる熱可塑性樹脂組成物。
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