JPH0628951B2 - 積層パルプ状物及びその製造方法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〈産業上の利用分野〉 本発明はペーパタオルやトイレットペーパー或は包装用
材料等の脱臭用途に使用できる、積層パルプ状物の製造
技術に関する。

〈本発明の目的〉 本発明の目的とするところは、積層のために使用する接
着剤の有効利用が図れ、しかも脱臭効果の高い、新規の
積層パルプ状物及びその製造方法を提供することにあ
る。

〈本発明の構成〉 以下、図面を参照しながら本発明の一実施例について説
明する。

〈イ〉製造原理 本発明は、二枚の積層パルプ状物を積層する前に、各パ
ルプ状物の全面に亘って凹凸加工（エンボス加工）を施
した後、各パルプ状物の積層予定面の凸部の突端部のみ
に、接着剤と脱臭剤の混合物を塗布し、これらのパルプ
状物を接着して製造する、積層パルプ状物及びその製造
方法に関する。

次に、製造装置について説明する。

〈ロ〉製造装置 第１図に積層パルプ状物を製造するための装置の一例を
示す。

１０、１１は、ロール状に巻き取られたパルプ状物であ
り、図示しない張力調整機構により同速度で引き出され
る。

引き出した各パルプ状物１０、１１は、夫々周面に多数
の硬質凹凸群を有するエンボスロール４０、４１と、周
面に弾性材を被覆した弾性ロール５０、５１の間に供給
されて、凹凸状の成形加工（エンボス加工）が施され
る。

各組のエンボスロール４０、４１は、周面の一部を当接
し、特に両エンボスロール４０、４１の各凸部の突端同
士が当接し合うように構成してある。

６０は特殊な接着剤を塗布するための複数組みのローラ
よりなる塗布ローラであり、例えば一方のエンボスロー
ル４０の近傍に配設し、パルプ状物１０の凸部群のみに
当接するように配設する。

前記した一対のエンボスロール４０、４１は、各パルプ
状物１０、１１にエンボス加工を施す成形用のロールで
あると共に特殊接着剤の塗布を終えたパルプ状物１０、
１１を圧着するための貼着ドラムとしても機能する。

〈ハ〉接着剤 本発明では、接着性及び脱臭性を有する特殊接着剤を使
用して両パルプ状物１０、１１を接合する。

特殊接着剤としては、次の(a)と(b)を混合したものを使
用できる。

(a)接着剤の構成材料 ・ポリビニールアルコール。

・変性でんぷん。

・尿素樹脂系接着剤等。

(b)脱臭剤の構成材料 ・植物から抽出されたフラボノール系物質。

・第一鉄塩とアスコルビン酸の混合物等。

〈作用〉 次に第１図を基に積層パルプ状物の製造方法について説
明する。

〈イ〉ンポス加工 ロールから同速度で引き出されたパルプ状物１０は、エ
ンボスロール４０と弾性ロール５０の周面間に供給され
て、全面に亘って多数の凹凸群が成形される。

同様に他方のパルプ状物１１も、エンボスロール４１と
弾性ロール５１の周面間で成形されて、多数の凹凸群を
有するエンボス加工が施される。

〈ロ〉特殊接着剤の塗布 エンボス加工の施されたパルプ状物１０が、エンボスロ
ール４０の周面に巻き付いて移動する途中において、そ
の凸部の突端のみに、塗布ローラ６０から脱臭性と接着
性を有する特殊接着剤７０が塗布される。

特殊接着剤７０は、スポット状に塗布されるので、その
全面に塗布する場合に比べて特殊接着剤７０の塗布量が
少なくて済む。

〈ハ〉接着 各組のエンボスロール４０、４１によって移動を続ける
両パルプ状物１０、１１の各凸部は、その突端同士が出
合って接着される結果、積層パルプ状物８０が製作され
る。

積層パルプ状物８０内部で特殊接着剤７０が塗布されな
い部分は、エンボスセルゾーン９０を形成する。

エンボスセルゾーン９０は、特殊接着剤７０中の脱臭成
分が空気に晒されることを容易にして、脱臭効果に好影
響をもたらす。

第２図は、以上の工程で製造した積層パルプ状物８０を
示す。

〈その他の実施例〉 前記実施例は、エンボス加工を施した二枚のパルプ状物
１０、１１の凸部と凸部を接着する場合について説明し
たが、必ずしも凸部と凸部の組み合わせに限定されるも
のではない。

例えば第３図に示すように、一方のパルプ状物１０の凸
部の突端と、他方のパルプ状物１１の凹部の平面部の間
に特殊接着剤７０を介在させて積層しても良い。

或は又、第４図のようにエンボス加工を施したパルプ状
物１０の各凹部又は凸部と、エンボス加工を施していな
いパルプ状物１１の平面部の間に特殊接着剤７０を介在
させて積層する場合もある。

本実施例の場合、両パルプ状物１０、１１の間にエンボ
スセルゾーン９０を形成することは、前述した実施例と
同様である。

〈本発明の効果〉 本発明は以上説明したようになるから次の効果が得られ
る。

〈イ〉積層パルプ状物に脱臭機能を容易に付与すること
ができる。

従って、脱臭性を活用できる各種用途へ広範囲に適用で
きる。

〈ロ〉特殊接着剤がスポット状に塗布されるので、その
全面に塗布する場合に比べて塗布量が少なくて済む。

〈ハ〉特殊接着剤の塗布されていない両パルプ状物の間
にエンボスセルゾーンを形成する。

このエンボスセルゾーンは、特殊接着剤に含まれる脱臭
成分の空気との接触を容易にするから、脱臭効果に好影
響をもたらす。

【図面の簡単な説明】

第１図：本発明に係る積層パルプ状物の製造装置を説明
するための概念図 第２図：完成した積層パルプ状物の断面図 第３図：その他の積層構造例を示すものであって凸部と
凹部の組み合わせで積層した場合の積層パルプ状物の断
面図 第４図：その他の積層構造例を示すものであって非エン
ボスタイプとエンボスタイプのパルプ状物を積層した場
合の積層パルプ状物の断面図

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】二枚のパルプ状物を積層してなる積層パル
   プ状物において、 少なくとも一枚のパルプ状物が多数の凹凸群を有し、 前記多数の凹凸群を有するパルプ状物と他のパルプ状物
   の接触箇所に脱臭性を有する接着剤が介在し、 特殊接着剤の塗布されていない両パルプ状物の間にエン
   ボスセルゾーンを形成したことを特徴とする、 積層パルプ状物。
2. 【請求項２】二枚のパルプ状物のうちの少なくとも一枚
   のパルプ状物に多数の凹凸をつける工程と、前記二枚の
   パルプ状物を接合して積層する工程よりなる、積層パル
   プ状物の製造方法において、 脱臭性を有する接着剤を凸部群に塗布したパルプ状物と
   他のパルプ状物とを積層することを特徴とする、 積層パルプ状物の製造方法。